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アスカネット:既存アセットと先進テクノロジーの融合による新たな体験価値の創出へ
配信日時:2025/10/23 11:07
配信元:FISCO
*11:07JST アスカネット:既存アセットと先進テクノロジーの融合による新たな体験価値の創出へ
アスカネット<2438>は、写真と映像のデジタル加工を起点に、葬儀向け画像加工を手がけるフューネラル事業、写真集製作のフォトブック事業、独自の空中結像技術による空中ディスプレイ事業の3本柱で展開する。
フューネラル事業(2025年4月期売上構成比46.7%)はニッチストック型ビジネスモデルで、葬儀社や写真館との間にネットワークを構築し、葬儀に使用する遺影写真の合成・加工などを行い、配信するサービスとなる。約3,130ヵ所の葬儀社などB to Bを主体に年間約50万枚の写真画像を提供、業界トップシェアを誇る。加えて「tsunagoo」など葬儀DXサービスの展開により、伝統的な葬祭業界のデジタル化を先導している。フォトブック事業(同51.3%)は「一冊からの本格的写真集」をインターネットから受注し製作するサービス。従来の写真プリントを印刷・写真集に置き換える新しい写真文化を提唱。約5,900社の写真館などBtoB向けやコンシューマーに年間約140万冊(OEMブック含み、写真プリント除く)を提供している。また、新しい取組として、子会社である株式会社BETにてVTuber事務所を運営。プロ向け「ASUKABOOK」、一般向け「MYBOOK」ブランドを展開し、NTTドコモ「dフォト」など大手へのOEM供給も拡大。そのほか、空中ディスプレイ事業(同2.0%)では、光を空中に結像させる「ASKA3Dプレート」を開発し、非接触操作やサイネージ用途への応用を進めている。
同社の競争優位は、業界トップシェアを支える品質管理体制、開発から製造・販売までを内製化する垂直統合型モデル、画像処理技術を核とした独自のソフト・ハード両面の開発力にある。フューネラル事業では、全国3拠点(広島・滋賀・千葉)のオペレーションセンターに約150名のオペレータを配置し、災害時のリスク分散と品質均一化を実現。地域密着型の小規模写真館が競合となるが、安定した納期と高いクオリティ、365日対応のサポート体制が差別化要因となっている。一方でエリアによっては価格競争が発生しており、同社は「速く・安く・高品質」を両立させながらも、顧客に付加価値を感じさせる新サービス(ARを活用した静止画動画化や葬儀演出)で関係深化を図っている。フォトブック事業は自社一貫生産による高品質アルバムが強みで、印刷技術・レタッチ技術の精度は世界的にも高く評価される。さらに、顧客の前後工程まで支援するBPO型モデルへ拡張を図り、顧客の「課題解決型パートナー」への転換を進めている。空中ディスプレイ事業では製造コストと量産体制の確立が課題だが、特許技術を持つ優位性を武器に、先行投資段階だが市場創造できれば大きな夢がある。そのほか、ポジショニングが異なるユニークな3事業を展開している点も強みとなる。
2026年4月期第1四半期業績は、売上高1,646百万円(前年同期比同3.7%減)、営業損失17百万円の赤字(前年同期25百万円の赤字)と赤字幅が縮小した。フューネラル事業が葬儀件数減少の影響を受けた一方、「tsunagoo」が着実に拡大。ただ、遺影写真加工収入の減少が響くとともに、人件費やクラウドサービス利用料の増加もあり、セグメント利益は苦戦したようだ。フォトブック事業は原材料高にもかかわらず生産効率向上により利益率が回復し、空中ディスプレイ事業は、XRチーム合流による人件費の増加や能動系を中心とした研究開発費用が発生し、いまだ先行投資が続いている。
今期通期計画は売上高7,580百万円(前期比4.4%増)、営業利益435百万円(同2.5倍)と大幅増益を見込む。フューネラルではDXサービスの拡販に加え、首都圏の小規模葬儀社への営業強化を進める。フォトブックはウェディング需要が厳しい中、大手顧客の囲い込みとBPO受託を推進。空中ディスプレイは量産体制の整備と戦略パートナーとの共同開発が焦点となる。第一四半期時点でフューネラルが想定を下回ったが、フォトブックの好調でカバー。2Q以降の挽回は可能で、下期に向け業績進捗に注目しておきたい。
