注目トピックス 日本株ニュース一覧
注目トピックス 日本株
兵機海運 Research Memo(8):安定的かつ積極的な配当が基本方針
■株主還元策兵機海運<9362>は株主還元策として配当を実施している。配当の基本方針として、業績及び今後の事業展開を勘案した安定的かつ積極的な配当を行うことを掲げている。従来は安定配当として、1株当たりの年間配当金は50円を続けていた。ただ、2022年3月期には92円(配当性向30.1%)と大幅に増配しており、2023年3月期についても年間配当金は90円(配当性向30.2%)を予定している。今後についても、安定配当を基本とし、EPS(1株当たり当期純利益)が100円を上回る場合は、配当性向30%レベルまたは1株当たり配当金50円のいずれか高い基準で配当施策を進めていく考えである。(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)
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2022/06/10 15:38
注目トピックス 日本株
兵機海運 Research Memo(7):2023年3月期は、外航事業は不透明だが、内航事業での堅調な推移を見込む
■今後の見通し1. 2023年3月期の業績見通し兵機海運<9362>の2023年3月期の連結業績見通しは、売上高で前期比6.8%減の15,000百万円、営業利益で同2.4%増の500百万円、経常利益で同4.4%減の500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同2.4%減の350百万円である。売上高の減少は外航事業の主航路である極東ロシア航路の当面の見合わせ等が考慮されている。営業利益はサービスの高付加価値化等で増益見込みだが、経常利益は為替差益や受取出向料等の営業外収益の減少による減益が見込まれている。内航事業では、主力の鉄鋼の輸送需要は引き続き堅調に推移することが見込まれている。なお、内航事業を取り巻く外部環境の変化として、船員の働き方改革・内航海運の生産性向上等を目的とした海事産業基盤強化法が2022年4月に施行されたことがあげられる。船員の労務管理体制や、労働時間の範囲見直し等が入っており、同社は船主及びオペレーターの両面の立場で適法に取り組んでいくと見られる。それに伴う人件費及び設備投資費の増加ならびに船舶燃料油価格高騰等、コスト上昇分の転嫁を顧客に理解してもらうべく、適正料金への改定要請を進めていくようだ。外航事業では、ロシアとの物流制限や金融制裁が続く当面の間は、事業を見合わせざるを得ない状況である。当該航路に投入していた定期傭船の新たな航路及び取扱貨物の開拓等を進めていくと見られる。また、海外パートナーとの協業により、海外調達品の受注増加と海外プラント輸送貨物の獲得等、三国間貿易貨物の輸送を強化し、委託船による安定した収益基盤の構築を進めていくようだ。港運事業では、引き続き巣ごもり需要が底堅く、同社が得意とする小売用食料品の輸入取扱は堅調に推移することが見込まれている。既存の主要顧客を営業活動のベースとしつつ、内航事業・外航事業と連携した特殊貨物輸送の新規獲得及び倉庫事業と連携した危険物貨物のさらなる営業強化等、他のセグメントとのシナジー効果の発揮に取り組むようだ。倉庫事業では、兵庫埠頭物流センター敷地内に3棟目の危険物倉庫を新設し、取り扱いを加速させ、さらなる収益拡大を目指している。また、姫路地区においては、危険物倉庫の恒常的な満床を解消すべく連携できる協力会社の検討を進めていくようだ。バランスの良い事業ポートフォリオと機動的な営業で、今後も堅実な成長が続く見通し2. 中長期の成長戦略同社の強みであるバランスの良い事業ポートフォリオと機動的な全方位営業により、弊社では、同社の業績が今後も堅実に推移していくと見ている。なかでも以下の4つの取り組みは、中長期の成長戦略として有望と考える。(1) 鉄鋼材の海陸一貫輸送スペシャリストとしての取り組み同社は鋼材船オペレーターとしての豊富な経験と実績により、国内大手鉄鋼メーカーより高い信頼を得ている。独立系海運会社としての機動性を生かし、集荷・配船・船積・配達までワンストップで物流サービスを提供し、顧客との関係を強化していく。(2) 船員確保・次世代育成に向けた取り組み同社は2013年4月に事業パートナーである船主と共同で、七洋船舶管理を設立した。内航船員の高齢化・担い手不足問題に向き合い、船員の確保・育成に積極的に取り組んでいる。新人船員の早期育成を可能とする船員育成船への投資や女性船員の育成に特に注力し、将来の海運業界を担う人材を輩出していく考えである。(3) 共存共栄エコシステムの形成に向けた取り組み船主オーナーの経営サポートから船員確保・船体管理まで、船主オーナーをはじめとする全ての事業パートナー(荷役業務、陸上輸送)がともに発展し成長する共存共栄エコシステムの形成を目指していく。(4) 高付加価値貨物の取り扱い拡大に向けた取り組み港運・倉庫事業においては、一般貨物に加え、危険物等の高付加価値貨物の取り扱いによって差別化を図り、収益性の高いビジネスモデルの確立に取り組んでいく。(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)
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2022/06/10 15:37
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兵機海運 Research Memo(6):経営の効率化や業務改善等で、財務基盤の強化が進む
■兵機海運<9362>の業績動向3. 財務状況と経営指標(1) 財務状況2022年3月期末における資産合計は12,618百万円となり、前期末比990百万円増加した。流動資産は3,922百万円となり、前期末比169百万円増加した。これは主に、受取手形及び売掛金の増加129百万円等によるものである。固定資産は8,695百万円となり、前期末比821百万円増加した。これは主に、倉庫用地の購入をはじめとする有形固定資産の増加710百万円等、時価評価の上昇等による投資有価証券の増加86百万円等によるものである。2022年3月期末における負債合計は9,161百万円となり、前期末比614百万円増加した。流動負債は4,571百万円となり、前期末比204百万円増加した。これは主に、短期借入金の増加115百万円、支払手形及び買掛金の増加86百万円等によるものである。固定負債は4,589百万円となり、前期末比409百万円増加した。これは主に、長期借入金の増加368百万円等によるものである。2022年3月期末における純資産合計は3,456百万円となり、前期末比375百万円増加した。これは主に、利益剰余金の増加やその他有価証券評価差額金の増加等によるものである。(2) 経営指標同社では経営指標として、自己資本比率、売上高経常利益率、ネットD/Eレシオを重視している。同社は、船舶・倉庫等の大型設備を必要とする事業特性から、自己資本比率は高くない。こうしたなか、財務体質の強化を図るために、自己資本比率30%を確保することを目指している。また、経営のさらなる効率化を図り、売上高経常利益率5%、ネットD/Eレシオ1.0倍を目指すことも視野に入れている。2022年3月期末の自己資本比率は前期末比で0.9%ポイント改善し27.4%となった。また、売上高経常利益率は前期比1.7ポイント改善し3.3%となり、ネットD/Eレシオは前期末比横ばいの1.4倍であった。引き続き、経営の効率化や業務改善に取り組んでいくと見られる。(3) 連結キャッシュ・フロー計算書2022年3月期の各種キャッシュ・フローの概要は以下の通りである。a) 営業活動によるキャッシュ・フロー営業活動の結果、獲得した資金は633百万円(前期は790百万円の獲得)となった。主な内訳は、減価償却費396百万円である。b) 投資活動によるキャッシュ・フロー投資活動の結果、使用した資金は1,061百万円(前期は416百万円の獲得)となった。主な内訳は、倉庫用地をはじめとする固定資産の取得による支出1,085百万円である。c) 財務活動によるキャッシュ・フロー財務活動の結果、獲得した資金は379百万円(前期は605百万円の使用)となった。主な内訳は、長期借入れによる収入1,600百万円に対して、長期借入金の返済による支出1,215百万円等である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)
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2022/06/10 15:36
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兵機海運 Research Memo(5):2022年3月期は主要取扱貨物量が増加し、前期比で大幅増益を達成
■業績動向1. 2022年3月期の業績概要兵機海運<9362>の2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比23.7%増の16,087百万円、営業利益で同162.3%増の488百万円、経常利益で同149.5%増の523百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同10.7%増の358百万円となり、期初計画ならびに期中に上方修正した会社計画を上回った。全事業で主要貨物の取扱量が増加したことが大きい。主力の内航事業では鉄鋼、外航事業ではタイヤ・建機の輸送需要が増加した。港運事業では輸入食品、倉庫事業では、危険物の取扱量が増加した。2022年3月期の取扱輸送量は前期比19.5%増の3,984千トンであり、輸送品目別数量では主力の鉄鋼が同32.0%増の2,106千トンと好調に推移した(構成比52.9%)。2022年3月期の連結売上高で前期比23.7%増の16,087百万円であり、輸送品目別売上高は主力の鉄鋼で同27.0%増の7,268百万円となり、増収を牽引した(構成比45.2%)。営業利益は同162.3%増で488百万円、経常利益は同149.5%増で523百万円となり、増収に伴う増益効果で収益性も改善した。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は同10.7%増の358百万円となった。2021年3月期は固定資産売却益298百万円を特別利益に計上したことにより最終利益を押し上げたが、2022年3月期はこのような多額の特別利益の計上がないなかで、増益となった。両セグメントの収益性は改善傾向に2. セグメント別の業績概要(1) 海運事業2022年3月期の海運事業は、売上高で前期比26.3%増の8,598百万円、営業利益で同193.1%増の381百万円であり、内航事業と外航事業がともに良好に推移した。内航事業は、売上高で前期比18.2%増の6,632百万円、営業利益で同136.9%増の272百万円となった。国内鉄鋼市場が総じて堅調に推移したことにより、鋼材及び原材料スクラップの輸送量が増加したことが主因である。燃料価格の高騰が続いていること、所属船の傭船料改定を実施したことにより費用は増加したものの、効率的な配船により運航稼働率を向上させ、収益性は改善した。外航事業は、売上高で前期比64.4%増の1,966百万円、営業利益で同597.5%増の108百万円となった。2022年3月期第4四半期半ばにロシアがウクライナへ侵攻した影響により、同社の主力航路である極東ロシア航路に地政学リスクが顕在化した。ただ、3月上旬までは極東ロシア航路が好調に推移したこと、台湾航路も堅調に推移したこと、新規に委託船を用いた建機類の輸送や三国間輸送の取り扱いが見られたこと、円安によるドル建ての海上運賃差益が発生したことにより、大幅な増益となった。(2) 港運・倉庫事業2022年3月期の港運・倉庫事業は、売上高で前期比20.9%増の7,488百万円、営業利益で同92.7%増の106百万円となり、港運事業が良好に推移した。港運事業は、売上高で前期比26.0%増の5,984百万円、営業利益は前期の営業損失12百万円に対して、営業利益83百万円となった。コロナ禍による海外港湾作業の停滞や各国の海上コンテナ需要の増加等により、世界的な海上輸送費の高騰が前期より続いている。原材料や半導体不足がメーカーの生産計画に影響を与え、輸出入スケジュールが不安定となったものの、新規スポット案件等を獲得した。その結果、取扱通関件数は輸出・輸入ともに前期を上回った。倉庫事業は、売上高で前期比4.3%増の1,503百万円、営業利益で同66.3%減の22百万円となった。普通品倉庫での一般貨物取扱は、コロナ禍による物流の停滞で苦戦を強いられた。ただ、港運・倉庫事業が一体となる営業活動を実施したことにより、付加価値の高い危険物の取り扱いは増加した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)
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2022/06/10 15:35
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兵機海運 Research Memo(4):バランスの良い事業ポートフォリオと機動的な営業活動で、稼ぐ力を高める
