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明豊ファシリ Research Memo(5):「フェアネス・透明性・顧客側に立つプロ」を掲げるCM業界の先駆け(4)
配信日時:2025/12/17 13:05
配信元:FISCO
*13:05JST 明豊ファシリ Research Memo(5):「フェアネス・透明性・顧客側に立つプロ」を掲げるCM業界の先駆け(4)
■明豊ファシリティワークス<1717>の事業概要
5. SWOT分析
同社の経営を取り巻く外部環境と経営の現状について、SWOT分析を行う。SWOT分析とは、強み「Strength」、弱み「Weakness」、機会「Opportunity」、脅威「Threat」の4つに区分して、組織のビジョンや戦略を企画立案する際に利用する、経営分析の一般的な手法である。
外部環境面での成長機会としては、建設投資において品質、コスト、スピード面での発注者側の意識が高まっていることや企業のコンプライアンス意識の高まりにより、発注プロセスやコストを明確に開示し、建設費用の削減に資するCMサービスを活用する発注者が民間、公共分野問わず、増加傾向にある点が挙げられる。特に、ここ2~3年は、長納期化、品質確保への対応及び建設コストの上昇が続くなかで発注者自身がコストの妥当性などを判断するのが非常に困難となっているほか、脱炭素化への取り組みも必須要件となってきており、プロジェクトの難度が格段に高まるなかで豊富なノウハウやデータベースを持つ同社に対する引き合いが増えている。また、コロナ禍を契機に働き方改革を含めてオフィスの在り方を見直す動きも出てきており、大企業のオフィス移転・統合などにおいて同社の活躍する機会が広がっている。
同業他社との差別化という点においては、一般的なCM事業者の場合、設計工程完了後にプロジェクトに参画するケースがほとんどだが、同社は上流工程となる建設プロジェクトの基本構想段階から参画するケースが大部分を占める。これは同社が多様な人材を揃えることで、プロジェクト全体をマネジメントできる能力や難度の高い案件において、顧客にとって価値のある対応が可能であることを意味し、同社の強みと言える。
一方、外部環境面でのリスク要因として、CM事業者の新規参入による競争激化や建設投資循環の影響を少なからず受けること、また、金利の動向や景気が悪化した場合は発注者側の投資判断が慎重になる可能性がある。ここ最近では建設コストの高騰により、発注者側の投資に対する意思決定が慎重になるといった傾向も出てきている。事業費の高騰で東京都中野区が「中野サンプラザ」の再開発計画を白紙に戻したことが記憶に新しいが、同様のケースはほかの自治体でも発生している。ただ、対象となり得る建設プロジェクトのうちCMを導入している比率は民間で全体の20~25%程度、地方自治体など公共分野ではさらに低い水準にあり、CMの普及が広がりつつある点を考えると、仮に全体の建設投資が冷え込んだとしても、マイナス影響は限定的と考えられる。
内部環境における「強み」としては、独立系であり「フェアネス・透明性・顧客側に立つプロ」の企業理念に基づく行動について既存顧客から高い信頼を得て、それが今では企業風土として新規顧客の開拓においてもプラスに働いている点が挙げられる。また、同社は情報の可視化等を目的に自社開発した「MPS」や「MeihoAMS」を使って、受注プロジェクトごとのコストを可視化し、従業員一人ひとりのマンアワーコストを定量化して管理するなど、生産性向上に対する意識が会社全体に浸透していることも強みと言える。ワークスタイル面でも早くからテレワークを全社で導入し、社内のフリーアドレス化、ペーパーレス化を実現し、また、対外折衝においてもすべてペーパーレスで行うなどITを積極的に活用することで生産性向上につなげている。
一方、内部的な「弱み」としては専門性の高い人材がプロジェクト数に比例して必要となるため、成長を持続していくためには優秀な人材の継続的な確保と組織力の強化が必要となる点が挙げられる。ここ数年で業界のなかでの同社のブランド力、知名度は格段に上昇し、大企業や設計事務所などから優秀な人材が採用できるようになってきたが、一方でコロナ禍以降はテレワークが推進されたこともあり、社会全体の傾向として人材の流動化も激しくなっている。CMへの期待がサービスの高度化につながり、習得の難度が高まっているが、入社後の教育研修やOJTのプログラムを刷新し、転職者の個別特性に合わせたきめ細かな対応を実施することで、定着化の向上と成長への期待が会社と本人で一致するよう全社で人材の育成を最重要視して取り組んでいる。新人着任後における関係者を含めた出社奨励や、全社コミュニケーション施策の実施、テレワークブース導入による働きやすいオフィス環境の構築なども行っている。
従業員の増員ペースについては年間10名前後を継続する考えで、採用に関しては企業理念への高い共感がある人材を対象として専門性の高い人材だけでなく、複数の専門的業務に従事できる人材を優先的に獲得することで、1人当たり生産性のさらなる向上を目指している。また、組織力についてもコミュニケーションスキルの向上を中心とした人材育成に取り組んでいる。CM業務ではプロジェクトごとに複数のメンバーが集まって業務を遂行するが、メンバーを束ねるプロジェクト・マネジャーの資質によって、プロジェクト品質に差が生じることを認識しており、プロジェクト・マネジャーとしての能力を見出すこと、あるいは育成することで組織力が強化され、全体の生産性向上につながると考えている。ここ数年で採用した若手社員も同社の理念を実践して順調に育ち、プロジェクト・マネジャーの人員体制の拡充が進んでおり、今後さらなる生産性向上が期待される。なお、2026年3月期中間期末の社員数は、前期末比5名増の271名となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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5. SWOT分析
