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RSテクノ Research Memo(7):円安効果もあり2022年12月期業績は再上方修正の可能性あり
配信日時:2022/10/03 17:17
配信元:FISCO
■今後の見通し
1. 2022年12月期業績の見通し
RS Technologies<3445>の2022年12月期の連結業績は、売上高で前期比30.0%増の45,000百万円、営業利益で同52.7%増の10,500百万円、経常利益で同41.5%増の12,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同87.6%増の6,200百万円と期初計画を上方修正した。第2四半期までの業績上振れ分に加えて、下期の為替前提レート※を見直したことが主因となっている。通期計画に対する第2四半期までの進捗率を見ると、売上高で53.8%、営業利益で57.6%となっており、下期は収益がやや落ち込む見通しとなっているが、これはウクライナ情勢の混迷やエネルギー価格の上昇、コロナ禍の長期化などにより、景気の先行き不透明感が強まるなかで保守的に計画を見直したことが要因だ。
※為替前提レートは期初計画(110円/USD、17円/RMB、3.8円/NTD)に対して、125円/USD、19円/RMB、4.3円/NTDに見直している。
ただ、9月上旬までの受注状況はウェーハ再生事業、プライムウェーハ事業ともに好調を持続しており、先行きに関してもマイナスの話は出てきていないようだ。為替水準も前提レートより円安に進んでいることを考慮すれば、少なくとも第3四半期は第2四半期(売上高13,125百万円、営業利益3,433百万円)に近い収益水準が続くものと予想され、通期計画についても上振れする可能性が高いと弊社では見ている。なお、営業外収支については通期で20億円のプラスと2021年12月期並みの水準を見込んでいる。補助金収入は約10億円と前期比8億円の減少を想定しているものの、為替差益の計上(第2四半期累計で809百万円)で相殺する格好となる。為替変動による業績への影響額については従来、1円/USDの円安で年間20~30百万円の増益要因としていたが、海外子会社の収益が成長していることもあり、影響額はもう少し大きくなっているものと思われる。
なお、半導体業界ではマイクロン・テクノロジーやNvidiaが業績見通しを引き下げるなど、短期的に調整局面に入ったと見られている。こうしたなかで、ウェーハ再生事業についてほとんど影響が出ていないのは、再生ウェーハの需要が半導体生産量に連動するわけではなく、半導体の生産量が落ちたとしてもモニター用ウェーハの需要は底堅く推移するためだ。例えば、半導体工場の稼働率を100%から70%に落とした場合、プライムウェーハの投入量は30%減少するが、モニター用ウェーハの投入量は5%程度の減少にとどまる。稼働率低下時に半導体メーカーは、歩留まり向上を目的とした様々な検査を行っており、そのためのモニター用ウェーハが必要となるためである。実際、過去20年間で半導体市場の調整局面は何度か訪れたが、再生ウェーハの需要が明確に落ち込んだのは2008年秋から2009年にかけてのリーマン・ショックの時だけである。当時、半導体業界が不況に陥り、大手メーカーが生産工場を相次いで閉鎖したことが再生ウェーハの需要減少につながった。つまり、半導体工場が相次いで閉鎖するような状況まで半導体市場が悪化しない限りは、再生ウェーハの需要は堅調に推移すると見ることができる。また、再生ウェーハ業界が日系3社、台湾系3社で市場の約9割を握る寡占市場になっており、販売価格の値崩れが起きにくい市場環境であることも不況抵抗力が強い要因になっていると考えられる。弊社では今回、半導体市場が調整局面に入ったとしても底は浅いものと考えており、下期もウェーハ再生事業は堅調に推移する可能性が高いと見ている。
一方、プライムウェーハ事業については6インチや8インチウェーハの顧客が中国系半導体メーカーとなっており、これら顧客の生産動向に影響を受けると見られるが、現時点でも引き合いは旺盛で繁忙状況が続いている。プライムウェーハについては、市場シェアがまだ低いこともあり、業界全体の動きとは必ずしも連動していないためと考えられる。また、8インチについては現在約75%の製品認定取得率を年末までに100%近くまで引き上げることで、プロダクトミックスの改善効果が期待される。現在、月産10万枚のうち約75%はプライム用として出荷しているが、残り25%は単価が3割程度低いモニター用として出荷している。プライム用途の比率を引き上げることで売上拡大と収益性の向上が見込まれる。
そのほか、半導体製造装置用消耗部材を手掛けるDG Technologiesについては、一貫生産工場を2022年6月に竣工したことで生産能力が拡大しており、売上高は前期比20~30%増と期初計画どおりとなる見通しだ。一方、営業利益率については前期の1ケタ台前半から1ケタ台後半に引き上げる計画であったが、前期並みの水準に留まる公算が大きい。材料となるシリコンの仕入価格が円安の影響で上昇しているためだ。製品価格への転嫁を進めているもののタイムラグが生じるため、値上げ効果は2023年12月期以降に顕在化するものと見られる。また、新工場では最新鋭の自動加工設備を導入しており、生産性の向上が期待される。同社では生産能力を段階的に増強しながら約2倍に拡大する計画となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SI>
