注目トピックス 日本株
タナベ経営 Research Memo(5):戦略コンサルティングとDXコンサルティングが好調に推移し、2ケタ増収増益に
配信日時:2022/02/04 15:25
配信元:FISCO
■業績動向
1. 2022年3月期第2四半期累計業績の概要
タナベ経営<9644>の2022年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比13.6%増の4,536百万円、営業利益で同89.2%増の296百万円、経常利益で同77.0%増の300百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同47.8%増の216百万円とコロナ禍で落ち込んだ前年同期から2ケタ増収増益に転じ、期初計画に対しても売上高・各利益ともに上回って着地した。2021年3月期第4四半期から連結対象に加わったグローウィン・パートナーズ(株)の影響額は売上高で3.5億円、営業利益段階で若干の損失を計上したと見られ、同要因を除いても増収増益となっている。なお、グローウィン・パートナーズ(株)については、人材投資を積極的に進めたことで若干損失となっているものの、当初計画通りの進捗となっている。
コロナ禍で加速した企業のビジネスモデル変革のニーズの高まりを背景に、ビジネスモデルや戦略の構築・改革に向けた戦略コンサルティング、並びにDXコンサルティング領域を中心にチームコンサルティング契約社数が伸長し、増収要因となった。営業利益の増減要因を見ると、増収効果で233百万円の増益、売上総利益率の改善で187百万円の増益となり、販管費の増加281百万円(人件費130百万円増、採用費40百万円増、のれん償却額19百万円増)を吸収した。
売上総利益率の改善要因は販売構成比の変化による影響が大きい。前年同期はコロナ禍でセールスプロモーション商品において感染防止対策商品の特需売上高420百万円を計上したが、2022年3月期第2四半期累計では同商品の売上高が25百万円まで減少した。一方で、付加価値の高いチームコンサルティング売上高が前年同期比27.1%増の3,200百万円に拡大し、利益率の上昇に寄与した。なお、LTV型サービス売上高は同28.3%増の4,175百万円、高単価・長期契約型サービス売上高は同27.7%増の3,955百万円といずれも2ケタ増収となり、チームコンサルティング契約社数(期中平均)も同190社増加の785社と過去最高を更新した。グローウィン・パートナーズ(株)の契約数85社分を除いたベースでも過去最高水準となっている。
グループ全体のマーケティング戦略として、「HR領域のマーケティングサイト」に続き、「事業承継・M&A領域のマーケティングサイト」を立ち上げたほか、見込み顧客獲得のための大型無料Web説明会を6本開催したことも契約数の増加に寄与した。
コンサルティング領域別の売上動向を見ると、戦略コンサルティングは前年同期比26.7%増の2,831百万円となった。ドメイン&ファンクションコンサルティング及びHRコンサルティングでは、コロナ禍でビジネスモデルの変革に取り組む企業が増加するなか、「中長期ビジョン」や「人事制度再構築(働き方改革・ジョブ型雇用)」などをテーマとしたコンサルティング契約数が増加し、同23.5%増となった。M&Aアライアンスコンサルティングは同社の契約件数が増加したことに加え、グローウィン・パートナーズ(株)の当該分野の売上高が上乗せ要因となったことで同88.5%増と大きく伸長した。また、リージョナルコンサルティングについても、地域密着のコンサルティングモデルの強みが発揮され、いずれの地域においてもコンサルティング契約数が増加し同23.3%増となった。
DXコンサルティングの売上高は前年同期比137.3%増の566百万円となった。デジタルマーケティング戦略の策定から実装・改善までのワンストップコンサルティングに加え、グローウィン・パートナーズ(株)で提供するバックオフィス業務のデジタルシフト支援(ERP等の導入支援)等のコンサルティング契約数が増加した。また、人材育成の場となる企業内大学のクラウド型サービス「FCCアカデミークラウド」の導入社数も前期末の120社から130社に増え、当面の目標としている300社に向け順調に拡大している。「FCCアカデミークラウド」のサービス導入を契機にして、人事制度見直しや採用に関するコンサルティングサービスにつながっていくケースも増えている。
