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アイリック Research Memo(4):システム事業は「スマートOCR」が主力
■アイリックコーポレーション<7325>の事業概要4. システム事業システム事業は子会社インフォディオが「スマートOCR」関連を中心として、システム開発やソフトウェア受託開発を行っている。AIを搭載した非定型帳票対応の次世代型光学的文字認識システム「スマートOCR」(2018年4月開発)は、定型・非定型の数千万枚の活字・手書き文書等を認識してデータ化できるエンタープライズ向けシステムである。収益は、提供先から得られるサブスクリプション方式の利用料である。保険用途にとどまらず、幅広く企業・官公庁等のデジタル化・ペーパーレス化に貢献するシステムである。単に定型・非定型の手書き・活字の文字変換を行うだけでなく、マスターデータ連携・自動処理、高いセキュリティ、スマホアプリ等も備えた総合システムとして高い評価を得ている。データ抽出パッケージとして品ぞろえを強化し、2020年12月までに「請求書」「領収書・レシート」「名刺」「運転免許証」「健康保険証」「決算書」「源泉徴収票」「診療明細書」などをリリースしている。さらに2021年5月には「決算書基本パック」をメジャーアップデート、電子帳簿保存法のスキャナ制度対応の新機能を業界に先駆けてリリース、2021年9月には「注文書革命DX」をリリースした。今後も様々な用途のパッケージをリリース予定としている。さらにAI-OCRソリューションとして、保険業界以外の企業・官公庁等への提供拡大や、システムインテグレータ向けOEMによる提供拡大を推進している。導入事例として、2020年11月には、独立行政法人統計センターが集計を行う令和2年国勢調査などの情報(個々を特定できない処理が施された情報)を認識処理する「AI技術を用いた文字認識サービスの提供業務」を受託し、令和2年国勢調査等の定型帳票の手書き文字の認識に用いられている。2020年12月には(株)JTBが「スマートOCR」を組み込んで独自開発した「証憑書類電子保存化システム」が稼働開始した。JTBグループ全体で年間約570万枚のペーパーレス化、約7億円以上の経費削減に寄与する。2021年3月には(株)日立ソリューションズが開発したビジネスデータ活用支援「活文」に「スマートOCR」が採用された。2021年4月には、国税庁の「確定申告書等作成コーナーの源泉徴収票OCR機能に係る開発及び機器等の提供等」を受託した。OCRエンジンだけでなく、Webアプリケーション開発、サーバー構築・運用、画像処理エンジンまで同社の仕組みを採用し、2022年1月に始まる確定申告より運用開始予定である。2021年5月には、法務省矯正研修所が行う手書きアンケート情報を認識処理する「効果検証用OCR機器の賃貸借」を受託・運用開始した。自社開発システムを活用したワンストップソリューションが強み5. 特徴・強み保険販売(訪問型、来店型)は競合の多い市場だが、コンサルティングから契約まで業界唯一のシステムを自社開発して、ワンストップソリューションで展開していることが強み・競合優位性となっている。自社開発のワンストップ型保険分析・検索システム「保険IQシステム」をベースとして、「保険IQシステム」を汎用化した「ASシステム」、「保険IQシステム」の簡易版である「AS-BOX」、「スマートOCR」の機能を組み込んだ「証券分析AIアシスト機能」「生命保険証券の自動分析サービス」、保険証券の画像と保障内容を一括管理できるスマートフォンアプリ「保険フォルダ」などを開発・提供し、オンライン保険相談サービスなども行っている。2021年6月には、いつでもどこでも「保険クリニック」DXプロジェクト第4弾として、スマートフォンで保険証券を撮影するだけで、最短30秒で加入している保障の範囲が一目でわかる「お手軽web保険診断」をリリースした。なお、生命保険募集人がスマートフォンやタブレット等のカメラで撮影した生命保険証券を「スマートOCR」を活用して自動分析する「生命保険証券の自動分析サービス」は、2021年5月に特許を取得(第6887233号)している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2021/10/06 16:04
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アイリック Research Memo(3):来店型保険ショップ、保険分析・販売支援、「スマートOCR」を展開
■アイリックコーポレーション<7325>の事業概要1. セグメント区分自社開発した業界唯一のワンストップ型保険分析・検索システム「保険IQシステム」などを活用して、来店型保険ショップ「保険クリニック」を直営とFCで全国展開するとともに、保険分析・販売支援プラットフォーマーとして金融機関や保険代理店向けのシステム販売も行っている。またシステム開発の子会社インフォディオは、AIを搭載した非定型帳票対応の次世代型光学的文字認識システム「スマートOCR」を開発・販売している。セグメント区分は、保険販売事業(来店型保険ショップ「保険クリニック」直営店運営の直営店部門、法人向け訪問型保険販売の法人営業部門)、ソリューション事業(システム販売のAS部門、「保険クリニック」FC展開のFC部門)、システム事業(子会社インフォディオの「スマートOCR」関連)としている。セグメント別売上高・営業利益の推移は以下のとおりである。過去4期(2018年6月期~2021年6月期)の推移で見ると、保険販売事業の法人営業部門は税制改正の影響が継続して伸び悩んでいるが、保険販売事業の直営店部門は直営店舗数の増加、ソリューション事業のAS部門はシステム販売の好調、ソリューション事業のFC部門はFC店舗数の増加、システム事業は「スマートOCR」導入数の増加で、いずれも拡大基調である。なおソリューション事業はシステム利用料やロイヤリティ収入等が中心のため利益率が高い。システム事業は先行投資ステージのため現状の利益水準が低いが、今後の成長分野と位置付けている。保険販売事業は来店型保険ショップ「保険クリニック」直営店部門と法人営業部門2. 保険販売事業保険販売事業は直営店部門と法人営業部門で構成されている。自社開発した業界唯一のワンストップ型保険分析・検索システム「保険IQシステム」を活用した独自のサービスで、高い継続率と満足度を獲得している。収益は直営店部門、法人営業部門とも、代理店業務委託契約を締結している保険会社の保険商品販売に伴って、当該保険会社から得られる「保険手数料」収入である。直営店部門は来店型保険ショップ「保険クリニック」を直営店で運営し、2021年6月期末時点で52店舗(前期末比8店舗増加)を全国に展開している。2020年11月にはオリコン顧客満足度(R)ランキング「来店型保険ショップ」で「保険クリニック」が総合第1位を獲得した。法人営業部門は法人及び富裕層をサポートすべく、保険の有効活用に関する提案や保険販売等を行う訪問型保険販売を展開している。ソリューション事業はAS部門とFC部門3. ソリューション事業ソリューション事業は、自社のシステムを提供するAS部門と、来店型保険ショップ「保険クリニック」FC展開のFC部門で構成されている。AS部門は、金融機関や保険代理店等に対して、生命保険の現状把握・検索提案システム「ASシステム」、保険申込ナビゲーションシステム「AS-BOX」を提供している。「ASシステム」は「保険IQシステム」を汎用化したシステムである。「AS-BOX」は「保険IQシステム」または「ASシステム」の機能のうち、既契約保険の証券分析機能が搭載されていない簡易版のシステムである。収益は、ASシリーズ導入ID数に基づいたシステム利用料(登録料、サブスクリプション方式の月額利用料)や、保険販売コンサルティング売上、金融機関向けOCR売上、その他ソリューション売上等となっている。FC部門は、全国の来店型保険ショップ「保険クリニック」FC店に対して「保険IQシステム」を提供している。さらに教育・研修、情報提供、店舗運営ノウハウ、プロモーション等のサポートを行い、直営店と同等のサービスを展開している。FC店舗数は2021年6月期末時点で195店舗(前期末比14店舗増加)となっている。収益はシステムやサポート利用に対する初期登録料・基本料金、ロイヤリティ売上、共同募集に伴う保険手数料、その他サービスに伴う売上等である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2021/10/06 16:03
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アイリック Research Memo(2):「人と保険の未来をつなぐ~Fintech Innovation~」
■会社概要1. 会社概要アイリックコーポレーション<7325>は企業テーマに「人と保険の未来をつなぐ~Fintech Innovation~」を掲げている。自社開発のシステム・サービスを活用し、保険分析・販売支援プラットフォーマーとして事業展開するFintech企業である。本社所在地は東京都文京区本郷で、事業所は本社のほか、大阪支店(大阪府大阪市中央区)に展開している。グループ(2021年6月期末時点)は同社及び連結子会社1社(インフォディオ)で構成され、来店型保険ショップ「保険クリニック」運営(直営とFC)、保険分析・販売支援ソリューション及び子会社インフォディオが開発した非定型帳票対応の次世代型光学的文字認識システム「スマートOCR」関連事業などを展開している。2021年6月期末時点の資産合計は4,281百万円、純資産は3,631百万円、資本金は1,319百万円、自己資本比率は84.8%、発行済株式数は8,538,000株(自己株式367株を含む)である。2. 沿革同社は1995年7月に東京都新宿区で設立した。その後1999年12月に来店型保険ショップ「保険クリニック」を本格始動、2004年4月に汎用型IQシステム(現 保険分析・検索システム「保険IQシステム」)を完成、2004年7月には来店型保険ショップ「保険クリニック」のFC事業を開始した。そして2018年9月に東京証券取引所マザーズへ新規上場した。なお子会社のインフォディオ(2002年7月に出資比率50%で設立、2005年3月に完全子会社化)は、2018年4月にAI搭載の「スマートOCR」を開発した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2021/10/06 16:02
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アイリック Research Memo(1):保険分析・販売支援プラットフォーマーのFintech企業
■要約アイリックコーポレーション<7325>は、企業テーマに「人と保険の未来をつなぐ~Fintech Innovation~」を掲げている。自社開発のシステム・サービスを活用し、保険分析・販売支援プラットフォーマーとして事業展開するFintech企業である。1. 来店型保険ショップ、保険分析・販売支援ソリューション、「スマートOCR」を展開自社開発した業界唯一のワンストップ型保険分析・検索システム「保険IQシステム」を活用して、来店型保険ショップ「保険クリニック」を直営とFCで全国展開するとともに、保険分析・販売支援プラットフォーマーとして金融機関や保険代理店向けのシステム販売も行っている。また、AIを搭載した非定型帳票対応の次世代型光学的文字認識システム「スマートOCR(AI-OCR)」関連を成長分野と位置付けている。セグメント区分は、保険販売事業(「保険クリニック」直営店運営の直営店部門、法人向け訪問型保険販売の法人営業部門)、ソリューション事業(システム提供のAS部門、「保険クリニック」FC展開のFC部門)、及びシステム事業(子会社(株)インフォディオの「スマートOCR」関連)としている。2. 自社開発システムによるワンストップソリューションが強み保険販売(訪問型、来店型)は競合の多い市場だが、コンサルティングから契約まで業界唯一のシステムを自社開発して、ワンストップソリューションで展開していることが強み・競合優位性となっている。店舗数は増加基調で、成約率も上昇基調である。2020年11月にはオリコン顧客満足度(R)ランキング「来店型保険ショップ」で「保険クリニック」が総合第1位を獲得した。市場環境として、かつては90%前後を占めていた生命保険営業員からの加入比率が低下し、一方で保険代理店からの加入比率が上昇基調である。同社にとって市場環境は良好と言えるだろう。3. 2021年6月期は2ケタ増収だが先行投資で減益2021年6月期連結業績は、売上高が前期比11.3%増の4,638百万円、営業利益が同23.7%減の365百万円、経常利益が同23.4%減の374百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同27.8%減の233百万円となった。売上面は直営店部門の堅調推移、FC部門やシステム事業の大幅伸長などで2ケタ増収となったが、利益面はシステム事業の「スマートOCR」大型案件のカスタマイズで売上原価が増加し、先行投資に伴う販管費の増加(新規出店に伴う人件費や家賃の増加、TVCM費用の増加)などにより減益となった。4. 2022年6月期は大幅増収増益予想2022年6月期連結業績予想は、売上高が前期比20.0%増の5,564百万円、営業利益が同50.3%増の550百万円、経常利益が同48.8%増の557百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同49.6%増の349百万円としている。中期経営計画で1年目の2021年6月期と2年目の2022年6月期を「投資・準備期間」と位置付けて、システム投資、店舗網拡大、広告宣伝活動など戦略的な先行投資実行で販管費が増加する見込みだが、主力事業がおおむね順調に推移して大幅増収増益予想としている。なお下期偏重の計画としている。新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響が和らいだうえで積極的な事業展開ができれば、会社予想に上振れ余地があると弊社では考えている。5. 成長分野の「スマートOCR」の拡大も推進「3年後のあるべき姿」を策定し、目標数値には2023年6月期の売上高70億円、営業利益10億円を掲げている。2021年6月期と2022年6月期は「投資・準備期間」と位置付けて、システム投資、人財投資、広告宣伝投資など戦略的な先行投資を実行する。このため売上の増加に比べて、利益の伸びは小幅にとどまる計画としている。そして2023年6月期を「成長の年」として目標値の達成を目指す。保険分析・販売支援のプラットフォーマーとして収益拡大を図るとともに、成長分野と位置付ける「スマートOCR」の拡大も推進し、Fintech企業としての成長を目指す方針だ。中期的に高成長が期待できると弊社では考えている。■Key Points・自社開発システムを活用し、保険分析・販売支援プラットフォーマーとして事業展開するFintech企業・2022年6月期は大幅増収増益予想・成長分野の「スマートOCR」の拡販も推進(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2021/10/06 16:01
