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恵和 Research Memo(10):ステークホルダーへの責務全うに向け資金配分を最適化
配信日時:2025/10/28 11:10
配信元:FISCO
*11:10JST 恵和 Research Memo(10):ステークホルダーへの責務全うに向け資金配分を最適化
■キャッシュアロケーション
恵和<4251>は中長期的な利益成長の観点から、成長投資を最優先に株主価値の向上を図る。中期経営計画期間の2026年12月期から2028年12月期までの3年間で獲得を計画する営業キャッシュ・フローを元手に、設備(研究開発設備含む)投資のほか、利益配当等の株主還元、財務体質強化戦略投資を行う。
1. 設備投資
中期経営計画の2026年12月期から2028年12月期に140億円の投資を計画する。2025年12月期については、光学製品事業で前期比138.9%増の3,779百万円、機能製品事業で同4.85倍の194百万円、光学製品事業を中心とした研究開発用装置の導入となる調整額は同11.4%減の1,076百万円を計画する。
主力の光学製品事業では、和歌山テクノセンターIIIと中国南京市にある惠和光電材料(南京)有限公司南京本公司の工場で、日本国内市場向けにシートやコーティング製品、ラミネート製品をロール状で生産しており、顧客ニーズを正確に反映した製品の安定供給がカギとなることから、現在和歌山テクノセンターへの設備投資を進めている。具体的には、システム上で顧客からの発注をダイレクトに受け、生産、品質管理、提供を一連の流れで行う体制を構築し、これにより顧客需要を正確に反映した製品の生産と迅速な供給を実現し、高品質の提供と同時に顧客では余剰在庫の縮小が期待される。同社にとってはコスト削減とともに需要に即した高品質の提供で顧客満足度を高めてリピートやアップセルの可能性が高まるだろう。南京市工場に関しても段階を踏んで進める考えで、供給リスクの分散により安定した収益確保を目指す。
機能製品事業では、2025年12月期第1四半期に医療用工程フィルム「メディテクト」の受注増を見越した、クリーンな環境を実現した全自動工程の多品種少量生産の製造設備が完了し、第2四半期に稼働開始した。
研究開発に関しては、同1.1%増の1,834百万円を計画する。主力の光学製品事業では「オパスキ」の性能向上に加え、需要の期待される「オプラム」の技術開発を進める。機能製品事業では、事業領域拡大に向け注力するクリーンエネルギー資材の開発や医療・衛生用フィルムの高機能化を強化する。足元7期では、2025年12月期は設備投資額・研究開発費ともに過去最大となり、中期経営計画の3年間での投資総額140億円についても1年平均にすると同水準となる。なお、おおむね3年から5年の期間で投資により増加が見込まれる利益からNPV※を算出し、投資判断を行っている。
※ Net Present Valueの略で正味現在価値を意味する。投資の採算性等を事前に判断するための指標。
営業キャッシュ・フローについて、過去の実績では、2022年の円安効果による大幅な収益向上や2023年のPC市場の在庫調整による収益悪化、2024年のPC市場回復からの収益回復と、外部環境の影響を受けた収益の浮き沈みは否めない。対策として市場動向の悪影響を回避する事業領域の多角化や、為替リスクヘッジは重要となるだろう。多角化に関しては技術の多方面への応用を模索しており、為替に関しては、同社によれば、通常ドル建て売上の一定割合を為替予約でヘッジしており、さらに急激な変動等の特殊環境ではフレキシブルに対応している。なお、為替感応度については、2025年12月期中間期時点で対ドル1円の変動で売上高と営業利益が年間約80百万円の差が出る計算となる。また、2024年12月期のD/Eレシオは0.1倍と借入余力は大きく、インタレストカバレッジレシオは170.3倍と返済能力に余裕が見られることから、成長投資への資金繰りに懸念は少ないだろう。着実な成長投資を確実な業績成長につなげることに期待したい。
2. 株主還元と財務体質強化戦略投資
株主還元では、安定的な配当を基本に、業績及び財務状況等を総合的に勘案したうえで、中期経営計画期間では1株当たり年間配当金の下限を35.0円とし、可能な範囲内で特別配当等を実施する方針である。ほかにも安定した株価水準の維持を目的に、市場環境等を勘案して機動的な自己株取得を表明しており、2025年3月に80万株(取得価額総額957百万円)の自己株式を取得したことで、総還元性向は60%強となった。財務体質強化策としては、D/Eレシオの0.3水準の維持によりフレキシブルに資金需要に対応し、同社の強みである技術力とマネジメントの強化に向け、優秀人材の確保・育成、エンゲージメント向上のための魅力的な報酬制度等、人財投資を充実する。なお、2025年12月期は地球の絆創膏事業の撤退関連費用は増加したものの、営業利益での業績予想進捗が順調なこともあり、1株当たり35.0円の期末配当予想を据え置いた。配当性向は25.5%となる。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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恵和<4251>は中長期的な利益成長の観点から、成長投資を最優先に株主価値の向上を図る。中期経営計画期間の2026年12月期から2028年12月期までの3年間で獲得を計画する営業キャッシュ・フローを元手に、設備(研究開発設備含む)投資のほか、利益配当等の株主還元、財務体質強化戦略投資を行う。