■事業概要2. 強み強みの1つ目は、兵機海運<9362>が独立系海運会社ということである。内航海運を手掛ける事業者には、荷主である企業系列の海運会社が多い。企業系列の海運会社は荷主との関係が硬直的になりがちである。同社はどこの系列にも属さない独立系であり、機動的に全方位で営業活動が行えることが強みである。強みの2つ目は、バランスの良い事業ポートフォリオを構築できていることである。同社は、内航事業、外航事業、港運事業、倉庫事業を展開している。この4つの事業を並行して手掛けていることで、会社全体として収益の波が抑えられている。内航事業と外航事業の事業フィールドは「海」であり、港運事業と倉庫事業は「陸」である。「陸」は、人的資本と設備が必要となるが、事業には安定感がある。「海」では内航事業が大口顧客との強固な取引関係から、大きな収益を上げている。一方で、外航事業は国際情勢等も含め様々な要素がからむため、業績の変動要因が多い。同社は、長年の歴史のなかで培われてきた「独立独歩」の精神を大切にしている。内航・外航・港運・倉庫の各事業は、それぞれが責任と使命感を持って事業運営がなされている。この4つの軸があるからこそ、リスクの分散はもちろん、「これからどの領域を拡大していくか」を検討できる選択肢の多さも兼ね備えている。収益機会と見れば一気に当該分野へ経営資源を投入し、一方で危険を察知した場合はいったん立ち止まることが可能である。このように機動的な事業運営で稼ぐ力を高めていけることが、同社の最大の強みである。燃料価格高騰等の影響にさらされている一方で、適切なリスク管理を実施3. リスク同社の主要リスクは以下の通りであるが、合理的かつ効果的に管理されていると思われる。(1) 傭船先の経営状況の動向同社では、内航事業において貨物の輸送責任を全うするために、船舶の確保が課題となっている。このため、傭船先との協調体制が必要であり、船主が船舶を調達するにあたり、船主への貸付金の実行や債務保証を金融機関に行っている。従って、傭船先の経営状況によっては債務保証の履行、貸倒損失の発生といったリスクを負っており、同社の業績及び財務に影響を及ぼす可能性がある。ただ、これらのリスク回避のために、船主へのヒアリングや傭船先の財務諸表等により経営状況の把握に努めている。(2) 燃料価格の動向燃料油価格は世界的な原油需給や産油国の動向等により変動する。2022年2月下旬以降のロシアによるウクライナ侵攻を受け、原油等のエネルギー価格が高騰している。燃料油価格の著しい高騰は、同社の業績及び財務に影響を及ぼす可能性がある。ただ、これらのリスクに対処するために、同社は主要取引先にはバンカーサーチャージ※の制度導入を依頼するなどしている。※燃料の高騰(下落)があったときに、通常の料金に付加(割引)する料金のこと。(3) 為替動向同社の事業においては、外貨建取引もあり、為替動向によっては同社の損益に影響を及ぼす可能性がある。ただ、外航事業におけるドル建て売上と港運事業でのドル建ての支払等で相殺され、為替変動リスクは従前より軽減されていると見られる。(4) 金利動向同社の資金調達手段は間接金融に負うところが大きく、金利スワップ取引による金利の固定化を図っている。一部、変動金利で調達している資金については金利変動リスクを受ける可能性がある。近年、金利水準が低位安定しているため、相対的にはリスクの軽減が図られている。ただ、大型設備投資が必要な業種特性から、引続き金利動向には注視が必要である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)
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2022/06/10 15:34
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兵機海運 Research Memo(3):主力は内航事業、豊富なサービスにより「適時適船」を実現している
■事業概要1. セグメントの概要セグメントは海運事業と港運・倉庫事業の2つである。海運事業は、内航事業と外航事業で構成されており、港運・倉庫事業は、港運事業と倉庫事業で構成されている。2022年3月期のセグメント別売上構成は、海運事業が53.5%、港運・倉庫事業が46.5%であり、同営業利益構成は、海運事業が78.1%、港運・倉庫事業が21.7%である。(1) 海運事業a) 内航事業内航事業は、国内の港を結ぶ内航船を使った海上輸送事業である。兵機海運<9362>における主力事業であり、鉄鋼メーカーが生産する鋼材(H鋼、厚板、コイル等)の海陸一貫輸送の取り扱いが中心である。主な顧客は、大和工業(株)グループやJFE物流(株)グループである。同社の自社保有船ならびに傭船が船団を組み、瀬戸内から全国の港へ向けた海上輸送ルートを運航している。重要な管理指標は、航海数と取扱輸送量(トン数)である。業容拡大には、安全で安定した配船サービスの提供が重要となる。そのため、老朽船の代替建造(リプレイス)等継続的な設備投資も必要となる。傭船船主との良好な関係の構築も不可欠である。高齢化する船主の廃業の一方で世代交代もみられるため、同社にとって時代に応じた船団の組み換えを行う必要がある。既に船主の経営強化を目指して新たな体制(共同管理)に着手している。同社と船主によって七洋船舶管理(株)を設立し、内航船員の高齢化・担い手不足問題に向き合い、船員の確保・育成を進めている。新人船員の早期育成を可能とする船員育成船への投資や女性船員の育成に特に注力し、将来の海運業界を担う人材を輩出していく考えである。b) 外航事業外航事業とは、外航船を利用し、国をまたいだ輸送を行う事業である。主に連結子会社K.S LINES S.A.所有の船舶管理ならびに傭船及び委託船での運航をしている。同社は日本近海を主体に、多目的貨物船を運航している。極東ロシア航路と台湾航路が中心で、韓国や中国、東南アジア向けはスポットでの対応が多い。航空機では運べない建設機械・大型タイヤ(鉱山用等)・大型のプロジェクトカーゴといった製品を輸送している。近年はロシアの極東開発に着目した極東ロシア航路を拡充し、一定の成果を上げている。また、複数年度に及ぶ社会インフラ整備でのプロジェクト輸送も収益基盤となっている。世界経済の発展とともに全世界で物の移動が活発になっており、業界全体の海上輸送量は拡大基調にある。なお、運賃の大半はドル建て・外貨建てで支払われるため、運賃収入は円高よりも円安のほうがプラスに働く。外航事業においても、重要な管理指標は、航海数と取扱輸送量(トン数)である。定期傭船の効率的な配船に加えて委託船のスポット配船により輸送効率のアップに注力している。なお、自社船は経過年数を考慮すると代替建造(リプレイス)等の設備投資が必要となる。(2) 港運・倉庫事業a) 港運事業港運(港湾運送)業とは、海と陸との狭間の運送を担う事業、つまり輸出入に係る港湾における物流事業である。具体的には、船舶への貨物積み込み・卸し・荷さばき・諸官庁への各種手続きを代行している。四方を海に囲まれた日本にとって、港運事業は経済活動や国民生活を維持していく上で重要な役割を果たしている。また、輸出入貨物取扱業として、倉庫・港運・通関・外航・陸運と連携し、国際物流貨物をスムーズに輸送させるトータルサポートを担っている。顧客に目立った偏りはなくバランスがとれており、近年では巣ごもり需要等を背景に食品輸入事業者向けが堅調に推移している。同社はAEO通関業者※に認定されており、通関業も手掛けている。通関士は、輸出入者に代わって国際物流の正しい手続きを行う専門家である。日本と外国の境界線を守る役割として、「輸出入に問題のない貨物かどうか」「関税・消費税等を徴収すべきかどうか」等の判断を行い、安全で公正な貿易活動を支えている。※AEOはAuthorized Economic Operatorの略。貨物のセキュリティー管理とコンプライアンスの体制が整備されているとして、税関長の認定を受けた通関業者のこと。b) 倉庫事業倉庫事業では、神戸物流センター・兵庫埠頭物流センター・大阪物流センター・姫路倉庫で事業を展開している。いわゆる保税蔵置場・保税倉庫※を保有している。貨物を預かるだけでなく、輸出入貨物のコンテナ詰出・保管・簡易梱包・流通加工・ピッキング・検品等のサービスも手掛けている。※税関長から許可を受けた場所で、輸出入申告を行うために貨物を搬入する場所。保税蔵置場での蔵置期間は原則3カ月、蔵入れ承認を受けると承認後2年間、関税未納のまま保管が可能である。同社は一般貨物の取り扱いに加え、将来的に需要が見込める貨物の取り扱いを進めている。具体的には、引火性液体を含む危険物等の高付加価値貨物を新たな収益源と位置づけている。2018年9月に開設した姫路地区の危険物倉庫に次いで、2020年1月にも兵庫埠頭物流センターに危険物倉庫を2棟開設している。昨今、企業におけるコンプライアンスの取り組みが重要視されるなか、安全に危険物貨物を取り扱うことができる倉庫の需要が高まっている。足元では危険物倉庫の取扱量は拡大しており、収益性向上に貢献している。なお、倉庫事業においても自社倉庫の建設・機能強化等のために設備投資は継続して行われることになる。港運事業と倉庫事業は両輪関係にある。同社は両事業を一体で展開し、顧客にきめ細かいサービスを提供することで、さらなる優位性の発揮を目指している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)
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2022/06/10 15:33
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兵機海運 Research Memo(2):総合的な物流サービスを提供し、「堅実さ」を大切な価値観としている
■兵機海運<9362>の会社概要1. 会社概要独立系海運会社として、神戸に本社を構える。神戸港・姫路港・大阪港をベースに、内航・外航の海上輸送、倉庫、通関・国際輸送といった総合的な物流サービスを提供している。「安全、迅速、信頼」をモットーに、いかなる時世にも顧客に対する輸送責任を果たす「堅実さ」を大切な価値観としている。営業拠点は、神戸本社・姫路支店・大阪支店・東京支店・中国支店(岡山県倉敷市)の5か所であり、物流センターや倉庫は、神戸物流センター・兵庫埠頭物流センター・大阪物流センター・姫路倉庫の4ヶ所に存在している。同社グループは4社で構成されており、連結子会社が1社、非連結子会社が1社、持分法適用関連会社が1社、持分法非適用関連会社が1社である。連結子会社のK.S.LINES S.A.(パナマ国パナマ市)は、外航を手掛ける100%子会社であり、持分法適用関連会社の(株)吉美は姫路港での荷役業務を担っている。同社グループの従業員数は増加基調にあり、2022年3月31日現在で231名(2021年3月31日は230名、2020年3月31日は226名、2019年3月31日は220名)となっている。2022年12月には創業80周年を迎える2. 沿革第二次世界大戦中の1942年、国家総動員法に基づき発令された「戦時海運管理令」という勅令により、船舶を国で一元管理するための統合会社が各県に誕生した。兵庫県においても県下全内航業者218店と船主が統合され、兵庫機帆船運送(株)が誕生した。当該企業が同社の前身である。なお、同社は2022年12月に創業80周年を迎える。事業としては、1942年に内航海運業をスタートし、以降は1949年に港運業、1953年に通関業、1970年に倉庫業、1978年に外航海運業をスタートしている。株式市場へは、1964年10月に大阪証券取引所(以下、大証)市場第2部に上場し、2013年には東京証券取引所(以下、東証)と大証の現物市場統合に伴い、東証第2部に上場となった。そして、2022年4月には東証の新市場区分である東証スタンダード市場へ移行した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)
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2022/06/10 15:32
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兵機海運 Research Memo(1):独立系海運会社、環境変化の荒波を総合力で乗り越え、業績拡大の大海原へ
■要約兵機海運<9362>は独立系海運会社である。神戸に本社を構え、神戸港・姫路港・大阪港をベースに、内航・外航の海上輸送、倉庫、通関・国際輸送の各物流サービスを提供している。鉄鋼メーカーが生産する鋼材の海陸一貫輸送が強みである。創業は1942年12月であり、2022年12月には創業80周年を迎える。2022年4月には、東京証券取引所の東証スタンダード市場へ移行した。1. 2022年3月期の業績概要2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比23.7%増の16,087百万円、営業利益で同162.3%増の488百万円、経常利益で同149.5%増の523百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同10.7%増の358百万円となり、期初計画ならびに期中に上方修正した会社計画を上回った。全事業で主要貨物の取扱量が増加したことが大きい。主力の内航事業では鉄鋼、外航事業ではタイヤ・建機の輸送需要が増加した。港運事業では輸入食品、倉庫事業では、危険物の取扱量が増加した。2. 2023年3月期の業績見通し2023年3月期の連結業績見通しは、売上高で前期比6.8%減の15,000百万円、営業利益で同2.4%増の500百万円、経常利益で同4.4%減の500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同2.4%減の350百万円となっている。売上高の減少は外航事業の主航路である極東ロシア航路の当面の見合わせ等が考慮されている。営業利益はサービスの付加価値化等で増益見込みだが、経常利益は為替差益や受取出向料等の営業外収益の減少による減益が見込まれている。3. 中長期の成長戦略同社の強みであるバランスの良い事業ポートフォリオと機動的な全方位営業により、弊社では業績が堅実に拡大していくと考える。同社は、内航事業、外航事業、港運事業、倉庫事業の4事業で総合的な物流サービスを展開しており、バランスの良い事業ポートフォリオを構築している。この4つの事業を並行して手掛けていることで、会社全体としてリスクの分散が図れている。また、独立系海運会社であることも同社の特長となっている。海運業界には、荷主である企業系列の海運会社が多く存在している。企業系列の海運会社は荷主との取引関係が硬直的になりがちである。同社はどこの系列にも属していないため、機動的に全方位で営業活動が可能となっている。収益機会と見れば一気に経営資源を投入し、一方で危険を察知した場合はいったん立ち止まることができる。このように機動的な事業運営で稼ぐ力を高めていく戦略で、弊社では同社が中長期に成長していくと考える。■Key Points・2022年3月期は期中に上方修正した会社計画も達成、主力の鉄鋼の輸送量が増加・2023年3月期は極東ロシア航路の影響で減収も、サービスの高付加価値化等で営業増益を想定・バランスの良い事業ポートフォリオと全方位営業で、堅実な成長を見込む(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)
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2022/06/10 15:31
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タメニー Research Memo(9):株主優待制度は保有株式数に応じて優待券・優待ポイントを贈呈
■タメニー<6181>の株主還元策● 株主優待制度現時点では財務体質の強化を行っている段階のため配当を実施していないが、株主優待制度は毎年9月末時点の株主を対象として実施している。保有株式数に応じて優待券及び優待ポイントを贈呈している。■ESG/SDGsへの取り組みESG/SDGsへの取り組みとしては、すべての事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを目的として、人財育成では女性管理職の登用(社外取締役1名)、管理職の360度評価、フレックスタイム制の導入、信頼の確立では情報セキュリティマネジメント規格「ISO(JIS Q)27001」や「プライバシーマーク」などの各種認証取得、コーポレートガバナンス体制の強化、地方創生では婚活支援サービス「parms」の地方自治体への提供、地方自治体との協業(婚活セミナー・イベント)、健康と福祉では従業員の子育て・介護の支援、高齢者・障害者雇用、環境と自然ではペーパーレス化促進等によって環境負荷の軽減と事業活動の効率性維持の両立に取り組んでいる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/06/10 15:29
