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ESG最前線レポート ─「レアアース投資にもESG観点を」
配信日時:2026/01/31 11:00
配信元:MINKABU
第52回 「レアアース投資にもESG観点を」
●中国によるレアアース輸出規制
この1月、アメリカのワシントンで、主要7カ国(G7)やオーストラリア、インド、韓国、メキシコなどの財務相・閣僚が集まり、レアアース(希土類)など重要鉱物に関する閣僚級協議が開かれました。そこでは有志国で連携してサプライチェーンを強靱化し、中国への依存度の引き下げを加速させることで一致しました。
昨年、中国はアメリカによる関税措置に対抗してレアアースの対米輸出規制を強化したほか、台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁に反発して、同様の規制方針を打ち出しています。アメリカでは、この輸出規制により自動車大手のフォードが一時生産を停止せざるを得なくなるほど大きな影響を受けました。仮に、本格的に輸出規制が実行されれば、日本企業の事業活動にも深刻な打撃を及ぼす可能性は高く、3カ月で約6600億円の経済的損失が生じるとの試算もなされています。
●レアアースに潜む社会的リスク
埋蔵量だけでみれば、中国のレアアース世界シェアはおよそ4割を占めています。さらに、採掘された鉱石から不純物を取り除く精錬段階では、約9割という圧倒的なシェアを握っているのです。
なぜ、このようなことになるのでしょうか――。その背景には、深刻な環境負荷の問題があります。レアアースの精錬過程では放射性廃棄物や酸性廃液といった大量の環境汚染物質が発生し、その処理には多大なコストや高度な技術を要します。しかし、中国は環境規制が緩やかであり、劣悪な環境下で安価な労働力を用いることにより、低コストでの大量供給を可能にしてきたと言われています。
今回の輸出規制によって、改めて関心が高まったレアアース問題。日本は調達先の多様化や南鳥島沖の海底で試掘を開始するなど、対応に取り組み始めています。けれども、私たちはこれを機に、レアアースの背景にある環境破壊や社会的リスクといった課題にも目を向けなければならないのではないでしょうか。
●注目を集めるレアアース関連銘柄
日本は2010年にも尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件により、中国によるレアアース輸出規制を経験しています。当時、主要レアアースの国内価格は約1年で10倍近くに高騰。自動車産業におけるコスト増は数千億円規模に達したとの推計もあり、日本企業は深刻な影響を受けました。一方で、かつて約9割にも上ったレアアースの対中依存度を、現在では6割程度にまで引き下げた実績もあります。
以来、株式投資においても「レアアース関連銘柄」は折に触れて注目される機会が増えています。また同時に、レアアースを使用しない(または使用量を大幅に削減した)製品を開発する「レアアースフリー」関連企業への期待も高まっています。
企業への投資を通して持続可能な社会を構築する――それが、ESG投資の目的です。日本企業の持続的な成長、そしてそれによる経済の活性化をめざして、今後、レアアース関連投資についても企業の環境活動、サプライチェーンにおける人権・労働環境への取り組みに注目していきたいと考えています。
情報提供:株式会社グッドバンカー
(2026年1月27日 記/次回は2026年2月28日配信予定)
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