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芙蓉リース Research Memo(4):2023年3月期の経常利益は6期連続で過去最高益を更新(2)
配信日時:2024/01/24 13:04
配信元:FISCO
*13:04JST 芙蓉リース Research Memo(4):2023年3月期の経常利益は6期連続で過去最高益を更新(2)
■芙蓉総合リース<8424>の決算動向
4. 事業分野別の業績及び活動実績
(1) モビリティ(RT分野)
2023年9月末の営業資産残高は1,772億円(前期末比59億円増)となり、ROAも3.6%(前年同期は3.1%)に改善し、経常利益は31億円(前年同期比6億円増)に増加した。新たに連結化したPacific Rim Capitalを含め、海外事業会社が好調に推移した。ただ、世界的な半導体不足を背景とする納期遅延は回復傾向にある一方、中古車マーケットの今後の推移にはやや不透明感がある。非財務目標である「EV/FCV保有比率」については、EV普及の遅れなどを背景に0.7%(前期末比横ばい)の水準に留まった(中計目標値は30%)。一方、活動面では、EV領域の多方面にわたるアライアンス先との協働※1や、グローバルベースのモビリティ事業推進※2などに取り組んだ。
※1 EV車両本体のみならず、充電器やメンテナンス網などワンストップサービスの提供に向けたビジネス基盤の拡大を図っている。また、商用EVの開発・製造・販売を手掛ける(株)EVモーターズ・ジャパン、及び新潟県や福島県を中心に教育事業などを展開するNSGグループとの連携により、EVメンテナンスに携わる自動車整備士の人材育成・輩出をサポートする取り組みも開始した。
※2 日本、北米、タイを軸に、Pacific Rim Capital との連携やフォークリフトリースパッケージ「GREEN FORK」の構築などを通じて、物流機器の導入から再生・廃棄までをワンストップでサポートする、グローバルなライフサイクルマネジメント型のモビリティビジネスの拡大を目指している。
(2) エネルギー環境(AT分野)
2023年9月末の営業資産残高は1,691億円(前期末比428億円増)と大きく拡大した一方、ROAは1.1%(前年同期は3.6%)に低下し、経常利益は8億円(前年同期比10億円減)に減少した。なお、減益となったのは、一部海外再生可能エネルギー事業で資金コストの計上が先行したことが理由である(当該事業における収益は下期に計上予定)。英国での洋上風力発電事業や欧州経済領域での再生可能エネルギーファンド(太陽光、風力、水力等)など、グローバルプレイヤーとの協業により再生可能エネルギーが大きく伸長した。また、非財務目標である「再エネ発電容量」も576MW(前期末比61MW増)※1と順調に伸びている。活動面でも、投資機会が豊富な欧州での事業拡大に向けて、英国現地法人(ロンドン)を設置したほか、新たなアライアンス先との取り組みも拡大した。また、大和エナジー・インフラ(株)、アストマックス(株)との共同事業として、大規模系統用蓄電池関連事業※2にも参画している。
※1 開発中の案件を含むと900MW(前期末比243MW増)と大きく拡大し、中計目標値(1,000MW)の実現も見えてきた。
※2 電力系統の安定化に向けた事業であり、2025年度の運転開始後は、AIを活用した市場予測等に基づき、卸電力市場や需給調整市場、容量市場での取引を実施する計画である。
(3) BPO/ICT(AT分野)
2024年3月期上期の経常利益は18億円と前年同期比横ばいに留まった。業容拡大に向けたコスト増の影響により利益面で伸び悩んだものの、今後はAI活用などを通した業務効率化を進めることで収益性を高めていく方針である。一方、非財務目標である「顧客の業務量削減時間(2022年3月期比)」については33万時間(前期は18万時間)と順調に進展している(中計目標値は100万時間)。また、活動面では、AI技術の活用に向けた業務協定の締結※1のほか、グループ内連携においても様々な動き※2が活発化してきた。
※1 AIを活用した付加価値の高いBPOサービスの提供に向けて、アルゴリズム・AI技術を活用したDXソリューションを提供する燈(株)との業務協定を締結した。
※2 BPO分野では、BtoB企業向け動画制作・配信サービスを提供する(株)ヒューマンセントリックスとの連携が加速してきた。ICT分野においても、DX支援等を展開する(株)WorkVisionや(株)FGLテクノソリューションズとのグループ内連携が順調に進んでいる。
(4) ヘルスケア(AT分野)
2023年9月末の営業資産残高は853億円(前期末比26億円減)と伸び悩んだ。ROAも1.9%(前年同期は2.2%)に低下し、経常利益は8億円(前年同期比2億円減)に減少した。政府等による金融支援を通じた資金ニーズの充足により、診療・介護報酬債権ファクタリングの積み上げが進まなかったことが停滞の理由である。ただ、案件ストックは積み上がっており、第3四半期以降での収益の伸びを見込む。一方、非財務目標の1つである「高齢者介護施設(新規提供室数)」は683室(前期末比130室増)と順調に増加した(中計目標値は1,330室)。活動面でも、七十七銀行<8341>及び日本経営グループとの共同で組成した地域特化型ヘルスケアファンドによる第1号案件※1の実行や、シャープファイナンスによる歯科衛生士人材紹介サービス事業※2の開始などに取り組んだ。
