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明日の株式相場に向けて=高市首相誕生、“維新伝心”で大阪関連

配信日時:2025/10/21 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(21日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比130円高の4万9316円と続伸。一時は760円高で5万円大台まであと55円弱に迫ったが、ここでUターンするのが相場の悪魔的なところで、その後は利食い急ぎの動きが顕在化し、何とマイナス圏に沈む場面があった。5万円のコールオプションが活況を呈していることもあり、この5万円ラインは投資家の思惑が錯綜する要衝でもあった。  自民党と日本維新の会が連立政権樹立で合意し、高市早苗自民党総裁が第104代内閣総理大臣に指名された。首相指名選挙の前からトランプ米大統領との日米首脳会談が28日に行われる予定となっていたことが示唆するように、高市氏が日本初の女性首相として選出されることは既定路線といっても過言ではなかった。とはいえ、1回目の投票で237議席を得て衆院議席数の過半数を獲得、決選投票に持ち込まれることなく、すんなりと決まったことは若干意外な印象もある。自民党196と維新35を合わせても231議席にとどまり過半数の233議席には2議席足りない状況にあったからだ。蓋を開けてみればその231議席から6議席もプラスされた形となった。麻生副総裁が衆院会派「有志・改革の会」の幹部と会談し首相指名での協力を求めたが、これが機能したとはいえ、想定されるラインの上限まで票を伸ばし、高市氏は堂々の勝利を収めた格好となっている。  維新の会とは連立政権を組むことになったが、維新の側から閣僚を出さない閣外協力の形でその連携は強靭性に欠ける。政策で折り合わなければすぐに踵(きびす)を返して袂を分かつ意思を示したともいえる。パーシャル連合と比べれば高市政権の基盤は頑強なことは間違いないが、維新の会が連立を離脱しやすい選択肢を残した点で不安定さは否めない。  維新の会は議員定数の削減を優先順位の上位に掲げているが、これは国民に対する公約として元来遂行されるべき課題でもあった。そして、高市氏にとってこの「身を切る改革」というものがむしろ“反高市”の排除につながり、渡りに船といっては言い過ぎだが、ある意味で政権基盤強化の礎となる可能性がある。かつての「小泉郵政解散」の時を思い起こせばイメージできる。また、比例代表区の定数削減となれば、今回連立を解消して耳目を驚かせた公明党には追い討ちとなるが、小選挙区を自らの土俵とする自民党にとっては、本音としてダメージはそれほど大きくない。高市政権が最初の一歩を踏み出す前から「茨の道が待っている」と表現するテレビメディアもあったが、そんなことは重々承知のうえで高市新首相は政権を運営していくことに十分な勝算を持っていることが窺われる。  株式市場ではきょうは日経平均が5万円大台を指呼の間に捉えながらも届かず、高市首相誕生に前後して急速に値を消した。この場合“材料出尽くし”という表現が一般的だが、これで相場が終了したということにはなり得ない。CTAによる先物への速射砲的な売買に加え、ソフトバンクグループ<9984.T>やアドバンテスト<6857.T>といった一部の主力値がさ株を上下に揺さぶれば、日経平均をほぼ支配できる仕組みになっている。これに惑わされてはいけない。騰落レシオ(25日移動平均)をみる限り、プライム・スタンダード市場いずれも100%を下回った状態で、グロース市場に至っては陰の極の接近を示唆する80%割れの状態が続くなど、全体観として過熱感には程遠い実態が浮き彫りとなっている。  個別株戦略については、自民党と維新の会との新たな政策路線に目を凝らしながら、投資対象を探していく地合いが想定される。高市トレードが一服したところで、維新トレードにいったんバトンを回すなら大阪に本拠を構える銘柄に目を向けたい。いわゆる一丁目一番地である大阪の副首都構想。維新が提示した12の政策項目では統治機構改革にあたるが、この切り口は相場テーマとしては新しく、ここから銘柄選択の裾野が広がっていく可能性がある。副首都構想の関連銘柄としては、駐車場を展開する日本駐車場開発<2353.T>、データセンターに注力する京阪神ビルディング<8818.T>、分譲マンションを手掛けるフジ住宅<8860.T>、建設機械商社のワキタ<8125.T>、ホテル経営のロイヤルホテル<9713.T>、そして含み資産関連としてトーア紡コーポレーション<3204.T>などに目を配っておきたい。  あすのスケジュールでは、9月の貿易統計、10月の主要銀行貸出動向アンケート調査がいずれも朝方取引開始前に開示される。また、後場取引時間中に実質輸出入の動向が日銀から発表される。海外ではトルコ中銀が金融政策決定会合を行うほか、インドネシア中銀も政策金利を決定する。英国では9月の消費者物価指数(CPI)が発表される。米国では20年物国債の入札が行われる。個別企業の決算発表ではテスラ<TSLA>、IBM<IBM>などが注目される。なお、この日はインド市場が休場となる。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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