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ダイキアクシス Research Memo(8):「エコ認証」、品質及び環境マネジメントシステムの国際認証などを取得
配信日時:2021/11/12 15:48
配信元:FISCO
■中長期の成長戦略
(4) 認知度の向上
2020年10月にDA-Indiaが、インド製浄化槽のエコ認証「Green Product Certification(グリーンプロダクト認証)」を取得した。汚水処理部門におけるエコ認証第1号となる。認証取得は、インド市場におけるダイキアクシス<4245>の認知向上のみならず、省エネルギー仕様の政府関連建物や一般の環境配慮型の建物において採用につながることが期待される。
同年11月に、インドの水環境省よりインド製浄化槽に対する推奨認可を得て、インド中央政府による分散型汚水処理に関する推奨認可第1号となった。インドでは汚水処理に関する考え方や処理手法に地域差があることから、他の地域で評価されている浄化槽であっても地域毎のアプローチが必要であった。同社は、インド中央政府及び中央研究機関に働きかけ、実機デモ機での水質検査などを継続的に提出することで推奨認可の取得に至った。
同推奨認可の効果が早くも現われ、翌月には州に属さない政府直轄地であるデリー政府から複数プロジェクトへの提案依頼があり、受注に結び付いた。デリー開発公社からのプロジェクト総受注額は約1億円で、同社は公園内のトイレや手洗いからの排水、公共下水の原水を処理し再利用するための浄化槽(10m3:11台、25m3:5台、50m3:7台)を供給した。同公社の管理下には同様の計画対象の公園が1,100ヶ所あり、新たな提案をしている。また、インド全土では、潜在市場規模がその100倍と報告されている。この受注と運用開始後の結果を通じ、より多くの受注獲得を目指す。同推奨認可の取得により、地方政府入札案件でも分散型汚水処理において浄化槽を全面に押し出した提案が可能になるとともに、民間向けにもアピールできることとなる。
さらに水環境省より推奨認可を得た同月にはインド工科大学からオファーを受け、実証試験及び共同研究の契約を締結した。インドでは分散型汚水処理方法が確立されていないことから、インド工場製品に窒素処理を付加したものと、日本でも使用されている高度処理の2モデルを対象に実証試験を行い、インドの使用環境により適した改良を共同研究する。インド工科大学は、国家的な重要性を有した研究機関と位置付けられており、研究水準の高さは国際的にも認められている。実証実験及び共同研究は、インド国内はもとより、中東、アジア諸国、欧米等における同社グループの今後の事業展開に大きなアドバンテージになると考えられる。
2021年2月には、インド商工会議所連合会から第8回Water AwardのInnovation in Water Technology部門でFirst Prize(金賞)を受賞した。全7部門のうち5部門は地域自治体が、残り2部門において同社と他の一般企業が受賞した。同Awardは、インド全土の連合会の評議員及び会員から推薦された数百社の中から、インド水環境への貢献度や技術的完成度の高さなどをもとに、各部門1社のみが選ばれる賞である。日本企業による金賞受賞は、これが初となる。
(5) Water-KIOSK事業に参入
Water-KIOSKとは、水道水の水質が飲用に不適切な都市部において、公共施設や駅等に飲料水精製装置を設置し、有償で飲料水を販売する事業を言う。同社は、日本において地下水を飲料化する事業を行っている。2019年9月にはインドの代理店でもあるEarth Water Limitedと合弁会社Daiki Earth Water Pvt. Ltd.(同社出資比率74%)を設立した。インド国内において排水処理事業及びWater-KIOSKによる飲料水販売事業をBOT※1及びBOO※2により展開している。2021年2月に、首都デリーから北東にあるウッタラーカンド州の高原都市デヘラードゥーン市においてスマートシティ構想を推進する公社とBOT方式によるWater-KIOSK事業の契約を締結した。24ヶ所(24台)の設置で、5年間で110百万円の売上高を見込んでいる。5年間の契約満了後は、2年更新の運用契約により、引き続き同社子会社が運営を受託する予定だ。
※1 BOT(Build Operate Transfer):民間が施設を建設・維持管理・運営し、契約期間終了後に公共へ所有権を移転する方式。