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タメニー Research Memo(8):再成長に向けて基盤整備を推進
■タメニー<6181>の成長戦略1. 再成長に向けて基盤整備を推進成長戦略としては、トレンドや社会変化に即座に対応できる柔軟な事業構造への転換、コロナに負けない企業体質構築を目指し、経営合理化と事業構造改革による短期業績回復、顧客基盤を利活用したグループCRMの整備、債務超過解消借入金返済による財務基盤強化を推進している。2021年3月期には債務超過になったが、固定費圧縮も寄与したことで短期業績回復の目途が立ち、2022年3月期末時点で債務超過を解消した。2023年3月期以降は、高収益体制の確立、プロダクトの競争力強化、財務基盤強化など、中長期視点で再成長に向けた基盤整備を推進する方針だ。高収益体制の確立では中核事業の収益安定化とその他事業の収益拡大、プロダクトの競争力強化ではDX推進や社会環境の変化に耐えうる競争優位性の確立、財務基盤強化では健全かつ安全な財務基盤確立を推進する。なお2020年11月公表の中期経営計画では、2024年3月期の目標値を売上高147億円、営業利益27億円としていたが、コロナ禍の影響が想定以上に長期化しているため目標値を修正し、当初目標値の達成を2期後ろ倒しする見込みとした。新たな中期経営計画については、市場環境の変化を見ながら2023年に公表したいとしている。Withコロナ時代でも市場シェア拡大余地は大きく、中長期的な成長を期待2. 高い信頼性とブランド認知を確立婚活・ウェディング市場の事業環境は、生涯未婚率の上昇・婚姻数の減少が続いていることに加えて、コロナ禍の影響で大幅に悪化した。ただし、一方では未婚率の上昇に伴って婚活サービス利用割合が上昇傾向であり、コロナ禍を契機にパートナーが欲しいと思う人の割合が上昇するなどの傾向も見られる。また、withコロナ時代には、同社が強みを持つ少人数形式のカジュアルウェディングやフォトウェディングの割合が増加することも予想されている。同社は結婚相談所を起点として、婚活領域からカジュアルウェディング領域、新生活サポートサービス領域まで、幅広く全方位的な一気通貫の高品質・高付加価値サービスを展開し、高い信頼性とブランド認知度を確立している。さらに、トレンドや社会変化に即座に対応できる柔軟な事業構造への転換も推進している。コロナ禍の影響で中期経営計画の目標値達成が後ろ倒しとなり、財務基盤の改善・安定化も課題となるが、同社の特徴・強みを勘案すれば、withコロナ時代でも同社の市場シェア拡大余地は大きく、中長期的に成長が期待できると弊社では評価している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/06/10 15:28
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タメニー Research Memo(7):2023年3月期は黒字転換予想
■今後の見通し1. 2023年3月期連結業績予想の概要タメニー<6181>の2023年3月期の連結業績予想は、売上高が2022年3月期比16.6%増の6,500百万円、営業利益が100百万円の黒字(2022年3月期は153百万円の赤字)、経常利益が50百万円の黒字(同218百万円の赤字)、親会社株主に帰属する当期純利益が50百万円の黒字(同320百万円の赤字)としている。事業環境は依然として不透明だが、2022年3月期との比較ではコロナ禍の影響が和らいで、大幅増収・黒字転換予想としている。なお2022年3月期は短期視点で業績回復と債務超過解消を優先し、婚活事業における広告販促費の戦略的抑制、拠点の統廃合、社員の外部出向などを実施して販管費を削減したが、2022年3月期末に債務超過を解消して一定の成果が得られたことや、コロナ禍の影響の緩和も考慮して、2023年3月期は婚活事業及びカジュアルウェディング事業において上期に広告販促費を投入するなど、積極的な入会促進施策を再開する方針としている。さらに、中長期視点での高収益体制の確立とプロダクトの競争力強化も推進する。このため半期別に見ると、上期(売上高3,000百万円、営業利益180百万円の赤字、経常利益210百万円の赤字、親会社株主に帰属する当期純利益160百万円の赤字)は積極投資で赤字だが、下期(売上高3,500百万円、営業利益280百万円の黒字、経常利益260百万円の黒字、親会社株主に帰属する当期純利益210百万円の黒字)は黒字転換し、積極投資の成果で成長軌道に回帰する見込みとしている。なお通期ベースで販管費は3億円増加の47億円(広告販促費が2億円増加、人件費が2億円増加など)を見込み、特別利益には2021年12月以降の休業等に係る助成金約70百万円を計上予定としている。2. 事業別動向事業別の売上高・営業利益、及び主要指標の計画は以下の通りである。婚活事業は減益の計画としている。積極的な入会促進策を再開するため、広告宣伝費や人件費が増加する見込みだからだ。成婚率は従来水準の30%に近づけることを目指すとしている。カジュアルウェディング事業は増収効果で黒字転換の計画としている。カジュアル挙式披露宴「スマ婚」シリーズと結婚式二次会プロデュース「2次会くん」の施行件数が回復基調となり、フォトウェディング「LUMINOUS」も好調に推移する見込みだ。結婚式二次会プロデュース「2次会くん」はまだ低水準だが、カジュアル挙式披露宴「スマ婚」シリーズについてはコロナ禍前の7割程度の水準まで回復を目指すとしている。テック事業では婚活事業者間相互会員紹介プラットフォーム「CONNECT-ship」の利用拡大、法人・自治体向け事業では「イベモン」の施行件数増加を見込んでいる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/06/10 15:27
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タメニー Research Memo(6):2022年3月期はコロナ禍の影響は継続だが、赤字が大幅に縮小
■業績動向1. 2022年3月期連結業績の概要タメニー<6181>の2022年3月期の連結業績は、売上高が2021年3月期比25.9%増の5,574百万円、営業利益が153百万円の赤字(2021年3月期は2,176百万円の赤字)、経常利益が218百万円の赤字(同2,089百万円の赤字)、親会社株主に帰属する当期純利益が320百万円の赤字(同2,316百万円の赤字)だった。コロナ禍の影響が継続しているため回復途上だが、2021年3月期との比較ではコロナ禍の影響が徐々に和らいで大幅増収となり、広告販促費の戦略的抑制、外部出向を含む人員配置最適化、拠点統廃合による地代家賃削減など、業績回復に向けた各種施策も寄与して、各利益は赤字が大幅に縮小した。販管費は2021年3月期との比較で1,304百万円減少して4,425百万円(広告販促費が262百万円減少して757百万円、人件費が612百万円減少して1,745百万円、地代家賃が66百万円減少して588百万円、その他が363百万円減少して1,334百万円)となった。グループ拠点数は12拠点減少して31拠点、グループ社員数は156名減少して379名(外部出向社員を含まない)となった。営業外収益では前期計上した助成金収入127百万円が剥落した。特別利益では助成金収入229百万円、関係会社株式売却益88百万円などを計上、特別損失では臨時休業等による損失359百万円などを計上した。なお半期別に見ると、上期は売上高2,801百万円、営業利益215百万円の損失、経常利益288百万円の損失、親会社株主に帰属する当期純利益416百万円の損失に対して、下期は売上高2,773百万円、営業利益62百万円の黒字、経常利益69百万円の黒字、親会社株主に帰属する当期純利益96百万円の黒字となった。下期は業績改善に向けた各種施策の効果で各利益とも黒字転換した。また、第4四半期のEBITDAは、ほぼコロナ禍前の水準に回復した。2. 事業別動向婚活事業は売上高が2021年3月期比3.1%減の2,583百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が同324.4%増の835百万円だった。コロナ禍の影響を踏まえて、結婚相談所で入会促進を戦略的に抑制したため微減収だが、拠点統廃合や運営効率化など、利益確保に向けた各種施策の効果で収益性が改善して大幅増益だった。カジュアルウェディング事業は売上高が同72.9%増の2,412百万円、利益がのれん償却額152百万円を計上して212百万円の損失(2021年3月期は1,064百万円の赤字)だったが大幅増収により赤字が大幅縮小した。結婚式二次会「2次会くん」はコロナ禍からの回復が鈍いが、カジュアル挙式披露宴「スマ婚」シリーズの施行件数が50%増と一定程度回復するとともに、フォトウェディング「LUMINOUS」の施行件数が193.6%増と大幅伸長した。テック事業は売上高が同0.3%減の144百万円、利益が21百万円の黒字(同23百万円の赤字)だった。オンライン婚活アプリ(2022年2月に従来の「スマ婚縁結び」シリーズのサービス名を「パートナーエージェント App」に変更)は先行投資フェーズだが、婚活事業者間相互会員紹介プラットフォーム「CONNECT-ship」の利用者数、お見合い成立件数が増加した。ライフスタイル事業は売上高が同30.1%増の70百万円、利益が18百万円の黒字(同44百万円の赤字)だった。新規保険契約証券数が増加した。法人・自治体向け事業は売上高が同98.9%増の374百万円、利益が同422.7%増の86百万円だった。企業向けイベントプロデュース「イベモン」の施行件数が78.1%増と大幅に伸長し、地方自治体向けでは婚活支援サービス「parms」の導入に加えて、婚活支援センターの運営受託、各種イベント・セミナーの受託も寄与した。3. 財務状況財務面で見ると、2022年3月期末の総資産は2021年3月期末比264百万円増加して5,332百万円となった。流動資産で現金及び預金が683百万円増加し、固定資産でのれんが152百万円減少、敷金が112百万円減少したことによる。負債合計は同372百万円減少して5,095百万円となった。流動負債で1年内返済予定の長期借入金が246百万円減少、債務保証損失引当金が138百万円減少したことによる。純資産合計は同636百万円増加して237百万円となった。資本金が640百万円減少、資本剰余金が492百万円増加、利益剰余金が700百万円増加したことによる。この結果、自己資本比率は12.4ポイント上昇して4.5%となった。2021年5月31日に発行した第10回新株予約権(行使価額修正条項付)は2021年9月24日に全ての行使が完了した。また2021年12月にフォーシス アンド カンパニー、アイ・ケイ・ケイホールディングス、及びTMSホールディングスと、それぞれ資本業務提携して第三者割当増資(2021年12月29日付で払込完了)を行った。さらに2022年3月16日付で減資を実施して欠損の補填を行った。これによって資本金の額が44百万円、資本準備金の額が0円となり、資本剰余金と利益剰余金が増加している。なお、2022年6月21日開催予定の定時株主総会で承認されることを条件として、その他資本剰余金を繰越利益剰余金に振り替える。純資産の部における勘定科目間の振替処理のため純資産合計額に変動は生じない。同社は2021年3月期に債務超過となったため、2021年6月30日付で東京証券取引所の上場廃止に係る猶予期間入り銘柄となっていたが、2022年3月期末時点で債務超過を解消したため、関東財務局に有価証券報告書を提出(2022年6月30日予定)して債務超過の解消を正式に公表することで、当該猶予期間が解除される見込みである。今後は業績向上による財務体質改善が課題となるが、当面の懸念は後退したと評価できるだろう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/06/10 15:26
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東京通信 Research Memo(5):成長局面での投資を優先
■東京通信<7359>の株主還元策同社グループでは、事業の成長・拡大による企業価値の向上と株主への利益還元を経営の重要課題の1つと位置付けている。2021年12月期末の配当は、事業拡大のための成長投資に充当することを優先し、無配とした。利益配分は、今後の成長・拡大戦略に備えた内部留保の充実等を総合的に勘案したうえで業績の動向を踏まえた配当を検討する方針ではあるが、今後の配当実施の可能性や実施時期については、現時点で未定となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 大川勇一郎)
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2022/06/10 15:25
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タメニー Research Memo(5):ライフスタイル事業はシナジー追求
