注目トピックス 日本株
極東貿易 Research Memo(1):日系企業などのグローバルなモノづくりを支援するエンジニアリング商社
配信日時:2025/10/14 11:01
配信元:FISCO
*11:01JST 極東貿易 Research Memo(1):日系企業などのグローバルなモノづくりを支援するエンジニアリング商社
■要約
極東貿易<8093>は、グループ企業の力を結集して、技術提案、導入・据付、運用・保守まで一貫した技術サポートができるエンジニアリング商社である。取扱商材は産業設備関連(プラント向け機械設備、資源掘削装置、地震・振動機器、航空機用機材、防衛関連機器など)、産業素材関連(樹脂・塗料、炭素繊維・関連素材、食肉加工品用副資材など)、そして、機械部品関連(精密ファスナー(ねじ類)、金属締結部品、特殊スプリング、船舶補修部品)と多岐にわたる。ワールドワイドで事業を展開しており、欧米、中国・台湾・東南アジア、さらにインド・メキシコなどの新興国に拠点を設け、日系企業などのグローバルなモノづくりを支援している。
1. 2025年3月期は大幅な増収増益で、営業利益は前期比80%超の増益
2025年3月期の連結業績では、売上高は3事業セグメントとも増収(特に、鉄鋼・化学プラント設備事業、地震・振動機器事業、自動車部品用樹脂が好調)となり、前期比21.4%増の52,982百万円となった。営業利益は同83.3%増の2,038百万円、経常利益は同69.8%増の2,525百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は負ののれん発生益※2,137百万円などにより同221.5%増の3,717百万円となった。
※ 負ののれん発生益:M&Aにおいて、買収価格が被買収企業の時価純資産額を下回った場合に発生する利益。
業績好調で営業利益が20億円を突破した要因として、基幹事業の受注回復、新規商材の受注拡大、2案件のM&Aの業績寄与が挙げられる。特に、同社の基幹事業である鉄鋼・化学プラント向け設備の受注が回復したことが大きい。同社の得意先である国内大手鉄鋼・化学メーカーが設備更新のための投資を増やしており、この状況はしばらく続くものと思われる。
2. インオーガニック成長(M&A)とオーガニック成長の両輪で成果を生み出す
同社は2008年の経営危機をM&Aによって克服し、その後も9件のM&Aを通じて成長戦略を実現してきた。加えて、中期経営計画で設定した成長投資枠50億円に基づき、2024年10月と11月に2件のM&Aを成立させている。第1は汎用プラスチック・エンジニアリングプラスチックを扱う専門商社の(株)三幸商会であり、これまで強化を目指してきた産業素材関連部門に大きな柱が生まれ、グローバル展開の基盤がさらに強固なものとなった。第2は船舶補修部品の専門商社である(株)ウエルストンで、機械部品部門の中核子会社であるヱトー(株)が子会社化した。ヱトーとウエルストンは業界や取引先は異なるものの、共通の金属切削部品を取り扱い、商流にも高い類似性があることから、中長期的に大きな事業シナジーが期待できる。
一方、オーガニック成長(新規事業)分野も好調に推移している。中期経営計画では、5つの成長分野への取り組みと事業投資を強化してきた。中でも「洋上風力発電関連事業」の展開は順調であり、事業の中核となる「洋上風車などの建設のための特殊大型治具」については、活発な引き合いや問い合わせが寄せられており、本格的な受注活動を開始している(一部は既に製作を開始)。特殊大型治具に加え、洋上風力分野における製品ラインナップを拡充しており、調査からメンテナンスに至るまで幅広い製品(鳥類調査レーダーシステム、海上特殊タラップシステム、メンテナンス用海中監視/作業用水中ロボット、風況調査/洋上風況観測用ブイ)を提供しており、これらに対する引き合いも増加している。また、洋上風力発電関連事業以外においても、地震・振動機器や資源開発機器などの受注活動が順調に推移している。
3. 資本コストを重視した経営と積極的な株主還元策の継続実施
同社ではコロナ禍の影響から脱し、売上高・利益は順調に回復しており、収益基盤が盤石になりつつある。中期経営計画では、資本コストや株価を意識したグループ経営を推進している。株主還元と企業価値向上を重視し、2022年3月期から、自己資本を積み増さず配当性向100%の方針を実施した。しかし、その後社内外の状況変化を考慮し、2025年3月期にこの方針の見直しが行われた。2025年3月期以降はM&Aなどの成長投資を優先しつつも高水準の還元を維持する新たな方針のもと、年間配当金を70.0円と設定している。また、2026年3月期からは配当性向50%を目安に、原則として減配せず、配当の維持または増配を行う「累進配当制度」を導入し、持続的成長を背景に、積極的な株主還元策を継続していく。
■Key Points
・2025年3月期は大幅な増収増益で、営業利益は前期比80%超増加の20億円を突破
・M&A2件(汎用プラスチック・エンジニアリングプラスチック事業と船舶補修部品事業)が成長と発展の起爆剤になりつつある
・オーガニック成長(新規事業)分野も好調に推移。なかでも洋上風力発電関連事業では、特殊大型治具の活発な受注に加えて、周辺製品のラインナップを拡充
・資本コストを重視した経営と積極的な株主還元策の継続実施
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水 啓司)
<HN>
極東貿易<8093>は、グループ企業の力を結集して、技術提案、導入・据付、運用・保守まで一貫した技術サポートができるエンジニアリング商社である。取扱商材は産業設備関連(プラント向け機械設備、資源掘削装置、地震・振動機器、航空機用機材、防衛関連機器など)、産業素材関連(樹脂・塗料、炭素繊維・関連素材、食肉加工品用副資材など)、そして、機械部品関連(精密ファスナー(ねじ類)、金属締結部品、特殊スプリング、船舶補修部品)と多岐にわたる。ワールドワイドで事業を展開しており、欧米、中国・台湾・東南アジア、さらにインド・メキシコなどの新興国に拠点を設け、日系企業などのグローバルなモノづくりを支援している。
