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注目トピックス 経済総合
認知戦の実態−北方領土におけるロシアの政策−【実業之日本フォーラム】
「認知戦」とは相手の認識に働きかける戦争の一形態と捉えられている。(実業之日本フォーラム2021.4.30記事「6番目の戦場−「認知戦(Cognitive Warfare)」−参照」)人は環境に順応する。「非常事態」も長く続けば、それは「常態」と認識される。別の言い方をすれば、「既成事実を積み上げる」、安全保障に係る英文で目にする「Fait accompli」の状態を達成することが認知戦の目的である。中国の尖閣諸島における公船の活動、南シナ海における「九断線」の主張は、いずれも従来の国際秩序を力で変更し、中国権益の既成事実化を狙うものである。まさに相手に中国の主張を「常識」と認識させる、「認知戦」を遂行していると言える。ロシアによる「認知戦」が成功しつつあるのが北方領土問題である。外務省HPによると、北方領土に対する日本の立場は次のとおりである。「1855年2月7日、日本とロシアの間で『日魯通航条約』が調印され、択捉島とウルップ島の間に国境が確認された。それ以降、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島からなる北方四島は、一度も他国の領土となったことはなく、日本固有の領土である。しかしながら、1945年にソ連に占拠されて以降、今日に至るまでソ連・ロシアによる不法占拠が続いている。」日本としては「不法占拠」であるが、占領後70年以上が経過し、北方四島のロシア化は着実に進行している。独立行政法人北方領土問題対策協会HPによれば、北方四島在住のロシア人の人口は、2016年には16,668人であったものが2018年には18,010人に増加している。北方四島で生まれ育ったロシア人にとって、北方四島は故郷である。2019年1月にロシア政府系世論調査機関が実施したアンケートによると、北方四島のロシア住民の93%が日本への島の引き渡しに反対している。日本が主張する北方領土の返還は、同地に暮らすロシア人にとって、民意に反し、故郷を奪う主張となる。日本人の意識も変化しつつある。内閣府は「北方領土問題に関する世論調査」を5年おきに実施している。2013年の調査では、北方領土問題をある程度知っていると、良く知っている、を併せると81.5%となり、高い認知度を示している。しかしながら2018年の調査では、65.5%に低下している。さらに、北方領土に関する啓発活動への参加意欲について2013年度の調査で、59.5%が参加したくないとしており、この数字は2018年には67.3%に増加している。日本国内における北方領土に対する関心が低下しつつあることを示す数字である。北方領土を論じる場合、忘れてはならないのは、北方領土の安全保障的価値である。防衛白書によると、ロシアは1997年以降、「コンパクト化」、「近代化」、「プロフェショナル化」という3つの方針で軍改革を推進中である。その中で、近代化に関しては、核戦力に重点が置かれ、86%の核戦力が近代化されたとしている。極東地域では、2隻のボレイ級SSBN(弾道ミサイル原子力潜水艦)が配備され、デルタIII級1隻とともにオホーツク海を中心とした海域に配備されている。米国と核抑止体制を構築する上で、残存性の高い第二撃能力であるSSBNの存在は極めて重要である。従ってロシアにとって、SSBNが行動するオホーツク海を聖域化することが必須となる。2016年に択捉島と国後島に対艦ミサイルが配備されたことや、択捉島への最新鋭機Su-35の展開、更には択捉島及び国後島に最大射程400Kmの地対空ミサイルを配備という一連の措置は、オホーツク海にいかなる軍事力の展開も許さないというロシアの強いメッセージと言えよう。2021年9月3日にウラジオストックにおける「東方経済フォーラム」において、プーチン大統領は、北方領土問題を含む日本との平和条約交渉について「ボールは日本側にある」と述べている。更に、クリル諸島(北方領土と千島列島)に経済特区を設け、内外進出企業に課税を免除するという案を公表した。日本政府の方針が「二島先行返還」と「四島一括返還」の間で揺れ、日本の世論が北方領土に対する関心が薄れていく状況をうまく利用し、ロシア支配の既成事実化を経済面でも担保しようとする狙いが透けて見える。日本固有の領土である北方領土がロシアに不法占拠されているという実態は、それが長く続けば続くほど、日本世論にあきらめムードが広がるであろう。ロシア修正憲法には「領土の委譲禁止」の項目が規定されており、昨年罰則規定も制定されている。ロシア政府は、国境線画定は別問題としているが、日ロ交渉の場で、憲法を持ち出す可能性は否定できない。ロシアによる、北方四島支配の政治的、軍事的そして経済的既成事実化は、ロシアによる認知戦の勝利に傾きつつある。ロシアの完全な勝利を阻止するために、粘り強く対ロ交渉を継続する必要がある。韓国に不法占拠されている竹島、中国が根拠なき領有権を主張する尖閣諸島も同様に、激しい認知戦の最中にある。日本の民法には、土地や不動産の「時効取得」という制度がある。20年間にわたり所有する意思をもって土地や不動産を公然と占有している人間に対し、本来の所有者が長年にわたり立ち退きを要求しなかった場合、その不動産や土地は占有者のものとなるという制度である。ロシア、中国及び韓国がいかなる主張を行おうとも、日本が領有権を主張し続けているという事実は重い。これもある意味既成事実化と言える。同じ主張を継続しても意味はない、言っても聞く耳を持たないから言う必要はない、という考え方は相手を利するばかりである。逆に、相手がうるさがるぐらい権利を主張し続けなければならない。領土問題に関しては、沈黙することは決して利とはならない。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:TASS/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
<FA>
2021/09/09 16:20
マザーズ市況
マザーズ指数は4日ぶり反落、国内外株安で利益確定売り、一時上昇も
本日のマザーズ市場では、前場にマザーズ指数が一時上昇する場面もあったものの、結局売り優勢の展開となった。国内外の株式相場が下落し、マザーズ市場でも直近上昇の目立った銘柄を中心に利益確定の売りが出た。ただ、成長期待の高い銘柄を中心に買いも根強く入り、マザーズ指数を下支えした。なお、マザーズ指数は4日ぶり反落、売買代金は概算で1486.42億円。騰落数は、値上がり130銘柄、値下がり236銘柄、変わらず15銘柄となった。 個別では、時価総額上位のメルカリ<4385>やフリー<4478>が軟調。売買代金上位ではPアンチエイジ<4934>や日本電解<5759>が下落し、直近上場のモビルス<4370>は引けにかけて売りが出た。また、グローバルW<3936>は信用取引規制の強化を受けた売りが続き、下落率トップとなった。一方、時価総額上位でもJTOWER<4485>やウェルスナビ<7342>はまずまずしっかり。ウェルスナビは一部証券会社の目標株価引き上げが観測された。売買代金上位ではFRONTEO<2158>がリリースを手掛かりに9%超の上昇。決算発表のハウテレビジョン<7064>も急伸した。また、キャリア<6198>は連日でストップ高を付けた。
<HK>
2021/09/09 16:14
注目トピックス 市況・概況
マザーズ先物概況:反落、時価総額上位が重し、SQの限月交代で方向感の無い値動き
9日のマザーズ先物は前日比8.0pt安の1126.0ptとなった。なお、高値は1142.0pt、安値は1120.0pt、取引高は3899枚。本日のマザーズ先物は、米国市場やナイトセッションが下落した流れを引き継ぎ、反落でスタートした。現物株の寄り付き後は、時価総額上位のHENNGE<4475>、JTOWER<4485>などが上げ幅を拡大して相場を下支えし、マザーズ先物は一時、8.0pt高まで上昇する場面があった。しかし、時価総額上位の弁護士ドットコム<6027>がマイナスに転じ、BASE<4477>も下げ幅を拡大し相場の重しとなり、マザーズ先物は再びマイナスに転じて、反落となり取引を終了した。本日はSQで、限月交代後の相場の方向性を見極めたいとの様子見ムードが強く、プラスとマイナスを行き来する方向感の無い値動きとなった。
<FA>
2021/09/09 16:11
注目トピックス 市況・概況
東京為替:ドル・円は110円付近、ユーロ・円は一段安
9日午後の東京市場でドル・円は続落となり、110円付近に値を下げている。米株式先物の下げ幅拡大で今晩の株安を警戒した円買いが強まり、ユーロ・円は130円を割り込んだ。ドル・円は円買いが下押しするものの、リスクオフのドル買いで下落ペースは緩やかなようだ。ここまでの取引レンジは、ドル・円は110円01銭から110円29銭、ユーロ・円は129円99銭から130円34銭、ユーロ・ドルは1.1811ドルから1.1823ドル。
<TY>
2021/09/09 16:09
注目トピックス 市況・概況
こう着も政策期待が高まるなかで押し目買い意欲は強い【クロージング】
