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兵機海運 Research Memo(7):2023年3月期は、外航事業は不透明だが、内航事業での堅調な推移を見込む
配信日時:2022/06/10 15:37
配信元:FISCO
■今後の見通し
1. 2023年3月期の業績見通し
兵機海運<9362>の2023年3月期の連結業績見通しは、売上高で前期比6.8%減の15,000百万円、営業利益で同2.4%増の500百万円、経常利益で同4.4%減の500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同2.4%減の350百万円である。売上高の減少は外航事業の主航路である極東ロシア航路の当面の見合わせ等が考慮されている。営業利益はサービスの高付加価値化等で増益見込みだが、経常利益は為替差益や受取出向料等の営業外収益の減少による減益が見込まれている。
内航事業では、主力の鉄鋼の輸送需要は引き続き堅調に推移することが見込まれている。なお、内航事業を取り巻く外部環境の変化として、船員の働き方改革・内航海運の生産性向上等を目的とした海事産業基盤強化法が2022年4月に施行されたことがあげられる。船員の労務管理体制や、労働時間の範囲見直し等が入っており、同社は船主及びオペレーターの両面の立場で適法に取り組んでいくと見られる。それに伴う人件費及び設備投資費の増加ならびに船舶燃料油価格高騰等、コスト上昇分の転嫁を顧客に理解してもらうべく、適正料金への改定要請を進めていくようだ。
外航事業では、ロシアとの物流制限や金融制裁が続く当面の間は、事業を見合わせざるを得ない状況である。当該航路に投入していた定期傭船の新たな航路及び取扱貨物の開拓等を進めていくと見られる。また、海外パートナーとの協業により、海外調達品の受注増加と海外プラント輸送貨物の獲得等、三国間貿易貨物の輸送を強化し、委託船による安定した収益基盤の構築を進めていくようだ。
港運事業では、引き続き巣ごもり需要が底堅く、同社が得意とする小売用食料品の輸入取扱は堅調に推移することが見込まれている。既存の主要顧客を営業活動のベースとしつつ、内航事業・外航事業と連携した特殊貨物輸送の新規獲得及び倉庫事業と連携した危険物貨物のさらなる営業強化等、他のセグメントとのシナジー効果の発揮に取り組むようだ。
倉庫事業では、兵庫埠頭物流センター敷地内に3棟目の危険物倉庫を新設し、取り扱いを加速させ、さらなる収益拡大を目指している。また、姫路地区においては、危険物倉庫の恒常的な満床を解消すべく連携できる協力会社の検討を進めていくようだ。
バランスの良い事業ポートフォリオと機動的な営業で、今後も堅実な成長が続く見通し
2. 中長期の成長戦略
同社の強みであるバランスの良い事業ポートフォリオと機動的な全方位営業により、弊社では、同社の業績が今後も堅実に推移していくと見ている。なかでも以下の4つの取り組みは、中長期の成長戦略として有望と考える。
(1) 鉄鋼材の海陸一貫輸送スペシャリストとしての取り組み
同社は鋼材船オペレーターとしての豊富な経験と実績により、国内大手鉄鋼メーカーより高い信頼を得ている。独立系海運会社としての機動性を生かし、集荷・配船・船積・配達までワンストップで物流サービスを提供し、顧客との関係を強化していく。
(2) 船員確保・次世代育成に向けた取り組み
同社は2013年4月に事業パートナーである船主と共同で、七洋船舶管理を設立した。内航船員の高齢化・担い手不足問題に向き合い、船員の確保・育成に積極的に取り組んでいる。新人船員の早期育成を可能とする船員育成船への投資や女性船員の育成に特に注力し、将来の海運業界を担う人材を輩出していく考えである。
(3) 共存共栄エコシステムの形成に向けた取り組み
船主オーナーの経営サポートから船員確保・船体管理まで、船主オーナーをはじめとする全ての事業パートナー(荷役業務、陸上輸送)がともに発展し成長する共存共栄エコシステムの形成を目指していく。
(4) 高付加価値貨物の取り扱い拡大に向けた取り組み
港運・倉庫事業においては、一般貨物に加え、危険物等の高付加価値貨物の取り扱いによって差別化を図り、収益性の高いビジネスモデルの確立に取り組んでいく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)
