注目トピックス 日本株
ドーン Research Memo(1):22年5月期2Qは受託開発・クラウドサービス利用料が好調に推移し大幅な増収増益
配信日時:2022/02/18 15:11
配信元:FISCO
■要約
ドーン<2303>は、地理情報システム(GIS)を活用したシステムの開発・販売を行う企業である。中央省庁や地方自治体、電力会社などでの採用実績が多く、信頼性の要求されるシステムに定評がある。GISエンジンソフトのライセンス販売や受託開発を長年にわたり事業の柱としてきたが、近年は防災や防犯関連のクラウドサービスで業績を伸ばしている。主力の「NET119緊急通報システム」が全国の消防で採用され、人口カバー率は56.7%と過半数となった。災害情報共有サービス「DMaCS」も好調に推移している。次期の主力商品として、消防向けの映像通報システム「Live119」が期待されている。
1. 主力事業・サービス
システム開発においては“所有から利用へ”の流れのなかで「クラウド」へのシフトが進行中である。顧客にとって、初期投資が抑えられ最新のシステムがすぐ利用でき、自前で運用・保守をする面倒もない。クラウド化の進展は、同社の成長にも大きく貢献してきた。2016年5月期に全社売上高の20.5%だったクラウド利用料の売上高構成比は、2021年5月期には46.5%まで上昇している。また、近年の成長の原動力となっているのが、クラウドサービス「NET119緊急通報システム」である。聴覚や発話に障がいのある人のためのシステムであり、スマートフォン・携帯電話のインターネット接続機能を利用して、簡単に素早く119番通報することができる。急病やけが、地震や風水害・火災などの緊急時に、自宅からの通報はもちろん、GPS機能を利用しているため外出先からも通報でき、受信側はすぐに居場所を特定できる。操作性の良さやシステムとしての信頼性の高さが評価され、2015年12月には東京消防庁、2016年10月には大阪市消防局で稼働が開始し、全国の自治体への横展開に弾みがついている。2021年11月現在での国内人口カバー率は56.7%に上り、中期的には65%から70%を予想する。
2. 2022年5月期第2四半期の業績概要
2022年5月期第2四半期の売上高は525百万円(前年同期比16.9%増)、営業利益163百万円(同36.6%増)、経常利益166百万円(同36.1%増)、四半期純利益115百万円(同36.4%増)と大幅な増収増益を達成した。売上高に関しては、主力2分野(受託開発、クラウドサービス利用料)がともに好調に推移した。クラウドサービス利用料に関しては、既存契約の継続に加え新規契約が積み上がったことで順調に推移した。システム別では、主力の「NET119緊急通報システム」は安定成長を維持し、次期主力の映像通報システム「Live119」が大阪市や茨城県(一部地域を除く)をはじめとして、導入が加速した。
3. 2022年5月期の業績予想
2022年5月期の業績は、売上高で前期比9.0%増の1,220百万円、営業利益で同9.1%増の370百万円、経常利益で同8.7%増の373百万円、当期純利益で同6.8%増の253百万円と、7期連続の増収増益を予想する。同社の業績は、年度末に納期を迎える受託開発プロジェクトが多いため下期偏重となる。第2四半期を終えての進捗は、売上高の第2四半期進捗率で43.1%(前年同期は40.2%)、営業利益の第2四半期進捗率で44.2%(同35.2%)であり、前年同期を上回る。弊社では、新型コロナウイルスの拡大(以下、コロナ禍)の影響をこれまで受けずに成長軌道を維持している点や、自治体の防災・防犯予算は安定している点から、外部要因による業績下振れリスクは低いと考えている。内部要因に関しては、希少なIT人材の採用や育成が進まないリスクが考えられていたが、2022年5月期第2四半期は中途採用にも一定の成果がみられる。例年通りの動きなら、期初予想から上振れて着地する可能性が高いと考える。
4. 成長戦略・トピック
