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バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(3)【中国問題グローバル研究所】
*10:52JST バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(3)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(2)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。日本のFOIP戦略:ASEANへの競争的関与「インフラ建設から質の高いイニシアチブへ - 批判的検証」の項では、中国の「一帯一路構想(BRI)2.0」において進化を続けるアプローチについて掘り下げ、世界規模のインフラ開発戦略から、より繊細な地域重視へと大きく方向転換する様子を明らかにした。中国は一帯一路構想を、質の高い持続可能なプロジェクトを優先するよう調整を加えているが、ここでの主な受益者は東南アジア諸国であるようだ。この再調整は、本項「日本のFOIP戦略:ASEANへの競争的関与」で考察する、より広範な動きと方向性を同じくするものだ。同地域において、日本は存在感の強化を積極的に推し進めている。競争の風向きを変えるのは、中国の戦略の変化だけとは限らない。日本の「自由で開かれたインド太平洋」(Free and Open Indo-Pacific、FOIP)戦略はまさに、この変化のなかで戦おうとするものであり、経済的利益と地域にとっての価値観との微妙なバランスをいかに取るかが戦いの肝となる。日本のFOIP戦略は、インド太平洋地域における日本の外交政策の重要な要素である。日本は東南アジア地域のダイナミクスを積極的に形成しようとしており、中国や台湾など同地域に参戦する他のプレイヤーとの競争状態に身を置くことは避けられない。地域的影響力をめぐる競争:・競争の増加:日本のFOIP戦略は、ルールに基づく国際秩序、航行の自由、民主的価値観といった原則を推進するものだ。同戦略は東南アジアにおける日本のプレゼンスを強化するためのものであるが、他の地域イニシアチブ、特に中国の「一帯一路構想(BRI)2.0」や台湾の「新南向政策(New Southbound Policy、NSP)」との競争を不用意に激化させるものでもある。複数の選択肢を提示されたASEAN諸国は、日本のFOIPと連携することの利点を、他の地域のプレイヤーとの連携と比較検討する必要に迫られる。・経済的競争:一帯一路構想、FOIP、NSPはいずれも、東南アジアにおける経済発展とインフラ投資の促進を目指すものである。日本が質の高いインフラとガバナンスを重視する点は、同国のFOIP戦略とも合致している。一方、中国の一帯一路構想と台湾のNSPは独自のインフラプロジェクトに取り組もうとしている。東南アジア諸国にとって、これら3国が提示する経済的インセンティブやプロジェクトのどれもが魅力的に映った場合、経済的なライバル関係が生まれることになる。価値観と利益のバランス:・質と量のバランス:FOIPは質の高いインフラ、ガバナンス、持続可能性に重点を置いており、他の地域イニシアチブとは一線を画している。FOIPのプレイヤーである日本は、透明性、環境の持続可能性、経済的実行可能性といった厳しい基準を遵守したインフラプロジェクトを推進する。東南アジア諸国は、質を重視する日本のアプローチを取るか、それとも中国の一帯一路構想が提供する、大規模で広範囲にわたるプロジェクトを取るか、決断しなくてはならない。・価値観との整合性:日本のFOIPの特徴は、民主主義、人権、法の支配といった共通の価値観を重視している点である。こうした価値観はFOIP戦略の基本であり、多くのASEAN諸国が高い関心を寄せているグッドガバナンスの原則にも適っている。地域パートナーが協力パートナーを選ぶ際は、これら価値観とプロジェクトの整合性を考慮する可能性が高い。地域ダイナミクスへの影響:日本のFOIPがASEANに競争的に関与することで、より広範な地域ダイナミクスが形成される。各国が日本、中国、台湾と連携することの是非を吟味するなかで、東南アジアの政治的・経済的バランスに影響が及ぶことも考えられる。同地域の貿易形態、インフラ開発、政治的同盟にも影響をもたらす可能性がある。変化するダイナミクスへの適応:台湾や中国と同様、日本もまた、ダイナミックかつ競争の激しい東南アジアに相応しいプレイヤーであり続けるため、戦略の適応を余儀なくされる。日本が目下抱えている課題は、同地域で他のプレイヤーが提供する魅力的な経済的インセンティブと競いながら、質の高いプロジェクト、グッドガバナンス、民主的価値観がもたらす利点を強調し続けることである。つまり、日本のFOIP戦略はASEANへの競争的関与の1つである以上、中国のBRIや台湾のNSPなど、影響力を持つ他のアクターと競合することになる。同地域にこれら戦略が併存することで、各国は各々の価値観、利益、発展の必要性に基づいて戦略的選択を行うことになる。競争のダイナミクスは今後も変化し続け、東南アジアの政治、経済、インフラ情勢に大きな影響を与えることだろう。「バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(4)【中国問題グローバル研究所】」に続く。写真: 中国「一帯一路」メディア協力フォーラム(※1)https://grici.or.jp/
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2023/11/07 10:52
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バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(2)【中国問題グローバル研究所】
*10:51JST バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。インフラ建設から質の高いイニシアチブへ - 批判的検証中国はここ最近、一帯一路構想において大規模なインフラプロジェクト中心から、より小規模で質の高い取り組みへとシフトしている。この動きは、表向きには世界的な優先順位の変化に対応するものとされているが、批判的な観点から詳しく検証する必要があるだろう。エネルギー部門:その1つが、石炭火力発電所のような従来型エネルギー事業からの転換である。これは、世界的な環境問題や温室効果ガス排出量削減の必要性に沿ったものではある。だが、国内のエネルギー源が石炭に大きく依存し続けている点を見るに、持続可能性に関する中国のコミットメントには疑問が残る。一帯一路構想において再生可能エネルギーと天然ガスに重点を置いていることは称賛に値するが、中国国内のエネルギー生成を脱石炭化させるための具体的な努力を伴うべきだろう。さらに、一帯一路プロジェクトで活動している中国エネルギー企業の透明性や環境活動についても懸念されるところだ。グリーンエネルギーへの移行には期待が持てるが、実施できるものか懐疑的な見方が根強い。パキスタンのタール石炭発電プロジェクト:過去、パキスタンへの一帯一路投資には、大規模な石炭火力発電所であるタール石炭発電プロジェクトが含まれていた。しかし、環境の持続可能性や気候変動への懸念から、こうしたプロジェクトには厳しい視線が集まっている。太陽光発電や風力発電など、よりクリーンなエネルギーや持続可能なプロジェクトへの移行は、一帯一路構想の前向きな意味での転換となるだろう。交通インフラ:一帯一路構想の路線変更は、効率性と持続可能性を重視するという形で、交通インフラプロジェクトにも影響を及ぼしている。これらプロジェクトについては、慎重な再評価が必要だ。中国はこれまで、相手国の利益よりも自国の利益を優先することで知られており、ホスト国が実際どれだけの利益を享受できるか懸念が生じている。加えて、持続可能性に関する目標が明確ではなく曖昧な部分が残されており、説明責任も限られている。中国が自国の経済的・地政学的利益を優先させようとしている以上、関係各国においては、改正後のプロジェクトが純粋に自国の発展ニーズに応えるものであるか、単に中国のさらなる影響力向上の手段になるものではないか、確認が不可欠となる。中国・パキスタン経済回廊(CPEC):CPECは一帯一路構想の旗艦プロジェクトであるが、実施における透明性の欠如を批判する声や、パキスタンにとって真の経済的利益につながるのかという疑念に直面してきた。交通インフラをより小規模で効率的なプロジェクトにシフトさせるためには、新たなイニシアチブは責任の所在をより明確にし、パキスタンのニーズにより合致し、地域間の往来を真に活性化するものである必要がある。工業地域:旧来の工業団地から科学技術主導型の工業団地へのシフトは、一見前向きなものに見えるが、これも精査が必要である。これまでの一帯一路プロジェクトでは、中国人労働者の活用を促し、中国系企業の振興に向かう傾向が見られた。先端的な工業地域にシフトすることが、本当に地域経済に利益をもたらし技術移転につながるのか、という点では疑問が残る。創出される雇用の質や、現地労働力がどの程度強化されるのかという点も、潜在的な懸念事項となっている。スリランカのハンバントタ港:一帯一路プロジェクトであるハンバントタ港建設については、発生した債務の返済でスリランカが苦境に陥っており、論争の的となっている。科学技術主導の工業地域へのシフトにあたっては、スリランカのような国々がただ投資を受けるだけでなく、技術移転や雇用創出を通じて真に恩恵を受けられるよう保証するべきであり、持続不可能な債務が膨らむようなことがあってはならない。巨大プロジェクト:巨大ダムや大規模都市開発のような巨大プロジェクトについては、批判的評価が不可欠である。持続可能性と技術革新に新たに焦点を当てている点は評価できるが、なぜこうした配慮をもっと早くから優先できなかったのか、疑問が生じるところだ。従来の一帯一路モデルのもと、巨大プロジェクトがいかに大きな環境破壊や社会的混乱を引き起こしてきたかを認めた点は、評価に値する。より持続可能なイニシアチブにシフトしたことは、正しい方向への一歩を踏み出したと言える。それでも、実際に変化があったことを示す具体的な証拠は必要だ。ベオグラード-ブダペスト間の鉄道路線:一帯一路構想のもとでハンガリーとセルビアを結ぶこの高速鉄道プロジェクトは、経済面での実行可能性に関する懸念に直面している。より小規模で持続可能なプロジェクトに移行することで、真の経済的価値よりも地政学的影響力に重きを置くようなプロジェクトの成立を防ぐことができれば、正しい方向への一歩となるだろう。伝統的インフラ:基本インフラの近代化は、あらゆる開発プロジェクトにおいて必要な要素である。しかし、一帯一路構想2.0のもとでこうしたプロジェクトにシフトしたからといって、中国が過去のプロジェクトの資金調達や実行をめぐる論争を免れるとは限らない。これらプロジェクトが、中国の経済的・地政学的野心のためではなく、ホスト国の利益とニーズに真に合致したものであることを保証するには、透明性と説明責任を高める必要がある。ラオスでの一帯一路投資:ラオスは、道路や橋などの伝統的インフラプロジェクトを始めとして、広範にわたって一帯一路による投資を受けてきた。これらプロジェクトを近代化の方向へ転換させるならば、ラオスはインフラ面にとどまらず、国民の生活の質を向上させる近代的な技術や持続可能な慣行を取り入れることを通じて、確実に利益を得られるだろう。一帯一路構想における質の高いプロジェクトへのシフトは、有望ではあるものの懐疑的な見方もある。一帯一路構想の実績は、債務依存、環境への影響、地政学的影響に対する懸念によって損なわれてきた。今回発表された新たな行動目標を、中国だけでなく参加国にも利益をもたらすような具体的な行動に変換することが、今後の課題となる。こうした方向転換が目論見通り前向きな変化をもたらすためには、国際的な監視、明確なガバナンス機構、透明性の向上といった要因が不可欠だ。それをクリアして初めて、一帯一路構想は世界規模の発展、持続可能性、国際協力に真に貢献するものとなる。「バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(3)【中国問題グローバル研究所】」に続く。写真: 中国「一帯一路」メディア協力フォーラム(※1)https://grici.or.jp/
