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加藤製作所 Research Memo(4):2026年3月期中間期の各利益は一過性要因が影響して損失計上
配信日時:2025/12/16 12:44
配信元:FISCO
*12:44JST 加藤製作所 Research Memo(4):2026年3月期中間期の各利益は一過性要因が影響して損失計上
■加藤製作所<6390>の業績動向
1. 2026年3月期中間期連結業績の概要
2026年3月期中間期の連結業績は売上高が前年同期比1.0%増の26,756百万円、営業利益が1,615百万円の損失(前年同期は845百万円)、経常利益が1,520百万円の損失(同1,340百万円)、親会社株主に帰属する中間純利益が1,573百万円の損失(同4,988百万円の損失)となった。売上面は海外が需要低迷の影響で減少したが、国内が2025年4月に発売した大型ラフテレーンクレーン新型車の販売本格化などで増加し、全体として小幅ながら増収となった。利益面は販売価格適正化などを推進したが、油圧ショベルを中心とする生産台数の減少や在庫調整に伴う工場稼働率の低下、棚卸資産適正化に伴う評価損計上といった一過性要因が影響して営業・経常損失を計上した。なお親会社株主に帰属する中間純利益は、前年同期の特別損失に計上した子会社整理損6,180百万円が一巡したため損失が縮小した。
売上総利益は前年同期比48.8%減少し、売上総利益率は同8.6ポイント低下して8.9%となった。販管費は同5.4%増加し、販管費比率は同0.6ポイント上昇して14.9%となった。営業利益(前期比2,461百万円減少)の増減分析は、物量影響(主に油圧ショベルの減少)により同1,888百万円減少、売価・原価・製品構成・その他の変動(棚卸資産適正化に伴う評価損計上、会計処理変更に伴う原価増加など一過性要因を含む)により同1,107百万円減少、アフター部品の売上増加により同782百万円増加、為替影響により同42百万円減少、販管費の増加により204百万円減少となった。なお営業外収益・費用では、為替差損益が同152百万円改善(前年同期は差損121百万円、当期は差益31百万円)したが、前年同期に計上した受取補償金464百万円が剥落した。
海外が低調だが、国内は順調
2. セグメント別・品目別の動向
セグメント別(セグメント間内部売上高、全社費用等調整前)には、日本は売上高が前年同期比4.9%減の24,534百万円で営業利益が1,509百万円の損失(前年同期は827百万円)、欧州は売上高が同31.5%減の1,854百万円で営業利益が74百万円の損失(同45百万円)、その他は売上高が同0.3%減の1,034百万円で営業利益が45百万円の損失(同237百万円の損失)となった。日本は国内が建設用クレーン、油圧ショベルとも順調となったが、海外市場の需要低迷の影響で全体として売上高が減収となり、利益面は棚卸資産適正化に伴う評価損の計上なども影響して営業損失を計上した。欧州はイタリアが堅調となったが、フランス、ドイツ、英国の需要低迷が継続したため減収となり、営業損失を計上した。その他は米国の需要低迷などで減収だが、中国事業撤退などにより営業損失が縮小した。
品目別売上高については、建設用クレーンが前年同期比7.3%増の18,154百万円(国内が同11.4%増の16,388百万円、海外が同19.6%減の1,765百万円)で、油圧ショベル等が同10.0%減の8,328百万円(国内が同7.6%増の4,157百万円、海外が同22.7%減の4,171百万円)となった。建設用クレーンは主要部品の供給制約が解消した大型ラフテレーンクレーン新型車の販売本格化、油圧ショベルは一部製品の弾力的な販売施策により、いずれも国内が順調となったが、海外の需要が低調となった。海外仕向地別売上高(日本除く)については、アジアが同4.1%減の2,511百万円、中近東が同28.2%減の132百万円、欧州が同34.6%減の1,751百万円、オセアニアが同62.7%減の74百万円、アフリカが同89.8%増の77百万円、北・中南米が同24.9%減の1,441百万円となった。おおむね全地域で需要が低調となった。なお海外売上高合計は同21.6%減の5,989百万円で、海外売上比率は同6.5ポイント低下して22.4%となった。
財務の健全性を維持
3. 財務の状況
財務面で見ると、2026年3月期中間期末の資産合計は前期末比6,850百万円減少して95,897百万円となった。主に受取手形及び売掛金が同1,076百万円増加した一方で、現金及び預金が同2,414百万円減少、棚卸資産が同3,655百万円減少した。負債合計は同4,457百万円減少して53,686百万円となった。主に電子記録債務が同579百万円減少したほか、有利子負債残高(長短借入金及び社債の合計)が同3,502百万円減少して40,276百万円となった。純資産合計は同2,392百万円減少して42,211百万円となった。利益剰余金が同1,984百万円減少したほか、自己株式(減算)が同487百万円増加した。この結果、自己資本比率は同0.6ポイント上昇して44.0%となった。利益剰余金が減少したが、弾力的な販売施策や棚卸資産の適正化によって棚卸資産が大幅に減少し、長期借入金の返済も寄与して自己資本比率が上昇した。