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新興市場銘柄ダイジェスト:放電精密は大幅に6日ぶり反落、ディーエムソリュがストップ高
<7779> サイバーダイン 418 0朝高後、値を消す展開。日本医療研究開発機構(AMED)が公募した「医工連携イノベーション推進事業(開発・事業化事業)」で、CYBERDYNEの「LED光源方式光音響イメージング技術を用いた画像診断装置に関する開発・事業化」が補助対象事業として採択されたと発表している。補助金額は計1.038億円の予定で、期間は24年3月末まで。安全なLEDを採用することで臨床現場で活用可能な光音響イメージング装置を開発し、事業化を目指す。<6469> 放電精密 884 -125大幅に6日ぶり反落。22年2月期の営業損益を従来予想の4.00億円の黒字から5.00億円の黒字(前期実績5.65億円の赤字)に上方修正している。放電加工・表面処理セグメントで想定を上回る原価低減が図られたほか、費用低減などが進んだため。第2四半期累計(21年3-8月)も2.71億円の黒字(前年同期実績2.00億円の赤字)と会社計画(1.79億円の黒字)を上回ったが、これまでの連騰を受けて材料出尽くし感が広がり、売られているようだ。<7855> カーディナル 953 +99大幅に反発。山田マーケティング(大阪市)によるマネジメント・バイアウト(MBO、経営陣による自社買収)の買付価格が1株につき851円から955円(前日終値は854円)に引き上げられたと発表している。買付期限も5日から19日に延長された。筆頭株主となったブラッククローバーリミテッド(所有割合18.34%)との協議に基づく措置。カーディナル株は上場廃止となる予定。<1431> リブワーク 882 +10大幅に4日ぶり反発。21年7-9月の戸建住宅事業について、受注棟数が前年同期比156%(速報)、受注金額が同179%(同)になったと発表している。少人数のチーム単位での行動管理を的確に行えるようになったことが奏功し、受注数が増加した。ユーチューブチャンネルの効果で見込み客の自社ファン化が進んだことも受注率の上昇に寄与した。4-6月(受注棟数191%、受注金額224%)に続く好業績が投資家から評価されているようだ。<6549> ディーエムソリュ 1305 +300ストップ高。主要物流拠点の日野フルフィルメントセンター(東京都日野市)を大幅に増床したと発表している。EC通販市場の拡大などで取扱量が増大しており、フルフィルメントサービスの受注体制の強化や拡大を図るため。増床により同センターは延床面積が6553平方メートル(1982坪)から1万2415平方メートル(3755坪)と約2倍の広さとなる。今後もEC市場は拡大するとの見方から増床が好感され、買いが集まっているようだ。<4436> ミンカブ・ジ・インフ 3315 0朝高後、値を消す展開。暗号資産取引所システムなどを手掛けるCXRエンジニアリング(東京都千代田区)と資本業務提携すると発表している。共同で暗号資産取引所・FX取引所システムのパッケージを開発して事業を展開するほか、金融商品の保有状況管理や取引をワンプラットフォームで提供可能なサービスを開発する。また、ミンカブ・ジ・インフォノイドはCXRエンジニアリングの第三者割当増資を引き受け、資本参加する。
<ST>
2021/10/06 15:55
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ブイキューブ Research Memo(10):NOPLATベースで連結配当性向20%を目安に、将来的に30%を目指す
■株主還元策ブイキューブ<3681>は2019年12月期に創業来初めて配当を実施し、2020年12月期には1株当たり4.0円配当を実施した。2021年12月期も8.0円と連続増配を予定している。今後の株主還元方針としては、NOPLATベースの連結配当性向で20%をベースに30%を目指す方針としており、今後は収益拡大に伴って配当成長も期待できることになる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<YM>
2021/10/06 15:30
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ブイキューブ Research Memo(9):ESG、SDGsの視点でも目標を設定、取り組みを推進していく
■今後の見通し4. ESG、SDGsの取り組みについてブイキューブ<3681>はESG、SDGsの観点でも事業目標を新たに設定し、その実現に向けた取り組み推進していく方針を明らかにした。具体的には、(1) テクノロジーによる地球環境への貢献、(2) 新しい働き方(選べる働き方)の確立によるEvenな社会の実現、(3) 誰1人取り残さない為のデジタル化、(4) 産業のリモート化、(5) 企業活動を支えるガバナンスの5つを掲げ、取り組み活動及び目標を設定している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<YM>
2021/10/06 15:29
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ブイキューブ Research Memo(8):国内売上高の成長ポテンシャルはイベントDX事業で約353億円と試算
■今後の見通し3. 中期経営計画(1) 基本方針と業績目標ブイキューブ<3681>は2020年11月に3ヶ年の中期経営計画(2020-2022)を発表した。「Beyondテレワーク」をテーマに掲げ、コロナ禍が収束し、テレワークの需要が一巡したとしても、映像コミュニケーションツールの利活用は社会の様々な領域で広がりを見せると予測しており、これらの需要を取り込むことで持続的な成長を目指していく方針となっている。中期経営計画の基本方針は以下の3点となる。1) 経営ミッションとする「Evenな社会の実現」に向けて、テレワークの定着実現と共に、リモートを活用したコミュニケーションDXによる生産性・生活の質の向上を実現する2) 新規事業領域の創出による、グループ全体の持続的な成長の実現3) 企業価値の最大化の為の業績向上と株主還元また、業績目標値については2022年12月期に連結売上高153億円、営業利益35億円、親会社株主に帰属する当期純利益27億円、ROE35%以上を掲げている。売上高の内訳について見ると、イベントDX事業が81億円と最大事業に成長し、エンタープライズDX事業については「SDK」や緊急対策ソリューションなど用途特化型ソリューションの成長により54億円に、サードプレイスDX事業は19億円にそれぞれ拡大する計画となっている。このうち、サードプレイスDX事業については1年前倒しで達成する見込みとなっていることに加え、Xyvidの子会社化や「Touchcast」の寄与により、イベントDX事業についても当初の計画を上回るペースで成長する見通しとなっていることから、2022年12月期の売上高は中期計画目標値を上回る可能性が高いと弊社では見ている。なお、2022年12月期の業績目標値は2020年11月に中期経営計画を公表した時点での数値である。(2) 事業戦略a) エンタープライズDX事業汎用Web会議サービス領域については、コロナ禍による市場拡大が一巡し成熟期に入るなか、キャッシュカウとして安定収益を見込んでいる。レッドオーシャン領域ではあるものの、24時間365日サポート体制によるサービス面での差別化を図ることで、一定水準の売上を維持できると見ている。ただ、ユーザーのネットリテラシーが全体的に上昇することに加え、ツールの機能がさらに向上することでサポート体制の必要性が薄まった場合は、売上を維持することが難しくなる可能性もある。一方で、伸びが期待できる領域として、フィールドワークや緊急対策・災害対策用ソリューションなど用途特化型ソリューションが挙げられる。緊急対策・災害対策用ソリューションについては現時点では未導入の自治体も多く、行政のDXの一環として整備・導入が進む可能性があることから、潜在的な需要は大きい。同社のサービスは、自治体とのネットワークを広く持つNTTグループ各社が代理店となっていることもあり、これらの代理店を通じた導入が進むものと期待される。また、顧客サービス領域では、「SDK」に開発サポート等を付加することで顧客事業/サービスのDXを支援し、売上拡大を目指していく。顧客も様々な業種に広がってきており、今後の成長が期待される。b) イベントDX事業イベントDX事業は、コロナ禍収束後も成長が続く可能性が高い。実際、アフターコロナで先行する米国では、オンラインとリアルのハイブリッド型イベントの開催需要が拡大しており、子会社化したXyvidの売上も好調が続いている。また、同社が実施したイベントの主催者・参加者向けアンケートでも、約85%がコロナ禍収束後もオンライン開催を希望しているとの結果が出ている。同社の調べによると、国内のBtoBイベント、セミナーの開催数は年間で156万回、このうちオンライン化の対象は103万回、外部にアウトソースする対象は28万回と想定しており、これらの市場を「V-CUBEセミナー」「EventIn」や「Touchcast」で取り込むことで、さらなる成長が期待できる。また、イベントDX事業の国内市場規模は約1,068億円(SaaS利用料+サポート費用のみ)と試算しており、将来的にこのうち3割強(約353億円)のシェア獲得を目指している。当面の需要拡大に対応していくためのキャパシティについては、プラチナスタジオを開設することで整備済みである。課題としては、閑散期となる第2四半期のイベント回数をいかに増やしていくかという点が挙げられる。今後の拡大を見込むバーチャル株主総会は6月下旬に集中することから、4~5月のイベントを取り込んでいく必要がある。企業のイベントとしては入社式や会社説明会、新商品発表会等があることから、2021年12月期下期に営業活動を一段と強化することで、これらの新規案件の獲得に注力していく。また、バーチャル株主総会については500社以上の受注を目標としている。通常の株主総会と比べて貸会議場の費用を削減できるほか、株主とより充実したコミュニケーションを取ることができるといったメリットが確認されており、導入が進む可能性は高いと弊社では見ている。なお、複数の大手信託銀行が販売代理店となって営業活動を進めていることもあり、営業費用を抑えながらも受注件数が増える可能性がある。また、バーチャル株主総会をフック役として、その他のオンラインイベントの受注にもつなげていく戦略も掲げている。国内の上場企業数は2021年8月末時点で約3,800社あることから、成長期待は大きい。また、Xyvidの今後の売上見通しについては、2021年12月期見込の7.2百万米ドルから2022年12月期に11.0百万米ドル、2025年12月期に45.2百万米ドルと、今後4年間で4倍増(年平均成長率58%)を目指している。Xyvidの主要顧客はファイザーやバイオジェン、ブリストルマイヤーズなど大手製薬企業のほか、大手健康保険会社や大手会計事務所といったグローバル企業などで、セミナーのほか社内研修用として同社のプラットフォーム「Xyvid Pro」の利用が進んでいる。米国でも「SaaS+Service」のモデルで展開している企業は少ないことから、今後の成長余地は大きいと弊社では見ている。なお、グループシナジーについては、Xyvidが抱える大手顧客の日本やアジアでの売上拡大が期待される。Xyvidは人的リソースの問題から米国内のみのサービス提供にとどまっていたが、同社のグループ会社となったことで、日本やシンガポールの人材リソースを活用できることになる。このため、Xyvidでは今後、グローバル展開している大手顧客に向けて、日本やシンガポールを含むアジア拠点向けのサービス提供も提案していく予定だ。営業利益率は約4割と収益性の高い事業となっており、Xyvidが計画通りに売上を拡大できれば連結業績にも大きく貢献することになるため、今後の動向が注目される。c) サードプレイスDX事業「テレキューブ」については、引き続きオフィスや公共空間での設置を進めていく。顧客ニーズに応じて、1人用~4人用まで幅広い商品ラインナップを提供し、また、初期負担の少ないサブスクリプション方式での提供を強化することで収益の安定性を高めていく戦略となっている。さらに今後は、「テレキューブ」で利用可能な付加価値アプリやIoTソリューションの開発を進めていくほか、公共エリアでの予約・空間管理ソフトウェア「テレキューブコネクト」を、国内外問わず様々なサードブレイスの予約管理・運営のソフトウェアとして横展開し、インフラサービスへと進化させていくことを目標としている。同社では、将来的な市場規模は約1,056億円(コンテンツ・広告収入含まず)、このうちサブスクリプション・ロイヤリティ収入は約250億円と試算しており、このうち約7割のシェア(約175億円)獲得を目標としている。需要台数では企業向けで36万台(50人に1台の割合)、公共空間向けで8万台の合計44万台が最大需要となり、成長ポテンシャルは大きい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2021/10/06 15:28