■タメニー<6181>の事業概要5. ライフスタイル事業ライフスタイル事業の主要サービスは、新生活サポート領域として、成婚後サポート「アニバーサリークラブ」、保険相談サービス(保険代理店「Tameny×保険クリニック」)、住宅情報サービスなどを展開し、サービス利用料や送客手数料などを得る。さらに、新たなサービスの創出に向けて、2020年10月にはファイナンシャルパートナーサービスを提供するブロードマインド(株)と業務提携している。保険代理店「Tameny×保険クリニック」における新規保険契約証券数は、2021年3月期の317件から、2022年3月期には396件に増加した。今後も、婚活領域やカジュアルウェディング領域における年間約7,700組(2022年3月期実績、婚活事業における成婚約1,700組、カジュアルウェディング事業におけるウェディングプロデュース約6,000組)の新婚カップルとの接点を活用してシナジーを追求する方針だ。法人・自治体向けも成長分野6. 法人・自治体向け事業法人・自治体向け事業の主要サービスは、企業向けイベントプロデュース「イベモン」、及び地方自治体向け婚活支援サービス「parms」である。企業向けイベントプロデュース「イベモン」は、企業の社員総会、入社式、懇親会、忘年会などのイベントをプロデュースするサービスである。ウェディングのノウハウを活用して、目的に応じた戦略性の高い企画、会場手配、参加者を飽きさせないハイクオリティな演出・運営まで一括して受託する。フルプロデュースの平均費用は約100万円となっている。イベントを丸ごと任せられる利便性が評価され、コロナ禍でも成約・施行件数が拡大基調となっている。さらに、コロナ禍でオンラインイベントの需要が高まっているため、2021年4月には高品質な映像を用いたオンラインイベントソリューション「TV型パック」の提供を開始、2021年6月にはオンライン・オフライン融合型の社内イベントソリューション「ハイブリッドパック」の提供を開始した。今後の成長分野として事業を強化していく方針だ。地方自治体向け婚活支援サービス「parms」は、自社独自開発の婚活支援システムをカスタマイズして、地方自治体が行う婚活を支援している。2022年3月期末現在の契約・導入自治体数は7府県(契約順に福島県、京都府、埼玉県、秋田県、福井県、茨城県、宮城県)となった。さらに、自治体からの結婚支援センター運営の受託、イベント・セミナーの受託も増加している。高い信頼性・ブランド認知度を確立7. 特徴・強み結婚相談所を起点として、婚活領域からカジュアルウェディング領域、新生活サポートサービス領域まで、幅広く全方位的な一気通貫の高品質・高付加価値サービスを展開し、高い信頼性・ブランド認知度を確立していることが特徴・強みだ。結婚相談所「パートナーエージェント」においては、高いスキルを持った成婚コンシェルジュサービスや自社独自開発のマッチングシステムによって業界首位の成婚率を実現し、高付加価値な結婚相談所のブランドを確立している。カジュアルウェディング領域においては、豊富な施行実績やノウハウをベースとして、withコロナ時代の新しい生活様式に適応した、新たなウェディング・二次会トータルプロデュースを展開している。さらに、婚活事業者間相互会員紹介プラットフォーム「CONNECT-ship」や、新たに設立した結婚相談所連盟「婚活アライアンスパートナーズ」によって、成婚の最大化を図っている。婚活領域においては特に、安全性や健全性に関して社会的な信頼性や認知度が重要視されるが、同社は業界に先駆けて情報セキュリティマネジメント規格「ISO(JIS Q)27001」認証、プライバシーマーク、マル適マーク「IMS」を取得している。2015年には株式上場を果たし、世の中に必要とされる安心・安全な婚活支援会社として、その地位を確立している。今後も高い信頼性とブランド認知度を武器として、全方位サービス・全顧客ニーズ対応の体制を構築して事業展開する方針だ。婚姻組数減少でも競合優位性8. リスク要因・収益特性と課題・対策婚活・ウェディング業界における一般的なリスク要因としては、市場動向、法的規制、個人情報を含む情報管理、苦情対応、安全性・健全性などがあり、収益特性としては季節変動要因などがある。市場動向に関しては、少子化や未婚率上昇による婚姻組数の減少が意識されるが、一方では未婚率の上昇に伴って婚活サービス利用割合が上昇傾向であり、コロナ禍を契機にパートナーが欲しいと思う人の割合が上昇するなどの傾向も見られる。また、withコロナ時代には従来型の高価・大人数の挙式披露宴ではなく、同社が強みを持つ少人数形式のカジュアルウェディングやフォトウェディングの割合が増加すると予想されている。業界に先駆けて情報セキュリティマネジメント規格「ISO(JIS Q)27001」の国際規格認証を取得していることや、高品質・高付加価値なサービスで業界首位の成婚率を実現し、高い信頼性・ブランド認知度を確立していることなども勘案すれば、市場競合においても同社の優位性が発揮されるだろう。収益特性の季節変動要因については、挙式披露宴の施行が春(3-5月)及び秋(9-11月)に集中する傾向があり、同社のカジュアルウェディング領域の業績も、この影響を受けやすい。そのため閑散期の施行を促進する施策を強化している。なお、コロナ禍の影響で事業環境が大幅に悪化したため、2021年3月期~2022年3月期に、拠点統廃合、人員配置最適化、広告販促費の戦略的抑制などの施策を実施した。後述するように、2023年3月期はコロナ禍の影響が和らいで業績が回復基調のため、成長に向けた広告投資を再開する方針としている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/06/10 15:25
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東京通信 Research Memo(4):意思決定の迅速化と次世代の経営人材に向けた育成基盤の醸成を狙う
■東京通信<7359>の今後の見通し1. 2022年12月期の業績見通し2022年5月31日に2022年12月期業績予想の修正を行った。見通しについて、売上高を5,900百万円から5,300百万円(当初予想比10.2%減)、営業利益を470百万円から10百万円(同97.9%減)、経常利益を450百万円から10百万円(同97.8%減)、親会社株主に帰属する当期純損失を140百万円(当初予想は230百万円の利益)、EBITDAを790百万円から396百万円(同49.9%減)へとそれぞれ引き下げた。修正の理由として、先行投資の前倒し及び本社移転の費用計上、直近の業績動向の影響が挙げられる。なかでも注目すべきは先行投資の前倒しである。同社グループでは第二創業期を迎えて、2022年2月に成長戦略を策定しており、世界を代表するデジタルビジネス・コングロマリットになることを目指している。成長ストーリーの実現に向けて、新たな収益源の確立のため、成長投資の拡大を見据えて、当初想定していた新規事業を中心とした先行投資を前倒しすることとした。本社移転については120百万円を売上原価、販売費及び一般管理費に配分する。2022 年12 月期においては一時的な費用の拡大を見込んでいるものの、同社では今後、中長期の成長を視野に入れて事業成長に取り組んでいくとしている。各セグメント別の見通しは以下の通りとなっている。1)インターネットメディア事業インターネットメディア事業においては、見通しについて売上高を3,544百万円から3,240百万円(当初予想比304百万円減)、セグメント利益を698百万円から432百万円(同266百万円減)へとそれぞれ引き下げた。売上高の修正は「Save them all」に続くヒット作を創出できていないなどの業績動向の影響が要因である。セグメント利益の減少額の内訳は、前述の業績動向の影響が128百万円、東アジアへのアプリ提供の本格化、Play to Earn領域のインセンティブゲーム、自社コンテンツの家庭用ゲーム機等のプラットフォームへ展開、ECサイトでの音声コンテンツ販売、教育関連アプリの開発等の新規領域への挑戦を目的とした追加開発を行う先行投資に関わる影響が105百万円などとなっている。2)プラットフォーム事業プラットフォーム事業においては、見通しについて売上高を1,782百万円から1,728百万円(当初予想比54百万円減)、セグメント利益を250百万円から216百万円(同34百万円減)へとそれぞれ引き下げた。売上高の修正は、電話占い「カリス」のノウハウを活用した恋愛相談サービスのリリースを計画中であり、成功確率を上げることを狙い、協業予定のパートナーとリリース計画の再構築を行ったこととクオリティ追及を目的とした開発期間の延長に伴う業績動向の影響が要因である。セグメント利益の減少額の内訳は、前述の業績動向の影響が5百万円、先行投資に関わる影響が14百万円などとなっている。3)インターネット広告事業インターネット広告事業おいては、見通しについて売上高を406百万円から244百万円(当初予想比162百万円減)、セグメント利益は13百万円からセグメント損失18百万円(同31百万円減)にそれぞれ引き下げた。いずれもSEO関連サービスの計画を再調整し、それに伴う業績動向の影響が要因となっている。4)その他セグメントその他セグメントにおいては、見通しについて売上高を168百万円から88百万円(当初予想比80百万円減)、セグメント損失を87百万円から144百万円(同57百万円増)へとそれぞれ引き下げた。売上高は「OWN.」のサービス向上のために協業するインフルエンサーと告知スケジュールの調整を行ったことによる業績動向の影響が要因である。セグメント損失の増加額の内訳は前述の業績動向の影響が17百万円、「OWN.」の機能改善のための追加開発を行う先行投資に関わる影響が40百万円となっている。これらに加え、メタバース事業、デジタルサイネージ事業、その他新規事業に関しても、より成長を加速させるための開発体制の強化を計画しており、同社はこれらを2023年12月期以降の業績拡大につなげていくとしている。2. 今後の見通しコーポレート機能を担う持株会社とプロフィットセンターとしての各事業を分離し、意思決定を迅速化させるため、2023年に持株会社体制移行と商号変更を予定している。世界を代表するデジタルビジネス・コングロマリットに向けて、次世代の経営人材に向けた育成基盤の醸成を目指す。新商号については、世界を視野に入れてより親しみやすい名称を検討中である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 大川勇一郎)
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2022/06/10 15:24
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タメニー Research Memo(4):フォトウェディングが成長分野
■タメニー<6181>の事業概要3. カジュアルウェディング事業カジュアルウェディング事業の主要サービスは、カジュアル挙式披露宴プロデュース「スマ婚」、結婚式二次会プロデュース「2次会くん」、フォトウェディングプロデュース「LUMINOUS」である。カジュアル挙式披露宴「スマ婚」は、予算内で高クオリティな結婚式をしたいという要望に応じて、安く・美しく・自由なカジュアルウェディングをプロデュースする。全国約250の提携会場での挙式披露宴をプロデュースし、当日の運営は挙式披露宴会場のプロのスタッフが行う。提携会場の日程の空き枠の有効活用や、アイテムの大量発注・自社内製などで価格を抑制するため、一般的な挙式披露宴費用約292万円(ゼクシィ結婚トレンド調査2021調べ)に対して、「スマ婚」の平均費用は約200万円となっている。なお、コロナ禍への対応だけでなく、新郎新婦のニーズが、従来の「たくさんのゲストを招待して挙式+披露宴を行う」形式から、「本当に大切な人に感謝を伝えるための小規模な結婚式を行う」形式に移り変わってきていることに対応して、新たなプラン・サービスの企画開発・提供も推進している。2021年11月には「スマ婚少人数挙式ライトプラン」の受注を開始、2022年2月にはスマ婚少人数挙式と家族写真(和装後撮り)をセットにした「新マイクロウェディング」の受注を開始した。今後も多様化するニーズに対応して、様々なプラン・サービスを拡大していく方針だ。結婚式二次会「2次会くん」は二次会幹事代行サービスである。プロのプランナーによるプロデュースで、飲食店など全国480以上の提携会場からニーズに合わせて会場を紹介し、当日はプロの幹事・運営スタッフを会場に派遣(飲食は会場に委託)する。平均費用は約40万円となっている。フォトウェディング「LUMINOUS」は、邸宅ロケーションフォトスタジオなどにおいて、フォトを主軸としたウェディングを行っている。理想の花嫁姿を写真に残したいという要望に応えて、洗練されたスタジオセット、格式高いチャペルや邸宅のロケーションなど、本物のロケーションを生かして世界一美しい花嫁姿を撮影する。撮影費用は平均約28万円となっている。一般的な挙式披露宴費用の約10分の1の予算で「結婚式よりも、結婚式らしい」体験ができる。フォトウェディング「LUMINOUS」は、withコロナ時代に適応したウェディングの形として成約・施行件数が大幅に増加しているため、今後の成長分野と位置付けて第3の収益源に育成するための施策を推進している。2020年11月には、子会社のタメニーアートワークスがブライダル事業のエスクリ<2196>と業務提携した。首都圏のみで提供していたフォトウェディング「LUMINOUS」の撮影会場にエスクリの高クオリティなチャペルや会場が加わり、全国展開が可能になった。2021年6月には、6拠点目(関西初出店)となる自社スタジオを大阪にオープンした。また「和装前撮り特別プラン」など高付加価値サービスを追加することで、平均単価の上昇傾向が見られるとしている。カジュアルウェディング事業の主要KPIの状況は以下の通りである。フォトウェディング「LUMINOUS」は成約・施行件数とも大幅に伸長している。カジュアル挙式披露宴「スマ婚」及び結婚式二次会「2次会くん」は、コロナ禍の影響で2021年3月期~2022年3月期に大幅に落ち込んだが、2023年3月期は回復に向かう見込みとしている。なお2021年12月に、婚礼衣装の企画・製造販売を展開(本場英国の上質なウェディングドレス等のドレスショップを全国62店舗展開)するフォーシス アンド カンパニーと資本業務提携した。結婚式の決定要因として重要な役割を担う婚礼衣装を強化することで、ウェディング市場における競争力を一段と強化する。テック事業は婚活事業者間相互会員紹介やアプリ完結型結婚相談所・婚活アプリなどを展開4. テック事業テック事業の主要サービスは、婚活事業者間相互会員紹介プラットフォーム「CONNECT-ship」の運営、アプリ完結型の結婚相談所「パートナーエージェント App」(旧「スマ婚縁結び」シリーズのサービス名を2022年2月に変更)の企画開発・運営、企業向け婚活支援システムなどである。「CONNECT-ship」は、日本で一番お見合いが組めるオープンなプラットフォームを目指して、2017年6月に開始した業界初、日本最大規模の婚活事業者間相互会員紹介プラットフォームである。事業者間で会員の相互紹介を行うことで、出会いの機会や成婚の最大化を目指す。2022年3月期末時点の利用事業者数は結婚相談所「パートナーエージェント」を含めて12社、利用会員数は31,152名(利用事業者の総会員数は95,000名以上)となった。2022年3月期のお見合い成立件数は2021年3月期比21,832件増加の311,256件となった。さらに2022年4月には、TMSが運営する「TMSコネクト」が加わり、利用事業者数は13社となった。なお「CONNECT-ship」のマネタイズポイントについては、従来はお見合い成立料を得る方式だったが、2022年3月期から、お見合い成立料を引き下げる一方で、新たに月額利用料を課金する方式に変更している。オンライン結婚相談所・婚活アプリの企画開発・運営では、恋活アプリ「スマ婚デート」運営で培ったノウハウをベースに、オンラインを活用した出会いの場に対するニーズが高まっていることも背景として、2021年1月に結婚相談所の充実したサービスと業界屈指のマッチングプールを活用し、アプリ完結型の新しいオンライン結婚相談所「スマ婚縁結び」の提供を開始した。なお2022年2月にサービス名を「パートナーエージェント App」に変更し、業界最安水準のライトプラン(月額1,000円、スタンダードプランは月額9,800円~)の提供も開始した。企業向け婚活支援システムは、結婚相談所事業を始めたい企業に対して、AIマッチングなどの最先端テクノロジーを活用した自社独自開発システムの提供、及び事業サポートを行っている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/06/10 15:24
