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イントラスト Research Memo(7):第2次中期経営計画では売上高1.90倍、営業利益1.74倍を目指す(1)
配信日時:2022/03/22 15:27
配信元:FISCO
■中長期の成長戦略
1. 第2次中期経営計画の概要
イントラスト<7191>の第1次中期経営計画「Zero to One」(2019年3月期〜2021年3月期)は、3年間に売上高5,000百万円(2018年3月期比1.69倍)、営業利益1,250百万円(同1.62倍)、営業利益率25.0%、配当性向30.0%超、ROE20.0%超、自己資本比率60.0%目途などを目指す計画であった。しかし、2020年からのコロナ禍による経営環境の悪化に伴い、営業利益率、配当性向、ROE、自己資本比率は目標を達成したが、売上高は達成率84.1%、営業利益は同92.0%にとどまった。コロナ禍に伴う賃貸新築着工数の減少や営業活動自粛などから、計画は1年ほど遅れる形になったものだ。ただ、従来マーケットでは、顧客がソリューションから保証へと利用チェンジし、保証事業は売上計画を達成した。また、新規マーケットでは、医療・介護施設へのアクセスが強く制限されるなか医療費用保証へのニーズが顕在化し、売上計画を上回った。その他、横浜でのソリューションセンター開設や新卒の定期採用のスタートなど、運営体制の強化も行った。このように中期経営計画で掲げた重点戦略は着実に実現しており、次期中期経営計画における一段の飛躍の足掛かりは十分に整ったと言えよう。
第1次中期経営計画の実績を受けて、現在推進中の第2次中期経営計画「Road to the higher」(2022年3月期〜2024年3月期)は、計数計画として売上高8,000百万円(2021年3月期比1.90倍)、営業利益2,000百万円(同1.74倍)、営業利益率25.0%、配当性向30~40%超、ROE20.0%超などの達成を目指す意欲的な計画である。
第2次中期経営計画では、今後3年間をホップ・ステップ・ジャンプの「ステップ」と位置付け、売上高100億円を射程内に引き寄せることを目指している。計画達成に向けた成長方針として、「従来・新規の各マーケットで両軸の成長」「ゼロ→イチの精神 新規の挑戦・育成」を確実に進める。従来マーケットの賃貸不動産分野では、新しい保証商品を投入し顧客ニーズを実現する。新規マーケットの医療・介護分野では、医療費用保証は導入期から成長期に突入したことから成長を加速する。加えて、新規の挑戦・育成では、養育費保証分野の事業育成や、新たな新保証の創造にも挑む計画だ。さらに、その他の重点施策として、投資方針では15億から20億円を目安に成長投資を計画、財務戦略ではこの3ヶ年で見込む累計営業キャッシュ・フロー25億円を成長投資と株主還元に配分、ESG(Environment、Social、Governance)/SDGsの取り組みの推進なども掲げている。このように内容が充実している中期経営計画であり、今後の進捗状況に注目したい。
2. 成長戦略
第2次中期経営計画の3年間において、各市場の成長率を上回る売上高1.90倍を目指している。この目標達成に向けて、家賃債務保証と医療費用保証の2つを成長ドライバーとする。
(1) 賃貸不動産分野の成長戦略
第1の成長ドライバーは家賃債務保証である。同社では、家賃債務保証の市場は、管理物件、保証利用率の増加傾向が続くと見ている。まず、賃貸不動産市場の状況は、1)賃貸住宅の新築着工数減が続くが、総賃貸戸数は増加する、2)世帯人口は微増の傾向である、3)民法改正以降、際立った変化はないーーなどから、賃貸物件数の増加は続くと見る。また、競争の状況については、1)家賃保証事業者は数十社程度である、2)賃貸管理会社のグループ内に保証会社も存在する、3)事業成長には特徴を持った保証提供が必要であるーーなどから、今後も家賃債務保証市場も成長すると予想する。(公財)日本賃貸住宅管理協会による「日管協短観」より算出した同社の推計では、家賃債務保証の市場規模は2021年の854万戸から2024年には940万戸へと1.1倍に拡大し、その間に保証利用率は80.6%から86.6%に上昇すると推計している。
こうした市場環境を前提に、賃貸不動産分野の成長戦略としては、成長する上位管理会社をターゲットにして、同社の強みを発揮する計画だ。すなわち、顧客ターゲットとしては、上位管理会社をターゲットに据える。大手や中堅の上位管理会社では空室率が低く、管理戸数は増加しており、結果として上位に集約の傾向が強まっているからだ。また、提供サービスとしては、顧客の課題を解決するオーダーメイド商品に注力する。同社では、クライアントの個々のニーズに応えるカスタマイズ力があることが強みであり、保証・ソリューションとも共通のインフラ基盤で運営し、継続的なDX投資を実行する計画だ。顧客満足を実現することで、同社の相対的地位の向上を目指す。
