注目トピックス 経済総合ニュース一覧
注目トピックス 経済総合
金、今週は5月雇用統計に注目 サンワード貿易の陳氏(山崎みほ)
*17:14JST 金、今週は5月雇用統計に注目 サンワード貿易の陳氏(山崎みほ)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター山崎みほの気になるレポートです。今回は、金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『金、今週は5月雇用統計に注目』と述べています。続いて、『先週のNY金は、経済指標が強弱入り混じる中、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ見通しみ揺れて上値の重い展開となった。5月終値は2345.80ドル。週間では0.48%高。月間では1.86%高』と伝えています。また、『5月消費者景気信頼感指数は前月から上昇し、市場予想も大きく上回った。1~3月期米実質GDP(国内総生産)改定値は速報値(1.6%増)から下方修正され、GDPの伸びは前期(3.4%増)から大幅に減速した。4月米個人消費支出(PCE)物価指数は、前年同月比2.7%上昇したが、伸び率は前月から横ばいで、市場予想と一致した』と伝え、『市場が警戒していたほどインフレ圧力が高まっていないことから、米長期金利が低下し、金相場をサポートした』と見解を述べています。次に、『今週は米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ見通しが強まり堅調に推移している。5月米製造業PMIは48.7と、前月から低下し、市場予想も下回った。4月米雇用動態調査(JOLTS)では、非農業部門の求人数が市場予想を下回り、2カ月連続の減少となった。5月ADP全米雇用報告では、非農業部門民間就業者数(季節調整済み)の前月比増加幅が市場予想を下回った』と伝えています。また、『労働需給の軟化の兆しが示されたとの見方から、市場では米連邦準備制度理事会(FRB)が9月に利下げを開始するとの観測が改めて浮上した』と言及しています。こうしたことから、陳さんは、『6月12日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されるため、今週は1日からFRBがブラックアウト期間に入った』と伝え、『7日には5月米雇用統計が発表される。非農業部門雇用者数の底堅い伸びが見込まれているが、前回4月分はいずれも弱めの結果となったため、その流れが続くかどうか注目される』と述べています。NY金の予想レンジは、『2320~2420ドル』と想定しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の6月6日付「金、今週は5月雇用統計に注目」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 山崎みほ
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2024/06/07 17:14
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NYの視点:ECBのタカ派的利下げ、FRBの早期利下げ観測には注意必要
*07:36JST NYの視点:ECBのタカ派的利下げ、FRBの早期利下げ観測には注意必要
カナダ中銀はG7諸国の中で初めて利下げを実施した。続いて欧州中央銀行(ECB)も2019年来の利下げを実施した。協調緩和の思惑も強まった。ただ、カナダ中銀は追加利下げの可能性に言及した一方、ECBは追加利下げの可能性を示唆しなかっただけでなく物価予測を2024年2.5%(2.3%)、2025年2.2%(前回2%)へそれぞれ引き上げた。来年の見通しは依然目標値2%を上回ることになり、2%回復は2026年と見ている。ラガルド総裁は利下げの理由として、インフレが目標値に達する軌道にあることを過去数カ月で政策決定当局者が強めたためだと説明。また、政策がまだ、景気抑制的であり、その度合いを緩和させただけだとした。今後の政策はデータ次第と確認。ECBの中で数人のタカ派メンバーは6月の利下げを過剰に早期の時点で公約したことは間違いだったと批判。数人のメンバーはもし、公約していなければ、据え置きを支持したことを明らかにした。ECBの6月利下げは若干強いられたものとなった可能性がある。7月の利下げの可能性は除外された。また、9月の利下げの可能性も不透明となり、今後の指標動向次第となる。米国では1-3月のインフレ改善停滞後、4月の消費者物価指数(CPI)やPCE指数でインフレ改善の進行が再開した可能性が示唆された。加えて、JOLT求人件数やADP雇用統計、週次新規失業保険申請件数の結果で労働市場の減速傾向が示唆された。7月の利下げ確率も若干上昇。ただ、米国はバイデン政権が気候変動対策や法人税増税を盛り込んだ2兆ドル規模の「インフレ削減法案」(Inflation Reduction Actinflation act)という名目で経済に資金を大量供給しており、他諸国に比べ利下げがさらに遅れると見られるため、早期の利下げを織り込むのは注意が必要と見る。
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2024/06/07 07:36
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南アフリカランド円今週の予想(6月3日)サンワード貿易の陳氏 (山崎みほ)
*16:45JST 南アフリカランド円今週の予想(6月3日)サンワード貿易の陳氏 (山崎みほ)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター山崎みほの気になるレポートです。今回は、南アフリカランド円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、南アフリカランド円について、『選挙結果を受けて、どのような政権ができるかが焦点となろう』と述べています。続いて、『5月29日投票の南アフリカ国民議会(定数400)選挙は2日、開票が終了し、与党アフリカ民族会議(ANC)は獲得議席159と、1994年の全人種参加選挙以来で初めて過半数を割った。背景には高い失業率や大きな格差、頻発する停電などを巡る国民の怒りや不満があるとみられている。ただ、第1党の座は維持した。ANCは政権維持に向け、他党との連立協議に臨むことになる』と伝えています。これに対し、『企業や海外投資家らは、ANCと第2党の民主同盟(DA)の連立政権がより好ましいとの見方をしている。ANCを離脱したズマ前大統領が率いる「民族の槍」(MK)や、急進的な「経済開放の闘士」(EEF)が連立に加われば、政治や経済の混乱が懸念されるためだ』と言及しています。次に、『南アフリカ準備銀行(中銀)は30日、政策金利を8.25%に据え置いた。金利据え置きは6会合連続。物価上昇圧力を抑えるとともに過去30年間で最も接戦となった選挙で目立つ行動を避けるため、中銀は政策姿勢を変えないだろうと見込まれていた』と伝えています。また、『今週の経済指標では、3日に発表される南ア第2四半期BER信頼感指数、14日の南ア第1四半期GDP、5日の南ア第1四半期経常収支が注目される』と述べています。南アフリカランド円の今週のレンジについては、『8.25円~8.55円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の6月4日付「南アフリカランド円今週の予想(6月3日)にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 山崎みほ
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2024/06/06 16:45
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NYの視点:米5月雇用統計で労働市場減速のさらなる証拠を模索
*07:47JST NYの視点:米5月雇用統計で労働市場減速のさらなる証拠を模索
米労働省の5月雇用統計発表を控え、雇用統計の先行指標として注目される民間部門の雇用統計であるADP雇用統計の5月分は+15.2万人だった。伸びは4月+18.8万人から鈍化し昨年11月来で最低となった。また、4月JOLT求人件数は805.9万件と、21年2月以降3年ぶり低水準となった。失業者1人に対する求人件数も1.2件と21年6月来で低水準とコロナパンデミック以前の水準に戻るなど、労働市場の減速の兆候が出始め、利下げを後押しする結果となった。ただ、雇用統計の市場エコノミスト予想では失業率が3.9%と、4月と同水準を維持する見通し。また、非農業部門雇用者数は前月比18.5万人増と、17.5万人から伸びが拡大すると予想されている。先行指標として注目される全米の製造業活動を示すISM製造業の5月雇用は51.1と昨年9月来で初めて活動の拡大を示す50を回復し、22年3月来で最高となった。米国経済は消費がけん引するため、より注視されているISM非製造業景況指数の5月雇用も47.1と、前月の45.9から上昇した。ただ、予想を下回ったほか、活動の縮小となる50を4カ月連続で割り込んだ。労働市場のひっ迫緩和基調には変わりはないと思われるが、底堅さが再表明される可能性も残る。■5月雇用先行指標●ISM製造業景況指数雇用:51.1(48.5、4月48.6)●ISM非製造業景況指数雇用:47.1(47.2、45.9)●ADP雇用統計:+15.2万人(+18.8万人)●JOLT求人:805.9万(835.5万)●新規失業保険申請件数05/25/24| 219,000| 3,000| 222,500|05/18/24| 216,000| -7,000| 220,000| 1,791,00005/11/24| 223,000| -9,000| 218,000| 1,787,000| 1.2%05/04/24| 232,000| 23,000| 215,250| 1,786,000| 1.2%04/27/24| 209,000| 1,000| 210,250| 1,781,000| 1.2%04/20/24| 208,000| -4,000| 213,500| 1,768,000| 1.2%●米雇用統計予想失業率:3.9%(3.9%)非農業部門雇用者数:18.5万人(17.5万人)
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2024/06/06 07:47
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メキシコペソ円今週の予想(6月4日) サンワード貿易の陳氏(山崎みほ)
*17:24JST メキシコペソ円今週の予想(6月4日) サンワード貿易の陳氏(山崎みほ)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター山崎みほの気になるレポートです。今回は、メキシコペソ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『メキシコペソ円は、予想通りに与党候補が勝利したことで、押し目を形成し上昇に転じよう。経済政策は、現政権の流れを引き継ぐと思われる』と述べています。続けて、『メキシコで2日午前(日本時間同日夜)、大統領選の投票が始まった。左派与党「国家再生運動(MORENA)」のクラウディア・シェインバウム前メキシコ市長(61)が、約6割の支持率を維持するロペスオブラドール大統領の人気をてこに、当選確実となった。メキシコ初の女性大統領が誕生する。次期政権は国内で横行している犯罪や多額の財政赤字への対応が急がれる』と伝えています。そして、『選挙結果を受けて、週明け3日のメキシコペソは対ドルで約4%下落した。メキシコ大統領選挙でのシェインバウム氏の圧勝を受け、連立与党が議会で圧倒的多数を確保し、エネルギー分野などでの憲法改正を推し進めるのではないかとの観測から下落した。メキシコペソは1ドル=17.7205ペソと1カ月以上ぶりの安値を付けた』と言及しています。次に、『今後の新興国債券投資は、総合的な指数型から各国を選別することになりそうだ。投資先として選好されるのは、経済がしっかり成長しているか、改革が進められているメキシコやブラジル、トルコ、インド、ポーランドなど。今後の投資家は幅広い新興国資産をパッケージ化した指数商品よりも、個別の国ごとに投資することを望んでいるという。こうした流れの中で、大規模な資金力を有する国際的な有力債券ファンドが、幾つかの重要市場に「非常に大規模な」投資を行っているという。新興国の間でも経済動向に格差が生じつつあり、さまざまな投資家が選別的な投資を好むようになってきた』と伝えています。陳さんは、『投資資金が流入しているのは経済が好調な新興国で、メキシコやインド、ベトナムがそれに適するという。いずれもインフレが抑制され、米中貿易摩擦から恩恵を受けているという共通点がある』述べています。メキシコペソ円の今週のレンジについては、『9.25円~9.55円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の6月4日付「メキシコペソ円今週の予想(6月4日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 山崎みほ