同社の経営を取り巻く外部環境と経営の現状について、SWOT分析を行う。SWOT分析とは、強み「Strength」、弱み「Weakness」、機会「Opportunity」、脅威「Threat」の4つに区分して、組織のビジョンや戦略を企画立案する際に利用する、経営分析の一般的な手法である。
外部環境面での成長機会としては、建設投資において品質、コスト、スピード面での発注者側の意識が高まっていることや企業のコンプライアンス意識の高まりにより、発注プロセスやコストを明確に開示し、建設費用の削減に資するCMサービスを活用する発注者が民間、公共分野問わず、増加傾向にある点が挙げられる。特に、ここ2~3年は、長納期化、品質確保への対応及び建設コストの上昇が続くなかで発注者自身がコストの妥当性などを判断するのが非常に困難となっているほか、脱炭素化への取り組みも必須要件となってきており、プロジェクトの難度が格段に高まるなかで豊富なノウハウやデータベースを持つ同社に対する引き合いが増えている。また、コロナ禍を契機に働き方改革を含めてオフィスの在り方を見直す動きも出てきており、大企業のオフィス移転・統合などにおいて同社の活躍する機会が広がっている。
同業他社との差別化という点においては、一般的なCM事業者の場合、設計工程完了後にプロジェクトに参画するケースがほとんどだが、同社は上流工程となる建設プロジェクトの基本構想段階から参画するケースが大部分を占める。これは同社が多様な人材を揃えることで、プロジェクト全体をマネジメントできる能力や難度の高い案件において、顧客にとって価値のある対応が可能であることを意味し、同社の強みと言える。
一方、外部環境面でのリスク要因として、CM事業者の新規参入による競争激化や建設投資循環の影響を少なからず受けること、また、金利の動向や景気が悪化した場合は発注者側の投資判断が慎重になる可能性がある。ここ最近では建設コストの高騰により、発注者側の投資に対する意思決定が慎重になるといった傾向も出てきている。事業費の高騰で東京都中野区が「中野サンプラザ」の再開発計画を白紙に戻したことが記憶に新しいが、同様のケースはほかの自治体でも発生している。ただ、対象となり得る建設プロジェクトのうちCMを導入している比率は民間で全体の20~25%程度、地方自治体など公共分野ではさらに低い水準にあり、CMの普及が広がりつつある点を考えると、仮に全体の建設投資が冷え込んだとしても、マイナス影響は限定的と考えられる。
内部環境における「強み」としては、独立系であり「フェアネス・透明性・顧客側に立つプロ」の企業理念に基づく行動について既存顧客から高い信頼を得て、それが今では企業風土として新規顧客の開拓においてもプラスに働いている点が挙げられる。また、同社は情報の可視化等を目的に自社開発した「MPS」や「MeihoAMS」を使って、受注プロジェクトごとのコストを可視化し、従業員一人ひとりのマンアワーコストを定量化して管理するなど、生産性向上に対する意識が会社全体に浸透していることも強みと言える。ワークスタイル面でも早くからテレワークを全社で導入し、社内のフリーアドレス化、ペーパーレス化を実現し、また、対外折衝においてもすべてペーパーレスで行うなどITを積極的に活用することで生産性向上につなげている。
一方、内部的な「弱み」としては専門性の高い人材がプロジェクト数に比例して必要となるため、成長を持続していくためには優秀な人材の継続的な確保と組織力の強化が必要となる点が挙げられる。ここ数年で業界のなかでの同社のブランド力、知名度は格段に上昇し、大企業や設計事務所などから優秀な人材が採用できるようになってきたが、一方でコロナ禍以降はテレワークが推進されたこともあり、社会全体の傾向として人材の流動化も激しくなっている。CMへの期待がサービスの高度化につながり、習得の難度が高まっているが、入社後の教育研修やOJTのプログラムを刷新し、転職者の個別特性に合わせたきめ細かな対応を実施することで、定着化の向上と成長への期待が会社と本人で一致するよう全社で人材の育成を最重要視して取り組んでいる。新人着任後における関係者を含めた出社奨励や、全社コミュニケーション施策の実施、テレワークブース導入による働きやすいオフィス環境の構築なども行っている。
従業員の増員ペースについては年間10名前後を継続する考えで、採用に関しては企業理念への高い共感がある人材を対象として専門性の高い人材だけでなく、複数の専門的業務に従事できる人材を優先的に獲得することで、1人当たり生産性のさらなる向上を目指している。また、組織力についてもコミュニケーションスキルの向上を中心とした人材育成に取り組んでいる。CM業務ではプロジェクトごとに複数のメンバーが集まって業務を遂行するが、メンバーを束ねるプロジェクト・マネジャーの資質によって、プロジェクト品質に差が生じることを認識しており、プロジェクト・マネジャーとしての能力を見出すこと、あるいは育成することで組織力が強化され、全体の生産性向上につながると考えている。ここ数年で採用した若手社員も同社の理念を実践して順調に育ち、プロジェクト・マネジャーの人員体制の拡充が進んでおり、今後さらなる生産性向上が期待される。なお、2026年3月期中間期末の社員数は、前期末比5名増の271名となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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