注目トピックス 日本株
ブイキューブ Research Memo(7):業績上振れ分は2022年12月期以降の成長加速への投資に振り向ける方針
■今後の見通し1. 2021年12月期業績の見通しブイキューブ<3681>の2021年12月期の連結業績は、売上高で前期比57.0%増の13,000百万円、営業利益で同129.4%増の2,400百万円、経常利益で同125.5%増の2,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同75.7%増の2,000百万円となる見通し。2021年4月に発表した上方修正値(売上高12,200百万円、営業利益2,400百万円、経常利益2,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,000百万円)に対して、売上高を再度上方修正した。売上高の上方修正要因は、主にサードプレイスDX事業の増額(約2億円)と、Xyvidの子会社化に伴う上乗せ効果(約4億円)による。営業利益に関しては、サードプレイスDX事業で1.6億円増額した一方で、イベントDX事業で1.5億円を減額している。一方で、Xyvidについては下期に1.5億円の営業利益、のれん償却額0.5億円となり、合わせて1億円の上乗せ要因となるため、単体のイベントDX事業だけで見れば2.5億円を減額したことになる。なお、下期はさらに売上高が伸長することで利益が上振れる可能性もあるが、上振れた部分に関しては2022年12月期以降の成長加速に向けた新規顧客獲得のための投資(広告宣伝費、営業拡大費用等)に振り向ける方針を示している。新たに提供を開始したバーチャル空間型イベントプラットフォーム「Touchcast」は、2022年12月期以降に本格的に売上貢献を開始する見込み2. 事業セグメント別見通し(1) エンタープライズDX事業エンタープライズDX事業の売上高は前期比6.6%増の4,987百万円、セグメント利益は同23.5%増の1,039百万円となる見通し。汎用Web会議サービスについては、競争激化が続くことから前期比横ばいの30億円と見ているものの、好採算の「SDK」が同67%増の9億円と引き続き拡大することが増収増益要因となる。「SDK」の用途別構成は、エンターテイメント領域やSNS/メディアでのライブ配信等が全体の過半を占めているが、そのほかの分野での導入も進んでおり、今後も右肩上がりの成長が期待される。一方、緊急対策・災害対策用ソリューションは同20%減の4億円、海外子会社で展開するLMS/TMSは同12.5%減の7億円と減収見込みであるものの、いずれも2022年12月期以降は上向きに転じる見通しとなっている。(2) イベントDX事業イベントDX事業の売上高は前期比131.1%増の6,073百万円、セグメント利益は同151.8%増の1,448百万円となる見通し。2021年12月期下期は季節要因により製薬業界向けWebセミナーの需要が拡大するほか、その他イベントのオンライン開催需要も強いようで、引き続き高単価案件を中心に受注が拡大する見通しとなっている。これは、「SaaS+Service」モデルの差別化が高成長につながっていることに加え、Xyvidの業績が下期から加わることも増収増益要因となる。2021年12月期のイベント配信回数については期初段階で14,000回以上を目標としていたものの、開催規模の大きい高単価案件の需要が想定以上に拡大していることから、10,000回以上(うち、Xyvidで500回)に変更している。それでも前期の4,753回から2倍以上に拡大する見通しだ。一方、1回当たり平均単価については期初段階で40万円弱の水準を想定していたが、55万円台と前期並みの水準に引き上げている。配信回数のキャパシティについては1日当たり100件、1か月で2,000~2,500回まで対応できるように能力を増強した(会社計画での開催数ピークは11月の1,500回強)。また、同社は新たなサービスとして、米Touchcast Inc.が開発・提供しているバーチャル空間型イベントプラットフォーム「Touchcast」の国内独占販売契約を2021年8月に締結し、提供を開始したことを発表した。同プラットフォームはリアルイベントのような没入感や臨場感のある参加体験を実現できる点が高く評価され、グローバル企業での大規模イベントで多く利用されるなど、年間売上実績は10億円を超える規模となっている。「Touchcast」と同社が培ってきたオンラインイベントの配信サポート、運用ノウハウ、スタジオを活用することで、大型イベントの受注拡大を目指していく。利用シーンとしては、企業の大規模PRマーケティングイベント、新製品サービスローンチイベント、顧客・パートナー向けサミット、アワードセレモニーイベント、IRカンファレンスなどを想定している。1案件の平均単価が1千万円以上となるため、利用企業は大企業やイベント会社などに限定されるものの、限界利益率は60~65%程度が期待できることから、収益面での貢献が期待される。2022年12月期以降のイベントDX事業の成長加速につながるサービスとして注目される。(3) サードプレイスDX事業サードプレイスDX事業の売上高は前期比99.1%増の1,941百万円、セグメント利益は同205.5%増の608百万円となる見通し。企業向けの需要拡大に加えて、ワークスタイルの変化によるリモートワーク用個室空間として、公共空間(駅構内やオフィスビルエントランス、複合施設等)向けの設置も一段と進む見通しだ。「テレキューブ」の設置・販売台数は、期初段階で前期比1.5倍増の2,500台(企業向けが同1.4倍増の2,200台、公共空間向けが同1.5倍増の300台)を計画している。企業向け(サブスクリプションを含む)に関しては第2四半期までに2,059台を販売しており、さらなる上乗せが期待できる。特に、2021年2月から共同開発品の販売を開始しているアイリスチトセからのロイヤリティ収入が、第3四半期から寄与してくるものと見込まれる。一方、公共空間向けに関しては、第2四半期までで93台と通期計画に対する進捗率は30%強と低くなっているものの、OEM先となるJR東日本は2023年度までにシェアオフィス事業「STATION WORK」を1,000ヶ所の展開目標を掲げているほかJR西日本(西日本旅客鉄道<9021>)にも展開を開始しており、下期に挽回できると同社では見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2021/10/06 15:27
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ブイキューブ Research Memo(6):イベントDX事業への積極投資により、固定資産及び有利子負債が増加
■業績動向3. 財務状況ブイキューブ<3681>の2021年12月期第2四半期末の資産合計は前期末比3,519百万円増加の13,550百万円となった。Webセミナー配信用スタジオであるプラチナスタジオの新設に約7億円、機材関連の購入に約2億円の投資を実施したことなどにより、有形固定資産が1,241百万円増加したほか、ソフトウェア資産※が416百万円、Xybidの子会社化に伴いのれんが1,553百万円それぞれ増加した。※ソフトウェア及びソフトウェア仮勘定の合算。負債合計は前期末比2,951百万円増加の9,157百万円となった。プラチナスタジオの設備投資資金並びにXyvidの株式取得資金等を借入金で調達したことにより、有利子負債が2,457百万円増加したほか、資産除去債務が230百万円増加した。また、純資産合計は前期末比567百万円増加の4,392百万円となった。親会社株主に帰属する四半期純利益910百万円を計上した一方で、自己株式が299百万円増加(減少要因)した。経営指標を見ると、借入金を増額したことで自己資本比率が前期末の37.8%から32.1%に低下し、ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)もマイナス幅が前期末比で2,395百万円拡大するなど、財務内容はやや悪化したものの、将来の成長に向けた積極的な投資によるものであり、前向きに評価したい。なお、Xyvidの全株式取得費用として15百万米ドルを支払っているが、アーンアウト条項※を定めている。具体的には、2021年12月期及び2022年12月期の業績達成度合いに応じて、15.5~39百万米ドルを旧株主に対して追加で支払う契約となっている。同社では、これらの資金については長期借入金で賄う予定にしており、今後のXyvidが獲得するフリーキャッシュ・フローによって返済していくことにしている。※M&Aにおける対価の調整方法の1つで、クロージング時における対価支払に加え、クロージング時から一定期間内に、対象会社の業績指標等の目標の達成度合いに応じて追加的な対価を支払う仕組みを言う。M&Aを行う際に段階的に対価を支払うことで、投資リスクを軽減する手法。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2021/10/06 15:26
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ブイキューブ Research Memo(5):イベントDX事業とサードプレイスDX事業の高成長が続く
■ブイキューブ<3681>の業績動向2. 事業セグメント別業績(1) エンタープライズDX事業エンタープライズDX事業の売上高は前年同期比8.7%増の2,423百万円、セグメント利益は同43.4%増の461百万円となった。主力サービスの売上動向を見ると、「V-CUBEミーティング」等の汎用Web会議は、前年同期の14.7億円から15.9億円に増加した。2020年12月期第2四半期以降、コロナ禍を契機としたWeb会議需要の拡大により増収となっているが、2021年12月期第2四半期単独で見ると8.2億円から7.2億円に減少している。毎月課金のクラウド提供とオンプレミス提供による一時的な増減が発生する収益モデルをベースに、同領域はZoomやMicrosoftなど大手外資系ベンダーも参入し競争が激しい市場であることから、需要が旺盛なイベントDX事業やその他の付加価値サービスにリソースを投入する方針のため、今後も横ばいのトレンドが続く見通しだ。一方で、高付加価値サービスである「SDK」は、サービスのオンライン化やライブ配信の需要拡大に加えて様々な機能を付け加えたいという顧客ニーズの増加を背景に、売上高は前年同期の1.4億円から3.5億円と2.5倍に拡大した。加えて、限界利益率が60%と高いことから、エンタープライズDX事業の増益にも寄与した。「SDK」は利用時間に応じて料金が課金されるため、顧客数と利用時間の増加に伴って売上高も成長するビジネスモデルであるが、2021年12月期第2四半期末の顧客数は、エンターテイメント業界や健康サービス業界向けを中心に125社(前期末比18%増)と好調に推移した。また、SaaSビジネスのKPIとなるARR※1は7.3億円、NRR※2は116%となった。※1 ARR(年間経常収益):利用分数従量課金の年間売上高。2021年12月期第2四半期のARRは、同期間の売上を年換算したもの。※2 NRR(売上継続率):利用分数従量課金の売上継続率。2021年12月期第2四半期のNRRは、2020年12月期第4四半期の継続顧客の売上高と、2021年12月期第2四半期の同一顧客の売上高との比率となる。緊急対策ソリューションの売上高は前年同期の2.1億円から1.4億円に減少した。コロナ禍の影響で営業活動が行えなかったことや、自治体の予算がコロナ禍対策に優先的に振り向けられたことが影響したものと思われる。ただし、自治体のDX投資拡大もあり、2022年12月期以降は増加することが見込まれる。自治体の緊急対策ソリューション導入率は都道府県レベルでも10~20%であること、競合が少ないことから、今後の成長余地は大きいと見られる。LMS/TMSは前年同期の3.9億円から3.4億円に減少した。シンガポール子会社の学校向けサービスが減少傾向であることが要因と見られる。同社では、2021年12月期中に学校向けが下げ止まることに加え、2022年12月期以降は企業向けの需要が増加することにより、緩やかながらも増収に転じると見ている。(2) イベントDX事業イベントDX事業の売上高は前年同期比253.7%増の2,606百万円、セグメント利益は同345.4%増の552百万円となった。既述のとおり、コロナ禍を契機としたセミナーや説明会、株主総会などのオンライン化が、2020年12月期下期以降急速に浸透したことが高成長の要因となった。2021年12月期第2四半期累計期間のイベント配信回数は前年同期比262.7%増の4,639回と急増した。これは、2020年12月期の年間配信回数(4,753回)に近い水準である。1回当たり平均単価は前年同期の57.5万円から56.2万円に若干低下したものの、期初計画は40万円弱まで下落する想定であったことを考慮すると、採算の良い高単価案件を中心に獲得できたと言える。一例を挙げると、1回当たり平均単価が100万円以上となるバーチャル株主総会を146社受注した。オンラインとオフラインのハイブリッド形式での株主総会であったが、評価は良好で2022年12月期以降も継続受注が見込まれている。また、2021年6月の法改正によってバーチャルオンリーの株主総会が開催できるようになったこともあり、2022年12月期はバーチャル株主総会を開催する企業数がさらに増加し、同社の売上増にも寄与すると弊社では見ている。KPIについては、ARR※1は期初比96%増の33.9億円、NRR※2は252%と極めて高い。また、継続顧客数は365社、新規顧客の継続率は約6割、月平均解約率は1.14%と継続率が高いことも特徴である(SaaSサービスの月平均解約率は約2%)。※1 ARR:継続顧客からの年間売上高(季節性を考慮して過去12か月間の数値)。2021年12月期第2四半期のARRは、継続顧客の2020年7月から1年間の売上高となる。※2 NRR:継続顧客の1年間の売上継続率。2021年12月期第2四半期のNRRは、2020年12月期第2四半期時点の継続顧客のARRと、2021年12月期第2四半期の同一顧客のARRとの比率となる。(3) サードプレイスDX事業サードプレイスDX事業の売上高は前年同期比230.5%増の996百万円、セグメント利益は同339.9%増の327百万円となった。コロナ禍を契機としたWeb会議の需要が拡大するなか、Web会議を行う「場」の不足により企業向けの需要が急拡大した。注文から納品までのリードタイムが1か月から3か月に伸びるなど、生産体制の増強に追われるほどの好調ぶりであった。2021年12月期第2四半期累計期間の「テレキューブ」設置台数は、前年同期の471台から2,152台に急拡大した。期初計画では通期で2,500台の販売を計画していたことから、計画を大幅に上回る進捗となっている。内訳を見ると、企業向け(サブスクリプション含む)が423台から2,059台、公共空間向けが48台から93台であった。企業向けの大半はロイヤリティ収入のみを売上計上するオカムラ経由の販売であるため、売上高の伸びは台数よりも低くなっているものの、利益率は前年同期の7.9%から16.9%と大きく上昇した。また、公共空間向けに関しては、駅構内やオフィスビルエントランス、複合施設などに加えて、マンションやコンビニエンスストアなどの生活圏内でも導入が進んでいることから、さらなる普及拡大が期待できる。なお、2021年6月時点の公共空間向けの利用率は、前年同月比84%増と好調に推移している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2021/10/06 15:25