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2024/06/05 17:24
注目トピックス 経済総合
NYの視点:米4月JOLT求人件数は2021年来の低水準、過熱感の後退で利下げ観測強まる
*07:39JST NYの視点:米4月JOLT求人件数は2021年来の低水準、過熱感の後退で利下げ観測強まる
米国労働局(BLS)が発表した4月JOLT求人件数は805.9万件と、3月835.5万件から予想以上に減少し、21年2月来で最低となった。失業者1人に対する求人件数も1.2件と21年6月来で低水準とコロナ以前の水準に戻った。労働市場への労働者の自信をあらわすとされる自主退職は350.7万と、340.9万から小幅増。自主的退職率は2.2%と、変わらず。1年前の2.3%からは低下した。雇用削減率は0.9%と0.8%から上昇も前年の1.0%からは低下。ただ、採用者数は500万台半ばとコロナ期を除いて2018年1月来の低水準近くで推移しており、冴えない。JOLTの結果はBLSも認めたとおり、あくまでも想定水準であることや回答率が過去最低の3割であることから実際にはより低迷している可能性も懸念されている。アトランタ連銀の4-6月期国内総生産(GDP)予想も1.7%と、前回の2.7%から大幅下方修正されるなど、景気減速で、9月の利下げを織り込む動きも再燃した。■4月労働市場ダッシュボード求人件数:4.8%(3月5.3%、2023年6.0%)採用率:3.6%(3.6%、3.8%)自主的退職率:2.2%(2.2%、2.3%)雇用削減率:0.9%(0.8%、1.0%)失業率:3.9%(3.8%)不完全雇用率(U6):7.2%(7.1%)非農業部門雇用者数:+17.5万人(+31.5万人)平均時給:前月比+0.2%、前年比+3.9%(+0.3%、+4.1%)
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2024/06/05 07:39
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軍事演習への断固たる対応。平和に向けた両岸協力の呼びかけ【中国問題グローバル研究所】
*16:15JST 軍事演習への断固たる対応。平和に向けた両岸協力の呼びかけ【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している陳建甫博士の考察をお届けする。中国人民解放軍東部戦区が先ごろ、台湾周辺で2日間にわたり軍事演習を行った。それを受け、台湾の頼清徳総統は5月26日、台湾自治島周辺で軍事演習があったとはいえ、依然として中国と協力する気概があると述べた。頼総統は交流と協力を通じて台中間で相互理解と寛容さ、融和を促進し、双方にとって有益な状況を作り出し、共に平和と繁栄に向かうことを期待している。軍事演習の背後にある思惑中国人民解放軍の「連合利剣」演習は2022年に比べ規模が縮小され、期間も短縮された。その最大の理由は、2022年の軍事演習の範囲があまりにも広すぎたため、すでに緊張状態にあった日中関係をさらに悪化させるなど、国際社会の関心を広く集めてしまったことにある。中国共産党(CCP)も、演習活動がフィリピン北部にある米軍レーダー基地に察知されれば、戦略的展開に影響を及ぼすことを危惧した。その前回の演習ではCCPの発射したミサイルが仮想敵となり、第一列島線にある米国、台湾、フィリピン、日本のレーダー基地の共同戦闘能力を試すことになった。この演習を通じ、関係者はCCPが発射した11発のミサイルの位置とパラメータに関する貴重なインテリジェンス情報を収集し、今後の防衛・対応措置の参考となる貴重なデータを得た。国際社会の反応中国の軍事演習を受けて、国際社会は台湾海峡の状況に懸念と支持を表明した。米国は5月20日時点で航空母艦4隻を海外に展開し、中東、日本、シンガポールにそれぞれアイゼンハワー、レーガン、ルーズベルトを駐留させるとともに、リンカーンを東太平洋地域に向かわせていた。他にもUSSアメリカ(LHA-6)が佐世保に配備されている。これらの展開・配備はアジア太平洋地域における米国の強力な軍事プレゼンスと同地域の安全保障状況に対する強い関心を如実に物語っている。この間、バイデン米大統領はウェストポイント陸軍士官学校で演説を行い、同盟国の利益と地域の安全保障に対する揺るぎないコミットメントを強調し、米国は引き続き同盟国およびパートナー国と協力してインド太平洋地域の平和と安定を確保すると述べた。これは台湾を強く支持するだけでなく、地域の安全保障体制全体を再確認する発言である。頼清徳総統は演説の中で、バイデン米大統領と米国政府・議会、そして世界各国による、台湾海峡での平和と安定に対する確固たる支持に感謝の意を表明した。同総統は5月20日の就任演説において、台湾海峡の平和と安定は世界の安全保障と繁栄に不可欠な要素であると述べた。台湾海峡に波風を立て、地域の安定に影響を及ぼすいかなる国も、国際社会の抵抗と反発を受けるだろう。同総統は「台湾は国際社会の支援、特に米国の断固たる姿勢に感謝する。我々は進んで地域の安定を維持する責任を共同で担い、地域の平和に取り組むすべての国々と協力する」と強調した。両岸間の交流と協力の可能性台中の間には政治的・経済的・軍事的違いがあるとはいえ、交流と協力を通じて相互理解と寛容さを深めることが平和と繁栄の実現への重要な道筋であることに変わりはない。頼清徳総統は、平等と相互利益の原則の下で中国本土と交流・協力し、地域の安定と発展に貢献する用意があることを強調した。これは台中両国の国民の共通の利益にかなうだけでなく、アジア太平洋地域の平和と安定の維持にも寄与する。頼総統はまた、中国本土と台湾が地域の安定を維持する重責を共同で担うことも呼びかけた。同総統は、両岸間の交流と協力を通じて両国が理解を深め、相互信頼を高め、双方にとって有益な状況を醸成し、平和と繁栄に向かって共に歩むことを期待している。中国の「小粉紅」の反応今回の軍事演習は、いわゆる「統一」スピーチをネット上で精力的に展開してきた中国の一部ナショナリスト(通称「小粉紅」)の理性的とは言いがたい反応を国内で引き起こしているとはいえ、演習の終了が中国による台湾占領を意味するものではないことを明確に述べておかなければならない。台湾は依然として自由と自治を維持している。さらに、台湾のアーティストに対して、統一への支持を明確に示し台湾の独立に反対するよう求めるネット上の圧力には、常に分別と寛大さをもって対応していかなければならない。台湾人には、たとえ相手が統一に支持を表明したり、中国籍であったりしても、そのアーティストを応援し、好きになる権利がある。台湾は自由国家であるため、こうしたアーティストが自らの発言を理由に台湾で権利の行使を禁じられることはない。これとは対照的に、中国ではアーティストが統一に支持を表明しないと弾圧を受けることが多い。このような差は、言論の自由とアーティストの権利の保護における両岸間の考えの違いを示している。平和的協力の呼びかけに対して予想される中国の反応頼総統からの平和的協力の呼びかけを受けて、中国は外交的措置や経済的措置を含めたさまざまな非軍事的措置を講じる可能性がある。外交面では、中国は台湾との市民交流や民間のコミュニケーションルートを強化し、ソフトパワーを通じて台湾世論に影響を与えようとするかもしれない。加えて、より多くの両岸経済協力プロジェクトを進め、台中間の緊張緩和と経済相互依存の強化を図る可能性もある。経済分野では、中国は台湾企業・製品による市場アクセスを緩和し、台中間の貿易と投資を促進し、経済的利益を接点として両岸関係の改善を推し進めるかもしれない。同時に、RCEPなど地域経済協力の枠組みを利用して、より多くの協力機会を提供し、台湾を引き込み、地域経済統合のプロセスに参加させることも考えられる。だが、それでも将来の両岸関係は非軍事的衝突のリスクに直面するおそれがある。中国は、台湾が海峡両岸経済協力枠組取り決め(ECFA)の精神に反し、中国製品に貿易障壁を設けているとして、世界貿易機関(WTO)に提訴するかもしれない。こうした経済対立が国際貿易の場での台中間の緊張を高め、両岸関係の不確実性が増す可能性がある。まとめ絶えず変化する複雑な国際情勢に直面する今、台湾と中国は、平和的共存を基本とし、対話と協力を通じて互いの相違を解決し、相互信頼を高め、平和と繁栄に向かって共に歩むべきである。定期的に接触をするための外交ルートの確立や両岸協議の再開、信頼醸成策の着手などを具体的に進めることで、建設的な対話の道を開くことができるだろう。貿易協定や投資パートナーシップ、共同開発プロジェクトなどの経済連携イニシアチブは、経済成長や雇用創出、技術の進歩の面で相互の利益となる。さらに、文化交流や教育プログラム、人と人との交流で、台中間の理解と友好を育むことができる。対話と協力を促進することで、台湾と中国は共通の課題に対処し、発展機会をつかむことができる。経済成長や文化交流、地域の安定など、連携がもたらす潜在的メリットを強調することが不可欠である。経済協力が繁栄の共有につながり、また文化交流が両国の社会の多様性を高めることが期待できる。さらに、交流と相互理解の深まりは、地域の紛争の平和的な解決と衝突の防止に寄与しうる。頼総統の演説は、台湾が抱く平和への期待を表すだけでなく、両岸関係の今後の動向に関する新たな考え方と方向性も示している。相互尊重と平等、相互利益を原則とすることで、台湾と中国はアジア太平洋地域にとどまらない永続的な平和と繁栄の土台を築くことができる。協力と連携なくして、両国が違いを乗り越え、安定と繁栄という共有ビジョンに向けて取り組むことはできない。写真:台湾周辺で中国軍が軍事演習開始(※1)https://grici.or.jp/
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2024/06/04 16:15
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NYの視点:米5月ISM製造業景況指数は2カ月連続の活動縮小、需要弱く
*07:44JST NYの視点:米5月ISM製造業景況指数は2カ月連続の活動縮小、需要弱く
全米供給管理協会(ISM)が発表した5月ISM製造業景況指数は48.7と、4月49.2から上昇予想に反し低下し、2月来で最低となった。2カ月連続の50割れで活動縮小となった。重要項目の新規受注は45.4と4月から上昇予想に反し低下し、やはり2カ月連続の50割れで23年5月以降1年ぶりの低水準となったことが指数を押し下げた。また、支払い価格は22年6月以降で最高となった60.9から57へ低下した。ただ、活動の拡大を示す50を5カ月連続で上回った。雇用は51.1と、予想外に昨年9月来で初めて活動の拡大域を回復。22年3月来で最高となった。供給の改善が停滞する中、需要が弱く、企業は在庫処理を優先、製造活動が弱まった。これにより価格の伸びも緩やかなペースにとどまり、潜在的に「物」のコアインフレを新たに抑制すると指摘されている。■米5月ISM製造業景況指数:48.7(4月49.2)仕入れ価格:57.0(60.9)生産:50.2(51.3)新規受注:45.4(49.1)受注残:42.4(45.4)入荷遅延:48.9(48.9)在庫:47.9(48.2)雇用:51.1(48.6)輸出:50.6(48.7)アトランタ連銀の4-6月期国内総生産(GDP)成長見通しは1.8%と、5月31日時点の2.7%から大きく下方修正された。実質個人消費支出や民間居住投資の伸びが1.8%、1.5%とそれぞれ2.6%、3.1%から低下した。4月に入り、インフレ圧力の軟化や景気の減速の証拠が見られ、年内の利下げを後押しする結果が目立つ。短期金融市場は11月の利下げを100%織り込んだ。
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2024/06/04 07:44
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頼総統の就任演説が示す台湾の今後の道筋と中国からの反応【中国問題グローバル研究所】
