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LeTech Research Memo(3):不動産投資家の住宅、オフィスへの投資意欲は高い
配信日時:2022/12/05 14:43
配信元:FISCO
■LeTech<3497>の事業概要
1. 不動産市場の概況
(一財)日本不動産研究所「第46回不動産投資家調査」(2022年4月)においては、「今後1年間の投資に対する考え方」に対する回答のうち94%(前年同期も94%)が「新規投資を積極的に行う」と回答している。不動産投資家の積極的な投資姿勢はコロナ禍において一時若干低下したものの依然として積極的であることがわかる。リーマンショック時(2009年4月調査)にはこの指標は45%程度まで下落したが、当時と比較して変化は軽微であり、継続的な金融緩和に支えられながら高水準を維持したことがわかる。
投資家の市場に対する見通しは、対象物件によって温度差がある。2022年4月時点で、不動産投資家128名にアセットごとの市場見通しを聞いた調査では、物流施設やレジデンシャルが相対的に高く(ポジティブ、ややポジティブの回答の合計を指標とした)、商業施設及び宿泊施設が相対的に低い。レジデンシャルを主力としている同社にとっては有利な環境と言えるだろう。また、同社では関西圏でホテルを保有しているが、2022年から2023年にかけて指標は上昇傾向であり、出口戦略を考えやすくなってきている。
2. 不動産ソリューション事業
不動産ソリューション事業は、同社の主力事業である。様々なソースの物件情報から不動産を仕入れて最適なバリューアップを実施して資産価値を高めたうえで、個人富裕層や資産保有目的の事業法人に対して、個々の顧客ニーズに即した物件を販売している。販売する収益不動産は、独自の営業ルートにより仕入れた物件を建物管理状態の改善、用途変更、テナントの入れ替え、大規模修繕等を施すことによって、資産価値の向上を図っている。すなわち、土地有効活用、住宅(マンション)開発、オフィス・ホテル・民泊マンション等の商業開発、コンバージョン(既存の建物の用途変更を行って全面的に改装して全く新たな建物として再生させること)及びリノベーション(既存の建物に対して大規模な改装工事を行うことで建物を新築の状態にまで美しくして価値を高めること)等によってバリューアップを図り、売却をしている。
同社の主力商品は低層賃貸マンションシリーズ「LEGALAND」である。敷地面積30~200坪程度、総戸数10~35戸であり、狭小な敷地面積や地域特有の制限下でも開発可能な少人数世帯向け賃貸マンションである。外観・ディテールにこだわり、地下フロアの設置、エレベーターや梁・柱をなくすなど企画開発ノウハウを詰め込んだ設計構造が特徴である。富裕層の相続税対策ニーズに対応しており、販売単価約3~8億円、販売利回り約4~6%で、1棟販売をしている。開発実績としては、「LEGALAND恵比寿annex」「LEGALAND白金高輪」など、東京都心エリアに87棟、大阪エリアに8棟、合計95棟(2022年7月末現在の開発物件を含む)がある。2022年7月期は9件販売し堅調である。
不動産ソリューション事業の業績は、セグメント業績を開示し始めた2017年7月期から2020年7月期まで右肩上がりで推移してきた。2021年7月期からはコロナ禍によるマイナス影響が出始め、2022年7月期にもインバウンド向け大型開発案件の処分により大幅な損失を余儀なくされた。本来はセグメント利益率で10%前後を維持する収益性の高い事業である。2023年7月期以降は、強みである住居系案件に注力し業績の回復を計画している。
3. 不動産賃貸事業
不動産賃貸事業は、同社保有の収益不動産や、販売に至るまでの所有不動産からの賃貸収入の確保を収益としている。ソリューション力を生かした効率の良い運用、情報を生かした仕入による良質な資産、不動産開発のノウハウを駆使した幅広い用途への投資などが同社の強みである。2022年7月末の保有物件は「カラーズ帝塚山東(マンション)」「オーズ玉造(マンション)」「LEGALIE 日本橋東(民泊マンション)」「LEGASTA 祇園白川(ホテル)」などがある。保有物件の種別ポートフォリオは、主体となるマンションが9件、そのほかに事務所ビル(1件)とホテル(3件)がある。2021年7月期から戦略的に売却を積極化しているため、保有数は減少した。