注目トピックス 日本株
東京通信 Research Memo(3):マーケティング体制の強化により、プラットフォーム事業が引き続き堅調に推移する
■業績動向1. 2022年12月期第1四半期業績の概要東京通信<7359>の2022年12月期第1四半期業績は、売上高が1,313百万円(前年同期は1,085百万円)、営業利益が37百万円(前年同期比77.6%減)、経常利益が50百万円(同64.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益が19百万円(同76.7%減)、EBITDAが116百万円(同32.7%減)となった。マーケティング体制の強化によって、電話占い「カリス」をはじめプラットフォーム事業が堅調に推移した。インターネットメディア事業においては、2021年12月期に大ヒットした「Save them all」等の既存タイトルは売上高が減少したものの、ロングランの既存タイトルや新規ヒットタイトルの貢献もあり、全体では増収となった。一方で、海外領域のさらなる拡大のために東アジアに向けてアプリの提供を本格的に開始したことと、新たなジャンルとしてPlay-to-Earn領域においてプロモーションを強化したことで、開発費及び広告出稿費が増加し、減益となった。2. 事業セグメント別動向(1) インターネットメディア事業セグメント別の売上高では、インターネットメディア事業の売上高が820百万円(前年同期比20.8%減)、セグメント利益は113百万円(同55.8%減)となった。2021年12月期にヒットした「Save them all」等の既存タイトルの売上高が減少傾向にあるものの、新規タイトルである「shoot’em all」の収益貢献が始まった。また、海外領域のさらなる拡大として台湾、香港、韓国を中心とした東アジアへのアプリの提供を本格的に開始した。潜在顧客層の拡大が期待できる新ジャンルの開拓として、懸賞アプリをはじめとするインセンティブゲームの開発と、積極的なプロモーションを行ったため、開発費及び広告出稿費が増加した。(2) プラットフォーム事業プラットフォーム事業は、売上高が425百万円、セグメント利益は55百万円となった。プラットフォーム事業については2021年12月期第2四半期から新たな報告セグメントとして追加したため、前年同期比については算出していない。電話占い「カリス」が引き続き堅調に推移した。2021年12月期から取り組んでいたマーケティング体制の強化により、新規会員獲得のためのCPA(顧客獲得単価)の改善と、SEO対策による自然流入会員の獲得を行う事で収益性の向上につなげた。(3) インターネット広告事業インターネット広告事業の売上高は63百万円、セグメント損失は5百万円(前年同期は16百万円の利益)となった。インターネット広告領域において、アドテクノロジーを活用したアフィリエイト広告と、運用型広告、SEOによる広告主の課題解決を行った。有望なアフィリエイターとの関係性の強化による提携ネットワークの拡大と、利益率の向上のための自社メディアを中心とした広告商品の開発の取り組みを強化していることで、新規広告商品の開発費と人件費が増加し、損失計上となった。(4) その他の事業その他の事業の売上高は4百万円、セグメント損失は32百万円(前年同期はセグメント損失19百万円)となった。売上高の主な内訳は、スキルオン事業のオンラインフィットネスサービスと、ソリューションセールス事業のOA機器の販売代理によるものとなっている。3. 財務状況と経営指標2022年12月期第1四半期末における財政状態は、資産合計が3,934百万円(前期末比70百万円減)、負債合計が2,780百万円(同89百万円減)、純資産合計は1,153百万円(同19百万円増)となった。資産の主な減少要因は、償却により無形固定資産が67百万円減少したことによる。負債の主な減少要因は、長期借入金が62百万円、繰延税金負債が17百万円減少したことによる。純資産の主な増加要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が19百万円増加したことが挙げられる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 大川勇一郎)
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2022/06/10 15:23
注目トピックス 日本株
タメニー Research Memo(3):婚活・カジュアルウェディング領域を起点に周辺領域のサービスにも展開
■事業概要1. サービス概要タメニー<6181>は結婚相談所・婚活パーティー等の婚活領域、及びカジュアル挙式披露宴・フォトウェディング・結婚式二次会プロデュース等のカジュアルウェディング領域を主力に、周辺領域として、婚活事業者間相互会員紹介プラットフォーム・オンライン婚活サービス・企業向け婚活支援システム等のテック領域、成婚後サポート・保険代理店・住宅情報サービス等のライフスタイル領域、地方自治体向け婚活支援・企業向けイベントプロデュース・映像制作等の法人・自治体向け領域においても高品質のサービスを創出し、5戦略領域と位置付けて事業を展開している。報告セグメント区分(2022年3月期から変更)は、婚活事業(高付加価値型の結婚相談所運営、婚活パーティーの企画・運営等)、カジュアルウェディング事業(カジュアル挙式披露宴・フォトウェディング・結婚式二次会プロデュース等)、テック事業(婚活事業者間相互会員紹介プラットフォーム運営、オンライン婚活サービス等)、ライフスタイル事業(保険・金融・不動産関連等の生活品質向上に資するサービス提供)、法人・自治体向け事業(地方自治体向け婚活支援、企業向けイベントプロデュース等)としている。一気通貫の高品質・高付加価値サービスを展開し、業界首位の成婚率など高い信頼性・ブランド認知度を確立していることが特徴・強みだ。2022年3月期のセグメント別売上高(外部売上)構成比は婚活事業が46.3%、カジュアルウェディング事業が43.3%、その他事業が10.4%だった。2019年4月にカジュアルウェディング大手のメイションをグループ化(2020年10月に吸収合併)して、2020年3月期から婚活事業とカジュアルウェディング事業が2本柱となった。その後、2021年3月期はコロナ禍の影響を受けたが、2022年3月期は回復傾向となっている。結婚相談所は高品質が強みで業界首位の成婚率を誇る2. 婚活事業婚活事業の主要サービスは、会員制の結婚相談所「パートナーエージェント」の運営、及び2013年6月に開始した婚活パーティー「OTOCON」、2020年11月に開始したワンランク上の婚活パーティー「パートナーエージェントパーティー(PAP)」の企画・運営である。結婚相談所「パートナーエージェント」は、主に1年以内を目途に結婚相手を見つけたい会員に対して、高いスキルを持った成婚コンシェルジュサービスと独自のマッチングシステムによって成婚までの活動をサポートする仲介型の結婚相談所である。会員の平均在籍期間は約18ヶ月、1人当たり総支払額(登録料、初期費用、月会費、オプション料、成婚料など)は平均約37万円となっている。成婚コンシェルジュによるマルチサポートにより、業界首位の成婚率(成婚率=年間成婚退会者数/年間平均在籍会員数×100、(株)ビッグツリーテクノロジー&コンサルティングの2020年4月調べ)を特徴としている。なお、コロナ禍においてリアルでの出会いの場が減少するなか、2021年3月にはDX婚活として成婚率NO.1のサービス品質はそのままに、より効率的で、よりリーズナブルな婚活を実現するオンライン結婚相談所「パートナーエージェントONLINE」を開始した。そして2021年7月には、サービス開始からわずか5ヶ月で初の成婚を輩出している。婚活パーティー「OTOCON」は、結婚相談所「パートナーエージェント」へのエントリーサービスとして、本気で結婚したい男女が安心して気軽に参加できる業界最安水準の婚活パーティーである。全国の自社会場を中心に開催し、2013年の提供開始以降の累計参加者数は130万人を突破している。「OTOCON」の開催数及び参加者数については、2019年3月期まで順調に増加したが、2020年3月期からは運営最適化とサービス品質向上を目的として戦略的に開催数を減らしている。さらに2021年3月期~2022年3月期にはコロナ禍によるイベント中止・自粛も影響して大幅に減少した。なお2022年4月1日付の民法改正で成年年齢が18歳に引き下げられたことを受け、婚活パーティーの参加資格を従来の22歳から18歳に引き下げている。結婚相談所「パートナーエージェント」においても入会者の年齢が下がっている傾向が見られるため、婚活のスタートタイミングの早期化や若年層の婚活ニーズの高まりに対応していく。婚活事業の主要KPIの状況は以下の通りである。2021年3月期~2022年3月期はコロナ禍の影響で、いずれの指標も一時的に落ち込む形になったが、2023年3月期は回復に向かう見込みだ。その他の新規オプションサービスとしては、2020年6月に、トータルコーディネートで会員の魅力を最大限に引き出す婚活用スタイリングサービス「パートナーエージェントコーディネート(PAC)」を開始した。サービス開始から6ヶ月でPAC利用者の成婚率が1.4倍に上昇するという成果が得られたため、2021年1月から全国展開を開始した。2021年3月には、多様化する婚活ニーズに対応して、会員のプロフィールを動画で伝えるオプションサービス「ビデオプロフィール」も開始した。2021年8月には、AI婚活のマッチング精度のさらなる向上を目指して、NTTレゾナント(株)が提供する「gooのAI」を導入して従来のマッチングシステムをリニューアルし、新たにAI婚活マッチングシステム「sieger」の名称で運用を開始した。2021年9月には、結婚相談所「パートナーエージェント」が(株)スクラムの全国の結婚相談所の事業者間データ連携プラットフォームサービス「SCRUM」(会員数約4.3万人)と接続した。「SCRUM」は、全国結婚相談事業者連盟を運営する(株)TMSホールディングスと(株)日本仲人連盟が、2021年2月に共同で創設した全国の結婚相談所を繋ぐデータ連携サービスである。この接続により、「パートナーエージェント」における紹介可能なマッチングプール(活動会員数)が、後述する婚活事業者間相互会員紹介プラットフォーム「CONNECT-ship」の登録会員数(約3.1万人)と合わせて、結婚相談所業界最大級の7万人超となった。なお2021年12月にはTMSホールディングスと資本業務提携して強固な協力関係を構築した。また2021年12月にはアイ・ケイ・ケイホールディングスと資本業務提携した。アイ・ケイ・ケイホールディングスはゲストハウス・ウェディングを全国19店舗で展開するとともに、結婚仲介事業を行う子会社ララ・クゥールを設立(2021年11月)している。婚活領域において協力関係を構築する。さらに、2022年4月には結婚相談所連盟「婚活アライアンスパートナーズ」を設立した。約1万人の会員数を有する結婚相談所「パートナーエージェント」を含めて、加盟している複数の結婚相談所の会員を紹介できるだけでなく、婚活事業者間相互会員紹介プラットフォーム「CONNECT-ship」と接続することも可能になる。より多くの結婚相談所の加盟を促進することで、加盟店会員の成婚機会拡大や成婚率上昇に繋げられる。そして、より多くの成婚を輩出し、生涯未婚率の低下・少子化という社会問題の解決に取り組むことで、婚活業界の健全な発展にも貢献する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/06/10 15:23
注目トピックス 日本株
東京通信 Research Memo(2):世界を代表するデジタルビジネス・コングロマリットを目指す
■事業概要1. 沿革同社グループは、2015年5月、 スマートフォン向けアプリケーションの開発・運用を主な目的として設立された。2020年12月東京証券取引所(以下、東証)マザーズ市場に上場を果たし、現在は、東証グロース市場に移行している。東京から世界へ、「世界を代表するデジタルビジネス・コングロマリット」を目指して、変化の早い環境に順応していくために、既存事業にこだわらず、ビジネスモデルの転換や競争力のある新規事業の創出・育成に挑戦する風土が東京通信<7359>の強みとなっている。フィットネス、ライブコマース、メタバース、デジタルサイネージなど、新事業展開に注力2. 事業内容同社のセグメントはインターネットメディア事業、プラットフォーム事業、インターネット広告事業、及びその他で構成される。その他の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントとなる。(1) インターネットメディア事業インターネットメディア事業では、主にスマートフォン向けのアプリメディアを企画・開発する。アプリ内の一部スペースを広告枠とし広告を出稿したい広告主へ提供することで、ユーザーの広告視聴やクリック数等を獲得し、広告収入を得ている。具体的には、短時間で操作できる「国内向けアプリ」、シンプルな操作で言語の壁がない「ハイパーカジュアルゲーム」を中心に、現在4,000タイトル以上のスマートフォンアプリをリリースし、無料アプリ内の広告収益を主軸としたビジネスモデルとなっている。また、新たなるジャンルとしてPlay-to-Earn領域において、懸賞アプリをはじめとする国内向けのインセンティブゲームのプロモーションを強化した。Play-to-Earnとは、ゲームをプレイすることでユーザーがアプリ内通貨などのインセンティブを得られる形式のゲームで、継続的なユーザーの維持による広告収益の増加を見込む。(2) プラットフォーム事業プラットフォーム事業では、恋愛や、仕事、人生に関する悩みを抱えるユーザーと、経験豊かなアドバイザーをマッチングする電話相談サービス「カリス」を運営する。電話占いは、相談を受ける側である占い鑑定師のマネジメントや教育にも注力し、全体的なコンテンツの質を高めることでユーザー獲得を行っている。また、「カリス」のノウハウを転用した恋愛相談サービスを計画している。占いと恋愛相談は心理的に近い分野であり、恋愛に悩みを持つ人、誰かに恋愛相談したい人などにまで顧客層を広げる。(3) インターネット広告事業インターネット広告事業は、アフィリエイト広告及びアドテクを活用し、広告主の収益の最大化を図り、取引の不正防止に重点を置くなど、大手クライアントとの信頼関係を構築し、安定した広告提案から運用までを手掛ける。業界に造詣の深い人材を中心とした組織を構築し、クローズドネットワークの活用により有望なアフィリエイターを抱え、VOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスをはじめとしたアフィリエイト広告戦略を強みとする。