みんかぶニュース 市況・概況

明日の株式相場に向けて=再び「データセンター関連」爆騰の宴に

配信日時:2025/11/20 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(20日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比1286円高の4万9823円と5日ぶりに大幅反発。満を持しての切り返しというよりは、「決算ビッグイベントに絡んだコイントスで“強気”に賭けた向きの勝利となった」というのがきょうの相場であった。日本時間早朝に開示された米半導体大手エヌビディア<NVDA>の25年8~10月期決算は売上高が前年同期比62%増の570億600万ドル、最終利益は同65%増の319億1000万ドルといずれも四半期としては過去最高を記録し、事前コンセンサスを上回るとともに、25年11月~26年1月期の売上高見通しに関しても前年同期比65%増を見込むなど市場期待の高いハードルをやすやすと跳び越えてみせた。これを受けて、エヌビディアの株価は時間外で5%を超える急伸をみせ、これは当然のごとく東京市場のAI・半導体関連株を一斉にカイ気配で突き上げる起爆剤となった。  18日時点でエヌビディアの株価は75日移動平均線を陰線で下回っており、もう一回大陰線を引いて同移動平均線を下放れるようなことになれば、これはちょっとした事件でAI周辺株全般にも大きな影響を及ぼすことは不可避とみられた。しかし、今回も徳俵で際どく残した格好となった。エヌビディアの最近の軟調な値動きをみて、今週に入ってから米個人投資家による空売りが露骨に積み上げられていたが、それを焼き尽くすのがAIアルゴの得意技でもある。きょうは米株価指数先物もナスダック100が急騰しており、これに歩調を合わせる形で、日経平均は一時2000円を超える上昇で5万円トビ台まで噴き上げる場面があった。もっとも買い一巡後は伸び切れず、25日移動平均線を巡る攻防となり、結局、日経平均は終値で5万円台に届かなかった。良くも悪くもきょうのエヌビディア決算が年内の相場の方向性を決めるには至らない。楽観は禁物である。  ただ、エヌビディアの決算で明らかになっていることがある。それは同社の最先端AI半導体ブラックウェルを鯨のごとく呑み込んでいるのがデータセンター(AIデータセンター)であるということ。同社の8~10月期売上高の実に9割をデータセンター向けで占めているのだ。更に、この日はオマケ付きの材料が加わった。イーロン・マスク氏が立ち上げたAI企業エックスエーアイ(xAI)とエヌビディアはサウジアラビアで大規模なデータセンターを共同で建設することを、マスク氏がワシントンで開催された米・サウジアラビア投資フォーラムで表明したことが伝えられている。図ったかのようなタイミングであった。  エヌビディア界隈の銘柄に追い風が吹くなか、この日はデータセンターSSD向けNANDメモリーで世界屈指のキオクシアホールディングス<285A.T>が断トツの売買代金をこなし続伸したほか、光ファイバー関連のフジクラ<5803.T>、古河電気工業<5801.T>はもとより、スペシャルガラスを手掛ける日東紡績<3110.T>、光コネクター及び光コネクター球面研磨機を手掛ける精工技研<6834.T>といった銘柄に旺盛な買い意欲が反映されたのは、データセンターという一つの括りが強く意識されていたことは間違いのないところだ。  エヌビディア・エフェクトが一巡したとしても、この世界的な“データセンター建設ラッシュ”の流れは誰にも止められない。今のAIブームが歴史的な技術革命なのか、あるいはバブルなのかは後になって分かることだが、そこに行き着くまで今は目の前の大きな潮流に乗るしか選択肢が見えない局面となっている。これは極論すればエヌビディアが近い将来暴落に見舞われたとしても、変わらない流れといってもよい。データセンター関連の中小型株では、当欄で前週にも取り上げた指月電機製作所<6994.T>や平河ヒューテック<5821.T>のほか、AIデータセンター向け光コネクターや光アダプターなど光デバイスを製造・販売するサンコール<5985.T>、AIデータセンターを含むデータセンター向けの発電機用軸受けで新境地を開拓している大同メタル工業<7245.T>などに目を向けてみたい。  このほか、エヌビディア界隈から離れたところでは、高市政権が重点投資対象として掲げる17の戦略分野として光が当たり始めた「創薬・先端医療」に絡む銘柄。直近では免疫生物研究所<4570.T>が思惑先行とはいえ短期大化けを演じたほか、住友ファーマ<4506.T>は機関投資家とみられる実需買いで約6年半ぶりの高値に買われている。創薬で重視されるのはスピードであり、治験の効率化をもたらすうえで重要な役割を担うのもAIである。その観点でFRONTEO<2158.T>を改めてマークしておきたい。また「防衛産業」への投資は今の日本にとって言わずもがなであり、台湾有事の絡みもあり防衛関連株は再びマーケットで光を放つことになりそうだ。三菱重工業<7011.T>が旗艦銘柄であることに変わりはないが、中小型では日本ギア工業<6356.T>、カーリット<4275.T>などを目先注目したい。  あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に発表される10月の全国消費者物価指数(CPI)に注目度が高い。前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。後場取引時間中には10月の食品スーパー売上高が発表される。なお、この日はIPOが1社予定されており、ノースサンド<446A.T>が東証グロース市場に新規上場する。海外では10月の英小売り売上高のほか、11月の英PMI、11月の仏PMI、11月の独PMI、11月のユーロ圏PMI、11月の米PMI(いずれもS&Pグローバル調査・速報値)が開示、11月のミシガン大学消費者態度指数(確報値)も発表される。(銀) 出所:MINKABU PRESS

Copyright (C) MINKABU, Inc. All rights reserved.

ニュースカテゴリ