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明日の株式相場に向けて=「初の女性首相」の高揚感、5万円の大台乗せは時間の問題か

配信日時:2025/10/20 17:33 配信元:MINKABU
 20日の日経平均株価は急反発し最高値を更新。上昇幅は歴代7位となる1603円で高値引けの強調展開だった。自民党と日本維新の会が連立政権の樹立で合意することが明らかとなり、「積極財政=株高」の構図を意識した機械的な買いが入った。ソフトバンクグループ<9984.T>への集中的な資金流入で株価指数が切り上がったこれまでとはやや異なり、この日はプライム銘柄の9割が上昇する全面高商状。あすの首相指名選挙で自民党の高市早苗総裁が選出され、女性初の首相が誕生することが確実な情勢となった高揚感が広がるなかで、1日早い「ご祝儀買い」の色合いも濃かった。  みずほフィナンシャルグループ<8411.T>が6%を超す急騰となり、東証全33業種で銀行業の上昇率がトップとなったのは、低金利志向の強い首相の誕生を前にして整合性のとれない動きのようにもみえるが、市場では米地銀の信用リスク懸念の後退だけではなく、財政出動効果による国内景気の浮揚と段階的な日銀の利上げシナリオを織り込んだゆえとの強気の声が聞かれる。日経平均が5万円まであと815円程度となり、PER(株価収益率)面でみても高水準にあるなか、10月29~30日の金融政策決定会合で日銀が利上げに動く可能性もなきにしもあらずだろう。  日経平均をTOPIXで割ったNT倍率は足もと15.14倍と、1カ月前の14倍台前半から大幅に上昇した。先物において日経ロングのアンワインドの動きが入ったとしても、決して違和感はない。とはいえ、5万円にここまで接近してしまうと、到達しなければ気が済まないというのが兜町の性(さが)である。売り方のロスカットが株高を演出し続けてきた経緯ゆえ、「5万円到達後に踏み上げが入り、更に年末高の季節性も意識されて5万2000円程度まで上昇しそう」(国内証券アナリスト)との見方も出ている。  もちろん、短期の急騰であるがゆえ、調整時には時間軸を抜きにして1~2割程度の下げがあってもおかしくはない局面でもある。相場のボラティリティーも極めて高い状態となっており、高市新首相誕生後の相場展望をどう見極めるかが重要となってくる。仮に高市新内閣が高い支持率を誇ることとなれば、政権基盤の安定化を目的として、衆議院の解散・総選挙に踏み切るシナリオが現実味を帯びることとなる。選挙は買いというアノマリーが意識されることになるはずだ。局所的に選挙関連株が物色されることも想定される。紙分類・計数機器のムサシ<7521.T>や封筒のイムラ<3955.T>、のぼりなど広告商材製造のイタミアート<168A.T>などが代表銘柄とされているが、好実態株ではネット印刷のラクスル<4384.T>の出遅れ感が強い。  トランプ米大統領が月内に来日する予定である点も、短期視点では無視はできない。日米首脳会談となれば、関税とともに防衛力に関する話し合いが行われるに違いない。20日は高市トレードの一環として防衛関連株の一角が動意づいたが、日柄的な調整を経て再度物色意欲が高まることになるのか、注目されることになるはずだ。豊和工業<6203.T>は8月の高値からはまだ距離があり、日油<4403.T>は75日移動平均線を下回って推移。カーリット<4275.T>は8月高値に接近したが、PBR(株価純資産倍率)は1倍を下回っている。月内には日銀の決定会合も控えている。中期的な目線では、自民・維新の連立樹立が日本国債の格付けにどのような影響を及ぼすのかという点も、注目する必要があり、格下げリスクが高まった際の金利上昇は、一時的に株式相場に調整圧力を掛けることも考えれる。  あすのスケジュールでは、国内では臨時国会が召集され、首相指名選挙が行われる。10年クライメート・トランジション利付国債の入札が実施されるほか、統計関連では9月の白物家電出荷額や食品スーパー売上高、首都圏マンション市場動向が公表される。海外ではアジア太平洋経済協力会議(APEC)の財務相会合が22日までの予定で開かれる。インド市場は休場だ。 出所:MINKABU PRESS

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