1. 2025年3月期は大幅な増収増益で、営業利益は前期比80%超の増益
2025年3月期の連結業績では、売上高は3事業セグメントとも増収(特に、鉄鋼・化学プラント設備事業、地震・振動機器事業、自動車部品用樹脂が好調)となり、前期比21.4%増の52,982百万円となった。営業利益は同83.3%増の2,038百万円、経常利益は同69.8%増の2,525百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は負ののれん発生益※2,137百万円などにより同221.5%増の3,717百万円となった。
※ 負ののれん発生益:M&Aにおいて、買収価格が被買収企業の時価純資産額を下回った場合に発生する利益。
業績好調で営業利益が20億円を突破した要因として、基幹事業の受注回復、新規商材の受注拡大、2案件のM&Aの業績寄与が挙げられる。特に、同社の基幹事業である鉄鋼・化学プラント向け設備の受注が回復したことが大きい。同社の得意先である国内大手鉄鋼・化学メーカーが設備更新のための投資を増やしており、この状況はしばらく続くものと思われる。
2. インオーガニック成長(M&A)とオーガニック成長の両輪で成果を生み出す
同社は2008年の経営危機をM&Aによって克服し、その後も9件のM&Aを通じて成長戦略を実現してきた。加えて、中期経営計画で設定した成長投資枠50億円に基づき、2024年10月と11月に2件のM&Aを成立させている。第1は汎用プラスチック・エンジニアリングプラスチックを扱う専門商社の(株)三幸商会であり、これまで強化を目指してきた産業素材関連部門に大きな柱が生まれ、グローバル展開の基盤がさらに強固なものとなった。第2は船舶補修部品の専門商社である(株)ウエルストンで、機械部品部門の中核子会社であるヱトー(株)が子会社化した。ヱトーとウエルストンは業界や取引先は異なるものの、共通の金属切削部品を取り扱い、商流にも高い類似性があることから、中長期的に大きな事業シナジーが期待できる。
一方、オーガニック成長(新規事業)分野も好調に推移している。中期経営計画では、5つの成長分野への取り組みと事業投資を強化してきた。中でも「洋上風力発電関連事業」の展開は順調であり、事業の中核となる「洋上風車などの建設のための特殊大型治具」については、活発な引き合いや問い合わせが寄せられており、本格的な受注活動を開始している(一部は既に製作を開始)。特殊大型治具に加え、洋上風力分野における製品ラインナップを拡充しており、調査からメンテナンスに至るまで幅広い製品(鳥類調査レーダーシステム、海上特殊タラップシステム、メンテナンス用海中監視/作業用水中ロボット、風況調査/洋上風況観測用ブイ)を提供しており、これらに対する引き合いも増加している。また、洋上風力発電関連事業以外においても、地震・振動機器や資源開発機器などの受注活動が順調に推移している。
3. 資本コストを重視した経営と積極的な株主還元策の継続実施
同社ではコロナ禍の影響から脱し、売上高・利益は順調に回復しており、収益基盤が盤石になりつつある。中期経営計画では、資本コストや株価を意識したグループ経営を推進している。株主還元と企業価値向上を重視し、2022年3月期から、自己資本を積み増さず配当性向100%の方針を実施した。しかし、その後社内外の状況変化を考慮し、2025年3月期にこの方針の見直しが行われた。2025年3月期以降はM&Aなどの成長投資を優先しつつも高水準の還元を維持する新たな方針のもと、年間配当金を70.0円と設定している。また、2026年3月期からは配当性向50%を目安に、原則として減配せず、配当の維持または増配を行う「累進配当制度」を導入し、持続的成長を背景に、積極的な株主還元策を継続していく。
■Key Points
・2025年3月期は大幅な増収増益で、営業利益は前期比80%超増加の20億円を突破
・M&A2件(汎用プラスチック・エンジニアリングプラスチック事業と船舶補修部品事業)が成長と発展の起爆剤になりつつある
・オーガニック成長(新規事業)分野も好調に推移。なかでも洋上風力発電関連事業では、特殊大型治具の活発な受注に加えて、周辺製品のラインナップを拡充
・資本コストを重視した経営と積極的な株主還元策の継続実施
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水 啓司)
<HN>
Copyright(c) FISCO Ltd. All rights reserved.
ニュースカテゴリ
注目トピックス 市況・概況
NY市場・クローズ
海外市場動向
注目トピックス 日本株
注目トピックス 経済総合
強弱材料
コラム【EMW】
オープニングコメント
日経225・本日の想定レンジ
寄り付き概況
新興市場スナップショット
注目トピックス 外国株
個別銘柄テクニカルショット
ランチタイムコメント
後場の投資戦略
後場の寄り付き概況
相場概況
本日の注目個別銘柄
JASDAQ市況
マザーズ市況
Miniトピック
来週の買い需要
日経QUICKニュース
みんかぶニュース 投資家動向
みんかぶニュース 為替・FX
みんかぶニュース 市況・概況
みんかぶニュース 個別・材料
みんかぶニュース コラム
みんかぶニュース その他
ビットコインニュース
アルトコインニュース
GRICI
暗号資産速報
Reuters Japan Online Report Business News
金融ウォッチ その他
FISCO その他
グロース市況