注目トピックス 日本株
ブイキューブ Research Memo(8):国内売上高の成長ポテンシャルはイベントDX事業で約353億円と試算
配信日時:2021/10/06 15:28
配信元:FISCO
■今後の見通し
3. 中期経営計画
(1) 基本方針と業績目標
ブイキューブ<3681>は2020年11月に3ヶ年の中期経営計画(2020-2022)を発表した。「Beyondテレワーク」をテーマに掲げ、コロナ禍が収束し、テレワークの需要が一巡したとしても、映像コミュニケーションツールの利活用は社会の様々な領域で広がりを見せると予測しており、これらの需要を取り込むことで持続的な成長を目指していく方針となっている。
中期経営計画の基本方針は以下の3点となる。
1) 経営ミッションとする「Evenな社会の実現」に向けて、テレワークの定着実現と共に、リモートを活用したコミュニケーションDXによる生産性・生活の質の向上を実現する
2) 新規事業領域の創出による、グループ全体の持続的な成長の実現
3) 企業価値の最大化の為の業績向上と株主還元
また、業績目標値については2022年12月期に連結売上高153億円、営業利益35億円、親会社株主に帰属する当期純利益27億円、ROE35%以上を掲げている。売上高の内訳について見ると、イベントDX事業が81億円と最大事業に成長し、エンタープライズDX事業については「SDK」や緊急対策ソリューションなど用途特化型ソリューションの成長により54億円に、サードプレイスDX事業は19億円にそれぞれ拡大する計画となっている。このうち、サードプレイスDX事業については1年前倒しで達成する見込みとなっていることに加え、Xyvidの子会社化や「Touchcast」の寄与により、イベントDX事業についても当初の計画を上回るペースで成長する見通しとなっていることから、2022年12月期の売上高は中期計画目標値を上回る可能性が高いと弊社では見ている。なお、2022年12月期の業績目標値は2020年11月に中期経営計画を公表した時点での数値である。
(2) 事業戦略
a) エンタープライズDX事業
汎用Web会議サービス領域については、コロナ禍による市場拡大が一巡し成熟期に入るなか、キャッシュカウとして安定収益を見込んでいる。レッドオーシャン領域ではあるものの、24時間365日サポート体制によるサービス面での差別化を図ることで、一定水準の売上を維持できると見ている。ただ、ユーザーのネットリテラシーが全体的に上昇することに加え、ツールの機能がさらに向上することでサポート体制の必要性が薄まった場合は、売上を維持することが難しくなる可能性もある。
一方で、伸びが期待できる領域として、フィールドワークや緊急対策・災害対策用ソリューションなど用途特化型ソリューションが挙げられる。緊急対策・災害対策用ソリューションについては現時点では未導入の自治体も多く、行政のDXの一環として整備・導入が進む可能性があることから、潜在的な需要は大きい。同社のサービスは、自治体とのネットワークを広く持つNTTグループ各社が代理店となっていることもあり、これらの代理店を通じた導入が進むものと期待される。また、顧客サービス領域では、「SDK」に開発サポート等を付加することで顧客事業/サービスのDXを支援し、売上拡大を目指していく。顧客も様々な業種に広がってきており、今後の成長が期待される。
b) イベントDX事業
イベントDX事業は、コロナ禍収束後も成長が続く可能性が高い。実際、アフターコロナで先行する米国では、オンラインとリアルのハイブリッド型イベントの開催需要が拡大しており、子会社化したXyvidの売上も好調が続いている。また、同社が実施したイベントの主催者・参加者向けアンケートでも、約85%がコロナ禍収束後もオンライン開催を希望しているとの結果が出ている。同社の調べによると、国内のBtoBイベント、セミナーの開催数は年間で156万回、このうちオンライン化の対象は103万回、外部にアウトソースする対象は28万回と想定しており、これらの市場を「V-CUBEセミナー」「EventIn」や「Touchcast」で取り込むことで、さらなる成長が期待できる。また、イベントDX事業の国内市場規模は約1,068億円(SaaS利用料+サポート費用のみ)と試算しており、将来的にこのうち3割強(約353億円)のシェア獲得を目指している。
当面の需要拡大に対応していくためのキャパシティについては、プラチナスタジオを開設することで整備済みである。課題としては、閑散期となる第2四半期のイベント回数をいかに増やしていくかという点が挙げられる。今後の拡大を見込むバーチャル株主総会は6月下旬に集中することから、4~5月のイベントを取り込んでいく必要がある。企業のイベントとしては入社式や会社説明会、新商品発表会等があることから、2021年12月期下期に営業活動を一段と強化することで、これらの新規案件の獲得に注力していく。また、バーチャル株主総会については500社以上の受注を目標としている。通常の株主総会と比べて貸会議場の費用を削減できるほか、株主とより充実したコミュニケーションを取ることができるといったメリットが確認されており、導入が進む可能性は高いと弊社では見ている。なお、複数の大手信託銀行が販売代理店となって営業活動を進めていることもあり、営業費用を抑えながらも受注件数が増える可能性がある。また、バーチャル株主総会をフック役として、その他のオンラインイベントの受注にもつなげていく戦略も掲げている。国内の上場企業数は2021年8月末時点で約3,800社あることから、成長期待は大きい。