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ブイキューブ Research Memo(4):イベントDX事業及びサードプレイスDX事業がけん引し、大幅増収増益
■業績動向1. 2021年12月期第2四半期累計業績の概要ブイキューブ<3681>の2021年12月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比84.5%増の6,026百万円、営業利益で同294.2%増の1,021百万円、経常利益で同252.3%増の938百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同115.7%増の910百万円と、大幅増収増益となった。期初計画に対してすべての項目で上回ったほか、2021年4月に発表した上方修正値に対しても、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する四半期純利益で上回って着地した。すべての事業セグメントで増収増益となったが、なかでもイベントDX事業及びサードプレイスDX事業は売上高で3倍強、セグメント利益で4倍強と急成長し、業績のけん引役となった。セミナーや説明会、株主総会など各種イベントのオンライン開催が浸透したことに加えて、「テレキューブ」の需要も企業向けに大きく伸長したことによる。売上総利益率は、増収効果や売上構成比の変化により前年同期の46.4%から47.7%に上昇した。販管費についても、営業・マーケティング部門を中心に人員体制の強化を図ったことで人件費を中心に前年同期比47.5%増となったが、増収効果により販管費率は前年同期の38.5%から30.8%に低下した。この結果、営業利益率は前年同期の7.9%から16.9%と大きく上昇している。四半期ベースの業績推移については、2021年12月期第1四半期の売上高3,356百万円、営業利益820百万円から第2四半期は売上高2,669百万円、営業利益200百万円と急減速したように見えるが、これには大きく2つの要因がある。売上高に関しては、イベントDX事業の季節要因が大きい。イベントDX事業では、主要ユーザーである製薬業界向けオンライン講演会の開催数が第2四半期は最も少なく、繁忙期である第1四半期と比較すると大きく落ち込んだように見える。しかしながら、需要そのものは引き続き好調であり、第4四半期の繁忙期に向けて再び増加する見込みである。また、営業利益に関しては、イベントDX事業の能力拡張を図るために、2021年5月に新設したプラチナスタジオ(Webセミナー配信用スタジオ)に約7億円、機材関連の購入に約2億円の投資を実施したことや、下期のイベント開催数の増加に備えるため、外部協力企業の人的リソース(専門の運営スタッフ)確保の維持費用が要因となっている。つまり、外注費が一部固定費化したことにより、減収が営業減益につながった。2021年4月の上方修正発表値に対して、売上高は上回った一方で利益が下振れしたのも、第2四半期にこれらの動きがあったことが要因と見られる。逆に、下期売上高の増加に対して外注費の増加は抑えられることになることから、増収効果により利益の伸びも大きくなることが予想される。2021年12月期第2四半期末の連結従業員数は、前年同期末比112名増の482名となった。このうち2021年6月に子会社化したXyvidの従業員数が30名のため、既存事業ベースでは82名増となる。なお、海外ではシンガポール子会社の人員縮小が続いている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2021/10/06 15:24
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ブイキューブ Research Memo(3):「SaaS+Service」モデルで差別化を図る
■ブイキューブ<3681>の事業概要同社グループは、「いつでも、どこでも、『だれでも』使える」をコンセプトに、ユーザーのPCあるいはスマートフォン、タブレット等のモバイル端末から、インターネットを通じて相手と互いの顔や資料を共有しながら遠隔会議を行うWeb会議サービスやWebセミナー等の映像コミュニケーションサービスの提供を主力事業としている。こうしたサービスをSaaSとして提供するだけでなく、Webセミナーなどオンラインイベントにおいては専門スタッフを配置し、イベントの運営が円滑に進むよう顧客ニーズに合わせてソリューションサービスを提供していることが特徴である。これがZoom等のその他競合ベンダーとの大きな違いで、差別化要因となっている。事業セグメントは、エンタープライズDX事業、イベントDX事業、サードプレイスDX事業の3セグメントで開示している。2021年12月期第2四半期累計の事業セグメント別構成比については、売上高、セグメント利益ともにイベントDX事業が40%台と最も高く、次いで、エンタープライズDX事業、サードプレイスDX事業の順となっている。1. エンタープライズDX事業エンタープライズDX事業では、主に企業内外向けリモートコミュニケーションプロダクトの提供や、業界/用途特化型ソリューションの開発、提供、運用支援などを行っている。主要サービスとしては、汎用Web会議サービスとなる「V-CUBEミーティング」のほか、オンライン営業専用のWeb会議ツール「V-CUBEセールス+」、緊急対策・災害対策用ソリューション「V-CUBEコラボレーション」「V-CUBE Board」、米Qumuの提供する企業向け動画配信プラットフォームサービス「Qumu」、顧客企業が自社サービスにビデオ通話やライブ配信機能など付加機能を組み込むことができる「SDK」(ソフトウェア開発キット)、シンガポール子会社で展開するLMS/TMS※などがある。また、汎用Web会議サービス市場はコモディティ化しているとの経営判断から、Zoomの販売代理店にもなっており、顧客ニーズがあれば「Zoomミーティング」の販売(サブスクリプション契約)も行っている。※シンガポール子会社のWizlearn Technologiesが開発・運営しているサービスで、LMS(Learning Management System)は学校向け学習管理用プラットフォーム「ASKnLearn」、TMS(Teaching Management System)は企業向け教育研修管理用プラットフォーム「Wizlearn」としてそれぞれ提供している。各サービスはSaaSとしてクラウド上で提供され、売上形態は月額で課金するサブスクリプションモデルが大半となっている。オンプレミス型は自治体向けの緊急対策・災害対策用ソリューションなどの一部にとどまっている。また、シンガポール子会社Wizlearnが展開しているLMS/TMSについてもクラウドサービスとして提供されている。同子会社では従来、学校向けが売上の過半を占めていたが、2019年以降政府が内製化方針を打ち出した影響で学校向けが減少し、2020年以降は企業向けが学校向けを逆転している。直近では学校向け売上の減少は底を打ち、今後はWizlearn売上の2~3割の売上を見込む。2. イベントDX事業イベントDX事業では、様々な分野におけるイベントのリモート化を実現するソリューションサービスを提供している。「V-CUBEセミナー」や「EventIn(イベントイン)」といったプロダクトの提供と合わせて、専門の技術スタッフを現場に派遣し(2人程度)、イベントの運営がスムーズに行われるよう運営支援を行うサービスで、高い顧客満足度を得られる「SaaS+Service」型のビジネスモデルとなる。競合となる外資系ベンダーはツールのみの提供にとどまっていることから、「Service」の必要性を感じる企業や、オンラインイベントでの運営トラブル発生を避けたい企業の需要を取り込むことで、2020年以降急成長している。主な用途としては、製薬業界向けでプロモーション施策として利用されているオンライン講演会のほか、就職・採用オンライン説明会、バーチャル株主総会や決算説明会等が挙げられる。製薬業界向けオンライン講演会など「V-CUBEセミナー」による配信サービスを多く利用する企業については、顧客の希望に沿った日時・場所で配信サービスを行うが年間開催枠を用意してサービス提供しているため、実質的にサブスクリプションサービスとなっている。また、2020年11月より従来のオンラインイベントの課題を解決する新たなサービスとして「EventIn」の提供を開始している。オンラインイベント後に、講演者に個別質問したり、企業ごとに分かれて商談・面談を行うことが可能で、ほぼリアルのセミナーに近いサービスを実現している。また、参加者のイベント中の行動履歴などを取得し、出展者に詳細なデータを提供でき、イベントセミナーの開催効果をより一段と高めることが可能なサービスとなっている。そのほか、2021年6月より連結子会社化に加わった、米Xyvidのサービスも同事業セグメントに含まれる。Xyvidも米国でセミナーや講演会などのイベント向けに「SaaS+Service」モデルでイベントDX事業を展開している。従業員数は30名(2021年6月末時点)であるものの、顧客企業は大手金融機関やコンサルティング会社などのグローバル企業20~30社程度となる。2020年12月期の業績は売上高で5.4百万米ドル、営業利益で1.6百万米ドルと既に収益化していることから、今後はグループ連携を図ることでシナジーを高めていく戦略となっている。3. サードプレイスDX事業サードプレイスDX事業は、2017年より販売を開始した個室型スマートワークブース「テレキューブ」を提供している。企業内においてはリモート文化が普及したことで出社時もWeb会議を行うことが増え、周囲のノイズが入らないようにするために利用する会議室や個室不足を解消する場として、また、駅構内やオフィスビルエントランス、複合施設など公共空間でテレワーク等を行う場として、コロナ禍を機に急速に需要が拡大している。営業展開は、一般企業向けと公共空間向けの2つの市場に分けて進めている。一般企業向けについては、同社及び販売代理店のほか、共同開発及び製造委託先であるオカムラやアイリスチトセ(株)(2021年2月発売開始)で販売している。2019年12月期第4四半期からは顧客ニーズに応えて、初期投資負担が軽い月額サブスクリプションモデルでのサービスも開始している。同社及び販売代理店での販売については、売り切りモデル及びサブスクリプションモデルでの提供での収入が売上高として計上される。一方、オカムラ及びアイリスチトセで販売されたものについては、同社が一定のロイヤリティ収入を受け取り、売上高として計上している。このため、オカムラ及びアイリスチトセ経由での販売が増加すれば、利益率が上昇することになる。一方、公共空間向けについては、持分法適用関連会社のテレキューブサービス(出資比率30.2%)やOEM(他社ブランド名でのサービス提供)先のJR東日本(東日本旅客鉄道<9020>)に販売している。テレキューブサービスでは、都心のオフィスビルエントランスや各私鉄の駅構内、商業施設や複合施設、マンション、コンビニエンスストアなどに順次設置を進めており、個人・法人会員向けからの利用料金を売上に計上する(個人会員の場合、利用料金は250円/15分)。JR東日本向けについては、2019年8月より開始したシェアオフィスサービス「STATION WORK」で設置されるブース型シェアオフィス「STATION BOOTH」の筐体として「テレキューブ」を採用しており、都内の駅から順次設置を進めている。同社の業績としては、テレキューブサービスやJR東日本への「テレキューブ」の販売(売り切りモデル)が売上高として計上されるほか、テレキューブサービスの利益が持分法による投資損益として営業外収支に計上されることになる。ただ、テレキューブサービスについては設置台数を拡大する先行投資段階となるため、当面は損失計上が続く見通しとなっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2021/10/06 15:23
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ブイキューブ Research Memo(2):2021年6月に同業の米Xyvidを子会社化するなど、攻めの経営にシフト
