注目トピックス 日本株
PBシステムズ Research Memo(10):5期連続での最高益更新期待、主力事業の強靭化がスタート
配信日時:2022/12/05 15:20
配信元:FISCO
■今後の見通し
1. 2023年9月期の業績見通し
ピー・ビーシステムズ<4447>の2023年9月期の業績については、売上高が前期比11.1%増の2,780百万円、営業利益が同11.0%増の300百万円、経常利益が同12.4%増の295百万円、当期純利益が同11.6%増の205百万円の計画だ。東証グロース市場への上場をきっかけに、人材を拡充して成長に向けた体制を構築するなかで費用が増加するものの、それらを吸収して2桁の増収増益、5期連続の営業利益の最高益更新を目指す。
注目すべきポイントは、以下の2点となる。まず第1に、セキュアクラウドシステム(SCL)事業の強靭化に向けて取り組みが改めて始動するという点だ。東証グロース市場への上場をきっかけに同社はKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標もしくは経営目標達成指標)として、2027年9月期をターゲットに営業利益率16%を設定した。国内のシステムインテグレーター企業131社における営業利益率の平均値は7.3%、16%という水準はその上位5位に入るようだ(※決算説明会資料より)。
2023年9月期計画では、上場による資金調達使途でもある人材獲得に注力する。具体的には、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)としてエンジニア・セールスエンジニア数を設定している通り、2022年9月期(28名)から9人増の37人とする計画となっている。そのため予想営業利益率は11.2%と2022年9月期(11.6%)と同水準の計画だ。概ね横ばいからのスタートとなっているため数字上は見えにくいが、ここから主力のセキュアクラウドシステム(SCL)事業の一段の強靭化が始まることになる。
もともと同社自体がここまで少数精鋭を掲げて着実に成長を続けてきた経緯があるが、2022年9月期は自治体向けの大型レジリエンス案件の集中や社員のコロナ罹患多発により、従前以上に採用活動に人的資源を十分配分できなかった面があるようだ。そうした背景もあって2023年9月期は、採用チャネル拡大によって中途採用・新卒採用の推進を積極化する他、社員の確保・育成につながる魅力的な人事・教育制度の整備にも取り組む方針だ。既に戦略的な人事部門を2022年11月に設置済みで、新規に採用した人事のエキスパートであるキャリア人材が舵取りを行う。受注および生産キャパシティが広がることで、トップラインが引き続き安定して伸びる公算となっている。ただし、業績予想の達成について影響は限定的なものの、前回レポートでも言及していた「売上高計上の前倒し」の動きについては、いったん後退せざるを得ない点はやや残念な部分である(同社業績に関しては第2四半期及び第4四半期に偏重傾向があった)。2023年9月期は今後の事業拡大を目指した準備期間にあたり、こうした局面では減収減益と足踏みをする企業も少なくないが、それでもセグメントとして増収増益を確保する目算であるあたりが同社がこれまでに培ってきた強さであろう。とはいえ、人材獲得に関しては全企業が頭を悩ませている問題であり、想定通り進まない部分もあると予想されることから、四半期毎にその進捗を見守りたいと弊社は考えている。
人材面の拡充に加えて、セキュアクラウドシステム(SCL)事業の強靭化に向け、製商品販売の高付加価値化戦略と関東圏のパートナー拡充戦略も推進する方針である。まずは前者だが、DELL TECHNOLOGIES製のバックアップ統合製品「DP4400」を中心とした高付加価値レジリエンスソリューション販売を積極推進する。「DP4400」に関しては、サイバー攻撃の検知と早期対処を行うEDR(Endpoint Detection and Response)やファイル交換システムによるEmotetコンピュータウィルス対策などをプラスした複合的な商談が足元で目立つようになってきているもようで、ここに関しては比較的安心感を持ってみていけると弊社では考えている。利益率の向上という意味では、これまで影が薄くなっていた自社プロダクトが果たす役割も増してくるだろう。自営のプライベートクラウド基盤を運用しているSaaS事業者においては、経年によるシステム基盤更新の需要が必然的に発生することになる。同社がSaaS事業者向けのシステム構築を拡大し始めてから一定期間が経過し、既存顧客のシステム基盤更新需要が望めるなか、製商品販売の高付加価値化戦略を開始するには適したタイミングとなりそうだ。後者については、既に多くの事例が見えているCitrixやOracleといった同社パートナーである大手メーカーからの直接紹介がさらに集まるよう、これまで以上に彼らとの関係深化を図っていく。さらに、生産能力を補強するエンジニア集団のような企業との関係構築の両方向から進める方針である。
第2のポイントは、悲願であったエモーショナルシステム事業の黒字化見込みである。もともとアミューズメント向けを主力として展開していたこともあって、コロナ禍の影響を受けやすく、2020年9月期、2021年9月期は特に向かい風の状況に追い込まれていた。しかし、2022年9月期を見てみれば、赤字解消には至らなかったとはいえ、アミューズメント領域以外での需要掘り起こしに注力し続けたことが奏功し、増収基調に復帰。業績面からも底入れ機運が高まりつつある。足元でコロナ禍の第8波に関する声も聞かれているとはいえ、事業の足腰が強化されつつあるなか、黒字転換を着実に実現することを最低限であり最大の目標として掲げている。具体的には、4DOHのレンタル&運営のパッケージソリューションを構築し、既に実績のあるボートレース関連を深堀りする形で公営競技場向けに営業展開を行う。また、日本全体としてコロナとの付き合い方もある程度わかってきたなかで、ゴールデンウイークなどをはじめとして、連休などにおける人流が回復基調にあることは既に多々示されているところだ。第8波の拡大状況にもよる部分があるため、過度な楽観は禁物とはいえ、遊園地・テーマパーク等、国内レジャー需要向けが復調するかもポイントとなりそうだ。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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1. 2023年9月期の業績見通し