またキャッシュ・フローの面では、棚卸資産適正化に向けて在庫販売に注力した成果などにより、営業キャッシュ・フローがプラスに転じた。今後はさらなる財務基盤の強化が望まれるものの、現状ではキャッシュ・フローの状況を含めて特に懸念材料はなく、財務面の健全性を維持していると弊社では考えている。
■今後の見通し
2026年3月期通期は営業・経常損失予想、ただし下期回復基調
● 2026年3月期通期連結業績予想の概要
2026年3月期通期の連結業績予想については、2025年11月13日付で各利益を下方修正して、売上高が前期比7.7%増の57,000百万円、営業利益が500百万円の損失、経常利益が1,000百万円の損失、親会社株主に帰属する当期純利益が200百万円(前期は6,033百万円の損失)としている。前回予想(2025年5月14日付の期初公表値、売上高57,000百万円、営業利益1,700百万円、経常利益1,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,200百万円)に対して、売上高は据え置いたが、営業利益を同2,200百万円、経常利益を同2,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同1,000百万円それぞれ下方修正した。
売上面は、国内外市場における建設機械の大幅な需要回復は見込めないものの、国内における大型ラフテレーンクレーン新型車の販売本格化、製品全般の販売価格の改善と並行して、油圧ショベルの一部製品の弾力的な販売施策を継続するため、おおむね期初計画水準を確保して増収見込みとしている。ただし利益面は、現下の課題として認識している棚卸資産の適正化を進めるための生産調整に伴う製造原価率の上昇、補用部品など長期在庫に対する一過性の評価損計上などにより期初計画を下回り、営業・経常損失となる見込みだ。親会社株主に帰属する当期純利益については期初計画を下回るものの、加藤(中国)工程机械有限公司の持分譲渡に伴って下期に特別利益を計上するため黒字を確保する見込みだ。
なお通期は営業・経常損失予想だが、修正後の通期予想と中間期実績との単純計算で下期見込みを算出すると、下期は売上高が30,244百万円、営業利益が1,115百万円、経常利益が520百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が特別利益も寄与して1,773百万円となり、下期の各利益は黒字見込みである。売上高が中間期比で増加するほか、中間期に計上した一過性要因の評価損や原価増加影響が下期に減少することも寄与する。したがって収益は中間期がボトムとなり、下期から2027年3月期に向けて回復基調が期待できるだろうと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
<HN>
1. 2026年3月期中間期連結業績の概要
2026年3月期中間期の連結業績は売上高が前年同期比1.0%増の26,756百万円、営業利益が1,615百万円の損失(前年同期は845百万円)、経常利益が1,520百万円の損失(同1,340百万円)、親会社株主に帰属する中間純利益が1,573百万円の損失(同4,988百万円の損失)となった。売上面は海外が需要低迷の影響で減少したが、国内が2025年4月に発売した大型ラフテレーンクレーン新型車の販売本格化などで増加し、全体として小幅ながら増収となった。利益面は販売価格適正化などを推進したが、油圧ショベルを中心とする生産台数の減少や在庫調整に伴う工場稼働率の低下、棚卸資産適正化に伴う評価損計上といった一過性要因が影響して営業・経常損失を計上した。なお親会社株主に帰属する中間純利益は、前年同期の特別損失に計上した子会社整理損6,180百万円が一巡したため損失が縮小した。
売上総利益は前年同期比48.8%減少し、売上総利益率は同8.6ポイント低下して8.9%となった。販管費は同5.4%増加し、販管費比率は同0.6ポイント上昇して14.9%となった。営業利益(前期比2,461百万円減少)の増減分析は、物量影響(主に油圧ショベルの減少)により同1,888百万円減少、売価・原価・製品構成・その他の変動(棚卸資産適正化に伴う評価損計上、会計処理変更に伴う原価増加など一過性要因を含む)により同1,107百万円減少、アフター部品の売上増加により同782百万円増加、為替影響により同42百万円減少、販管費の増加により204百万円減少となった。なお営業外収益・費用では、為替差損益が同152百万円改善(前年同期は差損121百万円、当期は差益31百万円)したが、前年同期に計上した受取補償金464百万円が剥落した。
海外が低調だが、国内は順調
2. セグメント別・品目別の動向
セグメント別(セグメント間内部売上高、全社費用等調整前)には、日本は売上高が前年同期比4.9%減の24,534百万円で営業利益が1,509百万円の損失(前年同期は827百万円)、欧州は売上高が同31.5%減の1,854百万円で営業利益が74百万円の損失(同45百万円)、その他は売上高が同0.3%減の1,034百万円で営業利益が45百万円の損失(同237百万円の損失)となった。日本は国内が建設用クレーン、油圧ショベルとも順調となったが、海外市場の需要低迷の影響で全体として売上高が減収となり、利益面は棚卸資産適正化に伴う評価損の計上なども影響して営業損失を計上した。欧州はイタリアが堅調となったが、フランス、ドイツ、英国の需要低迷が継続したため減収となり、営業損失を計上した。その他は米国の需要低迷などで減収だが、中国事業撤退などにより営業損失が縮小した。