また、ファシリティマネジメント事業(FM事業)とプロパティマネジメント事業(PM事業)も行っている。FM事業では、不動産賃貸事業における賃料の増収や稼働率の向上をテーマとして、同社保有物件の退去時の立会いや原状回復工事、リノベーション工事、補修工事などを行っている。PM事業では、2021年7月期よりPM(プロパティマネジメント)分野の拡充を目指し、専門部門を立ち上げた。2022年7月期は順調に管理受託件数を伸ばしており、売却後のLEGALANDも管理受託を行うことで不動産ソリューション事業との好循環が生まれている。2022年7月期のPM事業での管理受託件数は9件(前期は1件)に増加した。2023年7月期以降は自社開発物件を中心に21件の管理業務を受注予定であり、今後の成長が期待できる。
不動産賃貸事業の業績は、セグメント業績を開示し始めた2017年7月期から2019年7月期まで堅調に推移してきたが、コロナ禍に入ってからは保有不動産を売却し財務体質を強化する戦略に転換している。そのため、売上高、セグメント利益ともに減少している。利益率は15.4%(2022年7月期)であり、3事業のなかでは最も高い。
4. その他事業
その他事業は、不動産コンサルティング事業を行っている。不動産コンサルティング事業は同社創業以来の事業で、法的側面から生じる弁護士からの民事訴訟案件や金融機関等からのローン延長案件に対して、任意売却の仲介及びコンサルティング等、課題解決法を提案してきた。不動産の専門家として、債務者への買主仲介から関係各所との交渉、別除権者(破産手続や民事再生手続に左右されずに実定法上の担保権の対象となる財産等を処分することで、回収する権利を有する担保権者)との接触、配分案作成、不動産の調査や価格査定、権利譲渡、リーシング、入札、場合によっては同社での買い取りなど、顧客のニーズに合わせた多様なサービスを展開している。現在では、法的案件整理以外でも、同社が培った不動産コンサルティングのノウハウを生かして、様々な場面で課題解決法を提案している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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1. 不動産市場の概況
(一財)日本不動産研究所「第46回不動産投資家調査」(2022年4月)においては、「今後1年間の投資に対する考え方」に対する回答のうち94%(前年同期も94%)が「新規投資を積極的に行う」と回答している。不動産投資家の積極的な投資姿勢はコロナ禍において一時若干低下したものの依然として積極的であることがわかる。リーマンショック時(2009年4月調査)にはこの指標は45%程度まで下落したが、当時と比較して変化は軽微であり、継続的な金融緩和に支えられながら高水準を維持したことがわかる。
投資家の市場に対する見通しは、対象物件によって温度差がある。2022年4月時点で、不動産投資家128名にアセットごとの市場見通しを聞いた調査では、物流施設やレジデンシャルが相対的に高く(ポジティブ、ややポジティブの回答の合計を指標とした)、商業施設及び宿泊施設が相対的に低い。レジデンシャルを主力としている同社にとっては有利な環境と言えるだろう。また、同社では関西圏でホテルを保有しているが、2022年から2023年にかけて指標は上昇傾向であり、出口戦略を考えやすくなってきている。
2. 不動産ソリューション事業
不動産ソリューション事業は、同社の主力事業である。様々なソースの物件情報から不動産を仕入れて最適なバリューアップを実施して資産価値を高めたうえで、個人富裕層や資産保有目的の事業法人に対して、個々の顧客ニーズに即した物件を販売している。販売する収益不動産は、独自の営業ルートにより仕入れた物件を建物管理状態の改善、用途変更、テナントの入れ替え、大規模修繕等を施すことによって、資産価値の向上を図っている。すなわち、土地有効活用、住宅(マンション)開発、オフィス・ホテル・民泊マンション等の商業開発、コンバージョン(既存の建物の用途変更を行って全面的に改装して全く新たな建物として再生させること)及びリノベーション(既存の建物に対して大規模な改装工事を行うことで建物を新築の状態にまで美しくして価値を高めること)等によってバリューアップを図り、売却をしている。
