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加藤製作所 Research Memo(3):営業損益は構造改革に伴う一過性要因の影響を除けば改善基調
配信日時:2025/12/16 12:43
配信元:FISCO
*12:43JST 加藤製作所 Research Memo(3):営業損益は構造改革に伴う一過性要因の影響を除けば改善基調
■事業概要
3. セグメント別推移
加藤製作所<6390>は報告セグメント(2026年3月期より変更)地域別に日本、欧州、その他としている。2025年3月期に中国子会社2社の解散・清算を決定したことに伴い2026年3月期より中国をその他に含めた。2022年3月期~2025年3月期及び2026年3月期中間期の推移を見ると、営業損益は需要動向という外部要因に加え、近年は構造改革に伴う一過性要因の影響で変動する傾向が見られるが、この影響を除けば収益性は構造改革の効果で改善基調である。
2022年3月期は新型コロナウイルス感染症拡大の影響が和らいで売上高が回復傾向となったが、構造改革の一環として計上した一過性損失(営業利益段階で長期滞留在庫評価減の計上、加藤(中国)工程机械有限公司における貸倒引当金の計上、特別損失で希望退職金の計上、常陸那珂工場の減損計上、タイ工場の解散及び清算に伴う減損計上)により大幅な損失を計上した。2023年3月期はサプライチェーン混乱の影響で減収となったものの、構造改革の効果や収益性を重視した販売戦略などにより営業損益が大幅に改善(黒字化)した。2024年3月期は一部主要部品の供給制約の影響や、中国での需要回復遅れなどにより売上高が横ばいにとどまったものの、売価・原価改善などの構造改革効果により営業増益となった。
2025年3月期は、国内での大型ラフテレーンクレーン新型車の販売時期先送り、前期の東南アジア向け大型案件の反動、米国市場の需要低迷などにより減収・営業減益となった。そして2026年3月期中間期は、売上面では国内の建設用クレーンが順調となったものの、海外の需要低迷に加え、在庫調整に伴う工場稼働率の低下や棚卸資産適正化に伴う評価損の計上など一過性要因が影響して営業損失を計上した。
品目別売上高及び海外仕向地別売上高について、2022年3月期~2025年3月期及び2026年3月期中間期の推移を見ると、建設用クレーンについては、国内では2024年3月期~2025年3月期に一部主要部品供給制約や大型ラフテレーンクレーン新型車販売時期先送りの影響を受けたものの、これを除けばおおむね堅調に推移している。海外は一部主要部品供給制約で国内向け出荷を優先したことも影響してやや減少傾向となっている。油圧ショベルについては、国内では2024年3月期まで減少傾向となったものの、その後は新型機種投入などにより回復傾向となっている。海外は欧州や米国の需要低迷、及び中国事業撤退により全体としてやや減収傾向となっている。
なお中国事業については厳しい事業環境が継続しているため、2024年6~7月に中国子会社2社の解散及び清算を決議(その後、加藤(中国)工程机械有限公司については解散・清算を取りやめて2025年10月に同社が保有する全持分の譲渡が完了)した。一方で、中国に代わる新たな主要市場としてインド及びその周辺国を含めた商圏を拡大する方針を打ち出し、同年1月にインド事業準備室を新設した。そしてインド最大手のクレーン製造・販売企業であるACEとインド国内での合弁会社設立に向けた協議を進めている。また欧州市場では将来の事業基盤強化に向けて、2025年5月にイタリアの子会社KATO IMER社への出資比率を引き上げた。米国市場に関しては需要低迷が継続しているが、M&Aを含めて収益基盤強化のための施策を検討中である。
外部要因により業績が大きく変動するため、収益性重視戦略を推進
4. リスク要因・収益特性と課題・対策
建設機械業界の一般的なリスク要因としては景気変動影響、為替影響、競争激化、サプライチェーン混乱、製品不具合に伴う賠償責任、環境規制や技術革新への対応遅れなどがある。市場競合については、最も市場規模の大きい油圧ショベルはコマツ<6301>、日立建機<6305>といった大手競合メーカーが多く、競争の激しさが知られているが、その他の建設機械(建設用クレーン、高所作業車、ブルドーザ、道路舗装機械など)については、それぞれ得意分野を持つメーカーが高い市場シェアを獲得するなど、ある程度のすみ分けができている。同社の市場におけるポジションとしては、建設用クレーンではタダノ<6395>とともに大手、油圧ショベルでは中堅という位置付けである。なお建設機械業界の業績は需要変動・為替変動など外部要因の影響で大きく変動する傾向が見られ、また季節要因として第2四半期(4月~9月)と第4四半期(1月~3月)に売上高が偏重する傾向が強いが、同社は売上拡大よりも収益性重視戦略を打ち出している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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3. セグメント別推移
