注目トピックス 日本株
シンバイオ製薬 Research Memo(1):BCVで2028年に2つの適応症で承認申請目指す
配信日時:2025/10/28 12:01
配信元:FISCO
*12:01JST シンバイオ製薬 Research Memo(1):BCVで2028年に2つの適応症で承認申請目指す
■要約
シンバイオ製薬<4582>は、アンメットメディカルニーズ※の高い「がん、血液、ウイルス感染症」領域をターゲットに、臨床試験段階からの開発を進めるバイオベンチャーで、ラボレス・ファブレス戦略により効率的な事業運営を推進している。パイプラインには、既に製品化済みの「トレアキシン(R)」(悪性リンパ腫向け治療薬)と、米国Chimerix(以下、キメリックス)から導入した抗ウイルス薬「ブリンシドホビル(以下、BCV)」がある。
※ 患者や医師から強く望まれているにも関わらず有効な既存薬や治療法がない領域。
1. BCVの開発動向
BCV(注射剤)は、広範囲のDNAウイルスに対して高い抗ウイルス活性を持つほか、抗腫瘍活性を持つことが研究から明らかとなっており、現在アンメットメディカルニーズの高いウイルス感染症やがん疾患、脳神経変性疾患などの領域で研究開発が進められている。最も開発が進んでいる造血幹細胞移植後のアデノウイルス(AdV)感染症を適応症としたパイプラインは、2025年後半に国際共同第3相臨床試験を欧州でスタートし、2028年後半の承認申請を目指している。10月6日に2025年6月に欧州医薬庁(EMA)に対して申請した治験実施計画について、欧州連合(EU)の主要3ヶ国(ドイツ、フランス、イタリア)から承認を受領し、試験を開始することを決定したことを発表した。また英国において第3相試験の申請を行った。その他のEU加盟国においては、治験実施計画の承認を受け次第、順次試験を開始する予定である。また、悪性リンパ腫を適応症としたパイプラインも、現在国際共同第1b/2相臨床試験を日本、香港、シンガポールで実施しており、試験結果が良好であれば2028年後半に承認申請を行う方針だ。そのほか、希少疾患となる進行性多巣性白質脳症についても、米アカデミアとの共同研究により疾患の原因とされるポリオーマウイルスに対する増殖抑制効果が確認されたことから、早期に臨床試験入りし2029年の承認申請を目指す。なお、すべての開発プロジェクトを自費だけで賄うのは困難なため、水面下でパートナー交渉も活発に進めている。BCVの開発パイプラインが複数の適応症で承認取得されれば、BCVの事業価値は1,000億円を超える可能性もあり、今後の動向が注目される。
2. 2025年12月期中間期の業績概要と通期計画
2025年12月期中間期の売上高は前年同期比49.7%減の646百万円、営業損失は2,154百万円(前年同期は1,719百万円の損失)となった。2022年6月に「トレアキシン(R)」の後発医薬品が発売されて以降、市場シェアの低下傾向が続いているほか、新規治療薬に需要が一部シフトしており減収要因となった。利益面では研究開発費を含む販管費が前年同期比68百万円の減少となったものの、売上総利益の減少が響いて営業損失が拡大する要因となった。2025年12月期の業績計画は売上高で前期比42.9%減の1,400百万円、営業損失で4,262百万円と期初計画(売上高1,858百万円、営業損失4,263百万円)から売上高を下方修正した。これは「トレアキシン(R)」の見通しを引き下げたことによる。ただ、研究開発費を見直したことで営業損失については期初計画と同水準となる見通しだ。
3. 2030年に向けた成長戦略
同社は今後の事業戦略として、BCVで2030年に少なくとも2つの適応症で上市することを最優先目標として取り組む方針だ。複数の臨床試験を同時並行で進めるため、研究開発費の負担も増加することが予想されるが、必要資金については株式市場からの調達、またはパートナー契約を結ぶことで充当していく。2025年8月には第三者割当による新株予約権や無担保普通社債を発行しており、当面の資金繰りの問題については解消している。パートナー交渉については、事業価値を最大化できるような時期・条件で契約を締結することを基本に交渉に臨んでいる。2025年秋に欧米で開催される腫瘍学会において膠芽腫や頭頚部がんを適応症とした臨床研究の成果が発表される予定となっており、発表内容を見てパートナー交渉が進む可能性もある。当面は開発ステージが続くがBCVの潜在ポテンシャルは極めて大きいだけに、今後の動向が注目される。
■Key Points
・BCVは移植後のウイルス感染症や難治性腫瘍、脳神経変性疾患などで治療効果が期待でき「ゲームチェンジャー」となる可能性
・複数のパイプラインで臨床試験をスタート、2030年までに2~3本の承認取得を目指す
・2025年12月期中間期業績は「トレアキシン(R)」の落ち込みにより減収基調が続く
・2030年をターニングポイントに、グローバル・スペシャリティファーマとして成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
シンバイオ製薬<4582>は、アンメットメディカルニーズ※の高い「がん、血液、ウイルス感染症」領域をターゲットに、臨床試験段階からの開発を進めるバイオベンチャーで、ラボレス・ファブレス戦略により効率的な事業運営を推進している。パイプラインには、既に製品化済みの「トレアキシン(R)」(悪性リンパ腫向け治療薬)と、米国Chimerix(以下、キメリックス)から導入した抗ウイルス薬「ブリンシドホビル(以下、BCV)」がある。
