注目トピックス 日本株
DEAR・L Research Memo(1):2021年9月期は当初目標を超え過去最高益を更新
配信日時:2021/12/22 15:21
配信元:FISCO
■要約
ディア・ライフ<3245>は、都市型マンションの開発事業・収益不動産の投資事業などのリアルエステート事業、セールスプロモーション事業を展開する企業グループである。2004年の会社設立以来、東京圏に特化した、主に単身者・DINKS向けマンションの開発(リアルエステート事業)を主軸として急成長を遂げた。代表取締役社長の阿部幸広(あべゆきひろ)氏をはじめとした専門性の高い人材の不動産目利き力が強みである。2007年8月、会社設立から3年弱で東証マザーズに上場。2015年8月には東証1部に昇格、その後も著しい成長を見せている。
1. 市場動向と同社の強み
人口減少期に入った日本においても、東京圏においては一世帯あたりの人数が減少し、世帯数が増加中であり、さらには働き方やライフスタイルの変遷もあり、好立地にある都心マンションの需要は衰えていない。
このような環境下、需要の堅調な東京圏、特に神楽坂・飯田橋・市ヶ谷をはじめとする「職・食・住」の利便性が良好なエリア(新宿区、千代田区など)に事業エリアを特化することで、販売面だけでなく、用地取得や建築発注においても優位性を確立している。情報の非対称性が依然大きい不動産業界では、有益な用地・物件情報であればあるほど、フェイス・トゥ・フェイスの商談が重要になってくる。同社はエリアを限定することにより、より効率的で密度の濃い仲介業者などとの業界人脈を構築できており、その情報取得力は高い。またエリアを限定することで継続的に工事発注できることから、ゼネコンなど建築業者とも良好な関係性を構築できており、品質の高い建築請負工事を実現している。また、社内に一級建築士をはじめ専門性の高い人材を抱えていることも大きなアドバンテージとなっている。用地取得に関しては、素早く情報をキャッチすると同時にその開発ポテンシャルを素早く的確に算定し、競争力ある価格提示を迅速に行える能力が不可欠である。また建築技術等のわかる人材がいればコスト抑制策での創意工夫が進みやすく、ゼネコンなどとの折衝力が高まる。
2. 業績動向
2021年9月期は、売上高が前期比4.6%減の26,367百万円、営業利益が同54.3%増の4,016百万円、経常利益が同51.4%増の4,114百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同45.1%増の2,686百万円と過去最高益を更新した。期初の経常利益目標は3,000百万円であり、1,000百万円を上回って着地したことになる。2021年1月に子会社化した(株)DLXホールディングス(以下、DLX-HD)関連では、下期から業績が計上された。DLX-HD傘下の(株)N-STAFFによる非対面での保険営業人材の派遣が、コロナ禍で対面での保険販売を避ける金融・保険業界各社のニーズを捉え、派遣先が大きく拡大した。
2022年9月期通期の業績は、経常利益で5,000百万円(前期比21.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で3,200百万円(同19.1%増)とさらなる増益を目標とする。リアルエステート事業では、都市型マンションに引き続き強い需要が見込めることから、住居系不動産を中心に東京圏エリアへの積極投資を継続し、収益安定性・流通性に優れた不動産の供給量の拡大に注力する。セールスプロモーション事業おいては、DLX-HDの業績が通期で計上される。DLX-HD傘下各社の管理部門の共通化によるコスト削減や相互人材の活用など、グループ企業としてシナジーを最大限に発揮し収益の最大化を推進する方針だ。
3. 成長戦略
同社は2021年10月にアイディ(株)を子会社化した。同社とアイディは、エリアや事業対象規模において棲み分けが可能であることから、仕入情報や開発ノウハウをはじめとしたナレッジの共有により、事業機会の拡大を進めていく。また、アイディは開発用地に対して適切なプランニングを行う自社設計部を擁しており、社内での迅速な意思決定を実現している。新築アパートの計画においては自社施工まで行える体制がある。さらに子会社の(株)アイディプロパティでは賃貸・売買仲介事業を行っており、複数の店舗を通じて、地元の不動産オーナーやエンドユーザーとの直接的なつながりを持つ。管理受託件数は既に1,300戸に上っており、安定的なストック収益が期待できる。アイディの子会社化により、城南エリア(大田区、品川区など)での仕入・売却力の強化、これまで行ってこなかった施工業務請負や賃貸仲介・管理事業の取り込みにより、事業ポートフォリオの安定と拡大が可能になる。
4. ESGへの取り組み