以上から、賃貸不動産分野では、売上高を2021年3月期の3,815百万円から、2024年3月期には6,400百万円へと、市場の成長率を上回る1.7倍の拡大を実現する計画だ。そのために、付加価値を求める顧客ニーズに応えるために、ソリューションから売上単価の高い保証へシフトチェンジし、売上単価の上昇を図る計画だ。ソリューションと比較して、保証はリスクを含むフルラインをサポートするため、売上単価が高いからである。また、商品選択肢の拡大と利便性の向上を目指して保証商品のバージョンアップを図り、業界での相対的地位を上昇させる考えだ。
(2) 医療分野の成長戦略
第2の成長ドライバーは医療費用保証である。医療費用保証は新市場であるが、次第にニーズは顕在化しており、コロナ禍収束後(アフターコロナ)において成長が期待できると見る。市場の状況は、1)コロナ禍で病院へのアクセス制限が続く、2)病院の未収金問題は未解決のまま残る、3)行政の病院経営の改善の方針は変わらないーーなどから、成長余地が大きいと考える。改正民法で連帯保証人に対して極度額の明示が義務化された結果、医療機関の医療費未収金が蓄積している。そこで、同社では医療費用保証により、連帯保証人の確保や医療機関の未収金問題を解決する役割を担う。また、競争の状況は、1)競合のプレイヤーは少ない、2)同社が創出した市場であり先行ノウハウの蓄積が進むーーなど、同社が優位にある。
同社は、中期経営計画期間中に医療分野の売上高を4倍、マーケットシェア1.3%から5.3%への拡大を計画している。目標達成のための成長戦略として、事業連携強化による成長の加速を計画する。病院負担型保証「スマホス」では、損保会社と提携し、医療機関に保証を提供する。また、患者負担型保証・入院セットでは、リネン事業者と提携し、入院セットとして提供を行う予定である。医療費用保証のフロントランナーとして、絶えず品質の高い商品提供の実現を目指す方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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1. 第2次中期経営計画の概要
イントラスト<7191>の第1次中期経営計画「Zero to One」(2019年3月期〜2021年3月期)は、3年間に売上高5,000百万円(2018年3月期比1.69倍)、営業利益1,250百万円(同1.62倍)、営業利益率25.0%、配当性向30.0%超、ROE20.0%超、自己資本比率60.0%目途などを目指す計画であった。しかし、2020年からのコロナ禍による経営環境の悪化に伴い、営業利益率、配当性向、ROE、自己資本比率は目標を達成したが、売上高は達成率84.1%、営業利益は同92.0%にとどまった。コロナ禍に伴う賃貸新築着工数の減少や営業活動自粛などから、計画は1年ほど遅れる形になったものだ。ただ、従来マーケットでは、顧客がソリューションから保証へと利用チェンジし、保証事業は売上計画を達成した。また、新規マーケットでは、医療・介護施設へのアクセスが強く制限されるなか医療費用保証へのニーズが顕在化し、売上計画を上回った。その他、横浜でのソリューションセンター開設や新卒の定期採用のスタートなど、運営体制の強化も行った。このように中期経営計画で掲げた重点戦略は着実に実現しており、次期中期経営計画における一段の飛躍の足掛かりは十分に整ったと言えよう。
第1次中期経営計画の実績を受けて、現在推進中の第2次中期経営計画「Road to the higher」(2022年3月期〜2024年3月期)は、計数計画として売上高8,000百万円(2021年3月期比1.90倍)、営業利益2,000百万円(同1.74倍)、営業利益率25.0%、配当性向30~40%超、ROE20.0%超などの達成を目指す意欲的な計画である。
