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ウォール街を知るハッチの独り言 ジャクソンホール(マネックス証券 岡元 兵八郎)
配信日時:2023/08/23 09:25
配信元:FISCO
*09:25JST ウォール街を知るハッチの独り言 ジャクソンホール(マネックス証券 岡元 兵八郎)
さて、マネックス証券の「メールマガジン新潮流」が、8月21日に配信されました。
そのなかから今回は、同証券のチーフ・外国株コンサルタント、『ハッチ』こと岡元兵八郎氏のコラム「ジャクソンホール」の内容をご紹介いたします。
金融の世界では8月の後半になるとジャクソンホールという単語がよく聞かれるようになります。ジャクソンホールとは、どこかのホール(会場)ではなく、アメリカのワイオミング州に位置するリゾート地がある渓谷の名前なのです。グランド・ティトン国立公園の隣で、近くにはイエローストーン国立公園もあり、自然の美しさ、野生動物、スキーやスノーボード、ハイキング、登山、釣りなどのアウトドア活動を楽しめることで知られています。ジャクソンホールにあるジャクソンホール空港は、ジャクソンホールの街の中心地から10マイル。この街の人口はおよそ1万人です。冬と夏のピークシーズンには、 ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、など、米国の13の空港からジャクソンホールの直行便がありますが、繁忙期以外の航空会社の便はダラス、デンバーなどハブからのフライトに限定されています。
そんなジャクソンホールですが、8月に行われる「ジャクソンホール経済シンポジウム」の開催地として知られ、このシンポジウムはジャクソンレイクロッジというホテルで開催されています。このイベントで行われるアメリカの中央銀行トップのスピーチは、投資家のセンチメントや金利や株価の方向性にも影響を与えることが多く、夏の時期に世界中の金融関係者に最も注目されるイベントとなっています。
この年次イベントの歴史は古く、この地域を管轄しているカンザスシティ連邦準備銀行により1980年代から開催されています。
過去のジャクソンホールでのスピーチで、マーケットに影響を与えた例としては、2010年に当時FRBのトップであった、ベン・バーナンキ議長が第二次量的緩和策 (QE2) の実施を示唆しました。これは2008年の金融危機後の重要な時点であり、マーケットは追加の金融刺激策を期待、その後米国株と債券が大きく上昇しました。
2022年のスピーチでは、パウエル議長は積極的な金利引き上げを継続することを示唆し、現時点での『ある程度の』経済的な痛みは後にもっと大きな痛みを避けるために必要であると述べました。この時点でFRBは既に直近2回のFOMCにおいて、それぞれ75ベーシス・ポイント(0.75%)の利上げを行っていました。このジャクソンホールでの発言後、FRBは年末までに9月と11月それぞれ2回75ベーシス・ポイントの追加利上げを行なったのです。パウエル議長の発言を受け、その後米国株は10月まで大きく下落しました。
今年のパウエル議長のスピーチは、日本時間8月25日23時5分から予定されています。
米国政策金利の行方が、世界中の金融関係者だけでなく、私たち個人投資家の資産の動向にも影響与えるジャクソンホールでのスピーチ、どのような内容となるのか、大変興味深いところです。
マネックス証券 チーフ・外国株コンサルタント 岡元 兵八郎
(出所:8/21配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)
<CS>
そのなかから今回は、同証券のチーフ・外国株コンサルタント、『ハッチ』こと岡元兵八郎氏のコラム「ジャクソンホール」の内容をご紹介いたします。
金融の世界では8月の後半になるとジャクソンホールという単語がよく聞かれるようになります。ジャクソンホールとは、どこかのホール(会場)ではなく、アメリカのワイオミング州に位置するリゾート地がある渓谷の名前なのです。グランド・ティトン国立公園の隣で、近くにはイエローストーン国立公園もあり、自然の美しさ、野生動物、スキーやスノーボード、ハイキング、登山、釣りなどのアウトドア活動を楽しめることで知られています。ジャクソンホールにあるジャクソンホール空港は、ジャクソンホールの街の中心地から10マイル。この街の人口はおよそ1万人です。冬と夏のピークシーズンには、 ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、など、米国の13の空港からジャクソンホールの直行便がありますが、繁忙期以外の航空会社の便はダラス、デンバーなどハブからのフライトに限定されています。
そんなジャクソンホールですが、8月に行われる「ジャクソンホール経済シンポジウム」の開催地として知られ、このシンポジウムはジャクソンレイクロッジというホテルで開催されています。このイベントで行われるアメリカの中央銀行トップのスピーチは、投資家のセンチメントや金利や株価の方向性にも影響を与えることが多く、夏の時期に世界中の金融関係者に最も注目されるイベントとなっています。
この年次イベントの歴史は古く、この地域を管轄しているカンザスシティ連邦準備銀行により1980年代から開催されています。
過去のジャクソンホールでのスピーチで、マーケットに影響を与えた例としては、2010年に当時FRBのトップであった、ベン・バーナンキ議長が第二次量的緩和策 (QE2) の実施を示唆しました。これは2008年の金融危機後の重要な時点であり、マーケットは追加の金融刺激策を期待、その後米国株と債券が大きく上昇しました。
2022年のスピーチでは、パウエル議長は積極的な金利引き上げを継続することを示唆し、現時点での『ある程度の』経済的な痛みは後にもっと大きな痛みを避けるために必要であると述べました。この時点でFRBは既に直近2回のFOMCにおいて、それぞれ75ベーシス・ポイント(0.75%)の利上げを行っていました。このジャクソンホールでの発言後、FRBは年末までに9月と11月それぞれ2回75ベーシス・ポイントの追加利上げを行なったのです。パウエル議長の発言を受け、その後米国株は10月まで大きく下落しました。
今年のパウエル議長のスピーチは、日本時間8月25日23時5分から予定されています。
米国政策金利の行方が、世界中の金融関係者だけでなく、私たち個人投資家の資産の動向にも影響与えるジャクソンホールでのスピーチ、どのような内容となるのか、大変興味深いところです。
マネックス証券 チーフ・外国株コンサルタント 岡元 兵八郎
(出所:8/21配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)
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