9日の日経平均は9営業日ぶりに反落。173.02円安の30008.19円(出来高概算12億6000万株)で取引を終えた。8日の米国市場の下落を受けて利食い優勢となり、寄り付き直後につけた30097.56円を高値に、こう着感の強い相場展開となった。ただし、前日までの強い上昇基調のなかで過熱感が高まっていたこともあり、想定内の一服に。一方で、香港指数の下落影響から弱含む場面も見られたものの下値は堅く、後場は3万円を挟んだ底堅い値動きで推移した。東証1部の騰落銘柄は値下がり数が1300を超えており、全体の6割を占めた。セクターでは電力ガス、食料品、不動産、水産農林が上昇する一方で、空運、ゴム製品、機械、医薬品、その他金融、輸送用機器の弱さが目立った。指数インパクトの大きいところでは、アドバンテスト<6857>、テルモ<4543>、東エレク<8035>、キッコーマン<2801>、アサヒ<2502>が堅調。半面、ソフトバンクG<9984>、ファーストリテ<9983>、ダイキン<6367>、リクルートHD<6098>が軟調。日経平均は狭いレンジでの推移となったが、3万円を挟んだこう着であり、底堅さは意識されたであろう。米国市場の下落のほか、香港市場ではテンセントが5%を超える下落となり、中国当局による規制強化への懸念が再燃する状況を鑑みれば、基本的には底堅さが意識された格好であろう。引き続き政策期待が高まるなかで押し目買い意欲は強く、海外勢による日本株比率引き上げへの思惑が高まりやすいようだ。また、明日はメジャーSQとなり、足元でのヘッジ対応の動きなどは収まると見る向きもあり、再び出来高薄の需給状況を警戒視する動きを懸念する向きもあるようだ。一方で、当面は政策期待が需給面で指数を下支えする可能性はある。また、NT倍率が上昇基調を強めてきており、足元では東エレクやアドバンテストなどの強い値動きが目立ってきており、海外勢による主力大型株への物色による上昇期待が高まりやすいだろう。
<FA>
2021/09/09 16:09
注目トピックス 市況・概況
大阪金概況:下落、底堅いドル相場や株の先高観など反映
大阪取引所金標準先物 22年8月限・日中取引終値:6323円(前日日中取引終値↓52円)・推移レンジ:高値6343円-安値6320円9日の大阪取引所金標準先物(期先:22年8月限)は下落した。金の価格決定要因として注目されるドル相場は、ドルの総合的な価値を示すドルインデックスが昨日上昇し、今日も底堅く推移したことから、ドルの代替投資先とされる金が売られやすい地合いとなった。また、今日の日経平均は上昇が一服したものの、株価の先高観は強く、安全資産としての金に資金が向かいにくい状況となり、こうした動きを映し、今日の金先物は売りが優勢の展開となった。
<FA>
2021/09/09 16:05
みんかぶニュース 個別・材料
ビジョナルの21年7月期業績は計画上振れで着地
ビジョナル<4194.T>がこの日の取引終了後、集計中の21年7月期の連結業績予想について、売上高が267億円から286億9800万円(前の期比10.9%増)へ、営業利益が9億6000万円から23億6800万円(同8.3%増)へ、純利益が3億9000万円から14億2000万円(同69.5%減)へ上振れて着地したようだと発表した。
プロフェッショナル領域の採用支援市場が想定より早く力強い回復を見せ、ビズリーチ事業が好調に推移したことが要因としている。
出所:MINKABU PRESS
2021/09/09 16:02
注目トピックス 市況・概況
日経VI:上昇、急ピッチな株価上昇一服も引き続き相場過熱を警戒
日経平均ボラティリティー・インデックス(投資家が将来の市場変動の大きさをどう想定しているかを表した指数)は9日、前日比+0.38pt(上昇率1.79%)の21.58ptと上昇した。なお、高値は22.12pt、安値は20.98pt。今日の東京株式市場は売りが先行し、日経225先物は下落して始まった。今日は急ピッチな株価上昇は一服したものの、市場では引き続き過熱感が意識され、ボラティリティーの高まりを警戒するムードも継続し、今日の日経VIは概ね昨日の水準を上回って推移した。また、明日の株価指数先物・オプション9月物の特別清算指数(SQ)算出に絡んだオプションの需給要因による日経VIの動きを指摘する向きもあったようだ。【日経平均VIとは】日経平均VIは、市場が期待する日経平均株価の将来1か月間の変動の大きさ(ボラティリティ)を表す数値です。日経平均株価が急落する時に急上昇するという特徴があり、日経平均株価と通常は弱く逆相関する傾向があります。一方、数値が急上昇した後に、一定のレンジ(20~30程度)に回帰するという特徴も持っています。
<FA>
2021/09/09 16:00
相場概況
日経平均は9日ぶり反落、海外株安が重し、終値は3万円台維持
日経平均は9日ぶり反落。8日の欧州市場は全般軟調で、米国市場でもNYダウが3日続落して68ドル安となった。各中央銀行の量的緩和の縮小観測や景気減速を警戒した売りが出た。本日の日経平均もこうした流れを引き継いで222円安からスタートすると、中国当局によるゲーム大手への規制強化を懸念して香港株が軟調だったこともあり、後場に29909.92円(前日比271.29円安)まで下落する場面があった。ただ、自民党総裁選に向けた次期政権への期待が相場を下支えし、終値では3万円台を維持した。大引けの日経平均は前日比173.02円安の30008.19円となった。東証1部の売買高は12億6035万株、売買代金は3兆0761億円だった。業種別では、空運業、ゴム製品、機械が下落率上位で、その他も全般軟調。一方、電気・ガス業、食料品、不動産業など4業種が上昇した。東証1部の値下がり銘柄は全体の62%、対して値上がり銘柄は32%となった。個別では、、前日にかけて大きく買われていたソフトバンクG<9984>が5日ぶりに反落し、高値更新基調だったレーザーテック<6920>も5%超の下落となった。郵船<9101>、トヨタ自<7203>、任天堂<7974>はさえない。中国ゲーム株の急落でネクソン<3659>などが売られ、ヤクルト<2267>は中国事業のリスクから外資系証券が投資判断を引き下げたことが売り材料視された。また、GMO−GS<3788>などが東証1部下落率上位に顔を出した。一方、東京電力HD<9501>が商いを伴って11%の上昇。自民党総裁選への出馬が見込まれる河野太郎規制改革担当相が安全な原発の稼働を容認する姿勢を示し、警戒感が後退したようだ。ただ、再生可能エネルギー発電のレノバ<9519>も引き続き賑わった。東エレク<8035>、ソニーG<6758>、商船三井<9104>は小じっかり。また、決算発表のミライアル<4238>などが東証1部上昇率上位に顔を出した。
<HK>
2021/09/09 15:55
注目トピックス 市況・概況
Eワラント:売れ筋・値上がりランキング(大引け)
■eワラント売れ筋トップ10(2021/9/9 15:30現在)順位 銘柄名(権利行使価格) 前日比 レバレッジ 販売価格1 ビットコイン先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー(1米ドル) +0.20% 1.00 51.43円2 イーサリアム先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー (1米ドル) +2.92% 1.00 77.80円3 銀リンク債 コール(25米ドル) -10.00% 16.51 0.32円4 日経平均 プット(21,000円) 0.00% -8.25 0.64円5 東日本旅客鉄道 コール(7,500円) -2.88% 7.58 1.42円6 資生堂 プット (7,500円) +15.87% -6.00 1.52円7 イーサリアム2021年10月 プラス5倍トラッカー (2,175米ドル) +5.63% 1.80 22.93円8 日本郵船 コール(7,000円) -0.55% 3.18 22.07円9 日経平均 プット (30,000円) +0.85% -6.04 5.11円10 プラチナリンク債 プラス5倍トラッカー (950米ドル) -6.42% 10.59 11.56円■eワラント値上がりトップ10(2021/9/9 15:30現在)順位 銘柄名(権利行使価格) 前日比 レバレッジ 原資産騰落率(前日比)1 電源開発 コール (2,150円) +28.00% 10.84 +2.61%2 電源開発 コール (1,900円) +27.27% 10.25 +2.61%3 アサヒグループホールディングス コール (5,900円) +21.77% 8.09 +2.73%4 アサヒグループホールディングス コール (6,700円) +20.97% 8.84 +2.73%5 電源開発 コール(1,650円) +18.92% 7.15 +2.61%6 ニアピン米ドルr2 (108円) +17.48% -62.22 -0.25%7 ソフトバンク コール (1,650円) +16.90% 10.18 +1.73%8 ソフトバンク コール (1,850円) +16.00% 12.42 +1.73%9 アサヒグループホールディングス コール (5,100円) +15.99% 5.80 +2.73%10 資生堂 プット (7,500円) +15.87% -6.00 -2.72%注:eワラントについて、前日23:50時点の終値(買取価格)と掲載時点の価格(買取価格)を比較(出所:Eワラント証券ウェブサイト)
<FA>
2021/09/09 15:45
注目トピックス 経済総合
電源開発を対象とするコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(9日10:22時点のeワラント取引動向)
