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ギックス Research Memo(5):DI変革Div.の取り組みで増収なるもコスト超過プロジェクトにより減益(1)
配信日時:2025/10/28 13:05
配信元:FISCO
*13:05JST ギックス Research Memo(5):DI変革Div.の取り組みで増収なるもコスト超過プロジェクトにより減益(1)
■ギックス<9219>の業績動向
1. 2025年6月期の業績概要
2025年6月期の連結業績は、売上高が2,398百万円(前期比13.3%増)、営業利益が99百万円の損失(前期は133百万円の利益)、経常利益が101百万円の損失(同132百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益が99百万円の損失(同88百万円の利益)である。2025年4月30日に公表された業績予想と比較すると、売上高・営業利益ともに上振れ着地となった。売上高の上振れは、追加案件の獲得に伴う積み増しが主因であり、さらに進行基準の会計処理変更による売上計上額の押し上げ効果も寄与した。営業利益の上振れについては、売上高の増加に伴う増益が主要因であるが、一部では販管費削減の取り組みが利益確保に貢献している。
売上高の観点では、既存の重点顧客との連携強化及びDI変革Div.の取り組みによる新規顧客の獲得が一定の成果を収め、成長に寄与した。とりわけ、組織的な営業体制の拡充とマーケティング機能の強化が功を奏している。しかしながら、大規模開発案件におけるコスト超過プロジェクトの発生により、リソースの大部分がそちらに集中し、他プロジェクト、特にLM※案件へのリソース配分が制限された結果、売上成長にブレーキがかかった。その他に、M&Aの実施による事業拡大を想定していたが、実施タイミングが遅れたことで今期中の貢献が限定的となった。営業利益の観点では、コスト超過プロジェクトの直接的・間接的な影響により減益となった。加えて、M&A関連に伴う仲介手数料やデューデリジェンス費用もコストとして計上されており、これが営業利益の一段の低下を招いている。一方で、広告宣伝費等の販管費削減が一部の増益要因として働いている。全社KPIとしては「取引先別年間取引高構成」を掲げており、クライアントポートフォリオの質的改善を進めている。具体的には、取引先を取引高に応じてA〜Cに区分し、各区分の取引社数拡大と、CからB、BからAへの移行を戦略的に推進している。2023年9月に新規クライアント開拓チームを立ち上げ、2024年7月からは正式に部署として独立させたことにより、新規クライアント獲得と取引高拡大の双方で一定の成果を上げている。
※ LM:Legacy Modernization(レガシーモダナイゼーション)の略。老朽化・複雑化が進んだレガシーシステムを、最新の技術や設計思想を取り入れながら刷新・改善し、企業のビジネス価値を向上させる取り組みを指す。
同社は、重点投資領域に対して集中的な資源配分を実施し、複数の成果を上げている。中でも注目されるのは「ADS(Adaptable Data System)」フレームワークの確立である。これは、従来のDIプラットフォーム及び2024年7月に開始したLMの取り組みを発展させたものであり、ビジネス及び業務の変化に柔軟に対応可能な統合的仕組みとして整備された。このADSをもとに、より顧客理解に特化した「CU/ADS(Adaptable Data System for Customer Understanding)」もローンチされており、過去のアセット(アルゴリズム、コンポーネント、メソッド等)を活用した高度なサービスの提供が可能となった。また、M&A戦略の一環として、2025年4月25日にメイズの全株式取得による完全子会社化を決定しており、データ基盤構築の強化及びコスト構造の見直しを図るとともに、戦略的な事業ポートフォリオの拡充が期待される。これら一連の投資活動は、直近業績への即時的な貢献は限定的ながらも、来期以降の持続的成長に向けた布石として非常に意義深いと評価する。2025年6月期の業績には短期的な揺らぎが見られるものの、既存顧客との関係強化及び新規顧客の開拓が引き続き継続しており、中長期的な成長に対する蓋然性は高いものと弊社では見ている。
(1) 個別課題解決
「個別課題解決」のサービス領域では、売上構造は「フロント人員数×1人当たり売上高」に分解されるため、フロント人員数をKPIとしている。自社アセットやAI等の活用による生産性改善は実施しているものの、依然として従業員数と一定の相関関係がある。2025年6月期のフロント人員数は、前期比19人増の48人と増加傾向にあり、その効果が徐々に発現しつつある。特にハイクラス人材の採用を継続しており、案件対応力の向上に寄与している。コスト超過プロジェクトへの工数投下が影響し、1人当たり売上高は前四半期比で一時的に悪化しているものの、中長期的には高付加価値人材の蓄積が競争力強化に繋がると弊社では見ている。
