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武者陵司「高市ブーム、解散総選挙、日経6万円のシナリオ」

配信日時:2025/10/14 15:00 配信元:MINKABU
 武者リサーチは10月10日(金)早朝に 「ストラテジーブレティン(388号)サナエノミクス、日経平均10万円が視野に ―高市長期政権へ、安倍改革を成就させる―」を発信した。その日の午後、公明党による自民党との連立解消が伝えられ、高市早苗氏が総理大臣に選出されない可能性が出てきた。株価は先物市場で6%の急落となった。しかし、武者リサーチは10月10日のレポートの分析と主張を全く変える必要がない、と考えている。高市総理大臣選出までの不安定な局面は、むしろ良いボトムフィッシング場面と考える。以下、最も可能性が高いと考えられる楽観シナリオを描いてみる。2026年6万円は射程内にある。 ●懸念通りの船出の困難、だが高市氏首相指名はほぼ確実  先週金曜日(10月10日)の公明党の連立離脱のニュースは、日本国民と市場にショックを与えた。高市氏が総理に選ばれない可能性が出てきたのである。  首相指名選挙は、衆院で過半数を獲得した者が選ばれる。しかし、第1次投票で誰も過半数に達しない場合、上位2名の決選投票で多数を得た者が指名される。直近の衆院各党別議席数は過半数233議席に対して、与党220(自民196、公明24)、保守系野党74(国民民主27、維新35、有志・改革の会7、参政党3、日本保守2)、リベラル系野党165(立憲民主148、共産8、れいわ新選組9)、無所属6となっており、どの党も過半数に満たない。野党が連合すれば239議席となり、野党統一候補が首相になる。  早速、立憲民主党は国民民主党の玉木雄一郎氏を統一候補として、各野党に連携を呼びかけた。しかし、国民民主党は安全保障、エネルギー、経済政策など、重要分野で政策一致がない連携は拒否している。維新も国民民主の姿勢に同調している。よって、決選投票で自民党の高市氏が首相に指名されることはほぼ揺るがない、と考えられる。 ●高市首相は水を得た魚になる  高市新総理は誕生の直後から、満を持して精力的に活動するだろう。改革派保守諸党の協力を得て、懸案のインフレ対策、給付金付き税額控除、ガソリン税と軽油引取税の暫定税率の廃止、更に病院・介護施設への支援などを含む補正予算を成立させる。外交面でも、高市新首相はトランプ米大統領来日と東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議で華々しい外交デビューをすることが予想される。専制国家、中・露・北朝鮮は上海協力機構(SCO)や、9月3日の「中国人民抗日戦争及び世界反ファシズム戦争勝利80周年」記念日で、あからさまな連帯を見せつけた。中東和平を実現したトランプ政権は軸足をアジアに移し、対中・露・北朝鮮の連携構築に本腰を入れるが、その要となる日本に対する期待は高まる。 ●早期の解散総選挙、高市ブームが起き、自民党は失地回復する可能性が高い  解散総選挙が早まる可能性は高い。高市政策に対する反対が強く政治が滞れば、高市氏は解散総選挙という奥の手を打ち出すだろう。また、政策がスムーズに実施され政権に対する信認が強まれば、少数与党という不正常を是正するための解散総選挙に踏み切る公算が大きい。  カギを握るのは高市人気。以下の3つの理由から、高市人気が高まっていくと想像される。 (1)政策に対する支持→高市新政権が打ち出す新自民党政策は、積極財政を軸とした成長政策、慎重な外国人政策、安全保障政策の充実などで、国民は支持するだろう。これら新政策は先の参院選挙で国民的支持を得た、改革派保守3党の政策と相似形になり、改革派保守3党に流れたかつての自民党のコア保守層を回帰させる。 (2)高市政権の初発の政策実現、実行力への評価→石破氏の長期居座りにより3カ月の政治空白に飽きていた国民は、高市氏の実行力を熱く支持する。 (3)高市氏の個人人気強まる→主流派メディアの反高市報道(「支持率下げてやる」「支持率下げる写真」「支持率下げることしか書かないぞ」といった報道など)で判官びいきのムードが高まるだろう。また、高市氏の強面(こわもて)の右翼政治家という、誇張されたイメージが是正されると思われる。SNSでの圧倒的人気を見ると、兵庫知事選の再現があり得るとも考えられる。 ●アベノミクス相場初動(6カ月で73%)に類似するかもしれない  目先の政局不透明化による株価の下落は一時的、高市政権の本格確立、長期政権化が見えてくれば、急騰を再開する可能性が高い。解散総選挙後に高市自民党が勝利すれば、政権発足後半年で73%と急騰したアベノミクス相場の初動と類似した展開になるかもしれない。魅力的投資対象に飢えている国際投資家は、高市政権が引き起こす投資チャンスを見過ごす余裕はない。国内・海外全投資家層はFOMO(日本株を持たざるリスク)を痛切に感ずることになるだろう。 (2025年10月13日記 武者リサーチ「ストラテジーブレティン389号」を転載) 株探ニュース

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