<ST>
1. 2023年3月期の業績見通し
兵機海運<9362>の2023年3月期の連結業績見通しは、売上高で前期比6.8%減の15,000百万円、営業利益で同2.4%増の500百万円、経常利益で同4.4%減の500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同2.4%減の350百万円である。売上高の減少は外航事業の主航路である極東ロシア航路の当面の見合わせ等が考慮されている。営業利益はサービスの高付加価値化等で増益見込みだが、経常利益は為替差益や受取出向料等の営業外収益の減少による減益が見込まれている。
内航事業では、主力の鉄鋼の輸送需要は引き続き堅調に推移することが見込まれている。なお、内航事業を取り巻く外部環境の変化として、船員の働き方改革・内航海運の生産性向上等を目的とした海事産業基盤強化法が2022年4月に施行されたことがあげられる。船員の労務管理体制や、労働時間の範囲見直し等が入っており、同社は船主及びオペレーターの両面の立場で適法に取り組んでいくと見られる。それに伴う人件費及び設備投資費の増加ならびに船舶燃料油価格高騰等、コスト上昇分の転嫁を顧客に理解してもらうべく、適正料金への改定要請を進めていくようだ。
外航事業では、ロシアとの物流制限や金融制裁が続く当面の間は、事業を見合わせざるを得ない状況である。当該航路に投入していた定期傭船の新たな航路及び取扱貨物の開拓等を進めていくと見られる。また、海外パートナーとの協業により、海外調達品の受注増加と海外プラント輸送貨物の獲得等、三国間貿易貨物の輸送を強化し、委託船による安定した収益基盤の構築を進めていくようだ。
港運事業では、引き続き巣ごもり需要が底堅く、同社が得意とする小売用食料品の輸入取扱は堅調に推移することが見込まれている。既存の主要顧客を営業活動のベースとしつつ、内航事業・外航事業と連携した特殊貨物輸送の新規獲得及び倉庫事業と連携した危険物貨物のさらなる営業強化等、他のセグメントとのシナジー効果の発揮に取り組むようだ。
倉庫事業では、兵庫埠頭物流センター敷地内に3棟目の危険物倉庫を新設し、取り扱いを加速させ、さらなる収益拡大を目指している。また、姫路地区においては、危険物倉庫の恒常的な満床を解消すべく連携できる協力会社の検討を進めていくようだ。
バランスの良い事業ポートフォリオと機動的な営業で、今後も堅実な成長が続く見通し
2. 中長期の成長戦略
同社の強みであるバランスの良い事業ポートフォリオと機動的な全方位営業により、弊社では、同社の業績が今後も堅実に推移していくと見ている。なかでも以下の4つの取り組みは、中長期の成長戦略として有望と考える。
(1) 鉄鋼材の海陸一貫輸送スペシャリストとしての取り組み
同社は鋼材船オペレーターとしての豊富な経験と実績により、国内大手鉄鋼メーカーより高い信頼を得ている。独立系海運会社としての機動性を生かし、集荷・配船・船積・配達までワンストップで物流サービスを提供し、顧客との関係を強化していく。
(2) 船員確保・次世代育成に向けた取り組み
同社は2013年4月に事業パートナーである船主と共同で、七洋船舶管理を設立した。内航船員の高齢化・担い手不足問題に向き合い、船員の確保・育成に積極的に取り組んでいる。新人船員の早期育成を可能とする船員育成船への投資や女性船員の育成に特に注力し、将来の海運業界を担う人材を輩出していく考えである。
(3) 共存共栄エコシステムの形成に向けた取り組み
船主オーナーの経営サポートから船員確保・船体管理まで、船主オーナーをはじめとする全ての事業パートナー(荷役業務、陸上輸送)がともに発展し成長する共存共栄エコシステムの形成を目指していく。
(4) 高付加価値貨物の取り扱い拡大に向けた取り組み
港運・倉庫事業においては、一般貨物に加え、危険物等の高付加価値貨物の取り扱いによって差別化を図り、収益性の高いビジネスモデルの確立に取り組んでいく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)
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