ブランド&デザインコンサルティングの売上高は前年同期比2.4%増の963百万円となった。前年同期と同様にコロナ禍でのイベント等の中止や延期の影響を受けたものの、好調業界向けのマーケティング、ブランディング、Webプロモーション、営業DX等のチームコンサルティング契約数やデザイン、クリエイティブの案件数増加でカバーした。
セールスプロモーション商品の売上高は前年同期比69.7%減の175百万円となった。既述のとおり、コロナ禍による特需で増加した感染防止対策商品やテレワーク関連商品の反動減の影響を受けた。
コンサルタント数については、前期末比31名増の389名となった。「グループC&C(コンサルティング&コングロマリット)戦略」(コンサルティング領域の多角化)推進による採用強化とM&A((株)リーディング・ソリューション、グローウィン・パートナーズ(株))の実施でプロフェッショナル人材がここ数年で順調に増加している。また、2022年3月期より顧客との長期関係(LTV)を構築し、収益性を向上させることを目的にCRMコンサルティング部を新設し、プロフェッショナル人材を配置した。
無借金経営で自己資本比率は80%台と健全な財務状況
2. 財務状況と経営指標
2022年3月期第2四半期末の総資産は前期末比199百万円減少の13,206百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現預金及び有価証券が194百万円減少し、固定資産では長期預金及び投資有価証券が100百万円減少した。なお、長短合わせた現預金及び有価証券は8,402百万円と前期末比で294百万円減少したものの、総資産に占める比率は63.6%と引き続き高水準を維持している。
負債合計は前期末比42百万円減少の1,932百万円となった。流動負債では未払法人税等が64百万円、買掛金が21百万円増加し、固定負債では役員退職慰労引当金が208百万円減少した。また、純資産は前期末比156百万円減少の11,274百万円となった。親会社株主に帰属する四半期純利益216百万円を計上した一方で、配当金369百万円を支出したことによる。
経営指標を見ると、自己資本比率は83.3%と引き続き高水準を維持しており、現預金及び有価証券も70億円以上と潤沢で無借金経営を維持していることから、財務の健全性は引き続き高いものと判断される。今後も豊富な手元キャッシュを生かしてM&A等の成長投資を行っていく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2022年3月期第2四半期累計業績の概要
タナベ経営<9644>の2022年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比13.6%増の4,536百万円、営業利益で同89.2%増の296百万円、経常利益で同77.0%増の300百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同47.8%増の216百万円とコロナ禍で落ち込んだ前年同期から2ケタ増収増益に転じ、期初計画に対しても売上高・各利益ともに上回って着地した。2021年3月期第4四半期から連結対象に加わったグローウィン・パートナーズ(株)の影響額は売上高で3.5億円、営業利益段階で若干の損失を計上したと見られ、同要因を除いても増収増益となっている。なお、グローウィン・パートナーズ(株)については、人材投資を積極的に進めたことで若干損失となっているものの、当初計画通りの進捗となっている。
コロナ禍で加速した企業のビジネスモデル変革のニーズの高まりを背景に、ビジネスモデルや戦略の構築・改革に向けた戦略コンサルティング、並びにDXコンサルティング領域を中心にチームコンサルティング契約社数が伸長し、増収要因となった。営業利益の増減要因を見ると、増収効果で233百万円の増益、売上総利益率の改善で187百万円の増益となり、販管費の増加281百万円(人件費130百万円増、採用費40百万円増、のれん償却額19百万円増)を吸収した。
売上総利益率の改善要因は販売構成比の変化による影響が大きい。前年同期はコロナ禍でセールスプロモーション商品において感染防止対策商品の特需売上高420百万円を計上したが、2022年3月期第2四半期累計では同商品の売上高が25百万円まで減少した。一方で、付加価値の高いチームコンサルティング売上高が前年同期比27.1%増の3,200百万円に拡大し、利益率の上昇に寄与した。なお、LTV型サービス売上高は同28.3%増の4,175百万円、高単価・長期契約型サービス売上高は同27.7%増の3,955百万円といずれも2ケタ増収となり、チームコンサルティング契約社数(期中平均)も同190社増加の785社と過去最高を更新した。グローウィン・パートナーズ(株)の契約数85社分を除いたベースでも過去最高水準となっている。
