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明日の株式相場に向けて=12月下旬のリバウンド相場に期待
配信日時:2025/12/16 17:30
配信元:MINKABU
きょう(16日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比784円安の4万9383円と大幅続落。前日の668円安は全く痛痒を感じない下げであったが、きょうは下げ幅にすれば前日と100円あまりしか違わないものの、中身は大違いでダメージの伴う下落であった。前日は株価を上昇させた銘柄がプライム市場の76%を占め、TOPIXはプラス圏で着地し史上最高値を更新し、日経平均の下げはソフトバンクグループ<9984.T>とアドバンテスト<6857.T>の2銘柄をワルモノにしておけばそれで済んだ。しかし、きょうは下落した銘柄が全体の84%を占め、TOPIXの下落率は日経平均を上回った。「木」を見ようにも「森」全体が土砂降りの売り注文に晒され容易に動けない。
もっとも、きょうの悪地合いは日本だけの話ではなかった。アジア株市場全般がリスクオフで韓国KOSPIが2%超の下落、中国や香港、台湾など軒並み1%を上回る下落となった。ビットコイン価格の急落も気持ちの悪いところで世界的に投資資金が退避モードになっている印象である。マーケットに外部環境面から喧伝されるような悪材料は見当たらなかった。日本時間今晩10時半に開示される証文の出し遅れ的な11月の米雇用統計にどれだけの重要性があるのかは疑問もあるが、これを見極めたいという声が聞かれたほか、今週末19日に開示される日銀の金融政策で利上げの可能性が高まったことを嫌気しているという説。しかし、日銀の利上げはほぼ完全に織り込まれているはずではなかったか。あとは、植田日銀総裁の記者会見を警戒するという指摘もあるが、これも来年1月下旬の決定会合で連続利上げを匂わすような発言があれば別だが、その可能性はかなり低い。
前週の当欄でも触れたが、株式需給面からは個人投資家の損益通算の売り圧力が警戒されている。実際はそれを見込んでの売り仕掛けも入っていると思われる。とすると今週いっぱいは需給面での逆風は強いかもしれない。しかし、そこは銘柄によっては天与の買い場となる可能性も念頭に置いておきたい。12月第4週から来年1月前半が書き入れ時となっても不思議はない。また、損益通算の売りが出るということは、今年は首尾よくキャピタルゲインを獲得した投資家が多かったということでもある。
ネット証券大手によると今年1年で店内の個人投資家が最も利益を上げた銘柄(総額ベース)は何かといえば、それは三菱重工業<7011.T>であるという。防衛関連の旗艦銘柄でまさにミスター国策銘柄といってもよいが、同社の株価が大変貌の一歩を踏み出したのは23年5月で、アフターコロナの時期と一致する。ちなみにコロナ禍に入った2020年春の時点では同社株は200円台に位置していた。重工業のトップ企業だが、株価的にも重いイメージで低位株に属していた。いわゆる国策に売りなしというが、防衛省との圧倒的な取引実績が同社株に対するマーケットの認識を変えた。
そして、キャピタルゲインランキングの2位~4位までは三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>を筆頭とするメガバンクが占めた。日銀のマイナス金利解除から金利のある世界へと移行したことは、デフレのトンネルをひたすら走り続けていた日本にとって久々に陽光を感じる歴史的な局面となった。銀行業界にとっては大きなゲームチェンジとなったことは確かで、その流れに乗る形でバリュー株代表として、個人投資家の投資マネーを誘引した。個人にすれば銀行の定期預金に入れてもその恩恵はたかが知れていたが、銀行預金をその銀行の株式に変えれば、物凄い複利効果を堪能できたことになる。
メガバンク3社の次に個人投資家に利をもたらしたのがソフトバンクGで5位にランクイン。直近2カ月は土煙を上げて崩落するようなチャートとなってしまったが、それまでの上昇相場が強烈で勝ち残りとなった。10月時点であれば間違いなく個人投資家に最も利益を与えていた銘柄のはず。そしてこれは、株式投資における重要なテーゼを含んでいる。つまり、長期投資こそが大きな果実を得る秘訣であるとはいえ、常に株価動向を注視して、売り場は常に頭の片隅で意識しておかなければならないということ。例えばソフトバンクGを2万7695円の天井で売ることは難しくても、マド開け急落後に25日移動平均線を越えられず下放れた時点で手仕舞うことは、買いコストの低い投資家にとって難しい作業ではなく、「(魚の)頭と尻尾はくれてやれ」という相場格言を実践する形で逃げられたはずである。銘柄に惚れているというのであれば下値でまた買い直せばよい。
あすは、臨時国会の会期末となる。このほかのスケジュールでは10月の機械受注、11月の貿易統計、7~9月期の資金循環統計がいずれも朝方取引開始前に開示されるほか、前場取引時間中に1年物国庫短期証券の入札が行われる。また、後場取引時間中に日銀が実質輸出入の動向を開示する。また、片岡地銀協会会長の記者会見や日比野日証協会長の記者会見も予定されている。後場取引終了後に発表される11月の訪日外国人客数にもマーケットの関心が高い。この日はIPOが1社予定されており、東証プライム市場にSBI新生銀行<8303.T>が新規上場する。海外ではインドネシア中銀が政策金利を発表、タイ中銀が政策金利発表、11月の英消費者物価指数(CPI)、12月のIfo企業景況感指数。米国では20年債の入札が行われるほか、ウォラーFRB理事が討議に参加予定でその発言内容に耳目が集まる。個別にマイクロン・テクノロジー<MU>の決算発表も予定される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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