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明日の株式相場に向けて=AI・半導体大相場の不可解なオブジェ
配信日時:2025/10/30 17:30
配信元:MINKABU
きょう(30日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比17円高の5万1325円と小幅続伸。終値こそわずかながらプラス圏で引けたのだが、大山鳴動して鼠一匹というべきか、取引時間中は気迷いモード全開で、狂った計器の針を見るような相場であった。
昼ごろに開示された日銀の金融政策決定会合の結果は、事前予想通り政策金利の現状維持であった。これについてマーケットはほぼ100%に近い形で織り込んでいたはずだが、その後、日経平均は前日終値を挟んで千鳥足のように揺れまくった。足もとで波乱に見舞われているわけではないが、全体相場は霧に巻かれ立ち位置がぼやけ、強いのか弱いのかもはっきりしない地合いとなった。日経平均が5万1000円台に位置していること自体は、非常に強い相場であることを証明しているが、目先的にはややカオスの領域に片足を突っ込んでいるような雰囲気もある。
日経平均はその構成比上位にあるソフトバンクグループ<9984.T>やアドバンテスト<6857.T>、東京エレクトロン<8035.T>といったAI・半導体関連の親玉のような銘柄が指数を支配しているような状況にある。米国では時価総額5兆ドルのAIモンスター、エヌビディア<NVDA>が最高値圏をまい進し、同社株をシンボルストックにマイクロン・テクノロジー<MU>やアプライド・マテリアルズ<AMAT>、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ<AMD>、ブロードコム<AVGO>といった銘柄が脇を固めている。仮にAIバブル相場のレールの上を走っているとしても、その終着点はどんなに目を凝らそうと今は見えない。東京市場も米株市場に追随するよりないというのが現状であり、機関投資家は持たざるリスクに洗脳され、一方でショート筋が何度絡みついても上げ潮相場の肥やしになるだけという状況が続いている。
しかし、個別株の動きが合理を外れるケースも増えている。前日はアドテストがストップ高カイ気配に張り付く人気となり、1銘柄で日経平均を1000円押し上げるという滅多に見られないパフォーマンスを演じたが、きょうはレーザーテック<6920.T>が5000円高のストップ高で2万8575円カイ気配に取引終了時まで張り付くという異色人気となった。アドテストのストップ高についてはその売買代金も含め驚かされたが、首を傾げるような要素もなかった。文句のつけようのない好決算と自社株買い発表という明確な材料があったからだ。しかし、きょうのレーザーテクは謎が多い。
何といってもレーザーテクはあす31日に決算発表を控えている。「しかも、このタイミングでアレシア・キャピタルのアナリストがレーザーテクの投資判断を買いに引き上げるとともに、目標株価を3万5000円に設定するという荒業を仕掛けてきた」(国内投資顧問系ストラテジスト)とする。だが、そうであっても大量の買い注文でストップ高カイ気配に張り付くほど、全力で買いを入れてくるような投資主体がいるのかという話になる。同社株の時価総額規模では生半可な思惑買いで最後までS高に張り付くというようなことは想定しにくい。考えられる可能性としては、以前にショートセラーとして名を馳せるスコーピオン・キャピタルが会計上の疑義を指摘するリポートを掲げレーザーテクに売りを仕掛けた経緯があり、「その全面的な買い戻しが機能したか、あるいはそれを見込んだ仕掛けが炸裂した」(ネット証券マーケットアナリスト)というものだ。しかし、今のようなショート筋を焼き尽くしてしまうような恐るべきAI相場にも落とし穴がないわけではない。
きょうはレーザーテクがストップ高に張り付いている傍らで、ディスコ<6146.T>が売りの集中砲火を浴び一時10%安という急落に見舞われた。ディスコは後工程の半導体製造装置メーカーとして圧倒的な商品競争力を誇っている点で、アドテストと同類項に位置付けられている銘柄だ。生成AI市場向けの需要獲得に傾注する方針を打ち出しており、好収益環境を満喫しているはずだった。ところが、同社が前日引け後に発表した25年4~12月期の業績見通しが営業利益段階で3%減益と小幅ながら前年同期を下回る見通しを発表、事前コンセンサスも下回ったことで失望売りに晒された。決算発表前の前日の相場で同社株は後半尻上がりに買われる展開だったが、これは1日早く好決算を発表したアドテストと同じ後工程半導体関連として決算を先取りする思惑があったと思われるが、決算プレーは一筋縄ではいかない。きょうのレーザーテクの大立回りだが、決算発表後に果たしてどういう舞台が待っているのか、おのずとマーケットの視線が集まることになる。
あすのスケジュールでは、9月の失業率、9月の有効求人倍率、10月の都区部消費者物価指数(CPI)、9月の鉱工業生産、9月の商業動態統計などがいずれも朝方取引開始前に開示されるほか、前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札及び2年物国債の入札が行われる。後場取引時間中には9月の自動車輸出実績、9月の住宅着工統計などが発表される。主要企業の決算発表では住友電気工業<5802.T>、ソシオネクスト<6526.T>、ファナック<6954.T>、村田製作所<6981.T>、東エレク、レーザーテク、住友商事<8053.T>などが注目されそうだ。海外では10月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)、10月の中国非製造業PMI、7~9月期台湾GDP、7~9月期香港GDP、10月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)、10月の米シカゴ購買部協会景気指数など。なお、フィリピン市場は休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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