注目トピックス 経済総合ニュース一覧

注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は0.04%高でスタート、金融緩和期待が高まる *10:49JST (中国)上海総合指数は0.04%高でスタート、金融緩和期待が高まる 18日の上海総合指数は買い先行。前日比0.04%高の3165.10ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時45分現在、0.39%高の3176.02ptで推移している。金融緩和への期待が高まっていることが支援材料。来週21日に発表される最優遇貸出金利「ローンプライムレート(LPR)」については、銀行貸出の指標となる1年物と住宅ローン金利の指標となる5年物がそれぞれ引き下げられると見込まれている。一方、足元での景気低迷や米利上げの長期化観測などが指数の上値を抑えている。 <AN> 2023/08/18 10:49 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米製造業は景気後退域から脱した可能性も *07:43JST NYの視点:米製造業は景気後退域から脱した可能性も 米8月フィラデルフィア連銀製造業景況指数は12.0と予想外に1年ぶりのプラスに改善し昨年4月来で最高となり、製造業は景気後退域から回復した可能性が示唆された。市場は12カ月連続のマイナスを予想していた。景況指数:12(7月-13.5)新規受注:16(―15.9)仕入れ価格:20.8(9.5)出荷:5.7(-12.5)受注残:-4.8(-15.1)入荷遅滞:-7.0(-12.9)在庫水準:-10.2(-1.0)雇用者数:-6.0(-1.0)週平均就業時間:6.3(-3.0)6カ月先景況指数:3.9(7月29.1)新規受注:18.2(38.2)仕入れ価格:53.0(33.8)出荷:14.9(37.3)受注残:3.8(9.2)入荷遅滞:-11.3(-5.5)在庫水準:12(21.3)雇用者数:12.0(21.3)週平均就業時間:8.3(16.5)先行指標のひとつとなる同指数の改善で、8月ISM製造業景況指数も景気後退域を脱し、活動の拡大となる50を回復する可能性もでてきた。7月景気先行指数はISMの新規受注の落ち込みが響き16カ月連続でマイナスとなったため、今後12カ月後の景気後退入りを示唆しているとの警戒感も根強い。しかし、もし、8月にISM指数が改善すると、景気後退観測も緩和することになる。米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げを正当化する新たな材料になる可能性もある。 <CS> 2023/08/18 07:43 注目トピックス 経済総合 戦略的提携とグローバル・パートナーシップが拓く、 台湾CPTPP加盟への道 PartII【中国問題グローバル研究所】 *15:52JST 戦略的提携とグローバル・パートナーシップが拓く、 台湾CPTPP加盟への道 PartII【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している陳建甫博士の考察をお届けする。4.CPTPP加盟に立ちはだかる課題:英国および中国の影響台湾のCPTPP加盟には様々な難題が複雑に絡み合っているが、その顕著な例として挙げられるのが、英国の加盟ならびに中国が担っている複雑な役割をめぐる最近の動向である。こうした展開においては、外部との提携関係を活用した戦略的アプローチによって台湾がこれらの課題を克服し、さらには念願である協定内における地位を確実にすることが必要となる。A.英国の加盟ならびにその影響英国のCPTPP加盟は、協定の動態に新たな局面をもたらした。台湾にとって、英国が加盟に成功したことは貴重な示唆を与えてくれる。台湾の願望をそのまま具現化したような英国の加盟は、先進的な貿易原則、持続可能性、公平な貿易慣行を旨とする国々にとってのCPTPPの魅力を示す好例である。価値観を共有している点を強調し、自国の加盟によって協定の影響がどれだけ拡大するかを示すことで、台湾は英国との類似性を有利に利用できる。英国の加盟が世界経済における同協定の地位を向上させたように、台湾の加盟もまた、地域経済に極めて重要な貢献を果たすことだろう。B.中国が担う複雑な役割とその影響対照的に、CPTPP加盟を目指している中国ではあるが、協定の厳格な基準を満たす準備ができているかという点が懸念されており、主としてこれに起因する障壁に直面している。こちらのシナリオは、自国の加盟に向けて舵取りを行う台湾に貴重な教訓を与えてくれる。すでに築かれている協力関係、特にシンガポールやニュージーランドとの協力関係は、CPTPPの厳しい基準を守らんとする台湾の心構えを示す強力なツールとなる。中国加盟の可能性が生じさせた複雑な状況に照らせば、国際的な規範に合わせて自国の経済慣行を慎重に調整し、協定の統合性を強化しつつ加盟国候補としての有望度を高めることの必要性を軽視することはできない。上記の難題に取り組むにあたって、台湾の戦略的提携関係は極めて重要な資産となる。シンガポール、ニュージーランド、その他のパートナーとの協力関係は、障壁を乗り越えチャンスを掴むために必要な知恵と洞察力を台湾に与えてくれる。これらの同盟関係を頼りにすれば、CPTPP内における台湾の立場を強化し、ダイナミックな地域経済エコシステムの育成に対する自国の責任を再確認し、グローバルな舞台での影響力を増大さることも可能だろう。C.順番待ちを余儀なくされる台湾 ― 加盟への熱望地域貿易の潮流が変化するなか、台湾はCPTPPへの参加を強く望んでいる。貿易自由化、高い基準、世界経済の相乗効果を目指して地道な努力を続けている台湾は、アジア太平洋地域における主要貿易相手国としての地位を活かし、CPTPPへの扉の鍵を開けようとしている。台湾が加盟となれば、経済関係の強化、市場アクセスの強化、そして重要分野におけるイノベーションの活性化は約束されている。ただし、中国の反対と影響力が落とした影によって台湾は順番待ちリストに追いやられており、こうした複雑な状況を解きほぐして協定内での正当な地位を獲得するには、巧妙かつ戦略的な立ち回りが必要だ。台湾に約束されているもの:CPTPPというカンバスには、台湾の経済情勢を一変させるようなひと塗りをいくつも重ねられる可能性が広がっている。広々とした画面に描かれた、11の加盟国が登場する色鮮やかな図柄の上で、輸出や事業拡大の新たな道を切り開けるという状況を想像してみてほしい。CPTPPによって貿易障壁が解消され、複雑化した関税の問題が整理されれば、特に電子機器、機械、繊維などの基幹産業において、国際貿易における台湾の競争力はより輝きを増すだろう。さらに、2016年から2022年にかけて12もの規則を策定するなど政府も積極的に取り組んでおり、ビジネスに優しい政策の糸によるタペストリーが織り上げられている。台湾の決意を物語るこうした規則であるが、規制の合理化によるビジネス環境の向上を通じて、国外からの投資に適した環境を醸成し、経済繁栄の勢いを強めることにつながっている。今後の課題:CPTPP加盟への道のりには、CPTPPの既存加盟国ごとに微妙に異なる色合いを帯びた課題がつきまとう。台湾がこれらの国々と「二国間貿易協定」(BTA)交渉に臨む際には、各国特有の事情を考慮する必要がある。カンバスの絵柄は刻々と変化する。カナダは農業政策、食の安全、環境保護における安心を求め、オーストラリアは知的財産権とその保護に焦点を当て、メキシコは労働者の権利と労働基準を重視する。積極的な対話と各国の優先事項との調和に注力することで、台湾は信頼という大作を生み出し、CPTPPの厳格な基準を満たさんとする揺るぎない決意を示せるだろう。現加盟国とのBTA交渉が成功すれば、カンバスに見た目の上での華やかさが加わるだけでなく、台湾加盟の先触れとなり、CPTPPにおいて信頼に足る、説明責任を果たせる、価値あるパートナーとしての地位を固めるための大切なひと塗りとなる。5.二国間貿易協定の強化:主要パートナーが担う役割地域経済の統合強化を目指し、CPTPPにさらに食い込もうとしている台湾は、国際的協力関係が果たす重要な役割についても十分認識している。こうした協力関係は、より広範な経済協力のための土台を築き、シンガポールやニュージーランドなど主要パートナーとの強い絆を育むのに役立ってきた。さらに、台湾の半導体大手TSMC社も、台湾の経済状況を向上させ世界的評価を高める上で極めて重要な役割を果たしている。台湾が地域および世界貿易における重要な参加国としての地位をさらに強固なものにする一方で、カナダとの「外国投資促進保護協定(FIPA)」のような新たな提携関係が、投資、技術革新、責任あるビジネス慣行の促進を目的とした戦略的パートナーシップに加わっている。A.技術革新・技術分野におけるシンガポールとの協力関係強固なイノベーションエコシステムで知られるシンガポールは、戦略的な国際的提携関係の機会を台湾に提供している。研究開発イニシアチブ、共同イノベーションプロジェクト、技術移転プログラムでの協力を通じて、台湾はシンガポールの高度なインフラとイノベーションに関する専門知識を活用している。ここでの協力関係は、両国のハイテク産業の成長を促進するだけでなく、新たな市場への扉を開き、グローバルな競争力の強化につながっている。台湾の製造能力とシンガポールの技術革新能力との相乗効果により、世界中の見込み投資家や貿易相手国に提案できるだけの強力な価値が生まれる。この提携関係を通じて、台湾は最先端技術へのアクセスならびに市場拡大の機会を得ており、経済成長の促進と、地域における台湾の地位強化につながっている。B.ニュージーランドとの持続可能な開発パートナーシップ持続可能な開発に真摯に取り組む台湾と、環境保護ならびにグリーンイニシアチブに重点を置くニュージーランドとは、ぴったり歩調が合っている。持続可能な慣行とクリーンテクノロジーを軸としたグローバルな提携関係を通じて、台湾はニュージーランドと協力し、環境に優しい製品やソリューションの開発、普及を進めている。気候変動への対応、再生可能エネルギーの促進、環境に配慮した政策の実施といった共同の取り組みによって、責任感があり環境に配慮した貿易相手国としての台湾の評判は高まっている。ここでのパートナーシップは経済成長を促進するだけでなく、持続可能性と責任ある世界市民としての台湾の地道な努力をも証明している。C.カナダとのFIPAならびに教育文化交流が担う役割台湾が包括的な経済統合への道を歩み始めた今、国際的協力関係の重要性がクローズアップされており、なかでもカナダとの間で最近締結された「外国投資促進保護協定」(FIPA)に注目が集まっている。この二国間貿易協定は台湾の外交・経済戦略の要であり、投資、技術革新、責任あるビジネス慣行の促進に対する台湾の真摯な姿勢を示す一例となっている。カナダとのFIPAは、経済パートナーシップの深化を意味するだけでなく、戦略的協力関係から生まれる相互利益を浮き彫りにするものでもある。カナダとのFIPAの特徴の1つが、台湾とカナダの教育・文化交流を促進する役目を担っている点である。この協定は、異文化理解、学術協力、人材育成の促進を通じて、双方の未来に投資するという意味合いを帯びている。台湾の学生は教育交流プログラムを通じてカナダで学ぶ機会を得て、多様で豊かな学習環境を体験できる。