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2023/11/07 10:51
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バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(1)【中国問題グローバル研究所】
*10:43JST バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(1)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)陳建甫博士の考察を4回に渡ってお届けする。はじめに一帯一路構想(Belt and Road Initiative、BRI)は、大規模なインフラプロジェクト中心のフェーズから、より小規模で質の高い取り組みを中心とする新たなフェーズに移行した。先ごろ開催された第3回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムで、習近平主席はフェーズ移行に向けた8項目の行動指針を発表した。こうした方針転換の背景には、中国国内の財政難と国際的な監視の強化がある。本稿では、一帯一路2.0構想(BRI 2.0)における主な行動、関係各国への影響、日本、台湾、その他関わりの深いプレイヤーの反応など、一帯一路2.0構想が意味するものを探っていく。習近平主席は、より質的かつ持続可能な一帯一路を目指すとした。この転換の柱となる8つの行動の概要は、以下の通りである。1.一帯一路構想に沿った立体的相互連結ネットワークの構築:地域の連結を強化し、効果的な地域連携を促す。2.開かれた世界経済の構築を支援:他国との経済関係を強化しながら、国際貿易と経済協力を促進する。3.実務協力の推進:貿易・投資保護協定など実務協力を強化する。4.グリーン開発の推進:グリーンエネルギー、環境保護、持続可能性を織り込む。5.科学技術イノベーションの推進:人工知能やデジタル経済などの分野における技術進歩を積極的に推進する。6.民間交流の支援:市民団体や個人の参加を促し、文化交流を促進する。7.清廉な一帯一路の構築:一帯一路プロジェクトの透明性を確保するための腐敗防止対策を強化する。8.一帯一路国際協力メカニズムの改善:協力体制を強化し、一帯一路構想のより円滑な進展を促進する。以下の各項では、一帯一路2.0構想における重要な行動、ステークホルダーへの影響、日本や台湾その他関連プレイヤーの対応など、一帯一路2.0構想の意味するところを探る。債務、唯一の受益者、地政学的拡大が落とす影に分け入り、一帯一路構想が直面する重大な問題を分析する。また、インフラ建設から質の高いイニシアチブへの移行について批判的に検証し、東南アジアを優先するかのような中国による一帯一路構想の再調整に焦点を当てる。こうした方向転換に加えて、日本の「自由で開かれたインド太平洋(Free and Open Indo-Pacific、FOIP)」戦略や台湾の「新南向政策(New Southbound Policy、NSP)」など、ASEANに関して競合する立場にある重要なプレイヤーについて議論する。最後に、東南アジアにおける複雑なインフラ情勢とその潜在的な影響について分析し、結論とする。各項には、このダイナミックな地域におけるインフラ戦略の進化について独自の考察を記載した。債務、唯一の受益者、地政学的拡大が落とす影かつては世界的な連結と協力の道標であった一帯一路構想(BRI)も、実施から10年が経過して重大な岐路に立たされている。本セクションでは、債務、中国の利益、地政学的野心といった一帯一路構想の枠組みにける中心的な問題を探る。債務による苦境:一帯一路構想は様々なセクターのインフラ整備を大幅に加速させたが、プロジェクトの遅れやコスト超過による債務の増大という、予期せぬ課題をもたらした。当初は援助と受け止められていた中国の融資は、参加国にとっては負債として積み重なっていった。債務への懸念に対応するべく、中国はシルクロード基金(丝路基金、Silk Road Fund、SRF)やアジアインフラ投資銀行(Asian Infrastructure Investment Bank、AIIB)のような金融機関に戦略をシフトし、一帯一路構想の資金面を効果的に管理している。このシフトの狙いは、中国の世界的影響力を守りつつ、政府債務の累積リスクを最小限に抑えることにある。こうした課題に対処するため、一帯一路構想は「より小規模で洗練されたプロジェクト」へと進化しつつある。これらプロジェクトは融資ベースの資金調達に優先順位を付け、質と持続可能性を重視するものだ。中国は量を重視するアプローチから、よりバランスの取れたアプローチへの移行を進めており、世界経済における優越的地位を維持しながら債務方面の苦境を緩和することを目指している。唯一の受益者、中国:一帯一路構想が中国に偏った利益をもたらしているという批判が浮上したのは、大部分のインフラプロジェクトの資金提供、実施、管理を中国の事業体が担っていたからだ。第3回「一帯一路」フォーラムで「共同構築」という概念を導入し、イニシアチブの再ブランディングを行ったことで、こうした認識に変化が生じた。これは、一帯一路構想が中国の利益にしかつながらないのでは、という疑念の払拭を目指すものであった。さらに中国は、電気自動車や太陽エネルギーなどの分野における商業製造に軸足を移し、参加国間で経済成長を公平に分け合うことを目指している。一帯一路構想の焦点は東南アジアに移りつつあるようだが、そこには同構想が主に中国の利益に資するものである、という認識を改めさせようとする狙いがある。中国の地政学的拡大:一帯一路構想は非イデオロギー的、非地政学的なものだと中国は主張するが、一帯一路フォーラムへの出席者の移り変わりを見れば、やはり地政学的な目的が透けて見える。ロシアやアフガニスタンのタリバン指導者の参加は、反米連合を構築し、地政学的影響力を拡大せんとする中国の努力を物語っている。一帯一路構想、上海協力機構、BRICSのような国際的な取り組み・団体は、中国の影響力をあからさまに主張するものではないが、中国のソフトパワーを拡大し、自国の利益と一致させるためのプラットフォームとして機能している。これらの行動には、欧米の覇権に挑戦し、世界の政治状況を巧妙に再編成せんとする中国の野心が反映されており、国際舞台におけるイデオロギーの覇権争いに重大な影響を及ぼすことになるかもしれない。「バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。写真: 中国「一帯一路」メディア協力フォーラム(※1)https://grici.or.jp/
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2023/11/07 10:43
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NYの視点:米FRB7-9月期上級融資担当調査、融資基準ほぼ変えず慎重、厳格化ペースは改善も
*07:45JST NYの視点:米FRB7-9月期上級融資担当調査、融資基準ほぼ変えず慎重、厳格化ペースは改善も
連邦準備制度理事会(FRB)は7-9月期の米銀融資担当者調査を発表した。中規模から大規模の企業向け商業・工業融資の基準を厳格化したとの回答は第2四半期の50.8%から33.9%へ低下した。しかし、62.7%は融資状況を基本的に修正していないと答えた。今年3月の地銀破綻を受け、融資基準の厳格化で資金調達が困難となり米国経済が景気後退に陥る可能性が高まるとの懸念も一時強まった。調査では需要も改善。融資需要が弱まったとの回答は前四半期の51.6%から30.5%へ低下。市場の懸念をよそにFRBがインフレ制御するための利上げを継続する中、労働市場や消費は底堅く、経済を支えた。利上げも終了に近づき、金融市場混乱への脅威も後退しつつある。ただ、金融機関は依然として警戒態勢を大幅に緩めたわけではない。FRBは11月FOMCで政策金利を2会合連続で据え置くことを決定。10年債利回りは2007年来の5%に達するなどタカ派として知られるウォラー理事も長期金利の上昇で、FRBの利上げの必要性が低下するとの考えを示し利上げ見送りを支持。パウエル議長も金融市場は引き締まったとの考えを示した。クック理事は6日の講演で、米国の金融システムは堅調で柔軟性があるとしながらも、金融システムのリスクは近年上昇しており、ノンバンクを監視していく慎重姿勢を表明した。金融市場の引き締まりもひとつの理由となり、短期金融市場はFRBの利上げサイクル終了をほぼ織り込んだ。来年1月の利上げ確率も2割割れとなった。
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2023/11/07 07:45
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NYの視点:【今週の注目イベント】英GDP、パウエルFRB議長、11月ミシガン大消費者信頼感指数速報値など
*07:39JST NYの視点:【今週の注目イベント】英GDP、パウエルFRB議長、11月ミシガン大消費者信頼感指数速報値など
今週は英国の国内総生産(GDP)や米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長発言、11月ミシガン大消費者信頼感指数速報値などに注目が集まる。英国や欧州などの経済に鈍化の兆しが見られ英中銀、ECBも利上げ終了との見方が強まりつつある。英中銀が金融政策決定会合でタカ派的な据え置きを決定後発表される第3四半期のGDPではマイナス成長に落ち込む見込み。英中銀はメンバーの3名が今回の会合で追加利上げを支持、追加利上げも除外しなかった。ベイリー総裁もインフレのリスクは上方で利下げを検討するにはあまりにも時期尚早とタカ派色を強調したものの、市場は英中銀の次の行動は利下げとの考えを変更しておらず、GDPの結果次第でポンド売りが強まる可能性がある。ユーロ圏では小売売上高や独CPIに注目。ユーロ圏小売売上高は2カ月連続のマイナス予想。予想を下回る結果はECBの利上げ終了観測をより強め、ユーロ売り圧力となる。米国ではFRBのパウエル議長が国際通貨基金(IMF)の年次リサーチカンファレンスで世界経済における金融政策のチャレンジを議題とした討論会に参加する予定で発言に注目。10月雇用統計を受けた労働市場を巡る見解に焦点が集まる。12月会合での利上げ確率もほぼゼロ、来年の利下げ確率が上昇した。ハト派姿勢が示されると、ドル売りにさらに拍車がかかる。ただ、12月会合まではあらたな消費者物価指数(CPI)、雇用統計も発表されるため、慎重な姿勢を再表明する可能性もある。FRBは先々週開催したFOMCで市場の予想通り利上げを見送ったが、金融や与信の引き締まりが経済や物価に影響を及ぼす可能性があると指摘。今後、慎重に政策を決定していく姿勢を再表明した。議長はFOMC後の会見で、長期債利回りの上昇に注意を払っていると言及。インフレに関しても、リスクがより均衡したと、インフレの改善を指摘。さらに、今後の課題が追加利上げをするかどうかだと、利上げサイクルが最終段階に達したと考えていることを示唆したため、市場では利上げ終了期待が高まり、ドル売りに拍車がかかった。議長は同時に、インフレが目標2%達成の軌道にあることや、政策が十分に引き締め域にあることを確信できないと、追加利上げの選択肢も除外しなかった。■今週の主な注目イベント●米国7日:9月貿易収支、ローガン米ダラス連銀総裁が講演、シュミド米カンサスシテイ連銀総裁が挨拶8日:9月卸売売上高、共和党大統領候補討論会、ウィリアムズNY連銀総裁講演9日:週次失業保険申請件数、パウエルFRB議長が討論会参加、ボスティック米アトランタ連銀総裁、バーキン米リッチモンド連銀総裁がイベント参加10日:11月ミシガン大消費者信頼感指数速報値●欧州6日:ユーロ圏サービスPMI、独製造業受注7日:独鉱工業生産、独連銀ナーゲル総裁が講演8日:ユーロ圏小売売上高、独CPI、ECBチーフエコノミスト、レーン氏が講演9日:仏中銀総裁が講演、ECB経済報告●英国6日:英中銀、チーフエコノミスト、ピル氏がオンライン質疑応答に参加、金融政策報告8日:英中銀、ベイリー総裁が基調演説9日:英中銀、チーフエコノミスト、ピル氏が講演10日:鉱工業生産、GDP●日本6日:日銀、9月金融政策決定会合議事要旨公表7日:世帯支出●中国7日:貿易収支、外貨準備9日:PPI、CPI
