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オンコリス Research Memo(9):2021年12月期第2四半期累計業績は前年同期並みの水準に
配信日時:2021/09/09 15:19
配信元:FISCO
■業績動向と財務状況
1. 2021年12月期第2四半期累計業績の概要
オンコリスバイオファーマ<4588>の2021年12月期第2四半期累計の売上高は前年同期比56百万円増加の193百万円、営業損失は同26百万円縮小の633百万円、経常損失は同13百万円縮小の649百万円、四半期純損失は同13百万円縮小の650百万円となった。売上高はメディジェンからのテロメライシンにかかる開発協力金収入※に加えて、中外製薬向け治験薬の販売等テロメライシン関連の収入などを計上した。
※テロメライシンに関する開発費用の負担軽減を目的にメディジェンとの共同開発契約の改定を2017年3月に実施。従来、対象を肝細胞がんのみとしていたのに対して、新たに食道がんとメラノーマの共同開発権も付与した。以降、肝細胞がんに加えて食道がん、メラノーマの研究開発費用の一部をメディジェンから開発協力金として受領している。
一方、費用面では研究開発費等が前年同期比49百万円減少の371百万円となった。前述したようにコロナ禍で臨床試験の進捗やGMP製造のためのバリュデ—ションなどが遅れ気味となっていることが影響した。販管費が前年同期比で11百万円増加したが、人件費の増加が主因となっている。
2021年12月期業績も損失計上が続く見込みで、研究開発の進捗とライセンス契約締結の有無が変動要因に
2. 2021年12月期の業績見通し
2021年12月期の業績見通しはコロナ禍の先行きが不透明なため、レンジ形式で開示している。売上高は350~700百万円、営業損失、経常損失、当期純損失はそれぞれ1,650~2,000百万円となる見通しだ。
売上高についてはメディジェンからの開発協力金、中外製薬向けのテロメライシンの治験薬販売、岡山大学向け次世代テロメライシンの開発請負収入に加えて、中国圏でのテロメライシンのライセンス契約の締結が実現すれば上乗せの可能性も見えてくる。一方、費用面では「OBP-702」や新型コロナウイルス感染症治療薬の開発費用増加、また、テロメライシンの上市に向けた製法開発等の開発費用の増加を見込んでおり、研究開発費等は2020年12月期の1,050百万円から増加する見通しとなっているが、全体的に開発スケジュールが遅れ気味となっていることもあり、研究開発費については通期でも前期比で減少する可能性がある。
次世代テロメライシンなどその他パイプラインの開発を進め、さらなる企業価値向上を目指す
3. 中長期の成長イメージ
同社はテロメライシンを中外製薬に導出したが、さらなる価値向上を図るため、米国で複数の医師主導治験を進めており、中外製薬によるオプション権行使につなげていきたい考えだ。中外製薬では当面、国内での食道がん(放射線併用療法)を対象とした上市を最優先に取り組んでいくものと思われるが、本来の目的は自社の免疫チェックポイント阻害剤であるアテゾリズマブとの併用療法による開発を進め、アテゾリズマブの市場価値を高めていくことにあると思われる。このため現在、日米で進められているペムブロリズマブとの併用療法による医師主導治験の結果が良好であれば、米国でもオプション権を行使してグループ会社であるジェネンテック社により、同一対象疾患の企業治験をアテゾリズマブで進めていく可能性が高いと弊社では見ている。医師主導治験の結果や中外製薬が国内で今後新たに進める臨床試験の結果が纏まる時期としては2022年から2024年頃になると見られ、オプション権が行使されるかどうかのタイミングも同時期になるものと思われる。オプション権が行使されれば、開発が海外でも進展しマイルストーン収入等の収益獲得も見込めることになる。また、最も開発が先行している国内の食道がんを対象とした放射線療法との併用による第2相臨床試験については、中外製薬が先駆け指定審査制度を使って、2024年の承認申請を目指す方針であることを明らかにしており、テロメライシンの上市による売上貢献も2024年以降になるものと予想される。
当面の業績については研究開発費が先行し、損失が続く可能性が高いものの、2024年以降はテロメライシンの上市が期待されるほか、「OBP-702」・「OBP-601」・「OBP-2011」などその他のパイプラインについてもライセンス契約やマイルストーン収入が得られる可能性がある。また、テロメスキャンについてもAI技術によるCTC自動解析ソフトウェアによる検査プラットフォームが確立できれば、2025年以降は商用化開始による収益貢献が期待できることになる。コロナ禍が長引くなかで、国内外の臨床試験の進捗が遅れ気味となっていることにより、収益化のタイミングについても従来よりはやや遅れるものの、早ければ2024年以降に収益化ステージに入るものと弊社では予想している。
長期的には、第3世代テロメライシン等の開発や医療現場でのニーズが高い難病、希少疾病を対象とした新たな治療薬候補品の導入などにも注力していく方針となっており、収益ポートフォリオを拡充しながら企業価値のさらなる向上を目指していく戦略だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2021年12月期第2四半期累計業績の概要