同様に、カナダの学生も台湾の教育機関と関わることで、グローバルな視点が養われ文化的な共感が育まれて、グローバルな意識を持つ市民の層が広がることになる。こうして知識やアイデアを交換することは、二国間関係の強化につながるだけでなく、技術革新や起業家精神を向上させ、両国の社会を豊かにし、より広範な経済協力の実現に役立つ土台を築くことにもつながる。カナダとのFIPAが促進する教育的・文化的交流は、教室からその外へ、ビジネスの領域にまで広がっている。異文化への対応能力と国際的な人脈を獲得して帰国した学生たちは、経済成長ならびに協力関係を促す触媒となる。多様な視野を備えたこれらの人材が、各国の技術、貿易、技術革新の発展に貢献することになる。さらに、教育交流を通じて築かれた文化的な結びつきは、人と人とのつながりを強くし、互いの価値観や伝統、経済面における野心をより深く理解するための肥沃な土壌となる。この文化的な結びつきによって経済的提携関係はさらに強固なものとなり、戦略的協力がいかに貿易の領域を超え、包括的かつ人間中心のメリットをもたらし得るかのモデルとなるような、結束力の高いパートナーシップが生まれている。経済統合をめぐる複雑な流れのなかで、カナダとのFIPAとその結果として生まれた台湾とカナダの教育・文化交流は、単なる取引協定の域を超えた色合いを持ったアプローチの一例となっている。この多角的なパートナーシップは、経済成長は人的資本の発展、異文化理解、知識の追求の共有と無関係のものではない、という信念を明確に示している。経済協力と教育・文化交流とを関連付けることで、台湾とカナダはダイナミックで強靭な提携関係の基礎を築き上げ、両国の経済を向上させるだけでなく、グローバルな協力関係をより豊かなものとしている。Part IIIに続く写真: AP Photo/Esteban Felix(※1)https://grici.or.jp/ <CS> 2023/08/17 15:52 注目トピックス 経済総合 戦略的提携とグローバル・パートナーシップが拓く、 台湾CPTPP加盟への道 PartI【中国問題グローバル研究所】 *10:14JST 戦略的提携とグローバル・パートナーシップが拓く、 台湾CPTPP加盟への道 PartI【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している陳建甫博士の考察をお届けする。1.序論:CPTPP加盟をめざす台湾の戦略的方向性地域経済の統合化を目指す台湾を象徴するような極めて重要な戦略的試みとして、台湾は「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(CPTPP:Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership)への加盟を目指している。アジア太平洋地域11か国という多様な経済圏を包含する多国間貿易協定CPTPPは、影響力も相当のものになる。強固な経済統合と貿易協力を促すよう設計されたCPTPPは、貿易関連の問題に幅広く対応することで、従来の貿易協定よりもさらに先へ踏み出したものとなっている。ここでは、広範な品目で関税を撤廃/削減すること、規制基準の調和を促進し、知的財産権を保護し、投資を促進し、持続可能で責任あるビジネス慣行を促進することをめざしている。同協定では、紛争解決や貿易の非関税障壁に対処するための仕組みについての規定も網羅されている。CPTPPの目指すところは、オープンかつ公平な貿易環境の醸成をすることにより加盟国の経済成長を促し、国際的なパートナーシップを深め、ダイナミックかつ相互につながり合った形での世界経済発展に貢献するプラットフォームを創生することにある。CPTPP加盟に向けて台湾が舵を切るとき、国際的協力関係の重要性が、そのアプローチの要として浮上してくる。こうした提携関係は、課題の克服にとどまらず機会の増大にもつながっており、経済統合に向かう台湾の歩みを導いている。CPTPPには、市場アクセスの向上や世界貿易における地位の強化を通じて、台湾の経済状況を向上させるとの期待がかかっている。しかし、この道筋には困難がつきまとう。その最たるものが、「一つの中国」政策をもって台湾の参加を阻もうとする中国の複雑に入り組んだ政治的影響力である。こうした障壁があろうとも、CPTPPがもたらす変革の可能性を存分に活かしたいという台湾の決意が揺らぐ様子はない。障害を乗り越えるには、鋭敏かつ俊敏な国際的協力関係が不可欠であるという認識が、台湾にはある。利益と価値観を相互に共有する国々とパートナーシップを結ぶことで、台湾は中国の影響力に対抗し、その地位を強化し、実質的な経済統合への道を開こうとしている。こうした協力関係は台湾の政治手法における生命線であるとともに、包括的かつ公平な地域経済成長の探求に弾力性をもたらしている。本稿では、CPTPP加盟と地域経済統合に向けた台湾の歩みを、戦略的提携とパートナーシップに焦点を当てて掘り下げてみたい。以下の各項では、CPTPP加盟をめざす台湾のアプローチ、主要パートナーとのダイナミックな協力関係、経済統合を推進する上での「21世紀の貿易に関する台米イニシアチブ」のような構想の重要性について探っていく。今回の検証により、台湾の掲げる戦略的提携と積極的戦略が、CPTPP加盟への努力をいかに支え、より広範な国際貿易ならびに国際協力の展望にいかに貢献しているかが明らかになるだろう。2.「21世紀の貿易に関する台米イニシアチブ」の役割「21世紀の貿易に関する台米イニシアチブ」は、地域経済統合の推進を目指して台湾が起伏に富んだ旅を続けるための道標となっている。協力と相互利益の原則に根ざしたこの包括的貿易協定は、台湾の経済的展望を刷新するほどの可能性を秘めている。この協定は、自由で公正な貿易慣行を旨とする台湾の確固たる決意を強調するものであり、台湾には経済協力の新たな道を切り開く準備ができたことを国際社会に示すものである。このイニシアチブにおいて特筆すべき目的の1つが、「台湾積体電路製造(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company、略称:TSMC、台積電)」のサクセスストーリーに代表される、イノベーションと技術協力の促進である。半導体製造における世界的リーダーであるTSMCは、台湾のハイテク輸出を牽引してきた。技術革新と技術協力の促進に重点を置いたこのイニシアチブは、米国での事業展開を拡大するためのプラットフォームをTSMCに提供している。同イニシアチブを通じて、TSMCは米国のハイテク企業や研究機関と戦略的パートナーシップを結んできた。こうした協力関係によって知識、研究、専門知識の交換が促され、先端的半導体技術の発展につながっている。米国内で利用できるリソースや専門知識を活用することで、TSMCは研究開発能力を強化し、さまざまな産業に電力を供給する最先端の半導体チップを製造できるまでになった。さらに、同イニシアチブでは貿易障壁の削減と公正な貿易慣行の推進にも重点が置かれ、TSMCによる米国内での市場アクセス改善につながっている。市場参入規模が拡大したことでTSMC製品に対する需要が増加し、収益増加と市場における存在感の強化という結果をもたらした。また、知的財産権の保護に重点を置いたことで、TSMCの革新的技術が守られ、グローバルな舞台において継続的に競争力を発揮できる要因となっている。TSMCのサクセスストーリーは、このイニシアチブがいかに技術革新を促進し、技術協力を強化し、戦略的重点分野における経済成長を促進しているかを示す好例である。ハイテク産業に限らず、同イニシアチブの影響は農業など他の分野にも波及しており、台湾の輸出業者による米国市場へのアクセス拡大を後押しする。例えば、台湾の繊維・アパレル産業は高品質の製品作りによって高く評価されており、CPTPPは台湾のブランド企業が国際市場で成功するための大きな機会を提供してきた。同イニシアチブではイノベーション促進のほかにも、持続可能な貿易慣行、環境協力、労働権の保護に重きを置いている。持続可能性を推進するための取り組みの一環として、例えば台湾の自転車メーカーでは、環境に優しい素材、エネルギー効率の高い製造工程、廃棄物削減戦略を採用している。こうした原則に沿うことで、台湾は責任あるビジネス慣行に対する責任感を示し、持続可能な経済成長の実現を目指すグローバルな取り組みにおける、重要なパートナーとしての地位を確立している。このイニシアチブを通じて台湾は米国との貿易パートナーシップを強固なものにし、グローバルな協力関係の強化を積極的に推進している。ここでの協力精神は経済成長の域を超え、価値観の共有であるとか豊かな未来を求める強い志向にまで及んでいる。貿易イニシアチブは台湾が他の重要なパートナーとの架け橋を築くための強固な基礎となり、個々の協力関係を通じて、経済的活力と責任ある貿易慣行を武器に世界に貢献するという、台湾の決意が強化されていくことになる。今後、このイニシアチブの可能性を最大限に生かすべく真摯に取り組むことが、台湾CPTPP加盟への道筋を形成する上で極めて重要な役割を果たすだろう。パートナーシップから生まれる勢いを利用することで、台湾は自国特有の課題に効果的に対処し、産業を国際基準に合わせてレベルアップさせ、地域経済統合が実現した暁にはそこでの地位を確立できるようになる。3.貿易イニシアチブが台湾の各分野にもたらす影響「21世紀の貿易に関する台米イニシアチブ」は経済成長を大きく促す可能性があり、その影響は台湾の様々な分野にも広く及んでいる。同イニシアチブの発足は、新たな協力関係の時代が到来したことを告げるものであり、また、持続的な発展を確保するための戦略的対応を必要とする転換の前触れでもある。第一に、米国との貿易交流の拡大は国内産業にチャンスと課題の両方をもたらす。米国企業が参入することで、国内の自動車組立工場や食品加工業界は競争への不安を感じるかもしれないが、かかる競争自体が技術革新と効率性向上のための触媒として機能する可能性もある。イノベーション奨励策や技術投資を通じて台湾政府がこれら産業を戦略的に支援することは、競争力を強化するだけでなく、グローバルな舞台で活躍する優れたプレイヤーとしての地位確立にもつながるだろう。農業分野では、米国からの輸入増加に対する台湾農家たちの懸念は至極もっともなものであり、適切な介入が必要だ。政府が事前対応的アプローチを行う際は、公正な競争と公平な土俵を確保するための仕組みを包含すべきだろう。イノベーションを促進し、独自の価値提案を後押しすることで、台湾の農業部門は変わりゆく状況をたくましく乗り切り、品質と持続可能性を旗印に掲げて台頭してゆくことができるだろう。同様に、労働慣行と安定的な雇用に力を注ぐことも非常に大切だ。貿易と投資の流れが活性化するのに伴い、台湾の労働力は労働動態の調整という荒波に直面する可能性がある。変化する市場ニーズが求める適応力とスキルを労働者に身につけさせる上でも、スキルアップ、リスキリング、労働力育成プログラムへの戦略的投資が重要になる。要するに、このイニシアチブがもたらす影響は多面的なものであり、包括的かつ適応性に優れたアプローチが必要になる、ということだ。協定が掲げる理念と国内戦略を整合させることで、台湾はイノベーション、持続可能性、戦略的な課題管理が経済成長の原動力となる未来への準備を整えている。イニシアチブがもたらす利益を確保し、地域経済統合という枠内で台湾が前へ進むためには、こうした積極的な姿勢が不可欠である。