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2023/11/06 07:39
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国内外の注目経済指標:9月米貿易収支で赤字幅は8月実績と差のない水準か
*14:39JST 国内外の注目経済指標:9月米貿易収支で赤字幅は8月実績と差のない水準か
11月6日-10日週に発表される主要経済指標の見通しについては、以下の通り。■7日(火)午後10時30分発表予定○(米)9月貿易収支-予想は-605億ドル参考となる8月実績は-583億ドルで赤字幅は縮小。9月については財・サービスの輸入が急増する可能性は低いこと、資本財の輸出はまずまず順調とみられており、赤字幅は8月実績と大差のない水準にとどまる見込み。■9日(木)午前8時50分発表予定○(日)9月経常収支-予想は+30008億円参考となる8月実績は+2兆2797億円。エネルギー資源の輸入価格が下落し、貿易収支が改善したことが要因。9月については第一次所得収支の黒字幅は高水準とみられており、貿易収支に大きな変化はないことから、黒字幅は8月実績を上回る見込み。■9日(木)午前10時30分発表予定○(中)10月消費者物価指数-予想は前年比-0.2%参考となる9月実績は前年比0.0%で予想を下回った。内需の回復は遅れており、不動産セクターの減速が警戒されていることから、10月のインフレ率も低い伸びにとどまる見込み。■10日(金)日本時間11日午前0時発表予定○(米)11月ミシガン大学消費者信頼感指数速報-10月実績は63.8参考となる10月実績は63.8。11月についてはインフレ鈍化の思惑がやや後退していること、中東情勢の悪化で原油高が警戒されており、消費者信頼感指数は10月実績と差のない水準にとどまる可能性がある。○その他の主な経済指標の発表予定・7日(火):(中)10月貿易収支、(豪)豪準備銀行政策金利発表、(欧)9月ユーロ圏生産者物価指数・8日(水):(欧)9月ユーロ圏消小売売上高・10日(金):(英)7-9月期国内総生産
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2023/11/04 14:39
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NYの視点:パウエルFRB議長は警戒されたほどタカ派姿勢示さず、追加利上げも除外せず
*07:42JST NYの視点:パウエルFRB議長は警戒されたほどタカ派姿勢示さず、追加利上げも除外せず
米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を市場の予想通り、2会合連続で据え置くことを全会一致で決定した。声明もほぼかわらずだが、経済活動は「強いペースで拡大」、雇用の伸びも前回の「減速」から「緩やかな伸び」に引上げた。パウエル議長は、「FOMCは政策を慎重に進める」としたほか、「リスクはより均衡になった」とし「問題は追加利上げをすべきかどうかだ」と、ピーク金利に一段と近づいた可能性を示唆。同時に、インフレは引き続き高過ぎで18カ月間の利上げにもかかわらず未だに十分に引き締まったかどうか確信できないと、追加利上げの可能性も除外しなかった。短期金融市場では12月の利上げ確率は9月会合後の45%前後から20%近くまで低下。ドルの上昇の勢いも失速している。
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2023/11/02 07:42
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メキシコペソ円今週の予想(10月30日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
*16:48JST メキシコペソ円今週の予想(10月30日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、メキシコペソ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『メキシコペソ円は、日墨の金利差拡大からペソ円に買いが入り値固め局面となろう』と伝えています。続けて、『隣国アメリカの長期金利が上昇しているため、ドルの買い戻しが続いている。メキシコ中銀は年内の政策金利を据え置くとしているが、米連邦準備制度理事会(FRB)は年内の利上げ停止を明言していない。米長期金利は5.0%に上昇した。ただ、メキシコ経済は好調で、メキシコの株式相場は上昇している』とし、『今週は11月1日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されるが、米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を据え置く見込み。ただ、今週は3日に10月米雇用統計も発表されるため、強い結果であればFRBによる年内の追加利上げ見通しが強まる可能性もある』と解説しています。また、『10月前半のメキシコ消費者物価指数(CPI)は前年同期比4.27%上昇し、9月末の4.45%から伸びが減速した。エコノミスト予想の4.38%も下回ったが、メキシコ中銀の目標は上回っており、政策金利が当面高水準で据え置かれることが示唆された』と伝え、『中銀はインフレ率を目標の3%(プラスマイナス1%ポイント)に収めるため引き締め政策を維持。3月から金利を11.25%に据え置いている。メキシコのインフレ率は昨年に22年ぶりの高水準に達し、その後鈍化している。ただ目標範囲に戻るのは中銀予想より遅い2025年第2四半期とみられており、アナリストは24年初めまでは現状の金利水準が続くとみている』と言及しています。こうしたことから、陳さんは、『メキシコの景気は拡大局面にあり、国際通貨基金(IMF)は今年のメキシコ成長率を3.2%に上方修正した。主力の自動車産業が順調に回復していること、労働移民からの送金も毎月増えておりペソをサポートしている。日墨の金利差拡大の観点からメキシコペソには買いが入りやすい状況が続くだろう』と考察しています。メキシコペソ円の今週のレンジについては、『8.10円~8.40円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の10月31日付「メキシコペソ円今週の予想(10月30日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
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2023/11/01 16:48
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コラム【新潮流2.0】:ニューヨーク雑感(マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆)
*09:21JST コラム【新潮流2.0】:ニューヨーク雑感(マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆)
◆前回ニューヨークに行ったのは2019年の秋だった。その後、コロナ禍でしばらくご無沙汰したが今回丸4年ぶりにニューヨークを訪れた。シカゴに寄ってからニューヨークに行ったせいか、ニューヨークの猥雑ぶりが目についた。それだけシカゴの街が(意外に)綺麗だったということでもある。◆サンフランシスコほどひどい状況ではないが、ニューヨークもだいぶ荒んだようだ。街が汚いのは今に始まったことではないが、その度合いが一段と悪くなったように感じた。昔からホームレスや物乞いが多かったが、以前の彼等はじっと座っているだけだった。ところが今回は何度も、彼らのほうから近寄ってきて無心された。「俺はこんなに寒くてもTシャツしか着るものがない。2ドルくれ」。要求がずいぶん具体的であった。◆マンハッタンのアベニュー/ストリートのどこにでもマリファナの匂いが漂っていることにも閉口した。ニューヨークはまだ合法になっていないが、ハドソン川一本隔てたニュージャージー州では合法だ。ニュージャージーのオフィスや住居に行き交うものが多いため、当然のようにマンハッタンでもマリファナが「事実上」OKとなっている(つまり捕まらない)という。◆ドラッグ中毒者なのか分からないが、奇声をあげている者、大声で叫んでいる者など異常な行動をする人間も目に付いた。現地の知り合いはスターバックスのコーヒーを手に地下鉄に並んでいると、明らかに「やばい」人が近づいてきてコーヒーカップを叩き落とされたという。治安は確実に悪化している。◆人が多いのも昔からだが、一段と拍車がかかっていると思う。マンハッタンの渋滞が劣悪だ。前回のニューヨーク訪問についてのコラムではウーバーなどのライドシェアを利用することで歩く機会が減ったと書いた。しかし今回は渋滞で時間が読めないため、移動手段を徒歩と地下鉄に戻した。おかげでいい運動になった。◆街中の渋滞もひどいが、JFK空港へ向かうフリーウェイの渋滞もひどい。ドライバーが怒っていた。「この渋滞は工事のせいだが、もう6年もやってるんだ。しかも、チンタラやってるから全然、工事が捗らない。渋滞の原因を作っているのが、こうしてフリーウェイに停まっている工事車両のトラックだ。だが運転手を見てみな。スマホでゲームをしてやがる。こっちのトラックの運ちゃんは居眠りだ。これじゃ工事が進むわけないよ」◆そこにはアメリカのインフラの老朽化、人手不足、労働争議と組合の関係、いろいろな問題が絡んでいる。しかし、アメリカは、いやニューヨークは、様々な問題を抱えながらも依然として人を惹きつける都市であるには違いない。レストランやライブハウスなどはどこも満席で予約をとるのに苦労した。昔は、ふらっとジャズを聴きにいけた店も、今回は入れなかった。◆年寄じみて我ながら嫌なセリフだが、「昔のニューヨークは良かった」との嘆息が口に出る。しかし、それでも僕はこれからもニューヨークに通うだろう。汚くなっても構わない。なぜなら「清濁併せ呑む」のが現実の世の中であり、ニューヨークはそのリアルな世界をいちばん感じさせてくれる場所だからである。ニューヨークとは一生付き合っていきたい、そんな街である。マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆(出所:10/30配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋)
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2023/11/01 09:21
注目トピックス 経済総合
NYの視点:米国経済の成長には減速の兆し、FOMCは追加利上げの可能性残す
*07:48JST NYの視点:米国経済の成長には減速の兆し、FOMCは追加利上げの可能性残す