新規買いは原資産の株価下落が目立つJFEホールディングス<5411>コール150回 10月 1,750円を逆張りで買う動きなどが見られる。上昇率上位は電源開発<9513>コール18回 10月 2,150円(+28.0%)、電源開発コール17回 10月 1,900円(+27.3%)、電源開発コール16回 10月 1,650円(+18.9%)、明治ホールディングス<2269>コール57回 10月 7,900円(+15.7%)、旭化成<3407>コール33回 10月 1,600円(+13.0%)などとなっている。(eワラント証券)
<FA>
2021/09/09 15:45
みんかぶニュース 市況・概況
東京株式(大引け)=173円安、利益確定の売りで9日ぶり反落
9日の東京株式市場は利益確定の売りが出て日経平均は反落となった。後場は3万円台を下回って推移する時間が長かったが、引け際に下げ幅を縮小し大台を維持して着地した。
大引けの日経平均株価は前営業日比173円02銭安の3万8円19銭と9日ぶり反落。東証1部の売買高概算は12億6035万株、売買代金概算は3兆761億円。値上がり銘柄数は706、対して値下がり銘柄数は1363、変わらずは120銘柄だった。
きょうの東京市場は朝方から売り優勢の展開。日経平均は前日まで8営業日で2500円以上の上昇をみせていたこともあり、その反動が出た。前日の欧米株市場が総じて軟調な動きで、米国株市場では新型コロナウイルス感染再拡大の影響で景気回復ペースが鈍化するとの警戒感に加え、FRBによるテーパリング前倒しを意識した売りで主要3指数ともに軟調だった。香港株市場が軟調に推移したことが買いを手控えさせたほか、あすのメジャーSQ算出を控え、買い戻しが一巡したとの思惑も上値を重くした。一方、新政権による経済対策への期待感などを背景に下値では押し目買いが入り、下げ幅も限定的なものにとどまった。もっとも業種別では電力株が一極集中的に買われたものの、33業種中で値上がりはわずか4業種にとどまっている。
個別では、売買代金トップのソフトバンクグループ<9984.T>が軟調だったほか、レーザーテック<6920.T>も大幅安に売られた。任天堂<7974.T>が値を下げ、ファーストリテイリング<9983.T>も安い。塩野義製薬<4507.T>も利食われる展開となった。GMOグローバルサイン・ホールディングス<3788.T>が急落、ヤクルト本社<2267.T>も大きく値を下げた。日本ペイントホールディングス<4612.T>、ブイキューブ<3681.T>なども下落した。
半面、東京電力ホールディングス<9501.T>が大幅高に買われ、東京エレクトロン<8035.T>もしっかり。レノバ<9519.T>が上値指向となり、三菱商事<8058.T>も終始買いが優勢、ベイカレント・コンサルティング<6532.T>も高い。ミライアル<4238.T>が値上がり率トップに買われ、東京機械製作所<6335.T>は4日連続のストップ高、ラクス<3923.T>、アイモバイル<6535.T>も値を飛ばした。
出所:MINKABU PRESS
2021/09/09 15:44
注目トピックス 市況・概況
東証業種別ランキング:電力・ガスが上昇率トップ
電力・ガスが上昇率トップ。そのほか食料品、不動産業、水産・農林業も上昇。一方、空運業が下落率トップ。そのほかゴム製品、機械、医薬品、その他 金融業なども下落。業種名/現在値/前日比(%)1. 電力・ガス業 / 371.36 / 3.202. 食料品 / 1,808.8 / 0.793. 不動産業 / 1,550.2 / 0.194. 水産・農林業 / 504.42 / 0.185. 鉱業 / 229.86 / -0.076. 小売業 / 1,452. / -0.077. 海運業 / 1,039.32 / -0.138. 卸売業 / 1,907.5 / -0.219. 鉄鋼 / 517.68 / -0.3510. 電気機器 / 3,958.36 / -0.5011. パルプ・紙 / 528.61 / -0.5312. その他製品 / 3,632.25 / -0.5613. 石油・石炭製品 / 1,000.39 / -0.5714. サービス業 / 3,150.13 / -0.6015. 化学工業 / 2,469.39 / -0.7016. 繊維業 / 613.54 / -0.8017. 情報・通信業 / 5,155.6 / -0.8718. 非鉄金属 / 1,006.62 / -0.8919. 陸運業 / 1,893.62 / -0.8920. 精密機器 / 11,823.02 / -0.9321. 建設業 / 1,185.48 / -0.9622. 証券業 / 398.81 / -1.0023. 金属製品 / 1,431.32 / -1.0724. 保険業 / 1,100.24 / -1.0925. ガラス・土石製品 / 1,233.71 / -1.1126. 銀行業 / 146.76 / -1.2027. 倉庫・運輸関連業 / 1,925.95 / -1.2528. 輸送用機器 / 3,398.76 / -1.2729. その他金融業 / 747.73 / -1.3930. 医薬品 / 3,302.87 / -1.4231. 機械 / 2,467.77 / -1.5432. ゴム製品 / 3,633.26 / -1.6133. 空運業 / 206.64 / -1.74
<FA>
2021/09/09 15:38
みんかぶニュース 為替・FX
外為サマリー:110円10銭前後で推移、ECB理事会に関心
9日の東京外国為替市場のドル円相場は、午後3時時点で1ドル=110円12銭前後と前日午後5時時点に比べ10銭強のドル安・円高。ユーロは1ユーロ=130円08銭前後と同30銭強のユーロ安・円高で推移している。
ドル円は、午前9時時点では110円20銭前後で推移していたが、その後はじり安展開となり、午後にかけ110円10銭前後へ軟化した。この日は株式市場で日経平均株価が9日ぶりの下げ基調となっており、リスク志向のドル買い・円売りの動きも弱まった。今晩は欧州中央銀行(ECB)理事会が予定されており、その結果待ちの状況となっている。
ユーロは対ドルでは1ユーロ=1.1812ドル前後と同0.0010ドル強のユーロ安・ドル高で推移している。
出所:MINKABU PRESS
2021/09/09 15:34
みんかぶニュース 投資家動向
<個人投資家の予想> 09月09日 15時
■ 買い予想数上昇(最新48時間)
(銘柄コード) 銘柄 市場 [ 割安/割高 ]
(6535) アイモバイル 東証1部 [ 割高 ]
(9984) ソフトバンクグループ 東証1部 [ 割高 ]
(4238) ミライアル 東証1部 [ 割高 ]
(6338) タカトリ 東証2部 [ 割高 ]
(8306) 三菱UFJ 東証1部 [ 割高 ]
■ 売り予想数上昇(最新48時間)
(銘柄コード) 銘柄 市場 [ 割安/割高 ]
(3810) サイバーステップ 東証2部 [ 割安 ]
(3161) アゼアス 東証2部 [ 割安 ]
(3071) ストリーム 東証2部 [ 分析中 ]
(3936) グローバルウェイ 東証マザーズ [ 分析中 ]
(9984) ソフトバンクグループ 東証1部 [ 割高 ]
出所:MINKABU PRESS
2021/09/09 15:32
みんかぶニュース 市況・概況
明日の主なマーケットイベント
○経済統計・イベントなど
10:20 日・3カ月物国庫短期証券の入札
15:00 英・鉱工業生産指数
15:00 英・製造業生産指数
15:00 英・商品貿易収支
15:00 英・貿易収支
15:00 独・消費者物価指数(改定値)
15:45 仏・鉱工業生産指数
21:30 米・卸売物価指数
23:00 米・卸売売上高
23:00 米・卸売在庫
※日・株価指数先物/オプションの特別清算指数(SQ)算出
※日・閣議
※インド市場が休場
○決算発表・新規上場など
決算発表:ケア21<2373>,ギグワークス<2375>,くら寿司<2695>,丸善CHI<3159>,鳥貴族HD<3193>,クロスプラス<3320>,菊池製作<3444>,アセンテック<3565>,エイチーム<3662>,ソフトウェア<3733>,フリービット<3843>,gumi<3903>,カラダノート<4014>,神島化<4026>,ブレインズ<4075>,HEROZ<4382>,ラクスル<4384>,トビラシステ<4441>,セルソース<4880>,クミアイ化<4996>,オハラ<5218>,イトクロ<6049>,巴工業<6309>,サムコ<6387>,三井ハイテ<6966>,さくらさく<7097>,シルバライフ<9262>,HIS<9603>,オーエス<9637>,丹青社<9743>ほか
出所:MINKABU PRESS
2021/09/09 15:30
みんかぶニュース 為替・FX
午後:債券サマリー 先物は小反発、5年債入札結果は順調
9日の債券市場で、先物中心限月9月限は小反発。米債券高を手掛かりに買いが先行したものの、今晩に開催される欧州中央銀行(ECB)理事会を見極めたいとして上値は重かった。
8日に実施された米10年債入札が好調な結果となったほか、米連邦準備理事会(FRB)が発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で「7月上旬から8月にかけて米経済は拡大ペースがわずかに鈍化した」との認識が示されたことから、同日の米長期金利が低下(価格は上昇)。これが国内債の支援材料となり、債券先物は朝方に151円94銭まで買われる場面があった。ただ、ECBが新型コロナウイルス危機対応の資産購入特別枠(PEPP)の縮小開始を決定するかどうかが注目されるなか、模様眺めムードが広がりやすく積極的に上値を買い上がる勢いには乏しかった。午後には5年債入札の結果を好感する動きがみられたが、相場を押し上げる効果は限定的だった。なお、5年債入札の結果は、小さければ好調とされるテール(平均落札価格と最低落札価格の差)が1銭と前回(8月24日)の2銭から縮小し、応札倍率は4.42倍と前回の3.76倍を上回った。