品目別売上高については、建設用クレーンが前年同期比7.3%増の18,154百万円(国内が同11.4%増の16,388百万円、海外が同19.6%減の1,765百万円)で、油圧ショベル等が同10.0%減の8,328百万円(国内が同7.6%増の4,157百万円、海外が同22.7%減の4,171百万円)となった。建設用クレーンは主要部品の供給制約が解消した大型ラフテレーンクレーン新型車の販売本格化、油圧ショベルは一部製品の弾力的な販売施策により、いずれも国内が順調となったが、海外の需要が低調となった。海外仕向地別売上高(日本除く)については、アジアが同4.1%減の2,511百万円、中近東が同28.2%減の132百万円、欧州が同34.6%減の1,751百万円、オセアニアが同62.7%減の74百万円、アフリカが同89.8%増の77百万円、北・中南米が同24.9%減の1,441百万円となった。おおむね全地域で需要が低調となった。なお海外売上高合計は同21.6%減の5,989百万円で、海外売上比率は同6.5ポイント低下して22.4%となった。
財務の健全性を維持
3. 財務の状況
財務面で見ると、2026年3月期中間期末の資産合計は前期末比6,850百万円減少して95,897百万円となった。主に受取手形及び売掛金が同1,076百万円増加した一方で、現金及び預金が同2,414百万円減少、棚卸資産が同3,655百万円減少した。負債合計は同4,457百万円減少して53,686百万円となった。主に電子記録債務が同579百万円減少したほか、有利子負債残高(長短借入金及び社債の合計)が同3,502百万円減少して40,276百万円となった。純資産合計は同2,392百万円減少して42,211百万円となった。利益剰余金が同1,984百万円減少したほか、自己株式(減算)が同487百万円増加した。この結果、自己資本比率は同0.6ポイント上昇して44.0%となった。利益剰余金が減少したが、弾力的な販売施策や棚卸資産の適正化によって棚卸資産が大幅に減少し、長期借入金の返済も寄与して自己資本比率が上昇した。
またキャッシュ・フローの面では、棚卸資産適正化に向けて在庫販売に注力した成果などにより、営業キャッシュ・フローがプラスに転じた。今後はさらなる財務基盤の強化が望まれるものの、現状ではキャッシュ・フローの状況を含めて特に懸念材料はなく、財務面の健全性を維持していると弊社では考えている。
■今後の見通し
2026年3月期通期は営業・経常損失予想、ただし下期回復基調
● 2026年3月期通期連結業績予想の概要
2026年3月期通期の連結業績予想については、2025年11月13日付で各利益を下方修正して、売上高が前期比7.7%増の57,000百万円、営業利益が500百万円の損失、経常利益が1,000百万円の損失、親会社株主に帰属する当期純利益が200百万円(前期は6,033百万円の損失)としている。前回予想(2025年5月14日付の期初公表値、売上高57,000百万円、営業利益1,700百万円、経常利益1,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,200百万円)に対して、売上高は据え置いたが、営業利益を同2,200百万円、経常利益を同2,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同1,000百万円それぞれ下方修正した。
売上面は、国内外市場における建設機械の大幅な需要回復は見込めないものの、国内における大型ラフテレーンクレーン新型車の販売本格化、製品全般の販売価格の改善と並行して、油圧ショベルの一部製品の弾力的な販売施策を継続するため、おおむね期初計画水準を確保して増収見込みとしている。ただし利益面は、現下の課題として認識している棚卸資産の適正化を進めるための生産調整に伴う製造原価率の上昇、補用部品など長期在庫に対する一過性の評価損計上などにより期初計画を下回り、営業・経常損失となる見込みだ。親会社株主に帰属する当期純利益については期初計画を下回るものの、加藤(中国)工程机械有限公司の持分譲渡に伴って下期に特別利益を計上するため黒字を確保する見込みだ。
なお通期は営業・経常損失予想だが、修正後の通期予想と中間期実績との単純計算で下期見込みを算出すると、下期は売上高が30,244百万円、営業利益が1,115百万円、経常利益が520百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が特別利益も寄与して1,773百万円となり、下期の各利益は黒字見込みである。売上高が中間期比で増加するほか、中間期に計上した一過性要因の評価損や原価増加影響が下期に減少することも寄与する。したがって収益は中間期がボトムとなり、下期から2027年3月期に向けて回復基調が期待できるだろうと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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