2025年6月期の主な取り組みとして、2024年7月に立ち上げたLMをさらに発展させ、ADSを確立した。これは、激しく変化するビジネス環境に対応するため、業務の機動的な変化に柔軟に適応可能な仕組みである。また、これまでの個別プロジェクトで構築してきたコンポーネントやメソドロジー等のアセットを組み合わせ、全体最適を実現する統合サービス「CU/ADS」をリリースした。これにより、クライアントがビジネス・業務変化を柔軟に受け止め、事業成長を加速させることを目指している。同社は、「ADS」及び「CU/ADS」を最大限活用することで、「顧客理解No.1カンパニー」を目指している。
また、「レベニューマネジメント※高度化伴走支援」サービスの提供を新たに開始した。同サービスでは、レベニューマネジメントに必要なデータ分析から、高度化のためのデータインフォームドな業務サイクルの構築サポートまでを継続支援する。本サービスの第一弾として、ANAグループが新たに立ち上げた「AirJapan」に導入された。「AirJapan」はANAグループの第3のブランドとして位置付けられ、2024年2月より国際線定期旅客便の運航を開始している。同ブランドの立ち上げフェーズにおいて、同社は社内外データの収集と分析を起点に、戦略や戦術の策定から実行段階までを伴走し、レベニューマネジメントの高度化を実現し、利益の最大化を目指していく。
※ レベニューマネジメント:需要予測をもとに価格・在庫・シフト等を調整し、利益の最大化を図る手法。航空業界やホテル業界をはじめ、様々な業界で導入されている。
その他に、2025年4月22日には東京ミッドタウンホールにて、2回目となる同社主催の大規模イベント「GiXoデータインフォームド・サミット2025」を開催した。来場者数は300名を超え、前回の244名から増加した。イベントでは、(株)エアージャパン代表取締役社長・峯口氏の基調講演をはじめ、講演、パネルディスカッション等を含む全11プログラムが実施された。今回は、企業に加え、地方創生における「データインフォームド」の取り組みについても幅広く紹介された。また、各社の取り組みを紹介する展示ブースエリアを設置し、前回と同様に展示ブースの回遊促進を目的としたMygruを活用したスタンプラリーも実施された。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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1. 2025年6月期の業績概要
2025年6月期の連結業績は、売上高が2,398百万円(前期比13.3%増)、営業利益が99百万円の損失(前期は133百万円の利益)、経常利益が101百万円の損失(同132百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益が99百万円の損失(同88百万円の利益)である。2025年4月30日に公表された業績予想と比較すると、売上高・営業利益ともに上振れ着地となった。売上高の上振れは、追加案件の獲得に伴う積み増しが主因であり、さらに進行基準の会計処理変更による売上計上額の押し上げ効果も寄与した。営業利益の上振れについては、売上高の増加に伴う増益が主要因であるが、一部では販管費削減の取り組みが利益確保に貢献している。
売上高の観点では、既存の重点顧客との連携強化及びDI変革Div.の取り組みによる新規顧客の獲得が一定の成果を収め、成長に寄与した。とりわけ、組織的な営業体制の拡充とマーケティング機能の強化が功を奏している。しかしながら、大規模開発案件におけるコスト超過プロジェクトの発生により、リソースの大部分がそちらに集中し、他プロジェクト、特にLM※案件へのリソース配分が制限された結果、売上成長にブレーキがかかった。その他に、M&Aの実施による事業拡大を想定していたが、実施タイミングが遅れたことで今期中の貢献が限定的となった。営業利益の観点では、コスト超過プロジェクトの直接的・間接的な影響により減益となった。加えて、M&A関連に伴う仲介手数料やデューデリジェンス費用もコストとして計上されており、これが営業利益の一段の低下を招いている。一方で、広告宣伝費等の販管費削減が一部の増益要因として働いている。全社KPIとしては「取引先別年間取引高構成」を掲げており、クライアントポートフォリオの質的改善を進めている。具体的には、取引先を取引高に応じてA〜Cに区分し、各区分の取引社数拡大と、CからB、BからAへの移行を戦略的に推進している。2023年9月に新規クライアント開拓チームを立ち上げ、2024年7月からは正式に部署として独立させたことにより、新規クライアント獲得と取引高拡大の双方で一定の成果を上げている。