また、Xyvidの今後の売上見通しについては、2021年12月期見込の7.2百万米ドルから2022年12月期に11.0百万米ドル、2025年12月期に45.2百万米ドルと、今後4年間で4倍増(年平均成長率58%)を目指している。Xyvidの主要顧客はファイザーやバイオジェン、ブリストルマイヤーズなど大手製薬企業のほか、大手健康保険会社や大手会計事務所といったグローバル企業などで、セミナーのほか社内研修用として同社のプラットフォーム「Xyvid Pro」の利用が進んでいる。米国でも「SaaS+Service」のモデルで展開している企業は少ないことから、今後の成長余地は大きいと弊社では見ている。
なお、グループシナジーについては、Xyvidが抱える大手顧客の日本やアジアでの売上拡大が期待される。Xyvidは人的リソースの問題から米国内のみのサービス提供にとどまっていたが、同社のグループ会社となったことで、日本やシンガポールの人材リソースを活用できることになる。このため、Xyvidでは今後、グローバル展開している大手顧客に向けて、日本やシンガポールを含むアジア拠点向けのサービス提供も提案していく予定だ。営業利益率は約4割と収益性の高い事業となっており、Xyvidが計画通りに売上を拡大できれば連結業績にも大きく貢献することになるため、今後の動向が注目される。
c) サードプレイスDX事業
「テレキューブ」については、引き続きオフィスや公共空間での設置を進めていく。顧客ニーズに応じて、1人用~4人用まで幅広い商品ラインナップを提供し、また、初期負担の少ないサブスクリプション方式での提供を強化することで収益の安定性を高めていく戦略となっている。さらに今後は、「テレキューブ」で利用可能な付加価値アプリやIoTソリューションの開発を進めていくほか、公共エリアでの予約・空間管理ソフトウェア「テレキューブコネクト」を、国内外問わず様々なサードブレイスの予約管理・運営のソフトウェアとして横展開し、インフラサービスへと進化させていくことを目標としている。
同社では、将来的な市場規模は約1,056億円(コンテンツ・広告収入含まず)、このうちサブスクリプション・ロイヤリティ収入は約250億円と試算しており、このうち約7割のシェア(約175億円)獲得を目標としている。需要台数では企業向けで36万台(50人に1台の割合)、公共空間向けで8万台の合計44万台が最大需要となり、成長ポテンシャルは大きい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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3. 中期経営計画
(1) 基本方針と業績目標
ブイキューブ<3681>は2020年11月に3ヶ年の中期経営計画(2020-2022)を発表した。「Beyondテレワーク」をテーマに掲げ、コロナ禍が収束し、テレワークの需要が一巡したとしても、映像コミュニケーションツールの利活用は社会の様々な領域で広がりを見せると予測しており、これらの需要を取り込むことで持続的な成長を目指していく方針となっている。
中期経営計画の基本方針は以下の3点となる。
1) 経営ミッションとする「Evenな社会の実現」に向けて、テレワークの定着実現と共に、リモートを活用したコミュニケーションDXによる生産性・生活の質の向上を実現する
2) 新規事業領域の創出による、グループ全体の持続的な成長の実現
3) 企業価値の最大化の為の業績向上と株主還元
また、業績目標値については2022年12月期に連結売上高153億円、営業利益35億円、親会社株主に帰属する当期純利益27億円、ROE35%以上を掲げている。売上高の内訳について見ると、イベントDX事業が81億円と最大事業に成長し、エンタープライズDX事業については「SDK」や緊急対策ソリューションなど用途特化型ソリューションの成長により54億円に、サードプレイスDX事業は19億円にそれぞれ拡大する計画となっている。このうち、サードプレイスDX事業については1年前倒しで達成する見込みとなっていることに加え、Xyvidの子会社化や「Touchcast」の寄与により、イベントDX事業についても当初の計画を上回るペースで成長する見通しとなっていることから、2022年12月期の売上高は中期計画目標値を上回る可能性が高いと弊社では見ている。なお、2022年12月期の業績目標値は2020年11月に中期経営計画を公表した時点での数値である。
(2) 事業戦略
a) エンタープライズDX事業
汎用Web会議サービス領域については、コロナ禍による市場拡大が一巡し成熟期に入るなか、キャッシュカウとして安定収益を見込んでいる。レッドオーシャン領域ではあるものの、24時間365日サポート体制によるサービス面での差別化を図ることで、一定水準の売上を維持できると見ている。ただ、ユーザーのネットリテラシーが全体的に上昇することに加え、ツールの機能がさらに向上することでサポート体制の必要性が薄まった場合は、売上を維持することが難しくなる可能性もある。