■会社概要映像コミュニケーションのDXカンパニーとして、Evenな社会の実現を目指す1. 会社概要ブイキューブ<3681>は映像コミュニケーションツールの企画、開発、販売、運用、保守を手掛け、国内外の法人企業、教育機関、官公庁などのユーザーに対して映像コミュニケーションサービスを提供する。映像コミュニケーション市場の黎明期であった2004年にWeb会議システムを自社開発し、改良を加えて同市場へ参入。高品質でユーザー目線のきめ細かなサービスとラインナップの充実、24時間・365日のサポート体制などが評価され、Web会議「ASP(クラウド)型」及び「ASP(クラウド)型+SI(オンプレミス)型」市場において、長く業界をリードしてきた。また、オンラインイベントにおいて「SaaS+Service」モデルで配信プラットフォームとして「V-CUBEセミナー」等を提供することに加え専門スタッフが運営を支援する配信サポートを長年行っており、コロナ禍を契機としてイベントのオンライン開催・参加が普及し2020年以降急拡大している。2017年には、テレワークに最適な作業空間となる個室型スマートワークブース「テレキューブ」を開発、企業向けや公共空間向けに販売・設置を進めている。同社はコーポレートミッションとして、「Evenな社会の実現~すべての人が平等に機会を得られる社会の実現~」を掲げており、大都市一極集中や少子高齢化社会、長時間労働、教育/医療格差などの社会課題を、ビジュアルコミュニケーションを通じて解決し、社会を担うすべての人が機会を平等に得られる社会の実現を目指している。2021年12月期第2四半期末の連結子会社は国内1社、海外6社(シンガポール3社※、米国2社、タイ1社)、持分法適用関連会社1社となり、連結従業員数は482名(うち国内351名、海外131名)となっている。※シンガポールの統括及び開発を担っていたV-cube Global Servicesについては、2021年内に清算予定。2. 沿革同社の前身は、創業者で同社代表取締役社長の間下直晃(ましたなおあき)氏が慶應義塾大学在学中の1998年10月に、Web制作やアプリ開発などWebソリューションの提供を行うことを目的として設立した有限会社ブイキューブインターネットである。2001年1月に事業の本格化に合わせて株式会社へ改組し、2002年12月に社名を株式会社ブイキューブに改称した。2003年に米国に進出し、2004年に現在の主力商品であるWeb会議システム「nice to meet you」(現 「V-CUBE」)の販売を開始した。当時はそのほかにも複数の事業を行っていたが、2008年9月に起きたリーマンショックを契機に映像コミュニケーションサービスに対する需要が高まったことや、クラウド型サービスに対するユーザーの理解度が深まったことを受けて、映像コミュニケーションサービス事業に集中することを決断し、2010年5月にはサービス名を「nice to meet you」から「V-CUBE」へ変更した。2009年以降は、マレーシアやシンガポール、インドネシア、中国、タイとアジア圏での事業拡大を進めたが、ここ3~4年の間で、国内において「働き方改革」に取り組む企業が増え、テレワークに対する需要も高まってきたことから、国内での事業拡大に経営資源を振り向けるべく、海外子会社については一部を売却し、現在はシンガポール、タイ、米国のみとなっている。また、国内においても筋肉質な収益体質に転換すべく、M&Aで取得した電子黒板サービス事業を2018年12月に(株)エルモへ売却したほか、2019年4月にはアイスタディ(株)(現 クシム<2345>)の株式を(株)カイカ(現 CAICA<2315>)に売却するなど、スリム化を進めた。一方、新規事業として2018年12月に公共空間(駅、オフィスビル、商業施設等)向けの「テレキューブ」の企画・開発・提供等を行う子会社としてテレキューブ(株)を設立し、2019年8月には「テレキューブ」の製造を担当するオカムラ<7994>、三菱地所<8802>などと合弁で、運営会社となるテレキューブサービス(株)(持分法適用関連会社)を設立している。また、2021年6月には米国でWebセミナー等のプラットフォームサービスを提供するXyvidを子会社化するなど、コロナ禍を契機とした市場環境の変化を成長の好機と捉え、攻めの経営に転じている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2021/10/06 15:22
注目トピックス 日本株
ブイキューブ Research Memo(1):好調事業の成長に加え、M&A効果により成長ポテンシャルがさらに高まる
■要約ブイキューブ<3681>は、オンラインイベント「V-CUBEセミナー、EventIn」やWeb会議「V-CUBEミーティング、Zoom」、スマートワークブース「テレキューブ」などオンラインによる映像コミュニケーションサービスを展開する国内最大手。SaaS(Software as a Service)の提供と合わせて各種オンラインイベントが円滑に進むよう、プロフェショナルサービスを組み合わせて提供する「SaaS+Service」モデルで競合との差別化を図っている。また、2017年より販売を開始した個室型スマートワークブース「テレキューブ」も、企業向けだけでなく駅構内や複合施設など公共空間向けへの導入も進み、急成長している。1. 2021年12月期第2四半期累計業績の概要2021年12月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比84.5%増の6,026百万円、営業利益で同294.2%増の1,021百万円と大幅増収増益に加え、2021年4月に発表した上方修正値(売上高5,700百万円、営業利益1,000百万円)に対しても上回って着地した。すべての事業セグメントで増収増益となったが、なかでもイベントDX事業及びサードプレイスDX事業は売上高で3倍強、セグメント利益で4倍強と急成長し、業績のけん引役となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)が続くなか、セミナーや説明会、株主総会など各種イベントのオンライン開催が浸透したことに加えて、「テレキューブ」の需要も企業向けに大きく伸長したことによる。なお、2021年12月期第2四半期累計期間の「テレキューブ」設置台数は、前年同期の471台から2,152台に急拡大した。期初計画では通期で2,500台の販売を計画していたことから、計画を大幅に上回る進捗となっている。2. 2021年12月期業績の見通し2021年12月期の連結業績は、売上高で前期比57.0%増の13,000百万円、営業利益で同129.4%増の2,400百万円の見通し。2021年4月に発表した上方修正値(売上高12,200百万円、営業利益2,400百万円)に対して、売上高を再度上方修正した。これは主にサードプレイスDX事業の増額と、2021年6月に子会社化した米国のXyvid Inc.(ザイビッド)の上乗せ効果(約4億円)による。一方、売上高が伸長することで利益が上振れる可能性もあるが、上振れた部分に関しては2022年12月期以降の成長加速に向けた新規顧客獲得のための投資に振り向ける方針を示している。Xyvidは、米国でセミナーや講演会などのイベント向けに「SaaS+Service」モデルでイベントDX事業を展開している。顧客企業はグローバル企業が多く、今後のシナジーが見込めることから子会社化した。2025年12月期に45.2百万米ドルの目標を掲げていることから、同社の連結業績に今後大きく貢献する可能性がある。なお、今回の子会社化に際して、アーンアウト条項を定めており、2021年12月期及び2022年12月期の業績達成度合いに応じて、15.5~39百万米ドルを旧株主に対して追加で支払う契約となっている。同社では、これらの資金については長期借入金で賄う予定にしており、今後のXyvidが獲得するフリーキャッシュ・フローによって返済していくことにしている。3. 中期経営計画同社は2020年11月に3ヶ年中期経営計画(2020-2022)を発表している。「Beyondテレワーク」をテーマに掲げ、Webによる映像コミュニケーションサービスは、コロナ禍収束後のニューノーマルな時代においても、利便性や費用対効果の高さなどから様々な領域で利活用が進むと見ており、こうした需要を取り込んでいくことで高成長を目指す方針だ。特に、「SaaS+Service」の差別化が生かせるイベントDX事業やサードプレイスDX事業については、2022年12月期以降も成長ドライバーとして期待される。業績目標としては、2022年12月期に売上高で153億円、営業利益で35億円を掲げているが、サードプレイスDX事業の売上高については1年前倒しで達成できる見込みであることに加え、イベントDX事業についてもXyvidの子会社化やオンライン株主総会の本格化、並びに高付加価値サービスとなるバーチャル空間型イベントプラットフォーム「Touchcast(タッチキャスト)」の寄与により、さらなる上積みが期待される。なお、株主還元方針としては、NOPLAT(みなし税引き後利益)ベースの配当性向で、2022年12月期には20%をベースに30%(2020年12月期は15%)を目指す方針を示しており、今後は収益拡大に伴って配当成長も期待できることになる。■Key Points・Web映像コミュニケーションツールの提供だけにとどまらず、ソリューションサービスも合わせて提供する「SaaS+Service」モデルで差別化を図る・2021年12月期第2四半期累計業績は大幅増収増益、イベントDX事業及びサードプレイスDX事業がけん引・2021年12月期は大幅増収増益の見込み、業績上振れ分は2022年12月期以降の成長加速に向けた投資に振り向ける方針・国内売上高の成長ポテンシャルはイベントDX事業で約353億円、サードプレイスDX事業で約175億円と試算(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2021/10/06 15:21
注目トピックス 日本株
プラッツ Research Memo(9):2022年6月期は配当性向30.0%、年33円配当を計画
■株主還元策プラッツ<7813>は、株主への利益還元を経営の重要な政策と位置付けており、利益の状況や将来の事業展開等を総合的に勘案しながら、配当による利益還元(目標配当性向30%)を行っている。2021年6月期は、第1四半期の業績と通期予想を発表した際に、年間1株当たり配当金を20円とした。第2四半期の決算発表時に、通期予想を上方修正したことから、予想1株当たり配当金を27円に引き上げ、最終的には32円で着地した。配当性向は、38.1%となった。2022年6月期は、30.0%の配当性向を前提に年33円の配当を計画している。株主優待制度として、毎年6月30日現在の保有株式数と継続保有期間に応じて、全国共通の商品券「クオカード」を年1回進呈する。100株以上所有する株主が対象となる。継続保有期間が1年未満で、保有株数が100株以上500株未満の株主にはクオカード500円分、500株以上1,000株未満が1,500円、1,000株以上が2,500円分となる。継続保有期間が1年以上の場合は、それぞれ1,000円分、3,000円分、5,000円分となり、長期保有株主により報いる形態をとる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2021/10/06 15:19
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プラッツ Research Memo(8):中期経営計画では、2023年6月期以降に着実な増益を見込む
■プラッツ<7813>の今後の見通し2. 中期経営計画ローリング方式による新たな3ヶ年中期経営計画を開示した。最終年度となる2024年6月期の目標値は、売上高が8,450百万円、営業利益が700百万円、経常利益が750百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が500百万円となる。2021年6月期に前回の経常利益目標であった800百万円を2期前倒しで達成したものの、前述のように原材料価格の高騰、物流費の上昇、円安(3期間の前提レートを1米ドル当たり110円で想定)を踏まえ、今回の3ヵ年中期経営計画では初年度の2022年6月期に増収減益、その後の2期間は着実な増収増益を計画している。売上高の市場別予想では、福祉用具流通市場で堅調な成長を維持し、医療・高齢者施設市場でより高い成長を企図している。コロナ禍による市場への影響度の違いなどを勘案して計画を見直した。2024年6月期の売上高計画における市場別内訳は、福祉用具流通市場が72.8%(2021年6月期実績:77.4%)、医療・高齢者施設市場が20.7%(同18.0%)、家具流通市場が1.8%(同1.9%)、海外市場が4.7%(同2.6%)を見込む。コロナ禍の収束を見据え、2023年6月期以降に海外市場の販売増を図る。中期経営方針・戦略に大きな変更はない。引き続き国内販売体制の強化、製品ラインナップと事業領域の拡大、製品コストダウン、販管費率の低減、海外市場の強化、そしてコロナ禍や自然災害といった環境変化に適応した体制づくりになる。市場別では、福祉用具流通市場に比べマーケットシェアが低い医療・高齢者施設市場の拡販と海外市場の開拓を推進する。同社は、二極化する市場のなかでも、顧客・利用者が求める機能に的を絞った商品のバリュエーションを充実させる。パラマウントベッドホールディングスの2021年3月期の品目別構成比を見るとベッドが30.0%、マットレスが5.9%、病室・居室用家具が8.4%、医療用器具備品が8.6%、レンタルが26.4%、部品等が4.3%、その他が16.4%であった。マットレスと病室・居室用家具の売上規模は、ベッドの5割弱となる。同社もマットレスやベッドの周辺機器のラインナップを拡充することで、取引先を広げ、1件当たりの販売金額の拡大を図る。日本の医療・介護用ベッド市場は、高齢者人口の増加という追い風が吹く。同社は、これまでの成長の原動力となる「高品質」「高機能」「低価格」を徹底し、市場を上回る成長を成し遂げた。今後も基本方針を堅持して、強い競争力を維持する。福祉用具貸与事業者とは、これまでの通りWin-Winの関係を維持する。また、後継者問題を抱える福祉用具貸与事業者などのM&Aを推進する。他社は貸与事業が大きく、同社の取引先である貸与事業者とは競合の関係にある。3社は、3ヵ年中期経営計画を開示している。後発の同社は、他社よりも事業規模が小さいことともあり、これまでの成長性が最も高い。2018年6月の売上高を100とすると、2021年6月期に127となり、2024年6月期は152に上昇する計画となる。同様に営業利益の推移を見ると、2021年6月期が目標をほぼ2年前倒しで549へ急増した。原材料価格の高騰などにより、2022年6月期に454へ一旦落込み、その後回復トレンドに乗り、2024年6月期は530へ戻る計画である。2024年6月期の売上高営業利益率は8.3%を予想している。パラマウントベッドホールディングスは、2021年3月期の売上高が114となった。2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」の適用により連続性を保てない。比較のため、あえてそのままで傾向をたどると、2022年3月期は105へ低下し、2024年3月期は115になる。営業利益は、2021年3月期の109に対し2024年3月期が113である。フランスベッドホールディングスは、最も野心的な目標値を掲げている。2024年3月期までの3ヵ年で2021年3月期比12.5%の増収と同49.4%の増益を計画している。売上高は、2021年3月期が100と過去3年間で成長が見られなかった。それを、2024年3月期までに113へ増加させ、営業利益を2021年3月期実績の125から2024年3月期に186へ引き上げる計画でいる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2021/10/06 15:18