(4) その他の事業その他の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントで、投資事業、ソリューションセールス事業、スキルオン事業及び新規事業開発等となっている。特に注目すべきは、2022年4月にリリースしたヘルステックサービス「OWN.」と、ANAPとのライブコマース事業である。160万近いフォロワーを抱える筋トレ系インフルエンサーのTestosterone氏が監修する 「OWN.」は、動画でのトレーニング要素に加え、画像認識による食事の自動解析、体重管理や摂取カロリー計算機能を追加したヘルステックサービスとなっている。健康でエネルギッシュな状態を生涯にわたって維持するのに役立つプロダクトを提供するウェルネスブランドとして事業展開を予定しているする。Web・Appマーケティングとインフルエンサーマーケティングの両輪でアプリダウンロード数を最大化し、ショートムービー型SNSを駆使しながら、ダウンロードユーザーの課金比率向上を狙う。国内若年層を最初のターゲットとし、トレーナーと顧客をマッチングさせるサービスなどを視野に入れ、世界でトップのサービスを目指す。また「OWN.」ブランドの積極的な事業展開を計画しており、EC販売として近く自社開発のプロテインが発売予定となっている。また、ANAPと共同で、アパレル商品を中心に取り扱うライブコマース事業を手掛けるピーカンを設立した。現在開発中のライブコマースプラットフォーム「ピーカンライブ」において、インフルエンサーによるアパレル商品のライブ配信という新たな販売チャネルを確立することで、収益の最大化を目指す。さらに、事業ポートフォリオの拡大の取り組みとして、メタバース事業及びデジタルサイネージ事業へも参入を決定している。メタバース事業においては、(株)METAVERSE A CLUB(メタバースエースクラブ)を2022年6月に設立する予定となっている。ハイパーカジュアルゲームアプリ及び電話占い「カリス」、ファンビジネスのDX(デジタルトランスフォーメーション)支援を行う「スキルオン」やヘルステックサービス「OWN.」といった、それぞれのコンテンツのメタバースを構築するビジネスを構想している。具体的には「カジュアルゲームアプリ×メタバース」「占い×メタバース」「アイドル×メタバース」「フィットネス×メタバース」が挙げられる。スマートフォンの枠を越え、メタバースへと変換することによりコンテンツ自体の市場を拡張させながら、より多くの人々へサービスを提供し、同社独自のWeb3.0(分散型インターネットと称される次世代のインターネット)経済圏の確立を目指す。また、「アイドル×メタバース」展開の足掛かりとして、5月にオーバースへ出資を行った。提携により、これまで培ってきたファンビジネスの企画運営ノウハウを活用するとともにデジタルグッズ販売の運営支援などを手掛ける。デジタルサイネージ事業においては、(株)Digital Vision Industriesを同じく2022年6月に設立する予定となっている。同社では、インターネット広告事業において、独自のワンタグシステムの提供とAIを活用した効果測定により、国内主要ASPへの一括出稿及び効率的な成果管理を可能にしており、デジタルサイネージ事業への参入は、こうした知見と強みを生かすものである。従来の看板広告を、デジタルサイネージ広告によってリプレイスすることで、「広告効果の数値化」が可能となる。また、AIの活用により、視聴データを分析しながら、Web広告のような細かい設定やターゲットを絞った広告配信も可能となる。これらによって、エリア・属性を絞り込み、ターゲットに合わせてAIが判断し、適切な場所へ広告を配信することで、効率の良い広告配信と効果測定を実現できるという。看板広告をDXするためにデジタルサイネージの活用を進め、この広告枠を集約したデジタルサイネージ特化のアドネットワークの構築を推進する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 大川勇一郎)
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2022/06/10 15:22
注目トピックス 日本株
タメニー Research Memo(2):企業理念は「よりよい人生をつくる。」
■会社概要1. 会社概要タメニー<6181>は、企業理念に「よりよい人生をつくる。」を掲げ、婚活及びカジュアルウェディングを主力に、周辺領域のテック、ライフスタイル、法人・自治体向けにも展開し、5戦略領域において顧客が求める高品質サービスを創出・提供している。2022年3月期末時点でグループは同社、及び連結子会社2社で構成されている。連結子会社のタメニーアートワークス(株)はフォトウェディング等のカジュアルウェディング事業、タメニーエージェンシー(株)は広告代理業等のその他事業を行っている。なお、持分法適用関連会社だったエン婚活エージェント(株)(エン・ジャパン<4849>の連結子会社)については、2021年11月に保有している全株式をエン・ジャパンに譲渡して持分法適用関連会社から除外された。また、連結子会社でカジュアルウェディングやパーティープロデュース等を展開するタメニーパーティーエージェント(株)を2022年3月に吸収合併した。2. 沿革テイクアンドギヴ・ニーズ<4331>の100%子会社として旧(株)パートナーエージェントが設立され、同社の現在の代表取締役社長である佐藤茂(さとうしげる)氏が取締役に就任し、2006年9月に婚活事業(結婚相談所)を開始した。2008年5月にテイクアンドギヴ・ニーズから独立し、新(株)パートナーエージェント(2004年6月設立の(株)ドリームドアが2008年5月に商号変更、現在の存続会社)が旧(株)パートナーエージェントから事業を譲り受けた。その後、2013年6月に婚活パーティー「OTOCON」サービスを開始、2017年6月に婚活事業者間相互会員紹介プラットフォーム「CONNECT-ship」を開始、2019年4月にカジュアルウェディングの(株)メイションをグループ化(2020年10月吸収合併)、2020年3月にフォトウェディングの(株)Mクリエイティブワークス(商号変更後タメニーアートワークス)をグループ化、2020年4月に結婚式二次会会場紹介の(株)pma(商号変更後タメニーパーティーエージェント)をグループ化して事業領域を拡大した。そして2020年10月にメイションを吸収合併して商号をタメニー株式会社に変更、グループ会社の商号も変更した。2021年12月には(株)フォーシス アンド カンパニー、アイ・ケイ・ケイホールディングス(株)<2198>、及び(株)TMSホールディングスと、それぞれ資本業務提携した。株式関係では、2015年10月に東証マザーズに新規上場し、2022年4月の東京証券取引所の市場再編に伴って東証グロース市場に移行した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/06/10 15:22
注目トピックス 日本株
東京通信 Research Memo(1):積極的に新規事業を開始、事業ポートフォリオの拡大を目指す
■要約東京通信<7359>は、国内外向けに無料スマートフォンゲーム(以下、スマホゲーム)を多数展開するインターネットメディア事業を軸として、インターネット広告事業、プラットフォーム事業を手掛けている。ハイパーカジュアルゲームアプリ等をグローバル展開するインターネットメディア事業、アフィリエイト広告(成果報酬型広告)を行うインターネット広告事業に、電話占い「カリス」を運営する(株)ティファレトの連結子会社化に伴い、2021年12月期 第2四半期からプラットフォーム事業が加わった。また、新たな取り組みとして、ANAP<3189>と共同で展開するアパレル商品を中心に取り扱うライブコマース事業を手掛けるほか、2022年4月には新サービス「OWN.」をリリースして、ヘルスケア・フィットネス領域へ参入した。さらに、5月にメタバース(インターネット上に構築される仮想の三次元空間)事業及びデジタルサイネージ事業への参入とこれらを目的とした新会社の設立について決議するなど、新規事業を積極的に展開することで事業ポートフォリオの拡大を目指している。なお、中長期にわたる経営の効率化を目指し、分散したオフィス環境を統合する目的から2022年11月に本社を移転することが決定している。1. 2022年12月期第1四半期業績の概要2022年12月期第1四半期業績は、売上高が1,313百万円、営業利益が37百万円(前年同期比77.6%減)、経常利益が50百万円(同64.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益が19百万円(同76.7%減)、EBITDA(営業利益+のれん償却費+減価償却費)が116百万円(同32.7%減)となった。マーケティング体制の強化によってプラットフォーム事業が堅調に推移し、増収となった。一方で、積極的にプロモーションを行ったことで新規商材や新規事業開始に伴う人件費や開発投資のコストが増加し、減益となった。なお、2022年12月期から「収益認識に関する会計基準」等を適用しているため、売上高については、同基準の適用前である2021年12月期の実績に対する増減率を決算短信に記載していない。2. 2022年12月期業績見通し2022年5月31日に2022年12月期業績予想の修正を行った。先行投資に関わる影響及び本社移転に関わる影響に加えて、直近の業績動向を踏まえ、見通しについて売上高を5,900百万円から5,300百万円(当初予想比10.2%減)、営業利益を470百万円から10百万円(同97.9%減)、経常利益を450百万円から10百万円(同97.8%減)、親会社株主に帰属する当期純損失を140百万円(当初予想は230百万円の利益)、EBITDAを790百万円から396百万円(同49.9%減)へとそれぞれ引き下げた。3. 新事業展開についてフィットネスブームに事業機会を見い出し、2022年4月にヘルステックサービス「OWN.」をリリースした。また、2022年4月26日にはANAPと共同で、アパレル商品を中心に取り扱うライブコマース事業を行うための合弁会社(株)ピーカンを設立した。さらにメタバース事業及びデジタルサイネージ事業へも参入を決定している。リアル体験をバーチャル体験に変換することで、コンテンツごとのメタバースを構築する事業とリアル社会における看板広告をデジタルサイネージへとリプレイスし、広告枠として活用する事業を推進する。また、2022年5月31日に新しいアイドルグループの創造を目指す(株)オーバースへ出資を行った。4.株主還元策同社では、事業の成長・拡大による企業価値の向上を最重要課題として認識するとともに、株主に対する利益還元を経営の重要課題の1つと位置付ける。当面配当の予定はないものの、資本の健全性や成長のための投資を優先したうえで最適なバランスを検討し、配当を基本として株主還元の充実に努めるとしている。■Key Points・マーケティング体制の強化により、プラットフォーム事業が引き続き堅調・新規商材開発のためのコスト増により減益・先行投資及び本社移転に関わる影響と直近の業績動向を踏まえて2022年12月期の業績予想を修正・アパレル商品を中心に取り扱うライブコマース事業を手掛けるANAPとの合弁会社ピーカンを設立・新サービス「OWN.」のリリースでヘルスケア・フィットネス領域へ参入・メタバース事業及びデジタルサイネージ事業へも参入を決定・新しいアイドルグループの創造を目指すオーバースへ出資(執筆:フィスコ客員アナリスト 大川勇一郎)
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2022/06/10 15:21
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タメニー Research Memo(1):婚活・カジュアルウェディングを主力に5戦略領域で高品質サービスを創出
■要約タメニー<6181>は、企業理念に「よりよい人生をつくる。」を掲げ、婚活及びカジュアルウェディングを主力に、周辺領域のテック、ライフスタイル、法人・自治体向けにも展開し、5戦略領域において顧客が求める高品質サービスを創出・提供している。1. 婚活・ウェディング領域での高い信頼性・ブランド認知度が強み報告セグメント区分(2022年3月期から変更)は、婚活事業(高付加価値型の結婚相談所運営、婚活パーティーの企画・運営等)、カジュアルウェディング事業(カジュアル挙式披露宴・フォトウェディング・結婚式二次会プロデュース等)、テック事業(婚活事業者間相互会員紹介プラットフォーム運営、オンライン婚活サービス等)、ライフスタイル事業(保険・金融・不動産関連等の生活品質向上に資するサービス提供)、法人・自治体向け事業(地方自治体向け婚活支援、企業向けイベントプロデュース等)としている。一気通貫の高品質・高付加価値サービスを展開し、業界首位の成婚率など高い信頼性・ブランド認知度を確立していることが特徴・強みだ。2. 2022年3月期は赤字縮小、下期は黒字転換、債務超過を解消2022年3月期の連結業績は、売上高が2021年3月期比25.9%増の5,574百万円、営業利益が153百万円の損失(2021年3月期は2,176百万円の損失)、経常利益が218百万円の損失(同2,089百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益が320百万円の損失(同2,316百万円の損失)だった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響が継続しているため回復途上だが、2021年3月期との比較ではコロナ禍の影響が徐々に和らいで大幅増収となり、販管費削減など業績回復に向けた各種施策も寄与して、各利益は赤字が大幅に縮小した。半期別に見ると下期は各利益とも黒字転換した。また第4四半期のEBITDAは、ほぼコロナ禍前の水準に回復した。なお期末時点で債務超過を解消した。3. 2023年3月期は黒字転換予想、下期以降は成長軌道に回帰2023年3月期の連結業績予想は、売上高が2022年3月期比16.6%増の6,500百万円、営業利益が100百万円の利益(2022年3月期は153百万円の損失)、経常利益が50百万円の利益(同218百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益が50百万円の利益(同320百万円の損失)としている。コロナ禍の影響が和らいで大幅増収・黒字転換予想としている。なお2022年3月期は短期視点で業績回復と債務超過解消を優先したが、2023年3月期は上期に広告販促費を投入するなど、積極的な入会促進施策を再開する方針としている。このため半期別に見ると、上期は積極投資で赤字だが、下期は黒字転換し、成長投資の成果で成長軌道に回帰する見込みとしている。4. withコロナ時代でも同社の市場シェア拡大余地は大きい婚活・ウェディング市場の事業環境は、生涯未婚率の上昇・婚姻数の減少が続いていることに加えて、コロナ禍の影響で大幅に悪化した。ただし、一方では未婚率の上昇に伴って婚活サービス利用割合が上昇傾向であり、コロナ禍を契機にパートナーが欲しいと思う人の割合が上昇するなどの傾向も見られる。コロナ禍の影響で中期経営計画の目標値達成が後ろ倒しとなり、財務基盤の改善・安定化も課題となるが、同社の特徴・強みを勘案すれば、withコロナ時代でも同社の市場シェア拡大余地は大きく、中長期的に成長が期待できると弊社では評価している。■Key Points・婚活及びカジュアルウェディングを主力に高品質サービスを展開・2023年3月期は黒字転換予想、積極投資を再開して下期以降は成長軌道に回帰・withコロナ時代でも同社の市場シェア拡大余地は大きく、さらなる成長が期待できると評価(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/06/10 15:21