Part IIに続く写真: AP Photo/Esteban Felix(※1)https://grici.or.jp/ <CS> 2023/08/17 10:14 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米FRBは追加利上げ除外せず、利下げ程遠い *07:42JST NYの視点:米FRBは追加利上げ除外せず、利下げ程遠い 米連邦準備制度理事会(FRB)は公表した連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7月25-26日会合分)でインフレの著しいリスクが見られ追加引き締めが必要となる可能性を指摘した。同時に、議事要旨では、メンバーの見解の相違も明らかになった。この会合でFRBは0.25%の利上げを再開したが、2人のメンバーは政策金利の据え置きを支持した。ほとんどのメンバーが両サイドのリスクに言及しているなど、内容は中立とも言える。数人のメンバーは銀行の信用状況の引き締めが予想より強化されており、予想以上の景気減速につながる可能性を懸念。23年には景気後退は予想しておらず、24年―25年の経済成長が抑制されるとの見通し。次の金融政策の決定に関しては、経済やインフレのデータ次第であることが再確認された。7月会合後に発表された7月のインフレ指標は6月に続きインフレ鈍化の傾向を維持したため、来週、ワイオミング州、ジャクソンホールで開催される米カンザスシティー連銀主催の国際経済シンポジウムでのパウエル議長の講演での発言は若干タカ派姿勢が弱まる可能性もある。しかし、消費は予想以上に強く、さらに住宅市場は底入れ。アトランタ連銀の7-9月期国内総生産(GDP)成長見通しは5.8%まで引き上げられるなど、景気減速の兆しは見当たらない。基本的には利下げには程遠いとの見解が再表明される可能性が強い。 <CS> 2023/08/17 07:42 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は0.36%安でスタート、景気の先行き不安が高まる *10:55JST (中国)上海総合指数は0.36%安でスタート、景気の先行き不安が高まる 16日の上海総合指数は売り先行。前日比0.36%安の3164.70ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時51分現在、0.50%安の3160.18ptで推移している。弱い経済指標など景気の先行き不安の高まりが圧迫材料。7月の主要な経済指標はそろって予想を下回った。また、成長予想が下方修正されたことも嫌気されている。ほかに、米金融機関の不透明感などもリスク回避の売りを加速させている。 <AN> 2023/08/16 10:55 注目トピックス 経済総合 コラム【ポートフォリオのススメ】失敗できる運用・失敗できない運用(マネックス証券 塚本 憲弘) *09:30JST コラム【ポートフォリオのススメ】失敗できる運用・失敗できない運用(マネックス証券 塚本 憲弘) 個人のポートフォリオは皆異なります。リスクを取りたい人は株式等リスク資産中心となる一方、リスクを取りたくない人は債券等保守的な資産が中心となります。また、年齢によっても異なるべきものです。年齢=安全資産割合という考え方があります。20歳であれば20%が保守的資産、残り80%はリスク資産となり、逆に80歳であれば80%が保守的資産の目安です。若いうちはリスクを取り、年齢と共に徐々に保守的になるべきということですね。資産運用は収入がある第一ステージと退職後の第二ステージに大きく分けられるでしょう。第一ステージは定期的な積み立てを前提とすれば資産運用額は増加していく一方、第二ステージは資産の取り崩しが勘案される時期です。よって同じリターンでも前者では資産の増加は加速しますが、後者では資産を引き出すことで投資元本が減少します。また投資を始めてすぐに金融危機が来た場合を考えてみましょう。第一ステージではやり直しがきく点で大きな問題にならず、重要なのはその後の長期的なリターンとなりますが、退職金で投資をしてそのような経験をした場合その後の回復は容易では無く注意が必要です。つまり両者では投資期間が異なることでリスク許容度も異なっており、またリターンについても第一ステージでは目標値が高くあるべきですが、第二ステージではリターンよりもリスクが重視され、また運用の目的も第一ステージの資産形成と異なる多様なものになるでしょう。もう一つ考えるべきはインフレです。2%の物価上昇が20年続くと現金の価値は2/3になります。第一ステージでは基本的に収入がインフレ連動ですし、積み立てによるリスク資産運用でカバーされますが、収入の無い第二ステージでは資産の引き出しも重なることで運用資金は枯渇するリスクが出てきます。このように第一ステージと第二ステージとでは運用を取り巻く環境が大きく異なります。第二ステージにおける諸課題への対応として投資タイミングを分散するドルコスト平均法が良く引き合いに出されます。一括投資とどちらが良いのか?過去を見てもタイミング次第で優劣の示し方は変わってきますが、行動経済学的に言えば、先行きなど絶えず不透明な中で運用に踏み込む気持ちの整理がつきやすい投資手法でしょう。金融市場の動向を観察しリスク/リターンを確認することも大切ですが、運用の状況や目的など自分を理解することは大変重要です。前回はその参考になる考え方としてゴールベース運用について簡単に触れましたが、運用は市場に対峙するのではなく自分に対峙することが大切です。マネックス証券 インベストメント・ストラテジーズ 塚本 憲弘(出所:8/14配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋) <CS> 2023/08/16 09:30 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米サービスコアインフレは引き続き鈍化困難か、ノーランディングのシナリオも *07:47JST NYの視点:米サービスコアインフレは引き続き鈍化困難か、ノーランディングのシナリオも 米7月小売売上高は前月比+0.7%となった。伸びは6月+0.3%から予想以上に拡大。同月に開催されたオンライン小売のアマゾンの会員向けビッグセールの影響が全体指数を押し上げたと見られている。国内総生産(GDP)の算出に用いられる自動車、建材、給油、食品を除いたコントロールグループは前月比+1.0%。伸びは1月来で最大となり7-9月期GDPの成長にプラスに寄与すると見られる。米商務省と類似したモデルを使用しているため注目されるアトランタ連銀のGDP見通しは7-8月期5.03%成長と、前回の4.088%からさらに引き上げられた。いまのところ景気後退の兆候は見られない。ノーランディングのシナリオも浮上。引き続き強い消費は米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策決定において注視しているサービスコアインフレの鈍化をさらに遅らせる可能性が出てきた。米7月の輸出入物価指数も伸びが拡大。輸入物価指数は前月比+0.4%と、3カ月ぶりのプラスで、1年ぶりで最大の伸び。輸出物価指数も前月比+0.7%と、2月来のプラスで昨年7月以降ほぼ1年ぶり最大の伸びを示した。今年の連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権を持っている米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は度々、十分に引き締め域にあり、追加利上げに慎重な姿勢を見せていた。しかし、15日のイベントで、「我々はインフレを巡り進展したが依然過剰に高い」と、言及。インフレが2%目標に向かっている納得できる証拠が必要との考えで、問題はインフレを鈍化させるためにFRBが十分な行動をしたか、まだ行動が必要かどうかだと指摘。さらに、「利上げ終了した」と言及する準備はない、利上げの可能性を完全には除外しなかった。さらに、利下げにはまだ長い道のりだと言及。ゴールドマンサックスのエコノミストはインフレ鈍化がさらに進み年内の利上げ終了、来年第2四半期の利下げ見通しを示したが、FRBが注目のサービスコアインフレの鈍化が遅れ、追加利上げの可能性は残る。 <CS> 2023/08/16 07:47 注目トピックス 経済総合 NYの視点:NY連銀インフレ期待低下、実質金利上昇でFRBの追加利上げの可能性が後退 *07:46JST NYの視点:NY連銀インフレ期待低下、実質金利上昇でFRBの追加利上げの可能性が後退 NY連銀が約1300戸世帯を対象に毎月行う調査の7月分で、全期間でインフレ期待の低下が明らかになった。1年先の食品、医療費、賃貸の伸びの予想は3.55%と、6月の3.83%から一段と低下し、21年4月来の低水準となった。3年物は2.9%と、3.00%から低下、5年物も2.9%と、3.0%から低下した。CPIなどに大きく影響する賃貸予想の伸びは21年1月来で最低。また、来年に自主的退職する確率は17%と、21年3月来で最低となるなど、労働市場の強さも緩和の兆しが見られる。ただ、新たな職が見つかる確率は55.8%へ、55.3%から上昇しており、労働市場への信頼は根強い。平均支出は5.4%増と、5.2%から伸びが拡大も依然12カ月平均6.1%を下回っており、消費者が支出に慎重になりつつあることも明らかになった。連邦準備制度理事会(FRB)が望んでいるコアサービスインフレの鈍化の可能性も示唆された。■NY連銀7月消費者調査「1年物インフレ期待:3.5%(6月3.83%)、21年4月来で最低」「3年物インフレ期待:2.9%(3.00%)」「5年物インフレ期待2.9%(3.0%)」「住宅価格の伸び+2.8%(+2.9%)」「来年自主的退職の確率:17%、21年3月来で最低」「新たな職が見つかる確率:55.8%(55.3%)「支出:5.4%(5.2%)、12カ月平均6.1%」ゴールドマンサックスはFRBが9月連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送り、コアCPIの伸び鈍化で、11月の利上げも必要がなくなるとの見方。24年の第2四半期にもFRBが利下げを開始する可能性が強いと見ていることを、顧客向けのレポートで明らかにした。インフレが目標に近づいたら、FFを金融引き締め域から正常な水準に戻すと見ている。実質金利も上昇基調にあり、FRBの目標が達成されつつあり、利上げを終了する理由にもなる。 <CS> 2023/08/15 07:46 注目トピックス 経済総合 NYの視点:【今週の注目イベント】FOMC議事録、ユーロ圏・英・日CPI、日米韓首脳会談など *07:34JST NYの視点:【今週の注目イベント】FOMC議事録、ユーロ圏・英・日CPI、日米韓首脳会談など 今週は、米連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7月開催分)公表を予定している。今後のFRBの金融政策の軌道を確かめるうえで注目材料となる。FRBはこの会合で0.25%の利上げを再開。年内はデータ次第で各会合で政策を決定していく方針を表明した。7月消費者物価指数(CPI)が6月に続き鈍化傾向を示したため、9月は利上げを見送るとの見方が強まった。