一方で、伸びが期待できる領域として、フィールドワークや緊急対策・災害対策用ソリューションなど用途特化型ソリューションが挙げられる。緊急対策・災害対策用ソリューションについては現時点では未導入の自治体も多く、行政のDXの一環として整備・導入が進む可能性があることから、潜在的な需要は大きい。同社のサービスは、自治体とのネットワークを広く持つNTTグループ各社が代理店となっていることもあり、これらの代理店を通じた導入が進むものと期待される。また、顧客サービス領域では、「SDK」に開発サポート等を付加することで顧客事業/サービスのDXを支援し、売上拡大を目指していく。顧客も様々な業種に広がってきており、今後の成長が期待される。
b) イベントDX事業
イベントDX事業は、コロナ禍収束後も成長が続く可能性が高い。実際、アフターコロナで先行する米国では、オンラインとリアルのハイブリッド型イベントの開催需要が拡大しており、子会社化したXyvidの売上も好調が続いている。また、同社が実施したイベントの主催者・参加者向けアンケートでも、約85%がコロナ禍収束後もオンライン開催を希望しているとの結果が出ている。同社の調べによると、国内のBtoBイベント、セミナーの開催数は年間で156万回、このうちオンライン化の対象は103万回、外部にアウトソースする対象は28万回と想定しており、これらの市場を「V-CUBEセミナー」「EventIn」や「Touchcast」で取り込むことで、さらなる成長が期待できる。また、イベントDX事業の国内市場規模は約1,068億円(SaaS利用料+サポート費用のみ)と試算しており、将来的にこのうち3割強(約353億円)のシェア獲得を目指している。
当面の需要拡大に対応していくためのキャパシティについては、プラチナスタジオを開設することで整備済みである。課題としては、閑散期となる第2四半期のイベント回数をいかに増やしていくかという点が挙げられる。今後の拡大を見込むバーチャル株主総会は6月下旬に集中することから、4~5月のイベントを取り込んでいく必要がある。企業のイベントとしては入社式や会社説明会、新商品発表会等があることから、2021年12月期下期に営業活動を一段と強化することで、これらの新規案件の獲得に注力していく。また、バーチャル株主総会については500社以上の受注を目標としている。通常の株主総会と比べて貸会議場の費用を削減できるほか、株主とより充実したコミュニケーションを取ることができるといったメリットが確認されており、導入が進む可能性は高いと弊社では見ている。なお、複数の大手信託銀行が販売代理店となって営業活動を進めていることもあり、営業費用を抑えながらも受注件数が増える可能性がある。また、バーチャル株主総会をフック役として、その他のオンラインイベントの受注にもつなげていく戦略も掲げている。国内の上場企業数は2021年8月末時点で約3,800社あることから、成長期待は大きい。
また、Xyvidの今後の売上見通しについては、2021年12月期見込の7.2百万米ドルから2022年12月期に11.0百万米ドル、2025年12月期に45.2百万米ドルと、今後4年間で4倍増(年平均成長率58%)を目指している。Xyvidの主要顧客はファイザーやバイオジェン、ブリストルマイヤーズなど大手製薬企業のほか、大手健康保険会社や大手会計事務所といったグローバル企業などで、セミナーのほか社内研修用として同社のプラットフォーム「Xyvid Pro」の利用が進んでいる。米国でも「SaaS+Service」のモデルで展開している企業は少ないことから、今後の成長余地は大きいと弊社では見ている。
なお、グループシナジーについては、Xyvidが抱える大手顧客の日本やアジアでの売上拡大が期待される。Xyvidは人的リソースの問題から米国内のみのサービス提供にとどまっていたが、同社のグループ会社となったことで、日本やシンガポールの人材リソースを活用できることになる。このため、Xyvidでは今後、グローバル展開している大手顧客に向けて、日本やシンガポールを含むアジア拠点向けのサービス提供も提案していく予定だ。営業利益率は約4割と収益性の高い事業となっており、Xyvidが計画通りに売上を拡大できれば連結業績にも大きく貢献することになるため、今後の動向が注目される。
c) サードプレイスDX事業
「テレキューブ」については、引き続きオフィスや公共空間での設置を進めていく。顧客ニーズに応じて、1人用~4人用まで幅広い商品ラインナップを提供し、また、初期負担の少ないサブスクリプション方式での提供を強化することで収益の安定性を高めていく戦略となっている。さらに今後は、「テレキューブ」で利用可能な付加価値アプリやIoTソリューションの開発を進めていくほか、公共エリアでの予約・空間管理ソフトウェア「テレキューブコネクト」を、国内外問わず様々なサードブレイスの予約管理・運営のソフトウェアとして横展開し、インフラサービスへと進化させていくことを目標としている。
同社では、将来的な市場規模は約1,056億円(コンテンツ・広告収入含まず)、このうちサブスクリプション・ロイヤリティ収入は約250億円と試算しており、このうち約7割のシェア(約175億円)獲得を目標としている。需要台数では企業向けで36万台(50人に1台の割合)、公共空間向けで8万台の合計44万台が最大需要となり、成長ポテンシャルは大きい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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