注目トピックス 日本株
DDHD Research Memo(10):2022年2月期はコロナ禍による業績低迷を踏まえ無配を決定
■株主還元DDホールディングス<3073>は、コロナ禍の影響による足元業績の低迷や財務基盤の強化を優先させるため、2022年2月期の中間配当及び期末配当の実施を見送った。2023年2月期についても、先行き不透明感から現時点で未定としている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2022/06/10 15:20
注目トピックス 日本株
新興市場銘柄ダイジェスト:エッジテクノロジは大幅に5日続伸、ANYCOLORがストップ高
<4068> ベイシス 3510 +310大幅に3日続伸。エイターリンク(東京都千代田区)が開発・製造したワイヤレス給電システム「AirPlug」の設置プロジェクトを推進すると発表している。同システムはマイクロ波を用いた最大17m先の長距離無線電波給電が可能で、双方向のデータ通信やあらゆる角度への給電ができるという。今後、全国のオフィスビルを中心に設置し、ワイヤレス給電システムの普及を目指す。<4268> エッジテクノロジ 1339 +221大幅に5日続伸。23年4月期の営業利益予想を前期比48.2%増の3.11億円と発表している。AI関連市場の需要拡大に対応するとともに既存事業の強化に取り組み、主力のAIソリューションサービスを中心に業績が拡大する見通し。同時に発表した22年4月期の営業利益は467.6%増の2.10億円で着地した。リカーリング型顧客(過去4四半期連続でサービスを利用した顧客)との取引が増え、利益押し上げに貢献した。<5032> ANYCOLOR 6510 +1000ストップ高。前日に公開価格(1530円)の3.14倍となる4810円で初値を付けた後も買いが殺到している。VTuberグループ「にじさんじ」の運営を手掛けており、22年4月期の営業利益予想は前期比160.7%増の37.85億円と大幅な増益を見込む。メタバースなどの注目テーマと親和性があることに加え、好業績見通しも評価されている。6月下旬まで次の新規株式公開(IPO)がないことも個人の買いを後押ししているようだ。<3927> Fーブレイン 847 -9急伸後マイナス転換。5月の売上高が前年同月比45.6%増の1.65億円になったと発表している。前月(74.0%増)に続き、高水準の伸び率を記録した。4-5月の累計では前年同期比60.1%増の3.72億円。23年3月期の売上高予想は20.00億-23.00億円となっており、進捗率は18.6-16.1%。予想レンジ内の高めの水準で推移していることが投資家から好感され、買いが入っているようだ。<6697> テックポイント 1126 +150ストップ高。HD-TVI伝送技術を用いた送受信用半導体TP2863とTP3810が、中国最大級の新エネルギー自動車メーカーの比亜迪自動車販売(BYD Auto)の純正HDドライブレコーダーに採用されたと発表している。同レコーダーは、BYD Autoが販売する量産車の大半に搭載される予定。テックポイント・インクは22年に110万セット以上のチップセットをBYD Autoに出荷することを目標としている。<4169> エネチェンジ 795 -2朝高後、値を消す。Japan Energy Capitalと運営参画するJapan Energy Fundの海外特化型の脱炭素テックファンドを通じ、米オームコネクトに出資したと発表している。オームコネクトは、家庭向けのデマンドレスポンスサービスを提供しており、電力需給がひっ迫する時間帯に参加者へ節電をメールやSMSで促している。参加者は協力した節電量に応じて報酬が得られる仕組み。オームコネクトは5500万米ドル(約72億円)を調達する。
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2022/06/10 15:19
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DDHD Research Memo(9):「新たな生活様式」の定着に鑑み、新規サービス・マーケットの創出にも取り組む
■今後の方向性と注目点1. 今後の事業展開の方向性DDホールディングス<3073>は、外食業界を取り巻く環境変化等を踏まえ、2020年2月期より3ヶ年の中期経営計画「Super 7 Project」をスタートした。既存事業の強化・拡大に加え、ブランドポートフォリオの拡充、スケールメリットの追求等により、高収益体質への転換や将来利益の創造などに取り組んでいる。直近2期はコロナ禍の影響を受け、事業基盤及び財務基盤の安定化に専念してきたが、業界の枠を超えたイノベーション(新たな価値の創出)の推進により、環境変化に柔軟に対応し、持続的な成長を実現していく方向性に大きな修正はない。特に、ウィズコロナ及びアフターコロナにおける外部環境や消費者の消費マインド等の変化に対応するため、コア事業の早期回復に取り組むとともに、新規サービス・マーケットの創出によりポートフォリオの拡充を推進する方針である。具体的には、コロナ禍に伴う「新たな生活様式」の定着に鑑み、「食」を起点とする店舗運営以外のマーケット開拓(ECやホテル運営等を含む)や、既存の経営資源(店舗資源や空間活用ノウハウ等)を活用した新規サービスの創出に取り組むとともに、将来的にはオープンイノベーションの実現による顧客LTV(生涯価値)の最大化へとつなげる構想を描いている。2. SDGsへの対応同社グループは、企業価値向上の観点から、サステナビリティをめぐる課題対応を経営戦略の重要な要素として推進することを基本方針に掲げている。既にESG(環境、社会、ガバナンス)に係る重要課題や関連するSDGsを特定するとともに、具体的な取り組みを実行している。3. 今後の注目点そもそも外食業界は、市場の伸びが期待できないうえ、競争の激化や消費者嗜好の変化などに直面し、将来に向けた変革をどう進めていくのかが重要なテーマになってきたが、そこにコロナ禍の影響が重なり、まさに正念場を迎えている。したがって、この難局を乗り越えることこそが、今後の持続的成長に向けて最大のアドバンテージになるものと見ることもできよう。また、中長期的な視点からは、同社ならではのイノベーションを生み出し、コロナ禍の影響を含む環境変化をいかにプラスに転じていくのか、その道筋が同社の将来を占ううえで重要なポイントになると考えている。その意味では、他社保有IPコンテンツの活用にノウハウを有するエスエルディーや、湘南エリアで独自のホテル・不動産サービスを展開する湘南レーベルといった、特徴的な連結子会社との連携をはじめ、アライアンス形態によるアミューズメントポーカー業態の開始など、新たな空間価値の創出に期待したい。また、プラットフォームビジネス(仕入支援サービス)やFC展開についても、リスクを抑えながらスケールメリットを享受する新たな戦略の軸として、今後の動向に注目すべきであろう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2022/06/10 15:19
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DDHD Research Memo(8):コロナ禍からの段階的な回復により、黒字転換を見込む
■業績見通し1. 2023年2月期の業績見通し2023年2月期の連結業績予想についてDDホールディングス<3073>は、売上高を前期比68.6%増の32,628百万円、営業利益を524百万円、経常利益を903百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を522百万円と、コロナ禍からの段階的な回復により黒字転換を見込んでいる。まん延防止等重点措置(2022年1月21日~3月21日)が解除されて以降、総じて回復基調にあるものの、新たな変異株の懸念や行動様式の変化等による影響を慎重に判断し、既存店売上高はコロナ禍前の約70%台の水準を見込んでいるようだ。また、コロナ禍からの本格的な回復は下期に入ってからと想定している。損益面でも、売上高の一定の回復に加え、これまで取り組んできた損益分岐点の引き下げ効果により、黒字転換を見込んでいる。2. 弊社の見方弊社では、新たな変異株の懸念を含め、先行きの不透明感に対しては引き続き慎重に判断すべきと考えているが、コロナ禍の収束を前提とすれば、既存店売上高の想定(コロナ禍前の約70%台の水準)に無理はないと評価している。また、収益体質の強化により、損益分岐点が引き下げられていることから、売上高の回復とともに営業利益の黒字化も十分に視野に入ってくるであろう。ただ、下期に入ってからの回復を見込んでおり、下期偏重になっているところには注意が必要である。2023年2月期については、まずは既存店の回復がもっとも重要なテーマと見ており、特にアフターコロナに向けた客足の戻りに注目すべきであるが、中長期的な視点からはポートフォリオの拡充(新規マーケットやサービス等)に向けた動きや、その具体的な成果にも注意を払う必要がある。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2022/06/10 15:18
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DDHD Research Memo(7):資本政策の実施により債務超過を解消。経営合理化策を通じて事業基盤を強化
■主な活動実績1. 経営合理化策の進捗(債務超過解消に向けた取り組み)DDホールディングス<3073>は、コロナ禍に伴う環境変化への対応や業績悪化の早期回復を図り、持続的な成長を果たしていくため、2021年2月期から経営合理化策を推進している。2022年2月期はさらに債務超過の解消にも取り組みながら、以下のような一定の成果をあげることができた。(1) グループ会社の見直し飲食セグメントの完全子会社5社(ゴールデンマジック、サンプール、商業藝術、The Sailing)をダイヤモンドダイニングに吸収合併させた2021年2月期に続き、アミューズメントセグメントのバグースについてもダイヤモンドダイニングに吸収合併させる組織再編を行った。グループ経営のさらなる効率化と将来における節税効果の検討※などが目的である。また、海外子会社株式の売却により、海外事業からも撤退した。※収益性の高いバグースをダイヤモンドダイニングに取り込むことにより、将来的には繰越損失との相殺による税務上のメリットが期待できる。(2) グループコストの圧縮役員報酬の減額をはじめとした人件費の抑制、本社の縮小や業務上必要な機器・サービスの抑制、地代家賃の減額交渉、コールセンターの廃止、広告宣伝費の抑制など、すべての費用の見直しと削減対策を実施した。その結果、販管費はコロナ禍前と比較して45.5%減(前期比でも19.7%減)に大きく削減され、収益構造の抜本的な改革を遂行することができた。(3) 不採算店舗の退店全直営店舗の10%に相当する54店舗の退店を完了した2021年2月期に続き、2022年2月期においても26店舗の撤退を実施した。駅前繁華街や路面店など高収益店舗への絞り込みをはじめ、環境変化を見据えた取捨選択を進めることにより、筋肉質な事業基盤への転換を図った。(4) 資本政策の実施主要取引銀行との良好な関係を維持するとともに、第6回新株予約権※1の行使促進(874百万円の資金調達)及びA種優先株式※2の発行(5,000百万円の資金調達)を行い、資本の充実(債務超過の解消)を図った。※1 2020年10月に発行した第6回新株予約権28,000個については2021年10月20日までにすべて行使された(そのうち、2022年2月期は17,249個が行使され、874百万円の資金調達が実現した)。なお、第7回新株予約権10,000個については現時点で未行使となっている。※2 (株)日本政策投資銀行が組成する「DBJ飲食・宿泊支援ファンド投資事業有限責任組合」を割当先とする第三者割当方式によるもの。A種優先株式は無議決権優先株式であり、普通株式を対価とする取得請求権・取得条項が付されていないため、既存株式の希薄化は一切生じない。2. コア事業の回復に向けた動き(1) デリバリー需要等への対応リモートワーク推進等による飲み会、宴会需要の減少に対応するとともに、ウィズコロナ及びアフターコロナを見据えた施策として、デリバリー需要を取り込むべく新商品の開発やウーバーイーツなどの配達代行の導入促進を行った。また、ランチタイムの需要増にも対応するため、既存店舗に「ステーキ五郎」などのランチタイム限定業態をオープンするなど、各種営業施策に取り組んだ。今後も顧客ニーズの把握に努めながら、コア事業を補完するサービスとして柔軟に対応していく方針である。(2) フランチャイジー(FC加盟)同社の強みである店舗運営力を活かし、ファストフード等で購買メリットなどが見込まれる業態へのFC加盟も検討中である。自社開発に係る時間や費用(リスク)を抑え、今後の事業展開に機動性と柔軟性を持たせるメリットが期待できるが、決して業態開発から手を引くことを意図するものではないようだ。2021年12月には、その一環として大衆寿司居酒屋「鮨 酒 肴 杉玉」を展開する(株)FOOD&LIFE INNOVATIONSとFC契約を締結し、1号店として「鮨 酒 肴 杉玉 木場」をリニューアルオープンした。手薄だった海鮮系をブランドポートフォリオに追加するとともに、FC加盟により仕入れ等に係るスケールメリットを享受するところに狙いがある。3. 新規サービス・マーケットの創出(1) 購買プラットフォームの立ち上げ飲食店向け予約・顧客台帳サービス「トレタ®」を開発・販売する(株)トレタなどとの協業により、同社グループの購買力を活用した仕入プラットフォームビジネスの展開に取り組んでいる。一都三県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)の中小規模の個人経営の飲食店向けに、産地直接契約の青果を中心としたグロッサリー、酒・飲料など6カテゴリー600品目を365日発送する仕組みとなっている。厳しい事業環境に直面する飲食店にとっては、同社グループのバイイングパワー(購買力)を活用し、原価低減メリットを享受できるほか、トレタ社にとっても、顧客である飲食店の囲い込みと手数料収入を獲得することができる。また、仕入先にとっては参画飲食店が新たな卸先となり、販路拡大につなげることができ、同社グループにとっても参画飲食店を束ねることでさらに調達量を拡大し、仕入先からのリベートを確保することができることから、参画飲食店、トレタ社、仕入先、同社グループの4者にとって、それぞれにメリットのあるプラットフォームビジネスと言える。本格的な稼働はこれからのようであるが、既に100社程度の登録があるようだ。(2) アミューズメントポーカー業態の開始「飲食」に偏重したサービス提供からの脱却を図るため、直営店舗の優良立地の特性を生かした、アライアンス形態によるアミューズメントポーカー業態※にも参入した。2021年12月3日には、(株)カジノロワイアルとの協業により、「Casino THE CLASS 品川店」をオープンしている。※アミューズメントポーカーとは、「お金を賭けないで本格的なカジノでのポーカーが楽しめる」店のこと。顧客は遊びたい分だけチップを購入して、本場さながらの雰囲気の中、ポーカーゲームを楽しむことができる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2022/06/10 15:17