※1 福島県の医療法人が進める病院施設の建て替えに対して、不動産流動化スキームを活用した支援を提供するもの。
※2 歯科衛生士不足に悩む歯科医院と、柔軟な働き方を実現したい歯科衛生士をマッチングする人材紹介サービスである。全国歯科クリニックの約40%との取引実績があり、高い業界シェアを有するシャープファイナンスの事業基盤を活用し、歯科医院の課題解決に取り組む方針である。
(5) 不動産(GP分野)
2023年9月末の営業資産残高は10,669億円(前期末比364億円増)に拡大し、ROAも2.9%(前年同期は2.3%)に改善したことから、経常利益は150億円(前年同期比42億円増)と大きく増加した。前期からの資産の積み上げや売却益の計上などが大幅な増益に寄与した。また、パートナー企業との協働や幅広いディールソースからの引き合いにより、資産の積み上げについても想定を上回るペースで進んでいる。引き続き不動産マーケットを取り巻く環境の変化を機敏に捉え、リスクリターンを意識した案件の取り込みを図る方針である。
(6) 航空機(GP分野)
2023年9月末の営業資産残高は2,652億円(前期末比381億円増)に拡大し、ROAは2.4%(前年同期は2.6%)と高水準を維持したことから、経常利益は30億円(前年同期比3億円増)に増加した。「自社保有機」が56機(前期末比7機増)と順調に積み上がったことや、エアラインからのリース料回収の正常化も進んだことが大幅な増益に寄与した。旅客需要の回復を受け、エアラインからの受注環境は良好であり、第3四半期以降もさらなる機体数の積み上げを見込む。活動面でも、国内外のレッサーや投資家への幅広いアプローチなどを通じて、機動的な機体売却を行う回転型ビジネスの常軌化に向けた事業基盤の構築を進めている。
5. 2024年3月期上期の総括
2024年3月期上期を総括すると、注力する成長領域が順調に拡大し、過去最高益を連続更新した足元業績に加え、将来に対してもさらなる業容拡大に向けた取り組みが各方面で順調に進捗しているところは評価すべきポイントと言える。特に、「エネルギー環境」において、海外での再生可能エネルギー事業が大きく拡大しているところや、「モビリティ」におけるEV領域での新しいビジネスモデルの構築、さらには物流領域でのグローバル展開などについては、従来市場の枠を超えたアップサイドのポテンシャルを感じさせる取り組みと評価できる。また、活動面でも、国内外のパートナー各社との協業などにより、各方面で事業拡大に向けた動きが加速してきた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<SI>
4. 事業分野別の業績及び活動実績
(1) モビリティ(RT分野)
2023年9月末の営業資産残高は1,772億円(前期末比59億円増)となり、ROAも3.6%(前年同期は3.1%)に改善し、経常利益は31億円(前年同期比6億円増)に増加した。新たに連結化したPacific Rim Capitalを含め、海外事業会社が好調に推移した。ただ、世界的な半導体不足を背景とする納期遅延は回復傾向にある一方、中古車マーケットの今後の推移にはやや不透明感がある。非財務目標である「EV/FCV保有比率」については、EV普及の遅れなどを背景に0.7%(前期末比横ばい)の水準に留まった(中計目標値は30%)。一方、活動面では、EV領域の多方面にわたるアライアンス先との協働※1や、グローバルベースのモビリティ事業推進※2などに取り組んだ。
※1 EV車両本体のみならず、充電器やメンテナンス網などワンストップサービスの提供に向けたビジネス基盤の拡大を図っている。また、商用EVの開発・製造・販売を手掛ける(株)EVモーターズ・ジャパン、及び新潟県や福島県を中心に教育事業などを展開するNSGグループとの連携により、EVメンテナンスに携わる自動車整備士の人材育成・輩出をサポートする取り組みも開始した。
※2 日本、北米、タイを軸に、Pacific Rim Capital との連携やフォークリフトリースパッケージ「GREEN FORK」の構築などを通じて、物流機器の導入から再生・廃棄までをワンストップでサポートする、グローバルなライフサイクルマネジメント型のモビリティビジネスの拡大を目指している。
(2) エネルギー環境(AT分野)
2023年9月末の営業資産残高は1,691億円(前期末比428億円増)と大きく拡大した一方、ROAは1.1%(前年同期は3.6%)に低下し、経常利益は8億円(前年同期比10億円減)に減少した。なお、減益となったのは、一部海外再生可能エネルギー事業で資金コストの計上が先行したことが理由である(当該事業における収益は下期に計上予定)。英国での洋上風力発電事業や欧州経済領域での再生可能エネルギーファンド(太陽光、風力、水力等)など、グローバルプレイヤーとの協業により再生可能エネルギーが大きく伸長した。また、非財務目標である「再エネ発電容量」も576MW(前期末比61MW増)※1と順調に伸びている。活動面でも、投資機会が豊富な欧州での事業拡大に向けて、英国現地法人(ロンドン)を設置したほか、新たなアライアンス先との取り組みも拡大した。また、大和エナジー・インフラ(株)、アストマックス(株)との共同事業として、大規模系統用蓄電池関連事業※2にも参画している。