1. 設備投資
中期経営計画の2026年12月期から2028年12月期に140億円の投資を計画する。2025年12月期については、光学製品事業で前期比138.9%増の3,779百万円、機能製品事業で同4.85倍の194百万円、光学製品事業を中心とした研究開発用装置の導入となる調整額は同11.4%減の1,076百万円を計画する。
主力の光学製品事業では、和歌山テクノセンターIIIと中国南京市にある惠和光電材料(南京)有限公司南京本公司の工場で、日本国内市場向けにシートやコーティング製品、ラミネート製品をロール状で生産しており、顧客ニーズを正確に反映した製品の安定供給がカギとなることから、現在和歌山テクノセンターへの設備投資を進めている。具体的には、システム上で顧客からの発注をダイレクトに受け、生産、品質管理、提供を一連の流れで行う体制を構築し、これにより顧客需要を正確に反映した製品の生産と迅速な供給を実現し、高品質の提供と同時に顧客では余剰在庫の縮小が期待される。同社にとってはコスト削減とともに需要に即した高品質の提供で顧客満足度を高めてリピートやアップセルの可能性が高まるだろう。南京市工場に関しても段階を踏んで進める考えで、供給リスクの分散により安定した収益確保を目指す。
機能製品事業では、2025年12月期第1四半期に医療用工程フィルム「メディテクト」の受注増を見越した、クリーンな環境を実現した全自動工程の多品種少量生産の製造設備が完了し、第2四半期に稼働開始した。
研究開発に関しては、同1.1%増の1,834百万円を計画する。主力の光学製品事業では「オパスキ」の性能向上に加え、需要の期待される「オプラム」の技術開発を進める。機能製品事業では、事業領域拡大に向け注力するクリーンエネルギー資材の開発や医療・衛生用フィルムの高機能化を強化する。足元7期では、2025年12月期は設備投資額・研究開発費ともに過去最大となり、中期経営計画の3年間での投資総額140億円についても1年平均にすると同水準となる。なお、おおむね3年から5年の期間で投資により増加が見込まれる利益からNPV※を算出し、投資判断を行っている。
※ Net Present Valueの略で正味現在価値を意味する。投資の採算性等を事前に判断するための指標。
営業キャッシュ・フローについて、過去の実績では、2022年の円安効果による大幅な収益向上や2023年のPC市場の在庫調整による収益悪化、2024年のPC市場回復からの収益回復と、外部環境の影響を受けた収益の浮き沈みは否めない。対策として市場動向の悪影響を回避する事業領域の多角化や、為替リスクヘッジは重要となるだろう。多角化に関しては技術の多方面への応用を模索しており、為替に関しては、同社によれば、通常ドル建て売上の一定割合を為替予約でヘッジしており、さらに急激な変動等の特殊環境ではフレキシブルに対応している。なお、為替感応度については、2025年12月期中間期時点で対ドル1円の変動で売上高と営業利益が年間約80百万円の差が出る計算となる。また、2024年12月期のD/Eレシオは0.1倍と借入余力は大きく、インタレストカバレッジレシオは170.3倍と返済能力に余裕が見られることから、成長投資への資金繰りに懸念は少ないだろう。着実な成長投資を確実な業績成長につなげることに期待したい。
2. 株主還元と財務体質強化戦略投資
株主還元では、安定的な配当を基本に、業績及び財務状況等を総合的に勘案したうえで、中期経営計画期間では1株当たり年間配当金の下限を35.0円とし、可能な範囲内で特別配当等を実施する方針である。ほかにも安定した株価水準の維持を目的に、市場環境等を勘案して機動的な自己株取得を表明しており、2025年3月に80万株(取得価額総額957百万円)の自己株式を取得したことで、総還元性向は60%強となった。財務体質強化策としては、D/Eレシオの0.3水準の維持によりフレキシブルに資金需要に対応し、同社の強みである技術力とマネジメントの強化に向け、優秀人材の確保・育成、エンゲージメント向上のための魅力的な報酬制度等、人財投資を充実する。なお、2025年12月期は地球の絆創膏事業の撤退関連費用は増加したものの、営業利益での業績予想進捗が順調なこともあり、1株当たり35.0円の期末配当予想を据え置いた。配当性向は25.5%となる。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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