※2 BOO(Build Own Operate):民間が施設を建設・維持管理・運営し、契約期間終了後も民間が施設を所有し続ける、あるいは、施設を解体・撤去して事業を終了させる方式。
スリランカで現地法人を設立。ミャンマーは計画凍結もグループとしての損害は発生せず。中国は合弁会社の黒字転換・配当受領
(6) インド以外の海外事業の動向
a) スリランカ
スリランカ政府は、2017 年に発表した開発方針“Vision 2025”や大統領管轄専門委員会が2019年に発表した“Vision 2030”の中で、排水を高度に処理し生活環境を改善する排水に関連する衛生施設は同国の経済発展に重要なインフラであると公言した。現在のスリランカの排水処理の整備状況は、全国の下水道普及率が2.4%であり、整備が実施されているのはコロンボ市周辺のみに限定される。利用されている浄化槽の96%は機能不全のセプティックタンク(腐敗槽)であり、国土の多くの地域で環境基準を大きく超える水質の悪化が起きている。
同社は、2017 年よりスリランカ現地代理店を通して浄化槽の販売活動を続けてきた。現地代理店と協力した販売活動及び行政府への働きかけにより、市場開拓が進んだ。スリランカにおける水環境改善を進め地球環境へのさらなる貢献をするため、2021年5月に現地法人DAIKI AXIS ENVIRONMENT (PVT) LTD.を設立した。同子会社は、販売活動だけでなく浄化槽の製造(組立)にも従事する。
b) ミャンマー
ミャンマーでは、比較的早く販売活動に従事し、現地法人・新工場の構想を持っていた。計画はクーデターにより全面凍結されたが、投資を開始する以前であったことから、同社グループへの損失は発生していない。
c) ケニア
2019年10月に、ケニアの首都ナイロビに排水処理事業を手掛ける合弁会社DAIKI-USAFI LIMITEDを設立した。同社グループの持分は51%、ケニアの水事業会社が49%を出資した。ケニア国内において、排水処理事業を BOOにより展開する。
d) 中国
中国では、凌志環保股フン有限公司との合弁会社が小型浄化槽「XE型」の生産を拡大している。中国規制厳格化により浄化槽普及が足踏みしていたが、2020年に年間販売台数が1,000基弱に到達した。利益転換により、配当を受領する段階に至った。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<EY>
(4) 認知度の向上
2020年10月にDA-Indiaが、インド製浄化槽のエコ認証「Green Product Certification(グリーンプロダクト認証)」を取得した。汚水処理部門におけるエコ認証第1号となる。認証取得は、インド市場におけるダイキアクシス<4245>の認知向上のみならず、省エネルギー仕様の政府関連建物や一般の環境配慮型の建物において採用につながることが期待される。
同年11月に、インドの水環境省よりインド製浄化槽に対する推奨認可を得て、インド中央政府による分散型汚水処理に関する推奨認可第1号となった。インドでは汚水処理に関する考え方や処理手法に地域差があることから、他の地域で評価されている浄化槽であっても地域毎のアプローチが必要であった。同社は、インド中央政府及び中央研究機関に働きかけ、実機デモ機での水質検査などを継続的に提出することで推奨認可の取得に至った。
同推奨認可の効果が早くも現われ、翌月には州に属さない政府直轄地であるデリー政府から複数プロジェクトへの提案依頼があり、受注に結び付いた。デリー開発公社からのプロジェクト総受注額は約1億円で、同社は公園内のトイレや手洗いからの排水、公共下水の原水を処理し再利用するための浄化槽(10m3:11台、25m3:5台、50m3:7台)を供給した。同公社の管理下には同様の計画対象の公園が1,100ヶ所あり、新たな提案をしている。また、インド全土では、潜在市場規模がその100倍と報告されている。この受注と運用開始後の結果を通じ、より多くの受注獲得を目指す。同推奨認可の取得により、地方政府入札案件でも分散型汚水処理において浄化槽を全面に押し出した提案が可能になるとともに、民間向けにもアピールできることとなる。
さらに水環境省より推奨認可を得た同月にはインド工科大学からオファーを受け、実証試験及び共同研究の契約を締結した。インドでは分散型汚水処理方法が確立されていないことから、インド工場製品に窒素処理を付加したものと、日本でも使用されている高度処理の2モデルを対象に実証試験を行い、インドの使用環境により適した改良を共同研究する。インド工科大学は、国家的な重要性を有した研究機関と位置付けられており、研究水準の高さは国際的にも認められている。実証実験及び共同研究は、インド国内はもとより、中東、アジア諸国、欧米等における同社グループの今後の事業展開に大きなアドバンテージになると考えられる。