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DDHD Research Memo(6):2021年2月期以降はコロナ禍の影響を受け大きく後退
■DDホールディングス<3073>の決算動向各事業の業績や主な取り組みは以下の通りである。(1) 飲食・アミューズメント事業a) 飲食売上高は前期比20.7%減の14,076百万円、セグメント損失は4,999百万円(前期は7,015百万円の損失)と減収ながら損失幅は大きく改善した。前期に引き続き、期を通じてコロナ禍の影響を受けたほか、ゼットンの連結除外による影響も減収要因となった。既存店売上高は前期比91.0%と前期をさらに下回り、コロナ禍前との比較でも38.9%と低調に推移した。特に、コロナ禍が一旦収束した2021年12月の既存店売上高(単月)はコロナ禍前の67.5%水準にまで戻ったものの、2022年1月に入ってからのオミクロン株の感染拡大が回復に水を差す格好となった。一方、損益面では、グループ会社の見直しや不採算店舗の整理など収益体質の強化(損益分岐点の引き下げ)に取り組み、減収ながらも損失幅の改善を図ることができた。出退店については、新規1店舗※、退店26店舗により期末店舗数(直営店)は296店舗となった。※2021年4月に、連結子会社のエスエルディーが、エンターテインメント事業などを手掛けるCLホールディングス<4286>とともに関西地区初の旗艦店舗となるディズニースペシャルカフェ「OH MY CAFE OSAKA」を出店した。b) アミューズメント売上高は前期比24.4%減の3,438百万円、セグメント損失は1,400百万円(前期は1,176百万円の損失)と減収となり損失幅も若干拡大した。飲食事業同様、休業・時短営業、酒類提供制限等の影響を受けたことに加え、感染防止に伴う消費マインドの変化等が業績の足を引っ張った。既存店売上高は前期比78.6%と前期を下回り、コロナ禍前との比較でも38.6%の水準にとどまった。もっとも、アミューズメント事業についても、コロナ禍が一旦収束した2021年12月の既存店売上高(単月)はコロナ禍前の68.4%水準にまで戻っており、バグースを軸とする業態の強さは失われていないとの見方ができる。出退店については、新規1店舗※、退店ゼロにより期末店舗数は54店舗を確保している。※2021年11月に、千葉県初出店となる「バグース船橋店」を出店した。(2) ホテル・不動産事業売上高は前期比56.8%増の1,838百万円、セグメント利益は483百万円(前期は96百万円の利益)と大幅な増収増益となった。貸コンテナ事業が安定推移しているうえ、ホテル事業についても、独自のコラボルーム企画やSNSマーケティングなどが奏功し、コロナ禍においても比較的堅調な運営を行うことができた。特に、新型コロナウイルス感染症の軽症者受け入れ施設としてホテル一棟(PARK IN HOTEL ATSUGI)を提供したことで、地域医療への貢献とともに、大幅な増収を実現することができた。活動面でも、「KAMAKURA HOTEL」(鎌倉市)がサウナシュラン※を受賞したほか、「THE HOURS」(平塚市)を湘南のサウナ&ステイをテーマとした「3S HOTEL HIRATSUKA」としてリブランディングオープンするなど、認知度や顧客満足度の向上にも取り組んだ。また、湘南エリアにおける不動産売買需要に対応すべく、地場ネットワークの強みを活かした不動産売買専門店「SLE不動産 藤沢店」「SLE不動産 大和店」をオープンした。※サウナー専門ブランドを運営するTTNE(株)が、様々な業界の「プロサウナー」を審査員として、従来のイメージより新たなサウナの価値を導き出し、サウナ愛を通じてより多くのサウナーをととのえた革新的なサウナ施設を、“今行くべき全国のサウナ施設”として毎年 11月11日「ととのえの日」に発表・表彰するもの。3. 2022年2月期の総括以上から、2022年2月期を総括すると、コロナ禍の長期化により、期を通じて営業活動を制限されたことから、業績面については前期に引き続き厳しい結果となった。一方、グループ体制の見直しや不採算店舗の整理を含む収益体質の強化や資本政策の実施により、事業基盤及び財務基盤の安定化に一定の目処をつけたところは、今後に向けて大きな前進と言える。また、この2年間の落ち込みは、コロナ対策(人流抑制や営業制限等)に伴う不可抗力なものであり、特に都心のドミナント展開にこそ強みを有する同社にとって大きなハンディとなったが、同社の本質的な優位性が失われたものではないとの見方をしている。したがって、コロナ禍の段階的な収束とともに、どれだけ客足が戻ってくるのかが今後の注目点となろう。弊社では、コロナ禍における外食(居酒屋)業界各社を評価するポイントとして、コロナ禍を生き残るための、1) 財務体力があるか、2) 収益体質の強化が図れているか、さらにアフターコロナを見据えて、3) 再成長に向けた経営資源(店舗、人材等)や業態の優位性が維持されているか、4) ニューノーマル(環境変化)を的確に捉え、対応する力やその準備ができているかに注目している。同社の場合は、既に1)及び2)に一定の目処が立ったことから、3)及び4)をどう評価するかがポイントとなろう。その視点に立てば、この2年間にある程度の整理は行ってきたものの、コアとなる店舗や人材をグループ内に維持してきたこと、空間活用ノウハウや店舗運営力などの優位性は失われていないこと、さらにはその強みを生かしつつ、環境変化へ対応するための準備(新規マーケットやサービス等)にも取り組んでいることから、コロナ禍の収束とともに業績の早期回復及び成長軌道への回帰は可能であると判断している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2022/06/10 15:16
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DDHD Research Memo(5):高収益ブランドの出店拡大が成長をけん引
■決算動向1. 過去の業績推移過去の業績を振り返ると、店舗数の拡大がDDホールディングス<3073>の成長をけん引してきた。特にM&Aによる規模拡大が出店ペースに拍車をかけてきたと言える。2015年2月期から高収益ブランドを軸とした出店拡大を本格化すると、2018年2月期には大型M&A(ゼットン及び商業藝術の連結化)を実現し、スケールメリットの追求や業態の多様化等に取り組んだ。また、2020年2月期には、エスエルディー及び湘南レーベルを連結化し、さらなる事業拡大と事業領域の拡充を図った。ただ、2021年2月期以降は、コロナ禍の影響を受けてこれまでの拡大路線から一転し、大きく後退する状況となっている。利益面では、高収益ブランドの出店拡大等により2017年2月期の営業利益率は5.4%に改善。その後はウェディング事業への参入などに伴う先行費用の増加により4%~5%で推移したものの、2020年2月期は売上高の拡大とグループ商流集約による原価率低減等が奏功し、過去最高益を更新した。2021年2月期以降は、コロナ禍の影響により2期連続で営業損失を計上した。財務面では、財務基盤の安定性を示す自己資本比率はおおむね20%台で推移してきたが、2021年2月期はコロナ禍の影響を受けて大幅な損失を計上したことから、期末時点で債務超過に陥る結果となった。もっとも、収益体質の強化や資本政策の実施(新株予約権の行使やA種優先株式の発行)を通じて、2022年2月期末時点において債務超過は解消されている。2. 2022年2月期の業績概要2022年2月期の連結業績は、売上高は前期比17.6%減の19,353百万円、営業損失は7,332百万円(前期は9,703百万円の損失)、経常損失は97百万円(同9,034百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失354百万円(同8,507百万円)と、長期化するコロナ禍の影響により減収となったものの、損失幅は大きく改善した。前期に引き続き、度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に伴う休業・時短営業、酒類提供制限等が実施されたことにより、主力の「飲食・アミューズメント事業」の売上高は前期よりもさらに落ち込む結果となった。既存店売上高(全事業)は前期比89.1%、コロナ禍前(2020年2月期)との比較では39.2%の水準にとどまっている。特に第1四半期、第2四半期が低調に推移すると、コロナ禍が一旦収束した第3四半期以降は回復に向かったものの、2022年1月に入ってからのオミクロン株の感染拡大が回復に水を差す格好となった。また、2021年2月期第3四半期よりゼットンが連結除外されたことも減収要因(約23億円の売上減)となっている。一方、「ホテル・不動産事業」については、貸コンテナ事業が安定推移しているうえ、新型コロナウイルス感染症の軽症者受け入れ施設としてホテル一棟を提供したことで、地域医療への貢献とともに、大幅な増収を実現することができた。出退店については、新規2店舗、退店26店舗(海外事業撤退に伴う3店舗を含む)により、期末の直営店舗数は350店舗となった。損益面では、減収が収益の下押し要因となったものの、グループ会社の見直しや不採算店舗の整理を含む収益体質の強化(損益分岐点の引き下げ)により営業損失は縮小した。さらに助成金収入7,170百万円(時短要請協力金等)を営業外収益に計上したことにより経常損失を97百万円まで改善することができた。財務面では、第6回新株予約権の行使(874百万円)及びA種優先株式の発行(5,000百万円)を通じた資本調達により、純資産は5,240百万円(前期末は301百万円の債務超過)となり、債務超過の解消を図ることができた。一方、総資産は、固定資産の圧縮を図ったものの、現金及び預金や未収入金(助成金収入分)の増加により、前期末比14.1%増の35,736百万円に増加し、それらの結果、自己資本比率は12.7%に回復した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2022/06/10 15:15
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DDHD Research Memo(4):ブランドマネジメントと、好立地の集中的に出店するドミナント展開に強み
■企業特長1. 独自のブランドマネジメントによる収益の安定と成長の両立業態開発力を生かした保有ブランドの多様性(ブランドポートフォリオ)は、環境変化への機動的な対応や主力ブランドのライフサイクルの分散を図ることで、収益の安定と持続的な成長の両立を実現するものである。DDホールディングス<3073>のブランドポートフォリオは、ブランドごとの特性やグループ内の役割から、「多店舗展開予備軍ブランド&少数展開ブランド」「多店舗展開によるスケールメリット追求」「フラグシップブランド等によるコーポレートブランディング」と明確化されている。今回のコロナ禍においては、緊急事態宣言等(休業及び時短要請、酒類提供の制限)により業態全般で想定を超える影響を受ける状況となったが、カフェ業態やアミューズメント業態、専門業態など、業態によって影響の大きさや回復スピードに違いがあり、ブランドポートフォリオの最適化による効果自体を否定するものではない。2. ドミナント展開による効率性及び回遊性の向上同社は、保有ブランドの多様性を生かしたドミナント展開を基本としている。好立地への集中出店は、集客面で有利であることに加えて、物流コストの削減など効率性を高めることが可能となる。特に、同社の場合は、ブランドの役割や特性が異なることから、立地に見合ったブランドでの出店が可能なうえ、ブランド間競合(カニバリゼーション)が少なく、ブランド間で顧客の回遊性を高める相乗効果も発揮されている。相次ぐM&Aにより関東圏以外の主要都市へ出店エリアが拡大してきたが、そこでもドミナント出店を基本に据える方針である。都心を中心とする店舗展開はコロナ禍の影響を大きく受けたものの、好立地の店舗資産や空間活用ノウハウは、これからの新規事業の立ち上げや他社とのコラボレーションにおいて大きな武器となる可能性が高い。3. 独自のコンセプトに基づく個性的な店舗づくり独自の発想による業態開発並びに店舗づくりも同社の特長(強み)である。「コンセプト」「空間」「ストーリー」を重視した個性的な店舗づくりやスタッフが歌を唄い顧客を熱狂させる「宴」の演出は、他社との差別化要因となってきた。また同社は、「世界に誇る『オープンイノベーション企業』」を経営理念に掲げており、異業種や他社保有IP(キャラクターやタレント等)を含めた外部資源との融合(コラボレーション)による新しい価値創造にも挑戦する方針である。4. 数々のM&Aを成功に導いてきた組織能力同社の成長を支えてきた要因として、M&Aも重要な役割を担ってきた。規模拡大のみならず、バグースの買収によるアミューズメント事業への参入や、ゼットン及び商業藝術、エスエルディーの買収によるカフェ業態、IP事業の獲得など、飲食事業領域の拡大(業態ポートフォリオの最適化)に向けた足掛かりになるとともに、同社グループの経営理念や経営資源、運営ノウハウなどを共有することにより、グループ一体となった価値創造(シナジー創出)を実現してきたところは高く評価できる。また、そこで培ってきた経験則や組織能力は、今後のグループ再編やM&A戦略においても大きなアドバンテージになるものと考えられる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2022/06/10 15:14