先物9月限の終値は前日比3銭高の151円88銭となった。現物債市場で10年債の利回りは、前日に比べて横ばいの0.040%だった。
出所:MINKABU PRESS
2021/09/09 15:24
注目トピックス 日本株
オンコリス Research Memo(11):開発ステージのため、無配を継続
■株主還元策オンコリスバイオファーマ<4588>は現在、研究開発が先行する開発ステージの企業であり、業績は損失が続いていることから、配当は実施していない。今後、期間損益で安定的に利益計上できるようになり、内部留保が充実した段階において、配当についても検討していくものと考えられる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2021/09/09 15:21
注目トピックス 日本株
オンコリス Research Memo(10):当面の研究開発資金は確保するも、今後も資金調達を行う可能性あり
■業績動向と財務状況4. 財務状況オンコリスバイオファーマ<4588>の2021年12月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比2,400百万円増加の5,197百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では新株予約権の行使に伴い現金及び預金が2,579百万円増加した。また、固定資産では長期前払費用が49百万円減少した。負債合計は前期末比76百万円減少の716百万円となった。有利子負債が33百万円増加した一方で、未払金が122百万円減少した。また、純資産は2,477百万円増加の4,480百万円となった。四半期純損失650百万円を計上した一方で、株式の発行収入により資本金及び資本剰余金が合わせて3,128百万円増加した。同社は2023年12月期までの3年間の研究開発資金等の事業活動資金を確保するため、2021年1月に第三者割当による新株予約権を発行し、約31億円の資金調達を実施した。主なものとして、テロメライシンの上市に向けた製法開発等の研究開発費で1,970百万円、次世代テロメライシンの研究開発費で1,350百万円、新型コロナウイルス感染症治療薬の研究開発費で800百万円となっている。株価が低迷したことにより予定していた調達額には届かなかったが、当面の事業活動資金は確保できたことになる。ただ、今後もライセンス契約等による大型の一時金収入が無ければ、2023年頃には再度、資金調達を検討する可能性が出てくるものと思われる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<ST>
2021/09/09 15:20
注目トピックス 日本株
オンコリス Research Memo(9):2021年12月期第2四半期累計業績は前年同期並みの水準に
■業績動向と財務状況1. 2021年12月期第2四半期累計業績の概要オンコリスバイオファーマ<4588>の2021年12月期第2四半期累計の売上高は前年同期比56百万円増加の193百万円、営業損失は同26百万円縮小の633百万円、経常損失は同13百万円縮小の649百万円、四半期純損失は同13百万円縮小の650百万円となった。売上高はメディジェンからのテロメライシンにかかる開発協力金収入※に加えて、中外製薬向け治験薬の販売等テロメライシン関連の収入などを計上した。※テロメライシンに関する開発費用の負担軽減を目的にメディジェンとの共同開発契約の改定を2017年3月に実施。従来、対象を肝細胞がんのみとしていたのに対して、新たに食道がんとメラノーマの共同開発権も付与した。以降、肝細胞がんに加えて食道がん、メラノーマの研究開発費用の一部をメディジェンから開発協力金として受領している。一方、費用面では研究開発費等が前年同期比49百万円減少の371百万円となった。前述したようにコロナ禍で臨床試験の進捗やGMP製造のためのバリュデ—ションなどが遅れ気味となっていることが影響した。販管費が前年同期比で11百万円増加したが、人件費の増加が主因となっている。2021年12月期業績も損失計上が続く見込みで、研究開発の進捗とライセンス契約締結の有無が変動要因に2. 2021年12月期の業績見通し2021年12月期の業績見通しはコロナ禍の先行きが不透明なため、レンジ形式で開示している。売上高は350~700百万円、営業損失、経常損失、当期純損失はそれぞれ1,650~2,000百万円となる見通しだ。売上高についてはメディジェンからの開発協力金、中外製薬向けのテロメライシンの治験薬販売、岡山大学向け次世代テロメライシンの開発請負収入に加えて、中国圏でのテロメライシンのライセンス契約の締結が実現すれば上乗せの可能性も見えてくる。一方、費用面では「OBP-702」や新型コロナウイルス感染症治療薬の開発費用増加、また、テロメライシンの上市に向けた製法開発等の開発費用の増加を見込んでおり、研究開発費等は2020年12月期の1,050百万円から増加する見通しとなっているが、全体的に開発スケジュールが遅れ気味となっていることもあり、研究開発費については通期でも前期比で減少する可能性がある。次世代テロメライシンなどその他パイプラインの開発を進め、さらなる企業価値向上を目指す3. 中長期の成長イメージ同社はテロメライシンを中外製薬に導出したが、さらなる価値向上を図るため、米国で複数の医師主導治験を進めており、中外製薬によるオプション権行使につなげていきたい考えだ。中外製薬では当面、国内での食道がん(放射線併用療法)を対象とした上市を最優先に取り組んでいくものと思われるが、本来の目的は自社の免疫チェックポイント阻害剤であるアテゾリズマブとの併用療法による開発を進め、アテゾリズマブの市場価値を高めていくことにあると思われる。このため現在、日米で進められているペムブロリズマブとの併用療法による医師主導治験の結果が良好であれば、米国でもオプション権を行使してグループ会社であるジェネンテック社により、同一対象疾患の企業治験をアテゾリズマブで進めていく可能性が高いと弊社では見ている。医師主導治験の結果や中外製薬が国内で今後新たに進める臨床試験の結果が纏まる時期としては2022年から2024年頃になると見られ、オプション権が行使されるかどうかのタイミングも同時期になるものと思われる。オプション権が行使されれば、開発が海外でも進展しマイルストーン収入等の収益獲得も見込めることになる。また、最も開発が先行している国内の食道がんを対象とした放射線療法との併用による第2相臨床試験については、中外製薬が先駆け指定審査制度を使って、2024年の承認申請を目指す方針であることを明らかにしており、テロメライシンの上市による売上貢献も2024年以降になるものと予想される。当面の業績については研究開発費が先行し、損失が続く可能性が高いものの、2024年以降はテロメライシンの上市が期待されるほか、「OBP-702」・「OBP-601」・「OBP-2011」などその他のパイプラインについてもライセンス契約やマイルストーン収入が得られる可能性がある。また、テロメスキャンについてもAI技術によるCTC自動解析ソフトウェアによる検査プラットフォームが確立できれば、2025年以降は商用化開始による収益貢献が期待できることになる。コロナ禍が長引くなかで、国内外の臨床試験の進捗が遅れ気味となっていることにより、収益化のタイミングについても従来よりはやや遅れるものの、早ければ2024年以降に収益化ステージに入るものと弊社では予想している。長期的には、第3世代テロメライシン等の開発や医療現場でのニーズが高い難病、希少疾病を対象とした新たな治療薬候補品の導入などにも注力していく方針となっており、収益ポートフォリオを拡充しながら企業価値のさらなる向上を目指していく戦略だ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2021/09/09 15:19
日経QUICKニュース
新興株9日 ジャスダック、マザーズとも反落 東映アニメは6日続伸
9日の新興企業向け株式市場で、日経ジャスダック平均株価は反落した。終値は前日比3円28銭(0.08%)安い4062円41銭だった。これまで戻りを強めていた銘柄に利益確定売りが出た。ただ、国内の経済正常化への期待から内需関連の一角に資金が流入し、下げ幅は限定的だった。 ジャスダック市場の売買代金は概算で597億円、売買高は5436万株だった。ハーモニック、フクダ電子が安い。一方、東映アニメ、マクドナルドが買われた。東映アニメは6日続伸し、新興市場で時価総額ランキングトップとなった。 東証マザーズ指数は4営業日ぶりに反落した。終値は前日比8.26ポイント(0.71%)安い1149.57だった。メルカリ、BASEなど主力のIT(情報技術)関連が下げた。半面、FRONTEOが商いを伴って買われ、上場来高値を更新。ジーエヌアイも高い。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
2021/09/09 15:19
