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明日の株式相場に向けて=爆騰アドテストが示唆する次のターゲット

配信日時:2025/10/29 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(29日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比1088円高の5万1307円と急反発。5万円前後の水準になると、1000円以上の上昇あるいは下落はもはや騒ぐレベルではなくなっている。まだ、そう感じることができないのは、あまりに5万円台への到達が早かったからともいえる。長きにわたり兜町界隈を彷徨していた者にとっては、日経平均と聞くと未だに「2」とか「3」という数字が脳裏に浮かんでしまう。とにかく、ここ数年凄いことが起きている。空売りで踏まされるケースが繰り返されるのは、1989年の年末につけた3万8915円という高値が、バブルの頂点という認識で刻印のように記憶の中枢に張り付いているからかもしれない。  とはいえ、日経平均自体も凄いスピードで変質している。きょうは1000円を超える上昇を演じたが、個別銘柄を見ると実に1400弱、86%の銘柄が下落している。これは体感的には全面安と表現されてもおかしくはない。局地的にGAFAM化している銘柄、例えばソフトバンクグループ<9984.T>やアドバンテスト<6857.T>が該当するが、きょうはアドテストが4000円高はストップ高となる2万2120円に買われ、1銘柄で日経平均を1077円押し上げた。日経平均1000円高は、もはや茶飯事としても、きょうはそのほぼ全部をアドテストが叩き出したことになる。日経平均では既に全体相場を語れない状況になってきた。なお、TOPIXはマイナス圏で引けたが、それでも7ポイント安。小安いという表現がシックリくるのだが、個別株をみれば土砂降り状態でやはり違和感は拭えない。  個別株物色も決算シーズンが絡むと制約が多くなり、今は正直難しい時期に差し掛かっている。好決算銘柄を首尾よく拾うことができればそれに越したことはない。しかし、発表前に株価にまだ織り込まれていない好決算銘柄を選び出し、発表後の急騰パフォーマンスを先取りするという作業は、実際は思っている以上に困難でリスクと隣り合わせである。したがって、待つも相場というように決算発表の通過を待って、ノイズが消えてから本腰を入れて投資対象を絞り込んでいくのも一つの有力な投資戦略である。極論すれば好業績と呼べる銘柄はいくらでも存在するため、決め打ちせずに決算後のやや秩序が乱れた地合いから最適解を探していくというのがクールな手法。そして、もう一つは“超長期”投資目線で、決算発表を絡めた目先の株価の上下動は気にせず、株主としてインカムゲインを得ながら、企業の成長(株価の成長)を見守っていくという投資スタンスもある。いずれにしても、株式投資に「王道」と呼べるものはない。その人の価値観や、見る角度によって株式投資の概念自体さまざまに変化するからだ。  直近では日米首脳会談を経て、日米同盟強化の流れに乗る銘柄に資金が誘導されている。当分の間、AI、半導体、鉱物資源(レアアース)、量子、宇宙といった分野は投資マネーが流れ込む入り江として常に存在するが、潮の流れは均一ではなく跛行色も常に生じる。今は米エヌビディア<NVDA>や米オープンAI、国内ではアドテストなどがリーディングカンパニーとなってAIや半導体周辺が活況だ。  アドテストの目を見張る決算はAI半導体関連全般にとっても強力な自信を植え付ける格好となった。AI関連はその成長の基盤であるデータセンターや電力といったテーマに投資マネーの視線を向けさせている。きょうは、電気工事会社のトーエネック<1946.T>が業績と配当の上方修正を受けてストップ高・カイ気配に張り付いた。そしてきんでん<1944.T>、関電工<1942.T>といった銘柄も軒並み値を飛ばしている。何やら、データセンターと電力という2つのテーマが交差する地点が、今の株式市場のホットスポットとなっているような印象もある。  ここで、マークしておきたいのがETSグループ<253A.T>だ。電気設備や送電線工事などを主力展開し、電気工事は基礎工事から鉄塔建設、そして架線構築まで一気通貫で対応。いうまでもなく、足もとデータセンター関連の大型案件が目白押しで早晩見直しムードが台頭しそうだ。今年6月から8月初旬にかけての2カ月間、ほぼ“週足陽線”の連打で形成した大相場の火種はまだ消えていないと思われる。このほか、IoT技術を駆使したソリューションを武器に制御システムなどで優位性を発揮する正興電機製作所<6653.T>、独立系電気通信工事会社でベトナムなどアセアン地域にも強いJESCOホールディングス<1434.T>なども注目。このほか、発電所主体のプラント建設会社で、原発関連の雄でもある太平電業<1968.T>のジリ高トレンドにも魅力がある。  あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に開示されるほか、昼ごろには日銀金融政策決定会合の結果発表が行われ、引け後に植田和男日銀総裁の記者会見が予定されている。後場取引時間中には9月の建機出荷が発表される。なお、この日は東京ビッグサイトでジャパンモビリティーショーが開幕する(~11月9日)。海外では9月のユーロ圏失業率、7~9月期ユーロ圏実質国内総生産(GDP)速報値が開示されるほか、ECB理事会の結果にも耳目が集まる。また、米国ではボウマンFRB副議長の講演が予定されている。個別にアップル<AAPL>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>の決算発表に投資家の関心が高い。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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