米国経済には若干減速の兆しが見られ始めた。米コンファレンスボードが発表した10月消費者信頼感指数は102.6と、9月104.3から低下し5月来の低水準となった。しかし、予想100.5を上回った。■米10月消費者信頼感指数●雇用現況十分:39.4(39.7)不十分:47.5(46.1)困難:13.1(14.2)6カ月先増加:16.0(16.2)減少:19.0(18.9)不変:65.0(64.9)●所得増加:15.6(17.9)減少:13.0(14.1)不変:71.4(68.0)連邦準備制度理事会(FRB)は11月連邦公開市場委員会(FOMC)で2会合連続で政策金利を据え置き、今までの利上げによるインフレや経済への影響をさらに見直していく公算。最近の長期債利回りの上昇を巡る判断などにも注目が集まる。ただ、労働市場が減速傾向にあるとはいえ依然底堅く、米国経済の7割を占める消費を支援しており、追加利上げの選択肢も残す可能性が強い。中国の10月製造業PMIが予想外に再び景気後退域に落ち込んだほか、ユーロ圏の7-9月期経済が予想外のマイナスに落ち込むなど、世界経済の急速な鈍化の影響が果たして今後、米国経済にも波及するかどうかに注目が集まる。米国経済が景気後退を回避し、一人勝ちとなると、ドル買いをさらに支援することになる。
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2023/11/01 07:48
注目トピックス 経済総合
NYの視点:FOMC、2会合連続で金利据え置き観測、ピーク近いとの証拠にも
*07:43JST NYの視点:FOMC、2会合連続で金利据え置き観測、ピーク近いとの証拠にも
米連邦準備制度理事会(FRB)は31日から11月1日の2日間に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利据え置くことがほぼ確実と見られている。2会合連続での政策金利据え置きは2020年初旬以降で初めてとなる。予想通りとなると金利が一段とピークに近づいた証拠となり、ドルの上値を抑制する可能性がある。■現在の状況●10-12月期(GDP):前期比年率+4.9%(+2.1%)、21年10-12月来で最大の伸び●9月PCEコアデフレーター:前年比+3.7%(8月+3.8%)、21年5月来で最低の伸び●9月失業率:3.8%(8月3.8%)●9月非農業部門雇用者数:+33.6万人(+22.7万人)
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2023/10/31 07:43
注目トピックス 経済総合
NYの視点:【今週の注目イベント】FOMC、日銀、英中銀、米雇用統計、ISM製造業・非製造業、など
*07:46JST NYの視点:【今週の注目イベント】FOMC、日銀、英中銀、米雇用統計、ISM製造業・非製造業、など
今週は日米英の中央銀行が金融政策を決定する。連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利となるFF金利誘導目標を5.25%―5.5%で据え置くことがほぼ確実視されている。しかし、最近の良好な経済指標を受けて追加利上げ観測は払しょくしない。声明やパウエル議長会見でヒントを探ることになる。議長はインフレ回復を歓迎も2%目標達成には遠く、各会合がライブでデータ次第で政策を決定していく方針を再表明する可能性が強い。英中銀も政策金利を据え置くと見られる。労働市場や賃金が急速に減速しているため、追加利上げ観測が後退しつつあり、ポンド売り圧力となる可能性がある。一方、日銀は都区部消費者物価指数(CPI)の10月分が予想を上回る結果となったため、イールドカーブコントロール(YCC)を再修正するとの見通しが強まりつつあり、もし、YCCが再修正された場合は円の上昇要因となる。米国ではさらに、10月雇用統計やISM製造業、非製造業景況指数などの重要指標も発表予定で12月、1月の金融政策を探るため注目となる。7-9月期の国内総生産(GDP)の成長率は予想をさらに上回り21年10-12月期来で最大の伸びを記録した。消費が引き続き底堅く成長を支援した。パンデミック以降、国民は債務よりも貯金額がその規模は縮小したとはいえ依然大きく、消費を支えている。経済には景気後退の兆候はまだ、見られない。ただ、市場は金利がピークまたはそれに非常に近い水準との見方を維持しており、11月の利上げ見送りの予想は変わらず。さらに、中東情勢の一段の深刻化は依然リスク材料。下院議会が議長を選出したことは、政局混乱への懸念後退で不透明要因のひとつが払しょくしたことになる。■今週の主な注目イベント●米国31日:第3四半期雇用コスト指数、8月FHFA住宅価格指数、8月S&P住宅価格指数、10月シカゴPMI、10月消費者信頼感指数11月1日:10月ADP雇用統計,10月製造業PMI速報、9月建設支出、9月JOLT求人件数、10月ISM製造業景況指数、FOMC(10月31日、1日)、パウエル議長会見2日:第3四半期非農業部門労働生産性、週次新規失業保険申請件数3日:10月雇用統計、10月ISM非製造業景況指数(3日)、などが予定されている。●欧州30日:ユーロ圏経済信頼感・消費者信頼感、独CPI・GDP31日:ユーロ圏CPI、GDP11月1日:伊中銀、パネッタ総裁が就任、6年任期2日:ユーロ圏、独、仏、製造業PMI、独失業率3日:ユーロ圏失業率●英国2日:英中銀金融政策決定会合3日:英中銀ピル氏、金融政策報告に関し講演●カナダ3日:失業率●日本31日:失業率、鉱工業生産、日銀金融政策決定会合、小売売上高●中国31日:非製造業PMI、製造業PMI11月1日:財新製造業PMI3日:財新サービスPMI
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2023/10/30 07:46
注目トピックス 経済総合
国内外の注目経済指標:米政策金利は据え置き予想
*14:31JST 国内外の注目経済指標:米政策金利は据え置き予想
10月30日-11月3日週に発表される主要経済指標の見通しについては、以下の通り。■10月31日(火)政策決定会合の終了予定時刻は未定○(日)日本銀行金融政策決定会合-予想は金融政策の現状維持日本銀行植田総裁は10月20日、「消費者物価指数の上昇率は一時縮小するものの、2024年にかけて緩やかに拡大する」との見通しを示した。円安進行や原油高はインフレ率の高止まりを招く要因となるため、金融緩和策の段階的な縮小を視野に入れた政策運営を続ける見込み。■10月31日(火)午後7時発表予定○(欧)ユーロ圏7-9月期域内総生産速報値-4-6月期は前年比+0.5%ユーロ圏経済は減速しつつある。4-6月期の域内経済成長率は低い伸びにとどまったが、物価高の影響で個人消費はさえない状況となっており、7-9月期のユーロ圏経済も低成長が続く見込み。■11月1日(水)日本時間2日午前3時結果判明○(米)連邦公開市場委員会(FOMC)会合-予想は政策金利の据え置き原油高の影響で総合指数の上昇率が継続的に低下する可能性は低いと予想されている。コアインフレ率は緩やかに低下しているが、7-9月期の米経済成長率はやや高い伸びを記録しているため、FOMC声明では金融引き締め策を当面維持することが必要との見解が提示される可能性が高い。■11月3日(金)午後9時30分発表予定○(米)10月雇用統計-予想は非農業部門雇用者数は前月比+16.8万人、失業率は3.8%9月非農業部門雇用者数は前月比+33.6万人で雇用者数の増加幅は市場予想を上回った。失業率は3.8%で横ばい。労働市場は緩やかに拡大しており、10月の非農業部門雇用者数の伸びは9月実績を下回る見込み。失業率は3.8%と横ばいとなる可能性がある。○その他の主な経済指標の発表予定・10月30日(月):(独)7-9月期国内総生産速報値・10月31日(火):(日)9月失業率、(欧)10月ユーロ圏消費者物価指数速報・11月1日 (水):(米)10月ISM製造業景況指数・11月2日 (木):(英)英中央銀行MPC政策金利発表・11月3日 (金):(欧)ユーロ圏9月失業率
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2023/10/28 14:31
注目トピックス 経済総合
NYの視点:米経済、引き続き消費が支える可能性、高金利長期化も
*07:39JST NYの視点:米経済、引き続き消費が支える可能性、高金利長期化も
米商務省が発表した7-9月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率+4.9%と、4-6月期+2.1%から予想以上に伸びが拡大した。21年10-12月期以来で最大の伸び。消費のほかに在庫や輸出、居住住宅投資、連邦政府支出がプラスに寄与した。7-9月期個人消費速報値は前期比年率+4.0%と、4-6月期+0.8%から伸びが拡大し21年10-12月期以来で最大の伸びとなり、成長を支えた。また、9月新築住宅販売件数に続き、全米不動産協会(NAR)が発表した9月中古住宅販売成約指数も前月比+1.1%と、8月-7.1%から予想外のプラスに改善した。伸びは1月来で最大となり、今後の中古住宅販売の伸び加速が示唆された。金利上昇が続く中でも需要が強く、米住宅市場の一段の回復が期待される。労働省が発表した先週分新規失業保険申請件数(10/21)は前週比1万件増の21万件と予想20.7万件を小幅上回ったものの引き続き歴史的にも低い水準を維持しており、労働市場が依然底堅い証拠となった。引き続き強い労働市場が米国経済の7割を占める消費を支えている。また、パンデミック絡みの支援が依然奏功し、国民は借り手ではなく、貸しての状況が続いている。米国民の総資産は前年比で増加した。総金利収入は前年比1400億ドル増とも言われ、消費者は引き続き消費パワーがあると見られ、景気も底堅く推移すると見られる。FRBも利上げを終了したとしても、高金利を想定以上に長期にわたり維持する必要性が強まる可能性も出てきた。利下げも先送りされることになる。
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2023/10/27 07:39
注目トピックス 経済総合
プラチナは上値の重い展開か サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
*16:43JST プラチナは上値の重い展開か サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、NYプラチナについてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『プラチナは上値の重い展開か』と述べています。続けて、『プラチナは3年ぶりの供給不足が予想されているものの、米金利高・ドル高に影響を受け安値圏からなかなか抜け出せない状況が続いている』と述べています。また、『ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)が9月6日に発表した世界プラチナ需給によると、2023年のプラチナの不足予測量は100.5万トロイオンス(およそ31.3トン)となり100万トロイオンスの大台を超えた。3カ月前の予想である98.3万トロイオンスの不足から下方修正された』と伝えています。一方で、『CFTC建玉を見ると、10月10日時点でファンドは売り越しに転じた。ただ、需給関係からみて900ドルを下回る水準は割安感が強いこと、また昨年は900ドル以下の水準では中国勢が積極的に買ってきたこと等から安値警戒感が働き、翌週の17日には早くも買い越しに転じていた』と言及しています。次に、『米長期金利は23日には5.0%に上昇したが、達成感から国債が買い戻され24日には4.8%台に低下している。11月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利の据え置きが予想されているが、12月の会合では利上げの可能性が残っている。中東情勢も予断を許さない状況が続いており、産業用貴金属であるプラチナは上値の重さを余儀なくされよう』と考察しています。また、『ただ、供給不足に加え、将来の水素エネルギー需要を考えると、現状の水準は割安と言えるだろう』と述べています。こうしたことから、陳さんは、『NYプラチナ予想レンジは、850~950ドル』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の10月25日付「プラチナは上値の重い展開か」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