*16:07JST 頼総統の就任演説が示す台湾の今後の道筋と中国からの反応【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している陳建甫博士の考察をお届けする。頼総統の描く展望 ― 繁栄・民主主義・国際的地位の確立へ5月20日の頼清徳(らい・せいとく)台湾総統の就任演説は台湾の未来に向けた構想を示すものとなり、台湾にさらなる繫栄、民主化、自由をもたらすとともに、国際社会で確固たる地位を築くことを約束した。その焦点は、歴代総統との比較でも、中国や米国に向けた声明でもなく、あるいは中国が言う「成績表の未完部分」への回答でもなかった。そこで掲げられていたのは、台湾の独自性、人民の権利、そして国のこれからの発展方向であり、演説は台湾の人々を団結させ国の未来のために協力を促すものだった。これまでも、台湾総統の就任演説の内容が事前にリークされ、上層レベルの仲介者を通じて台湾海峡対岸の関係者に届けられているという噂がまことしやかに囁かれていた。頼総統の演説も例外ではなく、中国と米国の双方が事前に内容を把握していたとの憶測もある。しかし実際に頼総統が行った演説は事前情報とは大きく異なり、海峡両岸の高官の中には落胆や不安を覚える者も出るなど、緊張の高まりをうかがわせるものとなった。演説の中で頼総統は「1992年コンセンサス」、「一つの中国、異なる解釈」もしくは「一つの中国」といった、歴史的に両岸関係に影響を及ぼしてきた用語の使用を避けた。だが、いかなる言葉を使ったとしても、中国共産党が不満を示す可能性が消えるはずもなく、台湾は自らの立場を明確に主張する必要性を示すことになった。頼総統は従来のアプローチから脱却し、中国政府との宥和よりも台湾の主権と民主的価値を優先させる方向へと戦略的転換を行うことになった。ここでの戦略的転換とは、中国本土とは明らかに異なる国家意識を持つ台湾の市民が増えている状況を踏まえ、台湾社会で広く共有されている感情を汲んだものだ。主権と民主主義の原則を強調する頼総統の姿勢は、1つの政治的な姿勢としてだけでなく、台湾が独自の理念と願望を持つ活力ある民主主義国家へと進化していることをも映し出している。政治的変化の中で、中国共産党は軍事作戦の実施により優位性を誇示中国共産党は頼総統の就任演説と台湾独立派の脅威を受け、「共同剣2024A」軍事演習を実施した。軍事演習は中国共産党がよく使う手段であるが、こうした演習の規模やロケーションは、台湾海峡における中国の戦略的利益を主張する目的に沿うよう計算された上で設定される。2022年のナンシー・ペロシ米下院議長訪台後に実施された演習など、これまでの軍事演習と比べると、今回の共同剣2024A演習は、台湾東部や離島までを含むより広い地域を網羅するものとなった。今回の演習領域拡大は、中国共産党が力を誇示し、台湾を威嚇せんとする意図を強調するものであり、軍事専門家の間では、偶発的な衝突や地域の不安定化といったリスクへの懸念が高まっている。中国共産党はこうした演習を通じて恐怖と不安を植え付けようとしてきたが、台湾国内がこれにひるむ様子を見せることはなかった。台北証券取引所はパニック反応よりもむしろ市場の強靭さを示し、軍事的姿勢の誇示に慣れた台湾市民の成熟ぶりと適応力の高さが見て取れた。このことは、台湾社会がプロパガンダと現実の区別に習熟していくにつれて、台湾の国民感情に影響を与えようとする中国共産党の試みが、今後さらに実を結びにくくなる可能性を示唆している。その一方で両岸関係の対立が長期化していることが、この地域の和解と安定にとっての課題となっている。中国共産党は対外プロパガンダから国内向けプロパガンダに軸足を移し、経済的課題から台湾への制裁に注意をそらそうとしており、台湾に対して主導権を維持し、己の権威を主張していくという中国共産党の強い意思が感じられる。だが台湾国民が中国側の戦術に動じることなく株式市場も底堅く推移するとなれば、中国共産党は己の力を誇示し統一を声高に主張する手段として、より頻繁な軍事演習に打って出るかもしれない。こういった複雑な状況を乗り切るには、台湾が防衛力を高め国際的なパートナーとの協力を強化しながら、断固たる姿勢を維持することが不可欠となる。外圧を受けてもなお強靭さを示し、民主的価値観と主権を堅持する方針を改めて明確に示すことで、台湾は中国共産党の軍事行動による影響を緩和し、台湾海峡における利益を守ることができるだろう。分断し統治せよ ― 台湾の団結切り崩しを目論む中国共産党の戦術中国共産党による台湾の内部分裂戦略は、既存の政治的・社会的断層線を巧みに利用して台湾の統一と主権を切り崩そうというものである。台湾立法院による最近の法的措置や外部団体との対立などは、台湾社会に不和をもたらし己の政治的影響力を行使せんとして中国共産党が意図的に行った作戦と見られている。ロシアによるクリミア併合など、他の国際的状況とも類似性を感じさせる中国共産党の戦術は、台湾に存在する民族的、政治的、社会的亀裂に乗じて地政学的目標を達成しようとするものだ。中国共産党は自身の行動計画に同調する特定の政治派閥や利益団体を支援することで、台湾の政治状況に亀裂を生じさせ、外部からの強制への抵抗力を削ごうとしている。中国共産党の戦略が目に見える形となった例の1つが、親中派の政治家や組織に対する秘密裏の支援である。これは台湾の政治的方向性を形成し、世論に影響を与えることを狙ったものだ。他にも、中国共産党はメディアやオンラインプラットフォームを利用してプロパガンダを流布し、不信感を煽ることによって台湾社会内部の分裂を悪化させている。内部分裂は台湾に甚大な悪影響をもたらし、台湾の政治的安定と民主主義的制度に重大な課題を突きつけている。台湾が外部からの分裂の企てに耐え抜くためには、政治的・社会的結束の強化が不可欠となる。そのためには台湾政府、諸政党、市民社会組織が対話と協力を通じて内部紛争に対処し、社会の連帯を強化し、外部からの工作にも折れない強靭さを得るための協調的な努力が必要だ。台湾が外部からの干渉にもしぶとく耐えられるかどうかは、分裂を促す戦術に対抗するための統一戦線を張れるか否かにかかっている。市民社会組織、報道機関、草の根運動は、外部からの操作に抵抗して台湾の民主主義的制度を守る上で極めて重要な役割を果たしている。そして台湾の主権を強化し、外部からの強要にも折れない強靭さを高めるためには、志を同じくする国々からの国際的な支持と連帯もまた不可欠である。内部の結束を強め、強固な国際的パートナーシップを結ぶことで、台湾は中国共産党の内部分裂戦略にも巧みに耐え抜き、変化を続ける地域ダイナミクスにあって台湾の自治と民主的価値観を守り抜くことができるだろう。求められるバランス感覚 ― 国際的注目が高まる中で習近平氏が抱えるジレンマ習近平氏にとっては、国際的な対中制裁リスクの存在によって、台湾に向けた今後の軍事行動をめぐる算段の難易度がさらに上がっている。日米軍事同盟による介入を招く危険性に加え、厳しい国際制裁を課される可能性もあり、中国にとってその影響は経済面でも政治面でも広範囲に及ぶおそれがある。近年、中国による人権侵害、領土問題、南シナ海での強引な行動に対して世界の関心がさらに高まっている。こうした問題は中国の国際的評判を落とし、外交関係を緊張させ、抑止と責任追求の手段として国際的制裁発動の懸念が増している。習近平氏にしてみれば、国際的制裁が視野に入ったことで、国内の安定と国際的圧力との間で微妙なバランス感覚が求められることになった。米国や日本などの国々からの強い反発は、国際的制裁の脅威とも相まって、中国経済のみならず国内における習近平氏の政治的正統性にとっても不吉なものとなりかねないからである。また、台湾海峡における中国の行動に対する国際社会からの反応も極めて重要である。台湾が中国共産党からの圧力に耐え抜くためには、米国や日本などの国々からの支持が不可欠だ。ただし、国際的な対中制裁措置の発動は両岸関係をさらに複雑なものとし、緊張の度合いを高めることによって平和的解決の見通しを損なう可能性がある。こうした難局を乗り切るには、すべての関係者が自制し、外交的関与を優先させることが大前提となる。対話と協力を促し、状況をエスカレートさせるリスクを軽減し、国際法と人権の原則を守ることによって、国際社会は台湾海峡の平和と安定の促進に建設的な役割を果たせることだろう。前進あるのみ ― 海峡両岸のダイナミクスにおける台湾の戦略的重要課題両岸関係の展望について考える上で、台湾海峡を取り巻く複雑なダイナミクスの荒波を乗り切るべく台湾が採用している戦略的アプローチに目を向けないわけにはいかない。中国共産党からの圧力が強まる中、頼総統政権は台湾の主権と民主的価値観を守りつつ安定と安全を維持するという難題に直面している。頼総統政権が最優先で行うべきは、党派を超えた協力関係と合意の形成を通じて政治的分裂を融和させ、台湾内の社会的結束を強化することだ。対外的な圧力に対抗して台湾の利益を守るためにも、国民党や台湾民衆党などの野党との建設的な対話が不可欠である。また、台湾は主権を明確に主張して、国際的な支持を積極的に求めていかなくてはならない。米国や日本などの重要なパートナーとの同盟関係を強化し、防衛力を高め、外交的な活動範囲を拡大していくことが、中国共産党の侵略に対抗して台湾の自治を守るためにも極めて重要である。台湾の進むべき道は、信念を持って主張するという態度を維持し、中国共産党が投げかける無数の難題に確固たる決意と万全の準備をもって対処しつつも、中国との対話にも前向きであり続けるというものだろう。国際社会との結びつきを強めながら対話の機会も逃さない、そうした姿勢によって、台湾は主権と安全保障に資するような両岸関係を形成しながら、自身の地位と影響力を高めていけるだろう。台湾が外部からの干渉にもしぶとく耐えられるかどうかは、分裂を促す戦術に対抗するための統一戦線を張れるか否かにかかっている。市民社会組織、報道機関、草の根運動は、外部からの操作に抵抗して台湾の民主主義的制度を守る上で極めて重要な役割を果たしている。そして台湾の主権を強化し、外部からの強要にも折れない強靭さを高めるためには、志を同じくする国々からの国際的な支持と連帯もまた不可欠である。内部の結束を強め、強固な国際的パートナーシップを結ぶことで、台湾は中国共産党の内部分裂戦略にも巧みに耐え抜き、変化を続ける地域ダイナミクスにあって台湾の自治と民主的価値観を守り抜くことができるだろう。写真:台湾、頼清徳総統が就任(※1)https://grici.or.jp/
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2024/06/03 16:07
注目トピックス 経済総合
NYの視点:【今週の注目イベント】ECB、加中銀、米ISMや雇用統計、OPECプラス
*07:39JST NYの視点:【今週の注目イベント】ECB、加中銀、米ISMや雇用統計、OPECプラス
今週は欧州中央銀行(ECB)が定例理事会を予定しているほか、カナダ中銀は金融政策決定会合を予定している。米国ではISM製造業、非製造業景況指数、JOLT求人件数、米雇用統計など重要経済指標に注目。FRBは6月11日、12日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、ブラックアウト期間入りするため、高官の講演やイベントは予定されていない。ECBはこの会合で0.25%の利下げを開始すると見られている。会合を前に発表されたユーロ圏5月消費者物価コア指数速報値は予想外に加速。一部では利下げの可能性に不透明感が広がった。センテノ・ポルトガル中銀総裁は「5月インフレの加速は、見通しを若干上回る程度」と述べており、ECBが計画通り利下げに踏み切る可能性を示唆した。独連銀のナーゲル総裁などは、6月に利下げしたあとも景気動向次第で判断し、2回目の利下げが9月ごろになると利下げペースに慎重な姿勢を見せた。ラガルド総裁会見で利下げペースを探ることになる。同時に予想外に利下げを見送った場合はユーロ買いが加速すると見る。カナダ中銀も会合で利下げに踏み切る見通し。同時に、カナダの第1四半期国内総生産(GDP)で成長が底堅いことが確認されており、万が一利下げが見送られるとカナダドル買いが強まると予想される。豪準備銀やNZ準備銀は直近の会合で、インフレ鈍化が進まず利上げの可能性にも言及した。米5月雇用統計で失業率は3.9%と4月と同水準を維持する見込みで、非農業部門雇用者数は19万増が予想されており、労働市場の底堅さが証明される見通し。一部の連邦準備制度理事会(FRB)高官は現在の政策が十分に景気抑制的であるかどうかに懐疑的見解を示し始めていたが、4月消費者物価指数(CPI)に続きコア価格指数で少なくともインフレが再燃していないことが証明されたため追加利上げリスクは低下した。ただ、PCEコア価格指数は前年比で2.8%と依然2%を上回っており、FRBが特に注視している住宅を除いたコア指数もあまり変化なく、高金利をより長く維持する必要性が強まっていることは確かか。■今週の主な注目イベント●米国3日:建設支出、ISM製造業景況指数4日:製造業受注、JOLT求人件数5日:ISM非製造業景況指数6日:週次失業保険申請件数、貿易収支、非農業部門労働生産性7日:米雇用統計、卸売り在庫●英国3日:製造業PMI●欧州3日:ユーロ圏、独・仏製造業PMI4日:独失業率6日:ユーロ圏小売売上高、独工場受注、欧州中央銀行(ECB)定例理事会、ラガルドECB総裁会見7日:ユーロ圏GDP、独鉱工業生産、ナーゲル独連銀総裁、ショナーベル理事が講演●中国3日:財新製造業PMI5日:財新サービス業PMI7日:貿易収支、外貨準備●日本7日:家計支出
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2024/06/03 07:39
注目トピックス 経済総合
欧米の注目経済指標:ECBは0.25ポイントの利下げ決定へ
*13:54JST 欧米の注目経済指標:ECBは0.25ポイントの利下げ決定へ
6月3日-7日に発表予定の経済指標の予想については以下の通り。■3日(月)午後11時発表予定○(米)5月ISM製造業景況指数-予想は49.6参考となる4月実績は49.2。新規受注指数と生産指数の低下が要因。5月については4月時点の新規受注指数が50を下回っていることから、大幅な改善は期待できない。そのため、4月に続いて節目の50を下回る可能性がある。■6日(木)午後9時15分発表予定○(欧)欧州中央銀行(ECB)理事会-予想は0.25ポイントの利下げ理事会の複数のメンバーが6月利下げを想定しており、0.25ポイント幅の利下げ実施が決定される見込み。ただ、7月以降についてはデータ次第との見方が多く、年内の追加利下げは1回にとどまる可能性がある。■6日(木)午後9時30分発表予定○(米)4月貿易収支-予想は-696億ドル3月は消費財と資本財の輸入額は増加。一方、財の輸出は伸び悩んだ。4月については資本財の輸入額は減少しないと予想されており、財の輸出額が急増する可能性は低いことから、貿易赤字は3月並みの水準となる見込み。■7日(金)午後9時30分発表予定○(米)5月雇用統計-予想は非農業部門雇用者数が前月比+18万人、失業率は3.9%非農業部門雇用者数が4月実績をやや上回る可能性があるものの、労働参加率はやや上昇する可能性があるため、失業率は4月実績と同水準となる可能性が高いと予想されます。○その他の主な経済指標の発表予定・5日(水):(米)5月ADP雇用統計、5月ISM非製造業景況指数、(加)カナダ中央銀行政策金利発表・7日(金):(中)5月貿易収支、(欧)1-3月期ユーロ圏域内総生産確報値