注目トピックス 日本株
オンコリス Research Memo(8):「OBP-601」は導出先の米ベンチャー企業が第2相臨床試験を開始
■オンコリスバイオファーマ<4588>の開発パイプラインの動向5. その他パイプライン(1) OBP-601(センサブジン)核酸系逆転写酵素阻害剤「OBP-601」に関しては2020年6月に、トランスポゾン社との間で、主に神経変性疾患(ALS、認知症等)の治療薬開発に関して、全世界における再許諾権付き独占的ライセンス契約を締結したことを発表した。ライセンス契約の総額は3億米ドル以上となる。「OBP-601」は、米ブラウン大学が実施した動物実験の結果により、神経変性疾患に有効であるとのデータが得られたことにより、トランスポゾン社との契約につながっている。具体的には、「OBP-601」がレトロトランスポゾン※の逆転写と複製を抑制する効果があることと、脳内への高い移行性を示すことが確認された。レトロトランスポゾンが複製されると、遺伝子の突然変異が起こりやすくなり、様々な反応により神経細胞を傷つけることで神経変性疾患が発症し、症状が悪化すると考えられている。「OBP-601」がこうした逆転写や複製を抑制することで、症状の悪化スピードを遅らせる効果が期待されている。※レトロトランスポゾンとは、「可動遺伝因子」の一種であり、多くの真核生物組織のゲノム内に普遍的に存在する物質で、自身をRNAに複写した後、逆転写酵素によってDNAに複写されてから新たな場所に挿入することで転移する。DNA型トランスポゾン(狭義のトランスポゾン)が転移する場合と異なり、レトロトランスポゾンの転移では、DNA配列の複製が起こる。同社は2021年8月に、トランスポゾン社による2つの神経変性疾患を対象とした米国の第2相臨床試験のIND申請及び審査手続きが完了したことを発表した。対象疾患は「進行性核上性麻痺」※1と「筋萎縮性側索硬化症※2及び前頭側頭型認知症※3」で、これらの疾患は指定難病で未だ有効な治療法が確立していないアンメット・メディカル・ニーズの強い疾患となる。いずれも予定症例数は40例で、2023~24年の終了を見込んでいる。安全性と忍容性を確認し、副次評価項目として有効性を確認する試験となる。プラセボを比較対象とした二重盲検試験となるため、中間解析は行わず、最終結果を見て次のステップに進むかどうか判断することになる。※1 進行性核上性麻痺(PSP: Progressive Supranuclear Palsy)は、脳の神経細胞が減少することにより、転びやすくなったり、しゃべりにくくなったりするなどの症状が見られる疾患。発症は40歳以降で、高齢者に多く発症する。国内における有病率は10万人に10~20人程度と推測されている。※2 筋萎縮性側索硬化症(ALS: Amyotrophic Lateral Sclerosis)は、脳の運動を司る神経が何らかの理由で障害を受け、徐々に機能しなくなることで、四肢や呼吸に必要な筋肉が痩せて力がなくなっていく進行性の疾患。国内では1年間に人口10万人当たり1~2.5人が発症している。※3 前頭側頭型認知症(FTD:Frontotemporal Dementia)は、主として初老期に発症し、大脳の前頭葉や側頭葉を中心とする神経細胞の変性・脱落により、人格変化や行動障害、失語症、認知機能障害、運動障害などが緩徐に進行する神経変性疾患。国内では約1.2万人の患者がいると推定されている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2021/09/09 15:18
注目トピックス 日本株
オンコリス Research Memo(7):テロメスキャンはCTC検査プラットフォームの商用化を目指す
■オンコリスバイオファーマ<4588>の開発パイプラインの動向4. テロメスキャン(1) 概要テロメスキャンは、アデノウイルスの基本構造を持ったテロメライシンにクラゲのGFPを組み込んだ遺伝子改変アデノウイルスとなる。テロメラーゼ陽性細胞(がん細胞等)に感染することでGFPが発現し、緑色に蛍光発光する作用を利用して、がん転移のプロセスに深く関与するCTCを高感度に検出する。検査方法としては、患者の血液を採取し、赤血球の溶血・除去後にテロメスキャンを添加しウイルスを感染させる。感染により蛍光発光したテロメラーゼ陽性細胞を検出、CTCを採取する流れとなる。これまでPET検査などでは検出が難しかった直径5mm以下のがん細胞の超早期発見や、転移・再発がんの早期発見のための検査薬としての実用化を目指している。また、検出したCTCを遺伝子解析することによって個々の患者に最適な治療法を選択する「コンパニオン診断」※としての開発も将来的に期待されている。※患者によって個人差がある医薬品の効果や副作用を投薬前に予測するために行われる臨床検査のこと。薬剤に対する患者個人の反応性を遺伝子解析によって判別し、最適な治療法を選択できるようにする。新薬の臨床開発段階でも用いられる。(2) 開発状況テロメスキャンの開発に関しては、課題であった目視によるCTCの検出時間を大幅に短縮するため、2020年6月にAI技術開発のベンチャーである(株)CYBO(以下、CYBO社)と開発委託契約を締結し、AI技術を用いたCTC自動解析ソフトウェアによる検査プラットフォームの開発に取り組んでいる。開発の第1段階となるT-CAS1(TelomeScan-CTC Analysis System)については2020年10月に完成し、CTCの有無判定の自動化により、検体処理時間の大幅短縮と判定結果の標準化を実現している。具体的には、従来の目視検査で1検体当たり数時間かかっていた工程を、同プラットフォームを使うことで検体処理時間が2~3分と大幅な短縮を実現した。ただ、これだけではまだ実用化には至らないと考えており、現在、悪性度判定や特殊抗原分析、がん遺伝子分析なども行える自動化システムの開発(T-CAS2/T-CAS3)を進めている状況にある。こうしたなか、2021年6月に順天堂大学と共同研究講座「低侵襲テロメスキャン次世代がん診断学講座」を開設したことを発表した。同講座でCTC検査プラットフォーム「TCAS-J」(TelomeScan CTC Analysis System-Juntendo)を完成させ、臨床で実用化することを目標に研究開発を進めていく。AI技術によるCTC自動解析ソフトウェアを用いることで、CTC数の自動カウントやCTCの性質評価を行うプラットフォームの完成を目指す。これにより、がんの早期発見のみならず、治療法の選択やがん患者の治療モニタリング等を適切に行うことが可能となる。CTC検査プラットフォームの完成時期は、3年後の2024年5月を目標としている。完成後に順天堂大学にてCTC検査センターを開設し、2025年以降に関連病院などを含めてがん検査のサービス提供を開始する予定だ。また、同社は検査キット(テロメスキャン、各種抗体)や自動解析ソフトウェアを全国に販売し、収益を獲得していくことになる。サービスのイメージとしては、成人病検診の際に行うがんの各種検査項目の一つとして、テロメスキャンを用いたCTC検査サービスを追加し、任意で検査を受けられるようにする。同検査で陽性だった人は精密検査を行うことになる。なお、導出先のリキッド社でもTCASの評価を終えており、今後の実用化に向けた検討を開始した段階にある。米国でも肺がん患者の早期発見用や治療後の再発診断用として、テロメスキャンの有効性は臨床研究などで確認されており、今後の動向が注目される。(3) 競合状況テロメスキャンのターゲット市場となるCTCの検査市場では、現在米Veridex社の開発したCellSearchシステムが唯一米市場で薬事承認を受けており、乳がん・大腸がん・前立腺がんのCTC検出において使用されている。また、CTC検査だけでなく血中循環腫瘍DNA(ctDNA)検査など遺伝子検査技術を開発する企業も増えてきており、競争が激しい市場となっている。こうしたなかで、テロメスキャンは肺がん細胞をはじめとするほとんどのがん種においてCTCの検出が可能なほか、血中で生きているCTCや悪性度の高い間葉系細胞も捕捉できることが特徴となっている。また、がん転移後のCTCを分析することで患者ごとに最適な治療法が選択可能となるコンパニオン診断としての活用も将来的に見据えている。今後、臨床試験によりさらなるデータを蓄積するとともに、CTC自動解析ソフトウェアを完成させることで普及拡大を目指していく考えだ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2021/09/09 15:17
注目トピックス 日本株
オンコリス Research Memo(6):次世代テロメライシンは米国で2023年のIND申請、臨床試験入りを目指す