※ LM:Legacy Modernization(レガシーモダナイゼーション)の略。老朽化・複雑化が進んだレガシーシステムを、最新の技術や設計思想を取り入れながら刷新・改善し、企業のビジネス価値を向上させる取り組みを指す。
同社は、重点投資領域に対して集中的な資源配分を実施し、複数の成果を上げている。中でも注目されるのは「ADS(Adaptable Data System)」フレームワークの確立である。これは、従来のDIプラットフォーム及び2024年7月に開始したLMの取り組みを発展させたものであり、ビジネス及び業務の変化に柔軟に対応可能な統合的仕組みとして整備された。このADSをもとに、より顧客理解に特化した「CU/ADS(Adaptable Data System for Customer Understanding)」もローンチされており、過去のアセット(アルゴリズム、コンポーネント、メソッド等)を活用した高度なサービスの提供が可能となった。また、M&A戦略の一環として、2025年4月25日にメイズの全株式取得による完全子会社化を決定しており、データ基盤構築の強化及びコスト構造の見直しを図るとともに、戦略的な事業ポートフォリオの拡充が期待される。これら一連の投資活動は、直近業績への即時的な貢献は限定的ながらも、来期以降の持続的成長に向けた布石として非常に意義深いと評価する。2025年6月期の業績には短期的な揺らぎが見られるものの、既存顧客との関係強化及び新規顧客の開拓が引き続き継続しており、中長期的な成長に対する蓋然性は高いものと弊社では見ている。
(1) 個別課題解決
「個別課題解決」のサービス領域では、売上構造は「フロント人員数×1人当たり売上高」に分解されるため、フロント人員数をKPIとしている。自社アセットやAI等の活用による生産性改善は実施しているものの、依然として従業員数と一定の相関関係がある。2025年6月期のフロント人員数は、前期比19人増の48人と増加傾向にあり、その効果が徐々に発現しつつある。特にハイクラス人材の採用を継続しており、案件対応力の向上に寄与している。コスト超過プロジェクトへの工数投下が影響し、1人当たり売上高は前四半期比で一時的に悪化しているものの、中長期的には高付加価値人材の蓄積が競争力強化に繋がると弊社では見ている。
2025年6月期の主な取り組みとして、2024年7月に立ち上げたLMをさらに発展させ、ADSを確立した。これは、激しく変化するビジネス環境に対応するため、業務の機動的な変化に柔軟に適応可能な仕組みである。また、これまでの個別プロジェクトで構築してきたコンポーネントやメソドロジー等のアセットを組み合わせ、全体最適を実現する統合サービス「CU/ADS」をリリースした。これにより、クライアントがビジネス・業務変化を柔軟に受け止め、事業成長を加速させることを目指している。同社は、「ADS」及び「CU/ADS」を最大限活用することで、「顧客理解No.1カンパニー」を目指している。
また、「レベニューマネジメント※高度化伴走支援」サービスの提供を新たに開始した。同サービスでは、レベニューマネジメントに必要なデータ分析から、高度化のためのデータインフォームドな業務サイクルの構築サポートまでを継続支援する。本サービスの第一弾として、ANAグループが新たに立ち上げた「AirJapan」に導入された。「AirJapan」はANAグループの第3のブランドとして位置付けられ、2024年2月より国際線定期旅客便の運航を開始している。同ブランドの立ち上げフェーズにおいて、同社は社内外データの収集と分析を起点に、戦略や戦術の策定から実行段階までを伴走し、レベニューマネジメントの高度化を実現し、利益の最大化を目指していく。
※ レベニューマネジメント:需要予測をもとに価格・在庫・シフト等を調整し、利益の最大化を図る手法。航空業界やホテル業界をはじめ、様々な業界で導入されている。
その他に、2025年4月22日には東京ミッドタウンホールにて、2回目となる同社主催の大規模イベント「GiXoデータインフォームド・サミット2025」を開催した。来場者数は300名を超え、前回の244名から増加した。イベントでは、(株)エアージャパン代表取締役社長・峯口氏の基調講演をはじめ、講演、パネルディスカッション等を含む全11プログラムが実施された。今回は、企業に加え、地方創生における「データインフォームド」の取り組みについても幅広く紹介された。また、各社の取り組みを紹介する展示ブースエリアを設置し、前回と同様に展示ブースの回遊促進を目的としたMygruを活用したスタンプラリーも実施された。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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