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2024/06/01 13:54
注目トピックス 経済総合
NYの視点:米4月PCEコア価格指数でインフレ鈍化進展動向を探る、インフレ巡る不透明感多く
*07:45JST NYの視点:米4月PCEコア価格指数でインフレ鈍化進展動向を探る、インフレ巡る不透明感多く
米4月PCEコア価格指数で、インフレ鈍化の進展が再開したことを確認できるかに注目が集まる。米国のインフレ動向を判断するうえでの重要指標で、FRBがインフレ指標として特に注目しているため、年内の利下げ時期を判断していく上で重要。1-3月期の消費者物価指数(CPI)でインフレ改善に進展が見られず、FRB高官は可能性は少ないが、利上げも除外しない考えを示した。4月CPIでようやく鈍化基調が再開、PPIは予想を上回ったったがその項目で、PCE価格指数の算出にも使われる外来医療費は0.1%、航空運賃は3.8%それぞれ低下しており、PCEもCPIと同様に、インフレ鈍化の進展再開が示唆されると期待される。ただ、インフレ鈍化の進展ペースは依然遅く、また、FRBが昨日公表したベージュブックの中で、特に保険など、支払い価格の上昇が指摘されており、短期的にはインフレの緩やかな上昇継続が予想されている。JPモルガンのダイモン最高経営責任者(CEO)は政策金利が6%に達する可能性やスタグフレーションを警告。インフレを巡り、前回の連邦公開市場委員会(FOMC)でも指摘されていた通り、いまだに多くの不透明性が存続している。NY連銀のダドリー前総裁はインフレ抑制を巡り金利が十分に高くない可能性に言及。今後のインフレ動向次第では、追加利上げの可能性も除外できない。
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2024/05/31 07:45
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プラチナは年初高値を更新 サンワード貿易の陳氏(山崎みほ)
*16:46JST プラチナは年初高値を更新 サンワード貿易の陳氏(山崎みほ)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター山崎みほの気になるレポートです。今回は、NYプラチナについてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『プラチナは年初高値を更新』と述べています。続けて、『先週は週初めに地政学リスクの懸念から金が急騰したのに連れて、プラチナも1105ドルと年初来の高値を更新した。その後は、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ見通しが後退したことから軟化したが、1000ドルの大台は維持された。OSEプラチナも5000円の大台が維持された』と伝えています。陳さんは、『プラチナは供給不足の懸念が支援要因だろう』と考察しています。次に、『英精錬大手ジョンソン・マッセイは最新の報告書で、今年の白金市場は過去10年で最大の供給不安に陥っていると明らかにした。前年に高水準を保っていたロシアからの輸出が平年の水準まで減少したことや、工業用の底堅い需要が背景にある』とし、『ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)も、今年の白金供給不足が市場予想を上回るとの見通しを明らかにした』と伝えています。また、『プラチナの需給逼迫懸念に加え、銅やアルミ等の産業用非鉄金属価格が上昇したことも支援要因となったようだ。特に銅は、電気自動車(EV)や自動化、人工知能などの成長分野による消費が供給を上回るとみられ、1万1100ドル超と、史上最高値を記録した』と見解を述べています。今週のNYプラチナのレンジについては、『1020~1150ドル』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の5月29日付「プラチナは年初高値を更新」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 山崎みほ
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2024/05/30 16:46
注目トピックス 経済総合
NYの視点:ベージュブックも政策据え置きを後押し
*07:38JST NYの視点:ベージュブックも政策据え置きを後押し
連邦準備制度理事会(FRB)はダラス連銀が4月初旬から5月中旬の情報をもとにまとめた米地区連銀経済報告(ベージュブック)を発表した。12地区のうち10地区がわずかまたは緩慢な成長を報告、2地区が横ばいを報告するなど、景気の底堅さが確認された。一方で、消費の勢いが鈍化している可能性も示唆されており、今後のサービスインフレの緩和にもつながる可能性もある。物価の高騰で、消費者が価格に敏感となり、裁量的支出を抑えていることが明らかになった。小売は消費者を引き付けるための割引を提示。自動車販売でも、一部のメーカーは顧客を引き付けるためのインセンティブを提示していることが明らかになった。また、見通しで不透明感が多く、下方リスクを警戒し、「いくらか悲観的」と指摘されている。消費の鈍化が具体化すればFRBの利下げの見通しがつく可能性がある。ただ、物価は、「緩やかなペースで上昇、継続を予想」と報告されている。一部の建設や製造業の原材料は下落が報告されているが、特に保険など、支払い価格の上昇が指摘されており、短期的には緩やかな上昇予想が報告された。結果は連邦準備制度理事会(FRB)が次回の連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策を発表するうえで参考材料となるが、政策据え置きを後押しすると見られる。JPモルガン銀のダイモン最高経営責任者(CEO)は政策金利が6%まで上昇する可能性に言及したほか、スタグフレーション入りする確率が現在予想されている以上に高いと警告した。・米地区連銀経済報告(ベージュブック)■経済「経済活動は拡大、ほとんどの地区でわずかまたは緩慢な成長。2地区は横ばい」「小売は裁量的支出の減少を示唆。消費者は価格に敏感」「自動車販売はおおよそ横ばい。一部のメーカーはインセンティブを提示」「旅行関連は強まった。レジャー関連の夏に向けた見通しは強弱まちまち」「非金融サービスの需要は増加、交通関連は様々」「製造業は横ばいか、拡大。2地区が鈍化を報告」「与信基準の強化や高金利で貸し出しの伸びが抑制」「商業用不動産の需要は弱まった」「住宅需要は緩やかに上昇。一戸建て建設は増加」「商業用不動産の状況は弱まった」「不透明性の上昇や下方リスクの上昇で見通しはいくらか悲観的」●雇用「雇用は緩慢に増加」「賃金の伸びは緩やか。一部地区ではパンデミック前の水準に正常化したと報告」●物価「物価は緩やかなペースで上昇、継続を予想」「小売は消費者を誘導するための割引を提示」「支払い価格が引き続き上昇、特に保険。一部の建設や製造業の原材料は下落が見られる」「短期的には緩やかな上昇が予想される」
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2024/05/30 07:38
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南アフリカランド円今週の予想(5月27日)サンワード貿易の陳氏 (山崎みほ)
*16:45JST 南アフリカランド円今週の予想(5月27日)サンワード貿易の陳氏 (山崎みほ)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター山崎みほの気になるレポートです。今回は、南アフリカランド円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、南アフリカランド円について、『急上昇後の押し目形成になりそうだ』と述べています。続いて、『先週発表された経済指標は弱い内容だった。南ア3月景気先行指数は110.4と前回の112.5から低下、南ア4月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.3%と予想の+0.4%を下回った。コア指数も市場予想を下回り、南アフリカ中銀の利下げ観測が再燃した』と伝えています。また、『米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、「一部の当局者は長期金利がこれまで考えられていたよりも高くなる可能性があると認識」、「数人の当局者は必要ならさらなる引き締めに意欲」等と予想以上にタカ派的な内容で、ドル高が進んだことも、南アランドを押し下げた。金やプラチナ価格の大幅下落も重石となった』とし、『ただ、南アフリカ経済の復調に期待感があることや、金利差面から南アランド買い・円売りが優勢なことから、下値は限定的だった』と解説しています。今週は、29日に南アフリカ総選挙が行われ、30日には南アフリカ中銀会合が開かれます。陳さんは、『重要なイベントが2つもあるため、様子見が強まろう。南アフリカ準備銀行(中央銀行)会合では、政策金利の据え置きが見込まれている』と言及しています。南アフリカランド円の今週のレンジについては、『8.40円~8.65円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の5月28日付「南アフリカランド円今週の予想(5月27日)にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 山崎みほ
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2024/05/29 16:45
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NYの視点:米5月消費者信頼感指数は4カ月ぶり上昇もインフレ期待が上昇、労働市場への自信も後退
*07:45JST NYの視点:米5月消費者信頼感指数は4カ月ぶり上昇もインフレ期待が上昇、労働市場への自信も後退
コンファレンスボードが発表した米5月消費者信頼感指数は102と、4月97.5から低下予想に反し、上昇した。現況は143.1と、4月140.6から上昇。期待も74.6と、2月来の高水準となった。また、今後12カ月先のインフレ期待も平均値で5.4%、中間値でも4.4%とそれぞれ昨年12月来で最高に達したことは、インフレが今後も高止まりする可能性を示唆し、連邦準備制度理事会(FRB)にとり懸念材料となる。一方で、労働市場への雇用者の自信が後退しつつある証拠も見られ、FRBにとり朗報となる。雇用が十分との回答は37.5%で38.4%から低下した。一方で、不十分は49.0と、46.1から大幅上昇。ただ、「職を得るのが困難」との回答は13.5%で、4月15.5%から低下した。また、消費者は今後12カ月に景気後退に陥る可能性がいくらかある、かなり可能性があると回答したのは、69%と、景気に慎重な姿勢が表れた。■米5月消費者信頼感指数:102(4月97.5)現況:143.1(4月140.6)、期待:74.6、2月来の高水準●今後12カ月先のインフレ期待平均:5.4%(4月5.3%)中間:4.4%(4.3%)、年初来で最高●今後12カ月に景気後退に陥る可能性:69%●ビジネス状況良好:20.3(20.8)悪い:17.6(17.6)正常:62.1(61.6)6か月先改善:13.3(13.4)悪化:16.8(19.1)変わらず:69.9(67.5)●雇用雇用が十分と雇用を得るのが困難の差24.0(22.9)十分:37.5(38.4)不十分:49.0(46.1)職を得るのが困難:13.5(15.5)6か月先増加:12.6(12.3)減少:18.2(19.8)不変:69.2(67.9)所得増加:16.9(16.8)減少:11.0(14.0)不変:72.1(69.2)
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2024/05/29 07:45
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NYの視点:【今週の注目イベント】米ベージュブック、PCEコア、米国債入札、ユーロ圏・東京都CPIなど
*07:39JST NYの視点:【今週の注目イベント】米ベージュブック、PCEコア、米国債入札、ユーロ圏・東京都CPIなど