1. 2022年12月期業績の見通し
RS Technologies<3445>の2022年12月期の連結業績は、売上高で前期比30.0%増の45,000百万円、営業利益で同52.7%増の10,500百万円、経常利益で同41.5%増の12,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同87.6%増の6,200百万円と期初計画を上方修正した。第2四半期までの業績上振れ分に加えて、下期の為替前提レート※を見直したことが主因となっている。通期計画に対する第2四半期までの進捗率を見ると、売上高で53.8%、営業利益で57.6%となっており、下期は収益がやや落ち込む見通しとなっているが、これはウクライナ情勢の混迷やエネルギー価格の上昇、コロナ禍の長期化などにより、景気の先行き不透明感が強まるなかで保守的に計画を見直したことが要因だ。
※為替前提レートは期初計画(110円/USD、17円/RMB、3.8円/NTD)に対して、125円/USD、19円/RMB、4.3円/NTDに見直している。
ただ、9月上旬までの受注状況はウェーハ再生事業、プライムウェーハ事業ともに好調を持続しており、先行きに関してもマイナスの話は出てきていないようだ。為替水準も前提レートより円安に進んでいることを考慮すれば、少なくとも第3四半期は第2四半期(売上高13,125百万円、営業利益3,433百万円)に近い収益水準が続くものと予想され、通期計画についても上振れする可能性が高いと弊社では見ている。なお、営業外収支については通期で20億円のプラスと2021年12月期並みの水準を見込んでいる。補助金収入は約10億円と前期比8億円の減少を想定しているものの、為替差益の計上(第2四半期累計で809百万円)で相殺する格好となる。為替変動による業績への影響額については従来、1円/USDの円安で年間20~30百万円の増益要因としていたが、海外子会社の収益が成長していることもあり、影響額はもう少し大きくなっているものと思われる。
なお、半導体業界ではマイクロン・テクノロジーやNvidiaが業績見通しを引き下げるなど、短期的に調整局面に入ったと見られている。こうしたなかで、ウェーハ再生事業についてほとんど影響が出ていないのは、再生ウェーハの需要が半導体生産量に連動するわけではなく、半導体の生産量が落ちたとしてもモニター用ウェーハの需要は底堅く推移するためだ。例えば、半導体工場の稼働率を100%から70%に落とした場合、プライムウェーハの投入量は30%減少するが、モニター用ウェーハの投入量は5%程度の減少にとどまる。稼働率低下時に半導体メーカーは、歩留まり向上を目的とした様々な検査を行っており、そのためのモニター用ウェーハが必要となるためである。実際、過去20年間で半導体市場の調整局面は何度か訪れたが、再生ウェーハの需要が明確に落ち込んだのは2008年秋から2009年にかけてのリーマン・ショックの時だけである。当時、半導体業界が不況に陥り、大手メーカーが生産工場を相次いで閉鎖したことが再生ウェーハの需要減少につながった。つまり、半導体工場が相次いで閉鎖するような状況まで半導体市場が悪化しない限りは、再生ウェーハの需要は堅調に推移すると見ることができる。また、再生ウェーハ業界が日系3社、台湾系3社で市場の約9割を握る寡占市場になっており、販売価格の値崩れが起きにくい市場環境であることも不況抵抗力が強い要因になっていると考えられる。弊社では今回、半導体市場が調整局面に入ったとしても底は浅いものと考えており、下期もウェーハ再生事業は堅調に推移する可能性が高いと見ている。
一方、プライムウェーハ事業については6インチや8インチウェーハの顧客が中国系半導体メーカーとなっており、これら顧客の生産動向に影響を受けると見られるが、現時点でも引き合いは旺盛で繁忙状況が続いている。プライムウェーハについては、市場シェアがまだ低いこともあり、業界全体の動きとは必ずしも連動していないためと考えられる。また、8インチについては現在約75%の製品認定取得率を年末までに100%近くまで引き上げることで、プロダクトミックスの改善効果が期待される。現在、月産10万枚のうち約75%はプライム用として出荷しているが、残り25%は単価が3割程度低いモニター用として出荷している。プライム用途の比率を引き上げることで売上拡大と収益性の向上が見込まれる。
そのほか、半導体製造装置用消耗部材を手掛けるDG Technologiesについては、一貫生産工場を2022年6月に竣工したことで生産能力が拡大しており、売上高は前期比20~30%増と期初計画どおりとなる見通しだ。一方、営業利益率については前期の1ケタ台前半から1ケタ台後半に引き上げる計画であったが、前期並みの水準に留まる公算が大きい。材料となるシリコンの仕入価格が円安の影響で上昇しているためだ。製品価格への転嫁を進めているもののタイムラグが生じるため、値上げ効果は2023年12月期以降に顕在化するものと見られる。また、新工場では最新鋭の自動加工設備を導入しており、生産性の向上が期待される。同社では生産能力を段階的に増強しながら約2倍に拡大する計画となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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