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株価指数先物 【週間展望】―5万円乗せもピーク感はない

配信日時:2025/10/26 17:00 配信元:MINKABU
 今週の日経225先物は、米連邦公開市場委員会(FOMC)、日銀金融政策決定会合、欧州中央銀行(ECB)理事会といった中銀イベントのほか、28日に日米首脳会談、30日には米中首脳会談が予定されており、これらを手掛かりとした相場展開となろう。  FOMCについては、24日に発表された9月の米消費者物価指数(CPI)はコアCPIが前月比0.2%と市場予想の0.3%を下回ったことで、米連邦準備理事会(FRB)が利下げを決めるとの見方が強まっている。高市政権の発足後初の日銀会合では、政策金利の維持を決めるとの見方がコンセンサスである。  トランプ米政権はロシアの石油産業に対し制裁を発動しており、日米首脳会談でも日本のロシア産LNGの輸入停止が議題に挙がる可能性があろう。貿易を巡る緊張の高まりなどが金融・物価安定へのリスクを高める恐れがあるなかで、日銀の利上げはなさそうだ。  トランプ大統領と中国の習近平国家主席の会談では、米中間の貿易・経済関係が議論されると伝えられており、一定の合意がみられるかが注目される。ただし、中国によるレアアースの輸出規制についての協議が合意につながらない場合、米国製ソフトウエアの対中輸出規制に対する警戒感が再燃する可能性は警戒しておきたい。  日米首脳会談について高市首相は「日米同盟が私の政権の外交・安全保障の最重要事項だ」と述べており、トランプ大統領との良好な関係構築が、株式市場でポジティブ視されることが期待される。  一方、国内も企業決算の発表シーズンに突入する。今週はアドバンテスト<6857>[東証P](28日)、ディスコ<6146>[東証P](29日)、東京エレクトロン<8035>[東証P](31日)など、指数インパクトの大きい値がさハイテク株の発表が予定されている。とりわけ、28日発表のアドバンテストの決算が予想を上回る内容になると、投資家心理を明るくさせよう。  先週の日経225先物は、首相指名選挙での高市首相の選出が確実視されて、21日の午前中に先回り的な動きにより5万円の大台に乗せた。その後、高市首相の誕生でいったん高市トレードを巻き戻す動きとなり、米中貿易摩擦への警戒もあって23日には4万8440円まで売られる場面もみられた。ただし、トランプ大統領・習主席の会談開催の正式発表、高市首相の所信表明演説を経て、24日には一時4万9480円まで切り返した。  日経225先物はこれまで上向きで推移するボリンジャーバンドの+1σと+2σによるレンジ内でのトレンドを形成しており、5万円をつける局面で+2σを捉え、その後の調整局面では+1σが支持線として機能している。ナイトセッションで+1σが4万8830円、+2σは5万0560円まで切り上がってきた。そのため、オプション権利行使価格の4万9500円を中心とした上下の権利行使価格となる、4万9000円から5万円のレンジをまずは意識しておきたい。  4万9500円辺りを固めてくると、4万9500円から5万0500円とのレンジに移行することになりそうだ。+2σが5万0500円を上回ってきているため、5万円突破でも過熱感は警戒されにくく、ピーク感も強まりづらいとみられる。週足の+2σは5万0280円辺りまで上昇しているため、目先的にはオプション権利行使価格の5万0250円辺りが意識されよう。  また、パラボリックでは14日に4万5180円まで急落した局面で陰転シグナルを発生させたが、20日に4万9330円まで買われた場面で陽転シグナルを発生させている。現在のSAR値は4万6130円辺りに位置しているため、陰転シグナル発生のリスクは低い。  高市首相は所信表明演説で、「AI(人工知能)・半導体、造船、量子、バイオ、航空・宇宙、サイバーセキュリティなどの戦略分野に対して、大胆な投資促進、国際展開支援、人材育成、スタートアップ振興、研究開発、産学連携、国際標準化といった多角的な観点からの総合支援策を講ずることで、官民の積極投資を引き出す」と表明した。高市政権の発足によって、Z世代など若年層の政治に対する関心の高まりがSNSをみてもうかがえる。預金より投資を通じた資産形成に積極的な世代の資金流入期待が、「サナエノミクス2.0」相場の先高観にもつながっているのだろう。  日経225先物は5万円乗せからの調整で一時4万8500円を割り込む場面はあったものの、週末にはこの下落分を埋めるなど早い段階で切り返している。買い遅れている海外ファンドも少なくないとみられ、押し目待ち狙いのロング対応でのスタンスは継続しておきたいところだろう。  24日の米VIX指数は16.37(23日は17.30)に低下した。週間(17日は20.78)でも下げている。17日に一時28.99まで急伸する場面もみられたが、先週はこれを修正する流れが続いた。週末には一時16.02まで低下し、10日の急伸(16.23→22.44)前の水準まで下げ、75日移動平均線(16.49)を割り込んでいる。米中首脳会談を控えて楽観視はできないが、リスク選好に向かわせやすいだろう。  先週末のNT倍率は先物中心限月で15.06倍(23日は14.96倍)に上昇した。週間(17日は15.01倍)でも上昇だった、高市政権発足への期待から高市トレードが活発化するなかで、21日には15.25倍まで上昇。その後の巻き戻しに対して、バリュー株への資金シフトがみられたことで、23日には一時14.92倍まで低下した。これにより+1σ(15.01倍)を割り込んできたが、24日の上昇で再び同バンドを上回っている。このまま+1σを支持線に変えてくると、NTロングに振れやすい需給状況が意識されてきそうだ。  10月第3週(10月14日-17日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では2週ぶりの売り越しであり、売り越し額は2581億円(10月第2週は1兆1878億円の買い越し)だった。なお、現物は1532億円の買い越し(同1兆0586億円の買い越し)と3週連続の買い越し。先物は4114億円の売り越し(同1291億円の買い越し)と2週ぶりの売り越しだった。個人は現物と先物の合算で3464億円の買い越しと2週ぶりの買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で2160億円の買い越しとなり、2週ぶりの買い越しだった。  主要スケジュールでは、27日にトランプ米大統領来日(~29日)、中国1-9月工業企業利益、米国9月耐久財受注、28日に日米首脳会談、米国10月コンファレンスボード消費者信頼感指数、29日にFOMC(米連邦公開市場委員会)終了後に政策金利、パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長記者会見、30日に日銀金融政策決定会合終了後に政策金利、植田和男日銀総裁記者会見、米中首脳会談(韓国)、米国7-9月期GDP、ECB(欧州中央銀行)政策金利、ラガルドECB総裁記者会見、31日に9月完全失業率、9月鉱工業生産、中国10月製造業PMI、米国9月個人所得、米国9月個人消費支出、APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議(韓国、~11月1日)などが予定されている。 株探ニュース

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