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恵和 Research Memo(7):CVS実現に向けゼロからの再スタート(1)
配信日時:2025/10/28 11:07
配信元:FISCO
*11:07JST 恵和 Research Memo(7):CVS実現に向けゼロからの再スタート(1)
■恵和<4251>の中期経営計画
1. 前・中期経営計画“DARWIN”(FY2023-FY2026)の振り返り
2023年8月に中期経営計画“DARWIN”(2023年12月期~2026年12月期)を策定し、競争優位なセグメントに集中するとともに、顧客の絶対的信頼を得た事業ドメインのダイナミックな変革に挑戦した。しかし、経営戦略の1つに掲げた「地球の絆創膏事業で世界の建造物やインフラの長寿命化に貢献する」について、地球の絆創膏事業で製品に予期せぬ品質不具合が発生し、2024年11月に研究開発フェーズへの引き戻しと、2025年2月には中期経営計画の最終年度数値目標等の修正を実施した。結果的には、地球の絆創膏事業では課題克服に至らず、2025年8月に事業撤退という結末を迎えた。中期経営計画の中間地点となる2024年12月期に関しては、主力の光学製品事業では、「オパスキ」の販売増や為替差益から売上高は前期比27.6%増、セグメント利益は同49.2%増と伸長した。機能製品事業は、注力するクリーンエネルギー車と医療向けが貢献し売上高は同4.2%減とほぼ同水準となったが、顧客要因で出荷が減少しセグメント利益は同42.9%減と落ち込んだ。
2. 新・中期経営計画(FY2025-FY2028)の概要
経営理念「自然と産業の調和を創造する」を改めて見つめ直し、「高品質の提供」によるCSVの実現に向け新たなスタートを切る。目標指標として2028年12月期に売上高270億円、営業利益59億円、ROIC13.5%、ROE12.9%を掲げた。各セグメントについて、CAGRの比較で見ると、売上高は光学製品事業が9.4%、機能製品事業が6.9%と光学製品事業の成長を大きく見通し、共通費用差引前の営業利益については、営業利益率44.0%の光学製品事業が11.9%、機能製品事業では41.3%と利益率の大幅な向上を目指す。
3. 事業別戦略
(1) 光学製品事業
a) 新製品群「オプラム」
顧客要望として「特定の性能での画期的な向上」や「複数素材を統合した製品」等があり、それらに対峙して解決策を提案し、顧客のフィードバックも含めた議論の中から実際に有益なアイディアを新製品につなげる形で複数の開発が進んでおり、全社を挙げて注力している。
「オプラム(OPLAM)」はオプティカルとラミネーションの造語で光学機能の積層を意味しており、これまでに、性能や操作性の向上、フィジカルリスク軽減に向け、シートやフィルムの積層から様々なアイディアが創出され、技術開発を多彩に進めている。たとえば、自動車のHUD(ヘッドアップディスプレイ)はボンネットに近いことから耐熱温度105℃が要求され、「オパスキ」「オパルス」は他のシートや金属製品と複合して利用されるケースが多く、他の素材と一体化した製品の開発に至った。さらに、最近のHUDはフルカラーで多様な情報を表示し大画面化しているため、さらなる明るさと同時に耐熱の課題が想定され、同社の格好の提案機会となるだろう。光拡散シートに他機能を付加したり、光拡散以外の機能に特化したり、技術を融合した研究開発を複数並行し、進路を開拓している。
2025年8月に上海で開催された「Display Innovation China FORUM 2025」では、同社エンジニアが講演し、様々な質問や要望を受けビジネスアイディアにつながっているようだ。同年9月に出展した米デトロイトでの「SID Vehicle Displays and Interfaces」でも米自動車メーカーと接触し、各社は特にディスプレイ周りが自動車業界での競争力につながると認識し重視していることから、同社技術へ多くの関心が集まり、提案に向けた進展もあったようである。ビジネスフォーラム等がモノの販売促進だけではなく、顧客との交流から技術アイディアを獲得する場として機能しており、顧客需要に即した製品開発を顧客とともに進める方向性にもつながる。
同社は元来ニッチ領域を中心に展開することから機微な需要の発掘を得意としており、市場動向に沿う形で業界全体に照準を当て、アイディアを製品化して事業基盤を広げる方向に進んでいる。なお、「オプラム」は現在20件ほどの引き合いを獲得しており、高温環境で安定性を欠くOLEDに代わる車載向けディスプレイ光学フィルムとして「オプラム」の技術が評価される等、大手企業と検討を進めている。実現化は2028年以降となる可能性が高いが、これを第2の成長の柱に育てる方針である。なお、「オプラム」は用途に合わせて様々な素材の積層化を想定することから「新製品群」と冠しており、シリーズ展開される可能性もありそうだ。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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1. 前・中期経営計画“DARWIN”(FY2023-FY2026)の振り返り