オンコリスバイオファーマ<4588>の2021年12月期第2四半期累計の売上高は前年同期比56百万円増加の193百万円、営業損失は同26百万円縮小の633百万円、経常損失は同13百万円縮小の649百万円、四半期純損失は同13百万円縮小の650百万円となった。売上高はメディジェンからのテロメライシンにかかる開発協力金収入※に加えて、中外製薬向け治験薬の販売等テロメライシン関連の収入などを計上した。
※テロメライシンに関する開発費用の負担軽減を目的にメディジェンとの共同開発契約の改定を2017年3月に実施。従来、対象を肝細胞がんのみとしていたのに対して、新たに食道がんとメラノーマの共同開発権も付与した。以降、肝細胞がんに加えて食道がん、メラノーマの研究開発費用の一部をメディジェンから開発協力金として受領している。
一方、費用面では研究開発費等が前年同期比49百万円減少の371百万円となった。前述したようにコロナ禍で臨床試験の進捗やGMP製造のためのバリュデ—ションなどが遅れ気味となっていることが影響した。販管費が前年同期比で11百万円増加したが、人件費の増加が主因となっている。
2021年12月期業績も損失計上が続く見込みで、研究開発の進捗とライセンス契約締結の有無が変動要因に
2. 2021年12月期の業績見通し
2021年12月期の業績見通しはコロナ禍の先行きが不透明なため、レンジ形式で開示している。売上高は350~700百万円、営業損失、経常損失、当期純損失はそれぞれ1,650~2,000百万円となる見通しだ。
売上高についてはメディジェンからの開発協力金、中外製薬向けのテロメライシンの治験薬販売、岡山大学向け次世代テロメライシンの開発請負収入に加えて、中国圏でのテロメライシンのライセンス契約の締結が実現すれば上乗せの可能性も見えてくる。一方、費用面では「OBP-702」や新型コロナウイルス感染症治療薬の開発費用増加、また、テロメライシンの上市に向けた製法開発等の開発費用の増加を見込んでおり、研究開発費等は2020年12月期の1,050百万円から増加する見通しとなっているが、全体的に開発スケジュールが遅れ気味となっていることもあり、研究開発費については通期でも前期比で減少する可能性がある。
次世代テロメライシンなどその他パイプラインの開発を進め、さらなる企業価値向上を目指す
3. 中長期の成長イメージ
同社はテロメライシンを中外製薬に導出したが、さらなる価値向上を図るため、米国で複数の医師主導治験を進めており、中外製薬によるオプション権行使につなげていきたい考えだ。中外製薬では当面、国内での食道がん(放射線併用療法)を対象とした上市を最優先に取り組んでいくものと思われるが、本来の目的は自社の免疫チェックポイント阻害剤であるアテゾリズマブとの併用療法による開発を進め、アテゾリズマブの市場価値を高めていくことにあると思われる。このため現在、日米で進められているペムブロリズマブとの併用療法による医師主導治験の結果が良好であれば、米国でもオプション権を行使してグループ会社であるジェネンテック社により、同一対象疾患の企業治験をアテゾリズマブで進めていく可能性が高いと弊社では見ている。医師主導治験の結果や中外製薬が国内で今後新たに進める臨床試験の結果が纏まる時期としては2022年から2024年頃になると見られ、オプション権が行使されるかどうかのタイミングも同時期になるものと思われる。オプション権が行使されれば、開発が海外でも進展しマイルストーン収入等の収益獲得も見込めることになる。また、最も開発が先行している国内の食道がんを対象とした放射線療法との併用による第2相臨床試験については、中外製薬が先駆け指定審査制度を使って、2024年の承認申請を目指す方針であることを明らかにしており、テロメライシンの上市による売上貢献も2024年以降になるものと予想される。
当面の業績については研究開発費が先行し、損失が続く可能性が高いものの、2024年以降はテロメライシンの上市が期待されるほか、「OBP-702」・「OBP-601」・「OBP-2011」などその他のパイプラインについてもライセンス契約やマイルストーン収入が得られる可能性がある。また、テロメスキャンについてもAI技術によるCTC自動解析ソフトウェアによる検査プラットフォームが確立できれば、2025年以降は商用化開始による収益貢献が期待できることになる。コロナ禍が長引くなかで、国内外の臨床試験の進捗が遅れ気味となっていることにより、収益化のタイミングについても従来よりはやや遅れるものの、早ければ2024年以降に収益化ステージに入るものと弊社では予想している。
長期的には、第3世代テロメライシン等の開発や医療現場でのニーズが高い難病、希少疾病を対象とした新たな治療薬候補品の導入などにも注力していく方針となっており、収益ポートフォリオを拡充しながら企業価値のさらなる向上を目指していく戦略だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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