市場環境を見ると、国内フューネラル市場は約1.9兆円規模と安定基調にある。中での同社のターゲット領域は、遺影写真等葬儀演出系サービス(市場規模約490億円)、IT系サービス(同約320億円)となり、死亡者数の増加による自然成長が見込まれる一方で、単価下落傾向が続くため、同社はIT・演出系サービスへの拡張で成長を図っている。ニッチであるが、その分競争環境はそれほど激しくなく、深堀して高付加価値サービスを提供していく方針である。フォトブック市場はBtoB・BtoCともに競争が激しいが、品質を武器に中上位層を維持。OEMも底堅い需要を獲得している。空中ディスプレイ市場は、デジタルサイネージや立体ディスプレイ需要の拡大に伴い成長余地が大きく、特にエンタメ・教育・観光分野での導入が進むと見込まれる。
中期的には既存事業の安定成長と新規事業のチャレンジをバランスよく実現させていく。フューネラル事業で安定成長の持続と新市場の開拓を模索し、フォトブック事業を成長ドライバーとしての位置付けで継続、空中ディスプレイ事業は新市場の創造にチャレンジする。あわせて、リアルとバーチャルを融合した新しい体験価値を創出する方針。戦略パートナーとの協業やM&Aも検討するほか、XR・VTuber事業を通じた新たな市場接点の創出として海外展開も想定している。また、成長実現に向けた新経営体制への移行もおこなっており、社長交代を通じた若返りと次世代経営の推進、空中ディスプレイ事業は村上社長が事業部長を兼務し、スピーディに戦略を実行する。将来的には、3事業の売上構成を中期的にバランス化し、空中ディスプレイ事業の黒字化を中核テーマとして掲げる。
今期の配当金は年間7円(前期同額)を維持して安定還元を継続する方針。総じて、アスカネットは、写真・映像技術を軸に「想い出を未来に残す」企業から「感情をテクノロジーで拡張する」企業へと進化を遂げつつある。フューネラル事業の盤石な収益基盤とフォトブックの安定収益を維持しながら、空中ディスプレイやバーチャル領域で新市場を開拓できるかが次の成長の鍵を握る。技術的独自性と高い顧客信頼を背景に、今後数年で再び利益成長軌道へ乗せられるか注目しておきたい。
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フューネラル事業(2025年4月期売上構成比46.7%)はニッチストック型ビジネスモデルで、葬儀社や写真館との間にネットワークを構築し、葬儀に使用する遺影写真の合成・加工などを行い、配信するサービスとなる。約3,130ヵ所の葬儀社などB to Bを主体に年間約50万枚の写真画像を提供、業界トップシェアを誇る。加えて「tsunagoo」など葬儀DXサービスの展開により、伝統的な葬祭業界のデジタル化を先導している。フォトブック事業(同51.3%)は「一冊からの本格的写真集」をインターネットから受注し製作するサービス。従来の写真プリントを印刷・写真集に置き換える新しい写真文化を提唱。約5,900社の写真館などBtoB向けやコンシューマーに年間約140万冊(OEMブック含み、写真プリント除く)を提供している。また、新しい取組として、子会社である株式会社BETにてVTuber事務所を運営。プロ向け「ASUKABOOK」、一般向け「MYBOOK」ブランドを展開し、NTTドコモ「dフォト」など大手へのOEM供給も拡大。そのほか、空中ディスプレイ事業(同2.0%)では、光を空中に結像させる「ASKA3Dプレート」を開発し、非接触操作やサイネージ用途への応用を進めている。