今週は米国の1-3月期GDP改定値、4月米個人消費支出(PCE)コア価格指数に注目が集まる。そのほか、連邦準備制度理事会(FRB)が次回の連邦公開市場委員会(FOMC)で参考材料とする地区連銀報告書(ベージュブック)を公表予定で注目材料となる。FRBは4月30日、5月1日にかけて開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で現行の金利を当面維持する姿勢を示した。様々なメンバーが必要とあれば追加利上げにも前向きな姿勢を見せているため、次回6月会合では据え置きが確実視されている。利下げの可能性を探るためFRBがインフレ指標として重要視しているPCEコアに注目される。予想では、前月比での伸び率が年初来の最低水準に鈍化した可能性が高いと見られている。想定通りとなると、年内の利下げ軌道が確認され、ドル売り材料となる。一方、米財務省が入札を予定しており米国債相場の上値を抑制することになる可能性が強い。そのほか、ユーロ圏と東京都区部の消費者物価指数(CPI)にも注目される。■今週の主な注目イベント●米国27日:メモリアルデー休日28日:消費者信頼感指数、メスター米クリーブランド連銀総裁が東京で日銀主催イベントで講演、カシュカリ米ミネアポリス連銀総がECBのクノット理事と講演29日:FRB、ベージュブック公表、ウィリアムズ米NY連銀総裁がイベント参加30日:週次新規失業保険申請件数、1-3月期GDP改定値、ウィリアムズ米NY連銀総裁講演、ローガン米ダラス連銀総裁が講演31日:コアPCE価格指数●中国27日:鉱工業生産、独IFO31日:製造業、非製造業PMI●英国27日:金融市場休場、バンクホリデー●欧州27日:ECB、チーフエコノミストレーン理事、講演29日:独CPI30日:ユーロ圏経済信頼感、失業率、消費者信頼感指数31日:ユーロ圏CPI●日本31日:失業率、東京CPI、鉱工業生産、小売
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2024/05/27 07:39
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欧米の注目経済指標:ユーロ圏インフレ率は高止まりの可能性も
*14:09JST 欧米の注目経済指標:ユーロ圏インフレ率は高止まりの可能性も
5月27日-31日に発表予定の経済指標の予想については以下の通り。■28日(火)午後11時発表予定○(米)5月CB消費者信頼感指数-予想は96.5参考となる4月実績は97.0で3月改定値を大幅に下回った。将来のビジネス環境や雇用機会に対する懸念が高まっていることが指数の低下につながった。5月については顕著な改善は期待できないため、100を下回る可能性が高い。■30日(木)午後9時30分発表予定○(米)1-3月期国内総生産改定値-予想は前期比年率+1.2%参考となる速報値は前期比年率+1.6%。サービス消費が堅調だったことなどが寄与した。改定値については個人消費や設備投資の上方改定は期待できないため、速報値を下回る可能性がある。■31日(金)午後6時発表予定○(欧)5月ユーロ圏消費者物価コア指数-予想は前年同月比+2.8%4月実績は前年同月比+2.7%。外食・宿泊、その他財・サービスなどの上昇率は高止まりしている。5月については、財、サービスの価格は上昇が予想されているため、コア指数の上昇率は4月実績と差のない水準となる可能性がある。■31日(金)午後9時30分発表予定○(米)4月コアPCE価格指数-予想は前年比+2.8%高金利でも経済は持ちこたえており、インフレ圧力は根強いようだ。4月のコアPCE価格指数は3月実績と差のない水準にとどまる見込み。市場予想と一致した場合、9月利下げの確率はやや低下する見込み。○その他の主な経済指標の発表予定・27日(月):(独)5月IFO企業景況感指数系・29日(水):(独)5月消費者物価指数・30日(木):(欧)4月ユーロ圏失業率・31日(金):(日)4月失業率、(日)4月鉱工業生産
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2024/05/25 14:09
注目トピックス 経済総合
NYの視点:米5月総合PMI速報値は2年ぶりの高水準、企業は依然慎重、リスク存続
*07:38JST NYの視点:米5月総合PMI速報値は2年ぶりの高水準、企業は依然慎重、リスク存続
S&Pグローバル・マーケットが発表した米5月総合PMI速報値は54.4と、4月51.3から低下予想に反し上昇し、22年4月以降2年ぶり高水準となった。サービスの強い成長やインフレ再加速が指数を押し上げた。製造業PMI速報値は50.9と、4月50.0から50割れに悪化する予想に反して活動の拡大を示す50台を5カ月連続で維持した。同月サービス業PMI速報値は54.8と、4月51.3から低下予想に反し上昇し、1年ぶり高水準となった。製造業の支払い価格は2022年11月来で最高の伸び。サービス業の仕入れ価格と販売価格も上昇した。S&Pグローバルのチーフエコノミストは、米国経済が2カ月減速したのち再度加速。受注が再開したことによる生産拡大だけでなく、ビジネス信頼感も高まっていると、指摘。一方で、インフレや金利の不透明感、地政学的リスクの上昇や大統領選挙を控えた不透明感が存続し、企業は経済見通しに引き続き慎重な姿勢を維持していると、加えた。1-3月期国内総生産(GDP)は速報値の+1.6%から1.2%に伸び鈍化が予想されているが、引き続き堅調な成長が続くと見られる。同時に、不透明感も多く連邦準備制度理事会(FRB)の利下げの行方も今後のデータ次第となる。
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2024/05/24 07:38
注目トピックス 経済総合
トルコリラ円今週の予想(5月20日)サンワード貿易の陳氏 (山崎みほ)
*17:15JST トルコリラ円今週の予想(5月20日)サンワード貿易の陳氏 (山崎みほ)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター山崎みほの気になるレポートです。今回は、トルコリラ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週のトルコリラ円について『トルコリラ円は、保ち合いが続きそうだ』と述べています。続けて、『23日のトルコ中銀会合では、政策金利が50.0%に据え置かれる見込み。トルコ中銀は3月会合で、物価高の見通しの悪化を理由に政策金利を45%から50%に引き上げた。4月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比69.8%だった。トルコ中銀は、5月にインフレ率は75%前後でピークとなり、その後は金融引き締めを受けて、年末までに38%程度まで下がると中銀は予想している』と伝えています。次に、『トルコ中央銀行は9日、四半期インフレ報告を公表し、2024年末の消費者物価指数(CPI)上昇率の中間値の予想を前回の36%から38%に引き上げた。カラハン総裁は金融引き締めスタンスを維持し、インフレの長期的な悪化を防ぐと表明。インフレ率は今月ピークに達し、その後ディスインフレ傾向が定着するとの見通しを示した』と伝え、『4月のCPI上昇率は前年同月比69.8%だった。トルコ中銀のカラハン総裁は14日、5月のインフレ率は約75%に達するとの見方を示した上で、インフレ率を引き下げるために「必要なことは何でもする」と述べ、政策引き締めスタンスを維持すると約束した』と言及しています。また、『ユルマズ副大統領は16日、エルドアン大統領の全面的な後押しを背景に、インフレとの闘いを続けるトルコの新たな財政緊縮策による予算削減額が予想を上回るとの見通しを示した。ユルマズ氏は、夏季に物価上昇が和らぎ、長年の物価高騰を経てインフレ率の沈静化に懐疑的になっているトルコ国民を納得させるのに役立つだろうとの見方も示した』と伝えています。こうしたことから、陳さんは、『予算削減額は1000億トルコリラ(31億ドル)程度に達する可能性がある』と考察しています。トルコリラ円の今週のレンジについては、『4.60円~5.00円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の5月21日付「トルコリラ円今週の予想(5月20日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 山崎みほ
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2024/05/23 17:15
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NYの視点:米5月FOMC議事録タカ派色強まるもその後のインフレデータは改善
*07:39JST NYの視点:米5月FOMC議事録タカ派色強まるもその後のインフレデータは改善
米連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(4月30日-5月1日会合分)を公表した。その中で、参加者が第1四半期のインフレデータに失望、最近のデータが利下げへの一段の自信につながっておらず、インフレが2%目標に向けて改善する一段の確信が持てるまで、一段と時間を要すると考えていることが再表明された。さらに、政策の引き締まりの度合いを巡り、多くが不透明性を指摘した。様々なメンバーが、必要とあれば、追加引き締めに前向きな姿勢を示したことも明らかになった。もし、インフレが持続的に2%に向けて低下しなければ長期にわたり高金利を維持することを議論した。ただ、この会合で参考となっていたのは1-3月期データで、内容自体が古い。5月FOMC後に発表された4月消費者物価指数(CPI)は前月比で予想外に伸びが鈍化、さらに、FRBが注視している変動の激しい消費やエネルギーを除いたコア指数も前年比で予想通り鈍化し、21年4月来の低水準まで改善している。4月データを受け、FOMC後のイベントや講演で、FRB高官は結果を歓迎。ウォラーFRB理事も1-3月期のインフレは改善が停滞していたが、4月データによるとインフレの改善が再開し始めたようだと言及。4月データがインフレが再燃している証拠にはならなかったとし、データが後押しした場合、年後半の利下げの可能性にも言及した。議事要旨を受けて過剰にFRBの過剰なタカ派方針を織り込む必要はないと見る。
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2024/05/23 07:39
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メキシコペソ円今週の予想(5月20日) サンワード貿易の陳氏(山崎みほ)
*17:19JST メキシコペソ円今週の予想(5月20日) サンワード貿易の陳氏(山崎みほ)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター山崎みほの気になるレポートです。今回は、メキシコペソ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『メキシコペソ円は、週明け20日に9.39円と上場来の最高値を更新した。インフレの鈍化から米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ見通しが拡大し、ペソは対ドルで堅調に推移している』と述べています。続けて、『メキシコ中銀は6月の政策会合で利下げを決定する可能性もあると示唆されたが、後に、中銀幹部がこれを否定したことが好感されたようだ』と言及しています。こうしたことから、陳さんは、メキシコペソ円について、『日墨の金利差を背景に押し目買いが継続しよう』と考察しています。今週のレンジについては、『9.15円~9.45円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の5月21日付「メキシコペソ円今週の予想(5月20日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 山崎みほ
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2024/05/22 17:19
注目トピックス 経済総合
両岸関係の舵取りに徹した蔡総統の外交戦略を総括する(2)【中国問題グローバル研究所】
