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明日の株式相場に向けて=決算プレーで勝機をつかむ“裏定石”
配信日時:2025/11/06 17:30
配信元:MINKABU
きょう(6日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比671円高の5万0883円と大幅反発。ハイボラティリティ相場には目が慣れてきたとはいえ、それにしても上下に荒い値動きが続く。日経平均が5万円台まで来ていることで、上昇率や下落率という点で以前とは値幅に対する感覚も変わってきているのは確かだが、それでもザラ場を含め日々1000円を超えるような値動きが続いている現状は、個人投資家に参戦を躊躇させるようなムードも漂わせている。明確な理由なしに一方向に売り買いが偏る現象は、AIトレードの影響が反映されている部分が大きいとみられる。トレンドフォローに特化したCTAによる先物への高速売買はその典型だが、ともすればこれによって全体相場の方向性が決まってしまうのが現在のマーケット環境である。
個別株の決算プレーにおいてもAIの影響は及んでおり、加速装置がついたような株価動向に投資家は翻弄されがちである。きょうの相場で言えばサンリオ<8136.T>の値動きなどは、人間の感性ではなかなか理解が難しい。同社は「ハローキティ」を筆頭とするキャラクタービジネスの巨人で、IPビジネス業界を代表する存在といってもよい。高市早苗首相が重点投資の対象として掲げる17の戦略分野にも含まれる「コンテンツ」では任天堂<7974.T>とともにシンボルストック的な位置付けにあり、個人投資家の注目度も高い銘柄である。
サンリオは足もとの業績も絶好調で、営業利益は爆発的な伸びで過去最高更新基調が続く状況にある。そうしたなか、前日の取引終了後に期中2度目となる今期業績予想の上方修正を発表した。営業利益段階で従来予想の673億円から702億円(前期比36%増)に大幅増額したのだが、これでも期待に届かないという理由で集中的な売りの砲火を浴びた。一時1153円安の6310円まで売り込まれたが、直近1カ月ほどの値動きを見れば分かるように、ここまで売り叩かれるほど決算期待で前もって株価水準を切り上げてきたわけではない。したがって、今回の業績修正に際して人間のマインドでは売り叩くすべはないのだが、AIであれば決算プレーというひとつのコマンドで容赦なく機械的な売りを浴びせることができる。これに狼狽して投げさせられるのは個人投資家である。決算跨ぎでなければ、こうした状況で逆張りを念頭に買い出動を考えることはできるが、上方修正期待で先に抱え込んでしまっている投資家はそうはいかない。含み損を甘受するかロスカットするかという選択肢となってしまう。
ただし、このサンリオのイレギュラーな下げを仕込み場とみなす感覚は個人投資家のストラテジーとして有効である。後出しジャンケンのように、決算発表後の値動きをみながら戦略を練るのが、決算絡みの“裏定石”として威力を発揮することもある。好実態株であれば、決算発表というイベントは上昇トレンドにおけるノイズに過ぎない。サンリオが今回の上方修正を契機に中長期上昇トレンドの終焉を迎えるという理不尽な現実が起こり得るのかどうか、これを否定できれば押し目買いの対象ということになる。
決算発表を既に通過している個別株でマークしておきたい銘柄をいくつか挙げると、まずトヨタ系の特殊鋼大手である愛知製鋼<5482.T>。26年3月期中間期(25年4~9月)は営業利益が前年同期比2.7倍の87億8400万円で通期予想も従来予想の140億円から150億円(前期比25%増)に増額したが、一段の上振れ余地が意識される。また、日立系商社でデータセンター向け特殊空調などでも実績が高い八洲電機<3153.T>は4~9月期の営業利益が前年同期比約3倍となり、通期見通しについても従前見通しを増額し前期比26%増の66億円としている。
ソフトウェアの開発・導入やシステムインテグレーション、クラウドサービスなどITコンサルティングを展開するシステナ<2317.T>も中期スタンスで要注目となる。4~9月期の営業利益は前期比36%増と絶好調、通期見通しについては2回目の上方修正で145億円(前期比20%増)を予想している。このほか、12月決算の四国化成ホールディングス<4099.T>は第3四半期決算発表と合わせ通期業績の修正を発表、営業利益は94億円から100億円(前期比3%増)に増額し、減益予想から一転して増益見通しに変わったが、依然として保守的との見方もあるようだ。
あすのスケジュールでは、9月の家計調査、対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に開示されるほか、前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。また、10月の輸入車販売(日本自動車輸入組合)、10月の車名別新車販売(自販連)、10月の軽自動車販売(全軽自協)が発表される。主要企業の決算発表ではフジクラ<5803.T>、三菱重工業<7011.T>、三井物産<8031.T>、メルカリ<4385.T>などにマーケットの注目度が高い。海外では、10月の中国貿易統計、10月の中国外貨準備高のほか、米国では11月の消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)、9月の消費者信用残高などが開示される。また、FRB高官の発言機会も相次ぎ、この日はジェファーソンFRB副議長やミランFRB理事などの講演が予定されている。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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