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ファーマF Research Memo(8):2022年7月期は増収も、中期経営計画達成に向けた積極投資により減益(2)
配信日時:2022/10/28 15:48
配信元:FISCO
■業績動向
2. セグメント別動向
(1) BtoB事業
BtoB事業の売上高は前期比183.3%増の8,079百万円、セグメント利益は同115.6%増の1,660百万円となった。明治薬品のCMO事業が堅調に推移し、売上及び利益に貢献した結果、大幅な増収増益となった。なお、ファーマフーズ<2929>は機能性原料販売から最終製品販売へと注力分野をシフトしている。
機能性素材の販売のうち、主力の「ファーマギャバ(R)」の売上高は前期比5.8%減の1,271百万円となった。海外市場は同3.4%減の589百万円となったものの、主力市場である北米(同10.0%増)及び中国(同100.0%増)で増収を確保した。一方、国内市場は同7.7%減の681百万円となった。機能性表示食品制度における「GABA」届出件数は2022年7月末時点で716件(同社調べ)と引き続きトップの採用実績を維持しており、食品メーカーによる「GABA」の採用拡大が継続している。「ボーンペップ(R)」は特に海外の乳業メーカーでの採用が進み、20社以上で採用されているものの、売上高は同29.0%減の176百万円となった。
OEM事業の売上高は前期比15.4%減の625百万円となった。国内を中心にヘルスケア企業向けダイエット食品、健康飲料が堅調に推移したものの、コンビニエンスストア向けパウチゼリー等の受注が想定より後ろ倒しとなった。同事業では、独自の素材を中心にエビデンスのある原料を組み合わせて提案しており、引き続き国内外でプロジェクトを進めている。
新規事業である越境ECの売上高は300百万円となった。「Tmall Global(天猫国際)」等のECプラットフォームや現地代理店向け販売が増加した。
新規の製造・販売チャネルでは、明治薬品が手掛ける医薬品受託の「CMO事業」の売上高が3,642百万円、機能性食品・医薬品等のドラッグストアチャネル等での販売を行う「CHC事業」の売上高が1,801百万円となった。CMO事業については、受注増加に伴い稼働率が60%から105%に上昇した。また、人件費や原材料費の高騰に対しては、受注価格への転嫁が完了した。
(2) BtoC事業
BtoC事業の売上高は前期比19.2%増の51,886百万円、セグメント利益は同88.6%減の638百万円となった。四半期として過去最高のセグメント売上を達成するなど、成長トレンドが継続した。一方、定期顧客のさらなる獲得を目指し、広告宣伝費35,608百万円(同43.2%増)を計上したことにより、セグメント利益は大幅な減益となった。
2022年7月期第3四半期以降、顧客獲得効率指標のCPO及び収益性指標のLTVを重視しながらも、新商品へ積極的に広告宣伝投資を行った結果、2022年7月末時点の定期顧客件数は1,001,356件(前期末は773,844件)となり、100万件を突破した。この基盤がもたらすリピート購入により、「利益回収の早期化」及び「利益水準の上昇」が続いている。なお、今後は売上やCPO、LTVの動向を見ながら広告宣伝費を流動的にコントロールすることで、広告宣伝費負担リスクの低減を図る方針だ。
アイテム別売上高については、主力の「ニューモ(R)育毛剤」を支える新商品が着実に成長した。「ニューモ(R)育毛剤」の売上高は27,967百万円、累計出荷件数は1,500万本突破(2022年7月23日時点)と好調に推移した。また、引き続き「ニューモ(R)育毛剤」顧客へのクロスセルに注力した結果、「ニューモ(R)サプリ」の売上高は2,724百万円、「ニューモ(R)Vactoryシャンプー」の売上高は714百万円となった。「ニューモ(R)」ブランドの水平展開の取り組みとしては、まつ毛美容液「まつ毛デラックス WMOA」の広告宣伝を推進したことにより、売上高は2,794百万円となった。このほか、メガネ型拡大鏡「PFI博士ルーペ(R)」購入顧客に対し、ロート製薬のアイケアサプリメント「ロートV5粒アクトビジョン」のクロスセルを実施した結果、売上高は1,149百万円となった。明治薬品の「シボラナイト(R)GOLD」の売上高は3,194百万円、定期顧客件数は209,379件と好調に推移した。インターネットメディア中心に利用者が急増しており、受注好調による製造ラインのひっ迫により、予約販売を継続している。「ヘアボーテ(R) エクラ ボタニカルエアカラーフォーム」の売上高は3,332百万円、CPOを重視した新規顧客獲得により、定期顧客件数は48,241件(2022年7月末時点)となった。なお、これらの受注増加及び定期顧客件数増加に対し、明治薬品内に100ブース規模のコールセンター施設を新たに整備し、受注機能を強化する投資を継続した。
(3) バイオメディカル事業
