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ビーアールホールディングス:PC専門技術者集団で高速道路補修工事のパイオニア、配当利回り4.8%超え
配信日時:2025/11/27 10:03
配信元:FISCO
*10:03JST ビーアールホールディングス:PC専門技術者集団で高速道路補修工事のパイオニア、配当利回り4.8%超え
ビーアールホールディングス<1726>は、プレストレスト・コンクリート(PC)構造物の設計・施工・製造を一貫して手掛ける建設グループである。極東興和や東日本コンクリート、キョクトウ高宮、豊工業などを傘下に持ち、土木・建築の施工からプレキャスト製品製造まで垂直統合した体制を構築している。広島を本拠に全国展開し、橋梁や鉄道構造物を中心に18,000橋以上の施工実績を有する。もともとは1948年創業の鉄道砂利工業を源流とし、2002年に持株会社化。高速道路補修工事のパイオニアであり、NEXCO大規模更新工事が始まった当初から参画しており、幾多の試練はあったものの今では事業の柱となっている。現在は「地方ゼネコンではなくPC専門技術者集団」として、特定分野に特化した高付加価値ビジネスを展開している。
同社の競争優位性は、プレキャスト製品とPC施工の一体運用による品質・工期・安全性の総合優位、高度な技術者集団による施工対応力にある。極東興和が施工中核として全国対応し、東日本コンクリートが東北・北関東を補完、キョクトウ高宮・豊工業がプレキャスト部材を製造するなど、各社の機能が明確に分担されている。これにより、工場製造から現場施工までの工程を内製化し、品質確保と原価安定を両立している。特に補修・補強工事では、既設構造物の床版取替や耐震補強など、高難度・短工期案件を得意とし、高速道路会社や自治体からの指名競争入札で優位に立つ。さらに、自社開発工法であるKシリーズ(K-LIP、K-SLASH、K-PREX)、ELSS Joint、マイクロパイル等は、施工合理化とCO2削減を両立させる独自技術群としてブランド化が進む。K-LIPはASR補修分野シェア60%。競合は三井住友建設、PSコンストラクション、富士ピーエスなどだが、同じ製販一体の垂直統合モデルを展開する競合に対し、グループ5工場で全国を網羅する点で差別化されている。
直近の業績を見ると、2026年3月期上期累計の売上高は18,177百万円(前年同期比9.0%減)、営業利益は459百万円(同26.6%減)と減収減益となった。同社の場合は公共工事案件が主軸となるため、四半期業績では季節性を持っている。建設事業では大型案件の進捗遅れが響いた一方、製品販売事業は物流施設やアリーナ向けPC製品の納入進展により増収・黒字化を維持した。建設業界全体で労務費・資材費上昇によるコスト圧力が続くなか、同社は先述の独自技術による工程短縮や工場製品化率向上で原価吸収を進める。通期では売上高41,000百万円、営業利益2,000百万円を据え置いており、下期に大型橋梁案件や補修工事の進捗が集中する見通し。特に北海道新幹線やリニア関連受注は一巡感があるものの、延伸・メンテナンス案件への移行で一定の継続性が期待される。また、製品販売セグメントは建築PC製品の利益率が高く、同社全体の収益安定化に寄与している。
市場環境としては、国内建設投資は2025年度79兆円規模で底堅く推移する見通しであり、政府土木・補修分野が成長牽引する。プレストレスト・コンクリート市場では補修・補強の比率が高まり、構造物の長寿命化需要が長期的に継続する見通しである。国内73万橋のうち約8割が50年超を迎えており、高速道路リニューアルや国土強靭化、防災・減災対策が中長期の追い風となる。同社もロックフレーム工法やブランチブロック工法など、防災・法面保護分野への新展開を開始しており、既存の橋梁技術との相乗効果を狙う。また、建築向けプレキャスト製品では大手デベロッパーとの取引を通じ、物流倉庫・スタジアム・データセンター等の構造部材供給を拡大しており、土木に次ぐ柱として成長が期待される。
中期経営計画では、2028年3月期に売上高50,000百万円・営業利益3,000百万円、2031年3月期に売上高60,000百万円・営業利益4,000百万円、ROE10%以上を掲げる。新設橋梁事業の再成長と補修・補強事業のさらなる強化、製品販売の事業領域拡大を軸にしつつ、一般土木・建築・防災分野などの新規領域へも挑戦していくようだ。第1次中計(2027年度まで)では基盤整備を主眼とし、人材採用・研究施設建設・地域拠点拡充に注力。第2次(2030年度まで)では新分野拡大と成長加速を狙う。とりわけ技術研究施設では、低炭素コンクリート、ASR対策、補修新工法の実用化を推進し、大学25校との共同研究体制を強化する方針である。人材面では、技術者数はしっかりと採用が進んでいるようで、独自のACE(Advanced Civil Engineer)制度で熟練技術者を再雇用し、現場力を維持していく。施工の大型化・高難度化が進むなか、同社は「技術×人材×製品」による持続成長モデルを築こうとしている。株主還元では、配当政策として配当性向40%以上・DOE4%以上を継続方針としている。