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2023/10/26 16:43
注目トピックス 経済総合
NYの視点:米経済の成長見通し強まる、新築住宅販売が予想上回る
*07:45JST NYの視点:米経済の成長見通し強まる、新築住宅販売が予想上回る
米商務省が発表した9月新築住宅販売件数は前月比+12.3%の75.9万戸と8月から予想以上に増加し、2022年2月以降で最高となった。新築住宅は住宅市場での占める割合は小さいが、契約時点での統計となるため先行指標として注目されている。新築住宅の在庫は2月来で最高に達した。中間販売価格は41.88万ドルに下落したが、依然パンデミック前の水準を上回っている。住宅ローン金利が上昇する中、引き続き住宅需要に対して在庫が足りない状況が続き価格を押し上げている。製造業やサービスPMIが予想を上回り成長域を回復したことに続き、住宅市場も想定以上に強く、米国経済を支える。連邦準備制度理事会(FRB)もインフレ制御のため高金利を当面維持する必要性が強まりつつある。
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2023/10/26 07:45
注目トピックス 経済総合
トルコリラ円今週の予想(10月23日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
*17:25JST トルコリラ円今週の予想(10月23日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、トルコリラ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週のトルコリラ円について『26日のトルコ中銀会合が注目される』と述べています。続けて、『予想では政策金利を現行の30%から35%に引き上げる見込み。ただ、予想通りに利上げしても9月消費者物価指数(CPI)は前年比+61.53%で、名目金利からインフレ率を差し引いた実質金利は-27%と、依然とし大きくマイナスのままで、通貨安の流れを変えるまでには至らないだろう。それでも、インフレに対応した中銀の姿勢から、リラが下落しても下値は限定的ではないか』とし、『ただ、イスラエルがガザ地区で地上戦を開始すれば、原油価格の高騰が予想され、トルコ経済を下押しすると見られ、リラ売りが強まろう』と考察しています。また、『先週は、パレスチナ・イスラエル情勢の緊迫化を受けた地政学的リスクの高まりや、イスタンブール総領事館前で発生した大規模抗議集会を受けてイスラエルの外交官全員がトルコから退去したため、トルコリラは売りが優勢となった。リスク回避からトルコの主要株価指数は大幅下落した』と伝えています。今週はトルコ10月消費者信頼感指数や、10月製造業信頼感指数等の経済指標が発表されます。こうしたことから、陳さんは、トルコリラ円の今週のレンジについては、『5.20円~5.60円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の10月24日付「トルコリラ円今週の予想(10月23日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
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2023/10/25 17:25
注目トピックス 経済総合
コラム【最新クリプト事情】:暗号資産市場の情報のはやさと怖さ マネックス証券 松嶋 真倫)
*09:23JST コラム【最新クリプト事情】:暗号資産市場の情報のはやさと怖さ マネックス証券 松嶋 真倫)
つい先週、大手暗号資産メディアの1つであるコインテレグラフが「ブラックロックのビットコイン現物ETFが承認」というヘッドラインをX(旧:Twitter)で投稿し、待望のニュースがSNS内を駆け巡った。暗号資産関連のアカウントがニュースを次々と拡散し、暗号資産市場の悲願達成とも言える報道を受けてビットコインの価格も430万円台まで急騰した。しかし、報道があってすぐに一部の人から「リソースがない。フェイクニュースではないか?」という疑問が投げかけられた。それに反論するかのようにロイターが報じているなどの主張も飛び交い、情報が錯綜したが、ついにはブラックロックが自ら事実を否定し、その失望によってビットコインもたちまち急落した。今回の誤報が出されてから間違いが発覚するまではわずか数時間だった。情報が目まぐるしいはやさで広がり、その中でビットコインの価格も乱高下した。このような情報の素早さは、SNS時代に入ってますます加速しているが、特に暗号資産市場では強い傾向にある。たとえば、2022年に起きたFTXショックの時もメディアによるネガティブなリーク情報がSNSですぐに浸透し、当時では世界有数の暗号資産取引所であったFTXグループが1週間程度で破綻に追い込まれた。それによって相場も暴落したことは言うまでもない。暗号資産の情報はSNSを中心にやりとりされているため、その伝播速度もそれに対するマーケットの反応も株式などの伝統的な金融資産に比べて圧倒的にはやい。それゆえに暗号資産は何か大きなニュースがあった時には群集心理によって急な価格変動が起こりやすい。大前提として暗号資産に投資する際には正確な情報収集が大事である。その上でSNSに繰り広げられる情報戦とそれによる短期的な値動きに振り回されないためには中長期的な目線を持つことが重要である。今回の誤報では、暗号資産市場の情報のはやさと怖さが明るみに出た一方で、米国におけるビットコイン現物ETFに対する強い期待も確認された。それが実現するまでは様々な情報がやりとりされるだろうが、目の前の情報を慎重に見極めるよう心がけてほしい。間違いなく言えることは、いつかは米国でビットコイン現物ETFは承認される。そう考えられるならばビットコインの価格が上昇する前にマーケットに入るのが吉ではないだろうか。マネックス証券 暗号資産アナリスト 松嶋 真倫(出所:10/23配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋)
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2023/10/25 09:23
注目トピックス 経済総合
NYの視点:米第4四半期の経済も堅調か、ドル買い支援
*07:40JST NYの視点:米第4四半期の経済も堅調か、ドル買い支援
米10月製造業PMI速報値は50.0と、悪化予想に反し、9月49.8から改善した。4月来で初めて、活動の拡大と縮小の境目となる水準を回復した。米国経済に重要となるサービス業のPMI速報値も50.9と50割れ活動縮小に落ち込むとの予想に反し、9カ月連続で50台を維持。成長継続となった。総合PMI速報値は51.0と、9月50.2から予想外に上昇し、7月来で最高。9カ月連続の成長継続。S&Pグローバルのチーフ・ビジネス・エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は声明で、米国経済のソフトランディングの可能性を示唆。最近のPMIは経済データの中で最も弱い兆候を示していたため、PMIでの成長回復は第4四半期に向けた経済の良好なスタートと言えるとコメント。地政学的リスクの上昇や政治的な混乱にもにもかかわらず将来の見通しも上昇し、1年半ぶりの高水準。利上げが終了に近づいたとのセンチメントが奏功したと指摘している。仕入れ価格が20年10月来で最低。また、平均販売価格も20年6月来で最低となった。7-9月期の国内総生産(GDP)速報値では+4.5%が予想されているが、10-12月期のGDP成長も強い結果が期待できる。対称的にユーロ圏PMIは予想外に悪化。域内で最大となるドイツの経済が冴えないため。ユーロ・ドルでの売り圧力になる。
<CS>
2023/10/25 07:40
注目トピックス 経済総合
(中国)上海総合指数は買い先行もマイナス圏転落、中台関係の悪化などを警戒
*10:56JST (中国)上海総合指数は買い先行もマイナス圏転落、中台関係の悪化などを警戒
24日の上海総合指数は買い先行。前日比0.17%高の2944.31ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時51分現在、0.30%安の2929.79ptで推移している。中台関係の悪化が警戒されている。EMS(エレクトロニクス機器の受託製造サービス)世界最大手、台湾・鴻海精密工業(ホンハイ)傘下の富士康科技集団(フォックスコン)に対し、中国当局が税務当調査に入ったと伝わっている。また、中東情勢をめぐる緊張感の高まりも引き続き圧迫材料。一方、米金利の低下や政策期待などが指数をサポートしている。
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2023/10/24 10:56
注目トピックス 経済総合
一帯一路プロジェクト: 裏の意味と政策対応(2)【中国問題グローバル研究所】
*10:27JST 一帯一路プロジェクト: 裏の意味と政策対応(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「小さくても美しい(Small but Beautiful)」一帯一路プロジェクト: 裏の意味と政策対応(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。4.民主化 vs 貿易依存:各国に対する一帯一路の交渉力。一帯一路構想がアフリカに与える影響:債務、民主主義、依存。アフリカ地域では、中国が提唱する一帯一路構想への依存が徐々に深まっている。これは、国内の民主的な制御と均衡、もしくは貿易依存とは何の関係もない。それどころか、中国融資の債務不履行リスクが日に日に高まっている。これまでは、中国の融資先は東アフリカや南部アフリカがほとんどであったが、2021年から2022年にかけて、セネガル、ベニン、コートジボワールなど西アフリカにシフトし始めた。西アフリカ諸国の中国からの借入がそれまで少なかったことが背景にある。加えて、中国の対アフリカ融資がここ20年弱で最低の水準に落ち込んだ。2000~2022年、アフリカの主要な一帯一路構想参加国に中国が融資した金額はおよそ1,700億米ドルに上る。しかし単年でみると、2016年の280億米ドル強をピークに減少に転じ、2021年には12億2,000万米ドルにとどまっている。2022年に締結した融資はわずか9件、9億9,448万米ドルであった。コロナ後には、中国の景気低迷、政策の変更、アフリカの債務に対する懸念などの問題が生じた。中国の対アフリカ融資の金額と種類から、中国の一帯一路構想のインフラ建設のうち、5億米ドルを超える鉄道や高速道路など大規模融資プロジェクトは今後少なくなり、社会福祉や環境をより重視するようになると予測できる。中国の「小さくても美しい(small but beautiful)」一帯一路構想のインフラプロジェクトは今後、その戦略的重点と質が特徴となるであろう。一帯一路構想の対象となる57カ国への中国の非金融投資額は、2021年末時点で203億米ドル相当に達した。主要な投資先10カ国のうち7カ国は東南アジアである(インドネシア、ラオス、タイ、マレーシア、ベトナム、シンガポール、カンボジア)。一帯一路構想が中国-ASEAN関係に与える悪影響は、カンボジアで特殊詐欺グループが拘束された事件や中国ラオス鉄道、ジャカルタ・バンドン高速鉄道、東海岸鉄道、中国タイ高速鉄道の経緯を見ていると良く分かる。