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明日の株式相場に向けて=フィジカルAIで「自動運転」関連株発進へ
配信日時:2025/12/03 17:30
配信元:MINKABU
きょう(3日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比561円高の4万9864円と大幅続伸。前日に関して言えば、朝方に高く推移していたが、その後は漸次値を消す展開で大引けはかろうじてプラス圏で着地するという何とも冴えない動きであった。この残像を引きずってしまうのが人間であって、今朝方に取引開始前の市場関係者の話を聞いても、あまり明るい感じのコメントはなかった。日経平均は先物高に追随して高く始まっても上値はおそらく重く、伸び悩んで下手をするとマイナス圏に沈むというのが、ある意味マジョリティーな見解であったのだが、そういう時にAIの裏切り的なアルゴリズム売買が作動する。きょうも高く始まった後、しばらくは訝(いぶか)しげにもみ合っていたが、前場終盤を境に吸い上げられるように2段上げに移行した。日経平均は一時800円を超える上昇で5万円台を回復する場面があった。
何といってもアドバンテスト<6857.T>やソフトバンクグループ<9984.T>などをはじめとした日経平均寄与度の高いAI・半導体関連が一斉高に買われたことが大きい。半導体製造装置関連ではこれまであまり目立った存在ではなかったSCREENホールディングス<7735.T>が値上がり率トップに買われるなど、半導体株人気でもこれまでとは若干物色の流れに変化が見られる。レーザーテック<6920.T>なども久々の大陽線を示現し存在感をアピールした。
米オープンAIのサムアルトマンCEOが、グーグルの新型AIモデル「ジェミニ3」に「チャットGPT」のシェアが奪われることを懸念して、全社的に「コードレッド」宣言を行ったことが今朝方に伝わった。本来であればオープンAIに出資するソフトバンクGについてはネガティブ材料として意識されやすいところだったが、逆に材料出尽くし的な捉えられ方をして、株価は急反発に転じた。この「コードレッド」宣言は非常事態宣言と訳せば、結構なインパクトがあるが、かつてはグーグルがオープンAIの「チャットGPT」が頭角を現した際に発した経緯がある。今度は立場が変わってオープンAI側から発出されたが、これは好意的な見方をすれば、両社の“つばぜり合い”、あるいは切磋琢磨という解釈も可能だ。AIを巡る進化のプロセスは半導体需要の喚起につながるというシナリオも描ける。折良くWSTS(世界半導体市場統計)が前日に2026年の半導体市場について、25年予測比で25%増の9754億ドルと過去最高を更新する見通しと発表したことも、半導体セクターへの投資資金流入を後押しした。
そうしたなか、全体に目を向けると値下がり銘柄数が1100を超え全体の7割を占めた。TOPIXが安く引けるなど歪(いびつ)な地合いであったことは確かだが、半導体株に買いが偏ったというわけでもなかった。この日は中小型のロボット関連株に買いが集中し、値を飛ばす銘柄が相次いでいる。いわゆるAIとロボティクスの融合である「フィジカルAI」のテーマが炸裂した。
今週明け1日にファナック<6954.T>が米半導体大手エヌビディア<NVDA>と協業し、人工知能(AI)とロボットを融合させ自律的に作動させるフィジカルAI分野に本腰を入れることを標榜、これがマーケットの耳目を集めた。また、直近では日本経済新聞が「電子部品や半導体などの日本企業が連携し、ヒト型ロボット(ヒューマノイド)の量産に乗り出す」と報じ、これも関連企業の株価を刺激する背景となった。ジーデップ・アドバンス<5885.T>、ヒーハイスト<6433.T>、菊池製作所<3444.T>、豆蔵<202A.T>などロボット関連が軒並みストップ高に買われたほか、Kudan<4425.T>やテクノホライゾン<6629.T>なども値を飛ばし、さながら東京市場は「ロボット祭り」の様相をみせた。
もっとも、フィジカルAIの概念はロボティクス分野との融合に限ったものではない。その定義は「物理環境と直接相互作用しながら業務を遂行するAI技術」。つまり画期的進化を遂げたAIが、これまでの2次元空間ではなく、我々と同じ3次元で“行動する存在”へ変貌を遂げるというコンセプト。現実問題、社会実装に向けてより近い位置にいるのはヒト型ロボットではなく自動運転分野である。関連銘柄としては、自律走行研究開発分野におけるプログラム開発で先駆するニーズウェル<3992.T>、自動運転用3Dマップなどでノウハウを蓄積するアイサンテクノロジー<4667.T>、自動運転開発で必須となる膨大なデータ処理に絡む高性能エッジAIで存在感を示すHPCシステムズ<6597.T>などに注目したい。
あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に財務省から発表される。前場取引時間中には30年物国債の入札が行われるほか、11月の輸入車販売(日本自動車輸入組合)、11月の車名別新車販売(日本自動車販売協会連合会)、11月の車名別軽自動車販売(全国軽自動車協会連合会)などが発表される。このほか個別に積水ハウス<1928.T>の2~10月期決算発表が行われる。海外では10月のユーロ圏小売売上高、週間の米新規失業保険申請件数にマーケットの注目度が高い。また、ボウマンFRB副議長の講演が予定されている。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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