■開発パイプラインの動向2. 次世代テロメライシン「OBP-702」オンコリスバイオファーマ<4588>は次世代テロメライシンとして、テロメライシンに強力ながん抑制遺伝子であるp53を組み込んだアデノウイルス製剤「OBP-702」の開発を進めている。がん患者の30~40%でp53遺伝子に変異・欠損(悪化因子)があり、こうした患者向けの腫瘍溶解・遺伝子治療となる。テロメライシンより約10~30倍の抗腫瘍活性を示すほか、間質細胞※を破壊する能力の高いことが非臨床試験から明らかとなっている。※臓器の結合組織に関わる細胞で、生体組織の支持構造を構成し、実質細胞を支える細胞である。線維芽細胞、免疫細胞、周皮細胞、内皮細胞及び炎症性細胞が間質細胞の最も一般的な種類で、間質細胞と腫瘍細胞との相互作用は、がん細胞の増殖と進行に大きな影響を及ぼすことが知られている。2017年度の国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の研究プロジェクトとして採択され、岡山大学において、ヒト型骨肉腫細胞株をマウスに移植した非臨床試験を実施、投与後28日目の腫瘍の大きさをテロメライシンやp53の単独投与と比較したところ、大きさを約半分に抑える効果があることが確認されている。また、2019年4月に米国で開催された癌学会において、すい臓がん細胞の増殖に対して強力な抑制効果があり、すい臓がん細胞の組織浸潤と転移を抑制できる可能性のあることが動物実験モデルにより示されたほか、神経芽腫細胞に対してがん関連遺伝子やテロメラーゼ活性を抑制し、非常に強い増殖抑制作用が示されたことなどが研究報告として発表されている。「OBP-702」の開発方針については、国内外の臨床医の意見を参考にして、アンメット・メディカル・ニーズが強く、テロメライシンで効果が得られにくいがん種、あるいは既存治療法に抵抗を示すがん(p53遺伝子欠損・変異がん)や間質細胞の多い難治性がんなどを対象に、免疫チェックポイント阻害剤との併用療法で開発を進めていく方針だ。具体的には、骨肉腫、直腸がん、すい臓がんなどを想定している。なお、今後の開発スケジュールについては、米国でIND申請を2023年に行い、第1相臨床試験を実施して安全性を確認する。対象疾患は未定だが、骨肉腫か直腸がんとなる可能性が高いと弊社では見ている。当初は2022年内のIND申請を計画していたが、「OBP-702」の生産性が低くコスト高となるため、生産性を高めたうえで臨床試験を開始することにした。製法はテロメライシンと同様だが、「OBP-702」の活性が強すぎて元々の細胞が死んでしまい、細胞を捕食して増殖するウイルスの量がテロメライシンの数分の1程度と少なくなることが要因だ。同社ではウイルスの回収量を引き上げるために、培養液等の諸条件を最適化して細胞数を増やす取り組みを進めており、2021年内にはこうした課題もクリアできると見ている。また、日本での開発は米国での第1相臨床試験で安全性を確認した後に、2024年以降に治験申請を行う予定だ。岡山大学ですい臓がんを対象とした医師主導の第1/2相臨床試験を免疫チェックポイント阻害剤との併用で実施していく予定にしている。動物実験モデルではそれぞれの単独療法よりも併用療法のほうが格段に高い薬効が確認されており、開発期間を短縮する意味もあって、当初から併用療法で開発を進めていく考えだ。日米それぞれで開発を進め順調に進めば、2025年頃にライセンス契約を締結できる可能性がある。新型コロナウイルス感染症治療薬は2022年に治験申請を行い、ライセンス契約も視野に入れながら開発を進めていく方針3. 新型コロナウイルス感染症治療薬「OBP-2011」同社は鹿児島大学との共同研究の中で、新型コロナウイルス感染症の原因ウイルスであるSARS-CoV-2に対して強い増殖抑制効果を有する低分子化合物を複数特定し、培養細胞を用いた実験では承認済みのレムデシビルと同等以上の活性が示されたことを確認した。2020年6月に同研究成果に基づいて、鹿児島大学が出願中の抗SARS-CoV-2薬の特許譲受に関する契約を締結し、開発に着手した。鹿児島大学に対しては、今後、開発進展に応じたマイルストーン、第三者からの収入に応じたロイヤリティなどを支払っていくことになる。2021年3月に、複数の候補化合物の中から「OBP-2011」を開発品とすることを決定し、経口剤として開発を進めていくことを発表している。対象はPCR陽性の無症状から軽症までの患者とする。2022年上半期までにGMP基準による製造や毒性試験、薬理試験、前臨床試験などを完了し、直ちに治験申請を行って第1a/1b相臨床試験を実施する予定だ。数十人規模の健常者を対象に単回投与及び反復投与を実施する。安全性に問題が無ければ、PCR陽性者を対象にした第2相臨床試験を低用量群と高用量群に分けて実施し、順調に進めば2023年内にPOCを取得できる可能性がある。なお、国内で経口薬が先に販売されていれば被験者の募集が難しくなる可能性があり、その場合にはアジア地域での治験実施も視野に入れている。なお、作用機序については既存承認薬や競合の開発品とは異なるため、併用療法により薬効が向上する可能性もあると見ている。今後、作用機序を整理して、欧米の大手製薬企業とのライセンス契約交渉も進めていくことにしている。なお、治療薬開発に向けた共同開発体制も整備している。2021年4月に前臨床試験受託の国内最大手である新日本科学<2395>と共同開発契約を締結し、前臨床試験のスピードアップを図る体制を整えたほか、2021年7月には治験薬のGMP製造を委託することでスペラファーマ(株)と基本合意を行った(スペラファーマの子会社のスペラネクサス(株)で原薬の製造を行う)。「OBP-2011」は新型コロナウイルス感染症の変異株についても薬効が確認されているだけに、今後の早期開発が待望される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2021/09/09 15:16
日経QUICKニュース
東証大引け 9営業日ぶり反落 利益確定売り、3万円台は維持
9日の東京株式市場で日経平均株価は9営業日ぶりに反落し、前日比173円02銭(0.57%)安の3万0008円19銭で終えた。前日までの8日続伸で2500円超上昇と急ピッチの株高が続き、前日には5カ月ぶりに節目の3万円台に乗せたことで、短期的な過熱感や当面の目標達成感を背景にした利益確定売りが優勢だった。午後は香港ハンセン指数や日本時間9日の米株価指数先物の軟調な推移を受け、やや下げ幅を拡大する場面があった。 10日に9月の株価指数先物・オプションの特別清算指数(SQ)算出を前に、短期筋による持ち高調整などの買いは一巡したとの声も多かった。一方、新型コロナウイルス対策の行動制限の緩和で経済が正常化に向かうとの期待は相場を支えた。足元の株価急伸で投資家心理は強気に傾いており、一段の先高観を背景にした押し目買い意欲も旺盛だった。取引終了にかけては、3万円台の維持を意識した断続的な先物買いが入った。次期政権の政策期待も根強く、きょうは原発再稼働に向けた思惑から電力株が物色された。 JPX日経インデックス400と東証株価指数(TOPIX)はともに9営業日ぶりに反落した。TOPIXは14.68ポイント(0.71%)安の2064.93で終えた。 東証1部の売買代金は概算で3兆761億円と、5日連続で3兆円を上回った。売買高は12億6035万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1363と、全体の約6割を占めた。値上がりは706、変わらずは120銘柄だった。 連日で大幅高となっていたソフトバンクグループや資生堂が下落。ネクソンやTOTO、荏原の下げも大きかった。一方、東電HDと関西電が大幅高。サッポロHDやアサヒ、ニコンが上昇した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
2021/09/09 15:16
みんかぶニュース 市況・概況
【投資部門別売買動向】 海外投資家が3週ぶりに買い越し、個人は2週連続の売り越し (9月第1週) [速報]
■投資部門別売買代金差額 (8月30日~9月3日)
東証・名証2市場の1・2部と新興企業向け市場の合計[総合証券ベース(全50社)]
※単位:億円(億円未満切り捨て) ▲は売り越し
海外投資家 信託銀行 個人合計 [ 現金 信用 ] 日経平均 ( 前週比 )
9月 ―――
第1週 3,669 ▲292 ▲4,917 [ ▲4,404 ▲513 ] 29,128円 ( +1486 円)
8月 ―――
第4週 ▲45 798 ▲2,483 [ ▲1,635 ▲847 ] 27,641円 ( +627 円)
第3週 ▲3,634 111 4,058 [ 2,443 1,615 ] 27,013円 ( -963 円)
第2週 1,576 ▲443 ▲1,579 [ ▲1,720 140 ] 27,977円 ( +157 円)
第1週 710 509 ▲1,903 [ ▲1,572 ▲330 ] 27,820円 ( +536 円)
7月 ―――
第4週 ▲579 17 0 [ ▲385 385 ] 27,283円 ( -264 円)
第3週 ▲3,133 136 2,425 [ 1,521 904 ] 27,548円 ( -455 円)
第2週 1,101 266 ▲2,167 [ ▲1,990 ▲176 ] 28,003円 ( +62 円)
第1週 137 ▲2 4,668 [ 2,464 2,204 ] 27,940円 ( -842 円)
6月 ―――
第5週 ▲2,737 1,577 1,609 [ 551 1,058 ] 28,783円 ( -282 円)
第4週 ▲1,113 886 ▲252 [ ▲159 ▲93 ] 29,066円 ( +102 円)
第3週 1,394 ▲686 1,110 [ ▲16 1,127 ] 28,964円 ( +15 円)
第2週 ▲2,263 427 1,483 [ 147 1,335 ] 28,948円 ( +7 円)
第1週 605 ▲48 943 [ ▲252 1,196 ] 28,941円 ( -207 円)
5月 ―――
第4週 3,738 ▲283 ▲3,358 [ ▲2,771 ▲586 ] 29,149円 ( +831 円)
