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品川リフラ Research Memo(8):大胆な意思決定を迅速に行えるグループ経営体制の構築へ(1)
配信日時:2022/06/30 15:28
配信元:FISCO
■品川リフラクトリーズ<5351>の中長期の成長戦略
2. 中期経営計画の新たな展開
2009年10月の合併後に打ち出した第1次と第2次中期経営計画の基本方針は、最適生産体制の構築と統合効果の実現であった。第3次中期経営計画で基盤整備と品種競争力の徹底強化を行い、第4次では“飛躍”を狙った。しかし、最終年度の2021年3月期に米中貿易摩擦の激化に加え、コロナ禍に見舞われた。第5次では、グループ各社が新製品を開発するだけでなく、グループ企業の強みを組み合わせて、環境配慮型経営に取り組む顧客のニーズに適した提案をすることで事業機会を創出する。重点施策として、国内における拡販と競争力強化、海外ビジネスの強化・拡大、新規ビジネスの探索、設備投資計画を挙げた。
事業環境の変化に俊敏に対応できるよう、大胆な意思決定を迅速に行えるグループ経営体制の構築を進める。当3ヶ年において、不定形耐火物の売上高を鉄鋼向けでは2020年3月期比25%、機械メーカーなど鉄鋼以外の業種向けでは同45%の伸長を目指す。不定形耐火物は、定形耐火物の製造工程にあるプレス・焼成・乾燥におけるエネルギー消費が不要なため省エネとなる。カーボンニュートラルを目指す企業は、取引先のCO2排出量も勘案する方向にある。高炉、電炉、セメントの既存顧客向けは、さらなるシェアアップとCO2排出量の削減に資する製品の製造設備用耐火物の拡販を図る。機械メーカー向けなどは、耐火物の不定形化に重点を置いた誘導炉、電気炉、取鍋、機能材などを伸ばす。省エネ等の材料・設計の提案、同社グループ企業間の連携強化による耐火物と断熱材の一体販売も進める。
(1) 西日本地区における不定形耐火物の生産拠点の集約と帝国窯業の吸収合併
西日本地区における不定形耐火物の生産を集約して生産性を飛躍的に向上させる。生産体制の最適化を図るため、定形耐火物の生産を岡山に集中し、不定形耐火物は赤穂、日生、帝国窯業に分散しているものを赤穂の新プラントの1ヶ所に集約する計画だ。グループ内の製造移管を円滑に行うため、2022年4月1日に帝国窯業を吸収合併した。同子会社の株式を100%所有しているため、簡易・略式合併となる。赤穂製造部第2に新設する工場には、大容量設備の導入、操業の無人化や高速化を高める。2022年3月期上期より開始した新プラントの建設は順調に進んでおり、既に建屋が完成した。2022年秋から設備の導入を開始し、2023年12月に完成後、2025年3月期上期からのフル生産を目指す。既存プラントである赤穂第1、帝国窯業と日生から新プラントへの生産移管は同時期に行い、移管後は、帝国窯業と日生の操業を停止する。西日本地区の不定形耐火物の生産体制の最適化に、3ヵ年と37億円の設備投資を費やす。生産性は1.6倍となり、国内における拡販と競争力強化に資することが期待される。
(2) 韓国に販売子会社を新設
2022年4月に、韓国の慶尚北道浦項市に100%所有の販売子会社「Shinagawa Refractories Korea Corporation (SRK)」を新設した。営業対象は韓国国内の鉄鋼・重工メーカー等になる。新子会社の所在地は、世界5位で韓国最大の鉄鋼メーカーであるPOSCOや現代製鐵、東国製鋼等の製鉄所に近接する。2社購買の推進など顧客の購買姿勢に変化が見られたため、顧客密着型の営業を展開する。同社が得意とする高炉用耐火物(出銑口閉塞材)および連続鋳造用高付加価値耐火物の拡販に注力する。