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プラッツ Research Memo(7):2022年6月期は7.2%の増収も、円安などで17.2%の営業減益を予想
■今後の見通し1. 2022年6月期の連結業績予想プラッツ<7813>の2022年6月期の業績予想は、売上高は前期比7.2%増の7,550百万円、営業利益が同17.2%減の600百万円、経常利益が同25.6%減の650百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同30.8%増の400百万円となる。利益の圧迫要因は、原材料価格の上昇と物流費の高騰、円安である。2021年6月期の営業利益は、第3四半期の決算発表時に通期予想を上方修正したものの、第4四半期に失速し、計画未達に終わった。2022年6月期の期初予想では、2021年6月期第4四半期の原材料価格の高騰や海上運賃など物流費の上昇の影響が、通期で残るという前提で予算を立てた。コンテナ船運賃は、2020年夏から3〜4倍に急騰した。現在の“異常な水準”が続くことを前提としている。海運業界では、海上運賃が10月の中国の国慶節で工場の稼働が止まり、荷動きが落ち着く可能性があるとしていたが、コロナ禍の影響による物流の目詰まりと経済回復により2022年2月の春節まで続くとの見方も出てきた。一方、ベトナムは、ロックダウンと工場隔離を続けているが、同時に経済活動を回復する動きも出てきおり、再稼働する工場が増えている。予算上の為替レートは、1米ドル当たり110円と前期比3.43円の円安としている。為替感応度では、1米ドル当たり1円の変動により売上総利益率が0.5ポイント上下することになる。2022年6月期は、新製品効果が期待される2022年6月期は、新製品効果が期待される。前述したように、医療・高齢者施設市場向けにハイスペックモデルの「アスピーノ」を、2021年6月に発売した。在宅介護用電動ベッドでは、上位モデルの新製品の発売が2022年1月に予定されている。スタンダードモデルの「Miolet III」は、「低床」「省スペース」「移乗ののしやすさ」「身体のズレ抑制」などの利用者のメリットだけでなく、サイズ及び機能変更によって在庫負担を軽減するほか、パーツの軽量化で作業者の腰痛予防につながるなど、取扱事業者の「働き方改革」をサポートする仕様が人気を博した。市場のニーズは、低価格なスタンダードモデルと高機能な上位モデルに二極化している。同社のモデルチェンジは4年おきだが、それぞれのシリーズを2年ほどずらすことにより、隔年毎にどちらかの新製品を市場に投入することで業績に大きな波が生じることがないようにしている。新製品の仕様や特長は未だ開示されていないが、従来通り設計段階からコストダウンを行っていることが推察される。周辺機器では、2020年12月にベッドサイドテーブル「PT03シリーズ」を発売した。ベッドとの挟み込みリスクに配慮した安全機構や特許出願中の天板のがたつき軽減機構を搭載している。2021年7月には、体圧分散性に動きやすさをプラスした床ずれ防止マットレス「ゼロソア」を発売した。本製品では中材に高弾性ウレタンを使用し、優れた体圧分散性と適度な反発力でマットレス上での動きやすさを両立している。伸縮性の高いウレタンをベッドの屈曲位置と最下層に使用することにより、厚さ12cm ながらベッドのリクライニングへの追従性を確保した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2021/10/06 15:17
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プラッツ Research Memo(6):2021年6月期の業績は、経常利益が2期前倒しで目標値を達成するなど急成長
■業績動向1. 2021年6月期の連結業績概要(1) 業績概況プラッツ<7813>の2021年6月期の売上高は前期比15.4%増の7,040百万円、営業利益が同29.6%増の724百万円、経常利益が同31.6%増の873百万円と大幅な増益を達成した。親会社株主に帰属する当期純利益は、訴訟損失引当金繰入額(506百万円)を特別損失に計上したため、同39.8%減の305百万円となった。期中平均為替レートは、1米ドル当たり106.57円と前期比1.57円の円高であった。第3四半期決算発表時予想との比較では、売上高が0.8%減、営業利益が9.4%減、経常利益が2.9%減、親会社株主に帰属する当期純利益が2.0%増となった。第1四半期決算時に発表した通期予想(売上高6,200百万円、営業利益660百万円、経常利益700百万円、当期純利益150百万円、1株当たり配当金20.0円)を、第2四半期と第3四半期の決算発表時に増額修正した。コロナ禍による市場の変化を察知し、第1四半期から柔軟な営業活動をしたことが奏功した。最終的な期末の1株当たり配当金は32円となった。営業利益の増減要因は、増加要因が売上高の増加による382百万円と利益率向上による3百万円、減少要因が販管費の増加による219百万円であった。販管費では、物流費などの変動費が増加した。(2) 販売先市場別売上高2021年6月期の医療介護用電動ベッドの総販売台数は前期比15.8%増の5.7万台となった。市場別売上高動向は、コロナ禍の影響の度合いにより異なった。2020年4月に第1回目の緊急事態宣言が発出されて以降、経営が悪化した医療機関とクラスターの発生が憂慮される高齢者施設向けは、同社及び代理店とも営業活動が制約された。一方、在宅用の福祉用具流通市場は、2020年7月以降に需要が持ち直した。営業活動を強化した福祉用具流通市場においては、主力の介護用電動ベッド「Miolet III」の拡販が図れ、売上高が売上高が前期比14.8%増の5,451百万円となった。医療・高齢者福祉施設市場は同22.8%増の1,269百万円となった。医療機関向けは、コロナ禍で病院経営が悪化しているため伸び悩んだが、介護施設向けが盛り返した。3年前から営業部門を強化しており、その成果が現われた。家具流通市場は国内人口の減少を受けて年々縮小傾向にあり、売上高は同4.8%増の134百万円であった。海外市場の売上高は同3.0%増の184百万円となった。2019年は主力の中国市場で高齢者施設の案件が活発化したが、2020年に入りコロナ禍で下火となった。それに応じて、貸与事業者への販売に注力した。(3) 特別損失 − 訴訟損失引当金繰入2017年7月に、パラマウントベッド(株)(パラマウントベッドホールディングス<7817>の子会社)は、同社に対し特許侵害の訴訟を起こした。3件の特許権を侵害しているとし、損害の一部の支払と販売中のベッド「ラフィオ」シリーズの販売差止を求めた。請求金額は、当初550百万円であったが、2020年6月に1,299百万円に変更してきた。2020年9月に、東京地方裁判所はパラマウントベッドの請求を一部認容し、381百万円及びその遅延損害金を支払う旨の判決を言い渡した。ただし、「ラフィオ」の販売差止の申し立ては退けられた。この判決を受け、同社は2021年6月期第1四半期に請求額及び遅延損害金ならびに弁護士費用等の見込額を訴訟損失引当金繰入額として491百万円を特別損失に計上した。通期の特別損失は506百万円であった。両社とも、判決を不服として、知的財産高等裁判所に控訴した。今後、同社の主張が認められれば、引当金からの繰り戻しが特別利益に、反対に支払う損害金が増えれば特別損失を新たに計上することになろう。2. 財務状況と財務比率、キャッシュ・フロー(1) 財務状況2021年6月期末の総資産は6,213百万円と前期末比1,080百万円増加した。流動資産が820百万円、固定資産が260百万円増加した。流動資産は、現金及び預金と受取手形及び売掛金が増加し、たな卸資産が減少した。長短有利子負債額は、同590 百万円増の2.142百万円であった。(2) 財務比率医療・介護用ベッドの主要上場3社であるパラマウントベッドホールディングス<7817>、フランスベッドホールディングス<7840>と同社の直近期における財務比率を比較した。企業業績の総合的財務比率であるROE(自己資本当期純利益率)は、同社が11.0%と最も高く、パラマウントベッドホールディングスが7.8%、フランスベッドホールディングスが6.1%と事業会社が一般的に目標とすべき8%に達していない。同社のROA(総資産経常利益率)が15.4%と前期より上昇したが、ROEは特別損失を計上したため売上高当期純利益率が悪化し前期よりも低下した。それでも10%超の水準を維持した。ROEは、収益性(売上高当期純利益率)、回転性(総資産回転率)と財務レバレッジの3要素に分解される。3社の中で、同社のバランスが最も良い。パラマウントベッドホールディングスは、売上高当期純利益率が9.9%と極めて高いものの、自己資本比率が73.7%と高く、財務レバレッジが低い。総資産回転率は、同社が1.24回と望ましいとされる1回以上をクリアーしているものの、パラマウントベッドホールディングスが0.58回、フランスベッドホールディングスが0.86回にとどまる。パラマウントベッドホールディングスの回転性の低さは、大きな流動資産に起因する。流動比率は、パラマウントベッドホールディングスの363.2%が図抜けており、同社が230.6%、フランスベッドホールディングスが181.1%となる。本来は安全性比率であるが、資産効率の観点から現預金月商倍率を見る。業種にもよるが、大企業が1ヵ月、中小企業は1.5ヵ月が目安となる。同社の現預金月商倍率は2.6ヵ月であった。他の2社は流動資産に有価証券が記載されているため、現預金と有価証券を合算し手元流動性月商倍率を算出した。パラマウントベッドホールディングスは実に6.7ヵ月に上る。フランスベッドホールディングスは2.9ヵ月である。(3) キャッシュ・フロー2021年6月期末の現金及び現金同等物の残高は1,544百万円と前期末比34百万円増加した。営業活動によるキャッシュ・フローは、1百万円の出金であった。入超が税金等調整前当期純利益、減価償却費、訴訟損失引当金などで、出超は売上債権の増加額、持分法による投資利益やその他になる。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が少額であるため、22百万円の出金となった。財務活動によるキャッシュ・フローは、79百万円の入金になった。長期借入金の返済による支出151百万円、配当金の支払額149百万円、自己株式の取得による支出310百万円等による減少と、長期借入れによる収入700百万円による増加。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2021/10/06 15:16
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プラッツ Research Memo(5):医療機関がハイバックサポート機能を高く評価