バイオメディカル事業の売上高は前期比41.3%減の220百万円、セグメント損失は231百万円(前期は81百万円の利益)となった。前期は田辺三菱製薬との共同研究及びライセンス供与契約に基づく一時金収入を売上計上していたが、2022年7月期では売上計上がなかった。
トピックスとしては、あらゆる疾患を標的とした次世代抗体医薬品候補となり得るリード抗体の作製を開始した。本研究開発は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和3年度「次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業(国際競争力のある次世代抗体医薬品製造技術開発)」として5年間の選定を受けている。また、AI・バイオインフォマティクス専任チームを立ち上げ、AIによる選抜・最適化によってベストな抗体を最短で見出す取り組みを行っている。
3. 財務状況
2022年7月期末の資産合計は前期末比10,214百万円増加し31,159百万円となった。これは主に、BtoC事業の販売拡大等により受取手形及び売掛金が1,786百万円、商品及び製品が2,045百万円、明治薬品の子会社化に伴い有形固定資産が2,929百万円、ロート製薬及び三洋化成工業との資本業務提携に伴う株式取得により投資有価証券が1,236百万円それぞれ増加したこと等による。負債合計は同11,606百万円増加し24,084百万円となった。これは主に、広告宣伝費の増加等により未払金が793百万円、コミットメントライン契約に基づく借入実行により短期借入金が12,900百万円それぞれ増加した一方で、未払法人税が1,565百万円減少したこと等による。純資産合計は親会社株主に帰属する当期純損失の計上や利益剰余金の配当などにより、同1,391百万円減少し7,074百万円となった。この結果、自己資本比率は同17.7ポイント低下し22.7%となった。
売上高の急拡大に伴いバランスシート全体が膨張し、自己資本比率の低下が続いているものの、積極的な広告宣伝投資により「利益回収の早期化」と「利益水準の上昇」を継続している。また、有利子負債の増加も利益圧迫要因となっていない。これらのことから、財務の健全性に懸念材料はないと弊社では判断している。なお、2022年9月に同社は、メインバンクである京都銀行<8369>及び地方銀行5行による総額76億円(契約期間3年)のコミットメントライン契約を締結した。これは、同社の創薬、機能性素材の研究開発及び通信販売事業に対するこれまでの実績が評価されたことに加え、ヘルスケア領域の拡大を目指す中期経営計画の実現性が高く評価されたことによるものであると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<NS>
2. セグメント別動向
(1) BtoB事業
BtoB事業の売上高は前期比183.3%増の8,079百万円、セグメント利益は同115.6%増の1,660百万円となった。明治薬品のCMO事業が堅調に推移し、売上及び利益に貢献した結果、大幅な増収増益となった。なお、ファーマフーズ<2929>は機能性原料販売から最終製品販売へと注力分野をシフトしている。
機能性素材の販売のうち、主力の「ファーマギャバ(R)」の売上高は前期比5.8%減の1,271百万円となった。海外市場は同3.4%減の589百万円となったものの、主力市場である北米(同10.0%増)及び中国(同100.0%増)で増収を確保した。一方、国内市場は同7.7%減の681百万円となった。機能性表示食品制度における「GABA」届出件数は2022年7月末時点で716件(同社調べ)と引き続きトップの採用実績を維持しており、食品メーカーによる「GABA」の採用拡大が継続している。「ボーンペップ(R)」は特に海外の乳業メーカーでの採用が進み、20社以上で採用されているものの、売上高は同29.0%減の176百万円となった。
OEM事業の売上高は前期比15.4%減の625百万円となった。国内を中心にヘルスケア企業向けダイエット食品、健康飲料が堅調に推移したものの、コンビニエンスストア向けパウチゼリー等の受注が想定より後ろ倒しとなった。同事業では、独自の素材を中心にエビデンスのある原料を組み合わせて提案しており、引き続き国内外でプロジェクトを進めている。
新規事業である越境ECの売上高は300百万円となった。「Tmall Global(天猫国際)」等のECプラットフォームや現地代理店向け販売が増加した。
新規の製造・販売チャネルでは、明治薬品が手掛ける医薬品受託の「CMO事業」の売上高が3,642百万円、機能性食品・医薬品等のドラッグストアチャネル等での販売を行う「CHC事業」の売上高が1,801百万円となった。CMO事業については、受注増加に伴い稼働率が60%から105%に上昇した。また、人件費や原材料費の高騰に対しては、受注価格への転嫁が完了した。
(2) BtoC事業
BtoC事業の売上高は前期比19.2%増の51,886百万円、セグメント利益は同88.6%減の638百万円となった。四半期として過去最高のセグメント売上を達成するなど、成長トレンドが継続した。一方、定期顧客のさらなる獲得を目指し、広告宣伝費35,608百万円(同43.2%増)を計上したことにより、セグメント利益は大幅な減益となった。