同社の競争優位は、業界トップシェアを支える品質管理体制、開発から製造・販売までを内製化する垂直統合型モデル、画像処理技術を核とした独自のソフト・ハード両面の開発力にある。フューネラル事業では、全国3拠点(広島・滋賀・千葉)のオペレーションセンターに約150名のオペレータを配置し、災害時のリスク分散と品質均一化を実現。地域密着型の小規模写真館が競合となるが、安定した納期と高いクオリティ、365日対応のサポート体制が差別化要因となっている。一方でエリアによっては価格競争が発生しており、同社は「速く・安く・高品質」を両立させながらも、顧客に付加価値を感じさせる新サービス(ARを活用した静止画動画化や葬儀演出)で関係深化を図っている。フォトブック事業は自社一貫生産による高品質アルバムが強みで、印刷技術・レタッチ技術の精度は世界的にも高く評価される。さらに、顧客の前後工程まで支援するBPO型モデルへ拡張を図り、顧客の「課題解決型パートナー」への転換を進めている。空中ディスプレイ事業では製造コストと量産体制の確立が課題だが、特許技術を持つ優位性を武器に、先行投資段階だが市場創造できれば大きな夢がある。そのほか、ポジショニングが異なるユニークな3事業を展開している点も強みとなる。
2026年4月期第1四半期業績は、売上高1,646百万円(前年同期比同3.7%減)、営業損失17百万円の赤字(前年同期25百万円の赤字)と赤字幅が縮小した。フューネラル事業が葬儀件数減少の影響を受けた一方、「tsunagoo」が着実に拡大。ただ、遺影写真加工収入の減少が響くとともに、人件費やクラウドサービス利用料の増加もあり、セグメント利益は苦戦したようだ。フォトブック事業は原材料高にもかかわらず生産効率向上により利益率が回復し、空中ディスプレイ事業は、XRチーム合流による人件費の増加や能動系を中心とした研究開発費用が発生し、いまだ先行投資が続いている。
今期通期計画は売上高7,580百万円(前期比4.4%増)、営業利益435百万円(同2.5倍)と大幅増益を見込む。フューネラルではDXサービスの拡販に加え、首都圏の小規模葬儀社への営業強化を進める。フォトブックはウェディング需要が厳しい中、大手顧客の囲い込みとBPO受託を推進。空中ディスプレイは量産体制の整備と戦略パートナーとの共同開発が焦点となる。第一四半期時点でフューネラルが想定を下回ったが、フォトブックの好調でカバー。2Q以降の挽回は可能で、下期に向け業績進捗に注目しておきたい。
市場環境を見ると、国内フューネラル市場は約1.9兆円規模と安定基調にある。中での同社のターゲット領域は、遺影写真等葬儀演出系サービス(市場規模約490億円)、IT系サービス(同約320億円)となり、死亡者数の増加による自然成長が見込まれる一方で、単価下落傾向が続くため、同社はIT・演出系サービスへの拡張で成長を図っている。ニッチであるが、その分競争環境はそれほど激しくなく、深堀して高付加価値サービスを提供していく方針である。フォトブック市場はBtoB・BtoCともに競争が激しいが、品質を武器に中上位層を維持。OEMも底堅い需要を獲得している。空中ディスプレイ市場は、デジタルサイネージや立体ディスプレイ需要の拡大に伴い成長余地が大きく、特にエンタメ・教育・観光分野での導入が進むと見込まれる。
中期的には既存事業の安定成長と新規事業のチャレンジをバランスよく実現させていく。フューネラル事業で安定成長の持続と新市場の開拓を模索し、フォトブック事業を成長ドライバーとしての位置付けで継続、空中ディスプレイ事業は新市場の創造にチャレンジする。あわせて、リアルとバーチャルを融合した新しい体験価値を創出する方針。戦略パートナーとの協業やM&Aも検討するほか、XR・VTuber事業を通じた新たな市場接点の創出として海外展開も想定している。また、成長実現に向けた新経営体制への移行もおこなっており、社長交代を通じた若返りと次世代経営の推進、空中ディスプレイ事業は村上社長が事業部長を兼務し、スピーディに戦略を実行する。将来的には、3事業の売上構成を中期的にバランス化し、空中ディスプレイ事業の黒字化を中核テーマとして掲げる。
今期の配当金は年間7円(前期同額)を維持して安定還元を継続する方針。総じて、アスカネットは、写真・映像技術を軸に「想い出を未来に残す」企業から「感情をテクノロジーで拡張する」企業へと進化を遂げつつある。フューネラル事業の盤石な収益基盤とフォトブックの安定収益を維持しながら、空中ディスプレイやバーチャル領域で新市場を開拓できるかが次の成長の鍵を握る。技術的独自性と高い顧客信頼を背景に、今後数年で再び利益成長軌道へ乗せられるか注目しておきたい。
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