*16:06JST 両岸関係の舵取りに徹した蔡総統の外交戦略を総括する(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。経済的レジリエンス経済的レジリエンスとは、両岸関係の変化や世界経済の不確実性など、台湾が外的な衝撃や混乱を耐えしのいで発揮できる回復力を指す。蔡政権はここまで、台湾の中国本土への依存度を低下させて長期的な経済的安定性を強化するため、経済の多角化を推進し、イノベーション主導による成長を促すことを優先させてきた。世界経済において中国が台頭し、アジア太平洋地域で中国がさらに声高な主張を行うようになった状況は、台湾の経済状況に困難とチャンスの両方をもたらしている。中国本土は台湾にとって主要な貿易相手であり、重要な投資元であることに変わりはないが、経済的相互依存が高まればそれだけ、中国政府主導による貿易紛争、投資制限、市場アクセス障壁などのリスクにさらされることになる。このような状況にあって、台湾が複雑な両岸関係を巧みにさばき、中国が経済的に圧倒的な強さを見せるなかで経済的競争力を維持するためには、経済的レジリエンスが極めて重要なものとなるだろう。経済の多角化とイノベーション主導の成長を推進することで、台湾は中国本土への依存を減らし、手つかずだった市場や急成長産業の開拓に乗り出せるようになる。また、台湾が賃金の伸び悩み、生活費の高騰、貧富の格差の拡大など、国内に山積する課題に対処する上でも経済的レジリエンスが不可欠である。ダイナミックかつ包括的な経済を醸成すれば、台湾は社会の安定と繁栄を強化し、経済的利益を社会全体に公平に分配できるようになるだろう。習近平主席が経済発展を重視し、中国が世界経済への影響力を拡大させていることで、台湾における経済的レジリエンスの重要性が高まっている。中国がアジア太平洋地域、さらにはその先の地域でも経済的な影響力を拡大しようとしているなか、台湾は経済的基盤を強化し、持続可能かつ包括的な成長を促進して、グローバルな舞台での競争力を維持する必要に迫られている。蔡政権は台湾の中国本土への経済的依存度を低下させ、経済の多角化とイノベーション主導の成長を強化する戦略を積極的に推進してきた。こうした努力は、台湾の長期的な経済的レジリエンスを強化し、両岸関係の混乱に対する脆弱性を緩和するものとして高く評価されている。蔡総統が推進する経済政策の要となるのが、外資を呼び込み、起業家精神とイノベーションを刺激する力である。バイオテクノロジー、情報技術、再生可能エネルギーといった重要分野への投資を通じて、台湾は新興産業のトップランナーとしての地位を確立し、伝統的な製造業や輸出への依存度を低下させている。蔡英文政権はさらに、中小企業やスタートアップ企業を支援するための取り組みを実施し、よりダイナミックで包括的な経済の醸成に努めている。起業家精神とイノベーションを育むことで、台湾はグローバルな舞台での競争力を強化し、この先の持続的成長に備える態勢を整えてきた。それでもなお、蔡総統の経済戦略は、台湾の市場参入を抑制し、両岸の経済関係を混乱させようとする中国本土の動きによって困難な道を歩むことを余儀なくされた。中国政府は、蔡総統が「一つの中国」という原則を支持しないことに対して、両岸貿易や投資の制限などの懲罰的な措置を課してきた。蔡総統の経済政策は台湾経済の脆弱性に十分に対処できておらず、台湾経済の見通しを大きく向上させることはできなかったと批判の声が上がっている。経済の多角化とイノベーションの推進に努めてきたにもかかわらず、台湾は賃金の伸び悩み、生活費の高騰、貧富の格差の拡大といった課題に直面している。これに加えて、蔡総統の経済イニシアティブは両岸関係に緊張をもたらし、台湾海峡における衝突リスクを高めている。中国政府は、中国本土への経済的依存度を下げようとする台湾の姿勢を中国の権威に対する挑戦とみなし、中国の主権を損なおうとするあらゆる動きを警戒している。国防および安全保障の強化国防と安全保障を確固たるものとするには、中国大陸からの侵略を未然に防ぎ、台湾海峡の平和と安定を維持するため、台湾の軍事力と戦略的パートナーシップを強化する必要がある。蔡政権は、台湾の防衛力を強化し、米国など主要同盟国との協力関係を深めることに重きを置いてきた。アジア太平洋地域において中国が軍事力の近代化を急速に進め、さらに声高な主張を行うようになった状況は、台湾の安全保障と安定にとって大きな脅威となっている。中国政府は軍事費を大幅に増大させて海・空の軍事力拡大に動いており、台湾に対する思惑をめぐって懸念を呼んでいる。こうした状況において、中国大陸からの軍事的侵略を未然に阻止し、台湾海峡の平和と安定を守るためにも、防衛力と安全保障の強化が台湾にとっては極めて重要となる。先端兵器に投資し、サイバーセキュリティ上の防御力を強化し、重要な同盟国との連携を深めることで、台湾は抑止力の強化と安全保障上の利益保護を実現できるだろう。中国本土からの圧力が高まるなか、台湾が主権と民主主義の理念を維持していくためには、防衛と安全保障の強化が不可欠である。確固たる防衛体制を維持し、志を同じくする国々との協力を促進することで、台湾は自決権と価値観を守るという姿勢を強調し、主権を損なおうとする中国政府の目論見を抑止することができるだろう。習近平主席が「中華民族の偉大な復興」を提唱し、中国が軍事力を急激に拡大させていることで、台湾における防衛と安全保障の重要性が改めて浮き彫りになった。中国がアジア太平洋地域における軍事的プレゼンスを強化し、台湾海峡における優位性を主張しようとする状況にあって、台湾はこれからも地域の平和と安定を維持するため警戒を怠らず、防衛能力に投資せざるを得ない。蔡政権は台湾の防衛力を強化し、重要な同盟国、特に米国との連携を深めることを優先してきた。このアプローチは、台湾の安全保障上の利益を守り、中国本土からの侵略を未然に阻止しているという点で高い評価を得ている。蔡総統が推進する国防政策の要となるのが、中国本土からの軍事的脅威が高まるなかで、台湾の自衛能力とレジリエンスを強化する力である。先端兵器への投資、サイバーセキュリティの強化、非対称戦争における戦力強化により、台湾は潜在的脅威への対抗力を強化してきた。蔡政権はこれに加えて、「台湾関係法(Taiwan Relations Act、TRA)」と「六つの保証(Six Assurances)」を軸に米国との関係を深めてきた。この戦略的パートナーシップは台湾の防衛態勢を強化し、先進的な軍事技術や訓練へのアクセスを可能にし、台湾海峡における抑止力の強化につながった。しかし、中国本土が軍備を近代化し、アジア太平洋地域における存在感を高めようとしていることで、蔡総統の国防政策は困難に直面している。中国政府はこれまで、台湾海峡で中国主権に抗おうとするあらゆる動きを警戒し、台湾との統一を達成するため必要であれば武力による威嚇も行ってきた。蔡総統の国防政策は台湾海峡での衝突リスクをエスカレートさせ、両岸関係を改善しようとする努力の妨げとなっているという批判がある。中国政府は、台湾による防衛力強化の動きを中国主権への挑戦とみなし、中国の権威に抗おうとするあらゆる動きを警戒している。さらに、蔡総統の国防政策は中国本土との関係を緊張させ、台湾海峡での軍事的緊張を高めるのではないかという懸念を招いた。地域の平和と安定を守ろうとする努力にもかかわらず、台湾と中国本土の緊張関係は続いており、台湾海峡における紛争と不安定化のリスクが高まる事態となっている。まとめ蔡英文総統が絶妙なバランス感覚で進めてきた対中政策は、成果と課題の両方を残した。任期を通して、一貫して台湾の主権と民主主義の原則の護持に努め、島の自治権とアイデンティティを守り抜いたその手腕に賞賛が寄せられている。しかしその一方で、強硬な姿勢がもとで中国本土との緊張と政治的対立が高まる結果にもなった。また、台湾外交の多角化と経済的レジリエンスの強化を目指した蔡総統の努力は称賛に値するものであり、台湾の国際的地位と経済的競争力の向上につながった。ただ、中国本土からの圧力を受ける状況において、その道は並々ならぬ困難を伴うものであった。蔡総統の任期を歴史的観点から評価したとき、台湾の両岸政策に対するアプローチは、紛うこと無く彼女が残した遺産の最たる部分と言える。台湾のこの先の未来と、中国本土との関係を決定づける重要な道筋となるだろう。これからも台湾は絶えず変化する地政学的状況において、複雑な両岸関係の舵取りを迫られることとなる。主権護持の方向と中国と関わる機会を追及する方向、2つの微妙なバランスを取ることが台湾の安全と繁栄を確保する鍵となるのである。「両岸関係の舵取りに徹した蔡総統の外交戦略を総括する(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。写真: Taiwan's President Tsai Ing-wen(※1)https://grici.or.jp/これに加えて、蔡総統の多角化戦略は両岸関係に緊張をもたらし、台湾海峡における衝突リスクを高めている。中国政府は、台湾が国際的なプレゼンスを拡大しようとする姿勢を中国主権への挑戦とみなし、中国の権威に抗おうとするあらゆる動きに警戒している。「両岸関係の舵取りに徹した蔡総統の外交戦略を総括する(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。写真: Taiwan's President Tsai Ing-wen(※1)https://grici.or.jp/
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2024/05/22 16:06
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両岸関係の舵取りに徹した蔡総統の外交戦略を総括する(1)【中国問題グローバル研究所】
*16:03JST 両岸関係の舵取りに徹した蔡総統の外交戦略を総括する(1)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)陳建甫博士の考察を2回に渡ってお届けする。はじめに台湾、蔡英文総統のリーダーシップは、特に中国本土との関係においてダイナミックに入り乱れる困難とチャンスで特徴づけられる。在任期間を歴史的観点から評価したとき、台湾の両岸政策(対中政策)に対するアプローチは、彼女の足跡の特に重要な側面と言えるだろう。蔡総統は在任中、台湾の主権や民主主義の原則、そして安全保障上の利益をしっかりと守りながら、中国本土との関係を舵取りするという複雑極まる課題に取り組んできた。本論では、台湾の主権護持、外交の多角化、経済的レジリエンスの促進、国防および安全保障の強化という、蔡総統の対中政策の柱となる4つの要素について深堀して考えたい。4つの要素を個別に詳しく分析しながら、習近平主席指導下の中国の軍事・経済力というより広範な背景を踏まえて、これらの要素の意義について考察する。さらに、台湾の主権護持、外交関係の拡大、経済的適応力、国家安全保障の強化といった重要分野に焦点を当てながら、蔡総統の対中政策の長短について総括する。これらの側面を掘り下げることで、蔡英文総統が両岸関係を巧みに調整し、台湾の将来の方向性を確立する上で直面した成果と課題について、包括的理解を深めることを目指していく。台湾の主権護持台湾の主権護持には、中国本土からの圧力や脅威にさらされる状況で島の自治と民主主義的価値観を守るという側面が含まれる。蔡英文総統は台湾の主権護持について毅然とした態度を取り、中国本土による「一国二制度」の枠組みを退ける一方、台湾の民主主義の原則と自決権の重要性を強調してきた。習近平指導下の中国は、アジア太平洋地域全体で軍事力を大幅に増強し、その威力を誇示している。中国政府が台湾を自国領土の不可欠な一部とみなし、統一のため武力行使をも辞さないことを考えるに、中国本土からの軍事的侵略を未然に防ぐには、台湾の主権護持が絶対不可欠となる。習近平主席が「中国の夢」と「中華民族の偉大な復興」のビジョンについて熱弁していることで、台湾に対する中国政府の思惑を懸念する声が高まっている中国が軍事力を急速に増強している現状において、地域の安定を維持し、中国政府による強制的な台湾併合の動きを阻止するために、台湾の主権護持がいよいよ不可欠なものとなっている。台湾の主権は、その経済的繁栄や国際的地位と複雑に絡み合う形で維持されている。台湾の自治が損なわれることになれば、台湾の経済や外交関係を根底から変えることになりかねないため、中国本土からの圧力が高まる状況において台湾の主権と民主主義的価値観を堅持することが、蔡総統にとって急務となった。台湾の主権について蔡総統が確固たる姿勢を維持する、これこそが同政権の対中政策の要の役目を果たしてきた。中国本土が提唱する「一国二制度」モデルを否定することで、総統は台湾の民意を擁護し、台湾民主主義の理念を守ってきた。中国政府からの圧力がエスカレートするなか、台湾の自決権とアイデンティティを守った確固たる主権護持の姿勢は称賛に値する。蔡総統のアプローチは、台湾民主主義の原則への変わらぬ支持を軸としたものだ。在任中、一貫して民主主義と人権の重要性を力説したその声は、苦労して獲得した自由を大切に守り、それが脅かされるとなれば激しく反発してきた台湾の人々の心に深く響いた。さらに、台湾主権を貫く毅然とした姿勢は台湾の国際的地位を高め、国際社会との連帯を獲得することにもつながった。台湾の自決権を断固として主張することにより、世界の舞台で台湾の認知度を高め、国際社会の責任ある一員としての地位を強化した。しかし、主権護持を貫く蔡総統の姿勢は、中国本土との緊張と政治的軋轢を高めるものでもあった。中国政府は台湾を従順ならざる自国領土とみなしており、「一つの中国」という原則に従うよう蔡政権に対して執拗に圧力をかけ続けてきた。結果、両岸関係は緊張を高め、言葉による応酬や断続的な軍事演習が双方で行われることとなった。批評家たちは、蔡総統がいわゆる「1992年コンセンサス」(双方とも「一つの中国」の存在を認めつつ、その解釈は各自で異なるとする合意)を認めようとしないことが、両岸関係改善の努力の妨げとなっていると主張する。蔡総統がこの枠組みを否定することにより、中国政府との有意義な対話と交渉を妨害し、緊張を高め、台湾海峡における紛争リスクを高めている、というのが彼らの言い分である。蔡総統の揺るぎない主権擁護の姿勢は、国際舞台における台湾の外交的孤立をも招いてきた。中国本土の影響力が急上昇していることで、中国との関係を密にするべく、多くの国々が台湾との外交関係を断つこととなった。こうした外交的孤立によって、台湾が国際社会と関わり、差し迫ったグローバルな課題に対処する力が抑制される結果を招いている。外交の多角化台湾において外交の多角化とはすなわち、中国本土の外側への国際関係拡大、そして、民主的な同盟国や志を同じくする国々との関係強化を伴うものとなる。