システム業界の企業にとって開発人材の採用は大きな課題であり、計画通りの成長ができるかのバロメーターとなる。同社はシステム分野でも特殊であり、地理空間情報を扱うシステムエンジニアは希少なリソースとなる。同社は過去から新卒採用し育成することを基本としてきたが、目標の採用人数に至らない年もあった。今期は中途採用や東西拠点での採用などを含めて採用・育成の複線化を行うことなどにより、人材の確保に一定の成果がみられる。
同社は、次世代の主力システムと期待されるクラウド型映像通報システム「Live119」の拡販に向け積極的な提案活動を行っており、その成果が出始めている。東京消防庁(23区及び多摩29市町村)をはじめ各地で試行運用が行われ、稼働地域も当初の想定を上回るペースで増加している。2021年には大阪市や茨城県(県内の大半の市町村)でも導入された。当面の目標であるスタートから5年で200消防本部の導入に向け弾みがついている状況と言えよう。同社では現在主力の「NET119」の成長の勢いが鈍化する2022年5月期から「Live119」などの映像系システムの拡大を加速させ、全社として切れ目なく成長する中長期のシナリオを描いている。
5. 株主還元策
同社は、安定的・継続的な株主還元を方針としている。2016年5月期以降は、好調な業績を背景に6期連続の増配を続けてきた。2022年5月期の配当金は、年12.0円(前期と同額。普通配当では1円増配)、配当性向15.2%という期初予想を維持している。例年、期初予想を上方修正しており、2022年5月期も業績が順調に上振れて着地すれば、さらなる増配が期待できる。また、東京証券取引所による2022年4月の3市場への再編計画については、同社は「スタンダード市場」の選択申請を行うことを決議している。
■Key Points
・主力の「NET119緊急通報システム」は全国の消防で導入され人口カバー率56.7%に
・2022年5月期第2四半期は、主力2分野(受託開発、クラウドサービス利用料)がともに好調に推移し、大幅な増収増益
・2022年5月期は7期連続の増収増益を予想。売上高及び営業利益の第2四半期進捗率は前年同期を超えて進捗
・2021年5月期の配当金は年12円(前期比2円増配)。例年通り利益上振れなら7期連続の増配も期待できる
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<ST>
ドーン<2303>は、地理情報システム(GIS)を活用したシステムの開発・販売を行う企業である。中央省庁や地方自治体、電力会社などでの採用実績が多く、信頼性の要求されるシステムに定評がある。GISエンジンソフトのライセンス販売や受託開発を長年にわたり事業の柱としてきたが、近年は防災や防犯関連のクラウドサービスで業績を伸ばしている。主力の「NET119緊急通報システム」が全国の消防で採用され、人口カバー率は56.7%と過半数となった。災害情報共有サービス「DMaCS」も好調に推移している。次期の主力商品として、消防向けの映像通報システム「Live119」が期待されている。
1. 主力事業・サービス
システム開発においては“所有から利用へ”の流れのなかで「クラウド」へのシフトが進行中である。顧客にとって、初期投資が抑えられ最新のシステムがすぐ利用でき、自前で運用・保守をする面倒もない。クラウド化の進展は、同社の成長にも大きく貢献してきた。2016年5月期に全社売上高の20.5%だったクラウド利用料の売上高構成比は、2021年5月期には46.5%まで上昇している。また、近年の成長の原動力となっているのが、クラウドサービス「NET119緊急通報システム」である。聴覚や発話に障がいのある人のためのシステムであり、スマートフォン・携帯電話のインターネット接続機能を利用して、簡単に素早く119番通報することができる。急病やけが、地震や風水害・火災などの緊急時に、自宅からの通報はもちろん、GPS機能を利用しているため外出先からも通報でき、受信側はすぐに居場所を特定できる。操作性の良さやシステムとしての信頼性の高さが評価され、2015年12月には東京消防庁、2016年10月には大阪市消防局で稼働が開始し、全国の自治体への横展開に弾みがついている。2021年11月現在での国内人口カバー率は56.7%に上り、中期的には65%から70%を予想する。
2. 2022年5月期第2四半期の業績概要