第2次中期経営計画では、今後3年間をホップ・ステップ・ジャンプの「ステップ」と位置付け、売上高100億円を射程内に引き寄せることを目指している。計画達成に向けた成長方針として、「従来・新規の各マーケットで両軸の成長」「ゼロ→イチの精神 新規の挑戦・育成」を確実に進める。従来マーケットの賃貸不動産分野では、新しい保証商品を投入し顧客ニーズを実現する。新規マーケットの医療・介護分野では、医療費用保証は導入期から成長期に突入したことから成長を加速する。加えて、新規の挑戦・育成では、養育費保証分野の事業育成や、新たな新保証の創造にも挑む計画だ。さらに、その他の重点施策として、投資方針では15億から20億円を目安に成長投資を計画、財務戦略ではこの3ヶ年で見込む累計営業キャッシュ・フロー25億円を成長投資と株主還元に配分、ESG(Environment、Social、Governance)/SDGsの取り組みの推進なども掲げている。このように内容が充実している中期経営計画であり、今後の進捗状況に注目したい。
2. 成長戦略
第2次中期経営計画の3年間において、各市場の成長率を上回る売上高1.90倍を目指している。この目標達成に向けて、家賃債務保証と医療費用保証の2つを成長ドライバーとする。
(1) 賃貸不動産分野の成長戦略
第1の成長ドライバーは家賃債務保証である。同社では、家賃債務保証の市場は、管理物件、保証利用率の増加傾向が続くと見ている。まず、賃貸不動産市場の状況は、1)賃貸住宅の新築着工数減が続くが、総賃貸戸数は増加する、2)世帯人口は微増の傾向である、3)民法改正以降、際立った変化はないーーなどから、賃貸物件数の増加は続くと見る。また、競争の状況については、1)家賃保証事業者は数十社程度である、2)賃貸管理会社のグループ内に保証会社も存在する、3)事業成長には特徴を持った保証提供が必要であるーーなどから、今後も家賃債務保証市場も成長すると予想する。(公財)日本賃貸住宅管理協会による「日管協短観」より算出した同社の推計では、家賃債務保証の市場規模は2021年の854万戸から2024年には940万戸へと1.1倍に拡大し、その間に保証利用率は80.6%から86.6%に上昇すると推計している。
こうした市場環境を前提に、賃貸不動産分野の成長戦略としては、成長する上位管理会社をターゲットにして、同社の強みを発揮する計画だ。すなわち、顧客ターゲットとしては、上位管理会社をターゲットに据える。大手や中堅の上位管理会社では空室率が低く、管理戸数は増加しており、結果として上位に集約の傾向が強まっているからだ。また、提供サービスとしては、顧客の課題を解決するオーダーメイド商品に注力する。同社では、クライアントの個々のニーズに応えるカスタマイズ力があることが強みであり、保証・ソリューションとも共通のインフラ基盤で運営し、継続的なDX投資を実行する計画だ。顧客満足を実現することで、同社の相対的地位の向上を目指す。
以上から、賃貸不動産分野では、売上高を2021年3月期の3,815百万円から、2024年3月期には6,400百万円へと、市場の成長率を上回る1.7倍の拡大を実現する計画だ。そのために、付加価値を求める顧客ニーズに応えるために、ソリューションから売上単価の高い保証へシフトチェンジし、売上単価の上昇を図る計画だ。ソリューションと比較して、保証はリスクを含むフルラインをサポートするため、売上単価が高いからである。また、商品選択肢の拡大と利便性の向上を目指して保証商品のバージョンアップを図り、業界での相対的地位を上昇させる考えだ。
(2) 医療分野の成長戦略
第2の成長ドライバーは医療費用保証である。医療費用保証は新市場であるが、次第にニーズは顕在化しており、コロナ禍収束後(アフターコロナ)において成長が期待できると見る。市場の状況は、1)コロナ禍で病院へのアクセス制限が続く、2)病院の未収金問題は未解決のまま残る、3)行政の病院経営の改善の方針は変わらないーーなどから、成長余地が大きいと考える。改正民法で連帯保証人に対して極度額の明示が義務化された結果、医療機関の医療費未収金が蓄積している。そこで、同社では医療費用保証により、連帯保証人の確保や医療機関の未収金問題を解決する役割を担う。また、競争の状況は、1)競合のプレイヤーは少ない、2)同社が創出した市場であり先行ノウハウの蓄積が進むーーなど、同社が優位にある。
同社は、中期経営計画期間中に医療分野の売上高を4倍、マーケットシェア1.3%から5.3%への拡大を計画している。目標達成のための成長戦略として、事業連携強化による成長の加速を計画する。病院負担型保証「スマホス」では、損保会社と提携し、医療機関に保証を提供する。また、患者負担型保証・入院セットでは、リネン事業者と提携し、入院セットとして提供を行う予定である。医療費用保証のフロントランナーとして、絶えず品質の高い商品提供の実現を目指す方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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