選挙で政権政党が変わる可能性のあるアジア諸国では、中国の一帯一路構想が国政選挙の争点となっており、中国ファクターも国内で論争を巻き起こしている。タイとマレーシアは政権交代の可能性を危惧して、高速鉄道事業に対する中国側投資額の再交渉を行った。インドネシアでも2024年総選挙に向けた選挙戦のさなか、ジャカルタ・バンドン高速鉄道の建設コストをめぐる議論が勃発している。中国を取り巻く地政学的紛争と相まって、これを防ぐ最良の防御手段として民主化が求められている。インド太平洋経済枠組み:貿易関係と米国の経済的存在感。米国は、インド太平洋経済枠組み(IPEF)の参加国と関係を強化することで中国と距離を置くよう努めているが、肝心のIPEF参加国は中国への経済依存を強めている。ピーターソン国際経済研究所(PIIE)が、IPEF参加14カ国の2010~2021年の貿易状況を分析したところ、2021年はブルネイを除く13カ国で、最大輸入相手国が中国であり、7カ国で中国が最大の輸出先であった。輸入元としては、中国は参加国平均で30%強を占め、輸出先としても全体のおよそ20%を占める。2010年と比較すると、IPEF参加国の貿易に中国が占める割合は輸入40%、および輸出45%、それぞれ増加している。2023年にはIPEFに参加する14カ国の貿易担当相会合が米国デトロイトで開かれ、サプライチェーン協定に関する交渉が妥結した。米国は、サプライチェーン協定が米国とインド太平洋地域のパートナー国の経済協力を強化するだけでなく、米国企業が現地で事業を展開し、その国の国際競争力を高める一助にもなると主張している。米国が重視するのは、この地域における自国の「経済的存在感」を高めることである。米国にとって太平洋島嶼国は、自国の主張をますます強める中国との競争の主戦場となっている。2023年9月25日、米国のバイデン大統領は太平洋島嶼国の首脳をホワイトハウスに招き、サミットを開催した。招待されたのはオーストラリアから(共同宣言において新たに国家として承認したクック諸島とニウエを含む)人口の少ない小国・島嶼国まで多岐にわたる。このサミットには太平洋地域のさまざまな国・地域が一堂に会したが、中国と緊密な関係を持つソロモン諸島のソガバレ首相は欠席した。このことは、太平洋島嶼国における中国の影響力の大きさをある程度浮き彫りにした。5.「小さくても美しい(Small but Beautiful)」一帯一路構想の政治的意味新たな局面を迎える一帯一路構想:「小さいけれど美しい(Small but Beautiful)」プロジェクトの時代中国が意欲を見せる一帯一路構想が2013年に打ち出されてから10年が経過した。しかし、中国国内の経済的課題やコロナ禍による壊滅的影響、相手国における債務の持続可能性に対する懸念の高まりなど、世界情勢は著しい変化を遂げている。こうした動向を受け、一帯一路構想はこれまでとは異なる、精度と質の重視を特徴とする新たな局面を迎えている。微妙に変化した構想は、その初期段階に見られた巨額投資とは全く対照的な「小さくても美しい(small but beautiful)」プロジェクトという新語を生み出した。このような変化がもたらす影響は中国のみならず、関係する地域にとっても極めて大きい。その一例として挙げられるのが、中国の一帯一路構想に並ぶものとして、日本が「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」のための新たな構想を発表したことである。アジアの二大国の歩みが交差したことをきっかけとして、アフリカや東南アジアを中心に競争が激化するのはまず間違いない。台湾外交の変化と一帯一路構想。台湾は今、外交の重要な局面を迎えている。外交同盟という従来の指標はもはや、台湾の外交政策を裏で支える唯一の原動力ではない。台湾は「議会外交」への抜本的変化により機敏に対応する外交力を新たに身につけ、一帯一路構想の潜在的影響を一部、打ち消すことができるようになった。それでも経済外交は依然、いちかばちかの綱渡り状態であることに変わりはなく、ほんの小さなミスが台湾の輸出と経済的地位を危うくしかねない。台湾の外交戦略がこのような変化を遂げている背景には、地政学的情勢と経済が切っても切り離せないという、複雑な事情がある。米国と日本がインド太平洋地域で果たす役割の拡大。米国と日本がインド太平洋戦略を明らかにしたことで、この地域での力関係がさらに複雑化している。こうした状況のなか、一帯一路構想と新たに提唱されている「インド・中東・欧州経済回廊(IMEC)」が地域間交流の定義を変えつつある。新たなチャンスが生まれると見て、台湾はIMECへの投資を積極的に視野に入れている。この戦略的な動きにより、台湾はインドで製品を製造し、中近東や欧州への効率的な輸出を促進できるようになる。しかし、完成した中国ラオス鉄道を含む、中国の意欲的な「汎アジア鉄道」網計画は、この地域に展開する台湾系企業にリスクをもたらす恐れがある。その場合、台湾が東南アジア諸国連合(ASEAN)市場で自らの利益を守るためには、慎重な対応が必要だ。ASEAN市場のリスクとチャンスにうまく対応する。こうした複雑な経済・政治的な岐路に対応するため、ASEANの台湾系企業は産業チェーンのインドシフト加速を検討してもよいだろう。インド・中東・欧州経済回廊の枠組みの中で、港湾開発を中心にインドとの関係を強化することで、台湾はエネルギー輸出入の安全保障を確保するだけでなく、戦略的に極めて重要な地域における自らの立場を強化することもできる。台湾の地域協力戦略。さらに台湾資本企業は、友好的関係にある中・東欧諸国への進出機会を開拓すべきである。これら諸国へのハブ港や製造施設建設は賢明な対応であり、既に確立している欧州連合との地経学・貿易関係を利用して欧州市場に直接アクセスできるようになる。台湾の戦略的ポジションは資本やテクノロジーといった領域にとどまらず、地域協力にどれだけの投資をするかどうかによって決まる。経済・貿易・戦略面の利益を共有する国との連携は最も重要である。さらに、「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」など多面的な地域経済体系への積極的な参加を模索することで、台湾は地域経済の安定と繁栄強化に果たす役割を大幅に強化できる。外交的結びつきとグローバルな影響力。台湾の至上命題は、「基盤強化と自国の活性化」を目的とした包括的プロジェクトを立ち上げることである。台湾と外交関係のある13カ国に合わせた、経済・貿易の幅広い協力支援プログラムを盛り込んだ取り組みであれば、台湾が有する外交的結びつきの強化とグローバルな影響力の拡大という2つの目的にかなう。複雑な外交工作を特徴とする時代にあって、台湾は民主主義的価値観を守る、志を同じくした国との関係強化が推奨される。いわゆる「民主主義的価値を重視する豊かな国(Prosperous and focused on Democratic Value Nation)」プロジェクト案は戦略的にその対象を、台湾との実質的な外交・経済関係の構築を強く望む国に絞るべきである。効果的なタイミングで導入すれば、この取り組みはかなりの成果をもたらし、台湾とその外交パートナーの双方の利益となる可能性がある。外交努力を受けて、国連がハイチ政府の支援に、中国の平和維持軍ではなくケニアの警察官派遣を要請するという、心強い動きがあった。このことは、強固な外交同盟を育む重要性を浮き彫りにしている。米国とケニアの友好関係が継続、深化すれば、アフリカにおける中国の影響力を弱めるだけでなく、中国によるハイチへの介入を防ぐこともできる。この事例から、国際社会の未来にむけて外交的同盟関係が中心的な役割を果たすことが良く分かる。結論として、一帯一路構想が現状に適合し、変化し続けるなか、ダイナミックな地政学情勢はさらに複雑さを増している。台湾は、その議会外交と戦略的パートナーシップに根差した、機敏に対応する外交力により、このグローバルな戦局で重要な役割を果たしている。経済発展と地域協力、そして外交の複雑な相互作用が、特にFOIPというネットワークにおける台湾の役割を決定する。さらに、台湾の巧妙な政策対応と外交工作は、変化を続ける国際情勢への目覚ましい適応力を反映したものである。複雑な外交工作と同盟の変化を特徴とする時代にあって、台湾は外交的つながりを強化し、民主主義的価値観を推し進める。その真摯な姿勢は、国際社会の未来形成と複雑な現代地政学的環境への対応において、台湾が不可欠な役割を担っていることを明確に示している。(※1)https://grici.or.jp/
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2023/10/24 10:27
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一帯一路プロジェクト: 裏の意味と政策対応(1)【中国問題グローバル研究所】
*10:23JST 一帯一路プロジェクト: 裏の意味と政策対応(1)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)陳建甫博士の考察を2回に渡ってお届けする。1.一帯一路構想の現状一帯一路構想の10年:節目と変化。2013年に打ち出された中国の一帯一路構想が10年目を迎えた。中国は当初、東南アジア、南アジア、中東、北アフリカ、欧州の各国を結ぶ「シルクロード経済ベルト」(一帯)と「21世紀海上シルクロード」(一路)という、2つの重要経済ルートに沿って大規模インフラを建設するプロジェクトとして、この構想を打ち出した。この経済ルート上にある国々は、「中国・モンゴル・ロシア経済回廊」「新ユーラシアランドブリッジ経済回廊」「中国・中央アジア・西アジア経済回廊」「中国・パキスタン経済回廊」「バングラデシュ・中国経済回廊」「インド・ミャンマー経済回廊」「中国・インドシナ半島経済回廊」の6つの主要経済回廊によって結ばれている。2014年以降、中国は一帯一路プロジェクトに年間1,000億米ドルを超える投資を行ってきた。2020年から2022年にかけては、コロナ禍の影響で減少したが、いずれの年も600億米ドルを上回っている。2023年8月末時点で中国は一帯一路に関して200以上の協力文書を、152カ国および32国際機関と締結している。戦略的転換:一帯一路投資の質とエネルギー。中国の一帯一路構想に対する投資プロジェクトを見ると、最大の投資分野はエネルギー開発(全体の約40%)で、これに交通網整備(同24%)、不動産開発と鉱山開発(いずれも同9%)が続く。このことから、一帯一路構想は中国の発展に必要なエネルギー供給の一元管理により重点を置いているはずであることが伺える。中国と一帯一路の協力文書に署名した各国は、相対的利益の改善と経済安全保障強化を図れなかっただけでなく、中国への貿易依存を強める結果となった。また中国は直接投資により、相手国の国家安全保障に間接的に影響を与えることもできている。中国による意思決定への干渉や情報セキュリティリスクが大きな批判を浴びてきた。欧州には中国と協力関係にあったものの、「デリスキング(リスク回避)」政策に転換した国もある。リトアニア、ラトビア、エストニアの3カ国は2021年、ロシアのウクライナ侵攻や中国の外交政策、貿易問題などの理由により、「中国と中東欧諸国の協力枠組み」から離脱した。チェコ共和国も2023年6月29日に、中国を体系的な競争相手と位置づける新たな「安全保障戦略」を発表した。・中南米や太平洋地域への一帯一路拡大中南米・カリブ諸国:駆け引き vs 長期的メリット。2013年には合計10カ国が中華民国(台湾)と国交を断絶した。2016年時点で台湾と断交した国は8カ国あり、そのうち5カ国が中南米である(パナマ、ドミニカ共和国、エルサルバドル、ニカラグア、ホンデュラス)。各国への中国のインフラ建設投資は当初著しく増えたが、長期的データを検証したところ、中国と国交を樹立しても短期的な成果しか得られず、長期的な経済的効果は生まれていないことが分かった。中国と新たに国交を結んだ国の景気は、台湾と国交を維持している国と比べて著しく上向いているわけではない。ソロモン諸島の先:太平洋地域における影響争い。