2021年2月には、インド商工会議所連合会から第8回Water AwardのInnovation in Water Technology部門でFirst Prize(金賞)を受賞した。全7部門のうち5部門は地域自治体が、残り2部門において同社と他の一般企業が受賞した。同Awardは、インド全土の連合会の評議員及び会員から推薦された数百社の中から、インド水環境への貢献度や技術的完成度の高さなどをもとに、各部門1社のみが選ばれる賞である。日本企業による金賞受賞は、これが初となる。
(5) Water-KIOSK事業に参入
Water-KIOSKとは、水道水の水質が飲用に不適切な都市部において、公共施設や駅等に飲料水精製装置を設置し、有償で飲料水を販売する事業を言う。同社は、日本において地下水を飲料化する事業を行っている。2019年9月にはインドの代理店でもあるEarth Water Limitedと合弁会社Daiki Earth Water Pvt. Ltd.(同社出資比率74%)を設立した。インド国内において排水処理事業及びWater-KIOSKによる飲料水販売事業をBOT※1及びBOO※2により展開している。2021年2月に、首都デリーから北東にあるウッタラーカンド州の高原都市デヘラードゥーン市においてスマートシティ構想を推進する公社とBOT方式によるWater-KIOSK事業の契約を締結した。24ヶ所(24台)の設置で、5年間で110百万円の売上高を見込んでいる。5年間の契約満了後は、2年更新の運用契約により、引き続き同社子会社が運営を受託する予定だ。
※1 BOT(Build Operate Transfer):民間が施設を建設・維持管理・運営し、契約期間終了後に公共へ所有権を移転する方式。
※2 BOO(Build Own Operate):民間が施設を建設・維持管理・運営し、契約期間終了後も民間が施設を所有し続ける、あるいは、施設を解体・撤去して事業を終了させる方式。
スリランカで現地法人を設立。ミャンマーは計画凍結もグループとしての損害は発生せず。中国は合弁会社の黒字転換・配当受領
(6) インド以外の海外事業の動向
a) スリランカ
スリランカ政府は、2017 年に発表した開発方針“Vision 2025”や大統領管轄専門委員会が2019年に発表した“Vision 2030”の中で、排水を高度に処理し生活環境を改善する排水に関連する衛生施設は同国の経済発展に重要なインフラであると公言した。現在のスリランカの排水処理の整備状況は、全国の下水道普及率が2.4%であり、整備が実施されているのはコロンボ市周辺のみに限定される。利用されている浄化槽の96%は機能不全のセプティックタンク(腐敗槽)であり、国土の多くの地域で環境基準を大きく超える水質の悪化が起きている。
同社は、2017 年よりスリランカ現地代理店を通して浄化槽の販売活動を続けてきた。現地代理店と協力した販売活動及び行政府への働きかけにより、市場開拓が進んだ。スリランカにおける水環境改善を進め地球環境へのさらなる貢献をするため、2021年5月に現地法人DAIKI AXIS ENVIRONMENT (PVT) LTD.を設立した。同子会社は、販売活動だけでなく浄化槽の製造(組立)にも従事する。
b) ミャンマー
ミャンマーでは、比較的早く販売活動に従事し、現地法人・新工場の構想を持っていた。計画はクーデターにより全面凍結されたが、投資を開始する以前であったことから、同社グループへの損失は発生していない。
c) ケニア
2019年10月に、ケニアの首都ナイロビに排水処理事業を手掛ける合弁会社DAIKI-USAFI LIMITEDを設立した。同社グループの持分は51%、ケニアの水事業会社が49%を出資した。ケニア国内において、排水処理事業を BOOにより展開する。
d) 中国
中国では、凌志環保股フン有限公司との合弁会社が小型浄化槽「XE型」の生産を拡大している。中国規制厳格化により浄化槽普及が足踏みしていたが、2020年に年間販売台数が1,000基弱に到達した。利益転換により、配当を受領する段階に至った。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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