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リブワーク Research Memo(3):戸建住宅事業を主力に、プラットフォーム事業の拡大に注力

配信日時:2025/11/05 11:03 配信元:FISCO
*11:03JST リブワーク Research Memo(3):戸建住宅事業を主力に、プラットフォーム事業の拡大に注力 ■事業概要

1. 事業概要
Lib Work<1431>は熊本県を地盤として九州圏及び首都圏に展開する戸建住宅メーカーで、デジタルマーケティングをコアコンピタンスに第一次取得層を主たるターゲットとして高品質の戸建住宅を提供している。2025年6月期末時点の営業エリアは熊本県、佐賀県、福岡県、大分県、千葉県と、子会社タクエーホームが展開する神奈川県である。常設型展示場は26拠点で、このうち福岡県粕屋郡、大分県大分市、千葉市美浜区、熊本県上益城郡は、イオンモールなど大型ショッピングモール館内に原寸大のモデルハウスを建築するインショップ型の展示場である。熊本県以外への事業展開により、熊本エリアの受注割合は2018年6月期の92%から2025年6月期には48%まで低下し、熊本県以外の割合が過半を超えている。さらに2026年6月期は千葉県・埼玉県・神奈川県に新拠点を計画しており、首都圏への展開を進める。

戸建住宅事業の単一セグメントのため連結ベースの事業別売上高等は開示されていないが、参考値として同社資料(2025年9月30日付「事業計画及び成長可能性に関する事項」)によると、2025年6月期の会社別業績(連結調整前)は同社が売上高12,120百万円で営業利益684百万円、タクエーホームが売上高3,535百万円で営業利益104百万円、幸の国木材工業が売上高1,106百万円で営業利益25百万円となった。

ブランドとしては、自社ブランド(注文住宅)のLib Work事業、セカンドブランドと位置付けているsketch事業、子会社のタクエーホームが展開する建売中心のタクエーホーム事業のほか、(株)MUJI HOUSEとのフランチャイズ契約による「無印良品の家ネットワーク」事業や、異業種とのコラボレーション(戸建新商品の共同開発)なども活用して積極的な商品・出店戦略を推進している。

さらに戸建住宅事業をベースとして、マイホームロボ事業、IPライセンス事業、3Dプリンター住宅事業といった収益性や成長性の高い新規ビジネスの展開(成長戦略の章で後述)にも注力し、HOUSE TECH COMPANYとして戸建住宅プラットフォーマーへの進化を加速している。

(1) 自社ブランド住宅
Lib Work事業はコンセプト別に商品企画・開発を行い、同じ間取り・外観であればどの商品を選んでも同じ価格で購入できる「ワンプライス」で提供している。同社が展開する住宅スタイルのコンセプトは多岐にわたる。主なブランドとして、「Archt(アクト)」(流行に左右されない普遍的なデザイン)、「Laiton(レトン)」(木・真鍮・モルタルを生かしたカフェ風の家)、「陽和(ひより)」(杉の香りが漂う木の住まい)、「Z・E・N(ゼン)」(モダンと和を融合させたコンテンポラリースタイル)、「Nordi(ノルディ)」(日本(和)と北欧を掛け合わせたジャパンディスタイル)、「Finole(フィノル)」(高級ホテルのようなラグジュアリーモダンスタイル)などがある。

sketch事業は「人々の暮らしを、未来を、スケッチする」をコンセプトとして、トレンドを意識したデザイン性の高い商品を低価格で提供している。2020年6月にショッピングモール向け新ブランドとして立ち上げ、インショップ型モデルハウスとして展開(福岡県粕屋郡、大分県大分市、千葉市美浜区、熊本県上益城郡)している。またタクエーホーム事業は、子会社タクエーホームが神奈川県を中心に戸建建売販売を展開している。

(2) 異業種とのコラボレーション住宅
異業種とのコラボレーション住宅としては、フランチャイズ契約の「無印良品の家」、(株)アダストリアと共同開発した「ink」、(株)サザビーリーグと共同開発した「Afternoon Tea House」、千趣会<8165>と共同開発した「BELLE MAISON DAYS house(ベルメゾンデイズハウス)」、(株)再春館製薬所と共同開発した「再春館製薬所の家(Positive Age House)」などがある。また2024年12月には帝人と大空間を実現した木造住宅の展開に向けた戦略的パートナー契約を締結した。

「無印良品の家」はフランチャイズ契約で、熊本エリアと福岡エリアでの独占営業権を取得している。「ink」はアダストリアのブランド「niko and ...」とのコラボレーションとして、「住む場所やデザインをもっと自由に。あなたのカラーで暮らしをデザイン」をブランドコンセプトに掲げて共同開発した。「Afternoon Tea House」はサザビーリーグのブランド「Afternoon Tea」とのコラボレーションとして、「サステナブルな暮らし」をブランドコンセプトに共同開発した。「BELLE MAISON DAYS house」は千趣会のブランド「BELLE MAISON DAYS」とのコラボレーションとして、「家族と共に前向きに成長していく家」をブランドコンセプトに共同開発し、2024年8月に販売開始した。新しい販売チャネルとして千趣会の通販チャネルを活用する。また「再春館製薬所の家(Positive Age House)」は「長く、健やかに、美しく、いつまでも自分らしく生きる」ことをテーマとして設計し、2025年4月に販売開始した。熊本発の新しいライフスタイルブランドとして、再春館製薬所の顧客基盤と同社の集客プラットフォームを連携させ、多角的な販売戦略を展開する。

帝人との戦略的パートナー契約では、第1弾として帝人が企画・設計した木造住宅「LIVELY VILLA Noki(ライブリーヴィラ ノキ)」を同社が販売する。2025年7月に福岡県糸島市と熊本県阿蘇郡西原村の2ヶ所にモデルハウスをオープンした。帝人が開発した「LIVELY WOOD(ライブリーウッド)」(国産木材と炭素繊維を組み合わせた高機能繊維強化集成材)を利用し、木造住宅でありながらRC(鉄筋コンクリート)造並みの豊かな大開口・大空間を実現できる新しい住宅で、国内の森林資源の活用やサーキュラーエコノミーにつながる事業となる。また「LIVELY VILLA Noki」に続く新しいシリーズの展開を計画しており、将来的には素材を提供する形でのFC展開の可能性も検討する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)

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