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フタバ Research Memo(8):部品の拡販、インド事業へ成長投資を進める
配信日時:2025/12/16 12:38
配信元:FISCO
*12:38JST フタバ Research Memo(8):部品の拡販、インド事業へ成長投資を進める
■フタバ産業<7241>の中長期の成長戦略
2. 新中期経営計画の事業戦略
売上拡大のため、同社は「既存事業の成長(製品)と新規事業の事業化」「既存事業の成長(地域)」「経営基盤の強化」を事業戦略として掲げている。
(1) 「既存事業の成長(製品)と新規事業の事業化」
前中期経営計画の戦略である「BEV普及への対応」(「ボデー部品の売上拡大、付加価値増」「エンジン搭載車でのシェア向上」「新規事業への取り組み」)を継続する。この継続戦略に基づき、ボデー系部品(ボデー/内装部品)事業の売上拡大に向けた開発・能力向上、排気系部品事業における電動化ニーズに合わせた新たなシステム開発、新規事業の開発加速化と早期事業化の3施策を推進する。
a) ボデー系部品事業の売上拡大
ボデー系部品の売上高は、2024年度の2,700億円を起点に、2027年度は成行きで2,570億円まで減少すると予想されるが、部品の拡販で70億円を上乗せし、2,640億円を計画している。2030年度についても、成行きで2,550億円と予想しているが、部品の拡販で350億円を上乗せし、2,900億円を目指す。
中規模組立部品は、小規模組立部品に比べて1台当たり売上は3倍、接合付加価値(利益)は2倍、部品点数は1.5倍と、売上拡大・収益向上に大きく寄与するため、同社は新車への採用を積極的に横展開していく。将来的には車両の企画構想にも参入して自動車メーカーと共創することで、一体化構造の提案を進めていく。中規模組立部品に比べて部品点数は3割削減、接合付加価値は3割向上(利益拡大)と、さらなる利益拡大を目指す。
こうした中規模組立部品への移行・一体化戦略の背景には、BEV化に伴い部品の大型化・軽量化が求められるなか、車体部品をアルミで一体成型するギガキャストなどの新技術の導入が進む市場環境がある。これに対し、同社は鉄・ステンレスの加工技術を応用し、ギガキャストよりもコストを抑えられ、強度が保持できるゾーン開発を展開し、部品の大型化に取り組んでいる。この技術は、トヨタ自動車のBEV車「bZ4X」やクラウンシリーズなどに採用されている。
b) 排気系部品事業における電動化ニーズに合わせた新たなシステム開発
排気系部品の売上高は、2024年度の1,300億円を起点に、2027年度は成行きで1,250億円まで減少すると予想されるが、部品の拡販で20億円を上乗せし、1,270億円を計画している。2030年度についても、成行きで1,170億円となる予想だが、80億円を部品の拡販で上乗せし1,250億円を目指す。
同社は、BEV化ニーズに合わせた新たな排気システムの開発を推進している。具体的には、従来一体となっていた浄化・消音機能を分割し、それぞれに特化した小型化、モジュール化(標準化)した数種類の機能別マフラーを組み合わせる「フルモジュラーマフラー」である。高い消音効果と軽量化に加え、開発・生産準備期間の短縮、マフラーの種類や生産設備の低減効果が見込まれる。現在は、PHEVやHEVへの拡販を進めている。
c) 新規事業の事業化
同社が持つ自動車部品製造で培ったプレス加工の成型技術、レーザー溶接、熱マネジメントなどの技術を応用し、新規事業の創出に向けた製品開発に取り組んでいる。新規事業での売上高は2030年度に40億円を目標としている。
農業事業においては、農業残渣を活用したエネルギー循環システムの開発、同社の持つAI画像認識やレーザー照射技術を活用したレーザー除草ロボットの開発を推進している。自動車部品事業では、BEVを中心とした電動車向けのバッテリーセルケースやバッテリー冷却プレートなどの新製品の開発を進めている。さらに、バイオ燃料を用いた長時間稼働可能な超小型SOFC(固体酸化物形)燃料電池の開発、既に建機会社や物流会社と共創している建機などの排気ガスからCO2を分離回収するシステムの開発を進めている。
(2) 「既存事業の成長(地域)」
高成長が続くインド市場において、2025年4月にインド事業本部を新設し、事業の拡大・成長に取り組んでいる。売上高(支給品除く)は現在の140億円程度から2035年度には600億円を目指す。そのために、これまでの累計投資100億円に300億円の追加投資を行う計画だ。