※1 開発中の案件を含むと900MW(前期末比243MW増)と大きく拡大し、中計目標値(1,000MW)の実現も見えてきた。
※2 電力系統の安定化に向けた事業であり、2025年度の運転開始後は、AIを活用した市場予測等に基づき、卸電力市場や需給調整市場、容量市場での取引を実施する計画である。
(3) BPO/ICT(AT分野)
2024年3月期上期の経常利益は18億円と前年同期比横ばいに留まった。業容拡大に向けたコスト増の影響により利益面で伸び悩んだものの、今後はAI活用などを通した業務効率化を進めることで収益性を高めていく方針である。一方、非財務目標である「顧客の業務量削減時間(2022年3月期比)」については33万時間(前期は18万時間)と順調に進展している(中計目標値は100万時間)。また、活動面では、AI技術の活用に向けた業務協定の締結※1のほか、グループ内連携においても様々な動き※2が活発化してきた。
※1 AIを活用した付加価値の高いBPOサービスの提供に向けて、アルゴリズム・AI技術を活用したDXソリューションを提供する燈(株)との業務協定を締結した。
※2 BPO分野では、BtoB企業向け動画制作・配信サービスを提供する(株)ヒューマンセントリックスとの連携が加速してきた。ICT分野においても、DX支援等を展開する(株)WorkVisionや(株)FGLテクノソリューションズとのグループ内連携が順調に進んでいる。
(4) ヘルスケア(AT分野)
2023年9月末の営業資産残高は853億円(前期末比26億円減)と伸び悩んだ。ROAも1.9%(前年同期は2.2%)に低下し、経常利益は8億円(前年同期比2億円減)に減少した。政府等による金融支援を通じた資金ニーズの充足により、診療・介護報酬債権ファクタリングの積み上げが進まなかったことが停滞の理由である。ただ、案件ストックは積み上がっており、第3四半期以降での収益の伸びを見込む。一方、非財務目標の1つである「高齢者介護施設(新規提供室数)」は683室(前期末比130室増)と順調に増加した(中計目標値は1,330室)。活動面でも、七十七銀行<8341>及び日本経営グループとの共同で組成した地域特化型ヘルスケアファンドによる第1号案件※1の実行や、シャープファイナンスによる歯科衛生士人材紹介サービス事業※2の開始などに取り組んだ。
※1 福島県の医療法人が進める病院施設の建て替えに対して、不動産流動化スキームを活用した支援を提供するもの。
※2 歯科衛生士不足に悩む歯科医院と、柔軟な働き方を実現したい歯科衛生士をマッチングする人材紹介サービスである。全国歯科クリニックの約40%との取引実績があり、高い業界シェアを有するシャープファイナンスの事業基盤を活用し、歯科医院の課題解決に取り組む方針である。
(5) 不動産(GP分野)
2023年9月末の営業資産残高は10,669億円(前期末比364億円増)に拡大し、ROAも2.9%(前年同期は2.3%)に改善したことから、経常利益は150億円(前年同期比42億円増)と大きく増加した。前期からの資産の積み上げや売却益の計上などが大幅な増益に寄与した。また、パートナー企業との協働や幅広いディールソースからの引き合いにより、資産の積み上げについても想定を上回るペースで進んでいる。引き続き不動産マーケットを取り巻く環境の変化を機敏に捉え、リスクリターンを意識した案件の取り込みを図る方針である。
(6) 航空機(GP分野)
2023年9月末の営業資産残高は2,652億円(前期末比381億円増)に拡大し、ROAは2.4%(前年同期は2.6%)と高水準を維持したことから、経常利益は30億円(前年同期比3億円増)に増加した。「自社保有機」が56機(前期末比7機増)と順調に積み上がったことや、エアラインからのリース料回収の正常化も進んだことが大幅な増益に寄与した。旅客需要の回復を受け、エアラインからの受注環境は良好であり、第3四半期以降もさらなる機体数の積み上げを見込む。活動面でも、国内外のレッサーや投資家への幅広いアプローチなどを通じて、機動的な機体売却を行う回転型ビジネスの常軌化に向けた事業基盤の構築を進めている。
5. 2024年3月期上期の総括
2024年3月期上期を総括すると、注力する成長領域が順調に拡大し、過去最高益を連続更新した足元業績に加え、将来に対してもさらなる業容拡大に向けた取り組みが各方面で順調に進捗しているところは評価すべきポイントと言える。特に、「エネルギー環境」において、海外での再生可能エネルギー事業が大きく拡大しているところや、「モビリティ」におけるEV領域での新しいビジネスモデルの構築、さらには物流領域でのグローバル展開などについては、従来市場の枠を超えたアップサイドのポテンシャルを感じさせる取り組みと評価できる。また、活動面でも、国内外のパートナー各社との協業などにより、各方面で事業拡大に向けた動きが加速してきた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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