加藤製作所<6390>は報告セグメント(2026年3月期より変更)地域別に日本、欧州、その他としている。2025年3月期に中国子会社2社の解散・清算を決定したことに伴い2026年3月期より中国をその他に含めた。2022年3月期~2025年3月期及び2026年3月期中間期の推移を見ると、営業損益は需要動向という外部要因に加え、近年は構造改革に伴う一過性要因の影響で変動する傾向が見られるが、この影響を除けば収益性は構造改革の効果で改善基調である。
2022年3月期は新型コロナウイルス感染症拡大の影響が和らいで売上高が回復傾向となったが、構造改革の一環として計上した一過性損失(営業利益段階で長期滞留在庫評価減の計上、加藤(中国)工程机械有限公司における貸倒引当金の計上、特別損失で希望退職金の計上、常陸那珂工場の減損計上、タイ工場の解散及び清算に伴う減損計上)により大幅な損失を計上した。2023年3月期はサプライチェーン混乱の影響で減収となったものの、構造改革の効果や収益性を重視した販売戦略などにより営業損益が大幅に改善(黒字化)した。2024年3月期は一部主要部品の供給制約の影響や、中国での需要回復遅れなどにより売上高が横ばいにとどまったものの、売価・原価改善などの構造改革効果により営業増益となった。
2025年3月期は、国内での大型ラフテレーンクレーン新型車の販売時期先送り、前期の東南アジア向け大型案件の反動、米国市場の需要低迷などにより減収・営業減益となった。そして2026年3月期中間期は、売上面では国内の建設用クレーンが順調となったものの、海外の需要低迷に加え、在庫調整に伴う工場稼働率の低下や棚卸資産適正化に伴う評価損の計上など一過性要因が影響して営業損失を計上した。
品目別売上高及び海外仕向地別売上高について、2022年3月期~2025年3月期及び2026年3月期中間期の推移を見ると、建設用クレーンについては、国内では2024年3月期~2025年3月期に一部主要部品供給制約や大型ラフテレーンクレーン新型車販売時期先送りの影響を受けたものの、これを除けばおおむね堅調に推移している。海外は一部主要部品供給制約で国内向け出荷を優先したことも影響してやや減少傾向となっている。油圧ショベルについては、国内では2024年3月期まで減少傾向となったものの、その後は新型機種投入などにより回復傾向となっている。海外は欧州や米国の需要低迷、及び中国事業撤退により全体としてやや減収傾向となっている。
なお中国事業については厳しい事業環境が継続しているため、2024年6~7月に中国子会社2社の解散及び清算を決議(その後、加藤(中国)工程机械有限公司については解散・清算を取りやめて2025年10月に同社が保有する全持分の譲渡が完了)した。一方で、中国に代わる新たな主要市場としてインド及びその周辺国を含めた商圏を拡大する方針を打ち出し、同年1月にインド事業準備室を新設した。そしてインド最大手のクレーン製造・販売企業であるACEとインド国内での合弁会社設立に向けた協議を進めている。また欧州市場では将来の事業基盤強化に向けて、2025年5月にイタリアの子会社KATO IMER社への出資比率を引き上げた。米国市場に関しては需要低迷が継続しているが、M&Aを含めて収益基盤強化のための施策を検討中である。
外部要因により業績が大きく変動するため、収益性重視戦略を推進
4. リスク要因・収益特性と課題・対策
建設機械業界の一般的なリスク要因としては景気変動影響、為替影響、競争激化、サプライチェーン混乱、製品不具合に伴う賠償責任、環境規制や技術革新への対応遅れなどがある。市場競合については、最も市場規模の大きい油圧ショベルはコマツ<6301>、日立建機<6305>といった大手競合メーカーが多く、競争の激しさが知られているが、その他の建設機械(建設用クレーン、高所作業車、ブルドーザ、道路舗装機械など)については、それぞれ得意分野を持つメーカーが高い市場シェアを獲得するなど、ある程度のすみ分けができている。同社の市場におけるポジションとしては、建設用クレーンではタダノ<6395>とともに大手、油圧ショベルでは中堅という位置付けである。なお建設機械業界の業績は需要変動・為替変動など外部要因の影響で大きく変動する傾向が見られ、また季節要因として第2四半期(4月~9月)と第4四半期(1月~3月)に売上高が偏重する傾向が強いが、同社は売上拡大よりも収益性重視戦略を打ち出している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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