2022年7月期第3四半期以降、顧客獲得効率指標のCPO及び収益性指標のLTVを重視しながらも、新商品へ積極的に広告宣伝投資を行った結果、2022年7月末時点の定期顧客件数は1,001,356件(前期末は773,844件)となり、100万件を突破した。この基盤がもたらすリピート購入により、「利益回収の早期化」及び「利益水準の上昇」が続いている。なお、今後は売上やCPO、LTVの動向を見ながら広告宣伝費を流動的にコントロールすることで、広告宣伝費負担リスクの低減を図る方針だ。
アイテム別売上高については、主力の「ニューモ(R)育毛剤」を支える新商品が着実に成長した。「ニューモ(R)育毛剤」の売上高は27,967百万円、累計出荷件数は1,500万本突破(2022年7月23日時点)と好調に推移した。また、引き続き「ニューモ(R)育毛剤」顧客へのクロスセルに注力した結果、「ニューモ(R)サプリ」の売上高は2,724百万円、「ニューモ(R)Vactoryシャンプー」の売上高は714百万円となった。「ニューモ(R)」ブランドの水平展開の取り組みとしては、まつ毛美容液「まつ毛デラックス WMOA」の広告宣伝を推進したことにより、売上高は2,794百万円となった。このほか、メガネ型拡大鏡「PFI博士ルーペ(R)」購入顧客に対し、ロート製薬のアイケアサプリメント「ロートV5粒アクトビジョン」のクロスセルを実施した結果、売上高は1,149百万円となった。明治薬品の「シボラナイト(R)GOLD」の売上高は3,194百万円、定期顧客件数は209,379件と好調に推移した。インターネットメディア中心に利用者が急増しており、受注好調による製造ラインのひっ迫により、予約販売を継続している。「ヘアボーテ(R) エクラ ボタニカルエアカラーフォーム」の売上高は3,332百万円、CPOを重視した新規顧客獲得により、定期顧客件数は48,241件(2022年7月末時点)となった。なお、これらの受注増加及び定期顧客件数増加に対し、明治薬品内に100ブース規模のコールセンター施設を新たに整備し、受注機能を強化する投資を継続した。
(3) バイオメディカル事業
バイオメディカル事業の売上高は前期比41.3%減の220百万円、セグメント損失は231百万円(前期は81百万円の利益)となった。前期は田辺三菱製薬との共同研究及びライセンス供与契約に基づく一時金収入を売上計上していたが、2022年7月期では売上計上がなかった。
トピックスとしては、あらゆる疾患を標的とした次世代抗体医薬品候補となり得るリード抗体の作製を開始した。本研究開発は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和3年度「次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業(国際競争力のある次世代抗体医薬品製造技術開発)」として5年間の選定を受けている。また、AI・バイオインフォマティクス専任チームを立ち上げ、AIによる選抜・最適化によってベストな抗体を最短で見出す取り組みを行っている。
3. 財務状況
2022年7月期末の資産合計は前期末比10,214百万円増加し31,159百万円となった。これは主に、BtoC事業の販売拡大等により受取手形及び売掛金が1,786百万円、商品及び製品が2,045百万円、明治薬品の子会社化に伴い有形固定資産が2,929百万円、ロート製薬及び三洋化成工業との資本業務提携に伴う株式取得により投資有価証券が1,236百万円それぞれ増加したこと等による。負債合計は同11,606百万円増加し24,084百万円となった。これは主に、広告宣伝費の増加等により未払金が793百万円、コミットメントライン契約に基づく借入実行により短期借入金が12,900百万円それぞれ増加した一方で、未払法人税が1,565百万円減少したこと等による。純資産合計は親会社株主に帰属する当期純損失の計上や利益剰余金の配当などにより、同1,391百万円減少し7,074百万円となった。この結果、自己資本比率は同17.7ポイント低下し22.7%となった。
売上高の急拡大に伴いバランスシート全体が膨張し、自己資本比率の低下が続いているものの、積極的な広告宣伝投資により「利益回収の早期化」と「利益水準の上昇」を継続している。また、有利子負債の増加も利益圧迫要因となっていない。これらのことから、財務の健全性に懸念材料はないと弊社では判断している。なお、2022年9月に同社は、メインバンクである京都銀行<8369>及び地方銀行5行による総額76億円(契約期間3年)のコミットメントライン契約を締結した。これは、同社の創薬、機能性素材の研究開発及び通信販売事業に対するこれまでの実績が評価されたことに加え、ヘルスケア領域の拡大を目指す中期経営計画の実現性が高く評価されたことによるものであると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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