中国の経済援助は現地民主主義の発展、法の支配、ジェンダー問題、経済的平等に悪影響を与えるだけにとどまらず、周囲地域の民主主義を脅かすことすら少なくない。最も顕著な事例として2019年9月、ソロモン諸島が台湾と断交したことが挙げられる。その後、ソロモン諸島は11月に中国と国交を樹立し、「シルクロード経済ベルト共同推進」に関する覚書に調印している。その後、中国政府の優先課題は開発から国防へとシフトし、両国が昨年4月に「安全保障協力協定」を締結したことで、周辺国の警戒感が強まった。台湾から中国への国交切り替え拡大に歯止めをかけるため、米国の議員らは「Defund China’s Allies Act(中国同盟国への出資停止法)」の法案提出など、国交を切り替えようとしている国に対する米国の対外援助を禁じるよう求めている。台湾は現在の外交戦略に「量より質を重視する」原則を導入して、医療や農業技術などの支援プログラムを友好国に提供するとともに、対象となる国とより積極的にコミュニケーションをとるべきである。南太平洋島嶼国のなかには、気候変動や高速インターネットといった問題の解決を望んでいるとの意向を、複数の機会にわたりオーストラリアに表明してきた国がある。台湾のICTはおそらく、こうした友好国が抱える高速インターネットのニーズに十分応えられるはずである。3.一帯一路構想と中国の海外軍事拠点拡大二重目的の一帯一路構想:軍事と経済の中枢化。一帯一路構想は当初、主に経済的な動機によるものと思われていたが、人民解放軍が「海外物流施設の整備」を名目に海外基地の建設を開始した。海上シルクロードの経済開発と同様、中国の海外基地建設プロジェクトも経済と軍事という「2つの目的」を掲げている。こうした基地は、戦争や紛争が勃発すれば間違いなく軍用目的となる。海外にこうした支柱となる港を設置すれば、軍事的性格を直接疑われるような事態は避けられる。アフリカでは、東アフリカのジブチにあるドラレ・ターミナルが中国初の海外軍事拠点である。この港は戦略的にみて非常に重要な位置づけにある。海を隔てたアラビア半島に面し、紅海やアデン湾へのアクセスが確保されている。また、インド洋とスエズ運河を結ぶ重要なルートでもある。中国とアフリカの「一帯一路」共同建設協力計画の代表的な建設プロジェクトである、エチオピアとジブチを結ぶアジスアベバ・ジブチ鉄道の建設を受けて、ジブチ港は地域の海運拠点としても設計された。中国は現在、ジブチに加えてカメルーンのクリビ、モザンビークのナカラ、モーリタニアのヌアクショット、赤道ギニアのバタなどで、一帯一路構想を積極的に展開している。軍用にも民生用にもなる施設の前哨地点となる基地を獲得しているのである。「戦局」となったインド太平洋地域:中国の海外軍事拠点。カンボジアのリアム、スリランカのハンバントタ、パキスタンのグワダル、バヌアツのルーガンビルでは、中国が積極的に軍事拠点を建設している。なかでも改修終了間近のリアム海軍基地は中国にとって、ジブチに次ぐ第2の海外補給基地(overseas support base)、インド太平洋地域では初の海外軍事基地とみられている。これは中国の地域防衛戦略の大きな前進であるとXianはみている。中国は中南米でも一帯一路構想を推進し、多額の財政投資を行ってきた。投資額はベネズエラ・ホセ港の原油ターミナルに4億4,100万米ドル、キューバのサンティアゴ港に1億3,300万米ドルである。こうしたインフラ投資により、中国は中南米に人民解放軍の拠点を置き、これを展開させる戦略的機会を得られる。中国は現在、アルゼンチンのティエラ・デル・フエゴとチリのプンタ・アレーナスでの多目的港建設に協力する計画も提案している。この計画では、Shaanxi Coal Chemical Industryグループが現地のエネルギーと肥料の開発を支援し、その後港湾ターミナルの建設と管理を担う。それによりマゼラン海峡の航路と航路沿いの地域を管理し、最終的には南極進出の拠点とする。「小さくても美しい(Small but Beautiful)」一帯一路プロジェクト: 裏の意味と政策対応(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。(※1)https://grici.or.jp/
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2023/10/24 10:23
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NYの視点:米国債相場、利食いの買いに転じる、10年債利回りは5%でいったん目標達成感も
*07:59JST NYの視点:米国債相場、利食いの買いに転じる、10年債利回りは5%でいったん目標達成感も
米国債相場は23日続伸した。米10年債利回りは一時5%台を達成したのち、目標達成感などから低下に転じ、4.88%前後での推移となった。中東情勢の悪化などが買戻しの要因になったと見られる。投資会社パーシングスクウエアを運営する著名投資家のアックマン氏は8月に保有している株式ポートフォリオのヘッジのためオプションを利用し長期債売り持ちにしていることを明らかにしていた。脱グローバル化や脱炭素へのエネルギー移行などの構造変化がインフレ圧力の長期化に繋がるほか、膨れあがる米国財政赤字で供給が拡大するため債券利回りの上昇を想定していた。しかし、ここにきてイスラエル・ハマス戦闘が勃発するなど、長期債を売り持ちにするには世界のリスクが大き過ぎるとし、さらに、最近のデータが経済の減速が進んでいることを示唆していると買戻したことを明らかにした。ただ、今週発表予定の7-9月期のGDPは前期の+2.1%から4%台の成長と21年10-12月期以来の大幅な伸びに拡大が予想されている。米国経済を支える消費も相変わらず強い。商務省と類似したモデルを使用しているため市場が注目しているアトランタ連銀の同期見通しでは5%超の成長が予想されており、米国債相場がこのまま上昇基調になることも今のところ、考えにくい。
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2023/10/24 07:59
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NYの視点:【今週の注目イベント】米Q3GDP、PCEコアデフレーター、ECB、英雇用など
*07:35JST NYの視点:【今週の注目イベント】米Q3GDP、PCEコアデフレーター、ECB、英雇用など
今週は欧州中央銀行(ECB)が定例理事会を予定しているほか、カナダが金融政策決定会合を開催する。ECBやカナダ中銀は政策を据え置く見通し。ECB金融政策では、ラガルド総裁の発言で今後の行方を見極めていく。また、英国では雇用関連指標に注目が集まる。一部英中銀の政策委員が賃金の伸びの急速の鈍化を指摘。雇用減速の兆しが見られると、英中銀の利上げ休止観測にポンド売りが優勢となる可能性がある。米国ではFRBの今後の金融動向を左右する重要な経済、インフレ指標となる7-9月期国内総生産(GDP)速報値や9月PCEコア価格指数などに注目。さらに、中東情勢の緊迫化がさらに深刻化する可能性はリスクになる。イスラエルとハマス戦闘激化を受け、サウジアラビアとUAE指導者は異例の会談を実施。イエメンからイスラエルに向け発射されたミサイルを米艦艇が追撃したが、イラク、シリアなどを巻き込み戦闘拡大の可能性がリスクとなる。また、バイデン大統領が1000億ドル規模のウクライナ、イスラエル、台湾支援など大規模支援の議会承認を求める中、共和党は依然下院議長を選択できず。政局混乱も依然懸念される。FRBは11月連邦公開市場委員会(FOMC)を控えブラックアウト期間入りとなるため、高官の講演やイベントの開催はない。FRBのパウエル議長は先々週の講演で、長期債利回りの上昇で利上げの必要性が低下する可能性にも言及したと同時に、リスクが依然高インフレだと主張。追加利上げも完全には除外しておらず中立姿勢を示した。FRBがインフレ指標として注視しているPCEコア価格指数の9月分は一段の伸び鈍化が予想されている。ただ、7-9月期のGDPは前期の+2.1%から4%台の成長と21年10-12月期以来の大幅な伸びに跳ね上がる見通し。商務省と類似したモデルを使用しているため市場が注目しているアトランタ連銀の同期見通しでは5%台の成長が予想されており、もし、予想以上の伸びが確認されると、追加利上げ観測が強まり、ドルを支える。労働市場が鈍化傾向にあるとはいえ、依然力強く、国内経済の7割を占める消費を支えている。パウエル議長は2%のインフレ目標達成には成長が潜在的水準を下回り、労働市場が減速する必要があると言及しており、追加利上げの可能性や高金利の長期化観測にドルは底堅く推移か。■今週の主な注目イベント●米国23日:9月シカゴ連銀全米活動指数24日:10月製造業PMI、10月リッチモンド連銀製造業指数25日:9月新築住宅販売件数26日:9月卸売在庫、7-9月期GDP速報値、9月耐久財受注速報、週次新規失業保険申請件数、9月中古住宅販売仮契約27日:9月個人所得・支出、PCEコアデフレーター、10月ミシガン大消費者信頼感指数確定●欧州24日:ユーロ圏サービス・製造業PMI26日:欧州中央銀行定例理事会、ラガルド総裁記者会見、EUサミット(27日まで)●英国24日製造業PMI、失業保険申請件数●カナダ25日:金融政策決定会合●日本27日:東京CPI
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2023/10/23 07:35
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欧米の注目経済指標:ECB理事会で政策金利の据え置きが決まる見込み
*14:46JST 欧米の注目経済指標:ECB理事会で政策金利の据え置きが決まる見込み
10月23日-27日週に発表される主要経済指標の見通しについては、以下の通り。■24日(火)午後5時発表予定○(欧)10月HCOBユーロ圏製造業PMI速報値-前回実績は43.4参考となる9月改定値は43.4で8月実績を下回った。フランス、ドイツはさえない状況続いている。主要国の生産活動は拡大していないため、需要回復が遅れており、10月の数値が明確に改善する可能性は低いとみられる。■26日(木)午後9時15分発表予定○(欧)欧州中央銀行(ECB)政策金利発表-予想は政策金利の据え置き前回理事会後に公表された声明では、「主要な政策金利は、これが十分に長い期間続けば、インフレ率が目標への回帰を速やかに達成する水準に到達したと考えている」との見方が提示された。ラガルドECB総裁は、政策金利の焦点が、金利水準からその水準を維持する期間に移っているとの見方を伝えており、政策金利の据え置きが決まる見込み。■26日(木)午後9時30分発表予定○(米)7-9月期国内総生産速報値-予想は前期年率+4.0%参考となるアトランタ地区連銀の経済予測モデル「GDPNow」の試算によると前期比年率+5.4%と高い伸びとなる可能性がある。住宅着工件数と小売売上高がやや強い数字だったこと、個人消費はまずまず良好であることから、成長率は4-6月期の実績を大幅に上回る見通し。■27日(金)午後9時30分発表予定○(米)9月コアPCE価格指数-予想は前年比+3.7%参考となる8月実績は前年比+3.9%にとどまった。9月については、家賃の上昇率が鈍化しつつあること、サービス需要の減少が観測されており、コアインフレ率は8月実績を下回る見込み。○その他の主な経済指標の発表予定・24日(火):(欧)10月ユーロ圏HCOB総合指数、(米)10月サービス業PMI・25日(水):(加)カナダ中央銀行政策金利発表・26日(木):(米)9月耐久財受注
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2023/10/21 14:46
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長引く地政学リスクで金は底堅い サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