FOMC参加者は、金融市場混乱を受けてタカ派色を弱めた可能性もあり、また、インフレの進展を歓迎するものの、一方で、インフレが依然、FRBの目標である2%を上回っているため、利上げサイクルの終了を宣言するとは考えられない。議事要旨でも、インフレ制御を巡る勝利宣言が見られるとは考えられず、追加利上げの選択肢を含む内容にとどまる可能性が強い。さらに、英国、ユーロ圏、日本のCPIに注目。ユーロ圏CPIは前月比マイナス0.1%と、1月以来のマイナス予想で、インフレ鈍化の証拠となるかどうかに注目。英国の4-6月期国内総生産(GDP)の成長が予想外に強く英中銀の利上げ休止の協議は時期尚早との見方が強まった。CPIは鈍化が予想されているが、コアやサービスインフレに注目。インフレ鈍化が滞った場合、利上げ観測が強まり、ポンド買いにつながる。また、日本のCPIで加速が見られると、緩和策解除の思惑が円買いにつながる可能性もある。NZ準備銀行は金融政策決定会合を開催予定。政策を据え置く公算。中国では地方債務拡大や不動産開発会社の損失拡大を受けた流動性懸念がリスクになりうる。中国人民銀行は8月の会合で金利を据え置くと見られるが、9月にも住宅支援で利下げに踏み切るとの見方が強まりつつあり、リスク選好の動きを後押しする可能性がある。また、ワシントン郊外の大統領山荘キャンプデービッドで、日米韓首脳会談が開催予定。日米韓の連携強化を国内外にアピールする狙いがあると報じられた。報道によると、3か国会談を定例化して毎年開催することで合意し、共同声明に明記する見通し。さらに、自衛隊と米韓両軍による共同演習を毎年実施することでも一致する方向で、北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の覇権主義的行動をけん制する狙いがあるという。■今週の主な注目イベント●米国15日:7月小売売上高、7月輸入物価指数、8月NY連銀製造業景気指数、7月企業在庫、8月NAHB住宅市場指数、対米国投資、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁講演16日:7月住宅着工件数・建設許可件数、7月鉱工業生産・設備稼働率、FOMC議事要旨(7月開催分)17日:週次新規失業保険申請件数、7月先行指数18日:日米韓首脳会談●カナダ15日:CPI、中古住宅販売●中国15日:中期融資、小売売上高、鉱工業生産●欧州15日:独ZEW16日:ユーロ圏鉱工業生産、GDP18日:ユーロ圏CPI●日本15日:鉱工業生産、GDP17日:コア機械受注、貿易収支18日:CPI●英国15日:失業保険申請件数、失業率16日:CPI●ニュージーランド16日:NZ準備銀行が金融政策決定会合 <CS> 2023/08/14 07:34 注目トピックス 経済総合 国内外の注目経済指標:日本の4-6月期GDP成長率は2%台後半の予想 *14:35JST 国内外の注目経済指標:日本の4-6月期GDP成長率は2%台後半の予想 8月14日-18日週に発表される主要経済指標の見通しについては、以下の通り。■15日(火)午前8時50分発表予定○(日)4-6月期国内総生産(GDP)速報値-予想は前期比年率+2.9%3四半期連続のプラス成長となる見込み。自動車輸出、訪日外客による消費支出は増加したが、輸入減少による純輸出が増加したことが要因。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の「5類」移行などがサービス消費の増加につながった。設備投資、住宅投資は増加したとみられる。■15日(火)午前11時発表予定○(中)7月小売売上高-予想は前年比+4.0%参考となる6月実績は前年同月比+3.1%にとどまり、5月実績の+12.7%を大幅に下回った。景気減速の可能性が高まっており、個人消費の急回復は期待できないため、7月は6月実績並みにとどまる可能性は残されている。■15日(火)午後9時30分発表予定○(米)7月小売売上高-予想は前月比+0.4%参考となる6月実績は前月比+0.2%で市場予想を下回ったが、5月実績は上方修正されている。7月については無店舗小売りの売上は順調とみられていること、ガソリンスタンドの売上は増加が予想されており、全体の売上高は前月比プラスとなる可能性がある。■18日(金)午前8時30分発表予定○(日)7月全国消費者物価コア指数-予想は前年比+3.1%参考となる6月実績は前年同月比+3.3%。電気代の値上げが押し上げ、食品高も続いている。この状況は7月も続くとみられており、政策効果の影響を考慮しても、コア指数のインフレ率は前年比+3%超となる可能性がある。○その他の主な経済指標の発表予定・15日(火):(米)8月NY連銀製造業景気指数・16日(水):(英)7月消費者物価コア指数、(欧)4-6月期ユーロ圏域内総生産改定値、(米)7月住宅着工件数・17日(木):(日)7月貿易収支、(豪)7月失業率・18日(金):(英)7月小売売上高 <FA> 2023/08/12 14:35 注目トピックス 経済総合 トルコリラ円今週の予想(8月7日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) *09:26JST トルコリラ円今週の予想(8月7日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) 皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、トルコリラ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週のトルコリラ円について『安値圏で保ち合いが続きそうだ』と述べています。続けて、『先週のトルコリラ円は、インフレ率の上昇を受けて実質金利が低下したことから、売りが優勢だった。トルコ7月生産者物価指数は前年比+44.50%と前回の+40.42%を上回った、トルコ7月消費者物価指数(CPI)は前年比+47.83%と予想+47.00%、前回+38.21%を大幅に上回った。コアCPIも前年比+56.09%と予想+54.50%、前回+47.33%を大幅に上回った』と伝えています。次に、『トルコ中央銀行は7月20日、政策金利を2.5%引き上げて17.5%とした。2会合連続で利上げしたものの、トルコの実質金利が急低下したことで、トルコリラは売りが強まった』とし、『トルコ中銀はエルカン新総裁の下でエルドアン大統領が進めてきた低金利政策からの転換を継続。一段の引き締めを確約すると同時に、追加措置で支援する姿勢を示した』と述べています。また、『7月景気動向指数や7月経済信頼感に加え、7月製造業PMIも7ヵ月ぶりに好不況の分岐点となる50を下回った。トルコ経済の先行きには依然として不透明感が強い』とし、また、『トルコ7月貿易収支は123.9億ドル赤字で前回の51.6億ドル赤字から赤字額急拡大したことも嫌気されている』と言及しています。こうしたことから、陳さんは、『現時点ではトルコリラには買い要因が少なく、戻り売りが継続しよう。ただ、トルコ中銀が継続的に利上げする可能性があるため、下値は5.0円を維持しそうだ』と考察しています。トルコリラ円の今週のレンジについては、『5.00円~5.40円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の8月8日付「トルコリラ円今週の予想(8月7日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜 <CS> 2023/08/10 09:26 注目トピックス 経済総合 NY原油、上値はせいぜい85ドルか サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) *09:24JST NY原油、上値はせいぜい85ドルか サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) 皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、NY原油についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『NY原油、上値はせいぜい85ドルか』と述べています。続いて、『NY原油は、先週27日に需給逼迫観測を背景に節目の80ドルを突破して引けた。約3カ月ぶりの高値を更新した。週末28日も続伸して80ドルを維持し、週間では3.51ドル(4.55%)高と、プラスでの越週は5週連続となった』と解説しています。また、『米金融大手ゴールドマン・サックスは30日、7月の世界の石油需要は過去最大の日量1億0280万バレルになるとの推計を示した。またインドと米国の経済が堅調であることから、2023年の石油需要予測を日量約55万バレル上方修正し、市場では需給引き締まり観測が強まった』と伝えています。一方で、『今週はドル上昇に伴う割高感の強まりと、格付け会社フィッチが米国債の格付けを最上級の「トリプルA」から「ダブルAプラス」に1段階引き下げたことを受けて、売りが強まり80ドルを下回った』と言及しています。こうしたことから、陳さんは、NY原油について、『ドル高、米国債の格下げに加え、 「OPECプラス」が減産を強化しない見込みから、NY原油は75~85ドルのレンジで推移しそうだ』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の8月3日付「NY原油、上値はせいぜい85ドルか」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜 <CS> 2023/08/10 09:24 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米9月FOMCへの金利の行方は依然不透明、重要指標を見極めへ *07:37JST NYの視点:米9月FOMCへの金利の行方は依然不透明、重要指標を見極めへ 米国の7月消費者物価指数(CPI)は伸びの鈍化が維持できるかどうかが焦点となる。前月比では6月と同水準の伸びが予想されている。米連邦準備制度理事会(FRB)が注視しているエネルギーや食品を除いたコアCPIも前年比で+4.7%と、前月の+4.8%から伸び鈍化が予想されているものの、依然目標2%を上回る。インフレが想定通り鈍化しなければ追加利上げの可能性は残る。6月と同様に想定以上にインフレが鈍化した場合は、9月の利上げ見送りの確率が高まることになる。パウエル議長は6月の想定以上のインフレ鈍化を歓迎すると同時に、利上げ終了にはこの傾向が継続することが必要だと慎重姿勢を維持したる。連邦公開市場委員会(FOMC)で議長や副議長と同様に影響力のあるNY連銀のウィリアムズ総裁はNYタイムズ紙とのインタビューで、「現在の金融政策は必要である水準にある」と、ピーク金利の修正が必要かどうか、また、どの程度の期間、ピーク金利を据え置くかどうかはデータ次第だ、との考えを示した。ウィリアムズ総裁は一段の利上げが必要かは議論の余地があると、タカ派姿勢を弱めた。もし、インフレが減速した場合、2024年か2025年に実質金利が一段と上昇しないように利下げする必要があるかもしれないと述べた。タカ派で知られる米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁も「当面この水準を維持する必要があるものの、もし、経済にサプライズがなければ、利上げ終了することが可能になる」との考えを示している。