第3週 ▲2,269 2,757 ▲1,173 [ ▲1,231 58 ] 28,317円 ( +233 円)
第2週 ▲4,214 423 4,452 [ 2,421 2,031 ] 28,084円 ( -1273 円)
第1週 2,152 478 ▲1,514 [ ▲1,303 ▲211 ] 29,357円 ( +545 円)
※「信託銀行」は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など年金基金の売買動向を映すとされる部門。「個人・現金」は個人投資家による現物取引の売買動向、「個人・信用」は個人投資家による信用取引の売買動向。
※日銀が金融緩和策の一環として実施しているETF(上場投資信託)の買い入れは、ETFを組成する証券会社の自己売買部門を通じて買い入れているとみられる。
株探ニュース
2021/09/09 15:15
注目トピックス 日本株
オンコリス Research Memo(5):コロナ禍で治験の進捗が遅れているものの、国内外で複数の臨床試験進める(2)
■オンコリスバイオファーマ<4588>の開発パイプラインの動向e) 肝細胞がん(免疫チェックポイント阻害剤、分子標的薬との併用療法)中外製薬において肝細胞がん患者を対象に、アテゾリズマブ及び分子標的薬ベバシズマブとの併用療法による第1相臨床試験が2021年1月より開始されている。安全性、忍容性及び有効性の評価を行う。予定症例数は20例で、2024年第1四半期の終了を見込んでいる。既にスイスの製薬会社ロシュ〈ROG〉が米国において切除不能な肝細胞がんを対象としたアテゾリズマブとベバシズマブとの併用療法による第3相臨床試験を実施しており、全生存期間が19.2ヶ月と、既存治療法(分子標的薬ソラフェニブ単剤)に対して死亡リスクが34%減少する(ソラフェニブは全生存期間で13.4ヶ月)との試験結果を2021年1月に発表しており、同疾患に対するファーストライン治療として既存薬よりも有効性があるとの認識を示している。今回、中外製薬において実施する臨床試験において、さらに高い治療効果が確認されれば、国内だけでなく海外でもロシュを通じて開発が進められる可能性がある。仮に、ロシュで開発を進めない場合は、メルクやファイザーなどほかの免疫チェックポイント阻害剤を開発する企業に持ち込んで開発を進めていく可能性がある。なお、肝細胞がんに関しては2014年から2020年にかけて台湾・韓国で提携先のメディジェンが単剤による第1相臨床試験を実施しており、評価可能な18例において安全性が確認されている。また、18例のうち3例で部分奏功が確認されたほか、8割は投与後の腫瘍体積が変化しないといった結果が出るなど薬効が確認されている。同試験結果の内容については、2021年第3四半期のESMO(欧州臨床腫瘍学会)で発表する予定となっている。f) 頭頸部がん(免疫チェックポイント阻害剤、放射線との併用療法)同社は2020年8月にコーネル大学医学部らを中心とする研究グループと、頭頸部がん患者(手術不能・再発または進行性頭頸部がん)を対象とした医師主導の第2相臨床試験を実施する契約を締結した。試験内容は、免疫チェックポイント阻害剤及び放射線との併用療法による試験で、安全性と有効性を評価する。コーネル大学では放射線療法とテロメライシンの併用による局所作用としての腫瘍縮小効果に加えて、免疫チェックポイント阻害剤を併用することでの全身性の臨床効果を検証する。予定症例数は36症例で、2021年5月に第1例目の投与を開始しており、良好なレスポンスが得られているとの報告を受けている。2022年第2四半期に12例で中間解析を行い、臨床試験継続の可否を判断することになる。既存治療法(放射線+化学療法)より良好な結果が得られれば、中外製薬がオプション権を行使して企業治験に切り替えて開発を進めていく可能性がある。また、国内でも中外製薬がアテゾリズマブと化学放射線療法の併用による第1相臨床試験を2021年以降開始する予定となっている。予定症例数は23例で2024年第2四半期の終了見込みとなっている。g) 中国市場での取り組みについて2020年6月に中国のライセンス供与先であったハンルイとの契約解消を発表して以降、中国圏(香港・マカオ含む)については中外製薬及びその他の大手製薬企業を候補として契約交渉を進めており、2021年内の契約締結を目指している。中国市場でも食道がんや肝細胞がん患者は多く、開発ニーズは大きいと見られる。なお、ハンルイとの契約解消理由については、ハンルイの開発戦略の変更によるもので、テロメライシンの有効性、安全性、製造面での疑義は発生していない。(3) 製造体制同社はテロメライシンの製造体制の充実、製造拠点の分散によるリスク軽減などを目的に、商業用製品の製造委託先として新たにベルギーのHenogen SA(以下、ヘノジェン社)と提携し、米Lonza Houston, Inc.(ロンザ)との2社供給体制を構築していくことを発表した。今後、ヘノジェン社の製造拠点でプロセス開発及びバリデーションを行い、2023年末までにGMP※製造ができる体制を整えていく計画となっている。ヘノジェン社は経験も豊富でGMP製造で作っていく実力が十分あると判断した。※GMP(Good Manufacturing Practice):医薬品の製造及び品質管理に関する基準のこと。GMP認定のためには、製造工場ごとに構造や設備の運用・管理、製品の品質・衛生・製造管理などの細部にわたる審査・査察を受け、基準を満たすことが必要となる。創薬においては、GMP準拠施設で製造されたGMP製剤でないとヒトを対象とする治験に適用できない。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2021/09/09 15:15
注目トピックス 日本株
オンコリス Research Memo(4):コロナ禍で治験の進捗が遅れているものの、国内外で複数の臨床試験進める(1)
■開発パイプラインの動向1. テロメライシン(1) 概要テロメライシンは、遺伝子改変された5型のアデノウイルスのことで、腫瘍溶解ウイルス製剤の一種である。テロメライシンの特徴は、テロメラーゼ活性の高いがん細胞で特異的に増殖することで、がん細胞を破壊していくことにある。アデノウイルス自体は自然界の空気中に存在し、風邪の症状を引き起こすウイルスのため、ヒトに投与すると発熱等の症状が出るケースもあるが、正常な細胞の中では増殖能力が極めて低いため副作用も少なく、人体への安全性には問題がないことが確認されている。なお、テロメライシンの国際的な一般名称が、「suratadenoturev(スラタデノツレブ)」に決定している。(2) 開発状況テロメライシンは現在、国内と米国にて複数のプロジェクトが進んでおり、このうち、国内については中外製薬とのライセンス契約に基づき、開発主体が中外製薬に移っており、海外についてはオンコリスバイオファーマ<4588>が医師主導治験を進めている。ただ、直近の進捗状況はコロナ禍の影響により、全体的に遅れが生じている。コロナ禍が続くなかでコロナワクチンの供給量を拡大する必要があり、テロメライシンの治験薬製造に必要な物資(培地、容器類等)が不足して必要な量を製造できていないこと、また、医療機関での受診患者数も減少していることなどが背景にある。a) 食道がん(放射線との併用療法)中外製薬が主導する第2相臨床試験は、外科手術による切除や根治的化学放射線療法(放射線と抗がん剤を用いた治療法)が困難な患者を対象に行われ、ヒストリカルデータ(日本食道学会による放射線単独療法)との比較により有効性と安全性を確認する。予定症例数は37例で2020年3月に1例目の被験者投与が開始された。当初計画では2022年内の販売承認申請を目指していたが、コロナ禍が長期化するなかで進捗が遅れており、現時点での承認申請時期は2024年に修正されている。先駆け審査指定制度※の対象品目として指定されており、審査期間の短縮が見込まれることから、申請後は1年以内に承認される可能性がある。※先駆け審査指定制度とは、対象疾患の重篤性など一定要件を満たす画期的な新薬などについて、(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)が薬事承認に関する相談・審査を優先的に取り扱い、承認審査期間を短縮することで早期実用化を目指すもの。通常は、承認申請から12ヶ月程度を目標に審査を行うが、同制度を活用することで審査期間を6ヶ月程度に短縮することが可能となる。テロメライシンは2019年4月に指定された。b) 食道がん(化学放射線療法との併用療法)同社は2020年6月に米国での主要ながん研究グループであるNRGオンコロジーとの間で、食道がん患者を対象とした医師主導の第1相臨床試験を米国で実施する契約を締結した。今回の臨床試験は化学放射線療法を行いながら、テロメライシンを隔週に3回投与し、安全性の確認と3ヶ月後の腫瘍の縮小効果を確認するというもの。完全奏効率が標準治療法を上回れば、次の開発ステージに進む可能性が高くなる(化学放射線療法単独で約50%程度)。また、3年後のがん再発率が既存療法より低ければ、食道がんにおいて外科手術以外の治療法の候補となる可能性がある。コロナ禍の影響で開始時期が遅れていたが、ようやく患者の募集を開始した段階にある。予定症例数は15例で、2022年第3四半期の終了を見込んでいる。食道がんを対象とするテロメライシンは、米国FDA(食品医薬品局)よりオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定を受けており、補助金支給や臨床研究費用の税額控除といった優遇措置が今後受けられるほか、販売承認された場合は7年間の先発権保護が与えられ、同期間中は市場を独占することが可能となる。