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明日の株式相場に向けて=AIアルゴの森でフィジカルAIが走る

配信日時:2025/12/04 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(4日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比1163円高の5万1028円と大幅高で3日続伸、文字通りの高値引けとなった。さかのぼって朝方取引前の日経先物は小幅に高い程度に収まっており、上昇しても上値の重い地合いとなることが予想されたのだが、この日も大方の予想は良い意味で裏切られた。きょうの安値は寄り付き直後(1分後)の4万9910円であったから、ほぼ大陽線丸坊主というテクニカル的には極めて強い足を形成した。トレンドフォローのAIアルゴリズムがフル作動すれば、あとは自動運転もどきの相場と化してしまう。取引時間中はほぼ一貫した右肩上がりのトレンドで、売り方が絡みつくことすらできない鉄壁の上昇波を形成した。  日米の相場環境は、米国ではFRBによる利下げ期待が株式市場に継続的な追い風となっている一方で、日本国内では日銀の利上げに向けた思惑が上値の重石となっている、というのが常識的な解釈といえる。しかし、日々の値動きについては全く読めない展開だ。繰り返しになるが真っ暗闇の中を行くジェットコースタに乗っているような相場である。元来であれば、長期金利の上昇が気になって仕方がないところで、ここで買いポジションを高めるのは難しい場面。きょうは新発10年債利回りが1.935%まで上昇、約18年ぶりの1.9%台に乗せ、いよいよ2%台が見えてきた。リーマン・ショック以前の2007年7月以来の水準だ。日銀が今月18~19日に開催される金融政策決定会合で利上げに踏み切ることを100%織り込んだとしても、ここまで債券売りが止まらないのは尋常ではない。これで株が安くなれば「トリプル安」「キャピタルフライト」といったワードをショート筋が囃(はや)しまくるところだが、ところが株価の方はどこ吹く風で高い。日経平均はまだ史上最高値更新まで1400円程度距離があるが、TOPIXの方は一足先に3週間ぶりに青空圏へと舞い上がった。  全体相場を森に例えるなら、森はAIに支配されているが、木々(個別株)のダイナミズムは失われていない。きょうはフィジカルAIのテーマで旗艦銘柄となっているファナック<6954.T>が大噴火、ロボット関連株全般に物色の火が燃え広がった。連日の“ロボット祭り”の様相で、大型株では安川電機<6506.T>やナブテスコ<6268.T>が値を飛ばし、中小型株では菊池製作所<3444.T>が連日のストップ高、Kudan<4425.T>も持ち前の材料株素地を開花させ大幅高を演じ、川田テクノロジーズ<3443.T>なども大きく買われた。フィジカルAIのもう一つの注目エリアである自動運転関連もアイサンテクノロジー<4667.T>が急動意、主力級ではルネサスエレクトロニクス<6723.T>が気を吐いた。自動運転分野では、このほか中小型株で東海ソフト<4430.T>やシステナ<2317.T>などに目を向けておきたい。  また、半導体関連全般が強さを発揮し始めている点も見逃せない。象徴株のアドバンテスト<6857.T>はひと押し入れたものの、かつての売買代金トップ常連だったレーザーテック<6920.T>の復活ぶりが目覚ましく、続急伸で11月4日につけた年初来高値に肉薄した。米国ではエヌビディア<NVDA>が高値圏で上値が重く調整含みの動きが続いているのだが、これまでエヌビディアの株価動向と連動性の高かったフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が吹っ切れたように上昇トレンドに転換し、米半導体株セクターはこれまでとは明らかに違う景色となっている。エヌビディアが絶対王者でなくなってもAI・半導体のテーマは色褪せない可能性が出てきた。  SOX指数は前日まで8営業日連続で陽線を引いており、これはなかなか珍しいケースである。東京市場でも米半導体株高に追随する動きとなって不思議はない。プローブカード大手の日本電子材料<6855.T>は生成AI向け最先端半導体向けの需要を取り込んでおり、戻り足加速に期待がかかる。このほか、マルマエ<6264.T>、AIメカテック<6227.T>、ワイエイシイホールディングス<6298.T>、日本電子<6951.T>なども併せてマークしておきたい。  師走相場では年末に向け配当取り狙いの買いも想定されるところ。このインカムゲインにターゲットを合わせるという手段は中長期投資の観点だが、むしろ本丸はキャピタルゲイン、年内の短期的な株価の値上がり益に焦点を合わせている戦略的な要素もある。12月期決算企業で高配当利回りの銘柄としては、リリカラ<9827.T>やビジョン<9416.T>などが挙げられる。更に共和電業<6853.T>は、配当利回りは2.8%台だが、今年の年末からクオカードを贈呈する株主優待制度を導入している点に着目。また同社は防衛関連の穴株としての側面も有しており、700円近辺の踊り場は買いに分がありそうだ。  あすのスケジュールでは、10月の家計調査、11月上中旬の貿易統計がいずれも朝方取引開始前に開示される。また、前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。午後取引時間中には10月の景気動向指数(速報値)が発表されるほか、日銀が消費活動指数を開示。この日は東証グロース市場にFUNDINNO<462A.T>が新規上場する。海外ではインド準備銀行が政策金利を決定するほか、米国で重要経済指標の発表が相次ぎ、9月の個人所得・個人消費支出、PCEデフレーター、12月の消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)、10月の消費者信用残高などにマーケットの関心が集まる。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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