利上げ終了が近づくなか、7月CPI後も、9月19日、20日に開催される次回FOMCまでにはまだいくつかの重要指標の発表がある。このため、今後の金融政策への不透明性は当面くすぶる。■9月FOMCまでに発表予定の重要指標8/30:4-6月期GDP改定値8/31 :7月PCE物価指数9/1 :8月雇用統計9/13 :8月CPI9/14 :8月PPI <CS> 2023/08/10 07:37 注目トピックス 経済総合 コラム【最新クリプト事情】:リップル訴訟問題と暗号資産の証券性(マネックス証券 松嶋 真倫) *09:32JST コラム【最新クリプト事情】:リップル訴訟問題と暗号資産の証券性(マネックス証券 松嶋 真倫) 米国では証券取引委員会(以下、SEC)を中心に暗号資産の証券性に関する議論が白熱している。SECは「暗号資産の大半は証券である」と主張しており、それゆえにコインベースやクラーケン、ジェミナイといった暗号資産取引所に対して未登録の証券販売の違反により提訴する動きをとっている。このような議論を代表する例として、暗号資産XRPを発行するリップル社とSECの訴訟問題がある。2020年12月より両者間でXRPの証券性を巡る裁判が争われており、先月に米国連邦地方裁判所でその判決が一部出された。判決によれば取引所を通じた個人向けのXRP販売は証券に該当せず、機関投資家向けのXRP直接販売は証券に該当するとのことだった。この判決の基準として、証券の該当性を判断するための「ハウェイ・テスト(Howey Test)」という判定テストが用いられた。その要件について、詳細は公式の書類を確認してもらいたいが、発行元の立場では事業を行うために資金を集めているか、投資家の立場では第三者の努力による利益を期待しているかが大きなポイントとなる。今回、取引所を通じた個人向けのXRP販売はハウェイ・テストの基準を満たさないため証券ではないと判断された。個人の多くはリップル社への投資と認識せずにXRPを購入しており、リップル社の努力による利益を期待したわけではないというロジックだ。私も判決の妥当性についてはわからないが、暗号資産投資家はそこまで愚かではないと思う。ハウェイ・テストで判断した際に証券ではないと言い切れる暗号資産はビットコインだけだろう。ビットコインは誰かが資金調達のために発行したものでなければ、第三者の努力によって投資家に利益がもたらされるものでもない。その他の暗号資産のほとんどは財団がトークン発行によって資金を調達し、その活動によって投資家の利益が左右される面がある。SECは今回の判決に対して控訴する可能性を示唆しており、XRPの証券性については不透明な状況が続きそうである。米国でこのまま暗号資産が証券として定義されるかはわからないが、リップル訴訟問題は、米国の暗号資産規制の方向性を決める問題として、引き続き注目が必要である。マネックス証券 暗号資産アナリスト 松嶋 真倫(出所:8/7配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋) <CS> 2023/08/09 09:32 注目トピックス 経済総合 NYの視点:金融不安がくすぶる、FRBの利上げ見送りも *07:39JST NYの視点:金融不安がくすぶる、FRBの利上げ見送りも 米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスがM&Tバンクなど米銀中小10行を格下げたほか、キャピタル・ワン、PNCファイナンシャルなど11行の格付見通しも安定からネガティブに引き下げたため金融不安が再燃した。ムーディーズは資金調達コストの上昇や当局による潜在的な資本規制強化、さらに商業不動産に絡んだリスクの上昇を理由に挙げた。さらに、米銀のUSバンコープ、ステートストリートなど6行に対し、格下げ方向で見直すと発表。3月初旬のシリコンバレー銀(SVB)など中堅銀の破綻が相次いだことを受けて連邦準備制度理事会(FRB)は総資産1000億ドル以上の銀行対象に規制強化案を発表した。今まで含めていなかった中手銀も対象となる。JPモルガンなど大手銀は、SVBなどの破綻はあくまでも各行幹部による管理の甘さが招いた結果によるもので、中小規模の機関に対する規制強化は必要はなく、規制強化が逆に金融不安を煽り、さらに、景気の減速にも繋がりかねない、と反発。万が一、中堅の銀行も含めた規制強化が実施された場合、金融システムが脆弱となるリスクが上昇する。NY連銀が発表した4-6月期クレジットカード残高が初めて1兆ドルを突破。同時に返済が滞っている消費者比率も上昇した。消費者の状況がすでに脆弱になり始めている状況下で、金融システムの混乱は回避が望ましい。金融リスクの上昇もFRBが利上げを見送る新たな理由になる可能性がある。 <CS> 2023/08/09 07:39 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米7月CPI次第で9月利上げ見送りも *07:36JST NYの視点:米7月CPI次第で9月利上げ見送りも NY連銀のウィリアムズ総裁は2日に実施されたNYタイムズ紙とのインタビューで、「現在の金融政策は必要である水準にある」とし、ピーク金利の修正が必要かどうか、また、どの程度の期間、金利をピークで据え置くかどうかはデータ次第だ、との考えを示した。自分の見解では、政策金利を引き締め域で当面維持する必要があると見ている、と言及。連邦準備制度理事会(FRB)は7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で25BPの利上げを再開し、政策金利であるFF金利誘導目標を5.25%‐5.5%と22年ぶりの高水準に設定した。ウィリアムズ総裁は一段の利上げが必要かは議論の余地があると、タカ派姿勢を弱めた。もし、インフレが減速した場合、2024年か2025年に実質金利が一段と上昇しないように利下げする必要があるかもしれないと述べた。NY連銀はFOMCの中で議長や副議長と同じく金融政策決定において影響力が強い。7月CPIの結果次第では、利上げ終了に一段と近づく可能性もある。 <CS> 2023/08/08 07:36 注目トピックス 経済総合 中国の若者の失業問題: 課題にうまく対処し、持続可能な未来を創造する(2)【中国問題グローバル研究所】 *10:30JST 中国の若者の失業問題: 課題にうまく対処し、持続可能な未来を創造する(2)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「中国の若者の失業問題: 課題にうまく対処し、持続可能な未来を創造する(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。4.教育と雇用のミスマッチの軽減世界各地で歴代最高気温を更新する酷暑のなか、中国では新卒者の雇用市場が厳寒期に突入したようだ。政府が推し進める農村部での雇用促進策だけに頼っていては、この問題に十分に対処できない。中国の若い世代の失業危機を解消できる可能性があるのは、国内経済の緩やかな回復と個人消費の持ち直し、市場の見通しに対する民間企業や国有企業の信頼の回復だけだ。人材ミスマッチを軽減するためには、包括的な戦略を策定する必要がある。この戦略には教育とスキル育成への重点的な投資が求められる。つまり雇用市場と個人、両方のニーズに焦点をあてた施策だ。教育側と雇用側の連携を促すことで、新卒者は適したスキルと適応能力を身につけ、社会人になる準備をしっかりと整えることができるようになる。若い新卒者のための持続可能で、インクルーシブな雇用市場を創出するには、政府と教育機関、民間セクターとの間の連携を伴う、より包括的な長期的アプローチが必要となる。適したスキルを身につけさせ、適した雇用機会を提供し、自分の能力を十分に発揮できるようにさせることで中国は若手人材の明るい未来を築き、また国全体の経済的成長と安定を確保できる。若者の失業問題に対処するうえでの主要なポイントの1つに、雇用市場のニーズへの教育機関による対応があげられる。業界と緊密に連携して学生に実践的なスキルと知識を身につけさせるような、現状に即したカリキュラムを設計することが大学には求められる。インターンシップや実習など実践的に学ぶ機会を設けることで、教室で教わる理論と実際に仕事で求められるもののギャップを埋めることが可能なのだ。起業の奨励とスタートアップの支援もまた、若い新卒者が能力を十分に発揮できる環境づくりに欠かせない。政府は、良好なビジネス環境を整え、金銭的インセンティブ策を講じ、事業を立ち上げるにあたっての煩雑な手続きを簡素化する政策を打ち出すことができる。スタートアップの強固なエコシステムの構築により、雇用創出を活性化し、イノベーションを推進し、優秀な人材を誘致することができる。それが、求職活動をする新卒者の増加を吸収する一助となる。構造的な失業問題に対処し雇用創出を促進するため、中国政府は中小企業の支援に特に力を入れており、7月19日には民間企業の発展支援に向けた31項目の方針を発表した。これは、民間企業の成長を支援・促進し、起業とイノベーションに資する環境を整えることを目的としたものだ。中小企業は多くの国・地域で雇用に大きく貢献しており、中国の経済活動でも不可欠な役割を果たしている。的を絞った資金援助と事務上の手間の軽減、リソースへのアクセスの容易化によって中小企業は好業績を収めることができるようになり、それが雇用市場の多様化と弾力化につながる。さらに、テクノロジーとデジタルトランスフォーメーションを活用することで、新たな雇用機会を創出できる。ハイテク産業とデジタルプラットフォーム、eコマースの振興を促せば、ITからマーケティングや物流まで、さまざまな分野で新卒者が働く門戸を開くことができる。5. 結論厳しい雇用環境下にあるにもかかわらず、意義ある仕事を見つけるという夢を諦めきれない若い新卒者は多い。たとえ困難に直面することになるとしても、自分のスキルや興味に合致する仕事に就きたいと願っているのだ。だが、現在の雇用市場では必ずしも自分の望む雇用機会に巡り合えるとは限らない。中国では現在、デフレリスクが強まっており、若者の失業問題への対処の必要性が一段と高まっている。「上山下郷」プログラムのような政府の施策は一時的な解決策となるかもしれないが、今の複雑な雇用状況には十分に対処できない。失業問題の影響を受け入れ、国家のニーズに資することができるところで雇用機会を探すよう若者に求める中国政府の姿勢は、現状に対処する当局の尽力を反映している。だが、このアプローチを個人の希望や才能を重視するものではなく、政府が必要とする職に新卒者を就かせる手段に過ぎないと考えるネット市民は多い。中国経済が厳しい時期を乗り越えようとする今、若い人材が持つポテンシャルを未来の成長とイノベーションの原動力と認識することが不可欠だ。若者のポテンシャルを引き出し、経済的繁栄を実現させるうえで、優秀な人材の育成、起業の奨励、スキル育成を促進する環境の整備が欠かせない。中国政府は今こそ、若者の失業問題に対処するには包括的かつ長期的なアプローチが必要であることを認識すべきだ。継続的な研修プログラムやリスキリングプログラムを導入すれば、若い新卒者のエンプロイアビリティ(就業能力)を高めることができる。また、専門能力の育成コースや認証制度の整備は、新卒者が雇用市場の需要の変化に対応し、競争優位性を獲得する一助となる。