帝国窯業の吸収合併と韓国子会社の新設は、中期経営計画に予め組み込まれていた。後述するイソライト工業の完全子会社化とCompagnie de Saint-Gobain(以下、サンゴバン社)のブラジル耐火物事業(同、ブラジル事業)および米国耐摩耗性セラミックス事業(以下、米国事業)の事業譲受は、当初計画になかった新しい展開となる。
(3) イソライト工業の完全子会社化
同社のイソライト工業に対する出資率は55.3%であったが、TOB+株式売渡請求により少数株主から残りの44.7%の株式を取得し、2022年3月末に完全子会社化した。環境課題への対応等を背景に、全世界的な事業環境の大変革期が到来したことを認識し、カーボンニュートラル実現等の顧客ニーズ多様化に対応するため、同社とイソライト工業の技術を融合し、カーボンニュートラルの総合ソリューションを提供する企業を目指しており、さらに大胆な意思決定を迅速に行えるグループ経営体制の構築を進めている。同社の不定形耐火物の汎用キャスタブルは曲げ強度が強く、イソライト工業のセラミックファイバーは断熱性能に優れている。従来品より断熱性、耐熱性、耐食性、強度に優れた新しい高付加価値の複合材料を開発し、多用途へ展開する。耐火物の使用ユーザーにとって現場における高温管理は重要であり、断熱性能に優れ、熱ロスを防ぎ、省エネに寄与する製品へのニーズは強い。
海外市場においては、顧客基盤の共有や相互の製品の一体販売を拡大、及び両社の拠点における地域補完をする。耐火物と断熱材の提供可能なサービスを拡大し、需要の捕捉力を高めて事業拡大を加速する。イソライト工業が販売拠点を有していないオーストラリア及びインドネシアでは、同社の現地子会社製品とのセット販売。また、米国での販売提携先の販売網を活用し、イソライト工業の生体溶解性製品を主とした断熱材の販売活動を開始する。
イソライト工業の完全子会社化による連結業績へのインパクトは、売上高と経常利益の段階では影響がないが、親会社株主に帰属する当期純利益で10億円ほどの増加要因となることが見込まれる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<SI>
2. 中期経営計画の新たな展開
2009年10月の合併後に打ち出した第1次と第2次中期経営計画の基本方針は、最適生産体制の構築と統合効果の実現であった。第3次中期経営計画で基盤整備と品種競争力の徹底強化を行い、第4次では“飛躍”を狙った。しかし、最終年度の2021年3月期に米中貿易摩擦の激化に加え、コロナ禍に見舞われた。第5次では、グループ各社が新製品を開発するだけでなく、グループ企業の強みを組み合わせて、環境配慮型経営に取り組む顧客のニーズに適した提案をすることで事業機会を創出する。重点施策として、国内における拡販と競争力強化、海外ビジネスの強化・拡大、新規ビジネスの探索、設備投資計画を挙げた。
事業環境の変化に俊敏に対応できるよう、大胆な意思決定を迅速に行えるグループ経営体制の構築を進める。当3ヶ年において、不定形耐火物の売上高を鉄鋼向けでは2020年3月期比25%、機械メーカーなど鉄鋼以外の業種向けでは同45%の伸長を目指す。不定形耐火物は、定形耐火物の製造工程にあるプレス・焼成・乾燥におけるエネルギー消費が不要なため省エネとなる。カーボンニュートラルを目指す企業は、取引先のCO2排出量も勘案する方向にある。高炉、電炉、セメントの既存顧客向けは、さらなるシェアアップとCO2排出量の削減に資する製品の製造設備用耐火物の拡販を図る。機械メーカー向けなどは、耐火物の不定形化に重点を置いた誘導炉、電気炉、取鍋、機能材などを伸ばす。省エネ等の材料・設計の提案、同社グループ企業間の連携強化による耐火物と断熱材の一体販売も進める。
(1) 西日本地区における不定形耐火物の生産拠点の集約と帝国窯業の吸収合併