同社の主力商品は低層賃貸マンションシリーズ「LEGALAND」である。敷地面積30~200坪程度、総戸数10~35戸であり、狭小な敷地面積や地域特有の制限下でも開発可能な少人数世帯向け賃貸マンションである。外観・ディテールにこだわり、地下フロアの設置、エレベーターや梁・柱をなくすなど企画開発ノウハウを詰め込んだ設計構造が特徴である。富裕層の相続税対策ニーズに対応しており、販売単価約3~8億円、販売利回り約4~6%で、1棟販売をしている。開発実績としては、「LEGALAND恵比寿annex」「LEGALAND白金高輪」など、東京都心エリアに87棟、大阪エリアに8棟、合計95棟(2022年7月末現在の開発物件を含む)がある。2022年7月期は9件販売し堅調である。
不動産ソリューション事業の業績は、セグメント業績を開示し始めた2017年7月期から2020年7月期まで右肩上がりで推移してきた。2021年7月期からはコロナ禍によるマイナス影響が出始め、2022年7月期にもインバウンド向け大型開発案件の処分により大幅な損失を余儀なくされた。本来はセグメント利益率で10%前後を維持する収益性の高い事業である。2023年7月期以降は、強みである住居系案件に注力し業績の回復を計画している。
3. 不動産賃貸事業
不動産賃貸事業は、同社保有の収益不動産や、販売に至るまでの所有不動産からの賃貸収入の確保を収益としている。ソリューション力を生かした効率の良い運用、情報を生かした仕入による良質な資産、不動産開発のノウハウを駆使した幅広い用途への投資などが同社の強みである。2022年7月末の保有物件は「カラーズ帝塚山東(マンション)」「オーズ玉造(マンション)」「LEGALIE 日本橋東(民泊マンション)」「LEGASTA 祇園白川(ホテル)」などがある。保有物件の種別ポートフォリオは、主体となるマンションが9件、そのほかに事務所ビル(1件)とホテル(3件)がある。2021年7月期から戦略的に売却を積極化しているため、保有数は減少した。
また、ファシリティマネジメント事業(FM事業)とプロパティマネジメント事業(PM事業)も行っている。FM事業では、不動産賃貸事業における賃料の増収や稼働率の向上をテーマとして、同社保有物件の退去時の立会いや原状回復工事、リノベーション工事、補修工事などを行っている。PM事業では、2021年7月期よりPM(プロパティマネジメント)分野の拡充を目指し、専門部門を立ち上げた。2022年7月期は順調に管理受託件数を伸ばしており、売却後のLEGALANDも管理受託を行うことで不動産ソリューション事業との好循環が生まれている。2022年7月期のPM事業での管理受託件数は9件(前期は1件)に増加した。2023年7月期以降は自社開発物件を中心に21件の管理業務を受注予定であり、今後の成長が期待できる。
不動産賃貸事業の業績は、セグメント業績を開示し始めた2017年7月期から2019年7月期まで堅調に推移してきたが、コロナ禍に入ってからは保有不動産を売却し財務体質を強化する戦略に転換している。そのため、売上高、セグメント利益ともに減少している。利益率は15.4%(2022年7月期)であり、3事業のなかでは最も高い。
4. その他事業
その他事業は、不動産コンサルティング事業を行っている。不動産コンサルティング事業は同社創業以来の事業で、法的側面から生じる弁護士からの民事訴訟案件や金融機関等からのローン延長案件に対して、任意売却の仲介及びコンサルティング等、課題解決法を提案してきた。不動産の専門家として、債務者への買主仲介から関係各所との交渉、別除権者(破産手続や民事再生手続に左右されずに実定法上の担保権の対象となる財産等を処分することで、回収する権利を有する担保権者)との接触、配分案作成、不動産の調査や価格査定、権利譲渡、リーシング、入札、場合によっては同社での買い取りなど、顧客のニーズに合わせた多様なサービスを展開している。現在では、法的案件整理以外でも、同社が培った不動産コンサルティングのノウハウを生かして、様々な場面で課題解決法を提案している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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