同時に、生涯学習の文化を推進し、個人が職業人生を通じて自らのスキルと知識を高め続けることを奨励することも非常に大切だ。継続的学習に力を入れることで、対応力と適応力が高く、新たなチャレンジにいつでも挑むことができる人材を生み出せる。最後に、若者の失業問題への対処では政府と民間セクター、教育機関、そして社会全体が協調して取り組むことが不可欠となる。力を合わせることで、ステークホルダーはチャンスを見極め、雇用市場をよりインクルーシブで持続可能なものにし、市場の活況をもたらす包括的な戦略を打ち出すことができる。結論として、次のようなことが言える。中国では若者の失業者が急増し、革新的かつ包括的な解決策が必要であることが浮き彫りとなった。この問題に対処するには、教育改革や起業支援から、ダイナミックな雇用市場の醸成や継続的学習の推進まで、幅広く多面的なアプローチが必要だ。適したスキルを身につけさせ、適した雇用機会とリソースを提供し、新卒者が自分の能力を十分に発揮できるようにさせることで、中国は若者のポテンシャルを引き出し、より明るい経済の未来を切り拓くことができる。写真: HUAI'AN, CHINA - JULY 1, 2023 - College students choose jobs at a job fair for 2023 graduates in Huai 'an City, East China's Jiangsu Province, July 1, 2023.(※1)https://grici.or.jp/ <CS> 2023/08/07 10:30 注目トピックス 経済総合 中国の若者の失業問題: 課題にうまく対処し、持続可能な未来を創造する(1)【中国問題グローバル研究所】 *10:25JST 中国の若者の失業問題: 課題にうまく対処し、持続可能な未来を創造する(1)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している陳建甫博士の考察を2回に渡ってお届けする。1. ポストコロナの雇用市場における構造的変化中国の国家統計局が7月17日に発表した最新の失業者数から、若者(16~24歳)の失業率が3カ月連続で過去最高の水準に達したことがわかった。失業率は4月の20.4%から5月に20.8%、6月にはさらに21.3%にまで上昇した。雇用環境は5月以降、厳しさを増している。積極的に求職活動を行っている3300万人強のうち、就職できたのは2600万人前後で、残りの600万人ほどは依然求職中だ。近年の新卒者の多くがパンデミックの収束まで積極的な就職活動を控えざるを得なかった。ところが、ポストコロナ期に入ると中国の雇用市場では構造的変化が生じた。6月に若者の失業者数が特に急増した背景には、大学を卒業した1158万人が新たに雇用市場に加わったことがある。過去のデータを見る限りでは、若者の失業率は8月まで高水準で推移することが予想されるが、その後、若干低下する可能性がある。本稿では自分に適した仕事探しで新卒者が直面する課題に焦点を当て、若者の失業率が3カ月連続で上昇した背景を分析する。中国当局は、ハイテク職に適した人材を見つけることが難しいことを挙げ、現在の失業問題が主として本質的に構造上のものであると強調し、景気低迷・悪化に対する懸念を払拭しようとした。一方、中国の失業者数の公式な集計方法は、国際的な基準と異なっている。中国では1週間に1時間を超えて働く人は、失業者とみなされない。さらに無給休暇中や工場が閉鎖中の人、自主退職し、求職活動を開始していない人も失業者には分類されない。ポストコロナ期に入って以降、中国では新卒者が就職難に直面している。それを受けて、中国ではここ数年、飲食店のフードデリバリー事業向けのメニュー開発・価格設定・パッケージングアシスタントなど、74種もの新たな職業が生まれている。2.政府の施策とその効果失業率の上昇に対処するため、27省が公共サービスセクターの大幅な拡大を図った。拡大率は甘粛省で80%に上ったほか、同様の伸びを示す省が半数を超える。これに加え、主要な大学と研究機関では入学定員を増やした。全国の864研究機関に入学した学生は約76万名で、昨年から1万人強増えている。同時に、研究機関の入学志願者数は過去最高の474万人に上り、昨年より17万人多い。新卒者はこれまで、正式な採用面接を受けるまでの間、学習塾の講師などのアルバイトを簡単に見つけることができた。だが、子供と保護者の学習・教育負担を軽減する目的で2021年7月に「双減」政策が導入されて以降、K9(小学校から中学校までの義務教育)の英語指導セクターを中心に、こうした機会がなくなった。中国政府は若者に対して、現実を見据え、失業問題の影響を受け入れるよう求めている。これは、国家と人民が最も自分を必要としているところで働くことを奨励するもので、現代の「上山下郷」プログラムと言える。『人民日報』のコラムでは、自分の強みと社会的ニーズの合致点を探し、謙虚さを忘れず、自分の資質を客観的に評価し、現実的な観点で進路を選択することを新卒者に促している。中国当局は、プライドを一旦捨てて、失業問題の影響に真正面から向き合うよう若者に呼びかけている。このコラムで紹介しているのは、西部地域への大卒ボランティアサービス計画(Western Region University Volunteer Service Plan)や「三支一扶」計画など、貧困軽減と農村開発に寄与するプロジェクトに充実感を見いだした若者の事例だ。とはいえ、政府の「上山下郷」の取り組みだけでは失業問題に十分に対処することができない。中国経済のゆるやかな回復や消費者マインドの持ち直し、民間企業や国有企業の見通しの好転により、若者の失業危機はいずれ解消されるかもしれない。一方、ネット市民の間では自分に適した仕事探しで若い新卒者が直面する課題に政府は十分に対処していないと感じる向きが多く、こうした施策の評判は芳しくない。3.新卒者のキャリア志向の変化就職難に新卒者の急増が重なり、まともな雇用機会を見つけることがますます難しくなってきた。そうしたなか、新卒者はどのような職業に就くことを望んでいるのだろうか。Weibo(微博)が7月14日に発表したインタビュー調査の結果によると、対象となった新卒者1万人弱のうち、60%余りが選択肢となりうる職業に「ネットインフルエンサー」と「ライブ配信者」を入れた。中国ではネットパフォーマンス業界が活況を呈しており、およそ1億人分の雇用機会を創出すると推計される。だが、95%強のネットインフルエンサーの平均月収は5000人民元に満たず、北京や上海、広州などの主要都市で家賃や基礎生活費をまかなうことが難しい。露店営業を奨励、保護する李克強前首相の取り組みをよそに、「露店経済」は各地の都市部で密かに繁栄を続けてきた。都会に暮らす新卒者の多くは、家庭内労働に目を向け、家事手伝いをしたり、「フルタイムの孝子」と自らを称したり、あるいは、都会で就職できる見込みがないため、故郷に帰って肉体労働に従事せざるをえない。大都会で自分に適した仕事を見つけることができず、自分の才能を十分に活用できていないと感じる農村部出身の大卒者もいる。中国では深刻な人材ミスマッチが、高等教育投資に重大な歪みとアンバランスさをもたらすとともに、若い世代の自信と希望の喪失を招いている。バタフライ効果(バタフライエフェクト)のように、16歳から24歳の年齢層の間で失業問題に火が付いたことをきっかけとして、25歳から35歳の年齢層の間でパニックが起きた。著名な大学(211大学または985大学)を卒業した優れた学歴の新卒者でも低賃金を受け入れる意向の者は多い。そのため、給与が高いにもかかわらず、一般的なスキルしかない労働者を雇用する必要性を企業が感じず、給与が高いのに優位性の低いスキルしか持たない中高年労働者の多くが突然解雇されるかもしれないとの見方が広まったのだ。中国の若者の失業問題: 課題にうまく対処し、持続可能な未来を創造する(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。写真: HUAI'AN, CHINA - JULY 1, 2023 - College students choose jobs at a job fair for 2023 graduates in Huai 'an City, East China's Jiangsu Province, July 1, 2023.(※1)https://grici.or.jp/ <CS> 2023/08/07 10:25 注目トピックス 経済総合 NYの視点:【今週の注目イベント】米CPI、PPI、Fed Listensイベント、米四半期入札、中国貿易収支、など *07:31JST NYの視点:【今週の注目イベント】米CPI、PPI、Fed Listensイベント、米四半期入札、中国貿易収支、など 今週は、米国の7月消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)が発表予定で注目となる。また、米連邦準備制度理事会(FRB)はFed Listensイベントを開催予定で、高官の発言などを材料に今後の利上げ軌道を探る。米財務省は米国債入札を8日から10日まで実施。四半期の入札規模は引き上げられ、さらなる拡大の可能性に言及しており、金利の上昇やドル買い再開につながる可能性もある。FRBは7月連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.25%の利上げ再開を決定。インフレ鈍化の基調が続くもののペースが鈍く、また、FRBのインフレ目標達成には程遠いとの見方で、今後も利上げの可能性を除外しなかった。パウエル議長は「労働市場は依然力強いが、一部では鈍化の兆しが見られる」と、タカ派色を弱め、利上げ打ち止め期待も広がった。7月雇用統計も、労働市場のひっ迫緩和の証拠となった。9月FOMCでは正当化されれば追加利上げ、されなければ金利を据え置くと、データ次第で政策を決定する方針を明確化しており、コアCPIの動向が鍵を握る。市場予想は前年比4.8%増と6月と同水準の伸びを維持すると見られている。パウエル議長は6月のCPIの予想以上の鈍化を歓迎すると同時に、1カ月だけの結果で判断はできず、継続することが重要だ、と強調した。もし、2カ月連続で予想以上に伸びの鈍化が見られた場合、FRBの利上げ終了への期待が一段と強まる。また、世界経済をけん引してきた中国の貿易収支やCPI、PPIの結果にも注目が集まる。引き続き低調な結果となった場合は、世界経済の成長減速懸念にリスク回避の動きに拍車がかかる可能性もある。■今週の主な注目イベント●米国7日:ボスティック米アトランタ連銀総裁が挨拶、ボウマンFRB理事が司会(Fed Listensイベント)8日:6月貿易収支、6月卸売売上高、米国債入札(10日まで)、ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁がイベントで見通しに関し講演10日:7月消費者物価指数(CPI)、週次新規失業保険申請件数11日:7月生産者物価指数(PPI)、8月ミシガン大消費者信頼感指数速報●日本8日:支出9日:工作機械受注10日:PPI●欧州7日:独鉱工業生産8日:ECB消費者期待調査●英7日:英中銀、チーフエコノミスト、ピル氏がイベント参加11日:鉱工業生産、GDP●中国8日:貿易収支9日:CPI、PPI <CS> 2023/08/07 07:31 注目トピックス 経済総合 国内外の注目経済指標:7月米コアCPIは6月実績並みの水準か *14:46JST 国内外の注目経済指標:7月米コアCPIは6月実績並みの水準か 8月7日-11日週に発表される主要経済指標の見通しについては、以下の通り。