2023年8月に中期経営計画“DARWIN”(2023年12月期~2026年12月期)を策定し、競争優位なセグメントに集中するとともに、顧客の絶対的信頼を得た事業ドメインのダイナミックな変革に挑戦した。しかし、経営戦略の1つに掲げた「地球の絆創膏事業で世界の建造物やインフラの長寿命化に貢献する」について、地球の絆創膏事業で製品に予期せぬ品質不具合が発生し、2024年11月に研究開発フェーズへの引き戻しと、2025年2月には中期経営計画の最終年度数値目標等の修正を実施した。結果的には、地球の絆創膏事業では課題克服に至らず、2025年8月に事業撤退という結末を迎えた。中期経営計画の中間地点となる2024年12月期に関しては、主力の光学製品事業では、「オパスキ」の販売増や為替差益から売上高は前期比27.6%増、セグメント利益は同49.2%増と伸長した。機能製品事業は、注力するクリーンエネルギー車と医療向けが貢献し売上高は同4.2%減とほぼ同水準となったが、顧客要因で出荷が減少しセグメント利益は同42.9%減と落ち込んだ。
2. 新・中期経営計画(FY2025-FY2028)の概要
経営理念「自然と産業の調和を創造する」を改めて見つめ直し、「高品質の提供」によるCSVの実現に向け新たなスタートを切る。目標指標として2028年12月期に売上高270億円、営業利益59億円、ROIC13.5%、ROE12.9%を掲げた。各セグメントについて、CAGRの比較で見ると、売上高は光学製品事業が9.4%、機能製品事業が6.9%と光学製品事業の成長を大きく見通し、共通費用差引前の営業利益については、営業利益率44.0%の光学製品事業が11.9%、機能製品事業では41.3%と利益率の大幅な向上を目指す。
3. 事業別戦略
(1) 光学製品事業
a) 新製品群「オプラム」
顧客要望として「特定の性能での画期的な向上」や「複数素材を統合した製品」等があり、それらに対峙して解決策を提案し、顧客のフィードバックも含めた議論の中から実際に有益なアイディアを新製品につなげる形で複数の開発が進んでおり、全社を挙げて注力している。
「オプラム(OPLAM)」はオプティカルとラミネーションの造語で光学機能の積層を意味しており、これまでに、性能や操作性の向上、フィジカルリスク軽減に向け、シートやフィルムの積層から様々なアイディアが創出され、技術開発を多彩に進めている。たとえば、自動車のHUD(ヘッドアップディスプレイ)はボンネットに近いことから耐熱温度105℃が要求され、「オパスキ」「オパルス」は他のシートや金属製品と複合して利用されるケースが多く、他の素材と一体化した製品の開発に至った。さらに、最近のHUDはフルカラーで多様な情報を表示し大画面化しているため、さらなる明るさと同時に耐熱の課題が想定され、同社の格好の提案機会となるだろう。光拡散シートに他機能を付加したり、光拡散以外の機能に特化したり、技術を融合した研究開発を複数並行し、進路を開拓している。
2025年8月に上海で開催された「Display Innovation China FORUM 2025」では、同社エンジニアが講演し、様々な質問や要望を受けビジネスアイディアにつながっているようだ。同年9月に出展した米デトロイトでの「SID Vehicle Displays and Interfaces」でも米自動車メーカーと接触し、各社は特にディスプレイ周りが自動車業界での競争力につながると認識し重視していることから、同社技術へ多くの関心が集まり、提案に向けた進展もあったようである。ビジネスフォーラム等がモノの販売促進だけではなく、顧客との交流から技術アイディアを獲得する場として機能しており、顧客需要に即した製品開発を顧客とともに進める方向性にもつながる。
同社は元来ニッチ領域を中心に展開することから機微な需要の発掘を得意としており、市場動向に沿う形で業界全体に照準を当て、アイディアを製品化して事業基盤を広げる方向に進んでいる。なお、「オプラム」は現在20件ほどの引き合いを獲得しており、高温環境で安定性を欠くOLEDに代わる車載向けディスプレイ光学フィルムとして「オプラム」の技術が評価される等、大手企業と検討を進めている。実現化は2028年以降となる可能性が高いが、これを第2の成長の柱に育てる方針である。なお、「オプラム」は用途に合わせて様々な素材の積層化を想定することから「新製品群」と冠しており、シリーズ展開される可能性もありそうだ。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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