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シンバイオ製薬 Research Memo(4):「トレアキシン(R)」は売上成長ポテンシャルが約2倍に拡大(2)
配信日時:2021/12/23 15:24
配信元:FISCO
■開発パイプラインの動向
(2) RTD/RI製剤
「トレアキシン(R)」の液剤タイプであるRTD製剤は、2021年1月から販売を開始しており、FD製剤からの切り替えを順次進めている状況にある。切り替え率は2021年3月時点の約2割から6月時点で5割弱と順調に進んでいたが、9月時点では6割弱と切り替えのスピードが鈍化した(計画では8割強を見込んでいた)。医師がRTD製剤を希望しても、関係部署の承認が得られないと切り替えができないためで、その調整に時間が掛かったようだ。この結果、FD製剤の需要が想定を上回ることになり、欠品が生じる恐れが出てきたため、シンバイオ製薬<4582>は9月にFD製剤の出荷調整を開始することを発表した。これによりRTD製剤への切り替えスピードが回復し、12月時点では当初計画どおり切り替え率で約9割に達する見通しとなっている。なお、販売開始当初は再発・難治性 DLBCL向けを除く既適応症向けに販売していたが、2021年4月に再発・難治性DLBCL向けの販売承認を取得し、現在はすべての既適応症向けに販売している。
また、RI製剤については2021年5月に販売承認申請を行っており、順調に審査が進めば1年内に承認され、2022年後半には販売が開始される見込みだ。RI製剤は静注による投与時間が従来の60分から10分に短縮されるため、医療従事者だけでなく患者のQOL向上にも寄与することになる。特に、通院患者にとって短時間で治療できるメリットは大きい。このため、多剤併用療法を行っている医療機関でもRI製剤の浸透が一段と進む可能性が高いと弊社では見ている。
なお、FD製剤については国内の独占販売期間が2020年で終了したため、後発医薬品が開発される可能性もあるが、RTD/RI製剤との機能面での差が大きいため、事実上、「トレアキシン(R)」の独占販売についてはRTD/RI製剤の特許有効期限となる2031年まで続くものと予想される。また、FD製剤については2021年4月の薬価改定により、RTD製剤については来年度より価格が若干低下することとなるがその影響は限定的である見通しだ。一方、仕入価格については契約条件の違いもあって、FD製剤と比較してRTD/RI製剤は低く設定されているものと見られ、FD製剤からRTD/RI製剤への切り替えは利益率の上昇要因となる。
同社はFD製剤からRTD製剤への切り替えに伴って、FD製剤の仕入を2020年末で終了しており(2021年以降のFD製剤の販売見込み分については仕入れ済み)、アステラス・ファーマとの債権債務の処理もすべて完了している。このため、アジアへのFD製剤の販売も終了する予定で、「トレアキシン(R)」については国内の販売に集中していくことになる。
(3) 今後の開発方針
「トレアキシン(R)」については、今後も新たな適応症の探索についてアカデミアと共同で研究を進めていくことにしており、さらなる事業価値の拡大に取り組んでいく方針となっている。具体的には、2021年1月に東京大学医科学研究所と共同研究契約を締結しており、AI技術も活用しながら、血液がんのみならず固形がんなどその他のがん種での開発の可能性や他剤との組み合わせによる新たな治療法の創出などについて、研究を進めていく予定にしている。また、同年8月には京都大学とも共同研究契約を締結し、難治性の活性化B細胞型(ABC)-DLBCLへの関与が示唆されているLUBACに対する阻害作用について研究を進めていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<ST>
(2) RTD/RI製剤
「トレアキシン(R)」の液剤タイプであるRTD製剤は、2021年1月から販売を開始しており、FD製剤からの切り替えを順次進めている状況にある。切り替え率は2021年3月時点の約2割から6月時点で5割弱と順調に進んでいたが、9月時点では6割弱と切り替えのスピードが鈍化した(計画では8割強を見込んでいた)。医師がRTD製剤を希望しても、関係部署の承認が得られないと切り替えができないためで、その調整に時間が掛かったようだ。この結果、FD製剤の需要が想定を上回ることになり、欠品が生じる恐れが出てきたため、シンバイオ製薬<4582>は9月にFD製剤の出荷調整を開始することを発表した。これによりRTD製剤への切り替えスピードが回復し、12月時点では当初計画どおり切り替え率で約9割に達する見通しとなっている。なお、販売開始当初は再発・難治性 DLBCL向けを除く既適応症向けに販売していたが、2021年4月に再発・難治性DLBCL向けの販売承認を取得し、現在はすべての既適応症向けに販売している。
また、RI製剤については2021年5月に販売承認申請を行っており、順調に審査が進めば1年内に承認され、2022年後半には販売が開始される見込みだ。RI製剤は静注による投与時間が従来の60分から10分に短縮されるため、医療従事者だけでなく患者のQOL向上にも寄与することになる。特に、通院患者にとって短時間で治療できるメリットは大きい。このため、多剤併用療法を行っている医療機関でもRI製剤の浸透が一段と進む可能性が高いと弊社では見ている。
なお、FD製剤については国内の独占販売期間が2020年で終了したため、後発医薬品が開発される可能性もあるが、RTD/RI製剤との機能面での差が大きいため、事実上、「トレアキシン(R)」の独占販売についてはRTD/RI製剤の特許有効期限となる2031年まで続くものと予想される。また、FD製剤については2021年4月の薬価改定により、RTD製剤については来年度より価格が若干低下することとなるがその影響は限定的である見通しだ。一方、仕入価格については契約条件の違いもあって、FD製剤と比較してRTD/RI製剤は低く設定されているものと見られ、FD製剤からRTD/RI製剤への切り替えは利益率の上昇要因となる。
同社はFD製剤からRTD製剤への切り替えに伴って、FD製剤の仕入を2020年末で終了しており(2021年以降のFD製剤の販売見込み分については仕入れ済み)、アステラス・ファーマとの債権債務の処理もすべて完了している。このため、アジアへのFD製剤の販売も終了する予定で、「トレアキシン(R)」については国内の販売に集中していくことになる。
(3) 今後の開発方針
「トレアキシン(R)」については、今後も新たな適応症の探索についてアカデミアと共同で研究を進めていくことにしており、さらなる事業価値の拡大に取り組んでいく方針となっている。具体的には、2021年1月に東京大学医科学研究所と共同研究契約を締結しており、AI技術も活用しながら、血液がんのみならず固形がんなどその他のがん種での開発の可能性や他剤との組み合わせによる新たな治療法の創出などについて、研究を進めていく予定にしている。また、同年8月には京都大学とも共同研究契約を締結し、難治性の活性化B細胞型(ABC)-DLBCLへの関与が示唆されているLUBACに対する阻害作用について研究を進めていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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