■8日(火)午前8時50分発表予定○(日)6月経常収支-予想は+1兆2075億円参考となる5月実績は+1兆8624億円。エネルギー資源の輸入額は減少しており、経常収支は4カ月連続で黒字となった。6月については貿易収支の改善や一次所得収支の黒字額は一定水準を維持する見込みであることから、5カ月連続で黒字を計上する可能性が高い。■8日(火)午後9時30分発表予定○(米)6月貿易収支-予想は-650億ドル参考となる5月実績は-690億ドルで赤字額は4月実績を下回った。財の輸入額が減少したことが要因。6月は財とサービスの輸入額がただちに増える可能性は低いことから、6月の貿易収支(赤字額)は5月実績と差のない水準にとどまる見込み。■10日(木)午後9時30分発表予定○(米)7月消費者物価コア指数-予想は前年比+4.8%参考となる6月実績は前年比+4.8%でインフレ率は5月実績を下回った。住居費の伸び率鈍化などがインフレ緩和の要因。7月については住居費、サービスの伸び率鈍化が予想されることから、コアインフレ率は6月実績をやや下回る見込み。■11日(金)午後11時発表予定○(米)8月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値-予想は71.0参考となる7月実績は71.6で約2年ぶりの水準まで回復。インフレ緩和の思惑が浮上し、消費者信頼感の改善につながった。8月についてはインフレ緩和の期待は持続していることから、7月実績にやや近い水準となる可能性がある。○その他の主な経済指標の発表予定・7日(月):(独)6月鉱工業生産・8日(火):(中)7月貿易収支・9日(水):(中)7月消費者物価指数・10日(木):(日)7月国内企業物価指数・11日(金):(英)4-6月期国内総生産、(米)7月生産者物価指数 <FA> 2023/08/05 14:46 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は0.48%高でスタート、景気支援スタンスを好感 *10:51JST (中国)上海総合指数は0.48%高でスタート、景気支援スタンスを好感 4日の上海総合指数は買い先行。前日比0.48%高の3296.09ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時45分現在、0.97%高の3312.19ptで推移している。不動産市場の支援策を含む当局の景気支援スタンスが好感されている。当局は不動産などの民間企業に対して金融面で支援する方針を示した。また、中国人民銀行(中央銀行)が8月中旬にも預金準備率を引き下げるとみられている。一方、米金利高が引き続き指数の足かせになっている。 <AN> 2023/08/04 10:51 注目トピックス 経済総合 4日のドル・円、売り・買い要因&支持抵抗ライン *09:14JST 4日のドル・円、売り・買い要因&支持抵抗ライン ○ドル・円 (予想レンジ:141.80円-143.20円)【買い要因】・原油高・米雇用拡大で景気後退入りは回避される可能性・日米金利差拡大予想・日本銀行は長期金利の上昇を適度に抑制する方針【売り要因】・追加利上げで景気減速、金融不安再燃の可能性・7月が最後の利上げとなる可能性・フィッチ・レーティングスによる米債務格付けの引き下げ■支持抵抗ライン:ドル・円 (終値 142.58円)・HBOP               145.44・ピボット R2          144.67・ボリンジャー+2σ       143.92・ピボット R1          143.62・ピボット P           142.85・終値               142.58・5日移動平均          142.54・先行スパン 1         142.37・ピボット S1          141.80・基準線             141.16・55日移動平均         141.04・ピボット S2          141.03・転換線             140.98・21日移動平均         140.81・ボリンジャー20日移動平均 140.65・LBOP               139.98・先行スパン 2         138.96・90日移動平均         138.46・ボリンジャー-2σ       137.38・200日移動平均         136.62*HBOP=High Break Point*LBOP=Low Break Point*日本時間6:00現在のNY終値を使用 <CS> 2023/08/04 09:14 注目トピックス 経済総合 4日のユーロ・円、売り・買い要因&支持抵抗ライン *09:13JST 4日のユーロ・円、売り・買い要因&支持抵抗ライン ○ユーロ・円 (予想レンジ:155.50円-157.20円)【買い要因】・ユーロ圏経済の著しい悪化は回避される見込み・ユーロ圏インフレ率は高止まりの様相・米長期金利の伸び悩み・日欧金利差の拡大観測【売り要因】・ユーロ圏経済悪化でECBの政策金利見通しは不透明・9月以降の政策金利見通しは不透明・米長期金利の高止まり・ウクライナ戦争の長期化■支持抵抗ライン:ユーロ・円 (終値 156.07円)・HBOP               158.71・ピボット R2          157.97・ボリンジャー+2σ       157.91・ピボット R1          157.02・5日移動平均          156.44・ピボット P           156.28・終値               156.07・21日移動平均         155.84・ボリンジャー20日移動平均 155.79・ピボット S1          155.33・基準線             154.74・先行スパン 1         154.66・転換線             154.62・ピボット S2          154.59・55日移動平均         153.97・ボリンジャー-2σ       153.67・LBOP               153.64・先行スパン 2         152.07・90日移動平均         151.33・200日移動平均         146.68*HBOP=High Break Point*LBOP=Low Break Point*日本時間6:00現在のNY終値を使用 <CS> 2023/08/04 09:13 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米7月ISM非製造業景況指数:雇用低下で雇用統計弱まる可能性も、仕入れ価格は上昇 *07:42JST NYの視点:米7月ISM非製造業景況指数:雇用低下で雇用統計弱まる可能性も、仕入れ価格は上昇 米7月ISM非製造業景況指数は52.7と、6月53.9から予想以上に低下した。しかし、活動の拡大を示す50は7カ月連続で上回った。米国経済の7割を消費が占めるため注目となっていた同指数の雇用は50.7と、53.1から大幅低下。再び50割れ寸前で、製造業の雇用もリセッション域にあることを考えると、7月雇用統計も弱い結果が示される可能性がある。労働市場のひっ迫が緩和する兆しが見えることは米連邦準備制度理事会(FRB)にとり朗報となる。一方で、仕入れ価格は56.8と、54.1から上昇し4月来の高水準となったことはインフレが長引く可能性を示唆。原油価格も再び上昇基調にあることもインフレの鈍化が遅れる可能性を示唆しており、FRBの追加利上げの可能性も強まる。■米7月ISM非製造業景況指数:52.7(6月53.9)景況指数:52.7(53.9)仕入れ価格:56.8(54.1)新規注文:55.0(55.5)受注残:52.1(43.9)入荷水準:48.1(47.6)雇用:50.7(53.1)輸出:61.1(61.5)輸入:52.3(54.6) <CS> 2023/08/04 07:42 注目トピックス 経済総合 メキシコペソ円今週の予想(7月31日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) *09:26JST メキシコペソ円今週の予想(7月31日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) 皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、メキシコペソ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『メキシコペソ円は、堅調に推移しそうだ』と述べています。続けて、『メキシコの景気は堅調。1~3月期実質GDP(国内総生産)は季節調整済みで前期比1.0%増と、6四半期連続のプラス成長となった。5月鉱工業生産指数は前月比1.0%上昇。6月の自動車生産台数は前年同月比16%増加した。5月の失業率は3.0%と低水準で推移した。懸念されていた物価も安定化の兆しがあり、6月消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.06%上昇し、伸び率は前月の5.84%を下回った』と伝えています。そして、『7月前半の消費者物価指数(CPI)は前年同月比4.79%上昇し、2021年3月以来の低い伸びにとどまった。予想の4.77%と中銀目標の3%は上回った。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIの前年比は6.76%上昇、予想は6.73%上昇だった』と解説しています。メキシコ銀行(中央銀行)については、『インフレ率の鈍化を背景に6月の会合では政策金利を11.25%に据え置いた。ただ、インフレ率を目標水準に引き下げるために政策金利を現行水準で「長期間」維持する必要があるとした』と伝えています。また、『高金利を背景に投資資金がペソをサポートしよう。隣国の米国の雇用状況が良好なことから、海外送金も増加しており、ペソをサポートしている。外国からメキシコへの5月の送金額は前年同月比11%増の56億9300万ドル(約8200億円)だった。単月として過去最高を更新した。前年同月を37カ月連続で上回った。米国などに住む出稼ぎ労働者が母国への送金を増やしている。メキシコの主力産業である自動車生産は順調に回復している』と述べています。こうしたことから、陳さんは、メキシコペソ円の今週のレンジについては、『8.20円~8.60円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の8月1日付「メキシコペソ円今週の予想(7月31日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜 <CS> 2023/08/03 09:26 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米7月雇用統計で9月の利上げの行方探る *07:37JST NYの視点:米7月雇用統計で9月の利上げの行方探る 連邦準備制度理事会(FRB)は7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを再開した。