一方、国内でも中外製薬で局所進行性食道がんを対象とした第1相臨床試験の患者募集を開始している。安全性と忍容性を評価し、副次的に有効性を評価する試験で、予定症例数は20例で2023年第4四半期の終了を見込んでいる。日米での臨床試験の結果が良好であれば、中外製薬が海外でも化学放射線療法との併用による開発を進めていく可能性があると弊社では見ている。c) 進行性または転移性固形がん(免疫チェックポイント阻害剤との併用療法)食道がんを中心とした進行性または転移性固形がんでステージ4の患者を対象に、抗PD-1抗体であるペムブロリズマブ(開発:米メルク、商品名:キイトルーダ)との併用療法による医師主導の第1相臨床試験が、2017年12月より国立がん研究センター東病院等で進められ、このほど予定していた22例の組み入れが完了した。前半の9例では投与量を3群に分け(低容量、中容量、高容量)、治療期間6週間でテロメライシンを3回反復投与、ペムブロリズマブを複数回投与し、安全性や抗腫瘍効果、免疫応答等を評価し(最大2年間の経過観察期間を設けて生存率についても評価)、後半の13例では、前半に行った試験のうち高容量群での3回反復投与を1クールとし、複数クール行う試験となる。前半の9例に関する中間報告は、2019年3月にAACR(米国癌学会)で発表されており、内容としては投与を制限するような重篤な副作用は発生せず、副次評価項目である有効性評価として、9例中3例で全身での部分奏効が確認された。ペムブロリズマブの単独療法では部分奏効率が13.1%という臨床試験結果が出ており、テロメライシンとの併用療法による腫瘍縮小効果が期待できる内容であった。現在は後半の11例の試験結果を担当医師等がまとめている段階で、2022年1月に開催されるASCO-GI(米国臨床腫瘍学会)でその内容を発表する予定となっている。今後の開発方針については、中外製薬が臨床試験のデータを見て判断することになるようだ。中外製薬でも免疫チェックポイント阻害剤であるアテゾリズマブ(商品名:テセントリク)の開発を進めており、今回の医師主導臨床試験のデータ結果次第では、アテゾリズマブとの併用療法による臨床試験を進めていく可能性はある。ただ、第2相臨床試験に進んだとしても、有効性評価として2年後の生存率や再発率などを見る必要があるため、試験期間は数年程度と長期間になることが予想される。d) 胃がん・胃食道接合部がん(免疫チェックポイント阻害剤との併用療法)ステージ4の胃がん・胃食道接合部がん患者を対象とした免疫チェックポイント阻害剤との併用療法による医師主導の第2相臨床試験が、2019年5月より米コーネル大学などで進められている。ペムブロリズマブ投与中の患者に対して、テロメライシンを隔週で4回投与し、半年程度の観察期間で安全性と有効性を評価する試験となる。予定症例数は18例で、2020年12月に評価可能な8例で中間検討会を実施した。投与した8例のうち、1例は部分奏功が確認され、また他の1例については腫瘍の大きさに変化がない安定した状態を保っている。コーネル大学の担当医師からは、「部分奏効率で標準治療を上回る結果であれば、企業治験に切り替えていく価値がある(ペムブロリズマブ単剤では約15%)」と言われている。2022年中に18例まで実施したのちに中間評価を行い臨床試験継続の可否を判断することになる。仮に企業治験を進める場合は、中外製薬がオプション権を行使して米国のグループ会社であるジェネンテックが主導して開発を進めていくものと予想される。なお、今回の臨床試験ではペムブロリズマブを使用しているが、中外製薬では同じ免疫チェックポイント阻害剤のアテゾリズマブがあるため、企業治験で開発を進める場合はアテゾリズマブを使用するものと思われる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2021/09/09 15:14
注目トピックス 日本株
オンコリス Research Memo(3):がん治療に関わるプロセスを網羅的にカバー
■開発パイプラインの動向オンコリスバイオファーマ<4588>は、がんや重症感染症等の医療ニーズ充足に貢献すべく、ウイルス遺伝子改変技術を活用した新規がん治療薬、新規がん検査薬等の開発を行っている。特にがん領域では、固形がんの局所療法として腫瘍溶解ウイルスの「テロメライシン」、並びに次世代テロメライシンとなる「OBP-702」の開発を進めるとともに、がんの超早期発見または術後検査による転移がんの早期発見や治療効果予測を目的としたCTC(血中循環がん細胞)※検査薬「テロメスキャン」の開発を行っている。がんの超早期発見から治療、術後検査、転移がん治療に至るまで、がん治療に関わるプロセスを網羅的にカバーしていることが特徴と言える。※CTC(血中循環がん細胞)とは、原発腫瘍組織または転移腫瘍組織から血中へ遊離し、血流中を循環する細胞のこと。原発腫瘍部位から遊離した後、CTCは血液内を循環し、その他の臓器を侵襲して転移性腫瘍(転移巣)を形成する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2021/09/09 15:13
注目トピックス 日本株
オンコリス Research Memo(2):ウイルス製剤を用いた抗がん剤及びがん検査薬の事業化を目的に設立
■会社概要1. 会社沿革オンコリスバイオファーマ<4588>は、2004年に設立されたバイオベンチャーで、「Virology(ヴィロロジー/ウイルス学)に立脚した創薬」を事業コンセプトとして、がんと重症感染症を対象に研究開発を進めている。創業のきっかけは、現代表取締役社長の浦田泰生(うらたやすお)氏と現在の岡山大学消化器腫瘍外科の藤原俊義(ふじわらとしよし)教授との出会いによるものであった。藤原教授は腫瘍溶解ウイルスの一種であるアデノウイルスを用いた抗がん剤となるテロメライシンの開発、及び事業化を目的とした企業設立を検討しており、そのための経営者を探していた。当時、大手企業の医薬品事業部に在籍し、同様のアイデアを持って抗がん剤の開発を考えていた浦田氏と出会い、共同で創業することとなった。このため、創業段階ではテロメライシン及びテロメライシンにクラゲが持つ発光遺伝子(以下、GFP)を組み入れたがん検査薬であるテロメスキャンの事業化を目的として同社が設立された。その後、パイプラインを拡充するため2006年に米Yale大学からHIV感染症治療薬候補となる「OBP-601」、2009年にはアステラス製薬<4503>から新規分子標的抗がん剤「OBP-801」のライセンス導入を行い、研究・開発に着手した。「OBP-601」に関しては、2010年に米Bristol-Myers Squibb Co.(以下、BMS)にライセンスアウトしたが、BMSの事業戦略変更に伴い2014年4月にライセンス契約が解除された。しかし、2020年6月にトランスポゾン社と神経変性疾患を対象とした治療薬に関して全世界の再許諾権付き独占的ライセンス契約を締結している。そのほか、同年6月に鹿児島大学と共同で新型コロナウイルス感染症治療薬の開発に着手することを発表している。テロメライシンに関しては、2008年に台湾のメディジェン社と戦略的提携契約を締結したほか、2019年4月には中外製薬と日本・台湾における開発・製造・販売に関する再許諾権付き独占的ライセンス契約、及び日本・台湾・中国圏を除く全世界における開発・製造・販売に関する独占的オプション権を中外製薬へ付与するライセンス契約を締結ライセンス契約の総額は500億円以上するとともに、資本提携契約(同社株式を45.66万株保有(出資比率3.12%))を締結した。なお、中国圏についてはライセンス契約先であった中国の大手製薬企業であるハンルイ社との契約が2020年6月に解消しており、現在は中外製薬を含めた複数の大手企業と導出に向けた協議を行っている。一方、がん検査薬となるテロメスキャンに関しては、2012年に国内で研究目的の受託検査サービスを開始し、海外では2015年に米ペンシルベニア大学発のバイオベンチャー、Liquid Biotech USA,Inc.(以下、リキッド社)とライセンス契約を締結して北米での事業展開に関する業務提携を発表した。2. 事業内容同社は、創薬事業においてがんや重症感染症などの難病を対象に、安全で有効な医薬品及び検査薬の研究・開発・製造を事業の基本的な方針としている。創薬プランを開発し、その製造、前臨床試験及び臨床試験をアウトソーシングするファブレス経営により医薬品開発を行い、その製品的価値の初期評価であるPOCを取得後に大手製薬企業・バイオ企業にライセンスアウトし、契約一時金収入、開発進捗に応じたマイルストーン収入、上市後のロイヤリティ収入を獲得する収益モデルとなっている。また、検査薬の開発は、同社が開発した検査用遺伝子改変ウイルスを用いた検査システムを検査ユニットとして検査会社や医療機関などに提供し収入を獲得していたが、検査工程で時間を要することが普及の阻害要因となっていたことから、現在、AI技術を利用して検査工程を自動化できるプラットフォームを開発中で、同プラットフォームの完成後に検査会社や医療機関などに消耗品となる検査キットの販売や、プラットフォーム利用料で収益を獲得していくビジネスモデルで事業を拡大していく戦略となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2021/09/09 15:12