■事業概要4. 製品プラッツ<7813>は、「高品質」「高機能」「低価格」をテーマにした製品作りに徹している。これまで、顧客の要望を取り入れた商品企画・開発をしてきた。介護ベッドの価格が数十万円と高すぎるとの声に応えて、1997年に10万円を切る製品を発売した。1998年に、小物を置く場所が欲しいとの要望を受け、業界初の宮付ベッドを販売した。2001年に、介護ベッドは「白」ばかりで、家では使いたくないという意見に対応して、業界初の「木調」介護レンタル対応ベッドを商品化した。後発企業として、価格だけでなく、それまで市場になかったが利用者が求めていた独自性のある商品を企画・開発をしてきた。(1) 高品質経済産業省は、2009年に介護ベッドのJIS規格を選定した。有力企業7社は、JISの工業認証と製品認証を取得している。同社のベトナム製造関連会社は、2013年4月にJIS認証を取得した。(2) 高機能佐賀大学医学部と、介護ベッド及び付属品であるベッド用グリップなどを開発した。共同開発に携わった元佐賀大学医学部准教授の松尾清美氏は、大学時代に脊髄損傷を負い自身も車椅子の利用者だ。製品開発にあたっては、医学的見地だけでなく、実体験に基づく視点からの提案を受けた。同社は、市場別にブランド展開をしている。利用者のニーズに合わせてベーシックタイプから高機能製品とプロダクトラインナップを整えている。2018年11月発売の在宅介護用ベッド「Miolet III」は、利用者にも事業者にも利用しやすい、新たな時代に対応するマルチなスタンダードベッドとなる。ラインナップとしては、樹脂ボード、木製フラットボード、木製宮付ボードがある。「垂直昇降」「3段階のサイズ変更」「パーツの軽量化」を実現し、利用者には、「低床」「省スペース」「移乗のしやすさ」「身体のズレ抑制」などのメリットを提供する。レンタル会社に対しては、サイズ及び機能変更によって在庫負担を軽減するほか、パーツの軽量化で作業者の腰痛予防につながるなど業務効率向上をサポートする。上位機種の超低床介護用ベッド「ラフィオ(Rafio)」シリーズは、ハイバックサポート機能を有する。ハイバックサポート機能は、背ボトムをハイバック(頭−背部)とローバック(腰部)の2つに分け、それぞれの角度を電動で調整する。背上げ時のズレを抑える膝位置のフィッティング機能は、利用者の大腿部の長さに合わせ、パーツの変更なしでひざ脚ボトムの屈曲位置を2段階に調節できるため、ズレの少ない快適な背上げをサポートする。背上げ時に頸部の角度を調節、腹圧を軽減し、嚥下しやすい姿勢を再現する。従来の背上げに比べ、背上げ30°の場合、腰・臀部の最大圧を10%、60°の場合は15%軽減できる。背上げ後の静止状態でのズレ力と圧力を減らすことで、深部組織損傷(DTI)のリスクを低減する。背圧や腹圧を軽減し横隔膜を広げ、呼吸がしやすい快適な姿勢をつくれ、循環器への負荷を抑える。食事介助を効果的にサポートする医療施設用電動ベッドの新製品を投入医療施設用電動ベッドは、2016年8月に「P300シリーズ」を、介護施設向けの「アーデル」を2017年12月に上市した。2021年6月に、食事介助を効果的にサポートする医療施設用電動ベッドの新製品を発売した。「誤嚥(ASPIration)をさせない(NO)看護をサポートする」という想いから「アスピーノ(ASPINO)」と命名された。より使いやすく、毎日の看護によりそうベッドとして開発された。ベッド上での誤嚥リスクの低減や褥瘡予防をサポートする、他商品でも高い評価を得ている同社独自の背上げ「ハイバックサポート機能」を搭載するハイスペックモデルとなる。背上げ時のズレを抑える「フィッティング機能」、省スペースで設置できる「垂直昇降機能」に加え、「液晶手元スイッチ」には新たに体位の管理がしやすい音声読み上げ機能や背上げ角度などのメモリー機能を搭載し、ベッド上の姿勢調整の再現性を高め、患者の体位管理がしやすい仕様とした。頭側、足側さらにそれぞれの左右に合計6ヶ所のキャスターロックペダルを配置し、設置場所を問わずキャスターのロック操作ができる。デザインは樹脂製・木製・スチール製ボードの3種類を揃えた。(3) 低価格生産拠点、生産体制、商品企画において、低価格化のための取り組みをしている。主要生産拠点を、賃金水準が日本の5分の1から10分の1、中国の半分であるベトナムに置く。生産体制は、海外の優良な協力会社や仕入先との協力関係によるファブレス体制を採っている。商品企画では、商品バリエーションを顧客・利用者が求める機能に絞っている。ファブレス企業として企画・開発・設計に特化しており、持分法適用関連会社となる合弁会社に製造を委託している。以前は、台湾資本の在ベトナム企業であるSHENGBANG METALに上工程の金属加工を委託し、同社の現地法人PLATZ VIETNAM CO., LTD.(連結子会社)がアセンブリと品質検査を行う分業体制であった。2015年10月に、SHENGBANG METALに出資し、持分法適用関連会社化した。2019年10月に、同社子会社のPLATZ VIETNAM CO., LTD.の全株式をSHENGBANG METALに譲渡し、SHENGBANG METALが上工程から検査までの全工程を手がけることにした。製造ラインの効率化と間接部門の集約によるコスト削減の成果が出ている。ベトナムからの輸入に使用する通貨は、米ドルである。利益面では、為替と海運市況の変動の影響を受ける。収益構造としては、円高がメリットとなる。海外市場での販売は外-外の取引になる。この分は、決算集計時に為替換算時のレートに影響を受ける。5. 社会貢献活動同社は、福祉関連事業に携わっていることもあり、継続的な社会貢献活動を行っている。東日本大震災、熊本地震、九州北部豪雨などの災害時に、寄付金やマットレス及びベッドを寄付した。それ以外にも、特定非営利活動法人ジャパンハートを通じて同社ベッドの売上の一部を寄付することで、国内外の貧困や医療機関の不足などで医療が届かない地域に医療を届ける活動を支援している。また、認定NPO法人「世界の子どもにワクチンを」日本委員会(JCV)を通じて同じく同社ベッドの売上の一部を寄付することで、開発途上国の子どもへワクチンを届ける活動も支援している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2021/10/06 15:15
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プラッツ Research Memo(4):高齢者施設向け営業は専任部隊を組織化
■事業概要2. 国内事業国内の介護ベッド市場は、介護保険制度の仕組みと密接に関わっている。介護保険制度の枠内での利用かどうか、介護保険制度のなかでも、どこで(自宅、高齢者施設)使われるかによって、介護ベッドの購入主体(プラッツ<7813>から見た販売先)や流通ルートが変わってくる。そうした事情を反映して、同社は国内市場を販売先別に、「福祉用具流通市場」、「医療・高齢者施設市場」及び「家具流通市場」の3つに分けて管理している。同社の市場別売上高の2021年6月期までの3年間の年平均成長率(CAGR)は、福祉用具流通市場が8.4%、医療・高齢者施設市場が10.9%、家具流通市場がマイナス6.7%、海外市場が0.7%であった。家具流通市場は、介護保険制度とは関係のない、一般の家具流通に関連する市場を指す。福祉用具流通市場は、介護保険制度における介護用品レンタル事業や販売に関連する市場であり、主な販売先はレンタル卸業者と介護保険認定事業者となる。三菱商事<8058>系列の福祉用具レンタル卸の大手である日本ケアサプライ<2393>が最大の顧客となる。2021年6月期における同顧客への売上高依存度は2.3%であった。岐阜市に本社を置くトーカイ<9729>や豊田通商<8015>の子会社も主要取引先になる。他の介護ベッド大手は、グループ内に福祉用具レンタル卸を所有しており、非メーカー系卸と競合関係にある。医療・高齢者施設市場は、介護保険制度における高齢者施設及び病院・医療施設の設備に関する市場であり、主な販売先は医療機器または施設設備の販売会社となる。国内の販売体制は、在宅レンタル向け営業の在宅営業部と高齢者施設、病院向けの病院施設営業部に分かれる。高齢者施設(特養、老健、グループホーム、有料老人ホームなど)への営業について、従来はレンタル事業者・レンタル卸事業者向けの営業担当者が兼任という形で行っていた。2019年7月に、高齢者施設向け営業の専任部隊を組織し、なおかつ、病院向け営業部隊と統合した。在宅レンタル向け営業と高齢者施設向け営業は、取扱商品こそ介護ベッドという点で共通だが、販売手法が異なる。病院向けと高齢者施設向けは営業スキル、ノウハウを共有し活用できる余地が大きい。兼任から専任としたことで、営業力が高まることが期待される。膨大な潜在需要がある中国では、横一列の競争に3. 海外市場海外市場は、中国を中心とした東アジアで市場開拓を進めている。販売子会社を置く中国には、病院施設数が25,239と日本の約3倍、病床数は700万床、約7倍と潜在市場規模は膨大だ。中国の介護ベッドは、ローカルメーカーが製造する手動式が主流であり、高機能・高価格の電動ベッドは、日系メーカー同士の競合となる。同社が日本の介護ベッド市場に参入した時、既に業界大手が存在していた。中国においては、ターゲットする市場セグメントで横一列の競争となる。2018年の高齢者人口は、日本の3,508万人に対し、中国は1億5,591万人と4.4倍であった。同社の会社説明会資料※によると、2040年の推計値は日本の3,987万人に比べ、中国が3億4,382万人と8.6倍に拡大する。同社が注目する東南アジア4ヶ国(インドネシア、タイ、ベトナム、マレーシア)の高齢者人口の合計は、2018年の4,037万人から2040年に2.4倍の9,729万人へ増加すると推計されている。WHOの発表による国別中央年齢は、日本が45.9歳、中国が37.4歳、タイが36.9歳、ベトナムが29.8歳、インドネシアが27.8歳、マレーシアが27.4歳となる。中国とタイでは、高齢化が急速に進むことが予測される。※United Nations 「World Population Prospect:The2019 Revision」中国上海市にある連結子会社、富若慈(上海)貿易有限公司は、中国において販売活動を行っている。2021年6月期の海外市場売上高は、184百万円と小さく、売上高構成比も2.6%にとどまるが、大きな潜在需要が存在するため、中長期的な事業展開を目指す。中国よりも人件費の安いベトナムで、日本品質の高機能製品を生産しているため、他社と比べコスト競争力が強い。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2021/10/06 15:14
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プラッツ Research Memo(3):世界的に高齢化が進行、海外市場の伸びしろも大きい
■プラッツ<7813>の事業概要1. 市場動向(1) 高齢者の将来人口推計高齢化が進む日本では、介護ベッド(特殊寝台)市場が安定的に拡大することが予想される。WHO(世界保健機構)の定義では65歳以上の人口が、全人口の7%を超えると「高齢化社会」、14%超になると「高齢社会」、21%超では「超高齢社会」と呼ばれる。日本は、2007年に「超高齢社会」に突入しており、2019年の高齢者の割合は28.4%に達した。日本の年間出生数は、2020年の87.2万人を含む直近3年間合計で約266万人にとどまった。1947年から1949年に生まれた「団塊の世代」の3年間の合計出生数が約806万人(年平均269万人)と直近3年間合計の約3倍に相当する。2025年になると、団塊の世代はすべて75歳以上の後期高齢者になる。第二次ベビーブーム世代となる団塊ジュニアは、1971年から1974年に生まれた。4年間の合計出生数は約800万人、年平均200万人だ。2040年には、65歳以上の高齢者となる。2019年の65歳以上の人口が3,589万人であった。将来人口推計によると、2040年に3,920万人に増加する。この間の65歳以上の人口増加率は、10%足らずだが、75歳以上の人口は、20%超の伸び率となる。(2) 平均寿命と健康寿命厚生労働省のデータ(2016年)によると、男性は平均寿命が80.98歳であるのに対し、健康寿命が72.14歳になる。同様に、女性では、87.14歳と74.79歳である。健康寿命は、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されている。加齢とともに、介護給付を受ける割合が高まる。(3) 医療・介護機能の再編(将来像)厚生労働省の介護に関する方針は、「できる限り、住み慣れた地域で必要な医療・介護サービスを受けつつ、安心して自分らしい生活を実現できる社会を目指す」とある。社会保障制度改革国民会議の「医療・介護機能の再編(将来像)」に関する資料では、介護サービス利用者数が2012年の451万人から2025年に646万人となり、195万人増加する一方で、医療サービス利用者数が133万人から111万人へと22万人減少するとの将来像を描いている。介護サービス利用者数の内訳は、在宅サービスが320万人から429万人へ109万人増、居住系サービスが33万人から68万人へ35万人増、介護施設が98万人から149万人へ51万人増となる。(4) 介護保険による福祉用具(貸与種目)介護保険制度のもとでは、介護ベッド(特殊寝台)や車いすのような福祉用具を使うときに、介護保険の利用ができる。特殊寝台は、サイドレールが取り付けてあるもの、または取り付け可能なものであって、背部または脚部の傾斜角度が調整できる機能、または床板の高さが無段階に調整できる機能、もしくは両機能を有するものになる。特殊寝台付属品は、マットレス、サイドレール等である。同社は、福祉用具流通市場における介護ベッドのマーケットシェアが高くなったため、製品ラインナップを拡充する成長戦略を採っている。介護ベッドに加え、付属品としてはベッド用グリップ、立ち上がりグリップ、サイドレール、ハンドグリップ、テーブル、各種マットレス、離床センサー、施設用木製家具、折りたたみ式運搬台車などを揃えている。福祉用具をレンタルもしくは購入するときは、一定の所得がある場合を除いて費用負担は1~3割で済む。車いすや特殊寝台は、購入よりもレンタルが選択されることが多い。使用期間にもよるが、1割負担の場合は、レンタルの方がコスト的に有利である。また、メンテナンスや身体状態の変化などに応じて機種の変更が可能というメリットがある。(5) 特殊寝台貸与件数特殊寝台貸与件数は増加傾向にあるものの、レンタル料は下落傾向にある。2021年3月における特殊寝台貸与件数は、100万1千件と3年間で10万7千件増加した。一方、1件当たり単位数は33.9下落して842.9となった。単位は、1ヶ月にかかる福祉用具貸与の自己負担額を計算するときに使われる基準で、1単位は10円として計算される。自己負担割合が1割の場合は、単位数がそのまま自己負担額になる。価格競争力が強い同社は、競争優位性を発揮する。(6) 市場におけるポジショニング1996年に同社が市場に新規参入したときは、介護ベッドが数十万円で売られており、一般の人には手の届かない高額商品であった。同社は、試行錯誤の結果、コストダウンに成功し、売価が10万円を切る価格破壊的製品を投入した。単に低価格なだけでなく、高機能との両立を追求した。現在の介護用電動ベッド(2モーター製品)の月額レンタル最頻価格は、他社に対して25%から33%程度低い。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2021/10/06 15:13
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プラッツ Research Memo(2):介護ベッドで販売台数シェア2位、医療用へも進出