ピー・ビーシステムズ<4447>の2023年9月期の業績については、売上高が前期比11.1%増の2,780百万円、営業利益が同11.0%増の300百万円、経常利益が同12.4%増の295百万円、当期純利益が同11.6%増の205百万円の計画だ。東証グロース市場への上場をきっかけに、人材を拡充して成長に向けた体制を構築するなかで費用が増加するものの、それらを吸収して2桁の増収増益、5期連続の営業利益の最高益更新を目指す。
注目すべきポイントは、以下の2点となる。まず第1に、セキュアクラウドシステム(SCL)事業の強靭化に向けて取り組みが改めて始動するという点だ。東証グロース市場への上場をきっかけに同社はKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標もしくは経営目標達成指標)として、2027年9月期をターゲットに営業利益率16%を設定した。国内のシステムインテグレーター企業131社における営業利益率の平均値は7.3%、16%という水準はその上位5位に入るようだ(※決算説明会資料より)。
2023年9月期計画では、上場による資金調達使途でもある人材獲得に注力する。具体的には、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)としてエンジニア・セールスエンジニア数を設定している通り、2022年9月期(28名)から9人増の37人とする計画となっている。そのため予想営業利益率は11.2%と2022年9月期(11.6%)と同水準の計画だ。概ね横ばいからのスタートとなっているため数字上は見えにくいが、ここから主力のセキュアクラウドシステム(SCL)事業の一段の強靭化が始まることになる。
もともと同社自体がここまで少数精鋭を掲げて着実に成長を続けてきた経緯があるが、2022年9月期は自治体向けの大型レジリエンス案件の集中や社員のコロナ罹患多発により、従前以上に採用活動に人的資源を十分配分できなかった面があるようだ。そうした背景もあって2023年9月期は、採用チャネル拡大によって中途採用・新卒採用の推進を積極化する他、社員の確保・育成につながる魅力的な人事・教育制度の整備にも取り組む方針だ。既に戦略的な人事部門を2022年11月に設置済みで、新規に採用した人事のエキスパートであるキャリア人材が舵取りを行う。受注および生産キャパシティが広がることで、トップラインが引き続き安定して伸びる公算となっている。ただし、業績予想の達成について影響は限定的なものの、前回レポートでも言及していた「売上高計上の前倒し」の動きについては、いったん後退せざるを得ない点はやや残念な部分である(同社業績に関しては第2四半期及び第4四半期に偏重傾向があった)。2023年9月期は今後の事業拡大を目指した準備期間にあたり、こうした局面では減収減益と足踏みをする企業も少なくないが、それでもセグメントとして増収増益を確保する目算であるあたりが同社がこれまでに培ってきた強さであろう。とはいえ、人材獲得に関しては全企業が頭を悩ませている問題であり、想定通り進まない部分もあると予想されることから、四半期毎にその進捗を見守りたいと弊社は考えている。
人材面の拡充に加えて、セキュアクラウドシステム(SCL)事業の強靭化に向け、製商品販売の高付加価値化戦略と関東圏のパートナー拡充戦略も推進する方針である。まずは前者だが、DELL TECHNOLOGIES製のバックアップ統合製品「DP4400」を中心とした高付加価値レジリエンスソリューション販売を積極推進する。「DP4400」に関しては、サイバー攻撃の検知と早期対処を行うEDR(Endpoint Detection and Response)やファイル交換システムによるEmotetコンピュータウィルス対策などをプラスした複合的な商談が足元で目立つようになってきているもようで、ここに関しては比較的安心感を持ってみていけると弊社では考えている。利益率の向上という意味では、これまで影が薄くなっていた自社プロダクトが果たす役割も増してくるだろう。自営のプライベートクラウド基盤を運用しているSaaS事業者においては、経年によるシステム基盤更新の需要が必然的に発生することになる。同社がSaaS事業者向けのシステム構築を拡大し始めてから一定期間が経過し、既存顧客のシステム基盤更新需要が望めるなか、製商品販売の高付加価値化戦略を開始するには適したタイミングとなりそうだ。後者については、既に多くの事例が見えているCitrixやOracleといった同社パートナーである大手メーカーからの直接紹介がさらに集まるよう、これまで以上に彼らとの関係深化を図っていく。さらに、生産能力を補強するエンジニア集団のような企業との関係構築の両方向から進める方針である。
第2のポイントは、悲願であったエモーショナルシステム事業の黒字化見込みである。もともとアミューズメント向けを主力として展開していたこともあって、コロナ禍の影響を受けやすく、2020年9月期、2021年9月期は特に向かい風の状況に追い込まれていた。しかし、2022年9月期を見てみれば、赤字解消には至らなかったとはいえ、アミューズメント領域以外での需要掘り起こしに注力し続けたことが奏功し、増収基調に復帰。業績面からも底入れ機運が高まりつつある。足元でコロナ禍の第8波に関する声も聞かれているとはいえ、事業の足腰が強化されつつあるなか、黒字転換を着実に実現することを最低限であり最大の目標として掲げている。具体的には、4DOHのレンタル&運営のパッケージソリューションを構築し、既に実績のあるボートレース関連を深堀りする形で公営競技場向けに営業展開を行う。また、日本全体としてコロナとの付き合い方もある程度わかってきたなかで、ゴールデンウイークなどをはじめとして、連休などにおける人流が回復基調にあることは既に多々示されているところだ。第8波の拡大状況にもよる部分があるため、過度な楽観は禁物とはいえ、遊園地・テーマパーク等、国内レジャー需要向けが復調するかもポイントとなりそうだ。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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