同社ではESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンス)という言葉が注目される以前から、その理念を実践してきた経緯がある。同社は、不動産業としての側面だけではなく、ベンチャー企業のためのインキュベーション機能も果たしており、活力ある産業社会の実現に貢献している。2009年に業績の低迷する(株)パルマファイナンシャルサービシーズ(現 パルマ<3461>)(セルフストレージ事業)に投資を行い、上場企業に育て上げたのをはじめ、2021年1月には専門性の高い人材派遣事業を確立するためにDLX-HDを子会社化している。また、早稲田大学に関係するベンチャー企業に投資する専門ファンド「早稲田投資事業有限責任組合」への出資や、「ベンチャー稲門会」での社長の講演など、若い才能を伸ばす支援を積極的に行っている。
5. 株主還元策
同社は株主還元策として配当を実施している。配当の基本方針としては、財務体質強化と内部留保の確保を図る一方、株主への利益還元を重要な経営課題としているため、配当性向40%を目指している。また、自己株式の取得に関しても、株価の推移や財務状況などを勘案し、機動的に行う方針である。2021年9月期は、過去最高益を反映し、配当金は年30円(11円増配、過去最高益記念配当2円を含む)、配当性向は42.6%となった。また、同社では自己株式の取得を積極的に行っている。今期は、2020年11月16日から2021年5月31日の取得期間において、累計499百万円(113万株)の自己株式の取得を実施した。自社株式取得を考慮した総還元性向は60%を超える。
2022年9月期は堅調な利益計画(親会社株主に帰属する当期純利益32億円予想)を背景に、配当性向40%、配当金年34円を目標とする。
■Key Points
・コロナ禍においても、不動産投資家のレジデンス投資意欲は持続。早期の情報入手と目利きによる素早い判断力が強み
・2021年9月期は、当初目標を超え過去最高益を更新。経常利益で40億円超を達成
・健全な財務内容が高い資金調達力の源泉。自己資本比率54.8%は業界平均を大きく上回る
・2022年9月期は経常利益50億円目標。DLX-HDおよびアイディをグループに加え相乗効果を狙う
・リアルエステート事業では、重点エリアを拡大とセグメント拡張で東京不動産市場のさらなる深耕を目指す。セールプロモーション事業では、ITを活用した非対面マーケティングの拡大を目指す
・2021年9月期は配当金年30円(前期比11円増配、過去最高益記念配当2円を含む)実施。2022年9月期は配当金年34円、配当性向40%が目標
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<NB>
ディア・ライフ<3245>は、都市型マンションの開発事業・収益不動産の投資事業などのリアルエステート事業、セールスプロモーション事業を展開する企業グループである。2004年の会社設立以来、東京圏に特化した、主に単身者・DINKS向けマンションの開発(リアルエステート事業)を主軸として急成長を遂げた。代表取締役社長の阿部幸広(あべゆきひろ)氏をはじめとした専門性の高い人材の不動産目利き力が強みである。2007年8月、会社設立から3年弱で東証マザーズに上場。2015年8月には東証1部に昇格、その後も著しい成長を見せている。
1. 市場動向と同社の強み
人口減少期に入った日本においても、東京圏においては一世帯あたりの人数が減少し、世帯数が増加中であり、さらには働き方やライフスタイルの変遷もあり、好立地にある都心マンションの需要は衰えていない。
このような環境下、需要の堅調な東京圏、特に神楽坂・飯田橋・市ヶ谷をはじめとする「職・食・住」の利便性が良好なエリア(新宿区、千代田区など)に事業エリアを特化することで、販売面だけでなく、用地取得や建築発注においても優位性を確立している。情報の非対称性が依然大きい不動産業界では、有益な用地・物件情報であればあるほど、フェイス・トゥ・フェイスの商談が重要になってくる。同社はエリアを限定することにより、より効率的で密度の濃い仲介業者などとの業界人脈を構築できており、その情報取得力は高い。またエリアを限定することで継続的に工事発注できることから、ゼネコンなど建築業者とも良好な関係性を構築できており、品質の高い建築請負工事を実現している。また、社内に一級建築士をはじめ専門性の高い人材を抱えていることも大きなアドバンテージとなっている。用地取得に関しては、素早く情報をキャッチすると同時にその開発ポテンシャルを素早く的確に算定し、競争力ある価格提示を迅速に行える能力が不可欠である。また建築技術等のわかる人材がいればコスト抑制策での創意工夫が進みやすく、ゼネコンなどとの折衝力が高まる。
2. 業績動向
2021年9月期は、売上高が前期比4.6%減の26,367百万円、営業利益が同54.3%増の4,016百万円、経常利益が同51.4%増の4,114百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同45.1%増の2,686百万円と過去最高益を更新した。期初の経常利益目標は3,000百万円であり、1,000百万円を上回って着地したことになる。2021年1月に子会社化した(株)DLXホールディングス(以下、DLX-HD)関連では、下期から業績が計上された。DLX-HD傘下の(株)N-STAFFによる非対面での保険営業人材の派遣が、コロナ禍で対面での保険販売を避ける金融・保険業界各社のニーズを捉え、派遣先が大きく拡大した。