この投資計画に基づき、既に現地法人FMI Automotive Components Private Limitedの分工場の新設(投資額は約45億円)を2024年12月に決定した。排気系部品の製造開始予定は2027年3月である。計画では、スズキ<7269>を中心としたインドでの自動車メーカーの成長に対応し、さらなる拠点増設も検討している。
(3) 「経営基盤の強化」
稼ぐ力の向上、人への投資、カーボンニュートラルの3点を柱として推進している。
i) 稼ぐ力の向上
同社は3Dデータ活用、品質向上、スマートファクトリー化を掲げている。これにより、収益力と稼ぐ力の向上をグローバルに展開する計画である。
製品データから工場レイアウトまで3Dデータを利用した「3Dスルー生産準備」により、現物試作を行わずに設備設計が可能となる。これにより、リードタイム短縮と投資低減を目指す。品質向上については、CAEを活用したワレQA危険マップをQAネットワークで共有し、品質向上や不良廃却の低減など、歩留まりの改善につなげる。スマートファクトリー化では、デジタルプラットフォームの完成や工程の自働化を進め、中期経営計画の3年間で累計280名分の工数削減を目指す。
ii) 人への投資
同社は、稼ぐ力の向上を支える基盤として、人への投資を継続的に実施している。人材マネジメント改革と人事制度改革を進め、変革を推進できる基盤の創造を目標としている。その一環として、2025年10月には創立80周年を記念した従業員持株会向け株式インセンティブ制度の導入を決定した。
iii) カーボンニュートラル
カーボンニュートラルは稼ぐ力の向上を支える戦略と位置付け、CO2排出量削減目標を2019年度比50%削減に強化した(年間の削減率を年3%から年4.6%に加速)。対応する施策として、生産ラインの集約などによるエネルギーコストの低減に加え、超ハイテン材の活用による部品の軽量化を通じて、車両走行時のCO2排出量(Scope 3)の低減を進めている。なお、CO2削減率は、同社単体で40%、グループ会社では既に60%削減の目途が立っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本 章弘)
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2. 新中期経営計画の事業戦略
売上拡大のため、同社は「既存事業の成長(製品)と新規事業の事業化」「既存事業の成長(地域)」「経営基盤の強化」を事業戦略として掲げている。
(1) 「既存事業の成長(製品)と新規事業の事業化」
前中期経営計画の戦略である「BEV普及への対応」(「ボデー部品の売上拡大、付加価値増」「エンジン搭載車でのシェア向上」「新規事業への取り組み」)を継続する。この継続戦略に基づき、ボデー系部品(ボデー/内装部品)事業の売上拡大に向けた開発・能力向上、排気系部品事業における電動化ニーズに合わせた新たなシステム開発、新規事業の開発加速化と早期事業化の3施策を推進する。
a) ボデー系部品事業の売上拡大
ボデー系部品の売上高は、2024年度の2,700億円を起点に、2027年度は成行きで2,570億円まで減少すると予想されるが、部品の拡販で70億円を上乗せし、2,640億円を計画している。2030年度についても、成行きで2,550億円と予想しているが、部品の拡販で350億円を上乗せし、2,900億円を目指す。
中規模組立部品は、小規模組立部品に比べて1台当たり売上は3倍、接合付加価値(利益)は2倍、部品点数は1.5倍と、売上拡大・収益向上に大きく寄与するため、同社は新車への採用を積極的に横展開していく。将来的には車両の企画構想にも参入して自動車メーカーと共創することで、一体化構造の提案を進めていく。中規模組立部品に比べて部品点数は3割削減、接合付加価値は3割向上(利益拡大)と、さらなる利益拡大を目指す。
こうした中規模組立部品への移行・一体化戦略の背景には、BEV化に伴い部品の大型化・軽量化が求められるなか、車体部品をアルミで一体成型するギガキャストなどの新技術の導入が進む市場環境がある。これに対し、同社は鉄・ステンレスの加工技術を応用し、ギガキャストよりもコストを抑えられ、強度が保持できるゾーン開発を展開し、部品の大型化に取り組んでいる。この技術は、トヨタ自動車のBEV車「bZ4X」やクラウンシリーズなどに採用されている。