インフレ鈍化の基調が続くものの、ペースが鈍く、また、FRBのインフレ目標達成には程遠いとの見方で、今後も利上げの可能性を除外しなかった。同時に、パウエル議長は労働市場は依然力強いが、一部では鈍化の兆しが見られると、タカ派色を弱めた。9月FOMCでは正当化されれば利上げ、されなければ金利を据え置くと、データ次第で政策を決定する方針を明確化した。鍵を握る雇用統計で9月の利上げの可能性を探る。米労働省が発表する7月雇用統計の市場エコノミスト平均予想で、非農業部門雇用者数は前月比+20万人の伸びが見込まれている。失業率は3.6%と、6月に続き約50年ぶりの低い水準が維持される見込みで、労働市場の鈍化の兆候があまり見られない可能性がある。ただ、パウエル議長が指摘しているとおり、求人件数や労働者の雇用市場に対する自信をあらわすとされる自主退職者数が減少しており、労働市場の圧力が徐々に緩和しつつある兆候も見られ、賃金の伸びは一段と鈍化が予想されている。最近の消費の底堅さは労働市場の強さが基本となっている。もし、労働市場のひっ迫緩和が見られると、FRBが望む通り、消費も鎮静化、インフレも鈍化が継続、FRBの利上げも打ち止められることになる。雇用統計の先行指標のひとつである民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の7月分は+32.47万人と、6月に続きポジティブサプライズとなった。ただ、ADPの結果に対し、6月雇用統計は安定した伸びにとどまったため、7月分も市場予想を大幅に上回るような伸びはないと見る。製造業の雇用は依然冴えず。全米供給管理協会(ISM)が発表した全米の製造業活動を示すISM製造業の7月雇用は44.1と2カ月連続の50割れ。6月から一段と悪化し、製造業は景気後退域。7月NY連銀景況指数雇用者数は4.7と、-3.6からプラス改善もフィラデルフィア連銀景況指数雇用は5カ月連続のマイナス。コンファレンスボードが発表した消費者信頼感指数の現在の雇用状況で十分は46.9と、前年同月に比べては低いが6月45.4からは改善。労働市場への信頼は依然強い。■7月雇用先行指標ADP雇用統計:+32.4万人(予想:+19.0万人、6月:+45.5万人←+49.7万人)ISM製造業雇用:44.4(6月48.1)NY連銀景況指数雇用者数:4.7(-3.6)週平均就業時間:0.3(-5.8)6カ月予想雇用者数:+13.2(+15.1)週平均就業時間:‐5.9(+1.0)フィラデルフィア連銀景況指数雇用:-1.0(-0.4)週平均就業時間:-3.0(-8.2)6カ月予想雇用者数:+21.3(+13.1)週平均就業時間:+16.5(0.6)週次失業保険申請件数07/22/23|  221,000|   -7,000|  233,750|   n/a   |n/a07/15/23|  228,000|   -9,000|  237,500|   1,690,000| 1.1%07/08/23|  237,000|  -12,000|  246,750|   1,749,000| 1.2%07/01/23|  249,000|   13,000|  253,500|   1,721,000| 1.2%06/24/23|  236,000|  -29,000|  256,750|   1,718,000| 1.2%06/17/23|  265,000|   1,000|  256,000|   1,733,000| 1.2%06/10/23|  264,000|   2,000|  247,250|   1,761,000| 1.2%06/03/23|  262,000|   29,000|  237,500|   1,772,000| 1.2%コンファレンスボード消費者信頼感指数現在の業況雇用十分:46.9(6月45.4、前年同月49.2)不十分:43.4(42.0、38.4)困難:9.7(12.6、12.4)6カ月後雇用:増加:16.4(15.4、15.1)減少:14.8(16.7、21.1)不変:68.8(67.9、63.8)所得増加:16.3(18.6、15.3)減少:9.7(11.8、15.5)不変:74.0(69.6、69.2)■市場予想・米・6月非農業部門雇用者数:予想:+20万人、6月:+20.9万人)・米・6月失業率:予想:3.6%、6月3.6%)・米・6月平均時給:前年比予想:+4.2%、6月:+4.4%) <CS> 2023/08/03 07:37 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は0.07%安でスタート、米中景気の先行き不安が足かせ *10:59JST (中国)上海総合指数は0.07%安でスタート、米中景気の先行き不安が足かせ 2日の上海総合指数は売り先行。前日比0.07%安の3288.76ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時53分現在、0.04%安の3289.51ptで推移している。米中景気の先行不安が足かせとなっている。きのう1日に公表される7月の財新製造業購買担当者景気指数(PMI)は前月の50.5から49.2に悪化した。また、昨夜の米ハイテク株の下落も圧迫材料。一方、政策期待の高まりが引き続き指数をサポートした。 <AN> 2023/08/02 10:59 注目トピックス 経済総合 コラム【新潮流2.0】:五輪と車いす(マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆) *09:31JST コラム【新潮流2.0】:五輪と車いす(マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆) ◆殺人的な暑さである。ここまでの暑さは60年生きてきて経験したことがない。異常な高温は全世界的なもので、特に欧州が猛暑に襲われている。思い出すのはちょうど20年前、2003年のパリだ。その年、夏のバカンスでフランスを訪れたが、記録的な熱波が襲来していた。当時のフランスは、夏でもそれほど暑くなかったのでエアコンが普及していなかった。そのため熱中症で亡くなったひとがその年の夏は1万人を超えたという。◆うろ覚えだが、シテ島の向かい辺りのセーヌ川河畔に人工のビーチができて、パリジャンたちが水着で寝そべっていた。その姿を見て「まさかセーヌ川では泳げまい」と思ったが、昔は泳げたそうである。1900年にパリで初の五輪が開催された時、水泳競技の会場はセーヌ川だった。当時は市民もセーヌ川で泳いでいたが、その後、水質が悪化し遊泳禁止となってしまったのだ。◆来年パリで100年ぶりに開催される五輪を機に、セーヌ川を再び「泳げる川」としてよみがえらせる計画が進んでいる。水質浄化のための様々な施策、努力、工夫がなされている。先日、NHKのニュースが報じていた。パリ五輪が遺すレガシーはセーヌ川を泳げる川として取り戻すこと ‐ なんと素晴らしい取り組みだろう。それに比べて東京五輪のレガシーは何だったのだろう。何から何まで不祥事続き。挙句の果てが五輪の利権に絡む巨額の贈賄事件だ。◆パリと言えば、サッカーのフランス・リーグ王者のパリ・サンジェルマン(PSG)が今年もジャパン・ツアーのため来日した。残念なニュースがある。セブンイレブンがPSGの観戦チケットが抽選で当たるとうたい実施したキャンペーンで、車いす使用者らの応募を拒んでいた。ウェブサイトに注意事項として「車椅子ご利用や介助が必要なお客様への対応は行っておりません」と掲載。当事者からの問い合わせに「応募しないでほしい」と回答していた。障がいを理由とした不当な差別的取り扱い以外のなにものでもない。親会社のセブン&アイの社是は「すべてのステークホルダーに信頼される、誠実な企業でありたい」というものだが聞いてあきれる。◆車いすと言えば、テニスの全仏オープン車いすの部男子シングルスで17歳の小田凱人選手が史上最年少で優勝を果たした。小田選手はその後、史上最年少で車いすテニスの世界ランキング1位にのぼりつめ、ウィンブルドンでも優勝した。フランスは日本の車いすのアスリートに世界最高の栄誉を勝ち取る機会を提供し、オリンピックでは誰もが賞賛するであろうレガシーを残さんとしている。対して、我が国は口では「ダイバーシティ」といいながら障がいを持つ人への差別はなくならず、東京五輪で明らかになったように国家プロジェクトは様々な利権に翻弄されて結局何も遺せずに終わる。同じ酷暑に苦しむ日本とフランスだが、彼我の差を感じずにはいられない。マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆(出所:7/31配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋) <CS> 2023/08/02 09:31 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米6月JOLT求人件数:労働市場のひっ迫緩和を示唆、パンデミック前に比べると依然強い *07:39JST NYの視点:米6月JOLT求人件数:労働市場のひっ迫緩和を示唆、パンデミック前に比べると依然強い 米労働省が発表した6月JOLT求人件数は958.2万件と、5月961.6万件から予想以上に減少し、2021年4月以降ほぼ2年ぶりの低水準となった。5月分は大幅に下方修正された。前年同月は1096.1万件だった。労働市場の強さを表明するとされる自主退職者数は予想外に29.5万人減の377.2万人。減少者数は21年5月来で最大。採用者数も32.6万人減少の590.5万人と21年2月来で最低。減少幅は2020年7月来で最大となる。自主退職者率も2.4%と、21年2月来で最低となり、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が指摘している通り、労働市場のひっ迫状況緩和を示唆した。求人件数は総失業者数を376.25万上回ったが、差は21年9月来で最小となる。1人の失業者に対する求人件数は1.61件で5月からほぼかわらずだが、大幅な下方修正を除くと4月の1.82件から大幅低下し、21年10月来で最低。ただ、パンデミック前は1.2件だったことを考慮すると、求人件数は依然十分にあり、FRBのインフレ制御を目指した利上げ継続または、政策金利を当面高金利で据え置くことを正当化する。ただ、求人に関しての企業の回答率は31.2%と過去最低で、この指標への信頼性が薄れつつあることは警戒材料となる。■6月労働市場ダッシュボード求人件数:5.8%(5月5.8%、2022年6.7%)雇用削減率:1.0%(1.0%、1.0%)自主的退職率:2.4%(2.6%、2.7%)採用率:3.8%(4.0%、4.2%)失業率:3.6%(3.7%)不完全雇用率(U6):6.9%(6.7%)非農業部門雇用者数:+20.9万人(+30.6万人)平均時給:前月比+0.4%、前年比+4.4%(+0.4%、+4.4%) <CS> 2023/08/02 07:39

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