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明日の株式相場に向けて=日米黄金時代の相場か、AIバブルの幻想か

配信日時:2025/10/28 17:31 配信元:MINKABU
 きょう(28日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比293円安の5万219円と3日ぶり反落。前日に日経平均は1200円を超える上昇で初の5万円台に突入したが、その反動もあってきょうは終日売りが優勢だった。それでも後場寄り早々に30円あまりの下げ幅まで縮小し、プラス転換の可能性を意識させる場面もあったのだが、そこが戻りいっぱいの水準となりその後は再び軟化した。午後に入って外国為替市場でドル安・円高が加速、これが株式市場でも手控えムードを助長する背景となった。  今週は早くも10月の最終週ということで、残るは11月と12月の2カ月であり、2025年相場も最終コーナーを曲がっていよいよ最後の直線勝負に突入するようなイメージとなってきた。今年は4月に昨年8月のフラッシュクラッシュの再現を思わせる暴落に見舞われ、日経平均は3万1000円近辺まで水準を切り下げたのだが、ここは結果的に天与の買い場となった。それにしてもそこからわずか半年余りで日経平均が5万円の大台に乗せるというのは、誰一人想像できなかったはずである。ちなみに、NYダウは4月上旬に3万7600ドル台まで下げ、その後は一貫した戻り相場を形成したが、直近は最高値圏に位置するものの4万7000ドル台半ばの水準にとどまっている。日経平均のリバウンドの強烈さが改めて浮き彫りとなっている。  最終コーナーの手前である今週はくしくもスペシャルウィークといってよく、10月の米消費者物価指数(CPI)発表の後、FOMC、日銀金融政策決定会合、ECB理事会が行われ、それぞれ政策金利を決定。更に各中央銀行総裁の記者会見に耳目が集まるほか、米国では大手IT企業(GAFAM)の決算発表が相次ぐ。そして、政治の世界では日米首脳会談、米中首脳会談とトランプ米大統領のタフな外交にスポットが当たる週である。そのなか、何といっても東京市場にとって最大のイベントは日米首脳会談だったと思われる。  週明け27日から29日の日程でトランプ大統領が来日し、高市早苗首相との首脳会談に臨んだ。日米間の経済・安全保障の協力を強化することが第一義だが、政策内容の確認・すり合わせといった具体的なことは置くとして、終わってみれば何よりもトランプ氏の笑顔が印象に残る会談であったように感じられる。高市氏はアベノミクスの継承者として安倍元首相とトランプ氏の蜜月関係を上手く引き継いだようにも見える。これはおそらく、日本株市場の先行きを占ううえでもポジティブな余韻を残した。市場関係者も「高市氏はトランプ大統領に対し、ノーベル平和賞候補に推薦する意向を伝えるなど分かりやすくゴマをすったが、当然これは確信犯的な印象付けであり、その他諸々でうまく米国の懐に入るという高度なコミュニケーション技術が駆使されていた」(中堅証券ストラテジスト)と評価する声もあった。高市氏が述べた「日米同盟の新たな黄金時代をつくりたい」という言葉は、トランプ氏の心に素直に届いたはずである。  きょうは、日経平均の下げ幅こそ“SBG効果”で0.6%未満にとどまっているが、プライム市場の値下がり銘柄数の多さには少々驚かされた。値下がり銘柄数が何と1500を超え、プライム上場銘柄の93%以上が下落する状況となった。内需・外需を問わずの下げであるため足もとの急速なドル安・円高進行だけでは説明がつかないが、これまで高市トレードによるモメンタム相場の行き過ぎた部分の仕切り直しを示唆するものと考えれば、それほど尾を引かないのではないか。プライム市場の騰落レシオ(25日移動平均)は前日時点で109%台と、特段強気にも弱気にも傾いておらず、ここは順張り・逆張りに関係なく、上昇一服場面の銘柄を淡々と拾っていく時間帯といえそうだ。総論的にはTOPIXベースで、25日移動平均線の3200ポイント近辺まで引き付けられれば買い場としてはベストといえるかもしれない。  ソフトバンクグループ<9984.T>が象徴的だが、全体相場が活況を呈し上値指向にある時は、主力どころに投資資金が集中的に流れ込む。例えばあまり深く考えず、アドバンテスト<6857.T>やフジクラ<5803.T>など同系統の銘柄をいくつか分散して拾っておけば、大体はAI相場の恩恵を享受できる仕組みとなっている。ただ、全体が凪状態に入った場合は、中小型株の出番となりやすい。チャート妙味で選ぶなら電子カルテ関連のソフトマックス<3671.T>。あるいは半導体関連の切り口では、日本トムソン<6480.T>や冨士ダイス<6167.T>、北川精機<6327.T>といった銘柄が挙げられる。これらの銘柄はいずれも1000円未満の株価で、主力株に買い疲れ感を感じたら、こうした3ケタ銘柄に着目してみるのも一考だ。  あすのスケジュールでは、10月の消費動向調査が後場取引時間中に発表されるほか、取引終了後に日本取引所グループ<8697.T>の山道CEOの記者会見が予定されている。また、この日はディスコ<6146.T>、コマツ<6301.T>、キーエンス<6861.T>などの決算に関心が集まる。海外では9月の米仮契約住宅販売指数のほか、FOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見へのマーケットの注目度が高い。カナダ中銀の金融政策決定会合の結果も発表される。海外企業の決算では、韓国のSKハイニックスや、米国ではアルファベット<GOOGL>、マイクロソフト<MSFT>、メタ・プラットフォームズ<META>、キャタピラー<CAT>、ボーイング<BA>などに耳目が集まる。なお、香港市場は休場。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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