※ 患者や医師から強く望まれているにも関わらず有効な既存薬や治療法がない領域。
1. BCVの開発動向
BCV(注射剤)は、広範囲のDNAウイルスに対して高い抗ウイルス活性を持つほか、抗腫瘍活性を持つことが研究から明らかとなっており、現在アンメットメディカルニーズの高いウイルス感染症やがん疾患、脳神経変性疾患などの領域で研究開発が進められている。最も開発が進んでいる造血幹細胞移植後のアデノウイルス(AdV)感染症を適応症としたパイプラインは、2025年後半に国際共同第3相臨床試験を欧州でスタートし、2028年後半の承認申請を目指している。10月6日に2025年6月に欧州医薬庁(EMA)に対して申請した治験実施計画について、欧州連合(EU)の主要3ヶ国(ドイツ、フランス、イタリア)から承認を受領し、試験を開始することを決定したことを発表した。また英国において第3相試験の申請を行った。その他のEU加盟国においては、治験実施計画の承認を受け次第、順次試験を開始する予定である。また、悪性リンパ腫を適応症としたパイプラインも、現在国際共同第1b/2相臨床試験を日本、香港、シンガポールで実施しており、試験結果が良好であれば2028年後半に承認申請を行う方針だ。そのほか、希少疾患となる進行性多巣性白質脳症についても、米アカデミアとの共同研究により疾患の原因とされるポリオーマウイルスに対する増殖抑制効果が確認されたことから、早期に臨床試験入りし2029年の承認申請を目指す。なお、すべての開発プロジェクトを自費だけで賄うのは困難なため、水面下でパートナー交渉も活発に進めている。BCVの開発パイプラインが複数の適応症で承認取得されれば、BCVの事業価値は1,000億円を超える可能性もあり、今後の動向が注目される。
2. 2025年12月期中間期の業績概要と通期計画
2025年12月期中間期の売上高は前年同期比49.7%減の646百万円、営業損失は2,154百万円(前年同期は1,719百万円の損失)となった。2022年6月に「トレアキシン(R)」の後発医薬品が発売されて以降、市場シェアの低下傾向が続いているほか、新規治療薬に需要が一部シフトしており減収要因となった。利益面では研究開発費を含む販管費が前年同期比68百万円の減少となったものの、売上総利益の減少が響いて営業損失が拡大する要因となった。2025年12月期の業績計画は売上高で前期比42.9%減の1,400百万円、営業損失で4,262百万円と期初計画(売上高1,858百万円、営業損失4,263百万円)から売上高を下方修正した。これは「トレアキシン(R)」の見通しを引き下げたことによる。ただ、研究開発費を見直したことで営業損失については期初計画と同水準となる見通しだ。
3. 2030年に向けた成長戦略
同社は今後の事業戦略として、BCVで2030年に少なくとも2つの適応症で上市することを最優先目標として取り組む方針だ。複数の臨床試験を同時並行で進めるため、研究開発費の負担も増加することが予想されるが、必要資金については株式市場からの調達、またはパートナー契約を結ぶことで充当していく。2025年8月には第三者割当による新株予約権や無担保普通社債を発行しており、当面の資金繰りの問題については解消している。パートナー交渉については、事業価値を最大化できるような時期・条件で契約を締結することを基本に交渉に臨んでいる。2025年秋に欧米で開催される腫瘍学会において膠芽腫や頭頚部がんを適応症とした臨床研究の成果が発表される予定となっており、発表内容を見てパートナー交渉が進む可能性もある。当面は開発ステージが続くがBCVの潜在ポテンシャルは極めて大きいだけに、今後の動向が注目される。
■Key Points
・BCVは移植後のウイルス感染症や難治性腫瘍、脳神経変性疾患などで治療効果が期待でき「ゲームチェンジャー」となる可能性
・複数のパイプラインで臨床試験をスタート、2030年までに2~3本の承認取得を目指す
・2025年12月期中間期業績は「トレアキシン(R)」の落ち込みにより減収基調が続く
・2030年をターニングポイントに、グローバル・スペシャリティファーマとして成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
Copyright(c) FISCO Ltd. All rights reserved.
ニュースカテゴリ
注目トピックス 市況・概況
NY市場・クローズ
海外市場動向
注目トピックス 日本株
注目トピックス 経済総合
強弱材料
コラム【EMW】
オープニングコメント
日経225・本日の想定レンジ
寄り付き概況
新興市場スナップショット
注目トピックス 外国株
個別銘柄テクニカルショット
ランチタイムコメント
後場の投資戦略
後場の寄り付き概況
相場概況
本日の注目個別銘柄
JASDAQ市況
マザーズ市況
Miniトピック
来週の買い需要
日経QUICKニュース
みんかぶニュース 投資家動向
みんかぶニュース 為替・FX
みんかぶニュース 市況・概況
みんかぶニュース 個別・材料
みんかぶニュース コラム
みんかぶニュース その他
ビットコインニュース
アルトコインニュース
GRICI
暗号資産速報
Reuters Japan Online Report Business News
金融ウォッチ その他
FISCO その他
グロース市況