2022年9月期通期の業績は、経常利益で5,000百万円(前期比21.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で3,200百万円(同19.1%増)とさらなる増益を目標とする。リアルエステート事業では、都市型マンションに引き続き強い需要が見込めることから、住居系不動産を中心に東京圏エリアへの積極投資を継続し、収益安定性・流通性に優れた不動産の供給量の拡大に注力する。セールスプロモーション事業おいては、DLX-HDの業績が通期で計上される。DLX-HD傘下各社の管理部門の共通化によるコスト削減や相互人材の活用など、グループ企業としてシナジーを最大限に発揮し収益の最大化を推進する方針だ。
3. 成長戦略
同社は2021年10月にアイディ(株)を子会社化した。同社とアイディは、エリアや事業対象規模において棲み分けが可能であることから、仕入情報や開発ノウハウをはじめとしたナレッジの共有により、事業機会の拡大を進めていく。また、アイディは開発用地に対して適切なプランニングを行う自社設計部を擁しており、社内での迅速な意思決定を実現している。新築アパートの計画においては自社施工まで行える体制がある。さらに子会社の(株)アイディプロパティでは賃貸・売買仲介事業を行っており、複数の店舗を通じて、地元の不動産オーナーやエンドユーザーとの直接的なつながりを持つ。管理受託件数は既に1,300戸に上っており、安定的なストック収益が期待できる。アイディの子会社化により、城南エリア(大田区、品川区など)での仕入・売却力の強化、これまで行ってこなかった施工業務請負や賃貸仲介・管理事業の取り込みにより、事業ポートフォリオの安定と拡大が可能になる。
4. ESGへの取り組み
同社ではESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンス)という言葉が注目される以前から、その理念を実践してきた経緯がある。同社は、不動産業としての側面だけではなく、ベンチャー企業のためのインキュベーション機能も果たしており、活力ある産業社会の実現に貢献している。2009年に業績の低迷する(株)パルマファイナンシャルサービシーズ(現 パルマ<3461>)(セルフストレージ事業)に投資を行い、上場企業に育て上げたのをはじめ、2021年1月には専門性の高い人材派遣事業を確立するためにDLX-HDを子会社化している。また、早稲田大学に関係するベンチャー企業に投資する専門ファンド「早稲田投資事業有限責任組合」への出資や、「ベンチャー稲門会」での社長の講演など、若い才能を伸ばす支援を積極的に行っている。
5. 株主還元策
同社は株主還元策として配当を実施している。配当の基本方針としては、財務体質強化と内部留保の確保を図る一方、株主への利益還元を重要な経営課題としているため、配当性向40%を目指している。また、自己株式の取得に関しても、株価の推移や財務状況などを勘案し、機動的に行う方針である。2021年9月期は、過去最高益を反映し、配当金は年30円(11円増配、過去最高益記念配当2円を含む)、配当性向は42.6%となった。また、同社では自己株式の取得を積極的に行っている。今期は、2020年11月16日から2021年5月31日の取得期間において、累計499百万円(113万株)の自己株式の取得を実施した。自社株式取得を考慮した総還元性向は60%を超える。
2022年9月期は堅調な利益計画(親会社株主に帰属する当期純利益32億円予想)を背景に、配当性向40%、配当金年34円を目標とする。
■Key Points
・コロナ禍においても、不動産投資家のレジデンス投資意欲は持続。早期の情報入手と目利きによる素早い判断力が強み
・2021年9月期は、当初目標を超え過去最高益を更新。経常利益で40億円超を達成
・健全な財務内容が高い資金調達力の源泉。自己資本比率54.8%は業界平均を大きく上回る
・2022年9月期は経常利益50億円目標。DLX-HDおよびアイディをグループに加え相乗効果を狙う
・リアルエステート事業では、重点エリアを拡大とセグメント拡張で東京不動産市場のさらなる深耕を目指す。セールプロモーション事業では、ITを活用した非対面マーケティングの拡大を目指す
・2021年9月期は配当金年30円(前期比11円増配、過去最高益記念配当2円を含む)実施。2022年9月期は配当金年34円、配当性向40%が目標
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<NB>
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