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IKホールディングス:化粧品の好調が利益牽引、EC拡大とODM強化で次の成長フェーズへ

配信日時:2025/10/29 10:19 配信元:FISCO
*10:19JST IKホールディングス:化粧品の好調が利益牽引、EC拡大とODM強化で次の成長フェーズへ IKホールディングス<2722>は、生活関連商材の企画・製造・販売を行う総合マーケティング企業である。「セールスマーケティング事業」と「ダイレクトマーケティング事業」の2軸で構成され、生協や通販企業その他、ドラッグなどの小売り企業への卸売りのほか、テレビ通販やECサイトなど多様な販売チャネルを持つ。カテゴリや販路にとらわれず「売れる商品をスピーディーに市場投入する」開発力を強みとしている。自社企画商品を得意先に提案し製造委託するODMにも注力している。

2026年5月期第1四半期の連結業績は、売上高3,676百万円(前年同期比12.8%増)、営業利益68百万円(同6.7倍)と大幅な増収増益となった。主力のセールスマーケティング事業が牽引し、化粧品を中心に販路拡大が進んだ。特に、全国のセブン-イレブンにおける韓国コスメ2ブランドの販売を8月末から開始し、初回出荷による大量受注が寄与したことが業績を押し上げた。セールスマーケティング事業の売上高は2,904百万円(前年同期比21.6%増)、営業利益は204百万円(同51.0%増)と好調。一方、ダイレクトマーケティング事業はTVショッピングの縮小に伴い売上高770百万円(同11.3%減)となったが、採算改善が進み営業利益は34百万円(同130.1%増)と大幅に改善した。利益進捗率は通期計画(営業利益500百万円)に対して13.6%と高く、例年の2%水準を大きく上回る好調なスタートとなった。

好調の背景には、雑貨比率が高かったポートフォリオを見直し、リピート性の高い化粧品・食品分野への集中がある。消費環境は物価上昇の影響でやや慎重姿勢がみられるものの、化粧品市場は国内外で高い需要が続いており、ドラッグストア、コンビニ、EC等の多様なチャネルでの販売が拡大している。

2026年5月期の通期業績見通しは、売上高16,400百万円(前期比7.8%増)、営業利益500百万円(同17.6%増)と増収増益を予想する。下期は冬物商戦やお歳暮需要、春先のコスメ新商品投入など季節要因が追い風となる見込みであり、上振れ余地も残る。

かつて売上の約30%を占めていたTV通販は現在2%程度まで縮小しており、事業構造が確実に転換しつつある。中期的には、EC売上比率を現状の10%から30%に引き上げることを掲げており、デジタル販売の拡大を収益成長の柱に据えている。

また、株式会社powから取得したSNS広告事業「getpop事業」を、新たに設立する子会社に譲渡し、その子会社で事業展開を行うことを発表。getpop事業は、一般ユーザーが商品を購入・体験し、その動画をSNS上に投稿することで再生数に応じた報酬を得る「ユーザー参加型プロモーションプラットフォーム」である。従来のインフルエンサーマーケティングに比べ、広告主と消費者の間に自然な拡散を生む点が特長であり、企業にとっては消費者目線の良質な動画コンテンツを大量に生成できる利点がある。今後は、同社のEC事業とのシナジーを強化し、デジタルマーケティング領域を新たな成長軸に据える計画だ。

中期経営計画「IK WAY to 2028」では、最終年度の2028年5月期に売上高200億円、営業利益10億円の達成を目標としている。成長の3本柱として、(1)主力の化粧品分野のさらなる伸長、(2)EC売上比率30%への拡大、(3)ODM事業の本格展開を掲げる。ODMについては、下期に専門事業を立ち上げ、「多数のメーカー情報と販売チャネルを掛け合わせた、確実に売れる商品の提案力」という同社の強みを活かして拡大を図る方針である。10%前後の年平均成長を維持すれば目標達成が可能な現実的な計画であり、堅実な成長を目指している。

株主還元では、2024年5月期に復配して以降、増配基調を継続している。2026年5月期は年間配当9円(前期比1円増)を予定し、配当性向20%を目標として、業績拡大に応じた段階的な増配を目指す方針だ。また、保有株式数に応じて自社商品やお買い物金券が受け取れる株主優待制度も導入しており、配当と優待を合わせた総合利回りは7%を上回る水準にある。こうした積極的な株主還元策により、個人投資家からの支持を着実に高めている。現時点の株価指標はPER約10倍と依然として割安で、ROEは10%前後を維持。今後も利益成長が続けば、バリュエーションの見直し余地は大きいとみられる。

同社は、化粧品を中心に好調なセールスマーケティング事業を維持しながら、ODM・EC・SNS広告など新分野を育成する成長ステージにある。収益性と安定性を両立させる経営姿勢を示しており、中期経営計画の確実な進捗と新事業シナジーの拡大を背景に、今後も中長期的な企業価値向上が期待される。

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