■会社概要1. 沿革と会社概要プラッツ<7813>は1992年、現代表取締役会長の福山明利(ふくやまあきとし)氏により、有限会社九州和研として設立された。救急用酸素蘇生機の販売からスタートし、その後医療用備品販売へと業容を拡大した。1995年に現社名に商号変更したのち、1997年から介護用電動ベッドの販売を開始した。「私たちは『高品質』『高機能』『低価格』をテーマに、最高のコストパフォーマンスでお客様の満足を目指す医療・介護ベッドメーカーです」をコーポレートスローガンとしている。2000年に介護保険法が施行され介護保険制度がスタートすると順調に販売を伸ばし、2003年6月期には介護用電動ベッドの販売台数年間1万台を達成した。その後も、国内営業拠点の整備に伴って販売台数を順調に伸ばし、2011年6月期には販売台数年間4万台に達成し、販売台数シェアで第2位のポジションを占めるに至った。全国7ヶ所で、営業とアフターサービスなどを行う拠点を展開している。本社が所在する九州と、関東、関西、東海ではショールームを併設している。本社/九州支店/ショールーム(所在地:福岡県大野城市)以外の拠点名と開設時期は、関東支店/ショールーム(東京都大田区)が2004年1月、関西支店/ショールーム(大阪府東大阪市)が2004年7月、東海支店/ショールーム(愛知県名古屋市)が2006年1月、東北支店(宮城県仙台市)が2010年11月、中四国支店(広島県福山市)が2012年9月、北海道支店(北海道札幌市)が2013年11月であった。国内従業員約100名のうち、4割弱が営業部門に所属する。新規市場開拓では、2016年に医療用ベッド市場へ進出し、隣接領域の拡大に努めている。成長戦略の一環として海外市場の開拓に取り組み、2015年8月に中国上海市に連結子会社の富若慈(上海)貿易有限公司を設立した。証券市場には 2015 年 3 月に東京証券取引所マザーズ市場及び福岡証券取引所 Q-Board 市場に上場した。2. グループ企業同社グループは、中国などで医療介護用電動ベッド及び周辺機器を販売する富若慈(上海)貿易有限公司とSHENGBANG METAL CO., LTD.とで構成されている。同社はファブレスの生産体制を採っているものの、ベトナムで同社向け介護ベッドを生産するSHENGBANG METAL CO., LTD.の株式の48%を所有しており、持分法適用関連会社としている。連結決算において営業外収益の持分法による投資利益に貢献している。3. 市場別売上高構成比同社グループは「医療介護用電動ベッド事業」の単一セグメントであるため、セグメント情報の開示はない。ただし、販売先市場別の売上高を公表している。2021年6月期の売上高(7,040百万円)の市場別構成比は、福祉用具流通市場が77.4%、医療・高齢者施設市場が18.0%、家具流通市場が1.9%、海外市場が2.6%であった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2021/10/06 15:12
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プラッツ Research Memo(1):2022年6月期は一時的な減益予想も、中長期的な成長を見込む
■要約プラッツ<7813>は、福岡県に本拠を置く介護用電動ベッドの専業メーカー。福祉用具流通市場では、介護用ベッドのマーケットシェアが35%に達し、第2位のメーカーとなる。高齢者人口の増加が続くことから、中長期的な成長市場に属している。2021年6月期は、中期経営計画に掲げた経常利益目標値を2期前倒しで達成するなど急成長を遂げた。2022年6月期は原材料価格の上昇、物流費の高騰、円安を前提に一時的な減益を予想しているが2023年6月期以降は売上高と利益が成長軌道に戻ることを見込んでいる。1. 2021年6月期の連結業績概要 − 売上高、営業利益とも過去最高を更新2021年6月期の売上高は前期比15.4%増の7,040百万円、営業利益が同29.6%増の724百万円と売上高及び営業利益は過去最高を更新した。医療介護用電動ベッドの総販売台数は前期比15.8%増の5.7万台と市場の伸びを凌駕した。新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)に伴い、2020年4月に第1回目の緊急事態宣言が発出されて以降、経営が悪化した医療機関とクラスターの発生が憂慮される高齢者施設向けは、同社及び代理店とも営業活動が制約された。2020年6月期第4四半期(4-6月期)の国内販売は、2つの市場で前年同期比2ケタ減となったため、2021年6月期は市場動向の変化に俊敏に対応した。第1四半期に在宅向けに力点を置き、第2四半期以降は制約のなかでも経済活動が動き始めた医療・高齢者施設向けに注力した。通期売上高は、福祉用具流通市場が前期比14.8%増、医療・高齢者施設市場が同22.8%増、家具流通市場が同4.8%増であった。2. 2022年6月期の連結業績予想 − 原材料価格の上昇、物流費の高騰、円安で一時的な減益を予想2022年6月期の業績は、売上高で前期比7.2%増の7,550百万円、営業利益で同17.2%減の600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同30.8%増の400億円を予想している。2021年6月期は、第1四半期に発表した通期予想を、第2四半期と第3四半期の決算発表時に連続上方修正したものの、第4四半期の事業環境が大きく悪化して、営業利益の実績は直近予想を下回った。2022年6月期は、2021年6月期第4四半期の原材料価格の上昇や物流費の高騰に加え円安を前提に計画を立て、増収減益の期初予想となった。2021年6月期は平均為替レートが1米ドル当たり前期比1.57円の円高となった。2022年6月期は、予算上の為替レートを110円、前期比3.43円の円安を前提とし為替面でのデメリットを織り込んだ。コロナ禍により、製造拠点があるベトナムはロックダウンと工場隔離が行われているが、現在のところ調達面で大きな問題は生じていない。2022年6月期は、新製品効果が期待される。周辺機器では、2020年12月にベッドサイドテーブルを発売し、2021年7月には体圧分散性に動きやすさをプラスした床ずれ防止マットレス「ゼロソア」を投入した。また2021年6月に食事介助を効果的にサポートする医療介護施設用ベッドのハイスペックモデル「アスピーノ」を上市した。「ハイバックサポート機能」によるベッド上での誤嚥リスクの低減や褥瘡予防をサポートすることに加え、「液晶手元スイッチ」に音声読み上げ機能や調整角度のメモリー機能を搭載し、患者の体位管理がしやすい仕様となっている。また、介護用ベッドでは、上位機種シリーズが4年に一度のモデルチェンジ時期を迎える。2022年1月に、新製品が投入される予定だ。3. 株主還元策 − 配当性向30.0%を前提に、増配を計画2022年6月期は、配当性向30.0%を前提に、1株当たり年間配当金を前期比1円増配の33円と計画している。■Key Points・ 2021年6期の業績は、経常利益が2期前倒し目標値を達成するなど急成長・ 2022年6月期は、新製品効果が期待される・ 中期経営計画では、2023年6月期以降に着実な増益を見込む(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2021/10/06 15:11
注目トピックス 日本株
くら寿司---急落、9月既存店売上の落ち込みを嫌気
くら寿司<2695>は急落。前日に9月の月次動向を発表している。既存店売上高は前年同月比25.2%減、客単価が同1.2%低下したほか、客数も同24.3%減少している。緊急事態宣言発出の影響は懸念されていたものの、21年10月期に入って最大の減少率となっており、弱材料視する動きが優勢のようだ。また、本日はアフターコロナ関連が総じて利食い売り優勢の展開になっていることも逆風に。
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2021/10/06 14:43
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三協立山---急伸、第1四半期好決算で業績上振れ期待高まる
三協立山<5932>は急伸。後場に入って一気に伸ばしてきた。前引け後に第1四半期決算を発表、営業利益は15億円で前年同期比17.6億円の損益改善となった。上半期計画24億円に対する進捗率は63%の水準に至っており、想定以上に好調な着地と捉えられているもよう。経済活動の再開進展ですべての事業が増収増益、アルミ地金市況に連動する売上増効果も強まったようだ。業績上振れ期待を反映する動きが先行へ。
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2021/10/06 14:27
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武田薬---急落、オレキシン作動薬TAK-994の進捗を嫌気
武田薬<4502>は急落。経口投与可能なオレキシン2型受容体選択的作動薬であるTAK-994の臨床第2相試験において、安全性シグナルの存在が明らかになったことを発表。緊急予防策として患者への投与を中断し、臨床第2相試験を予定より早く終了することを決定した。安全性シグナルとは、今まで知られていなかったか又は根拠が不十分なため追加の調査・研究を必要とする、医薬品との関連が疑われる有害事象に関する情報のこと。同薬は、睡眠・覚醒サイクルが変化する慢性神経疾患であるナルコレプシータイプ1(NT1)の患者を対象に、日中の過度の眠気(EDS)の治療薬として開発中のもの。業績へのインパクトは明確ではないが、地合いの悪化もあり、先行き不透明感が嫌気されているようだ。
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2021/10/06 14:10
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出来高変化率ランキング(13時台)~タツモ、ブライトパスなどがランクイン
※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [10月6日 13:39 現在](直近5日平均出来高比較)コード⇒銘柄⇒出来高⇒5日平均出来高⇒出来高変化比率⇒株価変化率<3608> TSI HD 5409600 581320 830.57% 6.12%<4929> アジュバンHD 1166200 252060 362.67% -1.3%<6266> タツモ 648300 151440 328.09% 7.94%<5932>* 三協立山 254100 59640 326.06% 4.92%<5232> 住阪セメ 1086400 319580 239.95% 13.05%<1663> K&Oエナジー 178400 53020 236.48% 7.21%<4594> ブライトパス 989200 308360 220.79% -5.41%<6815>* ユニデンHD 75700 24900 204.02% 4%<8923> トーセイ 544900 184760 194.92% -1.15%<2307> クロスキャット 96300 32800 193.60% 5.72%<1882> 東亜道 41800 14340 191.49% 0.54%<4673> 川崎地質 88100 30240 191.34% 12.06%<4393> バンクオブイノベ 170900 58700 191.14% 6.31%<7818> トランザクショ 167800 58640 186.15% -7.11%<8905> イオンモール 1820000 636380 185.99% -3.09%<2695> くら寿司 824800 289880 184.53% -9.28%<4502> 武田 24626700 8711800 182.68% -6.62%<5233> 太平洋セメ 2245700 931020 141.21% 6.26%<2471> エスプール 1338600 559860 139.10% 4.51%<4193>* ファブリカ 133800 58620 128.25% -7.68%<3985>* テモナ 164600 72840 125.97% -0.96%<7859> アルメディオ 410600 182060 125.53% 1.32%<1712> ダイセキS 781500 348080 124.52% 8.33%<6932> 遠藤照 157100 76880 104.34% 5.37%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外
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2021/10/06 14:07
注目トピックス 日本株
イオンモール---伸び悩んで急落、上半期決算は下振れ着地
イオンモール<8905>は伸び悩んで急落。前日に上半期決算を発表、営業利益は197億円で前年同期比67.4%増益。新型コロナ感染拡大の影響で従来計画の265億円を大きく下回ったが、あく抜け期待から朝方は買いが先行した。しかし、地合いの軟化もあって、次第に下振れ決算を売り材料視する動きが優勢に。9月のモール売り上げも低調スタート、中国での電力不足問題の影響懸念もあり、通期業績の下振れ懸念などは拭えないようだ。
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2021/10/06 13:46
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太平洋セメント---急伸、セメントの値上げ実施を発表
太平洋セメント<5233>は急伸。22年1月出荷分からのセメント出荷価格の引き上げを発表している。対象はホワイトセメントを除く各種セメント製品で、価格改定額は1トン当たり2000円。原料の石炭価格が高騰を続けているほか、輸送コストなどの上昇に対応することが目的。値上げの表明は3年10カ月ぶりとなるようだ。住友大阪セメ<5232>など他のセメント関連株にも買いが波及している。
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2021/10/06 13:34