総じて同社は、橋梁新設から補修・補強、建築・防災分野までをカバーするPC技術企業として独自の地位を確立している。国内インフラ再生投資が長期にわたり継続するなか、技術開発と人材投資を軸に施工力を深化させ、収益ポートフォリオを多角化する戦略は合理的である。足元では案件進捗の遅れが利益に影響しているが、中期的には製品販売事業の拡大と工法革新が収益改善を牽引しよう。技術特化型中堅建設グループとして一段高い評価を獲得する可能性が高い。
<HM>
同社の競争優位性は、プレキャスト製品とPC施工の一体運用による品質・工期・安全性の総合優位、高度な技術者集団による施工対応力にある。極東興和が施工中核として全国対応し、東日本コンクリートが東北・北関東を補完、キョクトウ高宮・豊工業がプレキャスト部材を製造するなど、各社の機能が明確に分担されている。これにより、工場製造から現場施工までの工程を内製化し、品質確保と原価安定を両立している。特に補修・補強工事では、既設構造物の床版取替や耐震補強など、高難度・短工期案件を得意とし、高速道路会社や自治体からの指名競争入札で優位に立つ。さらに、自社開発工法であるKシリーズ(K-LIP、K-SLASH、K-PREX)、ELSS Joint、マイクロパイル等は、施工合理化とCO2削減を両立させる独自技術群としてブランド化が進む。K-LIPはASR補修分野シェア60%。競合は三井住友建設、PSコンストラクション、富士ピーエスなどだが、同じ製販一体の垂直統合モデルを展開する競合に対し、グループ5工場で全国を網羅する点で差別化されている。
直近の業績を見ると、2026年3月期上期累計の売上高は18,177百万円(前年同期比9.0%減)、営業利益は459百万円(同26.6%減)と減収減益となった。同社の場合は公共工事案件が主軸となるため、四半期業績では季節性を持っている。建設事業では大型案件の進捗遅れが響いた一方、製品販売事業は物流施設やアリーナ向けPC製品の納入進展により増収・黒字化を維持した。建設業界全体で労務費・資材費上昇によるコスト圧力が続くなか、同社は先述の独自技術による工程短縮や工場製品化率向上で原価吸収を進める。通期では売上高41,000百万円、営業利益2,000百万円を据え置いており、下期に大型橋梁案件や補修工事の進捗が集中する見通し。特に北海道新幹線やリニア関連受注は一巡感があるものの、延伸・メンテナンス案件への移行で一定の継続性が期待される。また、製品販売セグメントは建築PC製品の利益率が高く、同社全体の収益安定化に寄与している。
市場環境としては、国内建設投資は2025年度79兆円規模で底堅く推移する見通しであり、政府土木・補修分野が成長牽引する。プレストレスト・コンクリート市場では補修・補強の比率が高まり、構造物の長寿命化需要が長期的に継続する見通しである。国内73万橋のうち約8割が50年超を迎えており、高速道路リニューアルや国土強靭化、防災・減災対策が中長期の追い風となる。同社もロックフレーム工法やブランチブロック工法など、防災・法面保護分野への新展開を開始しており、既存の橋梁技術との相乗効果を狙う。また、建築向けプレキャスト製品では大手デベロッパーとの取引を通じ、物流倉庫・スタジアム・データセンター等の構造部材供給を拡大しており、土木に次ぐ柱として成長が期待される。
中期経営計画では、2028年3月期に売上高50,000百万円・営業利益3,000百万円、2031年3月期に売上高60,000百万円・営業利益4,000百万円、ROE10%以上を掲げる。新設橋梁事業の再成長と補修・補強事業のさらなる強化、製品販売の事業領域拡大を軸にしつつ、一般土木・建築・防災分野などの新規領域へも挑戦していくようだ。第1次中計(2027年度まで)では基盤整備を主眼とし、人材採用・研究施設建設・地域拠点拡充に注力。第2次(2030年度まで)では新分野拡大と成長加速を狙う。とりわけ技術研究施設では、低炭素コンクリート、ASR対策、補修新工法の実用化を推進し、大学25校との共同研究体制を強化する方針である。人材面では、技術者数はしっかりと採用が進んでいるようで、独自のACE(Advanced Civil Engineer)制度で熟練技術者を再雇用し、現場力を維持していく。施工の大型化・高難度化が進むなか、同社は「技術×人材×製品」による持続成長モデルを築こうとしている。株主還元では、配当政策として配当性向40%以上・DOE4%以上を継続方針としている。
総じて同社は、橋梁新設から補修・補強、建築・防災分野までをカバーするPC技術企業として独自の地位を確立している。国内インフラ再生投資が長期にわたり継続するなか、技術開発と人材投資を軸に施工力を深化させ、収益ポートフォリオを多角化する戦略は合理的である。足元では案件進捗の遅れが利益に影響しているが、中期的には製品販売事業の拡大と工法革新が収益改善を牽引しよう。技術特化型中堅建設グループとして一段高い評価を獲得する可能性が高い。
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