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明日の株式相場に向けて=「防衛」「ペロブスカイト」で走る株

配信日時:2025/10/23 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(23日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比666円安の4万8641円と大幅続落。目先はAI・半導体関連の主力銘柄から資金が逆流している。この展開はまるで安全資産の金(ゴールド)に流れ込んでいた投資マネーが一気に折り返した動きに連鎖したようにもみえるが、因果関係はなくても、行き過ぎた振り子が戻るタイミングが合致するのはよくあることだ。AIバブル崩壊的な意味合いはないと思われ、ローテーションのスイッチが入ったと解釈するところ。実際きょうのプライム市場では下落した銘柄が599だったのに対し、値上がり銘柄数が963と1.5倍以上に達した。中身をみれば、ソフトバンクグループ<9984.T>とアドバンテスト<6857.T>、東京エレクトロン<8035.T>の3銘柄だけで、日経平均を500円弱押し下げている。この3銘柄を除けば実質170円前後の“お湿り”程度の下げに過ぎない。  日経平均先物が5万円にワンタッチしたところで、怒涛の上げ潮相場がいったん終了したとはいえそうだ。しかし、個別銘柄の値動きに目を向けても分かるようにそれほど慌てた雰囲気がない。ソフトバンクGやアドテストを筆頭とするAI・半導体関連の代表格がいったん天井をつけてしまえば、日経平均の上値追いも止まることになるのは自明だ。しかし、全市場ベースで上場企業は約4000社に及ぶ。世界的な過剰流動性相場の大波が東京市場にも及んでいることは確かであり、全体指数にとらわれず、その資金の潮流がどういった銘柄に向かっているのかを冷静に見極めていく。小回りの利く個人投資家にとっては、銘柄の選択幅が機関投資家よりも広いというアドバンテージがあるだけに、それを生かした銘柄選別に努力を惜しまないことが肝要である。  トランプ米大統領が来週27~29日の日程で来日する。高市早苗首相との首脳会談は28日に行われる見通しだが、ここで日米関係における新たなメルクマールが見えてくるはずであり、株式市場にも追い風となりそうだ。トランプ氏は安倍元首相との相性が非常に良かったことは周知である。昨年12月、石破前首相より先に昭恵夫人と面会したことは、政治的なメッセージとして穿った見方もなくはなかったが、この件に関してはもっと純粋なトランプ氏の安倍元首相に対するリスペクトに近い感情が起点となっていたように思われる。そして、現在。アベノミクスのDNAを受け継ぐ高市氏に対してはどうか。自民党総裁選におけるドラマチックな勝利を受けて、トランプ氏が口にした高市氏への賛辞も決して上っ面の社交辞令ではなかった。  トランプ氏との会談における主要議題は経済連携と安全保障協力であることは間違いのないところ。防衛力の充実については高市氏も前向きであり、「安保関連3文書」の見直しについて前倒しで臨む方針をトランプ氏に伝える見通しだ。防衛というテーマはAI半導体関連と同様に銘柄の裾野が広く、今後も日替わりとは言わないまでも人気化素地を開花させる銘柄が相次ぐ可能性がある。  そのなか、当欄で昨年来継続注目のIMV<7760.T>は、直近1年間で株価の居どころを約3倍化させたが、同社の世界首位級の振動シミュレーションは防衛分野でも必須ノウハウであり、時価総額が依然として300億円に過ぎない現状は、もし傘下に収めることが可能であるならば安い買い物という連想も働く。また、穴株としては防衛省向けの搬送・格納に関する自動化・省人化装置の受注などで実績のある東京機械製作所<6335.T>に着目したい。時価は調整十分で急騰習性に火が付くタイミングが早晩訪れる可能性もありそうだ。このほか、下水道・道路インフラ関連で存在感を示すヤマックス<5285.T>だが、沖縄地区などの防衛関連施設向けの受注実績も見逃せないところだ。株主である“麻生関連”としての思惑に加え、PER や配当利回りなど投資指標面からも純粋な割安感が漂う。  また、高市氏は「日本の底力」で成長の未来を引き寄せるというスローガンを掲げるが、“モノづくり日本”としての技術力を埋もれさせずに開花させることに腐心している。その対象に挙がるのが、例えばペロブスカイト太陽電池、あるいは量子コンピューターなどでマーケットでも関連銘柄が折に触れて動意する。既にペロブスカイト太陽電池では、ヨウ素関連なども含め多岐にわたる銘柄が投資マネーのターゲットとなり、株価の居どころを大きく変えた例も少なくない。ここで穴株としてマークしておきたいのがケミプロ化成<4960.T>だ。ペロブスカイト太陽電池材料の開発推進を標榜し、産業技術総合研究所の「被災地企業等再生可能エネルギー技術シーズ開発・事業化支援事業」に採択されている。  あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に開示される9月の全国消費者物価指数(CPI)への注目度が高いほか、前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札、後場取引時間中に8月の景気動向指数改定値、9月の全国百貨店売上高などが発表される。この日はIPOが1社予定されており、東証グロース市場にインフキュリオン<438A.T>が新規上場する。海外では9月の英小売売上高、10月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値、10月の米PMI速報値のほか、米消費者物価指数(CPI)に対するマーケットの関心が高い。このほか、10月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・確報値)も開示される。(銀)  出所:MINKABU PRESS

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