2022年5月期第2四半期の売上高は525百万円(前年同期比16.9%増)、営業利益163百万円(同36.6%増)、経常利益166百万円(同36.1%増)、四半期純利益115百万円(同36.4%増)と大幅な増収増益を達成した。売上高に関しては、主力2分野(受託開発、クラウドサービス利用料)がともに好調に推移した。クラウドサービス利用料に関しては、既存契約の継続に加え新規契約が積み上がったことで順調に推移した。システム別では、主力の「NET119緊急通報システム」は安定成長を維持し、次期主力の映像通報システム「Live119」が大阪市や茨城県(一部地域を除く)をはじめとして、導入が加速した。
3. 2022年5月期の業績予想
2022年5月期の業績は、売上高で前期比9.0%増の1,220百万円、営業利益で同9.1%増の370百万円、経常利益で同8.7%増の373百万円、当期純利益で同6.8%増の253百万円と、7期連続の増収増益を予想する。同社の業績は、年度末に納期を迎える受託開発プロジェクトが多いため下期偏重となる。第2四半期を終えての進捗は、売上高の第2四半期進捗率で43.1%(前年同期は40.2%)、営業利益の第2四半期進捗率で44.2%(同35.2%)であり、前年同期を上回る。弊社では、新型コロナウイルスの拡大(以下、コロナ禍)の影響をこれまで受けずに成長軌道を維持している点や、自治体の防災・防犯予算は安定している点から、外部要因による業績下振れリスクは低いと考えている。内部要因に関しては、希少なIT人材の採用や育成が進まないリスクが考えられていたが、2022年5月期第2四半期は中途採用にも一定の成果がみられる。例年通りの動きなら、期初予想から上振れて着地する可能性が高いと考える。
4. 成長戦略・トピック
システム業界の企業にとって開発人材の採用は大きな課題であり、計画通りの成長ができるかのバロメーターとなる。同社はシステム分野でも特殊であり、地理空間情報を扱うシステムエンジニアは希少なリソースとなる。同社は過去から新卒採用し育成することを基本としてきたが、目標の採用人数に至らない年もあった。今期は中途採用や東西拠点での採用などを含めて採用・育成の複線化を行うことなどにより、人材の確保に一定の成果がみられる。
同社は、次世代の主力システムと期待されるクラウド型映像通報システム「Live119」の拡販に向け積極的な提案活動を行っており、その成果が出始めている。東京消防庁(23区及び多摩29市町村)をはじめ各地で試行運用が行われ、稼働地域も当初の想定を上回るペースで増加している。2021年には大阪市や茨城県(県内の大半の市町村)でも導入された。当面の目標であるスタートから5年で200消防本部の導入に向け弾みがついている状況と言えよう。同社では現在主力の「NET119」の成長の勢いが鈍化する2022年5月期から「Live119」などの映像系システムの拡大を加速させ、全社として切れ目なく成長する中長期のシナリオを描いている。
5. 株主還元策
同社は、安定的・継続的な株主還元を方針としている。2016年5月期以降は、好調な業績を背景に6期連続の増配を続けてきた。2022年5月期の配当金は、年12.0円(前期と同額。普通配当では1円増配)、配当性向15.2%という期初予想を維持している。例年、期初予想を上方修正しており、2022年5月期も業績が順調に上振れて着地すれば、さらなる増配が期待できる。また、東京証券取引所による2022年4月の3市場への再編計画については、同社は「スタンダード市場」の選択申請を行うことを決議している。
■Key Points
・主力の「NET119緊急通報システム」は全国の消防で導入され人口カバー率56.7%に
・2022年5月期第2四半期は、主力2分野(受託開発、クラウドサービス利用料)がともに好調に推移し、大幅な増収増益
・2022年5月期は7期連続の増収増益を予想。売上高及び営業利益の第2四半期進捗率は前年同期を超えて進捗
・2021年5月期の配当金は年12円(前期比2円増配)。例年通り利益上振れなら7期連続の増配も期待できる
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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