*17:26JST 長引く地政学リスクで金は底堅い サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、NY金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『長引く地政学リスクで金は底堅い』と述べています。続いて、『NY金(12月限)は、7日に起きたイスラム組織ハマスとイスラエルとの戦闘は、イスラエルが「戦争」を宣言し、戦火が拡大している。地政学リスクの高まりから安全資産である「金」が買われ、先週のNY金(12月限)は、節目の1900ドルを突破し、週末13日には1946.2ドルとおよそ3週間ぶりの高値に上昇した。週末は、イスラエルがガザ地区に地上部隊を送り、地上戦が行われる可能性があるとの見方から、週明け16日以降も金相場は、利益確定売りに上値を削ったものの、1935ドルと高値水準を維持している。18日時点でイスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザでの地上戦を含む大規模作戦の開始は行われておらず、市場参加者は中東情勢の行方を見守っている』と伝えています。次に、『米ホワイトハウスは、バイデン大統領が18日、イスラエルに加えてヨルダンも訪問し、パレスチナ自治政府のアッバス議長らと会談すると発表した』とし、『しかし、ガザ市の病院がイスラエル軍の空爆で爆発し、パレスチナ人数百人が死亡したことを受けて、バイデン大統領のヨルダン訪問は中止となった。ただ、イスラエルはこの件に関して否定しており、ハマスによるミサイル攻撃の失敗が病院爆発の原因だと主張している』と解説しています。また、『バイデンがイスラエルのネタニヤフ首相と会談する予定だが、自衛権を主張するイスラエルの自衛権を支持する一方で、ガザ住民への被害を最小限にするよう働き掛けるとみられている。ただ、地上戦が決定された場合、ヒズボラやイランもこの戦争の当事者になる可能性があり、情勢は予断を許さない。18日の午前11時時点の時間外取引は1953ドルあたりで、節目の1950ドルを上回って推移している。バイデン大統領のヨルダン訪問キャンセルが要因と思われる』と伝えています。陳さんは、『イスラエルのネタニエフ大統領は、この戦争は長引くと表明した。絶え間ない地政学リスクがサポート要因となり、金相場を支援しよう』と考察しています。NY金予想レンジは、『1900~2000ドル』と想定しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の10月18日付「長引く地政学リスクで金は底堅い」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
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2023/10/20 17:26
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NYの視点:パウエルFRB議長講演、中立姿勢示す、米長期債利回りは上昇基調継続か
*07:44JST NYの視点:パウエルFRB議長講演、中立姿勢示す、米長期債利回りは上昇基調継続か
パウエルFRB議長は注目されていた講演で、インフレが依然高過ぎだと指摘した。さらに「現在、リスクは依然高いインフレ」であり、金利が十分に長期にわたり、十分に高くない可能性を指摘。政策が現在引き締め過ぎでない証拠があると、追加利上げを除外しなかった。同時に、他のFRB高官と同様、最近の長期債利回り上昇が金融ひっ迫の証拠で追加利上げの必要性を低下させる可能性もあると言及する中立姿勢が強調された。議長は2%のインフレ目標達成には、経済が潜在的成長率を下回り、労働市場の減速が条件となる可能性を指摘。議長は長期の成長潜在率は2%前後を想定している。米国の7-9月期国内総生産(GDP)は5%台の成長が予想されており、利上げ終了には程遠い可能性がある。パウエル議長は中立姿勢を示し追加利上げ観測が完全に払しょくしなかったものの短期金融市場では追加利上げ観測が弱まりつつある。12月利上げ観測は一時50%近くに上昇したが、35%前後まで低下している。ただ、米国債相場は続落。米10年債利回りは2007年以来初めて5%を達成した。長期債利回りの上昇の要因として、議長は1)強い経済、2)財政赤字、3)QTを挙げた。米国の債務が対名目国内総生産(GDP)比で100%超えであること、FRBがもはや国債の買い手ではないこと、さらに、中国や日本も売り手となる可能性に、米国債相場は先安観が強く、長期金利が当面上昇を続ける可能性がある。
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2023/10/20 07:44
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プラチナは900ドル回復 サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
*16:57JST プラチナは900ドル回復 サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、NYプラチナについてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『プラチナは900ドル回復』と述べています。続いて、『イスラム組織ハマスとイスラエルとの戦闘は、イスラエルが「戦争」を宣言し、戦火が拡大している。地政学リスクの高まりから安全資産である「金」が買われ、先週のNY金(12月限)は、節目の1900ドルを突破し、およそ3週間ぶりの高値に上昇した。金の急伸に連れて同じ貴金属であるプラチナも上昇し、NYプラチナ(24年1月限)は900ドル台に上昇した。有事になると実物資産が買われるが、プラチナの上昇もこれに沿ったものだろう』と伝え、『しかし、今年は3年ぶりの供給不足(およそ31トン)が予想されている上に、将来の水素エネルギー需要が見込まれるため、安値圏で低迷していることは難しいだろう』と示唆しています。また、『18日に発表された中国の第3四半期国内総生産(GDP)は前年比4.9%増加した。伸び率は第2四半期の6.3%から鈍化したものの、市場予想の4.4%を上回った。前期比伸び率は1.3%となり、第2四半期改定値の0.5%から加速し、予想の1.0%を上回った。国内消費や鉱工業部門の活動も予想を上回り、一連の支援策が回復を後押ししていることを示唆した』と解説し、『景気刺激策の効果がようやく出始めたようだ。プラチナ最大の消費国である中国の経済回復を受けて需要は盛り返すことが予想される』と述べています。こうしたことから、陳さんは、『NYプラチナ(24年1月限)予想レンジは、880~930ドル』と想定しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の10月18日付「プラチナは900ドル回復」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
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2023/10/19 16:57
注目トピックス 経済総合
NYの視点:パウエルFRB議長の見解に焦点、利上げ軌道巡り
*07:39JST NYの視点:パウエルFRB議長の見解に焦点、利上げ軌道巡り
連邦準備制度理事会(FRB)が公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)では、経済活動が9月からほぼ変わらずであることが指摘された。12地区連銀が10月6日までの情報を基にセントルイス連銀が作成。消費支出は強弱まちまちで労働市場は引き続き緩和基調にある一方、価格は全般的に引き続き緩やかなペースでの上昇が継続していると指摘された。最近の講演において、12名のFRB高官が今までの大幅で急激な利上げが経済やインフレに反映、利上げが十分であるかどうかを判断する余地があると、利上げ休止を示唆。高官は、最近の強い消費関連指標にもかかわらず消費者のクレジットカードの利用、融資の不履行などから、弱い兆候も見られると慎重な見通しに転じている。タカ派として知られていたウォラー理事もインフレにおいて「進展している」との見解で、金利の上昇が利上げと同様の効果がある可能性を指摘するなど、利上げを休止を示唆。市場では11月連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策据え置きがほぼ確実視されている。ただ、中東情勢の悪化や原油高、労働市場のひっ迫が緩和しつつあるとは言え、依然強い水準。最新の小売売上高も予想を上回るなど、依然、インフレリスクが上方。パウエルFRB議長は米国時間19日にNY経済クラブで予定している講演で、インフレの進展を認めながらも、追加利上げの可能性も除外しない他のメンバーに比べ若干タカ派の姿勢を維持する可能性がある。
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2023/10/19 07:39
注目トピックス 経済総合
南アフリカランド円今週の予想(10月16日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
*17:20JST 南アフリカランド円今週の予想(10月16日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、南アフリカランド円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『今週の南アランド円は堅調に推移しそうだ』と述べています。続いて、『7日に起きたパレスチナ自治区のガザを実効支配するハマスとイスラエルとの衝突を受けて中東情勢を巡る緊迫化から、安全資産である米国債が買われ、米金利が急低下したことから、南アランドは対ドルで反発。リスク回避から南アフリカの主要産品である金やプラチナが買われたことも南アランドには好材料となった』と伝えています。また、『米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めの長期化観測や南アフリカ経済の先行きには不透明感が強いものの、冬を無事に過ごしたことで最悪期は脱したのではないか。当初は電力不足から起こる停電によって危機的な状況が訪れると見られていた』と言及しています。さらに、『南アフリカの経済状況は好転しつつあり、海外からの投資が増えている。南ア8月貿易収支は市場予想を上回る黒字幅となり、8月財政収支は市場予想を下回る赤字幅となった』と伝えています。次に、『今週は南ア8月小売売上高が発表される。今週の南アランドは経済的な結びつきの強い中国の主要経済指標(第3四半期GDP、9月鉱工業生産、9月固定資産投資、9月小売売上高、中国人民銀行の最優遇貸出金利発表)に影響されそうだ』とし、『経済指標が冴えない結果であれば、南ア経済の下振れリスクと見なされ、南アランドには売りが強まろう』と述べています。一方で、『最近の状況を見ると、中国経済は徐々に持ち直しており、悲観するほどではないだろう。また、中東情勢はイスラエルがガザ地区で地上戦を開始する可能性があり、安全資産である金が買われることが予想されるため、南アランドをサポートしよう』と考察しています。こうしたことから、陳さんは、南アフリカランド円の今週のレンジについて、『7.6円~8.0円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の10月17日付「南アフリカランド円今週の予想(10月16日)にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
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2023/10/18 17:20