蔡総統が推進する「新南向政策」は、アジア太平洋地域にとどまらず、南アジア、東南アジア、それ以外の地域の国々との関係強化を目指している。中国の経済的・政治的影響力の増大は、台湾の国際的地位と外交関係を脅かす大きな障壁となる。中国政府は台湾の外交的孤立を促さんと積極的に動いており、中国本土との関係を密にする代わりに台湾との関係を断絶するよう各国に圧力をかけている。こうした状況において、台湾が中国の強圧的な戦術による影響を弱め、国際舞台で確固たる存在感を維持するためにも、外交の多角化が不可欠となる。民主的な同盟国や志を同じくする国々との関係を深めることで、台湾は外交面でのレジリエンスを強化し、中国本土の圧力戦術に対する脆弱性を軽減できるようになるだろう。台湾が経済面でチャンスを拡大し、地域の安定と繁栄を促進させるためにも、外交の多角化は不可欠である。アジア太平洋地域諸国との経済的・文化的交流をより緊密にすることで、台湾の経済的レジリエンスは向上し、地域全体の発展と繁栄にも貢献できるだろう。習近平主席が、中国が世界で指導的役割を果たすことを目指し、「一帯一路」構想を重視している以上、台湾外交を多角化することはもはや必然である。中国がアジア太平洋地域、さらにはその先の地域でも影響力を拡大しようとしている今、台湾は国際社会と積極的に関わり、グローバルな舞台で自国の価値観と利益を主張していかなくてはならない。台湾が外交的孤立に追い込まれようとする状況で、蔡政権は対中国本土以外へと外交関係の多角化をはかるという積極的な戦略を推進してきた。「新南向政策」によって、台湾は国際的な交流範囲と影響力を拡大することに成功した。米国、日本、欧州諸国などとの関係を緊密にすることで、台湾は外交的なレジリエンスを高め、中国本土の圧力戦術に対する脆弱性を軽減させてきた。国際社会と台湾の関わりを深めようとする蔡総統の努力は、台湾の価値観と利益をグローバル規模で推進するものとして広く称賛を集めている。世界保健総会(WHA)などの国際会議や国際民間航空機関(ICAO)といった組織への参加は、外交的な困難にもかかわらず、国際社会に貢献しようとする台湾の真摯な姿勢の表れである。だが、台湾の国際的地位を弱めようとする中国本土の働きかけもあって、蔡総統の多角化戦略は大きな困難に直面した。中国政府は経済的・政治的影響力によって各国に圧力をかけ、台湾との外交関係を断絶させて台湾の外交的苦境を悪化させている。批評家たちは、蔡総統の多角化戦略は台湾の外交的課題に対して効果を発揮できておらず、台湾の国際的認知度の実質的向上にもつながっていないと主張する。民主的な同盟国との関係を深めようと努力してはいるものの、台湾は依然として外交面での障害に阻まれ、重要な国際会議や組織から排除された状態が続いている。これに加えて、蔡総統の多角化戦略は両岸関係に緊張をもたらし、台湾海峡における衝突リスクを高めている。中国政府は、台湾が国際的なプレゼンスを拡大しようとする姿勢を中国主権への挑戦とみなし、中国の権威に抗おうとするあらゆる動きに警戒している。「両岸関係の舵取りに徹した蔡総統の外交戦略を総括する(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。写真: Taiwan's President Tsai Ing-wen(※1)https://grici.or.jp/
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2024/05/22 16:03
注目トピックス 経済総合
NYの視点:各国中銀の金融政策に乖離、為替変動率が上昇へ
*07:36JST NYの視点:各国中銀の金融政策に乖離、為替変動率が上昇へ
コロナ期やその後のインフレ加速で、世界各国の金融政策はほぼ同調したものだった。しかし、コロナ後、政府財政策の解消、サプライチェーン混乱回復、景気の正常化で、各国中銀の金融政策に乖離が出始めた。為替相場の変動率が上昇する可能性がある。欧州中央銀行(ECB)はラガルド総裁を含め金融当局者がインフレが目標値に向けて改善していることを一段と確信したと、6月の利下げ開始をほのめかしている。ただ、ECBは6月以降も利下げが続くわけではないと、加えた。英中銀も食品小売りインフレが21以来の低水準となったため、8月の利下げ観測が強まった。カナダ4月消費者物価指数は前年比+2.7%と伸びが3月+2.9%から予想通り鈍化し21年3月来で最低となったため、早くて7月の利下げ観測が一段と強まった。一方、連邦準備制度理事会(FRB)の年内の利下げの行方は不透明。ウォラー理事は4月の消費者物価指数(CPI)でインフレが加速していない証拠が得られ、インフレ改善の進行が再開したことが示唆されたと歓迎した。同時に、経済が驚くほど柔軟性があるとし、利下げにはあと数カ月良好なインフレデータが必要だとした。経済が悪化する兆候は見られず、3,4カ月金利を据え置いても、経済は悪化しないと指摘した。ただ、利上げの必要はないとの見解。FRB金融政策当局者はインフレが目標値に達する一段の確信を得られておらず、当面現行金利据え置きが予想されている。ウォラー理事はデータで正当化されれば年末に利下げを検討することが可能と述べた。米アトランタ連銀のボスティック総裁も、利下げは少なくとも第4四半期になると予想。また、豪準備銀行は5月政策決定会合の議事要旨で、CPIが、一段と長く目標を上回る可能性を指摘し、利上げ協議を再開したことを明らかにした。
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2024/05/22 07:36
注目トピックス 経済総合
NYの視点:地政学的リスクがくすぶる、引き続きインフレリスクに
*07:42JST NYの視点:地政学的リスクがくすぶる、引き続きインフレリスクに
多くの連邦準備制度理事会(FRB)高官は、米国のインフレは鈍化基調だが、目標達成を一段と確信するデータはいまのところ乏しく、想定以上に長く現行の金利を据え置く可能性が高まっているとの見解で一致していると見られ、ドルを支えている。本年の連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権を持つサンフランシスコ連銀のデイリー総裁は「インフレが持続的に2%に向けて鈍化する確信がまだもてない」としながらも、「利上げが必要な証拠は現在見られない」と、利上げは予想していないが、当面金利据え置きを予想している。やはり本年の投票権を有するアトランタ連銀のボスティック総裁は「インフレが目標である2%に達成することが確実になるまで時間がかかる」「FRBはすべての可能性にオープン、多くの経済シナリオがある」、と展開次第で、利上げの可能性もほのめかした。ジェファーソンFRB副議長やバーFRB副議長はインフレ対処で辛抱強さが必要との考えを示した。ジェファーソン副議長はディスインフレの過程が長期にわたると指摘。バー副議長は最近の金融引き締め策で、インフレが目標値に達成するまでには一段の時間が必要となる可能性が強いと指摘した。バー副議長は第1四半期のインフレに失望したとし、同時に、利下げに向けた確信は何も供給されなかった、と失望感を隠さなかった。金利を据え置き、動向を見守る良い位置にあるとし、やはり金利据え置きを支持。FRB高官は依然インフレが低下基調にあるとの見解では一致しているようだが、中東リスクがくすぶることは商品価格の高止まり、インフレリスクの存続につながる可能性がある。国営メディアによると、航空機事故でイランのライシ大統領とアブドラヒアン外相の死亡が確認された。イランの政策が大幅に修正されることはないと言われているが不透明感につながる。また、イスラエルのベングビール国家安全保障大臣が親イラン組織ヒズボラを壊滅させるためにはレバノン侵攻が必要と指摘するなど、地政学的リスクは依然根強い。
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2024/05/21 07:42
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金は1万2000円を前に足踏みか サンワード貿易の陳氏(山崎みほ)
*17:05JST 金は1万2000円を前に足踏みか サンワード貿易の陳氏(山崎みほ)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター山崎みほの気になるレポートです。今回は、金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『金は1万2000円を前に足踏みか』と述べています。続けて、『15日のNY金は、インフレ圧力の鈍化が示されて上昇。終値は2394.90ドル、4月中旬以来約1カ月ぶりの高値を付けた』と伝え、『4月米消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.4%上昇となり、前月から3カ月ぶりに鈍化した。インフレの沈静化が示唆されたことから、市場では米連邦準備制度理事会(FRB)が年内にも利下げを実施するとの期待が高まった。ただ、ニューヨーク連銀が発表した消費者調査で、1年先の期待インフレ率が上昇したことは圧迫要因』と言及しています。また、『長期金利が低下し、対ユーロでドル売りが優勢となって、ドル建て金は割安感が強まった』と伝えています。次に、『CMEグループのフェドウオッチによると、市場は現時点で9月会合での利下げを7割程度織り込んでいる』と述べています。陳さんは、『次の節目である2400ドル突破には、何らかの追加材料が必要だろう。この上値抵抗線をブレイクすれば、4月に付けた最高値2448.80ドルを試す展開になろう』と考察しています。また、『ドル円は、ドル売り・円買い介入が2回行われ、その後に弱い米経済指標やFRBの利下げ見通しが強まったことで、1ドル=155円を下回った』と伝え、『OSE金相場は、NY金が上昇したもののドル円の下落に相殺されて上値が重い。1万2000円の壁を前に保ち合いが続きそうだ』と見解を述べています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の5月16日付「金は1万2000円を前に足踏みか」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 山崎みほ
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2024/05/20 17:05
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ニアショアリングのハブ拠点:メキシコが台湾企業の米国市場進出を促進(2)【中国問題グローバル研究所】
*16:00JST ニアショアリングのハブ拠点:メキシコが台湾企業の米国市場進出を促進(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「ニアショアリングのハブ拠点:メキシコが台湾企業の米国市場進出を促進(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。ニアショアリングでメキシコが担う役割台湾企業にとって、メキシコが持つニアショアリングのハブ拠点としての戦略的意義は、米国に地理的に近いということにとどまらない。台湾からのメキシコの製造セクターへの投資は、エレクトロニクスや自動車、繊維製品(テキスタイル)などの産業に及び、投資先としてのメキシコの魅力を物語っている。例えば、台湾に本社を置くエレクトロニクスメーカーである鴻海はメキシコでの拠点拡大を図っており、シウダー・フアレスに新しい工場を建設するために10億ドルを投資する計画である。こうした戦略的パートナーシップは、鴻海の米国市場へのアクセスを向上させるだけでなく、メキシコの雇用創出と経済成長も刺激する。加えて、台湾とメキシコの二国間貿易協定と戦略的パートナーシップの締結が、サプライチェーンの最適化と米国市場への参入を模索する台湾企業が選ぶ投資先としてのメキシコの立場を一層強固なものとした。2023年、テスラ社が北米の主要市場の近くに位置するヌエボレオン州モンテレイ市サンタカタリーナにある工業団地に製造工場を新設する計画を発表したことで、ハイテク産業へのメキシコの訴求力が高まった。同社の決定は、メキシコの強固なインフラと豊富な熟練労働力、良好なビジネス環境が、テスラの事業拡大に理想的な選択であることを如実に表している。同社の狙いは、この工業団地を活用することで、サプライチェーンの効率性と市場アクセスを向上させ、ヌエボレオン州およびメキシコ全土のイノベーションと経済成長の両方に寄与することにある。製造セクターだけでなく、情報技術(IT)やビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)などの領域を中心としたメキシコのサービスセクターも、グローバル市場での競争力強化を目指す台湾企業にさらなる好機をもたらす。例えば、緯創や広達電脳などの企業は、メキシコの熟練労働力と良好なビジネス環境を活用するため、メキシコにITサービスセンターを設置した。複数のセクターにまたがる、こうした投資の多様化は、メキシコがニアショアリング先として万能であり、多様な産業で事業を展開する台湾企業の進化するニーズに対応できることを裏付けている。さらに、メキシコは北米と中南米の間に位置し、戦略的に有利な場所にあるため、中南米地域の新興市場への架け橋の役割を担う。