西日本地区における不定形耐火物の生産を集約して生産性を飛躍的に向上させる。生産体制の最適化を図るため、定形耐火物の生産を岡山に集中し、不定形耐火物は赤穂、日生、帝国窯業に分散しているものを赤穂の新プラントの1ヶ所に集約する計画だ。グループ内の製造移管を円滑に行うため、2022年4月1日に帝国窯業を吸収合併した。同子会社の株式を100%所有しているため、簡易・略式合併となる。赤穂製造部第2に新設する工場には、大容量設備の導入、操業の無人化や高速化を高める。2022年3月期上期より開始した新プラントの建設は順調に進んでおり、既に建屋が完成した。2022年秋から設備の導入を開始し、2023年12月に完成後、2025年3月期上期からのフル生産を目指す。既存プラントである赤穂第1、帝国窯業と日生から新プラントへの生産移管は同時期に行い、移管後は、帝国窯業と日生の操業を停止する。西日本地区の不定形耐火物の生産体制の最適化に、3ヵ年と37億円の設備投資を費やす。生産性は1.6倍となり、国内における拡販と競争力強化に資することが期待される。
(2) 韓国に販売子会社を新設
2022年4月に、韓国の慶尚北道浦項市に100%所有の販売子会社「Shinagawa Refractories Korea Corporation (SRK)」を新設した。営業対象は韓国国内の鉄鋼・重工メーカー等になる。新子会社の所在地は、世界5位で韓国最大の鉄鋼メーカーであるPOSCOや現代製鐵、東国製鋼等の製鉄所に近接する。2社購買の推進など顧客の購買姿勢に変化が見られたため、顧客密着型の営業を展開する。同社が得意とする高炉用耐火物(出銑口閉塞材)および連続鋳造用高付加価値耐火物の拡販に注力する。
帝国窯業の吸収合併と韓国子会社の新設は、中期経営計画に予め組み込まれていた。後述するイソライト工業の完全子会社化とCompagnie de Saint-Gobain(以下、サンゴバン社)のブラジル耐火物事業(同、ブラジル事業)および米国耐摩耗性セラミックス事業(以下、米国事業)の事業譲受は、当初計画になかった新しい展開となる。
(3) イソライト工業の完全子会社化
同社のイソライト工業に対する出資率は55.3%であったが、TOB+株式売渡請求により少数株主から残りの44.7%の株式を取得し、2022年3月末に完全子会社化した。環境課題への対応等を背景に、全世界的な事業環境の大変革期が到来したことを認識し、カーボンニュートラル実現等の顧客ニーズ多様化に対応するため、同社とイソライト工業の技術を融合し、カーボンニュートラルの総合ソリューションを提供する企業を目指しており、さらに大胆な意思決定を迅速に行えるグループ経営体制の構築を進めている。同社の不定形耐火物の汎用キャスタブルは曲げ強度が強く、イソライト工業のセラミックファイバーは断熱性能に優れている。従来品より断熱性、耐熱性、耐食性、強度に優れた新しい高付加価値の複合材料を開発し、多用途へ展開する。耐火物の使用ユーザーにとって現場における高温管理は重要であり、断熱性能に優れ、熱ロスを防ぎ、省エネに寄与する製品へのニーズは強い。
海外市場においては、顧客基盤の共有や相互の製品の一体販売を拡大、及び両社の拠点における地域補完をする。耐火物と断熱材の提供可能なサービスを拡大し、需要の捕捉力を高めて事業拡大を加速する。イソライト工業が販売拠点を有していないオーストラリア及びインドネシアでは、同社の現地子会社製品とのセット販売。また、米国での販売提携先の販売網を活用し、イソライト工業の生体溶解性製品を主とした断熱材の販売活動を開始する。
イソライト工業の完全子会社化による連結業績へのインパクトは、売上高と経常利益の段階では影響がないが、親会社株主に帰属する当期純利益で10億円ほどの増加要因となることが見込まれる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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