b) 排気系部品事業における電動化ニーズに合わせた新たなシステム開発
排気系部品の売上高は、2024年度の1,300億円を起点に、2027年度は成行きで1,250億円まで減少すると予想されるが、部品の拡販で20億円を上乗せし、1,270億円を計画している。2030年度についても、成行きで1,170億円となる予想だが、80億円を部品の拡販で上乗せし1,250億円を目指す。
同社は、BEV化ニーズに合わせた新たな排気システムの開発を推進している。具体的には、従来一体となっていた浄化・消音機能を分割し、それぞれに特化した小型化、モジュール化(標準化)した数種類の機能別マフラーを組み合わせる「フルモジュラーマフラー」である。高い消音効果と軽量化に加え、開発・生産準備期間の短縮、マフラーの種類や生産設備の低減効果が見込まれる。現在は、PHEVやHEVへの拡販を進めている。
c) 新規事業の事業化
同社が持つ自動車部品製造で培ったプレス加工の成型技術、レーザー溶接、熱マネジメントなどの技術を応用し、新規事業の創出に向けた製品開発に取り組んでいる。新規事業での売上高は2030年度に40億円を目標としている。
農業事業においては、農業残渣を活用したエネルギー循環システムの開発、同社の持つAI画像認識やレーザー照射技術を活用したレーザー除草ロボットの開発を推進している。自動車部品事業では、BEVを中心とした電動車向けのバッテリーセルケースやバッテリー冷却プレートなどの新製品の開発を進めている。さらに、バイオ燃料を用いた長時間稼働可能な超小型SOFC(固体酸化物形)燃料電池の開発、既に建機会社や物流会社と共創している建機などの排気ガスからCO2を分離回収するシステムの開発を進めている。
(2) 「既存事業の成長(地域)」
高成長が続くインド市場において、2025年4月にインド事業本部を新設し、事業の拡大・成長に取り組んでいる。売上高(支給品除く)は現在の140億円程度から2035年度には600億円を目指す。そのために、これまでの累計投資100億円に300億円の追加投資を行う計画だ。
この投資計画に基づき、既に現地法人FMI Automotive Components Private Limitedの分工場の新設(投資額は約45億円)を2024年12月に決定した。排気系部品の製造開始予定は2027年3月である。計画では、スズキ<7269>を中心としたインドでの自動車メーカーの成長に対応し、さらなる拠点増設も検討している。
(3) 「経営基盤の強化」
稼ぐ力の向上、人への投資、カーボンニュートラルの3点を柱として推進している。
i) 稼ぐ力の向上
同社は3Dデータ活用、品質向上、スマートファクトリー化を掲げている。これにより、収益力と稼ぐ力の向上をグローバルに展開する計画である。
製品データから工場レイアウトまで3Dデータを利用した「3Dスルー生産準備」により、現物試作を行わずに設備設計が可能となる。これにより、リードタイム短縮と投資低減を目指す。品質向上については、CAEを活用したワレQA危険マップをQAネットワークで共有し、品質向上や不良廃却の低減など、歩留まりの改善につなげる。スマートファクトリー化では、デジタルプラットフォームの完成や工程の自働化を進め、中期経営計画の3年間で累計280名分の工数削減を目指す。
ii) 人への投資
同社は、稼ぐ力の向上を支える基盤として、人への投資を継続的に実施している。人材マネジメント改革と人事制度改革を進め、変革を推進できる基盤の創造を目標としている。その一環として、2025年10月には創立80周年を記念した従業員持株会向け株式インセンティブ制度の導入を決定した。
iii) カーボンニュートラル
カーボンニュートラルは稼ぐ力の向上を支える戦略と位置付け、CO2排出量削減目標を2019年度比50%削減に強化した(年間の削減率を年3%から年4.6%に加速)。対応する施策として、生産ラインの集約などによるエネルギーコストの低減に加え、超ハイテン材の活用による部品の軽量化を通じて、車両走行時のCO2排出量(Scope 3)の低減を進めている。なお、CO2削減率は、同社単体で40%、グループ会社では既に60%削減の目途が立っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本 章弘)
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