台湾企業は、中南米が秘める成長潜在能力を認識し、メキシコを拠点として、これらの市場での存在感を拡大している。メキシコに足場を築くことで、台湾企業は貿易協定と特恵関税の広範なネットワークにアクセスできるようになり、新規市場への参入や顧客基盤の多様化が可能になる。こうした戦略的な拡大は、台湾、メキシコ、およびその他の中南米諸国間の経済的な結びつきを強化するだけでなく、地域統合と経済発展を促進する役割も果たしている。台湾とメキシコの戦略的パートナーシップ台湾とメキシコのパートナーシップが増大する背景には、相互の経済成長と繁栄を促進するための戦略的利害の一致がある。台湾がメキシコとの経済的提携を強化し、中南米への架け橋としての戦略的立場を利用することを模索するなか、両国は貿易関係の強化と共同事業で恩恵を受けることができる。メキシコの強固な製造インフラと台湾の優れた技術力を活用することで、このパートナーシップは、イノベーションを加速させ、雇用機会を創出し、持続可能な経済発展を促進する大きな可能性を両国にもたらす。また、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)などの地域貿易協定にメキシコが参加したことで、中南米での市場プレゼンスの拡大を目指す台湾企業にとって、戦略的パートナーとしての同国の魅力が一段と高まっている。そして、台湾とメキシコの戦略的パートナーシップをより強固なものにしているのが、包摂的成長と持続可能な発展を推進する、共同の取り組みである。共同研究開発プロジェクトや技術移転プログラム、教育交流などのイニシアチブは、両国のイノベーションと能力育成の触媒役を担う。また、文化外交イニシアチブと人材交流が、台湾とメキシコのコミュニティ間の理解と連携を深め、長期的な経済協力と相互繁栄の基盤を築いている。結論ニアショアリングという文脈における台湾とメキシコの共生的関係が、戦略的連携と経済レジリエンスにおける説得力のあるナラティブとなっている。米中の緊張が解消されないなか、両国は複雑な世界貿易力学を乗り切るために、戦略的な位置付けを確立してきた。台湾企業は、地政学的不確実性の高まりを受けて、サプライチェーンの多様化が不可欠であることを認識し、メキシコを信頼できるパートナーとみなしてきた。米国市場に近く、製造インフラが確立されているメキシコを活用することで、台湾企業は競争力を強化し、中国製造業への依存に伴うリスクの軽減を図っている。一方、ニアショアリングのハブ拠点としのメキシコの役割も、台湾からの投資とパートナーシップにより強化されている。台湾資本のメキシコ製造セクターへの流入が、雇用創出と経済成長、技術イノベーションを刺激し、両国の持続可能な発展の土台を築いた。国際貿易環境が変化し続ける今、台湾とメキシコの連携は、戦略的パートナーシップが変革をもたらす可能性を秘めていることの証となる。イノベーションを促進し、競争力を高め、包摂的成長を促すことで、両国は新たなチャンスを生かし、パンデミック後の時代に共栄への道を切り開く態勢を整えている。写真: Bank of Mexico(※1)https://grici.or.jp/
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2024/05/20 16:00
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ニアショアリングのハブ拠点:メキシコが台湾企業の米国市場進出を促進(1)【中国問題グローバル研究所】
*15:56JST ニアショアリングのハブ拠点:メキシコが台湾企業の米国市場進出を促進(1)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)陳建甫博士の考察を2回に渡ってお届けする。はじめに現在の国際貿易環境においては米中の摩擦が激化しており、サプライチェーンの戦略的再編が急務となっている。米中関税合戦が勃発する以前から、家具や繊維製品(テキスタイル)などローエンドの労働集約型セクターを中心に、中国の多くの産業がすでにメキシコへの事業拡大を始めていた。この動きの背景には、中国国内での人件費の上昇や競争の激化、新規市場への参入意欲などさまざまな要因がある。メキシコがニアショアリングの新たなハブ拠点としての役割を担うことで、グローバルなサプライチェーンが活性化し、台湾企業も貿易環境の変化に対応する上で必要な魅力的な選択肢を得ることができた。今回のコラムでは、関税合戦以前に中国企業が相次いでメキシコに進出し、その後ニアショアリング活動が急増したこれまでの背景を検証し、メキシコの極めて重要な役割に焦点を当てる。ニアショアリングとは、コストや物流、戦略面での優位性を求めて製造拠点などを近隣諸国に移転することであり、台湾とメキシコ、そしてうまみのある米国市場を結ぶサプライチェーン形成の原動力となっている。米中摩擦が高まるなかでの貿易ダイナミクス米中貿易摩擦の激化をきっかけに、世界レベルでの貿易ダイナミクスのパラダイムシフトが起きている。関税の賦課に加え、台湾海峡での緊張の高まりや中国の一帯一路構想(BRI)などの地政学的要因を受けて、中国の輸出業者は輸出ルートの多角化を加速させてきた。例えば、華為や鴻海などの企業は、米中貿易紛争にともなうリスクを軽減するため、メキシコでの製造拠点を拡大している。この戦略的な行動の目的は、中国産製品の市場アクセスを維持しつつ、米国による制裁関税が及ぼす悪影響を軽減することである。加えて、米中貿易摩擦は、グローバルなサプライチェーンの見直しも促し、多国籍企業が中国の製造業への依存軽減を模索するようになった。メキシコは米国に近い上、人件費が比較的安く、インフラも整備されているため、魅力的なニアショア先となる。例えば、自動車産業ではBMW社やAudi社のような企業が、北米市場向け製品の製造と、貿易の混乱による影響を最小限に抑えることを目的に、製造工場をメキシコに新設した。さらに、米中貿易摩擦の激化は、国際貿易関係の幅広い再編を引き起こしている。こうした地政学的な対立に巻き込まれた台湾などの国々は、サプライチェーンの多様化や代替の製造拠点の探求を余儀なくされてきた。ニアショアリングのハブ拠点というメキシコの戦略的ポジションは、台湾企業が米国市場へのアクセスを確保しつつ、こうした不確実性を乗り切るための有効な解決策を提供する。中国のニアショアリング戦略中国のニアショアリング戦略は、国際貿易環境の変化に対応するレジリエンスと変化対応力の高さを如実に表している。メキシコのような仲介国を活用することで、中国の輸出企業は関税障壁を効果的に回避し、貿易摩擦の影響を受けやすい主要セクターでの競争力を維持してきた。特にエレクトロニクスセクターでは、ニアショアリング活動が急増しており、Xiaomi(シャオミ)やLenovo(レノボ)などの企業は、北米市場向けの製造拠点をメキシコに開設した。こうした戦略的アジリティは、中国の輸出志向型経済を保護するだけでなく、地政学的な不確実性にも対処することができる経済大国としての中国の地位を強化している。さらに、中国の一帯一路構想がメキシコでのインフラ整備を促進し、同国における製造拠点の設置を目指す中国企業にとってのシナジーを生み出してきた。例えば、中国の資本が入ったメキシコ-トルカ高速道路の建設は、製造ハブ拠点と輸出ターミナルの連携を強化し、ニアショアリング先としてのメキシコの魅力をさらに高めている。台湾企業も、米中貿易摩擦がもたらす課題を認識し、サプライチェーンの多様化とリスクの軽減を図るために、ニアショアリング戦略を取り入れてきた。メキシコに製造拠点を設けることで、台湾企業は中国の製造業への依存を軽減するだけでなく、メキシコと米国の距離の近さを生かし、北米市場の需要を取り込むことができる。メキシコとの戦略的提携は、台湾企業のレジリエンスを高めるだけでなく、台湾とメキシコという2国間の経済的結びつきも強化する。米国の輸入動向への影響中国のニアショアリング輸出戦略の影響は、米国の輸入動向、特にメキシコのような仲介国からの輸入の急増に反映されている。米国商務省が公表したデータによると、米国のメキシコからの輸入額は2022年から2023年にかけて著しく増加し、4,750億米ドルを超えた。こうしたメキシコからの輸入急増は、中国からの直接輸入の減少と相まって、米中貿易摩擦による混乱を緩和する代替貿易ルートの有効性を浮き彫りとしている。さらに、メキシコの対米輸出は、自動車やエレクトロニクスなどの従来のセクターにとどまらずに多角化しており、医療機器や航空宇宙などのセクターが頭角を現すようになってきた。米国の輸入動向の変化も、台湾企業にサプライチェーン戦略の見直しを促している。メキシコがニアショアリング先として注目を集める中、台湾企業はメキシコの米国市場への距離や、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)のような有利な貿易協定を利用するため、同国におけるパートナーシップや投資機会の模索を進めている。加えて、ニアショアリングのハブ拠点であるメキシコへの依存が高まっていることから、米国企業は調達戦略を見直す必要に迫られている。貿易協定の再交渉と中国からの輸入品への関税賦課により、米国企業は、中国に代わる信頼できる物品調達先として、メキシコに目を向けるようになった。こうした変化は、メキシコの輸出業者に恩恵をもたらすだけでなく、メキシコと米国の経済的結びつきを強化し、主要なセクターでの連携と投資の拡大に道を開くものである。「ニアショアリングのハブ拠点:メキシコが台湾企業の米国市場進出を促進(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。写真: Bank of Mexico(※1)https://grici.or.jp/
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2024/05/20 15:56
注目トピックス 経済総合
NYの視点:【今週の注目イベント】FOMC議事録、英・日本CPI、パウエルFRB議長
*07:43JST NYの視点:【今週の注目イベント】FOMC議事録、英・日本CPI、パウエルFRB議長
今週は連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)(4月30日‐5月1日開催分)議事要旨を公表するほか、英国、日本が消費者物価指数(CPI)を発表する予定で、今後の金融政策の行方を見極めるうえで重要となる。日銀が17日に国債購入額を変更しなかったため緩和的政策維持との見方に円が軟調に推移。CPIも伸びが停滞する見通しで、円の軟調推移が継続する可能性がある。英国の4月CPIは物価上昇率が中銀の目標値に向かっていることを示す新たな証拠となる見通し。早期利下げ観測につながるとポンド売り圧力となる。ただ、予想以上に強い結果となると、6月以降の利下げ開始の思惑を強めポンドの買戻しが強まる。一部では英中銀が利下げ開始を8月まで待つとの観測も浮上しており、4月CPIの結果が鍵を握る。欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル理事は6月利下げは適切だが、その後については慎重なアプローチをとるべきと、6月以降の各会合での連続利下げに注意を促した。FOMC議事要旨では経済やインフレの見通しに注目される。この会合では、第1四半期のインフレを巡り改善がほとんどなく2%目標達成を一段と確信するにはより時間がかかるとの見通しが示された。パウエル議長は、年内のいつか利下げするとの予想を示さなかった。ただ、インフレは年内に鈍化するとの見通しは維持。利上げの可能性は少ないとした。NY連銀のウィリアムズ総裁も期近に一段の確信を得らることは不可能で当面高金利を維持する必要があるとの見解を示した。米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁や米クリーブランド連銀のメスター総裁、ボウマンFRB理事は、インフレ動向次第で追加引き締めも除外しておらず当面ドル売りが限定的となる可能性がある。FRBはパウエル議長がコロナ感染で在宅勤務し、予定されていたジョージタウン大法科学院卒業式のスピーチも録画動画となると発表された。■今週の主な注目イベント●米国20日:ボスティック米アトランタ連銀総裁が挨拶、バーFRB副議長、ボスティック米アトランタ連銀総裁がイベント参加21日:バーキン米リッチモンド連銀総裁が挨拶、ウォラーFRB理事が講演、ボスティック米アトランタ連銀総裁がコリンズFRB理事、メスター米クリーブランド連銀総裁との討論会で司会22日:4月中古住宅販売件数、FOMC議事録23日:4月シカゴ連銀全米活動指数、新規失業保険申請件数、5月製造業・サービス業PMI、4月新築住宅販売件数、5月カンザスシティ連銀製造業活動、ボスティック米アトランタ連銀総裁がスタンフォード大MBAのイベント24日:4月耐久財受注、5月ミシガン大消費者物価指数確定値●欧州23日:ユーロ圏グローバルサービスPMI、製造業PMI、消費者信頼感●英国20日:英中銀、ブロードベント副総裁が金融政策に関し講演21日:CPI、英中銀、ベイリー総裁が講義23日:PMI●日本20-23日:サウジアラビアのサルマン王子が訪日、エネルギー、ゲーミングセクターに関し協議22日:コア機械受注、貿易●中国20日:融資プライムレート●カナダ21日:CPI24日:小売売上
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2024/05/20 07:43