グループ全体のマーケティング戦略として、「HR領域のマーケティングサイト」に続き、「事業承継・M&A領域のマーケティングサイト」を立ち上げたほか、見込み顧客獲得のための大型無料Web説明会を6本開催したことも契約数の増加に寄与した。
コンサルティング領域別の売上動向を見ると、戦略コンサルティングは前年同期比26.7%増の2,831百万円となった。ドメイン&ファンクションコンサルティング及びHRコンサルティングでは、コロナ禍でビジネスモデルの変革に取り組む企業が増加するなか、「中長期ビジョン」や「人事制度再構築(働き方改革・ジョブ型雇用)」などをテーマとしたコンサルティング契約数が増加し、同23.5%増となった。M&Aアライアンスコンサルティングは同社の契約件数が増加したことに加え、グローウィン・パートナーズ(株)の当該分野の売上高が上乗せ要因となったことで同88.5%増と大きく伸長した。また、リージョナルコンサルティングについても、地域密着のコンサルティングモデルの強みが発揮され、いずれの地域においてもコンサルティング契約数が増加し同23.3%増となった。
DXコンサルティングの売上高は前年同期比137.3%増の566百万円となった。デジタルマーケティング戦略の策定から実装・改善までのワンストップコンサルティングに加え、グローウィン・パートナーズ(株)で提供するバックオフィス業務のデジタルシフト支援(ERP等の導入支援)等のコンサルティング契約数が増加した。また、人材育成の場となる企業内大学のクラウド型サービス「FCCアカデミークラウド」の導入社数も前期末の120社から130社に増え、当面の目標としている300社に向け順調に拡大している。「FCCアカデミークラウド」のサービス導入を契機にして、人事制度見直しや採用に関するコンサルティングサービスにつながっていくケースも増えている。
ブランド&デザインコンサルティングの売上高は前年同期比2.4%増の963百万円となった。前年同期と同様にコロナ禍でのイベント等の中止や延期の影響を受けたものの、好調業界向けのマーケティング、ブランディング、Webプロモーション、営業DX等のチームコンサルティング契約数やデザイン、クリエイティブの案件数増加でカバーした。
セールスプロモーション商品の売上高は前年同期比69.7%減の175百万円となった。既述のとおり、コロナ禍による特需で増加した感染防止対策商品やテレワーク関連商品の反動減の影響を受けた。
コンサルタント数については、前期末比31名増の389名となった。「グループC&C(コンサルティング&コングロマリット)戦略」(コンサルティング領域の多角化)推進による採用強化とM&A((株)リーディング・ソリューション、グローウィン・パートナーズ(株))の実施でプロフェッショナル人材がここ数年で順調に増加している。また、2022年3月期より顧客との長期関係(LTV)を構築し、収益性を向上させることを目的にCRMコンサルティング部を新設し、プロフェッショナル人材を配置した。
無借金経営で自己資本比率は80%台と健全な財務状況
2. 財務状況と経営指標
2022年3月期第2四半期末の総資産は前期末比199百万円減少の13,206百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現預金及び有価証券が194百万円減少し、固定資産では長期預金及び投資有価証券が100百万円減少した。なお、長短合わせた現預金及び有価証券は8,402百万円と前期末比で294百万円減少したものの、総資産に占める比率は63.6%と引き続き高水準を維持している。
負債合計は前期末比42百万円減少の1,932百万円となった。流動負債では未払法人税等が64百万円、買掛金が21百万円増加し、固定負債では役員退職慰労引当金が208百万円減少した。また、純資産は前期末比156百万円減少の11,274百万円となった。親会社株主に帰属する四半期純利益216百万円を計上した一方で、配当金369百万円を支出したことによる。
経営指標を見ると、自己資本比率は83.3%と引き続き高水準を維持しており、現預金及び有価証券も70億円以上と潤沢で無借金経営を維持していることから、財務の健全性は引き続き高いものと判断される。今後も豊富な手元キャッシュを生かしてM&A等の成長投資を行っていく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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