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明日の株式相場に向けて=「ジェミニ3」は不都合な真実か
配信日時:2025/11/25 17:30
配信元:MINKABU
3連休明けとなった25日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比33円高の4万8659円と小反発。前週の日経平均は20日に1286円高と一矢を報いたものの、それ以外は下値模索の動きを強いられており、週間ベースでは1700円以上の下落となっていた。きょうは前日の米国株市場でナスダック総合株価指数がほぼ600ポイントの急伸をみせたことで、先物主導で大幅な戻りが予想されたのだが、またもや大方の予想を綺麗に裏切るトリッキーな値動きとなった。朝方は日経平均が先物に追随する格好で500円あまりの上昇を示したものの想定よりは値幅が伴わず、上値が重いとみた短期筋の売りが噴出してあっという間に上げ幅を縮小、後場の取引で一段安となりマイナス圏に沈んだ。その後は一進一退で大引けはかろうじてプラス圏で着地したとはいえ、上昇した感触には乏しい。もっとも、ソフトバンクグループ<9984.T>が1銘柄で340円程度日経平均を押し下げており、きょうの日経平均はこれに尽きるといってもよい。AIや半導体関連全体を見渡せば高安まちまちで、アドバンテスト<6857.T>と東京エレクトロン<8035.T>の2銘柄が指数を支える側に回った。だが、きょうは本来であればAI・半導体関連株は一斉高に買われてもおかしくなかった。跛行色が見られたこと自体に違和感は拭えない。
前日の米国株市場ではナスダック指数の急騰に加え、半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)もナスダック指数の上昇率を大幅に上回る4.6%高と気を吐いた。こうなると、東京市場も再び“AI・半導体株祭り”となるのがこれまでのパターンだったが、前日の米ハイテク株高はFRBによる12月利下げ期待の再燃に加え、「グーグル・エフェクト」による部分が大きい。この後者のグーグル案件が曲者であった。
この日はグーグルの親会社であるアルファベット<GOOGL>が6.3%高とマドを開けて買われ上場来高値を更新。同社が公表した最新のAIモデル「Gemini(ジェミニ)3」への高評価が投資資金を誘引したもので、米株市場全体のハイテク株高を牽引した。しかし、ジェミニ3は高性能かつ低コストを売り物としており、エヌビディア<NVDA>にとっては心中穏やかではない。見方を変えれば、以前にエヌビディアの株価を揺さぶった中国AI企業の「ディープシーク・ショック」の米国バージョンそのものでもあるからだ。直接的にはオープンAIとオラクル<ORCL>、ソフトバンクGの“スターゲート三羽烏”にとっては、AI過剰投資の烙印を押されかねない劇薬となる。東京市場においても、きょうは買われたものの、エヌビディアの最先端AI半導体向けにテスターを納入するアドテストなどには悪材料と捉えられても不思議はない。更に、AIデータセンターの建設ラッシュにも水を差すことで、光ファイバーなどその資材を手掛けるフジクラ<5803.T>などの上値を重くすることもあり得る。グーグルのジェミニ3については米株市場も東京市場も現状は消化難といえそうだ。目先的にはバリュー株への投資資金シフトの流れが一段と意識されやすくなる時間帯に入ったといえるかもしれない。
バリュー株シフトの流れに乗るのであれば、低PBRの株式需給面で売り圧力の乏しい銘柄を狙っていくのが王道。バリュー株の宝庫である建設セクターは狙い目といえるが、そのなか、都内や大阪など再開発の動きを背景に建設現場で使用される仮設機材などを手掛けるタカミヤ<2445.T>に妙味がある。PBR1倍割れで3.7%台の高配当利回りも魅力。建設現場のシステム足場を製造販売する信和<3447.T>が急動意をみせていることも株価を刺激しそうだ。
また、繊維向けを主力とする界面活性剤メーカーの日華化学<4463.T>に意外性がある。デジタル分野向けの先端材料開発にも傾注しており、スマートフォンやパソコン向け光学部品材料などで需要を開拓している。PBR0.7倍台で配当利回りは3.9%近くあるが、会社側では低PBR是正やROE向上に前向きな姿勢を明示していることで株高修正への期待は十分、中長期投資対象として期待が大きい。
このほか、自動車部品会社でフタバ産業<7241.T>もバリュー株素地に富んでおり要マークとなる。PER7倍台で、PBRは0.7倍ちょうど、更に配当利回りは4%台に乗っている。勝ち組であるトヨタ自動車<7203.T>への依存度が全体の7割を超えるガチガチのトヨタ系列企業だ。26年3月期上期(25年4~9月)は、利益率改善に伴い営業利益段階で前年同期比58%増益を達成するなど好調を極めている。
あすのスケジュールでは、10月の企業向けサービス価格指数が朝方取引開始前に発表されるほか、前場取引時間中に40年物国債の入札が行われる。11月の月例経済報告が開示され、後場取引時間中には日銀が「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」を公表、10月の全国スーパー売上高、9月の景気動向指数(改定値)なども発表される。海外ではニュージーランド中銀が政策金利を発表するほか、9月の米耐久財受注額、週間の米新規失業保険申請件数、11月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)、米地区連銀経済報告(ベージュブック)などにマーケットの注目度が高い。また、この日は米7年国債の入札も予定されている。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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